2016年12月21日
「真田丸」ご当地信州・上田ルポ 体感した人々の郷土愛と真田愛
「真田丸」ご当地信州・上田ルポ 体感した人々の郷土愛と真田愛
戦国時代最後の名将・真田幸村の生涯を描き、ブームとなったNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)は18日、最終回(第50話)を迎えた。三谷幸喜氏(55)の冴え渡る脚本、主演の堺雅人(43)をはじめとした芸達者なキャストの熱演が骨太な人間ドラマを形作り人気沸騰。真田家のお膝元・長野は最高の盛り上がりを見せた。上田市に今年1月オープンした「信州上田 真田丸大河ドラマ館」は12月4日で累計来場者数94万人を突破。最終回に合わせて開催した怒とうの6日間連続トークショーには多くのファンが集結した。最終回直前に上田を訪れ、地元の真田愛に触れた。
◆駅前に幸村の騎馬像 大河ドラマ館には砦・真田丸の大セット、作品世界を疑似体験
12月16日午前10時。上田駅に降り立つと駅前広場にある真田幸村の騎馬像が目に飛び込んでくる。上田城築城400周年記念に建立。幸村が上田城にいたのは青年期だったため若武者の姿になっている。勇ましい姿が「真田丸」で堺が演じた幸村に重なって見えた。広場には六文銭と真田丸の文字が描かれた「のぼり旗」がいたるところに掲げられており、ゆかりの地に来たのだなと気持ちが高ぶりはじめる。
まずは最初の目的地「真田丸大河ドラマ館」へ。日中の気温は4度。空が晴れているのに雪が舞う「風花(かざばな)」の中、上田駅から歩いておよそ15分。上田城跡公園にあるドラマ館に到着した。
ことし1月17日に開館。館内は作品のストーリーに沿って劇中衣装や小道具、セットなどが展示され、ドラマの世界に一気に引き込まれる。中でも圧巻なのが大阪城の出城・真田丸の大セットだ。幸村の赤備え甲冑(かっちゅう)の展示奥に広がるセットは空堀もあり迫力満点。第44話「築城」、第45話「完封」で描かれた砦の築城と大坂冬の陣“完勝劇”のシーンが蘇り「名前はどうするのです?決まっているだろう、真田丸よ!」「日の本一のつわものお!」と心の中で叫び、出演者気分で雰囲気に酔ってしまった。
◆ドラマ館来場者数、前人未到の100万人突破も“射程”に
作品の出来栄えと相まって来場者数も増加。ドラマ館スタッフの小林郁夫さんは「一日平均が4000人、10月の紅葉まつりの時期には倍の8000人。観光バスが170台来た日もありました。タイや中国、台湾など海外からのお客様もいます」と反響の大きさに喜ぶ。大河ドラマの世界を仮想現実体験できる話題のVR(バーチャルリアリティー)システムなどデジタル演出も充実しており、子供たちにも大人気。「『子どもたちがまた来たがって』と何度もいらっしゃる家族が多いです」と笑顔を見せる。
今月上旬で累計来場者数は94万人を突破。08年の鹿児島市「篤姫館」の67万人を抜き歴代最高記録を更新しているが、17年1月15日の閉館までに前人未到の100万人突破も見えてきた。「歴女やゲームなどの歴史人気もありますが、真田丸は大河というよりはホームドラマ。家族で一緒に見る番組なので、家族連れや若い世代のお客さんが多かったのだと思います」と小林さん。年末年始の連休で来場者は増加するだろう。大台突破なるか、注目が高まりそうだ。
ドラマ館を出て上田城跡公園を散策。本丸跡に鎮座する真田神社を参拝し、上田城櫓(やぐら)に上って城下を眺める。幸村の父、真田昌幸によって築城され徳川群を二度撃退した難攻不落の城。気持ちは一気に400年前にタイムスリップした。
散策後、昼食休憩。信州名物の薬膳そばを堪能して中心街へ移動。上田映劇で開催された、幸村の兄・真田信之を演じた大泉洋(43)のトークショーに潜入する。「信之に訊け!」と題した緊急スピンオフ企画で撮影現場の裏話を披露。出演者のモノマネでひと笑い、そして話のオチでもうひと笑いと“エンターテイナー大泉洋”の真骨頂を発揮。最後まで爆笑の渦に包まれた“神回”イベントになり、SNSでは「是非放送してください!」と懇願する声が広がった。私も「望む!映像化」に一票投じたい。
◆イベント出演の大泉洋「上田の人って温かいんです」大河ドラマが結ぶ縁
6日間連続トークショーなど画期的なイベントを手掛けたプロデューサーの吉岡和彦氏は「大河ドラマはバトンの受け渡しの歴史。バトンを次の人、次の世代に『託す』もの。その土地土地であった歴史をドラマ化しているから大河が終わっても、その街の歴史コンテンツにいろんな衣がついて残っていく。ドラマと相乗効果のあるイベントができるのが面白い」という。
上田市の熱意についても「30年前の『真田太平記』のときに真田家が有名になりました。それから観光客は目減りしたが真田丸で再び増えた。また目減りするとは思いますが、大河で一度人気が出たものがゼロになるわけじゃないと認識している上田は、そのあとに何を紡げば自分たちの街が愛する真田と一体化できるかと考える。郷土愛を見せたい、そういったモチベーションを持っている街と繋がれると気持ちいいです」と語った。
大泉はトークショー後、取材に応じ「以前、映画の撮影でもお世話になった街ですが、上田の人って温かいんです。凄く」と口にした。日が暮れてから上田駅まで乗車したタクシーの運転手は「小さいときから真田の話を聞いてきた。大河が盛り上がってよかった。内容面白かったしね。上田といえば真田。いい話で注目されるのはいいことだよね」と思いを語る。
大河が結んだ縁。上田の温かい郷土愛と真田愛に触れた一日だった。
