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2018年02月21日
失語症のタイプ 〜患者家族、医療・介護従事者向け〜
皆さんこんにちは。
言語聴覚士の桃の助です
言語聴覚士についての説明は、こちらから
このページでの内容は、「失語症のタイプ」についてです。
失語症についての説明は、こちらから
このページの内容は、とても専門的で初めて見る方には非常に分かりにくい内容となっています。
対象としては、医師、看護師、介護士、リハビリ、失語を勉強中の学生、失語症を発症された方の家族さん向けです。
出来るだけ分かりやすいように書きますが、失語症について全くご存知でない方はまずは失語症について知っていただくために、上のリンクから概要を把握されることをお勧めします!
それでは本題に入ります。
医療従事者であれば、全失語、ブローカ失語、ウェルニッケ失語程度は聞いた事があると思います。
しかし、失語症のタイプはそれだけではないんです!!
その他にも沢山のタイプがあるので、ここではそれらも含めてご紹介したいと思います。
分かりやすくするために失語症のタイプ分類を表にまとめてみました。
失語症のタイプ分類をするうえで大事な事は、
@会話の流暢性はどうか?
A復唱はできるか?
B言葉の理解はどうか?
が関係してきます。
例えば、
(例1)
@会話の流暢性はどうか? → 会話ができない(非流暢)
A復唱はできるか? → 復唱は全くできない(復唱不良)
B言葉の理解はどうか? → 言葉の理解ができない(聴理解不良)
という結果であれば、失語症のタイプは全失語となります。
(例2)
@会話の流暢性はどうか? → ほとんど問題なく話せる(流暢)
A復唱はできるか? → 復唱も問題ない(復唱良好)
B言葉の理解はどうか? → 言われた内容はほぼ理解できる(聴理解良好)
という結果であれば、失語症のタイプは失名詞失語となります。
この失語症タイプ分類一覧表を見れば、何となく大体のタイプは分類できそうですね
しかし、簡単な感じで書いてはみたものの、実際にタイプ分類してみると、「これは良好?不良?」と悩む場面があります
特に言葉の流暢さの判断が難しいんです。
私たち言語聴覚士は流暢性の判定は下の8項目から判断しています。
@発話速度
1分間に150文字以下の発話が非流暢、450文字以上は正常
Aプロソディ
音声の抑揚、リズムに異常があるかどうか
B構音
不明瞭な発話(音声)
C句の長さ
句の長さが2単語以下
D努力
発話の前に顔をしかめる、姿勢を変える、深呼吸をする事で、発話に弾みをつけようとしている様子
E発話の切迫
流暢性の場合は会話を止められない
F内容
流暢性は発話量は多いが内容に乏しい
非流暢性は発話は短いが本質的な情報を含んでいる
G錯語
他の音を発話したり、日本語に無い言葉を言う症状は流暢性の特徴
日本で最も多くみられるのが、ブローカ失語(34%)、ウェルニッケ失語(17%)、全失語(14%)となっています。
ここからは失語症のタイプ別に症状を書きたいと思います。
@ブローカ失語
【特徴】
・非流暢な発話
・自発話と同様に障害された復唱
・比較的良好な聴理解
・発語失行
・失文法
・自動的発話と意図的発話との乖離
・読解は良好
・仮名の書字が困難
・病巣:ブローカ領域、左中心前回および後回、島など環シルビウス言語領域前方
Aウェルニッケ失語
・流暢な発話
・復唱障害
・中等度以上の聴理解障害
・音韻性錯語
・語性錯語
・ジャーゴン
・錯文法
