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2019年08月01日
成人の8割が感染、歯周病予防に効く「菌」とは
(フッ素塗るように、歯科検診で、
ロイテリ菌を塗ってくれるといいに)
成人の8割が感染、歯周病予防に効く「菌」とは
提供元:ケアネット 公開日:2019/06/14
5月30日、オハヨー乳業・オハヨーバイオテクノロジーズは
「歯周病への新たな良化習慣」
をテーマとしたプレスセミナーを開催した。
国内の歯周病(歯肉炎
および歯周疾患)患者数は330万人を超え、
30〜50代の約8割が罹患
するなど、
最も罹患率の高い疾患と
される。
本セミナーでは、
若林 健史氏(日本歯周病
学会理事・専門医・指導医/日本大学 客員教授)と
坂本 紗有見氏(銀座並木
通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81 院長)が講演し、
「バクテリアセラピー」によって歯周病予防効果が期待できる、
との研究内容を発表した。
歯磨き・歯科検診に続く予防策「バクテリアセラピー」
歯周病の治療を専門とする若林氏は、
口腔内に生息する細菌が全身の健康に影響する、
歯周病もむし歯も子供の頃からの感染予防が重要、
という前提を説明した。
また、最近の研究では、
歯周炎によってアルツハイマーの発症リスク増加の示唆1)や
介護施設で口腔ケアを徹底することで肺炎の発症・死亡者数が低下する
報告2)がされるなど、
「口腔内だけに留まらない疾患との関連性も指摘されている」とした。
若林氏はこうした歯周病と全身疾患の関わりを
「ペリオドンタルシンドローム」と名付け、
啓蒙活動を行っている。
次に、歯磨き・歯科定期検診に続く
第3の歯周病予防策として注目される手法として
「バクテリアセラピー」を紹介。
バクテリアセラピーとは、
“口の中にいる善玉菌を増やし、
むし歯菌・歯周病菌を減らす”もので、
抗菌薬による薬物治療と比較した場合、
1)効果が持続する、
2)耐性フリー、
3)安全である、
という優位点があるという。
「ロイテリ菌」の歯周病予防効果に着目
続いて坂本氏が、
「バクテリアセラピーにはロイテリ菌が有用である」と提唱。
ロイテリ菌は、バクテリアセラピー研究で有名なスウェーデンの
カロリンスカ研究所・医科大学と特許を持つBio Gaia社が、
提携して研究を進めている。
ロイテリ菌は1980年代にペルー人の母乳から発見されたもので、
日本人は7人に1人が保有するが、
そのほかの先進国のヒトから検出されることは少なく、
米国人はまったく保有していない。
世界100以上の国と地域で使用実績があり、
200以上の臨床研究が発表される一方、
副作用の報告は1件もないという。
ロイテリ菌は体内で
「ロイテリン」という有害な菌を抑える物質を生成し、
歯周病菌の増殖を抑制する効果が期待できる。
歯周病患者を対象とした
二重盲検ランダム化比較試験において、
ロイテリ菌とプラセボをそれぞれ30日間摂取した群を比較したところ、
ロイテリ菌摂取群は、
プラーク有りの患者数、
歯茎の出血有りの患者数などが減少し、
プラセボ摂取群に対し有意差が認められた3)。
坂本氏は「安全性が高く、データも豊富なロイテリ菌を長年注目してきた。
日本は平均寿命と健康寿命の差が最も大きい国。
バクテリアセラピーで歯周病を予防することが、
この差を縮めることに役立つはず」とコメントした。
ロイテリ菌関連商品としては、ヨーグルト・サプリメントが市販されている。
(ケアネット 杉崎 真名)
ロイテリ菌を塗ってくれるといいに)
成人の8割が感染、歯周病予防に効く「菌」とは
提供元:ケアネット 公開日:2019/06/14
5月30日、オハヨー乳業・オハヨーバイオテクノロジーズは
「歯周病への新たな良化習慣」
をテーマとしたプレスセミナーを開催した。
国内の歯周病(歯肉炎
および歯周疾患)患者数は330万人を超え、
30〜50代の約8割が罹患
するなど、
最も罹患率の高い疾患と
される。
本セミナーでは、
若林 健史氏(日本歯周病
学会理事・専門医・指導医/日本大学 客員教授)と
坂本 紗有見氏(銀座並木
通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81 院長)が講演し、
「バクテリアセラピー」によって歯周病予防効果が期待できる、
との研究内容を発表した。
歯磨き・歯科検診に続く予防策「バクテリアセラピー」
歯周病の治療を専門とする若林氏は、
口腔内に生息する細菌が全身の健康に影響する、
歯周病もむし歯も子供の頃からの感染予防が重要、
という前提を説明した。
また、最近の研究では、
歯周炎によってアルツハイマーの発症リスク増加の示唆1)や
介護施設で口腔ケアを徹底することで肺炎の発症・死亡者数が低下する
報告2)がされるなど、
「口腔内だけに留まらない疾患との関連性も指摘されている」とした。
若林氏はこうした歯周病と全身疾患の関わりを
「ペリオドンタルシンドローム」と名付け、
啓蒙活動を行っている。
次に、歯磨き・歯科定期検診に続く
第3の歯周病予防策として注目される手法として
「バクテリアセラピー」を紹介。
バクテリアセラピーとは、
“口の中にいる善玉菌を増やし、
むし歯菌・歯周病菌を減らす”もので、
抗菌薬による薬物治療と比較した場合、
1)効果が持続する、
2)耐性フリー、
3)安全である、
という優位点があるという。
「ロイテリ菌」の歯周病予防効果に着目
続いて坂本氏が、
「バクテリアセラピーにはロイテリ菌が有用である」と提唱。
ロイテリ菌は、バクテリアセラピー研究で有名なスウェーデンの
カロリンスカ研究所・医科大学と特許を持つBio Gaia社が、
提携して研究を進めている。
ロイテリ菌は1980年代にペルー人の母乳から発見されたもので、
日本人は7人に1人が保有するが、
そのほかの先進国のヒトから検出されることは少なく、
米国人はまったく保有していない。
世界100以上の国と地域で使用実績があり、
200以上の臨床研究が発表される一方、
副作用の報告は1件もないという。
ロイテリ菌は体内で
「ロイテリン」という有害な菌を抑える物質を生成し、
歯周病菌の増殖を抑制する効果が期待できる。
歯周病患者を対象とした
二重盲検ランダム化比較試験において、
ロイテリ菌とプラセボをそれぞれ30日間摂取した群を比較したところ、
ロイテリ菌摂取群は、
プラーク有りの患者数、
歯茎の出血有りの患者数などが減少し、
プラセボ摂取群に対し有意差が認められた3)。
坂本氏は「安全性が高く、データも豊富なロイテリ菌を長年注目してきた。
日本は平均寿命と健康寿命の差が最も大きい国。
バクテリアセラピーで歯周病を予防することが、
この差を縮めることに役立つはず」とコメントした。
ロイテリ菌関連商品としては、ヨーグルト・サプリメントが市販されている。
(ケアネット 杉崎 真名)
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2019年07月31日
歯周病と循環器疾患の関連は?
歯周病と循環器疾患の関連は?
神奈川歯科大学大学院口腔統合医療学講座准教授の青山典生氏は、
これまでに自身が携わってきた歯周病と循環器疾患に関連についての研究を振り返り、
その成果について第62回春季日本歯周病学会(5月24〜25日)で報告した。
歯周病と全身との関連のメカニズムは明らかにされていない
歯周病と全身性疾患との関連については、
糖尿病、心疾患、脂質代謝異常、早産、骨粗鬆症
などがよく知られている。
青山氏は、主に歯周病と
心血管疾患についての研究を重ねてきた。
米国心臓協会(AHA)は2012年に
「歯周病が心血管疾患を
引き起こすという証拠は
ない」
とステートメントを
発表している。
しかしながら、
60歳未満で歯周病による歯槽骨の吸収が進行している患者群では、
そうでない患者群と比べて
心血管疾患の発症リスクが2.48倍とされ、
「歯周病と心血管疾患の直接的な因果関係は示されていないものの、
青山氏は、
歯周病と心疾患リスク上昇にはなんらかの関係があるのではないか」
と指摘した。
その裏付けとして、
アテローム性病変の血管では歯周病菌やその成分が多く検出されている
一方で、正常血管からは検出されていないことを挙げた。
歯周病の重症度が高いと
高感度C反応性蛋白(CRP)などの血中炎症マーカーの値が高く、
炎症を介した歯周病と心血管疾患の関係が示唆されている。
そこで、同氏はこれまでに
動物モデルを用いた歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究や
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究などを行ってきた。
歯の喪失に末梢血管疾患(PAD)や糖尿病が有意に関連
動物モデルを用いた
歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究において、
青山氏は腹部大動脈瘤誘導マウスを
ポルフィロモナス・ジンジバリス(PG)菌
および
嫌気性グラム陰性桿菌
に感染させて、
腹部大動脈瘤に与える影響を検討した。
その結果、PG菌を感染させた群では
大動脈瘤誘導4週間後に大動脈径の拡張が認められ、
またPG菌の有無別に比較したところ、
PG菌を感染させた群ではそうでない群と比較して
大動脈径の有意な拡張が認められ
(J Periodontal Res 2011; 46: 176-183)、
さらに、Toll様受容体2を介した経路が
歯周病菌に由来する血管拡張に関与していることを突き止めた。
PG菌など特定の歯周病原細菌感染が
各種循環器疾患の進行に影響を及ぼすことが示唆されたが、
菌種別に循環器疾患との関連を明らかにした報告はない。
そこで、東京医科歯科大学病院で
循環器疾患により加療中の1,000例(平均年齢64.5歳)を対象に、
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究を行った。
その結果、61〜70歳の患者群では、
非末梢血管疾患(PAD)患者(10.8本)と比べて
PAD患者(20.5本)で喪失歯数が有意に多く、
また肥満を補正した解析では、
同じ年齢層の非糖尿病患者と比べて
糖尿病患者で10本以上の歯の喪失リスクが有意に高かった
〔補正後のオッズ比 1.78(1.05〜3.07)、P=0.0337、
Intern Med 2018; 57: 777-782〕。
メディカルトリビューン 2019年06月11日 05:10
神奈川歯科大学大学院口腔統合医療学講座准教授の青山典生氏は、
これまでに自身が携わってきた歯周病と循環器疾患に関連についての研究を振り返り、
その成果について第62回春季日本歯周病学会(5月24〜25日)で報告した。
歯周病と全身との関連のメカニズムは明らかにされていない
歯周病と全身性疾患との関連については、
糖尿病、心疾患、脂質代謝異常、早産、骨粗鬆症
などがよく知られている。
青山氏は、主に歯周病と
心血管疾患についての研究を重ねてきた。
米国心臓協会(AHA)は2012年に
「歯周病が心血管疾患を
引き起こすという証拠は
ない」
とステートメントを
発表している。
しかしながら、
60歳未満で歯周病による歯槽骨の吸収が進行している患者群では、
そうでない患者群と比べて
心血管疾患の発症リスクが2.48倍とされ、
「歯周病と心血管疾患の直接的な因果関係は示されていないものの、
青山氏は、
歯周病と心疾患リスク上昇にはなんらかの関係があるのではないか」
と指摘した。
その裏付けとして、
アテローム性病変の血管では歯周病菌やその成分が多く検出されている
一方で、正常血管からは検出されていないことを挙げた。
歯周病の重症度が高いと
高感度C反応性蛋白(CRP)などの血中炎症マーカーの値が高く、
炎症を介した歯周病と心血管疾患の関係が示唆されている。
そこで、同氏はこれまでに
動物モデルを用いた歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究や
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究などを行ってきた。
歯の喪失に末梢血管疾患(PAD)や糖尿病が有意に関連
動物モデルを用いた
歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究において、
青山氏は腹部大動脈瘤誘導マウスを
ポルフィロモナス・ジンジバリス(PG)菌
および
嫌気性グラム陰性桿菌
に感染させて、
腹部大動脈瘤に与える影響を検討した。
その結果、PG菌を感染させた群では
大動脈瘤誘導4週間後に大動脈径の拡張が認められ、
またPG菌の有無別に比較したところ、
PG菌を感染させた群ではそうでない群と比較して
大動脈径の有意な拡張が認められ
(J Periodontal Res 2011; 46: 176-183)、
さらに、Toll様受容体2を介した経路が
歯周病菌に由来する血管拡張に関与していることを突き止めた。
PG菌など特定の歯周病原細菌感染が
各種循環器疾患の進行に影響を及ぼすことが示唆されたが、
菌種別に循環器疾患との関連を明らかにした報告はない。
そこで、東京医科歯科大学病院で
循環器疾患により加療中の1,000例(平均年齢64.5歳)を対象に、
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究を行った。
その結果、61〜70歳の患者群では、
非末梢血管疾患(PAD)患者(10.8本)と比べて
PAD患者(20.5本)で喪失歯数が有意に多く、
また肥満を補正した解析では、
同じ年齢層の非糖尿病患者と比べて
糖尿病患者で10本以上の歯の喪失リスクが有意に高かった
〔補正後のオッズ比 1.78(1.05〜3.07)、P=0.0337、
Intern Med 2018; 57: 777-782〕。
メディカルトリビューン 2019年06月11日 05:10
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2019年07月30日
早期の大腸がん、腸内細菌から発見 8割の精度で判別
(早く簡易キットが出てくるといいな!)
