2015年07月02日
食品の酵素で体内の酵素を補えるのだろうか
酵素商品を選ぶ基準は何なのか。
情報を精査し始めてまず最初に知ったのが
- 酵素は48℃以上の熱で死滅する
- ボトルタイプの酵素ドリンクは瓶詰する際に65℃以上の熱で殺菌することが「食品衛生法」で定められている
【過去記事酵素サプリの選び方:酵素は48℃で死滅する】
熱に弱いデリケートな酵素は胃酸にも負けず消化を助けてくれるのだろうか。この疑問を自らの身体を使って実験した人の記事を見つけました。その記事によると、生パイナップルは大量に食べると消化を助けてくれると結論づけています。また、消化器内科の医師から「食べ物の酵素は胃に入って少しづつ壊されるけど、無意味ではないし、消化をサポートするぐらいの効果はあるでしょう。」というアドバイスを得たそうです。
【過去記事酵素は胃酸に負けないで無事腸に届くのか】
そういうことなら、酵素ではなくて乳酸菌や酵母を摂る方がいいんじゃないかと思えてきました。酵母や乳酸菌の力で分解されたものが酵素なわけで、胃が殺菌しきれないなら酵母や乳酸菌も生き残ってくれる可能性は大きいわけで。
ここにきて酵素ドリンクや酵素サプリは本当に身体に良いのかわからなくなってきたので、改めて「酵素とは何か」を調べてみました。
必要な酵素は体内で作られる
酵素ドリンクや酵素サプリで摂取できる「酵素」は野菜・果物・野草等を発酵して作られた「発酵食品」です。商品説明で「生きた酵素を取り入れる」という言葉が多く使われているので、酵素も酵母と同じような働きをするように混同してしまいがちです。しかし酵素はタンパク質なので、消化の工程でアミノ酸に分解されてしまいます。
まず、酵素は、肉や魚、豆類などと同じタンパク質の一種です。タンパク質は消化作用で分解され、アミノ酸となり腸から吸収され、体の筋肉や髪の毛、爪など私たちの体の栄養になります。そして、私たちの体の中で人間に適した形に組み立て直されて、体を作る材料になります。 ですので、酵素ドリンク中の酵素が摂取され、体の酵素にそのまま使われるのかというと、そういうわけでは無いという事ですね。
全身の各細胞が、必要な時に、必要な酵素を、必要な量だけ作ります。また、酵素はタンパク質からできていますから、その材料であるアミノ酸が供給される限り、無限に作られます。
これらのことを踏まえると、「酵素は加齢とともに年々減少するので、外から補わなくてはならない。また消化酵素を取り入れることで体内の消化酵素を節約し、代謝酵素に回す。」という観点で酵素サプリや酵素ドリンクを飲んでも意味が無いことになります。とはいえ、発酵食品の一種なのですから、そこに含まれる豊富な栄養を摂り入れることを目的とするなら有益なのではないでしょうか。
酵素サプリはあくまでも補助食品
知り合いに皮膚科の医師がいます。
その人がこう言ってました。
『濃縮された食品は身体に良くない。酵素サプリや酵素サプリに限らずサプリメントの類は毎日摂取するものではなく、あくまでも補助。自分の体調に合わせて、食事の栄養不足を補う程度に摂るべき。』
「酵素ドリンクを飲めばやせる」という類の言葉に惑わされないでください。一食でも食事を酵素ドリンクに置き換えればその分カロリーが減るので体重が落ちるのは当然です。酵素ドリンクを飲んで栄養バランスを整えることを目的にすれば自然とダイエットに繋がっていくように思います。
【過去記事藤原紀香さんの美の秘訣。紀香さんも水素と酵素を飲んでいるんですね!】で「サンシャイン・ジュース」さんを紹介しました。紀香さんご出演の番組中では「酵素ジュース」として扱っていますが、サンシャイン・ジュースさんのHPには「酵素」という文字はひとつも出てきません。こちらで提供されるのは新鮮で旬な無農薬・減農薬の野菜と果物を中心にトータルバランスを考えて組み立てられたとても栄養価が高いジュース。このジュースを一日6本飲むことで消化器官を休ませデトックスし、身体を内側から浄化させることを目的にしています。この身体のリブートは季節の変わり目や節目毎の週末を利用したクレンズであり、固形物を食べないのはあくまでも一定期間です。やせるための置き換えではありません。
また、水素研究の第一人者である太田成男教授はこのように記されています。
「体の中で酵素を働かせることが大切である」
「体のなかで作り出すことが大切である」
酵素は、体の中で作られ、体の中のすべての作用を司るものです。
調べてみると、「酵素を摂って健康な体作りをしていきましょう」などと書かれた最近の女性誌やインターネットで紹介されているのは「醗酵食品」のようです。バクテリア、酵母やカビの中には、私たちの体の中では作られないビタミンや必要な微量成分をつくってくれますので、バクテリア、酵母やカビによる醗酵は古くから利用されてきました。納豆や味噌、醤油、韓国のキムチも醗酵食品です。その醗酵食品を食べて健康に役立てようとする考えは、まちがっていません。
