2015年10月20日
腸内環境のバランスを整えるには
腸内環境を整えるには
前記事『腸内細菌は体内で水素ガスを生産してくれている!』では腸内細菌がいかに私達の身体に有益に働いてくれているのかまとめました。
ここで「なるほど、だから生きたまま菌を腸に届けることが大切なんだ」と考えがちですが、腸内研究の第一人者である光岡知足先生はこのように話しておられます。
- 生きた菌が腸に届いてもそこで増殖しないし定着もしない。
- どんなに健康でも悪玉菌はなくならない。
- 善玉菌が増えるのは生きた菌が腸まで届くからではない。
(出典:生命科学情報室)生きた菌が腸まで届いて、そこで増殖するということは普通はない。それは実験でも検証されている。正確には、生きて届くかどうかはあまり重要ではない。
生きた菌が腸に届き腸内で増殖して棲みつくことが腸の健康に好影響を与えると考えられているが、いくら飲んでも増殖はしない。
耐酸性のある菌は生きたまま腸を通過して便から検出されるが、それも飲むのをやめると間もなく無くなる。つまり、腸には定着しない。研究を続けていくなかで、そういうことが分かってきた。それは学会でも発表している。
そこで次のような疑問が沸いてきます。
では、既存の腸内細菌はどこから来たのか?
加齢とともに腸内細菌が減少すると言われているのは本当なのか?
感染経路
赤ちゃんは生後1〜2日で連鎖球菌、大腸菌、腐敗菌、乳酸桿菌、酵母などが出現し、急激に細菌の数が増えていきます。この細菌たちがやって来た経路は以下のような諸説があるようです。
一番自然な感染経路としては、口と気道と思われます。
- 出産時に産道内の乳酸桿菌、乳児型ビフィズス菌によって感染した。
- 産声を上げてから空気中の細菌を吸い込む気道粘膜からの感染。
- 母親、助産婦などの手から感染。
- 母親の初乳の中にビフィズス菌が増殖している。
- ビフィズス菌が肛門から逆行性に感染。
生きて腸に届く乳酸菌など、様々なヨーグルト商品が出回っていますが、赤ちゃんの時に腸に定着したビフィズス菌と、ヨーグルト等で摂取したビフィズス菌は同じものではありません。ですから、生きてとどいても、その菌が腸に定着するわけではないのです。(出典:うんちのうんちく)
このように、外から摂取した菌にがんばって働いてもらうことを目的にヨーグルト等を食べてもあまり意味をなさないことがわかりますね。そうではなく、自分の腸内にもともと定着している菌にしっかりエサをあげて、元気に働いてもらうことが大切ということなんですね。
腸内細菌の数
「加齢とともに腸内細菌が減少する」といわれているのは主に「有益菌」の減少のことを指しているようです。加齢により全体的に腸内細菌は減少していくけれど、それよりも注視すべきなのは善玉菌の数が減ってしまうこと。
冒頭に記したように、どんなに健康でも悪玉菌はなくなりません。大切なのは善玉菌と悪玉菌のバランスです。このバランスが崩れることが老化や発がん、免疫、感染、健康維持などに多大な影響を与えるのだそうです。
つまり、「菌の数を増やす」のではなく、腸内環境を整えて善玉菌優勢の状態に保つことで悪玉菌の増殖抑えることになるわけですね。
全体の2割が元気なら大丈夫
善玉菌はどのくらいの優勢に立てばいいのかというと、全体の2割が変われば調和が訪れるそうです。たったの20%ですよ。
(出典:生命科学情報室)腸内細菌の世界も、大部分は善玉にも悪玉にも分類ができない、どっちつかずの菌で占められています。
こうした菌は日和見菌と呼ばれていて、普段はとてもおとなしいのですが、悪玉菌が増えてくると悪になびき、体に害を及ぼすものも出てきます。
2割の善玉菌がしっかり働いていれば悪玉菌の働きが抑えられ、日和見菌も悪になびくことはありません。
この割合は「2:8法則」と呼ばれるものと同じです。人間社会もアリや蜂の世界も実際にがんばって働いている人は全体の2割。働かない人を排除したとしても、今度は残りの中から働かない人が出てくるので、この割合はずっと変わらないそうです。
全体の2割が働いていれば充分に機能する。これは細菌の世界でも同じなのですね。おもしろいなあ。
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