今回はこのニュースを深堀していきます
サツキマスとは
サツキマスとはサーモンの一種で、アマゴ(アメゴ)の降海型です。
サケ科の魚類は、川で一生を過ごす個体と、海に渡り海で育つ個体に分かれます。
川で生まれたアマゴが川で一生を終えると、それはアマゴなのですが
成長過程で海にわたった種がサツキマスなのです。
鮭と鱒、サーモンとトラウトの違いとして、河川で一生を過ごすものは鱒、海に渡って産卵のため川に遡上するのがサケ、といわれることがあります
サツキマスは「マス」の名前がついていますが、海に渡るものを指すのですね。
サケ科の魚は、海水で育つと大きくなる傾向があり、サツキマスもアマゴと比べると大きく丸々していて、まるで全く違う魚のようです
サツキマス養殖に鳴門の荒海
従来、淡水魚であるアメゴの養殖は広く行われていたものの、サツキマスは困難と言われていました。
そもそも、サツキマスを養殖するとはどういうことなのか。
大切なことは、サツキマスがサツキマスであるためには、海で育たなければならないということ。育てるために海水を使う必要があります
徳島県では名産品の開発のためこの養殖事業に着手しました。
上勝町の山間部の清らかな河川水で「アメゴ」をふ化させ、陸上養殖。海水に徐々に慣らし、鳴門市の海で成魚に育て上げます
海水で育てる養殖は、多くは海にいけすを作り、その中で育てることになりますが、広い海を自由に泳ぐ生育環境を再現しにくいことから難易度が高いのです。
養殖を担当したのは「山仁産業」という水産会社で、鳴門の鯛などを使った加工品の製造販売等を手掛けています
同社の海水養殖事業の強みは、まさに鳴門の海にあります。
鳴門海峡の光景に現れるように、流れが速いことで知られています
この頻繁に入れ替わり、流れが強い潮の流れをそのまま利用できるので、水質がよく、寄生虫の防止などのために薬品を使う必要もありません
また、いけすの中でも強い流れの中で育ったサツキマスは筋肉が引き締まり、健康的です。数百キロを移動して川に帰ってくる天然ものに近い品質となります
そしてこのほど、その努力が実り、今回初めての水揚げとなったわけです
上品な味わいから高級魚として知られ、漁獲高が非常に少なくほとんど市場に出ない魚でもあるサツキマス
商品化のためには安定した漁獲、また個体差などをなすなどの生育環境の整備などまだまだ課題はあるようですが、新名物として食卓をにぎわしてくれることを期待しましょう
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