早期の大腸がん、腸内細菌から発見 8割の精度で判別
阪大教授ら 便潜血に代わる簡易検査めざす
2019/6/7 0:00
大阪大学の谷内田真一教授と東京工業大学の山田拓司准教授、慶応義塾大学の福田真嗣特任教授らは、
大便の中にいる腸内細菌の種類から早期の大腸がんを見つける技術を開発した。
約8割の精度で
見つけられるという。
便潜血検査に代わる
簡易検査を目指しており、早期の発見や治療に
つながるという。
東京大学などとの
共同研究で、
成果は米科学誌
「ネイチャーメディシン」に7日掲載する。
大腸がんの簡易検査は、
大便に混じる血液を調べる便潜血検査が一般的だ。
痔(ぢ)の人をがん患者と誤認しやすく、
陽性となった人のうち
本当にがん患者である割合は『5%』にとどまる。
研究チームは健康な人のほか
早期や悪化した大腸がん患者、
良性のポリープを抱える人など
計600人の大便を採取。
遺伝子解析をして腸内細菌の種類を詳しく調べた。
早期がんの患者で増える細菌や減る細菌などを見つけた。
これらを組み合わせると、
健常者と早期や悪化したがんの患者を
『約8割の精度』で見分けることができた。
これまでは、悪化したがんで増える細菌の種類が分かっていた程度で、
患者を見分けることはできなかった。
研究チームはこれらのデータをもとに、
患者を見分ける人工知能(AI)を開発した。
今後、検査技術の性能を多数の患者や健康な人で試して、
企業に働きかけて『5年後にも』検査キットを開発する。
早期の大腸がん、腸内細菌から発見 8割の精度で判別
阪大教授ら 便潜血に代わる簡易検査めざす
2019/6/7 0:00
大阪大学の谷内田真一教授と東京工業大学の山田拓司准教授、慶応義塾大学の福田真嗣特任教授らは、
大便の中にいる腸内細菌の種類から早期の大腸がんを見つける技術を開発した。
約8割の精度で
見つけられるという。
便潜血検査に代わる
簡易検査を目指しており、早期の発見や治療に
つながるという。
東京大学などとの
共同研究で、
成果は米科学誌
「ネイチャーメディシン」に7日掲載する。
大腸がんの簡易検査は、
大便に混じる血液を調べる便潜血検査が一般的だ。
痔(ぢ)の人をがん患者と誤認しやすく、
陽性となった人のうち
本当にがん患者である割合は『5%』にとどまる。
研究チームは健康な人のほか
早期や悪化した大腸がん患者、
良性のポリープを抱える人など
計600人の大便を採取。
遺伝子解析をして腸内細菌の種類を詳しく調べた。
早期がんの患者で増える細菌や減る細菌などを見つけた。
これらを組み合わせると、
健常者と早期や悪化したがんの患者を
『約8割の精度』で見分けることができた。
これまでは、悪化したがんで増える細菌の種類が分かっていた程度で、
患者を見分けることはできなかった。
研究チームはこれらのデータをもとに、
患者を見分ける人工知能(AI)を開発した。
今後、検査技術の性能を多数の患者や健康な人で試して、
企業に働きかけて『5年後にも』検査キットを開発する。
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2019年07月29日
『夜間頻尿』は加齢に伴い増加する
『夜間頻尿』(臨床では就寝後2回尿意のため覚醒)は加齢に伴い増加する
(Urology 2006; 68: 560-564)、
主な原因は夜間多尿と
夜間の膀胱容量の低下。
前者は夕方からの水分の過剰摂取、下肢の液貯留
(運動不足)が就寝後還流されることで起こる。
後者に対して薬物治療法として、
抗コリン薬で膀胱容量を増大させたり、
睡眠薬で睡眠深度を深めるといったものがある
(前者は抗コリン剤が認知症を増悪させる可能性、
後者は薬物依存症、筋弛緩作用による転倒に伴う
大腿骨頚部骨折が危惧されるため推奨しない)。
非薬物療法としては、ウォーキングなどの運動で
発汗を促し、睡眠深度を深める方法が
取り入れられている。
北上中央病院(沖縄県)泌尿器科の菅谷公男氏らは、
前立腺肥大症に伴う夜間頻尿を有する患者を対象に、
夕方に30分程度のウォーキングを8週間継続した際の
治療効果を検証。
その結果、治療前に比べて夜間排尿回数が約2回減少
した(Biomed Res 2007; 28: 101-105)。
同様の患者に対して薬物療法を行った場合、
夜間排尿回数の減少は約1回程度にとどまるという。
泌尿器科を受診すると、”排尿日誌”なるものを
つけるように指導されます。
何時何十分に、おしっこをしたと記録をつけて
いきますが、水分を取った(食事も含めて)時間も
同時につけてみてください。
喉の乾きが出てから水分を取っていると、
遅れ遅れの水分補給になるので、夕から就寝前に
集中して水分を取っていることがわかります。
夜にめがけて水分を取っていれば、足に溜まった水分
(夕方、足がむくんでいませんか?)
が、横になって心臓と足の高さが同じになると
ようやく心臓に帰ってきて
だぶついている水分を腎臓がろ過を始め、
おしっこになって溜まってきます。
対策は二つです。
散歩などをして、第2の心臓であるふくらはぎを使って
足に溜まった血液を心臓に”能動的に”還流させる。
もう一つは、朝目覚めた時から、早め早めの水分摂取を心がけて
1日に必要な水分を早めに摂る習慣を、意識して身につける。
1日に最低1500mL は水分補給が必要になります。
暑いシーズンは、不感蒸泄(自分では意識せずに水分を奪われています)以外に、
汗として体表温度を下げるために(汗が蒸発するときに、気化熱として熱を奪っていきます)
水分が出ていきますので、
積極的な水分摂取が必要になります。
熱中症にかからないためにも、早めの水分補給に努められてください。
(Urology 2006; 68: 560-564)、
主な原因は夜間多尿と
夜間の膀胱容量の低下。
前者は夕方からの水分の過剰摂取、下肢の液貯留
(運動不足)が就寝後還流されることで起こる。
後者に対して薬物治療法として、
抗コリン薬で膀胱容量を増大させたり、
睡眠薬で睡眠深度を深めるといったものがある
(前者は抗コリン剤が認知症を増悪させる可能性、
後者は薬物依存症、筋弛緩作用による転倒に伴う
大腿骨頚部骨折が危惧されるため推奨しない)。
非薬物療法としては、ウォーキングなどの運動で
発汗を促し、睡眠深度を深める方法が
取り入れられている。
北上中央病院(沖縄県)泌尿器科の菅谷公男氏らは、
前立腺肥大症に伴う夜間頻尿を有する患者を対象に、
夕方に30分程度のウォーキングを8週間継続した際の
治療効果を検証。
その結果、治療前に比べて夜間排尿回数が約2回減少
した(Biomed Res 2007; 28: 101-105)。
同様の患者に対して薬物療法を行った場合、
夜間排尿回数の減少は約1回程度にとどまるという。
泌尿器科を受診すると、”排尿日誌”なるものを
つけるように指導されます。
何時何十分に、おしっこをしたと記録をつけて
いきますが、水分を取った(食事も含めて)時間も
同時につけてみてください。
喉の乾きが出てから水分を取っていると、
遅れ遅れの水分補給になるので、夕から就寝前に
集中して水分を取っていることがわかります。
夜にめがけて水分を取っていれば、足に溜まった水分
(夕方、足がむくんでいませんか?)
が、横になって心臓と足の高さが同じになると
ようやく心臓に帰ってきて
だぶついている水分を腎臓がろ過を始め、
おしっこになって溜まってきます。
対策は二つです。
散歩などをして、第2の心臓であるふくらはぎを使って
足に溜まった血液を心臓に”能動的に”還流させる。
もう一つは、朝目覚めた時から、早め早めの水分摂取を心がけて
1日に必要な水分を早めに摂る習慣を、意識して身につける。
1日に最低1500mL は水分補給が必要になります。
暑いシーズンは、不感蒸泄(自分では意識せずに水分を奪われています)以外に、
汗として体表温度を下げるために(汗が蒸発するときに、気化熱として熱を奪っていきます)
水分が出ていきますので、
積極的な水分摂取が必要になります。
熱中症にかからないためにも、早めの水分補給に努められてください。
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2019年07月28日
LDL-C値は低すぎても有害? 出血性脳卒中リスク増の可能性
(研究開始時1回のみ測定したLDL-C値、
スタチンの服用なしで、
2.7万人、平均19.3年の前向き追跡
有意な出血性脳卒中の発生頻度増加!