醗酵の過程では、バクテリア、酵母やカビの「酵素」によって、さまざまな有益な物質が作られます。しかし、その酵素を食べたり飲んだりしたからといって、私たちの体の中で醗酵作用が続けられるわけではありません。「酵素生活」「酵素美容」「酵素ダイエット」「酵素ドリンク」「酵素サプリメント」などと酵素を引き合いにされるのは、誤解を招くもとです。酵素の役割を誤解させるものです。基本は、酵素は食べたり飲んだりするものではなく、酵素によって作られた有益な醗酵物を食べましょう、ということです。
噛むことの大切さ
唾液には消化成分も含まれていますが、唾液は炭水化物(米やパン)だけに効く消化液です。
つまり、胃で炭水化物は分解されないのです。
酵素と言うのは性質や機能によって活発に働ける環境が違い、中性で働くものもあれば酸性じゃないと働かない物もあります。そのため、歯を守るために中性に保たれている口内では、「アミラーゼ」が活発に働きますが、酸性の胃の中では働きません。そして、胃液の中に含まれる「ペプシン」と呼ばれる酵素は、酸性の胃でなければ活発に作用しないのです。
大根には消化酵素の「アミラーゼ」が多く含まれているので、大根を食べると消化を助けると言われています。なので、肉料理やお刺身に添えられているツマや大根おろしは理にかなったもの。そう信じていました。しかし、アミラーゼは酸性の胃の中では働かない…。ということは、消化促進を目的に大根だけ食べても意味は無いということになりますね。いや、その前に…。アミラーゼは炭水化物を分解、プロテアーゼはタンパク質を分解、リパーゼ脂質を分解する3大消化酵素。大根にはこの3大酵素を含めた約100種の酵素を含有しているけれど…、食品に含まれる消化酵素は体内で分解されてしまうことを忘れちゃいけない。
アミラーゼは唾液にも含まれているので、ここで大切なのは「噛む」ということではないでしょうか。おもちを大根おろしでいただくと胃もたれしないのは、よく噛むことでアミラーゼが活性化しているのでしょうね。
サプリやドリンクで栄養を摂取するようになるとどんどん噛まなくなっていきます。消化しやすい状態のものを摂るのだから唾液の消化酵素を出す必要はないかもしれませんが、その手軽さと引き換えに、噛むことで得られる効用をみすみす失うのはもったいないです。
- 肥満予防 よく噛むことで満腹中枢を刺激します。
- 脳の発達 あごを開けたり閉じたりすることで 脳に酸素と栄養を送り、脳細胞を活性化します。
- がんの予防 唾液に含まれる酵素には、発がん物質の発がん作用を消す働きがあるといわれています。
- 胃腸の働きを促進 よく噛むと消化酵素がたくさん出ます。
体内の酵素のスイッチを入れるのがビタミンやミネラル。大根を食べて健康になれたとしたら、それは大根の酵素が活躍したのではなく、大根に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維、その他の成分のおかげなのかもしれません。
数えきれない程の種類がある(化学反応の数だけ存在する)酵素には「役割」があり、必要に応じて仕事をするようになっていますが、この仕事を始めるには補酵素の手助けが必要になります。つまり補酵素は「仕事開始のスイッチ」みたいなもので、仕事が終わればスイッチを切って酵素は休憩に入り、また呼び出しがあれば作業をするという繰り返しです。この補酵素の役目をしているものがビタミン・ミネラルです。
ここでまた新たな疑問。
酵素ではなく酵母を体内に取り入れると効果があるのだろうか。
乳酸菌生産物質と酵素の違いは何だろうか。
これらはまた改めてまとめて記事にする予定です。
追記
ふと思ったんですけど、食品の酵素が体内の酵素を直接補えるとしたら、それはそれで怖いことですよねえ。免疫機能が崩壊してることになりませんか?ちょっと極端な例えになりますが、消化酵素をたくさん含んでいる大根を食べたとき、その消化酵素が体内でも機能し続けていたら自分の内臓も消化されてしまう可能性もあると思うのですが。大根以外にも消化酵素を含んでいる食品はあるわけで、それらをいっしょに食したらどんな状態になるんだろうと恐ろしい想像をしてしまいました。
胃があるから人は食べ物を消化でき、食物内の微生物や細菌に侵されずに安心して食べ物を食べられるのです。
タグ:酵素
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