戦国時代最後の名将・真田幸村の生涯を描き、ブームとなったNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)は18日、最終回(第50話)を迎えた。三谷幸喜氏(55)の冴え渡る脚本、主演の堺雅人(43)をはじめとした芸達者なキャストの熱演が骨太な人間ドラマを形作り人気沸騰。真田家のお膝元・長野は最高の盛り上がりを見せた。上田市に今年1月オープンした「信州上田 真田丸大河ドラマ館」は12月4日で累計来場者数94万人を突破。最終回に合わせて開催した怒とうの6日間連続トークショーには多くのファンが集結した。最終回直前に上田を訪れ、地元の真田愛に触れた。
◆駅前に幸村の騎馬像 大河ドラマ館には砦・真田丸の大セット、作品世界を疑似体験
12月16日午前10時。上田駅に降り立つと駅前広場にある真田幸村の騎馬像が目に飛び込んでくる。上田城築城400周年記念に建立。幸村が上田城にいたのは青年期だったため若武者の姿になっている。勇ましい姿が「真田丸」で堺が演じた幸村に重なって見えた。広場には六文銭と真田丸の文字が描かれた「のぼり旗」がいたるところに掲げられており、ゆかりの地に来たのだなと気持ちが高ぶりはじめる。
まずは最初の目的地「真田丸大河ドラマ館」へ。日中の気温は4度。空が晴れているのに雪が舞う「風花(かざばな)」の中、上田駅から歩いておよそ15分。上田城跡公園にあるドラマ館に到着した。
ことし1月17日に開館。館内は作品のストーリーに沿って劇中衣装や小道具、セットなどが展示され、ドラマの世界に一気に引き込まれる。中でも圧巻なのが大阪城の出城・真田丸の大セットだ。幸村の赤備え甲冑(かっちゅう)の展示奥に広がるセットは空堀もあり迫力満点。第44話「築城」、第45話「完封」で描かれた砦の築城と大坂冬の陣“完勝劇”のシーンが蘇り「名前はどうするのです?決まっているだろう、真田丸よ!」「日の本一のつわものお!」と心の中で叫び、出演者気分で雰囲気に酔ってしまった。
◆ドラマ館来場者数、前人未到の100万人突破も“射程”に
作品の出来栄えと相まって来場者数も増加。ドラマ館スタッフの小林郁夫さんは「一日平均が4000人、10月の紅葉まつりの時期には倍の8000人。観光バスが170台来た日もありました。タイや中国、台湾など海外からのお客様もいます」と反響の大きさに喜ぶ。大河ドラマの世界を仮想現実体験できる話題のVR(バーチャルリアリティー)システムなどデジタル演出も充実しており、子供たちにも大人気。「『子どもたちがまた来たがって』と何度もいらっしゃる家族が多いです」と笑顔を見せる。
今月上旬で累計来場者数は94万人を突破。08年の鹿児島市「篤姫館」の67万人を抜き歴代最高記録を更新しているが、17年1月15日の閉館までに前人未到の100万人突破も見えてきた。「歴女やゲームなどの歴史人気もありますが、真田丸は大河というよりはホームドラマ。家族で一緒に見る番組なので、家族連れや若い世代のお客さんが多かったのだと思います」と小林さん。年末年始の連休で来場者は増加するだろう。大台突破なるか、注目が高まりそうだ。
ドラマ館を出て上田城跡公園を散策。本丸跡に鎮座する真田神社を参拝し、上田城櫓(やぐら)に上って城下を眺める。幸村の父、真田昌幸によって築城され徳川群を二度撃退した難攻不落の城。気持ちは一気に400年前にタイムスリップした。
散策後、昼食休憩。信州名物の薬膳そばを堪能して中心街へ移動。上田映劇で開催された、幸村の兄・真田信之を演じた大泉洋(43)のトークショーに潜入する。「信之に訊け!」と題した緊急スピンオフ企画で撮影現場の裏話を披露。出演者のモノマネでひと笑い、そして話のオチでもうひと笑いと“エンターテイナー大泉洋”の真骨頂を発揮。最後まで爆笑の渦に包まれた“神回”イベントになり、SNSでは「是非放送してください!」と懇願する声が広がった。私も「望む!映像化」に一票投じたい。
◆イベント出演の大泉洋「上田の人って温かいんです」大河ドラマが結ぶ縁
6日間連続トークショーなど画期的なイベントを手掛けたプロデューサーの吉岡和彦氏は「大河ドラマはバトンの受け渡しの歴史。バトンを次の人、次の世代に『託す』もの。その土地土地であった歴史をドラマ化しているから大河が終わっても、その街の歴史コンテンツにいろんな衣がついて残っていく。ドラマと相乗効果のあるイベントができるのが面白い」という。
上田市の熱意についても「30年前の『真田太平記』のときに真田家が有名になりました。それから観光客は目減りしたが真田丸で再び増えた。また目減りするとは思いますが、大河で一度人気が出たものがゼロになるわけじゃないと認識している上田は、そのあとに何を紡げば自分たちの街が愛する真田と一体化できるかと考える。郷土愛を見せたい、そういったモチベーションを持っている街と繋がれると気持ちいいです」と語った。
大泉はトークショー後、取材に応じ「以前、映画の撮影でもお世話になった街ですが、上田の人って温かいんです。凄く」と口にした。日が暮れてから上田駅まで乗車したタクシーの運転手は「小さいときから真田の話を聞いてきた。大河が盛り上がってよかった。内容面白かったしね。上田といえば真田。いい話で注目されるのはいいことだよね」と思いを語る。
大河が結んだ縁。上田の温かい郷土愛と真田愛に触れた一日だった。
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