2019年07月28日
LDL-C値は低すぎても有害? 出血性脳卒中リスク増の可能性
(研究開始時1回のみ測定したLDL-C値、
スタチンの服用なしで、
2.7万人、平均19.3年の前向き追跡
有意な出血性脳卒中の発生頻度増加!
LDL−Cが70切れていると血管壁が脆弱になるという発表も出てきているが…
別のコホート結果が出てきてほしい
LDL−C高値は心筋梗塞、脳卒中の危険因子で、
心筋梗塞後でスタチン内服中の患者さんの
LDL−C目標値は70以下は変わりない)
LDL-C値は低すぎても有害?
出血性脳卒中リスク増の可能性
国際医学短信2019年4月30日 (火)配信
悪玉コレステロールと呼ばれるLDL-コレステロール(LDL-C)値は、
低いほど健康に良いと考えられているが、
過度に下げすぎてはいけないようだ。
米ハーバード大学医学部のPamela Rist氏らが行った研究で、
LDL-C値が70mg/dL未満に低下した女性では、
出血性脳卒中の発症リスクが高まる可能性があることが示された。
研究の詳細は「Neurology」4月10日オンライン版に掲載された。
この研究では、大規模コホート研究である女性健康イニシアチブ
(Women's Health Initiative;WHI)に参加し、
研究開始時に総コレステロール(TC)と
LDL-C、HDL-コレステロール(HDL-C)、トリグリセライド(中性脂肪)
を測定した45歳以上の女性2万7,937人を前向きに追跡した。
平均19.3年の追跡期間中に、
137人が出血性脳卒中を発症した。
対象女性をLDL-C値で4つの群に分けて比較した結果、
LDL-C値が100〜129.9mg/dLの女性と比べて、
70mg/dL未満の女性では
出血性脳卒中リスクが2.17倍と有意に増加したことが分かった。
一方、出血性脳卒中リスクは、
LDL-C値が70〜99.9mg/dLの女性では1.25倍、
130〜159.9mg/dLの女性では1.14倍、
160mg/dL以上の女性では1.53倍だったが、
いずれも有意ではなかった。
また、トリグリセライドについても同様に、
空腹時の値が156mg/dL以上と最も高かった女性と比べて、
74mg/dL以下と最も低かった女性では、
出血性脳卒中リスクは2倍と有意な増加がみられた。
一方、TC値とHDL-C値については、出血性脳卒中リスクとの関連は認められなかった。
米国のガイドラインでは、
心疾患や脳卒中を予防するためには
LDL-C値を100mg/dL以下に管理することが推奨されているが、
今回の研究では、この推奨と矛盾する結果が得られた。
しかし、専門家の一人で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
予防心臓病学プログラムの共同ディレクターを務めるGregg Fonarow氏は、
「この結果は慎重に解釈すべきだ」
と注意を促している。
同氏によると、
LDL-C低値による出血性脳卒中の絶対リスクの増加はわずかなもので、
LDL-C値が上昇することで
脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる方が危険度は高いと指摘する。
また、同氏によれば、
これまでの研究では、LDL-C値を下げると脳梗塞リスクは有意に低下するが、
出血性脳卒中リスクの有意な増加との関連は報告されていないという。
では、今回の新しい研究結果はどのように解釈すべきなのか?
Rist氏は
「LDL-Cやトリグリセライドを下げすぎると
出血性脳卒中リスクが上昇する機序は明らかになっていない」
としながらも、
これらの値が低いと血管壁がもろくなり、
それによって出血性脳卒中リスクが高まるとする仮説もあると指摘する。
しかし、同氏は
「今回の研究結果はこれらの因果関係を証明するものではない」
と強調している。
また、Rist氏によると、今回の研究に参加した女性の多くはスタチンを服用していなかった。
これは、LDL-C値の低下にコレステロール低下薬は影響していなかったことを意味する。
それにもかかわらず、LDL-C値が下がりすぎた女性では
出血性脳卒中リスクが高まる可能性が示されたことから、
同氏は
「このような女性では、高血圧や喫煙習慣といった
他のリスク因子を管理することが重要になるだろう」
と助言している。
HealthDay News 2019年4月10日
Copyright 2019 HealthDay.