LDL−Cが70切れていると血管壁が脆弱になるという発表も出てきているが…
別のコホート結果が出てきてほしい
LDL−C高値は心筋梗塞、脳卒中の危険因子で、
心筋梗塞後でスタチン内服中の患者さんの
LDL−C目標値は70以下は変わりない)
LDL-C値は低すぎても有害?
出血性脳卒中リスク増の可能性
国際医学短信2019年4月30日 (火)配信
悪玉コレステロールと呼ばれるLDL-コレステロール(LDL-C)値は、
低いほど健康に良いと考えられているが、
過度に下げすぎてはいけないようだ。
米ハーバード大学医学部のPamela Rist氏らが行った研究で、
LDL-C値が70mg/dL未満に低下した女性では、
出血性脳卒中の発症リスクが高まる可能性があることが示された。
研究の詳細は「Neurology」4月10日オンライン版に掲載された。
この研究では、大規模コホート研究である女性健康イニシアチブ
(Women's Health Initiative;WHI)に参加し、
研究開始時に総コレステロール(TC)と
LDL-C、HDL-コレステロール(HDL-C)、トリグリセライド(中性脂肪)
を測定した45歳以上の女性2万7,937人を前向きに追跡した。
平均19.3年の追跡期間中に、
137人が出血性脳卒中を発症した。
対象女性をLDL-C値で4つの群に分けて比較した結果、
LDL-C値が100〜129.9mg/dLの女性と比べて、
70mg/dL未満の女性では
出血性脳卒中リスクが2.17倍と有意に増加したことが分かった。
一方、出血性脳卒中リスクは、
LDL-C値が70〜99.9mg/dLの女性では1.25倍、
130〜159.9mg/dLの女性では1.14倍、
160mg/dL以上の女性では1.53倍だったが、
いずれも有意ではなかった。
また、トリグリセライドについても同様に、
空腹時の値が156mg/dL以上と最も高かった女性と比べて、
74mg/dL以下と最も低かった女性では、
出血性脳卒中リスクは2倍と有意な増加がみられた。
一方、TC値とHDL-C値については、出血性脳卒中リスクとの関連は認められなかった。
米国のガイドラインでは、
心疾患や脳卒中を予防するためには
LDL-C値を100mg/dL以下に管理することが推奨されているが、
今回の研究では、この推奨と矛盾する結果が得られた。
しかし、専門家の一人で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
予防心臓病学プログラムの共同ディレクターを務めるGregg Fonarow氏は、
「この結果は慎重に解釈すべきだ」
と注意を促している。
同氏によると、
LDL-C低値による出血性脳卒中の絶対リスクの増加はわずかなもので、
LDL-C値が上昇することで
脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる方が危険度は高いと指摘する。
また、同氏によれば、
これまでの研究では、LDL-C値を下げると脳梗塞リスクは有意に低下するが、
出血性脳卒中リスクの有意な増加との関連は報告されていないという。
では、今回の新しい研究結果はどのように解釈すべきなのか?
Rist氏は
「LDL-Cやトリグリセライドを下げすぎると
出血性脳卒中リスクが上昇する機序は明らかになっていない」
としながらも、
これらの値が低いと血管壁がもろくなり、
それによって出血性脳卒中リスクが高まるとする仮説もあると指摘する。
しかし、同氏は
「今回の研究結果はこれらの因果関係を証明するものではない」
と強調している。
また、Rist氏によると、今回の研究に参加した女性の多くはスタチンを服用していなかった。
これは、LDL-C値の低下にコレステロール低下薬は影響していなかったことを意味する。
それにもかかわらず、LDL-C値が下がりすぎた女性では
出血性脳卒中リスクが高まる可能性が示されたことから、
同氏は
「このような女性では、高血圧や喫煙習慣といった
他のリスク因子を管理することが重要になるだろう」
と助言している。
HealthDay News 2019年4月10日
Copyright 2019 HealthDay.
スタチンの服用なしで、
2.7万人、平均19.3年の前向き追跡
有意な出血性脳卒中の発生頻度増加!
LDL−Cが70切れていると血管壁が脆弱になるという発表も出てきているが…
別のコホート結果が出てきてほしい
LDL−C高値は心筋梗塞、脳卒中の危険因子で、
心筋梗塞後でスタチン内服中の患者さんの
LDL−C目標値は70以下は変わりない)
LDL-C値は低すぎても有害?
出血性脳卒中リスク増の可能性
国際医学短信2019年4月30日 (火)配信
悪玉コレステロールと呼ばれるLDL-コレステロール(LDL-C)値は、
低いほど健康に良いと考えられているが、
過度に下げすぎてはいけないようだ。
米ハーバード大学医学部のPamela Rist氏らが行った研究で、
LDL-C値が70mg/dL未満に低下した女性では、
出血性脳卒中の発症リスクが高まる可能性があることが示された。
研究の詳細は「Neurology」4月10日オンライン版に掲載された。
この研究では、大規模コホート研究である女性健康イニシアチブ
(Women's Health Initiative;WHI)に参加し、
研究開始時に総コレステロール(TC)と
LDL-C、HDL-コレステロール(HDL-C)、トリグリセライド(中性脂肪)
を測定した45歳以上の女性2万7,937人を前向きに追跡した。
平均19.3年の追跡期間中に、
137人が出血性脳卒中を発症した。
対象女性をLDL-C値で4つの群に分けて比較した結果、
LDL-C値が100〜129.9mg/dLの女性と比べて、
70mg/dL未満の女性では
出血性脳卒中リスクが2.17倍と有意に増加したことが分かった。
一方、出血性脳卒中リスクは、
LDL-C値が70〜99.9mg/dLの女性では1.25倍、
130〜159.9mg/dLの女性では1.14倍、
160mg/dL以上の女性では1.53倍だったが、
いずれも有意ではなかった。
また、トリグリセライドについても同様に、
空腹時の値が156mg/dL以上と最も高かった女性と比べて、
74mg/dL以下と最も低かった女性では、
出血性脳卒中リスクは2倍と有意な増加がみられた。
一方、TC値とHDL-C値については、出血性脳卒中リスクとの関連は認められなかった。
米国のガイドラインでは、
心疾患や脳卒中を予防するためには
LDL-C値を100mg/dL以下に管理することが推奨されているが、
今回の研究では、この推奨と矛盾する結果が得られた。
しかし、専門家の一人で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
予防心臓病学プログラムの共同ディレクターを務めるGregg Fonarow氏は、
「この結果は慎重に解釈すべきだ」
と注意を促している。
同氏によると、
LDL-C低値による出血性脳卒中の絶対リスクの増加はわずかなもので、
LDL-C値が上昇することで
脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる方が危険度は高いと指摘する。
また、同氏によれば、
これまでの研究では、LDL-C値を下げると脳梗塞リスクは有意に低下するが、
出血性脳卒中リスクの有意な増加との関連は報告されていないという。
では、今回の新しい研究結果はどのように解釈すべきなのか?
Rist氏は
「LDL-Cやトリグリセライドを下げすぎると
出血性脳卒中リスクが上昇する機序は明らかになっていない」
としながらも、
これらの値が低いと血管壁がもろくなり、
それによって出血性脳卒中リスクが高まるとする仮説もあると指摘する。
しかし、同氏は
「今回の研究結果はこれらの因果関係を証明するものではない」
と強調している。
また、Rist氏によると、今回の研究に参加した女性の多くはスタチンを服用していなかった。
これは、LDL-C値の低下にコレステロール低下薬は影響していなかったことを意味する。
それにもかかわらず、LDL-C値が下がりすぎた女性では
出血性脳卒中リスクが高まる可能性が示されたことから、
同氏は
「このような女性では、高血圧や喫煙習慣といった
他のリスク因子を管理することが重要になるだろう」
と助言している。
HealthDay News 2019年4月10日
Copyright 2019 HealthDay.
