2019年07月31日
歯周病と循環器疾患の関連は?
歯周病と循環器疾患の関連は?
神奈川歯科大学大学院口腔統合医療学講座准教授の青山典生氏は、
これまでに自身が携わってきた歯周病と循環器疾患に関連についての研究を振り返り、
その成果について第62回春季日本歯周病学会(5月24〜25日)で報告した。
歯周病と全身との関連のメカニズムは明らかにされていない
歯周病と全身性疾患との関連については、
糖尿病、心疾患、脂質代謝異常、早産、骨粗鬆症
などがよく知られている。
青山氏は、主に歯周病と
心血管疾患についての研究を重ねてきた。
米国心臓協会(AHA)は2012年に
「歯周病が心血管疾患を
引き起こすという証拠は
ない」
とステートメントを
発表している。
しかしながら、
60歳未満で歯周病による歯槽骨の吸収が進行している患者群では、
そうでない患者群と比べて
心血管疾患の発症リスクが2.48倍とされ、
「歯周病と心血管疾患の直接的な因果関係は示されていないものの、
青山氏は、
歯周病と心疾患リスク上昇にはなんらかの関係があるのではないか」
と指摘した。
その裏付けとして、
アテローム性病変の血管では歯周病菌やその成分が多く検出されている
一方で、正常血管からは検出されていないことを挙げた。
歯周病の重症度が高いと
高感度C反応性蛋白(CRP)などの血中炎症マーカーの値が高く、
炎症を介した歯周病と心血管疾患の関係が示唆されている。
そこで、同氏はこれまでに
動物モデルを用いた歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究や
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究などを行ってきた。
歯の喪失に末梢血管疾患(PAD)や糖尿病が有意に関連
動物モデルを用いた
歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究において、
青山氏は腹部大動脈瘤誘導マウスを
ポルフィロモナス・ジンジバリス(PG)菌
および
嫌気性グラム陰性桿菌
に感染させて、
腹部大動脈瘤に与える影響を検討した。
その結果、PG菌を感染させた群では
大動脈瘤誘導4週間後に大動脈径の拡張が認められ、
またPG菌の有無別に比較したところ、
PG菌を感染させた群ではそうでない群と比較して
大動脈径の有意な拡張が認められ
(J Periodontal Res 2011; 46: 176-183)、
さらに、Toll様受容体2を介した経路が
歯周病菌に由来する血管拡張に関与していることを突き止めた。
PG菌など特定の歯周病原細菌感染が
各種循環器疾患の進行に影響を及ぼすことが示唆されたが、
菌種別に循環器疾患との関連を明らかにした報告はない。
そこで、東京医科歯科大学病院で
循環器疾患により加療中の1,000例(平均年齢64.5歳)を対象に、
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究を行った。
その結果、61〜70歳の患者群では、
非末梢血管疾患(PAD)患者(10.8本)と比べて
PAD患者(20.5本)で喪失歯数が有意に多く、
また肥満を補正した解析では、
同じ年齢層の非糖尿病患者と比べて
糖尿病患者で10本以上の歯の喪失リスクが有意に高かった
〔補正後のオッズ比 1.78(1.05〜3.07)、P=0.0337、
Intern Med 2018; 57: 777-782〕。
メディカルトリビューン 2019年06月11日 05:10
神奈川歯科大学大学院口腔統合医療学講座准教授の青山典生氏は、
これまでに自身が携わってきた歯周病と循環器疾患に関連についての研究を振り返り、
その成果について第62回春季日本歯周病学会(5月24〜25日)で報告した。
歯周病と全身との関連のメカニズムは明らかにされていない
歯周病と全身性疾患との関連については、
糖尿病、心疾患、脂質代謝異常、早産、骨粗鬆症
などがよく知られている。
青山氏は、主に歯周病と
心血管疾患についての研究を重ねてきた。
米国心臓協会(AHA)は2012年に
「歯周病が心血管疾患を
引き起こすという証拠は
ない」
とステートメントを
発表している。
しかしながら、
60歳未満で歯周病による歯槽骨の吸収が進行している患者群では、
そうでない患者群と比べて
心血管疾患の発症リスクが2.48倍とされ、
「歯周病と心血管疾患の直接的な因果関係は示されていないものの、
青山氏は、
歯周病と心疾患リスク上昇にはなんらかの関係があるのではないか」
と指摘した。
その裏付けとして、
アテローム性病変の血管では歯周病菌やその成分が多く検出されている
一方で、正常血管からは検出されていないことを挙げた。
歯周病の重症度が高いと
高感度C反応性蛋白(CRP)などの血中炎症マーカーの値が高く、
炎症を介した歯周病と心血管疾患の関係が示唆されている。
そこで、同氏はこれまでに
動物モデルを用いた歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究や
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究などを行ってきた。
歯の喪失に末梢血管疾患(PAD)や糖尿病が有意に関連
動物モデルを用いた
歯周病菌感染による循環器疾患の悪化に関する研究において、
青山氏は腹部大動脈瘤誘導マウスを
ポルフィロモナス・ジンジバリス(PG)菌
および
嫌気性グラム陰性桿菌
に感染させて、
腹部大動脈瘤に与える影響を検討した。
その結果、PG菌を感染させた群では
大動脈瘤誘導4週間後に大動脈径の拡張が認められ、
またPG菌の有無別に比較したところ、
PG菌を感染させた群ではそうでない群と比較して
大動脈径の有意な拡張が認められ
(J Periodontal Res 2011; 46: 176-183)、
さらに、Toll様受容体2を介した経路が
歯周病菌に由来する血管拡張に関与していることを突き止めた。
PG菌など特定の歯周病原細菌感染が
各種循環器疾患の進行に影響を及ぼすことが示唆されたが、
菌種別に循環器疾患との関連を明らかにした報告はない。
そこで、東京医科歯科大学病院で
循環器疾患により加療中の1,000例(平均年齢64.5歳)を対象に、
循環器疾患患者での歯周病評価を目的とした疫学研究を行った。
その結果、61〜70歳の患者群では、
非末梢血管疾患(PAD)患者(10.8本)と比べて
PAD患者(20.5本)で喪失歯数が有意に多く、
また肥満を補正した解析では、
同じ年齢層の非糖尿病患者と比べて
糖尿病患者で10本以上の歯の喪失リスクが有意に高かった
〔補正後のオッズ比 1.78(1.05〜3.07)、P=0.0337、
Intern Med 2018; 57: 777-782〕。
メディカルトリビューン 2019年06月11日 05:10
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