・病巣:ウェルニッケ領域を含む左側頭葉、角回、縁上回など、環シルビウス言語領域後方
B全失語
・非流暢な発話
・自発話と同様に障害された復唱
・重篤な聴理解障害
・病巣:環シルビウス言語領域を含む広範囲な病変
C伝導失語
・流暢な発話
・復唱障害
・良好な聴理解
・音韻性錯語
・音韻性錯読、錯書
・病巣:縁上回を中心とする左頭頂葉皮質および皮質下白質あるいは弓状束、島および聴覚野
D超皮質性感覚失語
・流暢な発話
・良好な復唱
・中〜重度の聴理解障害
・語性錯語
・自発書字困難
・病巣:左側頭ー頭頂ー後頭葉接合部分領域
E超皮質性運動失語
・非流暢な発話
・良好な復唱
・良好な聴理解
・自発話が著しく減少
・発話開始の遅れ、保続、声量低下
・病巣:ブローカ領域の前方あるいは上方、補足運動野を含む前頭葉内側面、側脳室前角の前外側部白質など
F超皮質性混合失語
・非流暢な発話
・良好な復唱
・重篤な聴理解障害
・自発話はほぼない
・反響言語や補完現象
・読み書きも重度障害
・病巣:ブローカ領域の前方あるいは上方および側頭ー頭頂ー後頭葉接合部領域
G失名詞失語
・流暢な発話
・良好な復唱
・良好な聴理解
・喚語困難が主症状
・病巣:確定しない。ブローカ失語、ウェルニッケ失語、伝導失語などから回復して移行した場合と、発症直後から失名詞失語の場合がある。
Hその他の失語:皮質下性失語
・視床失語
・被殻、内包失語 などもあります。
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こうして失語症の説明をすると非常に覚える事が沢山あります。私たち言語聴覚士も大体は覚えてはいますが、全てを暗記しているわけではありません
何度も見比べて目的の失語症のタイプが見つかって参考になればいいなと思います。
ちょっと難しい話にはなりましたが、いかがだったでしょうか?
このページでは失語症のタイプについてお話をさせて頂きました。
失語症のタイプを知ることで、どう接すればいいのか?どういった手段を用いればコミュニケーションが取れるようになるのか?などのヒントになることがあります。
そうやって適切なコミュニケーションのヒントになればいいなと思います。
失語症の方への訓練や接し方については別ページで説明したいと思います。
以上、桃の助でした
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言語聴覚士の桃の助です
言語聴覚士についての説明は、こちらから
このページでの内容は、「失語症のタイプ」についてです。
失語症についての説明は、こちらから
このページの内容は、とても専門的で初めて見る方には非常に分かりにくい内容となっています。
対象としては、医師、看護師、介護士、リハビリ、失語を勉強中の学生、失語症を発症された方の家族さん向けです。
出来るだけ分かりやすいように書きますが、失語症について全くご存知でない方はまずは失語症について知っていただくために、上のリンクから概要を把握されることをお勧めします!
それでは本題に入ります。
医療従事者であれば、全失語、ブローカ失語、ウェルニッケ失語程度は聞いた事があると思います。
しかし、失語症のタイプはそれだけではないんです!!
その他にも沢山のタイプがあるので、ここではそれらも含めてご紹介したいと思います。
失語症のタイプ
失語症のタイプ分類一覧
分かりやすくするために失語症のタイプ分類を表にまとめてみました。
失語症のタイプ分類をするうえで大事な事は、
@会話の流暢性はどうか?
A復唱はできるか?
B言葉の理解はどうか?