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2019年07月27日
平成の30年間に世界で一番使われた薬【スタチン】 遠藤章氏、開発までの道のり
平成の30年間に世界で一番使われた薬【スタチン】
遠藤章氏、開発までの道のり
過去30年間に世界で最も多くの患者に使われ、
最も多くの人々の健康寿命を延ばしてきた薬といえば、
スタチンをおいて他にないだろう。
冠動脈疾患の予防と治療に革命を起こした薬
スタチンとは、
低密度リポプロテイン(LDL)コレステロールの血中濃度を
強力に低下させる作用を持つ、HMG-CoA還元酵素阻害薬※1の総称だ。
安全性と有効性に優れ、
冠動脈疾患の予防と治療に文字通りの“革命”を起こした。
欧米の医学の教科書には現在も、
「米国で1994-2004年に冠動脈疾患による死亡率が33%減ったのは
遠藤博士が発見したスタチンのおかげと言って良い」
と、顔写真入りで紹介されている
(ラインハート・レンネバーグ著『カラー図解EURO版バイオテクノロジーの教科書(下)』講談社)。
遠藤氏はこの功績で、ラスカー賞やガードナー国際賞、日本国際賞など数々の賞を受けた。
スタチンが医薬品として世に登場したのは、平成の始まりとほぼ同時だった。
これまでに何百万人、何千万人もの命を救い、
これからも救い続けるスタチンの”誕生物語”だ。
企業研究者として遠藤氏がスタチンの開発に関わったのは、
最初の臨床試験が行われたところまでだ。
そこから先、メガドラッグ誕生までの製薬会社同士の攻防や、
「コレステロールを下げることで死亡率が下がるのか」
という“コレステロール論争”も興味深い医療史ではあるが、
ここでは場面を絞り、令和世代に通じる医薬品研究のカギとなるエピソードを拾う。
カビとキノコからヒトに役立つものを
1933年(昭和8年)に秋田県下郷村
(現・同県由利本荘市東由利)で生まれた遠藤氏は、
病気やケガの治療に長けた祖父、
農業技術に長けた父の影響を受けて育った。
近くの山で食用に採ってくるキノコに興味を持ち、
高校時代にはハエトリシメジは
なぜハエを殺すのに
ヒトには無害でおいしいのかを、
実験で明らかにした。
進学した東北大学農学部では、
青カビからペニシリンを発見した
細菌学者アレクサンダー・フレミングの伝記に夢中になった。
「応用微生物学」との出合いだ。
カビとキノコの研究ができる環境を求めた遠藤氏は
1957年(昭和32年)、三共(現・第一三共)に入社する。
翌年には、果汁と果実酒の清澄化に用いる
ペクチン分解酵素「ペクチナーゼ」を大量生産するカビを発見し、
製造工程の合理化に成功した
(「スクラーゼS」の商品名で1959年製品化)。
遠藤氏はその後の数年間、ペクチナーゼ研究に専念し、
東北大学で農学博士の学位を授与された。
新製品を生み出し会社に貢献したことで、
2年間の海外留学に行けることになった遠藤氏は、
「脂質」を研究テーマに選び、
米アインシュタイン医科大学分子生物学科にポスドクとして留学した。
当時の米国では、心筋梗塞による死亡が死因のトップだった。
脂っこく量の多い食事を背景とする
肥満と高脂血症(脂質異常症)が危険因子となっていたが、
コレステロールと中性脂肪を下げる有効な薬はまだなかった。
1950年代に開発されたコレステロール合成阻害薬が
副作用のため販売中止・回収され、
「コレステロール合成阻害薬は危険だ」
という認識があった上に、
60年代末までに開発された複数の脂質低下薬も副作用が深刻であったり、
効果が不十分であったりして、広く使える薬になっていなかった。
必要なのは、安全かつ強力に、血中脂質の濃度を低下させる薬だ。
留学先では基礎研究に従事していた遠藤氏だったが、
コレステロール低下薬の開発というテーマに出合い、
世界の研究動向にアンテナを張るようになった。
カビとキノコに懸けた
HMG-CoA還元酵素が
コレステロール生合成の律速酵素であることは、
遠藤氏が留学中に解明された。
HMG-CoA還元酵素を阻害する物質があれば、
血中のコレステロール値は下げられる。
その物質は微生物の中にあるのではないか。
帰国した遠藤氏がHMG-CoA還元酵素阻害物質の探索研究を開始したのは1971年(昭和46年)だ。
当時の微生物探索研究の主流は放線菌で、
ストレプトマイシンなど数百の抗生物質が発見されていたが、
遠藤氏は食品に使われたことのない放線菌を避け、カビとキノコに懸けた。
探索研究には2年と期限を定めた。
その2年間に調べた菌類は約6000。
途中、京都市内の米穀店の白米から分離された
青カビ(Pen-51)の培養液から
活性物質ML-236Bを抽出・精製した。
ML-236Bのコレステロール合成阻害活性は非常に高く、
かつ分子構造がHMG-CoA還元酵素反応生成物メバロン酸(メバロネート)と似ているという、
理想的な物質だった。
「ラットに効かないものは…」常識の方を疑い覆す
そこから先には、何重もの壁が立ちはだかった。
試験管の中では強力なコレステロール低下作用を発揮したML-236Bだったが、
若い健常ラットに投与したところ、薬効が全く認められなかった。
この結果を受けて、会社は開発打ち切りを決定した。
しかし、「ラットに効かないものはヒトにも効かない」
という常識の方を疑った遠藤氏は、
コレステロール値の高い動物と人間には効くのではないかと考えた。
そこで、社内でメンドリを使った別の実験を行っている獣医師との共同研究を設定。
もともと血中コレステロールが高いメンドリでは、
ML-236Bを投与すると血中コレステロールが40%以上も下がることを確認した。
コレステロール低下作用はビーグル犬でも認められ、
ML-236Bの開発プロジェクトが再始動した。
その間に、英ビーチャム社が抗菌薬探索の過程でML-236Bと同一物質を発見し、
「コンパクチン」と命名していたが、
ラットに効かないことを理由に、開発を断念していた。
ML-236B、コンパクチンともに一般名はメバスタチンだが、
コンパクチンと呼ばれることが多い
秘密裏に行われた世界初の治験
遠藤氏がML-236B(以下コンパクチン)を発見したのと同じ1973年(昭和48年)、
「家族性高コレステロール血症(FH)のうち、
ホモFHの成因はHMG-CoA還元酵素の制御機構の破綻にある」
とする知見が米国で発表された。
のちにノーベル医学・生理賞を受賞する、
マイケル・S・ブラウン氏とジョセフ・L・ゴールドスタイン氏の研究だ。
この論文を読んだ遠藤氏は両氏に連絡。
FHホモ接合体細胞と健常人の培養細胞を分けてもらい、
コンパクチンの作用を検討する実験を1976年(昭和51年)から始めた。
その結果、いずれの細胞でもコンパクチンがコレステロールの合成を50%阻害すること、
コンパクチンの細胞毒性が極めて低いことを確認した。
コレステロール合成を50%阻害するのに用いた
濃度の125倍まで引き上げて初めて細胞毒性が現れたが、
その濃度でもメバロン酸を同時に投与すると毒性は消失することも確認できた。
コンパクチンによるFH治療の可能性が
専門家に知られ始めた
1977年(昭和52年)4月、
社内のラットを用いた安全性試験で、
コンパクチンによる肝毒性が確認され、
開発は再度の難局に立った。
翌月、ゴールドスタイン氏らから、
「FH重症患者の治療にコンパクチンを使いたい」
という依頼があったが、
国内で発見された物質を海外で最初に使うのは好ましくないという理由で許可されず、
コンパクチンが薬として世に出る可能性は消えかけた。
しかし同年8月、
大阪大学でFHの治療に当たっていた山本章氏から、
重症FH患者の治療にコンパクチンを使いたいという依頼が届く。
患者は当時18歳の女性で、血清コレステロール値が1000mg/dL(正常値≦120)を超え、
心筋梗塞を繰り返している状態だった。
会社側には秘密裏に、
大阪大学の臨床試験としてコンパクチンの投与が始まったのは1978年(昭和53年)2月。
投与2週間で総コレステロール値は20%低下した。
3週間目には横紋筋融解症の副作用が出現したが、
投薬を中止すると3-4日で症状は消失した。
山本氏は、1日500mgという当初の投与量を漸減し、
2例目への投与も開始して、
FH患者への安全な投与方法を探っていった。
この結果を受けて、
コンパクチンは再度、三共の開発品目に返り咲いた。
同年11月、慶應義塾大学の五島雄一郎教授を主任研究者とする
臨床試験(フェーズ1)がスタートした。
世界で4000万人が毎日飲み続ける薬
遠藤氏が三共社員としてスタチンに関わったのは、ここまでだ。
コンパクチンが市場化への道に入ったのを見届けた遠藤氏は同社を退職。
1979年(昭和54年)1月、かねてからの希望通り、
東京農工大学の教員に転職した。
翌月には紅麹カビからコンパクチンよりメチル基が1個多い
新規物質「モナコリンK」(ロバスタチン)を発見し、
特許を三共に譲渡する。
同じ頃に米メルク社もモナコリンKを発見しており、両社の競争は激化した。
翌年、スタチンは市場化への道を再び断たれる。
イヌを使った長期毒性試験において、
超大量のコンパクチンを2年間投与した群でリンパ腫が認められ、
三共が開発を全面中止したのだ。
追ってメルクも開発を中止した。
しかし1981年(昭和56年)、金沢大学の馬淵宏氏が
重症FH患者7例への投与成績を
New England Journal of Medicine誌に発表したことで、
スタチンはまた息を吹き返した。
1987年(昭和62年)、米国で商業化スタチン第1号であるロバスタチンが承認された。
追って1989年(平成元年)、三共がプラバスタチンの販売を開始した。
スタチン市場の売上のピークは2005年で、
先発スタチン製剤の売上合計は年間約3兆円を記録した。
売上1位のアトルバスタチンは世界初の年商100億ドル医薬品となった。
パテントが切れて売上首位の座は譲ったものの、
スタチンを必要とする患者の数は変わらない。
現在、スタチンは100カ国以上で販売され、
約4000万人が毎日服用するという、
世界で最も使用される薬となっている。
※1 HMG-CoA還元酵素阻害剤
体内では主に肝臓においてコレステロール合成が行われており、
コレステロールが合成される過程で必要な
HMG-CoA還元酵素(3-Hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme-A reductase)という物質がある。
肝臓で作られたコレステロールは各組織に移行したり、胆汁酸として排泄される。
本剤は肝臓においてHMG-CoA還元酵素を阻害し、
コレステロール合成を抑えることで、
血液中のコレステロール(主にLDLコレステロール)を減らす作用をあらわす。
LDLコレステロールは、
血液中でアテローム(プラーク)の原因となり動脈硬化を早めるため、
本剤はLDLコレステロールを低下させる作用などにより
動脈硬化に関連する脳梗塞や心筋梗塞などの予防目的としても使用される。
本剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は
その成分名から「スタチン(またはスタチン系薬など)」とも呼ばれ、
主にLDLコレステロール低下の度合いによって
スタンダードスタチンとストロングスタチンに分けられる。
薬剤の効果に関しては用量や個々の体質などによっても異なるが
LDLコレステロールの低下度合いにおいて、
一般的にスタンダードスタチンでは15%前後下げる効果が期待できるとされ、
ストロングスタチンでは30%前後下げる効果が期待できるとされていて、
病態などに合わせて適切な薬剤が選択される。
【参考文献】
m3.comの特集「平成の医療史30年」軸丸靖子 2019年5月31日
参考)
遠藤章「新薬スタチンの発見―コレステロールに挑む」岩波書店、2006
山内喜美子「世界で一番売れている薬」小学館、2007
遠藤章ウェブサイト http://endoakira.com/
ラインハート・レンネバーグ「カラー図解EURO版バイオテクノロジーの教科書(下)」講談社、2014
