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2018年02月18日

加齢による摂食・嚥下障害について

皆さんこんにちは。
言語聴覚士の桃の助です
言語聴覚士についての説明はこちらから

このページではタイトルの通り、「加齢による摂食・嚥下障害」についてお話したいと思います。

ご存知でない方のために、
摂食(せっしょく)は食べ物を食べること
嚥下(えんげ)は食べ物を飲み込むことを指します。
嚥下障害についての説明はこちらから

加齢による摂食・嚥下障害


症状

大きく分けて症状は4つです。

@歯牙欠損
これは歯が抜けて無くなることで、固形物を咀嚼(噛む事)が困難になります。

「別にあんまり噛まなくても飲み込めるよ」と思っていたら大間違いです!

人間は飲み込む前に、食べ物を飲み込みやすい形になるよう口の中で整えています。(専門用語で食塊形成と言います)

歯が無くなるということは、硬い食べ物が食べれなくなるので食事の種類が制限されます。

また、よく噛めずに大きな塊のまま咽頭に流れ込んでしまいます。


A口腔・咽頭の感覚低下
感覚が低下することで、一口量が増加します。そうすると一度に飲み込む量が増えるので、飲み込みにくくなります。

また咽頭(喉)の感覚が低下する事で、飲み込みがなかなか開始されない状態となります。(嚥下反射惹起遅延)

唾液が喉に溜まってしまい、知らず知らずのうちに気管の中に入ってしまい、肺炎になってしまう事もあります。

喉頭周囲の感覚が低下すれば、気管の中に食べ物が入っても「ムセない」状態になる事もあります。
普通は少しの唾液でもゲホゲホむせてしまいますが、老人の場合は無症状で気管の中に流れ込む人も結構います。


B口腔・咽頭の筋力低下
口腔の筋力が低下すれば、食べ物を口の中で飲み込みやすい形にするまでに時間が長くなります。
そうすると食事の時間がどんどん長くなり、疲労感や満腹感から食事を必要量摂れなくなる方も出てきます。

また、喉に全て送り込めずに口の中に残ってしまいます。

口腔、咽頭両方のの筋力が落ちる事で、飲み込みの力が弱くなり、喉の途中で食べ物が止まってしまいます。


C舌・舌骨・喉頭の下垂
簡単に言うと、飲み込みに必要な器官が運動しにくい位置になってしまう事です。

不適切な位置に移動してしまう事で、口腔に留まる時間の延長、口腔内残留、嚥下圧低下、液体の誤嚥、喉頭閉鎖不全、食道入口部開大不全、咽頭残留などが生じてしまいます。

専門用語ばかりですみません







予防方法・改善策


人は毎年1歳ずつ着実に年をとっていきます。
当たり前の事ですが、1年1年少しずつ体力の低下や筋力の低下などみられてきます。
でも、どうにかして加齢による摂食嚥下障害は防ぎたいものですよね?

ここからは、予防方法防と改善策を考えていきたいと思います。


@沢山会話をする
高齢になると社会から孤立してしまう方が多くなってしまいます。仕事をしている時は様々な人と話す機会がありますが、定年退職を機に会話の回数が極端に減るようです。そうする事で口の機能が徐々に低下して嚥下障害を発症してしまいます。そういった機能低下を防ぐために沢山会話をする事は機能維持に欠かせないと言えます。また、認知症予防にもなります。

Aカラオケ
口の機能や喉の機能、肺機能を保つためにカラオケは非常に効果的な予防方法です!
私自身、カラオケは非常にオススメな予防方法と考えています

B嚥下体操
その名の通り、嚥下機能を保つために考案された体操です。具体的には、
⑴首を回す
⑵肩を回す
⑶口を大きく開け、強く閉じる(あー、んー/開口・閉口)
⑷唇を前に突き出したり、横に引く(うー、いーの運動/突出・横引き)
⑸舌を出して前後左右上下に動かす
⑹息吹き(大きくふーっと息を吐く)
⑺パタカラ発声(パタカラを素早く発声する)
⑴〜⑺を毎日各10回ずつ行います。

これら@〜Bを行うと機能維持・機能改善が期待されます。


もし、嚥下障害になってしまったら…

誤嚥性肺炎を防ぐ事が最優先です。
@トロミをつける
大部分の方は食べ物よりも水分から嚥下障害が目立つようになります。
片栗粉でトロミをつける要領で、専用のトロミ付加剤でトロミをつけます。
(片栗粉でも出来ないことはないですが、味が変化したり、だまができやすかったりするので、トロミ剤が絶対にお勧めです)

A歯科受診
自分の歯と入れ歯を比べると、入れ歯になっただけで、噛む力が1/3〜1/5程度へ落ちるという研究があります。さらに、ぐらついている状態であればほとんど正常な咀嚼は出来ていないと思われます。
先ほどお話したように、噛める状態を作る事は非常に大切です。適切な口腔の状態が望ましいので、そうでない場合は歯科受診をお勧めします。

B食事の形を工夫する
ご飯が噛みにくい方はお粥に変える。そのまま食べていた魚を一口大にきざむなど、噛みやすい、飲み込みやすい形に工夫する事も非常に大事です。

Cゆっくり食べる、一口量を少なくする
ゆっくり食べる、一口量を少なくする事で誤嚥性肺炎のリスクを回避する事ができる可能性があります。
よく噛み、急いで食べないように心掛けたいですね


ここでは加齢による摂食嚥下障害についてお話しさせて頂きました。
いまから予防方法を実践されるといいかもしれないですね。

それではまた。
桃の助でした




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プロフィール
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桃の助
皆さんはじめまして! 日々、病院で言語聴覚士として勤務している桃の助といいます。 言語聴覚士として実際場面にいることで知り得る情報を皆さんに発信していきたいと思います。 子どもの発達や障害、大人の障害はもちろんですが、健康や予防方法についてもお話ししたいと思います。 何か気になることなどあればコメントを宜しくお願いします。
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