2016年11月29日
中国(上海)の貸店舗契約の実態
急用で日本に帰っており、更新が滞ってしまいました。(汗)
さて「飲食店をオープンするには?」ですが、先ずは「店舗賃貸契約」です。
もちろん資金準備が最優先課題ですが、資金は準備できている前提です。
私は不動産の専門家では無いので、法律上の正確な事は分かりません。
ですから、自分自身が実際に行動を起こしてみて分かった「実体」、友人から聞いた信憑性の有る話をベースに紹介します。
飲食店を始めるには幾つかのライセンス(許可証)が必要です。
先ず最初に取得するのが
「営業許可証」
飲食店に限らず、これが無いと営業できません。
営業許可証無しで営業している個人商店や小規模飲食店はいくらでも有りますが、営業許可証が無いと税務登録が出来ません。
領収書(発票)を発行できないばかりか税法上の違反行為なので、検挙された場合はかなり厄介な事になる可能性が大です。
尚、「営業許可証」を申請する主体は「法人」でも「個人」でも構いません。
法人でないと営業が出来ないという事は有りません。
その「営業許可証」を取得する為に必要なのが
・ 営業場所(店舗)の契約書
・ 不動産権利書のコピー
法的に営業が可能な場所であり、その場所の使用許可(賃貸契約)を得ている事を証明する必要が有ります。
つまり、営業場所(店舗)を確保する事から全てが始まります。
因みに私が過去に係わっていた星空広場の银座咖喱吧ですが、この店の場合は星空広場自体が営業許可を取れていない為に、店子も営業許可証を取れない事態に陥っておりました。
星空広場で発票を発行できる店は、恐らく他の場所に別の店舗が有り、その店舗の名義で発行していたのでは?
発票を発行できない飲食店は経費(接待会議費)で利用できないので営業的に厳しいです。
めでたく営業許可証が取れても飲食店の場合は即営業とはなりません。
厨房が有るので「消防安全基準合格証」が必要になります。
飲食店ですから「衛生管理合格証」も必要になります。
管轄の消防署検査員が来て検査を実施。
管轄の衛生局検査員が来て検査を実施。
中国ですから基本的に日時の指定などできません。
申請すると先方が日時を連絡して来るのですが、時間はデタラメです。
午前9時と言われて待っていると、午後3時頃に来たりします。
日本人的にはイライラしますが、この程度はまだまだ良い方です!(汗)
検査員は改善箇所の指摘をしますが、そこはタバコや○○を使ったコミュニケーションで何とかなるのも中国です。
ハッキリ言えば 「この経費はどうやって落とすかなあ・・」みたいな周知の事実の裏ワザが潤滑油になる場合が多いという事です。
もちろん全ての検査員に当てはまる訳では無いと思いますが・・・
ともかくコミュニケーション?さへ何とかなれば再検査など有りません。
と言うより「自然消滅」で、「そう言えば再検査っていつだっけ?」みたいな状態になります。(笑)
「営業許可証」「消防検査」「衛生検査」が無事に終われば「飲食店経営許可証」又は「食品経営許可証」を入手できます。
つまり法律を遵守して飲食店をオープンするには
・ 営業許可証
・ 消防合格証
・ 衛生管理合格証
・ 飲食店経営許可証
の四つが必要となります。
その中でも最大の難関は「飲食店営業許可証」です。
何故かと言えば、飲食店の営業が許可されていない場所が多いからです。
上海には、消防規制の改定で
「以前はOKだったのに、今は営業が許可され無い場所」
が沢山有ります。
「この場所最高!」
という場所でも「飲食店」の営業が禁止されている場所が沢山あるという事です。
街中で良く見かける「一昔前の集合住宅」だと許可が下りません。
スプリンクラーなどの消火設備、非常口、耐火構造などが現在の安全基準を満たさないからです。
また、消防車が入れない居住区に隣接した建物内はダメというような規則も有るようです。
ところが、街中には
「ここは絶対にダメでしょ」
と思われる場所にも飲食店は有ります。
それは何故か?