遠藤章氏、開発までの道のり
過去30年間に世界で最も多くの患者に使われ、
最も多くの人々の健康寿命を延ばしてきた薬といえば、
スタチンをおいて他にないだろう。
冠動脈疾患の予防と治療に革命を起こした薬
スタチンとは、
低密度リポプロテイン(LDL)コレステロールの血中濃度を
強力に低下させる作用を持つ、HMG-CoA還元酵素阻害薬※1の総称だ。
安全性と有効性に優れ、
冠動脈疾患の予防と治療に文字通りの“革命”を起こした。
欧米の医学の教科書には現在も、
「米国で1994-2004年に冠動脈疾患による死亡率が33%減ったのは
遠藤博士が発見したスタチンのおかげと言って良い」
と、顔写真入りで紹介されている
(ラインハート・レンネバーグ著『カラー図解EURO版バイオテクノロジーの教科書(下)』講談社)。
遠藤氏はこの功績で、ラスカー賞やガードナー国際賞、日本国際賞など数々の賞を受けた。
スタチンが医薬品として世に登場したのは、平成の始まりとほぼ同時だった。
これまでに何百万人、何千万人もの命を救い、
これからも救い続けるスタチンの”誕生物語”だ。
企業研究者として遠藤氏がスタチンの開発に関わったのは、
最初の臨床試験が行われたところまでだ。
そこから先、メガドラッグ誕生までの製薬会社同士の攻防や、
「コレステロールを下げることで死亡率が下がるのか」
という“コレステロール論争”も興味深い医療史ではあるが、
ここでは場面を絞り、令和世代に通じる医薬品研究のカギとなるエピソードを拾う。
カビとキノコからヒトに役立つものを
1933年(昭和8年)に秋田県下郷村
(現・同県由利本荘市東由利)で生まれた遠藤氏は、
病気やケガの治療に長けた祖父、
農業技術に長けた父の影響を受けて育った。
近くの山で食用に採ってくるキノコに興味を持ち、
高校時代にはハエトリシメジは
なぜハエを殺すのに
ヒトには無害でおいしいのかを、
実験で明らかにした。
進学した東北大学農学部では、
青カビからペニシリンを発見した
細菌学者アレクサンダー・フレミングの伝記に夢中になった。
「応用微生物学」との出合いだ。
カビとキノコの研究ができる環境を求めた遠藤氏は
1957年(昭和32年)、三共(現・第一三共)に入社する。
翌年には、果汁と果実酒の清澄化に用いる
ペクチン分解酵素「ペクチナーゼ」を大量生産するカビを発見し、
製造工程の合理化に成功した
(「スクラーゼS」の商品名で1959年製品化)。
遠藤氏はその後の数年間、ペクチナーゼ研究に専念し、
東北大学で農学博士の学位を授与された。
新製品を生み出し会社に貢献したことで、
2年間の海外留学に行けることになった遠藤氏は、
「脂質」を研究テーマに選び、
米アインシュタイン医科大学分子生物学科にポスドクとして留学した。
当時の米国では、心筋梗塞による死亡が死因のトップだった。
脂っこく量の多い食事を背景とする
肥満と高脂血症(脂質異常症)が危険因子となっていたが、
コレステロールと中性脂肪を下げる有効な薬はまだなかった。
1950年代に開発されたコレステロール合成阻害薬が
副作用のため販売中止・回収され、
「コレステロール合成阻害薬は危険だ」
という認識があった上に、
60年代末までに開発された複数の脂質低下薬も副作用が深刻であったり、
効果が不十分であったりして、広く使える薬になっていなかった。
必要なのは、安全かつ強力に、血中脂質の濃度を低下させる薬だ。
留学先では基礎研究に従事していた遠藤氏だったが、
コレステロール低下薬の開発というテーマに出合い、
世界の研究動向にアンテナを張るようになった。
カビとキノコに懸けた
HMG-CoA還元酵素が
コレステロール生合成の律速酵素であることは、
遠藤氏が留学中に解明された。
HMG-CoA還元酵素を阻害する物質があれば、
血中のコレステロール値は下げられる。
その物質は微生物の中にあるのではないか。
帰国した遠藤氏がHMG-CoA還元酵素阻害物質の探索研究を開始したのは1971年(昭和46年)だ。
当時の微生物探索研究の主流は放線菌で、
ストレプトマイシンなど数百の抗生物質が発見されていたが、
遠藤氏は食品に使われたことのない放線菌を避け、カビとキノコに懸けた。
探索研究には2年と期限を定めた。
その2年間に調べた菌類は約6000。
途中、京都市内の米穀店の白米から分離された
青カビ(Pen-51)の培養液から
活性物質ML-236Bを抽出・精製した。
ML-236Bのコレステロール合成阻害活性は非常に高く、
かつ分子構造がHMG-CoA還元酵素反応生成物メバロン酸(メバロネート)と似ているという、
理想的な物質だった。
「ラットに効かないものは…」常識の方を疑い覆す
そこから先には、何重もの壁が立ちはだかった。
試験管の中では強力なコレステロール低下作用を発揮したML-236Bだったが、
若い健常ラットに投与したところ、薬効が全く認められなかった。
この結果を受けて、会社は開発打ち切りを決定した。
しかし、「ラットに効かないものはヒトにも効かない」
という常識の方を疑った遠藤氏は、
コレステロール値の高い動物と人間には効くのではないかと考えた。
そこで、社内でメンドリを使った別の実験を行っている獣医師との共同研究を設定。
もともと血中コレステロールが高いメンドリでは、
ML-236Bを投与すると血中コレステロールが40%以上も下がることを確認した。
コレステロール低下作用はビーグル犬でも認められ、
ML-236Bの開発プロジェクトが再始動した。
その間に、英ビーチャム社が抗菌薬探索の過程でML-236Bと同一物質を発見し、
「コンパクチン」と命名していたが、
ラットに効かないことを理由に、開発を断念していた。
ML-236B、コンパクチンともに一般名はメバスタチンだが、
コンパクチンと呼ばれることが多い
秘密裏に行われた世界初の治験
遠藤氏がML-236B(以下コンパクチン)を発見したのと同じ1973年(昭和48年)、
「家族性高コレステロール血症(FH)のうち、
ホモFHの成因はHMG-CoA還元酵素の制御機構の破綻にある」
とする知見が米国で発表された。
のちにノーベル医学・生理賞を受賞する、
マイケル・S・ブラウン氏とジョセフ・L・ゴールドスタイン氏の研究だ。
この論文を読んだ遠藤氏は両氏に連絡。
FHホモ接合体細胞と健常人の培養細胞を分けてもらい、
コンパクチンの作用を検討する実験を1976年(昭和51年)から始めた。
その結果、いずれの細胞でもコンパクチンがコレステロールの合成を50%阻害すること、
コンパクチンの細胞毒性が極めて低いことを確認した。
コレステロール合成を50%阻害するのに用いた
濃度の125倍まで引き上げて初めて細胞毒性が現れたが、
その濃度でもメバロン酸を同時に投与すると毒性は消失することも確認できた。
コンパクチンによるFH治療の可能性が
専門家に知られ始めた
1977年(昭和52年)4月、
社内のラットを用いた安全性試験で、
コンパクチンによる肝毒性が確認され、
開発は再度の難局に立った。
翌月、ゴールドスタイン氏らから、
「FH重症患者の治療にコンパクチンを使いたい」
という依頼があったが、
国内で発見された物質を海外で最初に使うのは好ましくないという理由で許可されず、
コンパクチンが薬として世に出る可能性は消えかけた。
しかし同年8月、
大阪大学でFHの治療に当たっていた山本章氏から、
重症FH患者の治療にコンパクチンを使いたいという依頼が届く。
患者は当時18歳の女性で、血清コレステロール値が1000mg/dL(正常値≦120)を超え、
心筋梗塞を繰り返している状態だった。
会社側には秘密裏に、
大阪大学の臨床試験としてコンパクチンの投与が始まったのは1978年(昭和53年)2月。
投与2週間で総コレステロール値は20%低下した。
3週間目には横紋筋融解症の副作用が出現したが、
投薬を中止すると3-4日で症状は消失した。
山本氏は、1日500mgという当初の投与量を漸減し、
2例目への投与も開始して、
FH患者への安全な投与方法を探っていった。
この結果を受けて、
コンパクチンは再度、三共の開発品目に返り咲いた。
同年11月、慶應義塾大学の五島雄一郎教授を主任研究者とする
臨床試験(フェーズ1)がスタートした。
世界で4000万人が毎日飲み続ける薬
遠藤氏が三共社員としてスタチンに関わったのは、ここまでだ。
コンパクチンが市場化への道に入ったのを見届けた遠藤氏は同社を退職。
1979年(昭和54年)1月、かねてからの希望通り、
東京農工大学の教員に転職した。
翌月には紅麹カビからコンパクチンよりメチル基が1個多い
新規物質「モナコリンK」(ロバスタチン)を発見し、
特許を三共に譲渡する。
同じ頃に米メルク社もモナコリンKを発見しており、両社の競争は激化した。
翌年、スタチンは市場化への道を再び断たれる。
イヌを使った長期毒性試験において、
超大量のコンパクチンを2年間投与した群でリンパ腫が認められ、
三共が開発を全面中止したのだ。
追ってメルクも開発を中止した。
しかし1981年(昭和56年)、金沢大学の馬淵宏氏が
重症FH患者7例への投与成績を
New England Journal of Medicine誌に発表したことで、
スタチンはまた息を吹き返した。
1987年(昭和62年)、米国で商業化スタチン第1号であるロバスタチンが承認された。
追って1989年(平成元年)、三共がプラバスタチンの販売を開始した。
スタチン市場の売上のピークは2005年で、
先発スタチン製剤の売上合計は年間約3兆円を記録した。
売上1位のアトルバスタチンは世界初の年商100億ドル医薬品となった。
パテントが切れて売上首位の座は譲ったものの、
スタチンを必要とする患者の数は変わらない。
現在、スタチンは100カ国以上で販売され、
約4000万人が毎日服用するという、
世界で最も使用される薬となっている。
※1 HMG-CoA還元酵素阻害剤
体内では主に肝臓においてコレステロール合成が行われており、
コレステロールが合成される過程で必要な
HMG-CoA還元酵素(3-Hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme-A reductase)という物質がある。
肝臓で作られたコレステロールは各組織に移行したり、胆汁酸として排泄される。
本剤は肝臓においてHMG-CoA還元酵素を阻害し、
コレステロール合成を抑えることで、
血液中のコレステロール(主にLDLコレステロール)を減らす作用をあらわす。
LDLコレステロールは、
血液中でアテローム(プラーク)の原因となり動脈硬化を早めるため、
本剤はLDLコレステロールを低下させる作用などにより
動脈硬化に関連する脳梗塞や心筋梗塞などの予防目的としても使用される。
本剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は
その成分名から「スタチン(またはスタチン系薬など)」とも呼ばれ、
主にLDLコレステロール低下の度合いによって
スタンダードスタチンとストロングスタチンに分けられる。
薬剤の効果に関しては用量や個々の体質などによっても異なるが
LDLコレステロールの低下度合いにおいて、
一般的にスタンダードスタチンでは15%前後下げる効果が期待できるとされ、
ストロングスタチンでは30%前後下げる効果が期待できるとされていて、
病態などに合わせて適切な薬剤が選択される。
【参考文献】
m3.comの特集「平成の医療史30年」軸丸靖子 2019年5月31日
参考)
遠藤章「新薬スタチンの発見―コレステロールに挑む」岩波書店、2006
山内喜美子「世界で一番売れている薬」小学館、2007
遠藤章ウェブサイト http://endoakira.com/
ラインハート・レンネバーグ「カラー図解EURO版バイオテクノロジーの教科書(下)」講談社、2014
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2019年07月26日
自分の舌が"濃い味中毒か"を検証する方法 「経口補水液」を1本用意する
減塩の必要性、OS-1キャップ1杯で塩味を検出できる舌かどうかがわかります!
自分の舌が"濃い味中毒か"を検証する方法
「経口補水液」を1本用意する
自分の舌がはたして濃い味好きか、薄味好きかを判断する方法をご紹介しましょう。
経口補水液を1本、用意してください。
所ジョージさんが宣伝している「OS-1」というのが有名ですね。
暑いときや熱を出したときにお世話になったという人もいるでしょう。
キャップに1杯、経口補水液を入れ、コップなどに移してください。
次に、キャップに同量の水を注ぎ、
先ほどの経口補水液が入ったコップに、
水を足してください。
要するに、”倍希釈”
経口補水液を同量の水で割るということです。
それを飲んでみてください。
塩味を感じたでしょうか?
しょっぱいと感じた人は、薄味の舌です。
「ちょっとしょっぱいかな」
というくらいでしたら、ふつう。
全然塩味が感じられないという人は、
濃い味好きで確定です。
塩味が感じられなかった人はちょっとショックだったかもしれません。
しかし、これまで濃い味が好きだったからといって、
もう手遅れだと悲観しないでください。
少しの間だけ辛抱して減塩生活を続けていれば、
舌はだんだんと薄味に慣れてくれます。
1週間がんばると「薄味」に慣れます。
しょっぱいものを食べた後に喉が渇く理由
なぜ減塩が推奨されているのでしょうか。
減塩が推奨されるのは、塩分と血圧に密接な関係があるからです。
体には、血液中の塩分濃度を常に一定に保とうとする働きがあります。
そのため、食事によって大量の塩分が入り、血液中の塩分濃度が上がると、
体は血管に水分を送って塩分濃度をもとに戻そうとします。
しょっぱいものを食べたあとに喉が渇くのは、
中枢神経が働いて水分を摂るように促すからです。
血液中の水分が増えるということは、すなわち血液の量も増えるということ。
心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返して
血液を体内に循環させますが、
増えた血液量を送り出すために
より強い力が必要となります。
これが、血圧が上昇するメカニズムです。
心臓がぎゅっと縮んで血液を送り出すときにかかる圧力の最高値は、
「最高血圧」または「収縮期血圧」と言います。
一方、心臓が広がって血液が戻ってくるときの圧力の最低値は
「最低血圧」または「拡張期血圧」と言います。
診察室で、高血圧と診断されるのは、
最高血圧が140mmHg以上、もしくは最低血圧が90mmHg以上の状態が続くとき。
高血圧とは、一時的な血圧の上昇ではなく、血圧が上がった状態が続くことを指します。
心筋梗塞や脳梗塞、脳出血につながる
強い圧力がかかり続けると、
心臓の負担が大きくなるのはもちろんのこと、
血管にもダメージを与えます。
血管は本来、弾力性があるものですが、
圧力に対抗しようと徐々に厚く、硬くなっていきます。
いわゆる動脈硬化です。
動脈硬化が進み、血液の流れが悪くなったり、
血管が詰まったりすると、さまざまな病気を引き起こします。
また、血管の柔軟性が奪われ、
血管が破裂する場合もあります。
心筋梗塞などの心疾患や、
脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などの脳卒中。
それに腎不全、大動脈瘤、大動脈解離などのリスクも
動脈硬化によって高まります。
平成28(2016)年の人口動態統計によると、
日本人の死亡原因は、
1位が悪性新生物(ガン)で、全体に占める割合は28.5%。
そして2位が心疾患、
3位が肺炎、
4位が脳血管疾患(脳卒中)、
5位が老衰と続きます。
3位の肺炎と5位の老衰は、高齢化社会を反映した結果と言えるでしょう。
高血圧と密接に関係するのは、2位の心疾患と4位の脳血管疾患。
さらに腎不全、大動脈瘤及び解離の割合を足すと26.8%になり、
1位のガンに迫るほどです。
高血圧が怖いのは、
こうした病を引き起こすリスクを高めるだけでなく、
自覚症状がない点です。
血圧が高い状態が続いて、知らないうちに動脈硬化が進んでしまい、
突然大きな病となって襲ってくる。
そうした可能性があることから、
「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」
と呼ばれることもあります。
切除不能ガンはいずれ命を取られますが、亡くなるまで数ヶ月から数年の死に向けての”準備期間”があります。
しかし、脳卒中や心筋梗塞は、
下手をすると、その瞬間、あの世に行ってしまう可能性があります。
脳卒中の場合は、片方の顔面、手足に麻痺が残り、
呂律が回らない、言葉がでない、計算ができない、
注意力落ち、集中ができないなどの
大きな障害を残し、
働けなくなる可能性もあります。
薦められる1日の食塩の量は6〜8gです。
味がついた食事を食べていれば、「塩分不足はなく」、
提供された食事に、ソースや醤油、塩を足さなくするだけでも効果があります。
実際に減塩による降圧効果はどのくらい期待できるのでしょうか
減塩による血圧の下がり具合には個人差があります。
一般に、食塩を1日1.0グラム減らすと(OS-1を1本飲むと塩を1.5g摂取することになります!)、
高血圧の人なら最高血圧は1mmHgくらい、
最低血圧は0.5mmHgくらい平均して下がるとされています。
正常血圧の人の場合は、その半分くらい下がることがわかっています。
『参考文献』
濱裕宣・赤石定典『はじめての減塩』(幻冬舎)
病院の入院患者さんたちを見てきた経験上、その期間はだいたい1週間です。
入院直後に「こんな味のないまずいもの、食えないよ」
と不満をもらす患者さんはたくさんいますが、
1週間ほど経ってみると
「これまで自分の舌がおかしかった。今じゃおいしく食べているよ」
なんて言うようになるケースが少なからずあります。
1週間なら、ちょっとがんばってみようかなという気にもなるのではないでしょうか。
ひとたび薄味に慣れると、
今度は外食がとても濃い味に感じるようになります。
なかには「退院したら、しょっぱすぎて外食ができなくなった」
という極端な人もいます。
要するに大切なのは、「濃い味に舌を慣れさせないこと」。
今からでも舌は薄味に反応してくれるようになりますから、
まずは1週間、減塩生活を続けてみましょう。
濱裕宣(はま・ひろのぶ)
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 課長
管理栄養士。1988年佐伯栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属第三病院栄養部入職。
分院を経て、2013年附属病院へ異動、現在に至る。
赤石定典(あかいし・さだのり)
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 係長
管理栄養士。1991年華学園栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部入職。
分院を経て、2014年附属病院へ異動、現在に至る。
自分の舌が"濃い味中毒か"を検証する方法
「経口補水液」を1本用意する
自分の舌がはたして濃い味好きか、薄味好きかを判断する方法をご紹介しましょう。
経口補水液を1本、用意してください。
所ジョージさんが宣伝している「OS-1」というのが有名ですね。
暑いときや熱を出したときにお世話になったという人もいるでしょう。
キャップに1杯、経口補水液を入れ、コップなどに移してください。
次に、キャップに同量の水を注ぎ、
先ほどの経口補水液が入ったコップに、
水を足してください。
要するに、”倍希釈”
経口補水液を同量の水で割るということです。
それを飲んでみてください。
塩味を感じたでしょうか?
しょっぱいと感じた人は、薄味の舌です。
「ちょっとしょっぱいかな」
というくらいでしたら、ふつう。
全然塩味が感じられないという人は、
濃い味好きで確定です。
塩味が感じられなかった人はちょっとショックだったかもしれません。
しかし、これまで濃い味が好きだったからといって、
もう手遅れだと悲観しないでください。
少しの間だけ辛抱して減塩生活を続けていれば、
舌はだんだんと薄味に慣れてくれます。
1週間がんばると「薄味」に慣れます。
しょっぱいものを食べた後に喉が渇く理由
なぜ減塩が推奨されているのでしょうか。
減塩が推奨されるのは、塩分と血圧に密接な関係があるからです。
体には、血液中の塩分濃度を常に一定に保とうとする働きがあります。
そのため、食事によって大量の塩分が入り、血液中の塩分濃度が上がると、
体は血管に水分を送って塩分濃度をもとに戻そうとします。
しょっぱいものを食べたあとに喉が渇くのは、
中枢神経が働いて水分を摂るように促すからです。
血液中の水分が増えるということは、すなわち血液の量も増えるということ。
心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返して
血液を体内に循環させますが、
増えた血液量を送り出すために
より強い力が必要となります。
これが、血圧が上昇するメカニズムです。
心臓がぎゅっと縮んで血液を送り出すときにかかる圧力の最高値は、
「最高血圧」または「収縮期血圧」と言います。
一方、心臓が広がって血液が戻ってくるときの圧力の最低値は
「最低血圧」または「拡張期血圧」と言います。
診察室で、高血圧と診断されるのは、
最高血圧が140mmHg以上、もしくは最低血圧が90mmHg以上の状態が続くとき。
高血圧とは、一時的な血圧の上昇ではなく、血圧が上がった状態が続くことを指します。
心筋梗塞や脳梗塞、脳出血につながる
強い圧力がかかり続けると、
心臓の負担が大きくなるのはもちろんのこと、
血管にもダメージを与えます。
血管は本来、弾力性があるものですが、
圧力に対抗しようと徐々に厚く、硬くなっていきます。
いわゆる動脈硬化です。
動脈硬化が進み、血液の流れが悪くなったり、
血管が詰まったりすると、さまざまな病気を引き起こします。
また、血管の柔軟性が奪われ、
血管が破裂する場合もあります。
心筋梗塞などの心疾患や、
脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などの脳卒中。
それに腎不全、大動脈瘤、大動脈解離などのリスクも
動脈硬化によって高まります。
平成28(2016)年の人口動態統計によると、
日本人の死亡原因は、
1位が悪性新生物(ガン)で、全体に占める割合は28.5%。
そして2位が心疾患、
3位が肺炎、
4位が脳血管疾患(脳卒中)、
5位が老衰と続きます。
3位の肺炎と5位の老衰は、高齢化社会を反映した結果と言えるでしょう。
高血圧と密接に関係するのは、2位の心疾患と4位の脳血管疾患。
さらに腎不全、大動脈瘤及び解離の割合を足すと26.8%になり、
1位のガンに迫るほどです。
高血圧が怖いのは、
こうした病を引き起こすリスクを高めるだけでなく、
自覚症状がない点です。
血圧が高い状態が続いて、知らないうちに動脈硬化が進んでしまい、
突然大きな病となって襲ってくる。
そうした可能性があることから、
「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」
と呼ばれることもあります。
切除不能ガンはいずれ命を取られますが、亡くなるまで数ヶ月から数年の死に向けての”準備期間”があります。
しかし、脳卒中や心筋梗塞は、
下手をすると、その瞬間、あの世に行ってしまう可能性があります。
脳卒中の場合は、片方の顔面、手足に麻痺が残り、
呂律が回らない、言葉がでない、計算ができない、
注意力落ち、集中ができないなどの
大きな障害を残し、
働けなくなる可能性もあります。
薦められる1日の食塩の量は6〜8gです。
味がついた食事を食べていれば、「塩分不足はなく」、
提供された食事に、ソースや醤油、塩を足さなくするだけでも効果があります。
実際に減塩による降圧効果はどのくらい期待できるのでしょうか
減塩による血圧の下がり具合には個人差があります。
一般に、食塩を1日1.0グラム減らすと(OS-1を1本飲むと塩を1.5g摂取することになります!)、
高血圧の人なら最高血圧は1mmHgくらい、
最低血圧は0.5mmHgくらい平均して下がるとされています。
正常血圧の人の場合は、その半分くらい下がることがわかっています。
『参考文献』
濱裕宣・赤石定典『はじめての減塩』(幻冬舎)
病院の入院患者さんたちを見てきた経験上、その期間はだいたい1週間です。
入院直後に「こんな味のないまずいもの、食えないよ」
と不満をもらす患者さんはたくさんいますが、
1週間ほど経ってみると
「これまで自分の舌がおかしかった。今じゃおいしく食べているよ」
なんて言うようになるケースが少なからずあります。
1週間なら、ちょっとがんばってみようかなという気にもなるのではないでしょうか。
ひとたび薄味に慣れると、
今度は外食がとても濃い味に感じるようになります。
なかには「退院したら、しょっぱすぎて外食ができなくなった」
という極端な人もいます。
要するに大切なのは、「濃い味に舌を慣れさせないこと」。
今からでも舌は薄味に反応してくれるようになりますから、
まずは1週間、減塩生活を続けてみましょう。
濱裕宣(はま・ひろのぶ)
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 課長
管理栄養士。1988年佐伯栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属第三病院栄養部入職。
分院を経て、2013年附属病院へ異動、現在に至る。
赤石定典(あかいし・さだのり)
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 係長
管理栄養士。1991年華学園栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部入職。
分院を経て、2014年附属病院へ異動、現在に至る。
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2019年07月25日
1日1杯でも効果、コーヒーが死亡率を改善〜高山スタディ
(高山では、1杯でもコーヒーは絶大な効果!)
1日1杯でも効果、コーヒーが死亡率を改善〜高山スタディ
提供元:ケアネット 公開日:2019/06/04
これまでの疫学研究では、
コーヒー摂取と全死因死亡ならびに疾患特異的死亡は逆相関する、
(コーヒーをたくさん飲んでいる人のほうが長生きする)
と言われている。
今回、岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の山川 路代氏らが、
岐阜県高山市で実施された高山スタディにおいて、
コーヒー1日1杯以上の摂取が
全死因死亡および心血管疾患、感染症、消化器疾患による死亡と
逆相関することを明らかにした。
Public Health Nutrition誌オンライン版2019年5月20日号掲載の報告。
著者らは、集団ベース前向きコホート研究である高山スタディにおいて、
1992年のベースライン時点で、
がん、冠動脈疾患、脳卒中の既往がない35歳以上の住民2万9,079人を対象とし、
2008年まで追跡した。
本研究は、コーヒー摂取と全死因死亡ならびに疾患特異的死亡の関連を
食事や生活習慣の因子で調整し、
Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
また、コーヒー摂取量を含む食事摂取量は
食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用い、
ベースライン調査時のみ評価した。
主な結果は以下のとおり。
・平均追跡期間は14.1年であった。
・41万352人年が解析に含まれ、5,339例が死亡した。
・コーヒー摂取は全対象者の全死因死亡および心血管疾患による死亡と逆相関していたが、
がんによる相関はなかった。
・まったく飲まない人の全死因死亡と比較した場合、
多変量ハザード比(HR)は、
1杯未満/日は0.93(95%信頼区間[CI]:0.86〜1.00)、
1杯/日は0.84(95%CI:0.76〜0.93)、
2〜3杯/日は0.81(95%CI:0.71〜0.92)であった。
・心血管死で調整したHRは、
それぞれ0.87(95%CI:0.77〜0.99)、
0.76(95%CI:0.63〜0.92)、
0.67(95%CI:0.50〜0.89)であった。
・ほかの原因による死亡でも逆相関がみられ、
とくに感染症や消化器疾患による死亡でみられた。
(ケアネット 杉崎 真名)
原著論文はこちら
Michiyo Y, et al. Public Health Nutr. 2019 May 20:1-8. [Epub ahead of print]
1日1杯でも効果、コーヒーが死亡率を改善〜高山スタディ
提供元:ケアネット 公開日:2019/06/04
これまでの疫学研究では、
コーヒー摂取と全死因死亡ならびに疾患特異的死亡は逆相関する、
(コーヒーをたくさん飲んでいる人のほうが長生きする)
と言われている。
今回、岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の山川 路代氏らが、
岐阜県高山市で実施された高山スタディにおいて、
コーヒー1日1杯以上の摂取が
全死因死亡および心血管疾患、感染症、消化器疾患による死亡と
逆相関することを明らかにした。
Public Health Nutrition誌オンライン版2019年5月20日号掲載の報告。
著者らは、集団ベース前向きコホート研究である高山スタディにおいて、
1992年のベースライン時点で、
がん、冠動脈疾患、脳卒中の既往がない35歳以上の住民2万9,079人を対象とし、
2008年まで追跡した。
本研究は、コーヒー摂取と全死因死亡ならびに疾患特異的死亡の関連を
食事や生活習慣の因子で調整し、
Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
また、コーヒー摂取量を含む食事摂取量は
食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用い、
ベースライン調査時のみ評価した。
主な結果は以下のとおり。
・平均追跡期間は14.1年であった。
・41万352人年が解析に含まれ、5,339例が死亡した。
・コーヒー摂取は全対象者の全死因死亡および心血管疾患による死亡と逆相関していたが、
がんによる相関はなかった。
・まったく飲まない人の全死因死亡と比較した場合、
多変量ハザード比(HR)は、
1杯未満/日は0.93(95%信頼区間[CI]:0.86〜1.00)、
1杯/日は0.84(95%CI:0.76〜0.93)、
2〜3杯/日は0.81(95%CI:0.71〜0.92)であった。
・心血管死で調整したHRは、
それぞれ0.87(95%CI:0.77〜0.99)、
0.76(95%CI:0.63〜0.92)、
0.67(95%CI:0.50〜0.89)であった。
・ほかの原因による死亡でも逆相関がみられ、
とくに感染症や消化器疾患による死亡でみられた。
(ケアネット 杉崎 真名)
原著論文はこちら
Michiyo Y, et al. Public Health Nutr. 2019 May 20:1-8. [Epub ahead of print]
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2019年07月24日
発酵食品の摂取頻度が高いほど早期早産になりにくい?―富山大調査
(味噌汁を週1日以上飲んでいた人は早期早産リスクが低かったー腸内細菌のおかげ?)
発酵食品の摂取頻度が高いほど早期早産になりにくい?―富山大調査
提供元:HealthDay News 公開日:2019/06/04
早産リスクの低い日本人女性は、
妊娠前に味噌汁やヨーグルト、納豆などの
『発酵食品を食べる頻度が高い』と
妊娠34週未満の『早期早産になりにくい』
可能性があることが、
富山大学附属病院産科婦人科の伊藤実香氏らの研究で明らかになった。
研究は、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の一環で、
特に、妊娠前に味噌汁を週に1日以上飲んでいた女性で
早期早産のリスクが低い傾向がみられたという。
詳細は「Environmental Health and Preventive Medicine」5月1日オンライン版に掲載された。
2010年度に開始された大規模な出生コホート研究であるエコチル調査では、
さまざまな環境因子が子どもの健康に及ぼす影響を検討している。
これまで欧米の研究では、
プロバイオティクスとも呼ばれるヨーグルトを摂取すると
早産リスクが低減する可能性が示されていた。
伊藤氏らは今回、エコチル調査に参加し、
早産歴や妊娠高血圧症候群、
前置胎盤など早産のリスク因子がない妊婦7万7,667人を対象に、
妊娠前の発酵食品(味噌汁、ヨーグルト、チーズおよび納豆)の摂取頻度と
妊娠34週未満の「早期早産」リスクとの関連について調べた。
発酵食品の摂取頻度は半定量食物摂取頻度調査票の結果から評価した。
その結果、妊娠前に味噌汁を週1日以上飲んでいた人は、
ほとんど飲まない人(週1日以下)に比べて
早期早産リスクが有意に低いことが分かった
〔オッズ比は、味噌汁を飲む頻度が週1〜2日の人では0.58(95%信頼区間0.40〜0.85)、
週3〜4日の人では0.69(同0.49〜0.98)、
週5日以上の人では0.62(同0.44〜0.87)〕。
また、妊娠前にヨーグルトを週5回以上食べていた人は、
ほとんど食べない人(週1回以下)に比べて
早産リスクが有意に低かった
(オッズ比0.62、95%信頼区間0.44〜0.87)。
さらに、妊娠前に納豆を週3回以上食べていた人では、
ほとんど食べない人(週1回以下)に比べて
早産リスクが有意に低いことも明らかになった(同0.60、0.43〜0.84)。
一方で、早産全体のリスクと妊娠34〜36週の「後期早産」リスクについては、
発酵食品を食べる頻度との間に関連は認められなかった。
伊藤氏らの研究グループはこれまで、
早産となった女性とそうではない女性とでは腸内細菌の組成が異なることを報告している。
今回の結果から、同氏らは「妊娠前に味噌汁やヨーグルト、納豆を食べる
ことを心掛けていた女性は、
早期早産リスクが低いことが分かった。
特に味噌汁を週に1日以上飲み続けている女性で、
そのリスクは低い傾向がみられた」と結論づけている。
ただし、発酵食品の摂取量が多いほど早期早産リスクはより低下するわけではなく、
また、出産後にこれらの食品を多く食べても切迫早産の治療にはならないとしている。
[2019年5月20日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.
原著論文はこちら
Ito M, et al. Environ Health Prev Med. 2019 May 1. [Epub ahead of print]
発酵食品の摂取頻度が高いほど早期早産になりにくい?―富山大調査
提供元:HealthDay News 公開日:2019/06/04
早産リスクの低い日本人女性は、
妊娠前に味噌汁やヨーグルト、納豆などの
『発酵食品を食べる頻度が高い』と
妊娠34週未満の『早期早産になりにくい』
可能性があることが、
富山大学附属病院産科婦人科の伊藤実香氏らの研究で明らかになった。
研究は、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の一環で、
特に、妊娠前に味噌汁を週に1日以上飲んでいた女性で
早期早産のリスクが低い傾向がみられたという。
詳細は「Environmental Health and Preventive Medicine」5月1日オンライン版に掲載された。
2010年度に開始された大規模な出生コホート研究であるエコチル調査では、
さまざまな環境因子が子どもの健康に及ぼす影響を検討している。
これまで欧米の研究では、
プロバイオティクスとも呼ばれるヨーグルトを摂取すると
早産リスクが低減する可能性が示されていた。
伊藤氏らは今回、エコチル調査に参加し、
早産歴や妊娠高血圧症候群、
前置胎盤など早産のリスク因子がない妊婦7万7,667人を対象に、
妊娠前の発酵食品(味噌汁、ヨーグルト、チーズおよび納豆)の摂取頻度と
妊娠34週未満の「早期早産」リスクとの関連について調べた。
発酵食品の摂取頻度は半定量食物摂取頻度調査票の結果から評価した。
その結果、妊娠前に味噌汁を週1日以上飲んでいた人は、
ほとんど飲まない人(週1日以下)に比べて
早期早産リスクが有意に低いことが分かった
〔オッズ比は、味噌汁を飲む頻度が週1〜2日の人では0.58(95%信頼区間0.40〜0.85)、
週3〜4日の人では0.69(同0.49〜0.98)、
週5日以上の人では0.62(同0.44〜0.87)〕。
また、妊娠前にヨーグルトを週5回以上食べていた人は、
ほとんど食べない人(週1回以下)に比べて
早産リスクが有意に低かった
(オッズ比0.62、95%信頼区間0.44〜0.87)。
さらに、妊娠前に納豆を週3回以上食べていた人では、
ほとんど食べない人(週1回以下)に比べて
早産リスクが有意に低いことも明らかになった(同0.60、0.43〜0.84)。
一方で、早産全体のリスクと妊娠34〜36週の「後期早産」リスクについては、
発酵食品を食べる頻度との間に関連は認められなかった。
伊藤氏らの研究グループはこれまで、
早産となった女性とそうではない女性とでは腸内細菌の組成が異なることを報告している。
今回の結果から、同氏らは「妊娠前に味噌汁やヨーグルト、納豆を食べる
ことを心掛けていた女性は、
早期早産リスクが低いことが分かった。
特に味噌汁を週に1日以上飲み続けている女性で、
そのリスクは低い傾向がみられた」と結論づけている。
ただし、発酵食品の摂取量が多いほど早期早産リスクはより低下するわけではなく、
また、出産後にこれらの食品を多く食べても切迫早産の治療にはならないとしている。
[2019年5月20日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.
原著論文はこちら
Ito M, et al. Environ Health Prev Med. 2019 May 1. [Epub ahead of print]
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2019年07月23日
糖尿病性腎臓病の原因物質「フェニル硫酸」を同定 ―腸内細菌の酵素が新たな治療標的となる可能性、東北大
(糖尿病性腎臓病の原因が、腸内細菌が出すフェニル硫酸という物質で、
腸内環境を変えるか
フェニル硫酸を作り出す酵素を阻害する治療が考えられているー初耳
糖尿病患者だけではなく、慢性腎臓病を抱えている人全般に広がり、
また予防医学にも取り入れられるよう予感がする)
糖尿病性腎臓病の原因物質「フェニル硫酸」を同定
―腸内細菌の酵素が新たな治療標的となる可能性、東北大
提供元:HealthDay News 公開日:2019/05/30
糖尿病に起因する腎臓病(糖尿病性腎臓病;DKD)は、
腸内細菌が産生に関与する
「フェニル硫酸」と呼ばれる代謝物が原因物質の一つであり、
腎症増悪の予測因子でもあり得ることを、
東北大学大学院病態液性制御学分野教授の
阿部高明氏らの研究グループが動物実験と臨床研究で突き止めた。
フェニル硫酸をマーカーとして測定し、
その値が高い患者には、
腸内細菌の酵素の働きを阻害する薬剤の使用や
腸内細菌叢のバランスコントロールが
DKDの新たな治療につながると期待されるという。
研究の詳細は「Nature Communications」4月23日オンライン版に掲載された。
日本国内の糖尿病患者は約1300万人に上ると推計される。
このうち約3割はDKD糖尿病性腎臓病を発症し、
末期腎不全に進行すると
透析治療や腎移植を必要とすることから、
予防策の確立が喫緊の課題とされている。
しかし、
推算糸球体濾過量(eGFR)や
尿中アルブミン
といった既存の検査項目では
DKDの発症や進展の予測は難しいのが現状だ。
そこで、阿部氏らはまず、
ヒト腎臓のみに存在し
老廃物を尿中に排泄する役割を持つ
トランスポーターSLCO4C1が働くように
遺伝子改変したラットを用いて、
DKD糖尿病性腎臓病を発症すると蓄積し、
SLCO4C1で排泄させると進行を抑えられる
代謝物を探索する実験を行った。
その結果、糖尿病を誘発した野生型ラットでは血中濃度が上昇する一方、
遺伝子改変ラットではその濃度が低下する代謝物として
フェニル硫酸
を同定した。
このフェニル硫酸をさまざまなDKD糖尿病性腎臓病モデルマウスに経口投与した結果、
全てのモデルマウスで糸球体のバリアの働きをする細胞である
ポドサイトや基底膜が障害され、
アルブミン尿が増加することが分かった。
次に、阿部氏らは
糖尿病患者362人を対象とした岡山大学の臨床コホート(U-CARE)データを用いて、
フェニル硫酸の血中濃度と臨床パラメーターとの関連を調べる追跡調査を実施した。
その結果、糖尿病患者ではフェニル硫酸の血中濃度が高く、
その値はアルブミン尿と有意に相関することが分かった。
さらに微量アルブミン尿期の患者87人を対象に分析したところ、
フェニル硫酸の血中濃度は腎機能や血糖値とは独立して、
2年後のアルブミン尿増悪の予測因子であることも明らかになった。
フェニル硫酸の産生に関与する腸内細菌のみが持つ
チロシン・フェノールリアーゼ(TPL)という酵素を
阻害する薬(TPL阻害薬)を
糖尿病モデルマウスに経口投与したところ、
モデルマウスのフェニル硫酸の血中濃度は低下し、
アルブミン尿が減少することが分かった。
さらに、腎不全マウスにTPL阻害剤を投与すると、
フェニル硫酸の血中濃度が下がるとともに
腎不全が改善した。
これらの結果を踏まえ、
阿部氏らは
「腸内細菌が産生に関与するフェニル硫酸は
DKD糖尿病性腎臓病の原因物質の一つであり、
かつ
増悪因子でもあることが示された」と結論。
その上で、「糖尿病患者ではフェニル硫酸を測定してみる必要があり、
その血中濃度が高い患者では、
フェニル硫酸の産生に関わる腸内細菌が持つTPL酵素を阻害することや、
プロバイオティクスなどの使用がDKD糖尿病性腎臓病だけでなく
腎不全の進行を抑制する新しい治療となる可能性がある」
と期待を示している。
[2019年5月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.
腸内環境を変えるか
フェニル硫酸を作り出す酵素を阻害する治療が考えられているー初耳
糖尿病患者だけではなく、慢性腎臓病を抱えている人全般に広がり、
また予防医学にも取り入れられるよう予感がする)
糖尿病性腎臓病の原因物質「フェニル硫酸」を同定
―腸内細菌の酵素が新たな治療標的となる可能性、東北大
提供元:HealthDay News 公開日:2019/05/30
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糖尿病に起因する腎臓病(糖尿病性腎臓病;DKD)は、
腸内細菌が産生に関与する
「フェニル硫酸」と呼ばれる代謝物が原因物質の一つであり、
腎症増悪の予測因子でもあり得ることを、
東北大学大学院病態液性制御学分野教授の
阿部高明氏らの研究グループが動物実験と臨床研究で突き止めた。
フェニル硫酸をマーカーとして測定し、
その値が高い患者には、
腸内細菌の酵素の働きを阻害する薬剤の使用や
腸内細菌叢のバランスコントロールが
DKDの新たな治療につながると期待されるという。
研究の詳細は「Nature Communications」4月23日オンライン版に掲載された。
日本国内の糖尿病患者は約1300万人に上ると推計される。
このうち約3割はDKD糖尿病性腎臓病を発症し、
末期腎不全に進行すると
透析治療や腎移植を必要とすることから、
予防策の確立が喫緊の課題とされている。
しかし、
推算糸球体濾過量(eGFR)や
尿中アルブミン
といった既存の検査項目では
DKDの発症や進展の予測は難しいのが現状だ。
そこで、阿部氏らはまず、
ヒト腎臓のみに存在し
老廃物を尿中に排泄する役割を持つ
トランスポーターSLCO4C1が働くように
遺伝子改変したラットを用いて、
DKD糖尿病性腎臓病を発症すると蓄積し、
SLCO4C1で排泄させると進行を抑えられる
代謝物を探索する実験を行った。
その結果、糖尿病を誘発した野生型ラットでは血中濃度が上昇する一方、
遺伝子改変ラットではその濃度が低下する代謝物として
フェニル硫酸
を同定した。
このフェニル硫酸をさまざまなDKD糖尿病性腎臓病モデルマウスに経口投与した結果、
全てのモデルマウスで糸球体のバリアの働きをする細胞である
ポドサイトや基底膜が障害され、
アルブミン尿が増加することが分かった。
次に、阿部氏らは
糖尿病患者362人を対象とした岡山大学の臨床コホート(U-CARE)データを用いて、
フェニル硫酸の血中濃度と臨床パラメーターとの関連を調べる追跡調査を実施した。
その結果、糖尿病患者ではフェニル硫酸の血中濃度が高く、
その値はアルブミン尿と有意に相関することが分かった。
さらに微量アルブミン尿期の患者87人を対象に分析したところ、
フェニル硫酸の血中濃度は腎機能や血糖値とは独立して、
2年後のアルブミン尿増悪の予測因子であることも明らかになった。
フェニル硫酸の産生に関与する腸内細菌のみが持つ
チロシン・フェノールリアーゼ(TPL)という酵素を
阻害する薬(TPL阻害薬)を
糖尿病モデルマウスに経口投与したところ、
モデルマウスのフェニル硫酸の血中濃度は低下し、
アルブミン尿が減少することが分かった。
さらに、腎不全マウスにTPL阻害剤を投与すると、
フェニル硫酸の血中濃度が下がるとともに
腎不全が改善した。
これらの結果を踏まえ、
阿部氏らは
「腸内細菌が産生に関与するフェニル硫酸は
DKD糖尿病性腎臓病の原因物質の一つであり、
かつ
増悪因子でもあることが示された」と結論。
その上で、「糖尿病患者ではフェニル硫酸を測定してみる必要があり、
その血中濃度が高い患者では、
フェニル硫酸の産生に関わる腸内細菌が持つTPL酵素を阻害することや、
プロバイオティクスなどの使用がDKD糖尿病性腎臓病だけでなく
腎不全の進行を抑制する新しい治療となる可能性がある」
と期待を示している。
[2019年5月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.