が関係してきます。
例えば、
(例1)
@会話の流暢性はどうか? → 会話ができない(非流暢)
A復唱はできるか? → 復唱は全くできない(復唱不良)
B言葉の理解はどうか? → 言葉の理解ができない(聴理解不良)
という結果であれば、失語症のタイプは全失語となります。
(例2)
@会話の流暢性はどうか? → ほとんど問題なく話せる(流暢)
A復唱はできるか? → 復唱も問題ない(復唱良好)
B言葉の理解はどうか? → 言われた内容はほぼ理解できる(聴理解良好)
という結果であれば、失語症のタイプは失名詞失語となります。
この失語症タイプ分類一覧表を見れば、何となく大体のタイプは分類できそうですね
流暢性の判断
しかし、簡単な感じで書いてはみたものの、実際にタイプ分類してみると、「これは良好?不良?」と悩む場面があります
特に言葉の流暢さの判断が難しいんです。
私たち言語聴覚士は流暢性の判定は下の8項目から判断しています。
@発話速度
1分間に150文字以下の発話が非流暢、450文字以上は正常
Aプロソディ
音声の抑揚、リズムに異常があるかどうか
B構音
不明瞭な発話(音声)
C句の長さ
句の長さが2単語以下
D努力
発話の前に顔をしかめる、姿勢を変える、深呼吸をする事で、発話に弾みをつけようとしている様子
E発話の切迫
流暢性の場合は会話を止められない
F内容
流暢性は発話量は多いが内容に乏しい
非流暢性は発話は短いが本質的な情報を含んでいる
G錯語
他の音を発話したり、日本語に無い言葉を言う症状は流暢性の特徴
失語症のタイプ別症状
日本で最も多くみられるのが、ブローカ失語(34%)、ウェルニッケ失語(17%)、全失語(14%)となっています。
ここからは失語症のタイプ別に症状を書きたいと思います。
@ブローカ失語
【特徴】
・非流暢な発話
・自発話と同様に障害された復唱
・比較的良好な聴理解
・発語失行
・失文法
・自動的発話と意図的発話との乖離
・読解は良好
・仮名の書字が困難
・病巣:ブローカ領域、左中心前回および後回、島など環シルビウス言語領域前方
Aウェルニッケ失語
・流暢な発話
・復唱障害
・中等度以上の聴理解障害
・音韻性錯語
・語性錯語
・ジャーゴン
・錯文法
・病巣:ウェルニッケ領域を含む左側頭葉、角回、縁上回など、環シルビウス言語領域後方
B全失語
・非流暢な発話
・自発話と同様に障害された復唱
・重篤な聴理解障害
・病巣:環シルビウス言語領域を含む広範囲な病変
C伝導失語
・流暢な発話
・復唱障害
・良好な聴理解
・音韻性錯語
・音韻性錯読、錯書
・病巣:縁上回を中心とする左頭頂葉皮質および皮質下白質あるいは弓状束、島および聴覚野
D超皮質性感覚失語
・流暢な発話
・良好な復唱
・中〜重度の聴理解障害
・語性錯語
・自発書字困難
・病巣:左側頭ー頭頂ー後頭葉接合部分領域
E超皮質性運動失語
・非流暢な発話
・良好な復唱
・良好な聴理解
・自発話が著しく減少
・発話開始の遅れ、保続、声量低下
・病巣:ブローカ領域の前方あるいは上方、補足運動野を含む前頭葉内側面、側脳室前角の前外側部白質など
F超皮質性混合失語
・非流暢な発話
・良好な復唱
・重篤な聴理解障害
・自発話はほぼない
・反響言語や補完現象
・読み書きも重度障害
・病巣:ブローカ領域の前方あるいは上方および側頭ー頭頂ー後頭葉接合部領域
G失名詞失語
・流暢な発話
・良好な復唱
・良好な聴理解
・喚語困難が主症状
・病巣:確定しない。ブローカ失語、ウェルニッケ失語、伝導失語などから回復して移行した場合と、発症直後から失名詞失語の場合がある。
Hその他の失語:皮質下性失語
・視床失語
・被殻、内包失語 などもあります。
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こうして失語症の説明をすると非常に覚える事が沢山あります。私たち言語聴覚士も大体は覚えてはいますが、全てを暗記しているわけではありません
何度も見比べて目的の失語症のタイプが見つかって参考になればいいなと思います。
ちょっと難しい話にはなりましたが、いかがだったでしょうか?
このページでは失語症のタイプについてお話をさせて頂きました。
失語症のタイプを知ることで、どう接すればいいのか?どういった手段を用いればコミュニケーションが取れるようになるのか?などのヒントになることがあります。
そうやって適切なコミュニケーションのヒントになればいいなと思います。
失語症の方への訓練や接し方については別ページで説明したいと思います。
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