理由は二つです。
1) 違法営業 (飲食店営業許可証が無い)
2) 消防安全基準が改定される前に営業許可証を取得している
どちらかです。
1)の違法営業はそこら中に有ります。
大部分は家族経営の小さな店で、「お目こぼし」の状態だと思います。
いざという時は立ち退かせる事ができるし害も少ないので、「賄賂」と引き換えに見逃している状況だと思います。
クセモノは 2)です。
2)は
飲食店営業許可証が有る事 = 既得権益
という構造になっているのです。
例えば、
「人通りが多く消費単価の高い場所だが、建物が古くて飲食店の営業許可証の新規申請ができない場所」
が有ったとします。
新規の申請ができないので飲食店の経営は基本的には無理です。
それなのに飲食店が新規オープンするのは珍しくありません。
その多くは規制強化以前に飲食店の営業許可証を得ています。
過去に取得した営業許可証でも、その許可証は有効なのです。
許可証を取得した本人(法人)が自らが開店しようが、許可証を貸そうが、譲渡しようが、ともかく合法的な営業が可能なのです。
飲食店の賃貸物件を探した経験が有る方はご存知だと思いますが、
飲食店賃貸物件の契約には幾つかの金銭条件があります。
1) 家賃 (房租)
2) 敷金 (押金)
3) 譲渡金 (転譲費)
1) と 2) は周辺相場から大きくかけ離れる事は有りません。
ですが 3)の譲渡金は相場と言うより「需給バランス」で決まります。
飲食店経営には超一等地だが、現在の規制基準では絶対に営業許可を取れない場所が有るとします。
家賃 35,000元/月に対して、飲食店営業許可証の譲渡費が 600,000元 だったりします。
もちろん不動産の所有権を譲渡するわけではありません。
あくまで「飲食店営業許可証」だけの譲渡金ですから、家賃や敷金が別途必要です。
この金額は私自身が今回の物件探しの中で実際に提示された某物件の金額です。
譲渡金額は最終的に 500,000元 まで下がりましたが、それでも家賃14ヵ月に相当します。
しかも政府による大規模改築や建て替えが行われる場合は自動的に契約解除。
譲渡金の返却は為されない。
リスクだらけの内容でした。
場所は最高でしたが、諦めました。
交渉事は全て代理人と行いましたが、物件の所有者は政府関係者だそうです。
「なるほどね」、「ヤッパリね」 と思いました。
その後に知人から紹介されて契約したのが今回の場所(茅台路836号)です。
譲渡金も有りましたが、常識的な金額でした。
実際には営業許可証の譲渡ではなく、使用権を賃貸したのです。
つまり、家賃同様に月払いで飲食店営業許可証を賃貸したという事です。
譲渡だと飲食店営業許可証の名義変更が行われますが、使用権賃貸なので許可証の名義は変更しません。
従って納税など政府自治体に対する手続きには許可証上の名義を使う事になります。
もちろん「営業許可証使用権契約」で細かな内容を予め決めます。
従って名義変更をしない事による大きなリスクは回避できますが、何が起こっても不思議ではないのが中国です。
その辺を重視する方(法人)には同意しかねる契約かもしれません。
経営権譲渡契約
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「営業許可証使用権譲渡」では無く「経営権譲渡」でした。
最初に飲食店営業許可を取得した時は日本料理店だったのでしょうね。
書類上は日本料理店となっています。
内容を見ると
・ 許可証更新、税務などの手続きにさいしては貸し方が協力する
・ 発生した費用は借り方が負担
・ 経営上の責務は一切を借り方が負う
というような内容が確認されています。
日本でも同じかもしれませんが、飲食店の開店には少々不合理な事にも目をつぶる必要があります!
こんな感じで、無事に物件契約・経営権譲渡も終わり、開店に向けての書類上の手続きは終了致しました。
以上、何かの参考になれば幸いです。
詳しく知りたい方は、開店後に店舗までお客様としてお越し頂けますようお願い致します。(笑)
分かる範囲内、お答えできる範囲内でお話させて頂きます。
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