スタチンの服用なしで、
2.7万人、平均19.3年の前向き追跡
有意な出血性脳卒中の発生頻度増加!
LDL−Cが70切れていると血管壁が脆弱になるという発表も出てきているが…
別のコホート結果が出てきてほしい
LDL−C高値は心筋梗塞、脳卒中の危険因子で、
心筋梗塞後でスタチン内服中の患者さんの
LDL−C目標値は70以下は変わりない)
LDL-C値は低すぎても有害?
出血性脳卒中リスク増の可能性
国際医学短信2019年4月30日 (火)配信
悪玉コレステロールと呼ばれるLDL-コレステロール(LDL-C)値は、
低いほど健康に良いと考えられているが、
過度に下げすぎてはいけないようだ。
米ハーバード大学医学部のPamela Rist氏らが行った研究で、
LDL-C値が70mg/dL未満に低下した女性では、
出血性脳卒中の発症リスクが高まる可能性があることが示された。
研究の詳細は「Neurology」4月10日オンライン版に掲載された。
この研究では、大規模コホート研究である女性健康イニシアチブ
(Women's Health Initiative;WHI)に参加し、
研究開始時に総コレステロール(TC)と
LDL-C、HDL-コレステロール(HDL-C)、トリグリセライド(中性脂肪)
を測定した45歳以上の女性2万7,937人を前向きに追跡した。
平均19.3年の追跡期間中に、
137人が出血性脳卒中を発症した。
対象女性をLDL-C値で4つの群に分けて比較した結果、
LDL-C値が100〜129.9mg/dLの女性と比べて、
70mg/dL未満の女性では
出血性脳卒中リスクが2.17倍と有意に増加したことが分かった。
一方、出血性脳卒中リスクは、
LDL-C値が70〜99.9mg/dLの女性では1.25倍、
130〜159.9mg/dLの女性では1.14倍、
160mg/dL以上の女性では1.53倍だったが、
いずれも有意ではなかった。
また、トリグリセライドについても同様に、
空腹時の値が156mg/dL以上と最も高かった女性と比べて、
74mg/dL以下と最も低かった女性では、
出血性脳卒中リスクは2倍と有意な増加がみられた。
一方、TC値とHDL-C値については、出血性脳卒中リスクとの関連は認められなかった。
米国のガイドラインでは、
心疾患や脳卒中を予防するためには
LDL-C値を100mg/dL以下に管理することが推奨されているが、
今回の研究では、この推奨と矛盾する結果が得られた。
しかし、専門家の一人で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
予防心臓病学プログラムの共同ディレクターを務めるGregg Fonarow氏は、
「この結果は慎重に解釈すべきだ」
と注意を促している。
同氏によると、
LDL-C低値による出血性脳卒中の絶対リスクの増加はわずかなもので、
LDL-C値が上昇することで
脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる方が危険度は高いと指摘する。
また、同氏によれば、
これまでの研究では、LDL-C値を下げると脳梗塞リスクは有意に低下するが、
出血性脳卒中リスクの有意な増加との関連は報告されていないという。
では、今回の新しい研究結果はどのように解釈すべきなのか?
Rist氏は
「LDL-Cやトリグリセライドを下げすぎると
出血性脳卒中リスクが上昇する機序は明らかになっていない」
としながらも、
これらの値が低いと血管壁がもろくなり、
それによって出血性脳卒中リスクが高まるとする仮説もあると指摘する。
しかし、同氏は
「今回の研究結果はこれらの因果関係を証明するものではない」
と強調している。
また、Rist氏によると、今回の研究に参加した女性の多くはスタチンを服用していなかった。
これは、LDL-C値の低下にコレステロール低下薬は影響していなかったことを意味する。
それにもかかわらず、LDL-C値が下がりすぎた女性では
出血性脳卒中リスクが高まる可能性が示されたことから、
同氏は
「このような女性では、高血圧や喫煙習慣といった
他のリスク因子を管理することが重要になるだろう」
と助言している。
HealthDay News 2019年4月10日
Copyright 2019 HealthDay.
A8からのメルマガ希望
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9005047
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック