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2017年01月14日

漫画『アリスと蔵六』1巻の感想とあらすじ

『アリスと蔵六』1巻の感想。


アリスと蔵六
著者:今井 哲也
掲載:リュウコミックス
1巻発売日:2013年3月30日

想像したものを現実にすることができる能力を持つ子供たち――“アリスの夢”。その中でも“赤のクイーン”と呼ばれ、アリスの夢の中でも更に超越した能力を持つ少女、紗名。
紗名は閉じ込められていた研究所から逃げ出したことで他の能力者から追われていた。外の世界に初めて出てきたばかりで何も分からない紗名は、戸惑い、子供1人では食べ物を手に入れることすらできないことから途方に暮れていた。能力はうまく使えず、お腹もすかせ、困り果てていた紗名が出会ったのは、曲がったことが大嫌いな頑固爺さん、蔵六だった。
見ず知らずの紗名にも正面から叱ってくれる蔵六と暮らすことになった紗名。この出会いによって、小さな体には重過ぎる紗名の過酷な運命は、大きく変化していくことになる。

大きすぎる能力を持つが故に閉じ込められていた少女が、飛び出した外の世界で1人の頑固爺さんと出会い、共に暮らす中で様々なことを学びながら成長していく物語。
不思議な力を持つ少女たちと花屋の頑固爺さんを中心に繰り広げられるSFファンタジー。幼女×爺さん×超能力を組み合わせた珍しい作品ですね。著者の今井哲也さんは2013年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞しています。アニメ化されるということなので、試しに1巻読んでみました。

日本の歌舞伎町を舞台に、コンビニに訪れた蔵六がお弁当を眺めていた紗名と出会うところから物語は始まります。そこから蔵六は紗名の持つ不思議な能力に触れ、彼女の置かれている状況を知り、彼女の運命にも深く関わっていくという流れ。
普通(?)の日常から始まったかと思ったら、突如非日常へと物語は舵を切りました。その要因となったのが“アリスの夢”と呼ばれる超能力を持つ少女たちの存在。鏡の門(ルッキングラス)」という円環状のヴィジョンを媒介にし、空飛ぶ羽や弓など、想像したものをなんでも1つだけ現実にしてしまうというとんでもない能力です。1巻だけだと能力の一端ぐらいしか解りませんが、これだけの超越した能力ゆえにエネルギー消費も激しいらしく、使用後は極度の空腹に襲われるようです。切れると能力も極端に弱まるため、大量のエネルギー摂取(食事)が必要になり、小柄な体に入りそうにもないほどの量を食べ続けていましたね。

本作の主人公の1人でもある紗名は、超越した能力を持つアリスの夢の中でも更にでたらめな力を持つ特異能力者。相手の心を読み、瞬間移動し、大量のブタを召喚、さらに空間を書き換え生態系すら存在するひとつの世界を構築してしまうなど、明らかに1巻に登場した他の能力者たちとは次元が違う力を発現させていました。
しかし、その内面は完全に幼い子供。しかも外の世界に出たことは1度もなかったため、一般的な常識もなければ倫理や道理も多少欠如しています。
悪意ある人間が強大な力を持つというのも恐ろしいことですが、無邪気な子供が世界にすら干渉を及ぼすほどの力を持つというのはある意味悪人より質悪いかもしれませんね。

そんな彼女たちの戦いに巻き込まれ、同時に彼女たちのストッパー的な役割を担っているのが、特別な能力なんて何もない一般人の蔵六です。曲がったことが大嫌いな既に初老を超えている頑固爺。普通なら重要キャラといっても脇役として主人公たちに関わってくるようなキャラですが、本作では紗名と並んで主人公。
子供であろうと大人であろうと、身内であろうと赤の他人であろうと、間違ったことをしたら正面から叱りつけるなど、現在では滅多にお目にかかれないような頑固一徹な人物。昭和臭漂う古臭さ、でも今ではむしろ新鮮味を感じるキャラクターですね。
手に負えない能力者の少女たちを、ゲンコツと凄みある眼光と言葉だけで大人しくさせて、説教を始めるパワフルな爺さんです。ぶっきらぼうで厳しいところはありますが、蔵六の行動と言葉の裏に隠された優しさを知ると、実はただのツンデレ爺さんなのではと思ってしまいました。

表紙からは想像しにくいかなり壮大で複雑な世界観でしたね。ただ、そんな世界観に自我の形成・認識、主体的な自己の発現などの深いテーマも添えられてはいますが、あくまでこれは紗名という幼い少女の成長を描いた物語になるんだと思います。何でも思いのままにできてしまう少女に、やって良いこと悪いことなどの道理を頑固爺さんが教え導いていく話。そして、紗名の家族の話でもありますね。
あと、この物語は実は成長した紗名の回想なのかもしれないと思われる節があり、しかも未来から現代に干渉までしているような描写も見受けられ、より今後の展開への興味を深めさせてくれました。
ここまで読み応えのある作品だとは思っていなかったので、良い意味で予想を裏切ってくれましたね。とても面白かったです。


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2017年01月11日

【87CLOCKERS】マンガ 感想&あらすじ ディープでマニアックな世界に飛び込んだ青年の成長を描いた物語

ジャンプ改→週刊ヤングジャンプ。2014年11月号から2016年31号まで連載。全9巻
作者:二ノ宮知子
他作品:のだめカンタービレ



あらすじ

音大に通っている一ノ瀬奏は、夢もなければ闘争心もない生粋の草食系男子。音楽は好きでも誰かと争ってまで何かを掴み取りたい意志はなく、もうすぐ4年になるにも関わらず就職に対しても一切行動を起さず、かといって院に進む気もなければ海外へ留学する考えも持ってはいなかった。
ある日の雪の夜、奏は古いアパートの前で裸足のまま立ち尽くしていた美しい女性と出会い、彼女に一目惚れしてしまう。ハナという名の彼女は、パソコンの動作速度を競う「オーバークロック」の世界で戦っているミケのパートナーをしていることを知り、さらにミケによって一方的に奴隷のように扱われていると勘違いしてしまった。奏はハナを助けるためにミケを超え1番になることを目標にし、オーバークロックの世界に飛び込んでいく。

登場人物

・一ノ瀬 奏
主人公。英孝音楽大学3年生。専攻はヴァイオリン。向上心はなく、誰かと争うことも苦手な草食系男子。院や留学への意志はなく、就職についても何も考えていなかったが、就職問題は母のピアノ教室を手伝うことであっさり解決しました。ハナに一目惚れしたことでオーバークロックの世界を知り、1番になったらミケと別れて自分と組んで欲しいと申し出ます。

・中村 ハナ
名門大学に通う3年生。ウェーブがかった茶髪の美しい女性。世界で戦っているオーバークロッカーMIKEのアシスタントをしています。ドジっ娘なため、失敗してはミケに厳しく当たられていますが、それでも彼を1番にするために献身的にサポートを続けています。パイナップル工場で働いており、お金はないけど果物だけはたくさんある。

・ミケ
オーバークロックの世界記録保持者。オーバークロック界では世界的な有名人であり、彼に憧れるクロッカーも多くいます。オーバークロックの記録更新に固執しており、負けず嫌いでもあるため、一度スイッチが入ると周りが見えなくなります。性格には非常に難があり、ハナへの当たりも厳しく、都合良いようにこき使っています。

・鈴木 珠理亜
ミケに憧れている女性オーバークロッカー。大学4年生。専攻は薬学。オーバークロックの費用を稼ぐためにキャバクラで働いています。源氏名「ジュリア」。奏の指導役となり、ペアを組んで大会にも出場することになります。空冷にこだわりを持ち、液体窒素を使用したい奏に対し、「空冷極めずして窒素なし」と言い放ちました。

・火切 俊充
ハナの幼馴染で婚約者。あだ名は「ぼっさん」。小太りの男性。地元にある有力企業の御曹司。ハナに振られ続けた過去があり、その都度より強く大きく成長を遂げ、現在はアメリカでスマホアプリがヒットしたことで会社を立ち上げています。



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感想・見所

ひょんなことからオーバークロックの世界に足を踏み入れた青年が、一目惚れした女性やこの世界で戦う様々な人たちとの出会いを重ね、オーバークロッカーとして、人として、男として成長していく姿を描いた物語。
世界的にもそれほど知名度は高くないマイナー競技『オーバークロック』を題材とした漫画です。著者は『のだめカンタービレ』を代表作ひ持ち、現在は『七つ屋志のぶの宝石匣』を連載している二ノ宮知子さん。完全に作者買いした作品です。

何はともあれ、まずは「『オーバークロック』って何?」と疑問を持つ人が多いと思いますので、少し調べたことを説明。私もこの作品に出会うまでは全く知らなかったジャンルなので詳しくはありません。
英語では「Overclocking」。Clock(周波数)をOver(超える)するということです。CPUの使用上定められているクロック周波数の動作を規格値以上に処理能力を向上させる行為。
わけわかんないですね。簡単に言ってしまうと、パソコンを元々の性能よりも早く動作させることです。CPUは使用上規定値の周波数で動くように設定されています。その周波数を車のエンジンに例えると、エンジンの回転数を上げることによって馬力を大きくするみたいな感じだと思います。うまく用いれば格段に性能は向上しますが、当然リスクも高く、発熱によって破損する可能性も大きくなります。もちろん壊れてもメーカー保証外です。

個人の遊びとして行っている人もいますが、本作では組み立てたオーバークロックPCを用いて処理速度の技術を競い合う人達を描いています。二ノ宮さんはなんともニッチな世界に手を出したものですね。ここに恋愛要素も大きく絡めて物語は展開されていきます。
正直、CPUを冷やすためだけにそこまでするのかと、呆気にとられてしまうこともありましたね。中には写真のみの描写でしたけど、雪山へ行ったり、冷凍倉庫でOC作業したりと、理解に苦しむ行動。「何のために?」と思うこともあり、ニケに至っては「世界平和のために戦ってるんだ」とわけわからないことを真顔で言い放つ始末です。
ただ、関わってる人達の熱い思いは強く伝わってきました。何のためにとか言う以前に、好きだから、楽しいから、挑戦したいから。そのためにどんな労力でも支払って、少しでも速く、誰よりも上を目指している姿は眩しく、同時にそこまでなれるほど熱中できるものがあることが羨ましいと思いましたね。

この作品の醍醐味は、なんといっても主人公である奏の作品を通しての成長。競争することを嫌い、欲しいものがあっても誰かと争い勝ち取ってまで手に入れたいとは思わない青年。そんな奏がハナに一目惚れしたことでOCの世界に飛び込み、彼女のパートナーでありOCの世界的実力者でもあるニケを超え、自分のパートナーになってもらうために奮闘することになります。冷めた青年の心にはじめて炎が点ったんですね。1人の女性を振り向かせるために、関わりなかった世界へ飛び込み、ひたむきに努力する、嫌いじゃない流れです。
ハナやミケだけでなく、ジュリアなどOCに携わっている多くの人達と出会い、そして様々な経験を経て、精神的に大きく成長します。そして、本気で戦うことの意味と大切さを知った奏は、さらに自らを磨くために歩き出すことになります。

ジャンルがマニアックなら登場人物も超個性派揃いで面白いですね。
植物人間奏の心に炎を点した作中モテモテなハナに関しては、美人だけど個人的に女性としての魅力は全然感じませんでしたが、キャラクターとしては面白い子でしたね。最後その選択で「良いの?」とは思いましたが、彼女の想いは結局のところずっとあの場所にあったんでしょうね。私からすると、むしろ女性としてはジュリアの方が魅力的に見え、奏とくっついてくれないかなとずっと思っていました。
ミケはクセの塊みたいなキャラでしたね。ハナはいったい彼のどこに惚れたのか、最後までその魅力には気づけませんでしたが、きっと女性には分かる何かがあるのでしょう。
他にも強い個性を放っていたキャラは多く、登場シーンは少なくても強く印象に残っている人達ばかりでしたね。

9巻で終わるには早すぎたのではないかという気もしますが、それでも綺麗にまとめられており、それぞれが出した結論も完全に納得とはいかないものの、これはこれで良い幕の閉じ方をしていたと思います。ただ、できればその後を知りたい。特に奏とジュリアはどうなったのかすごい気になってます。
オーバークロックという多くの人に「何それ?」と疑問をもたれそうなマイナーなジャンルを扱いながらも、知らない人でも楽しめる内容で物語は展開され、テンポ良く進む読みやさもあり、最後まで楽しむことができました。
タイトル「87CLOCKERS」の意味も最終巻で分かるので、よければ読んでみてください。



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2017年01月10日

漫画『秘密のレプタイルズ』1巻の感想とあらすじ

『秘密のレプタイルズ』1巻の感想。


秘密のレプタイルズ
著者:鯨川 リョウ
掲載:裏少年サンデーコミックス
1巻発売日:2016年9月16日

外回り中に突然ノルマを増やされた営業マンの海原入鹿は、疲れた心を癒すために偶然通りかかったペットショップに立ち寄った。店内を見て回っていた入鹿は女性店員の長良永に話しかけ、犬が可愛いと会話をふったのだが、彼女から返ってきたのは冷めた視線と「いえ、全然?」というそっけない態度だった。
ペットショップで働いているにもかかわらず、犬や猫など可愛い人気動物をディスり始めた長良さんに案内され、連れてこられたのは爬虫類コーナー。すると、さっきまで死んだ目をしていた長良さんは、突然「爬虫類サイコオオオォォォ!!!!」と目を輝かせながらハイテンションになり、別人のように生き生きと爬虫類について語りだした。
ちょっとアブないうざカワ長良さんに出会ったことがきっかけで、爬虫類飼育を始めることになった入鹿。長良さんとの爬虫類まみれのペットライフが始まるのだった。

たまたまペットショップに立ち寄った営業マンが爬虫類好きの女性店員と出会い、ちょっと変わってる彼女の薦めで始めた爬虫類飼育を続ける内に、その魅力という泥沼にどんどんハマっていく話。
ヘビやトカゲなどの爬虫類飼育をテーマにしたアニマルコメディ漫画。爬虫類に関しては特に好きでも嫌いでもなく、あくまで興味本位から読んでみた作品でしたが、漫画としても爬虫類に関しても思いのほかハマりそうになりましたね。

この漫画の見所のひとつは、爬虫類への異常なまでの偏愛を見せるペットショップ「アニマーレ」の女性店員、長良永。爬虫類が好き過ぎるあまりに犬猫などの人気ペット動物たちをボロカスにディスる始末。ひとたび爬虫類と触れ合ったり語りだすとテンションがアブない領域に入り、変人・変態と言われても仕方ない様相を見せます。
入鹿にうざいほど執拗に爬虫類の良さを説き、マニアな自分たちがいる世界にまで引き込もうとあの手この手を用いて誘おうとしてきます。
たまについていけなくなるほど饒舌に長々と語り、 愛のメーターが振り切ったときの変顔には若干引かされましたが、なんだかんだで可愛い長良さんでした。

そんな長良さんに誘惑され、押し切られ、主人公の海原入鹿は爬虫類飼育を始めることになります。1度入ったらなかなか抜け出せないマニアな世界へ、現在進行中で誘われ中です。
あと、彼は中二病を患っていますね。ペットへのネーミングセンスがをれを物語っています。

表紙の左側にいる髪の長い女性店員さんは、爬虫類フロアのチーフを務めている純白静さん。彼女もまたクセの強い女性でした。
見た目通りとても美人なうえに優しく、説明もわかり易い親切な女性ではあるんですが、結婚・恋愛への願望が強すぎるところがあり、お相手のいない現状に激しく気落ちして役に立たなくなるめんどくさい人。まだそれほど気にする年齢でもないと思うんですけどね。

物語は基本主人公の入鹿とヒロインの長良さん(表紙の黒髪女性)を中心に展開され、爬虫類についてのあれこれや飼育のノウハウなどが主に描かれ、爬虫類の魅力を全面に押し出した内容になってます。
まだ一般的にはどうしてもマイナスイメージを持たれがちな爬虫類。「飼育が難しそう」、「噛まれそう」、「気持ち悪い」など、犬猫とは違って敬遠されることも多く、飼育している人に対しても奇異の目を向けられることは少なからずあると思います。私も触れ合うことは普通にできますが、飼うとなると難しそうだなとはずっと思ってました。
ですが、この作品を読んでると爬虫類の意外な一面を知ることができ、さらに飼育方法や心得についてとても詳しく丁寧に解説されていたので、私の心はかなり揺さぶられてしまいましたね。

女性キャラが可愛いのは当然として、トカゲやヘビなどの爬虫類もどんどん可愛く魅力的に見えてくるから困ったものです。トカゲいいですね、飼ってみたいですね。
私は哺乳類や鳥類、虫の飼育経験はあるけど爬虫類は1度もなかったんですが、この作品は初心者が気をつけなければいけないこと、飼育方法も語られているので解りやすく楽しんで学ぶこともできます。同時にあるあるネタを挟んでくるのも面白いアクセントになってますね。

面白くてお役立ちな作品、とても楽しませてもらえました。コミカルに笑いを交えながら爬虫類の魅力を伝えてくれる作品内容をしていながら、コメディ一辺倒にはなっておらず、シリアスなテーマもしっかり踏まえているところは好印象。爬虫類や飼育者に対しての偏見、命を扱うことへの意識など、考えさせられるテーマもちらほら見受けられました。
また、愉快な登場人物たちのやりとりを見るのもこの作品の楽しみ方の1つで、今後メインの2人はさらに踏み込んだ世界へ、そして1巻では登場機会の少なかったキャラも2巻以降さらなる活躍を見せてくれると思うので楽しみですね。
興味本位で事前情報なくなんとなく手にした作品でしたが、とても満足させてもらえました。知らなかった世界を覗くのは楽しいですね。


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2017年01月09日

【家なき子レミ】アニメ 感想&あらすじ 辛いことに直面しても前へ進むことの大切さを教えてもらえる作品


家なき子レミ
1996年9月放送
全26話
監督:楠葉宏三
原作:島田満、小山眞弓
脚本:大川久男、梅野かおる
レミ・バルブランの声:堀江美都子 
ヴィタリスの声:山野史人

あらすじ

フランスの片田舎にあるシャバノン村で、母親アンヌと妹ナナと3人で幸せに暮らしていた少女レミ。しかし、パリへ出稼ぎに出ていた父親が大怪我を負ったことにより、その治療費として一家の食事を支えていた雌牛のルーセットを連れていかれてしまった。それでも明るく振舞っていたレミだったが、帰ってきた父親の口から自分は拾われ子だという真実を聞かされる。さらに、アンヌには秘密で父親に人買いへ売られてしまうのだが、事情を知った旅芸人のヴィタリスによって救われ、レミはこれ以上母親に迷惑をかけないために村を離れて旅芸人として生きることを決意した。

主要登場人物

・レミ・バルブラン
主人公。明るく前向きな10歳の少女。パリの街でアンヌの夫ジェロームに拾われた捨て子。生活苦から人買いへ売られてしまうが、ヴィタリスに拾われ旅芸人一座の一員として旅に出ます。捨てられていたときに持っていたネックレスを頼りに、旅をしながら生んでくれた母親を探すことを決めました。歌とアコーディオンが特技。

・ヴィタリス
旅芸人ヴィタリス一座の座長を務めている老人。様々な楽器の演奏に精通しており、3匹の犬と1匹の猿と共に芸で稼ぎながらフランス各地を巡っていました。レミに文字の読み書きだけでなく、厳しくとも前を向いて生きてくことの大切さなど、旅芸人としてだけでなく、人生にとっても大きな影響を与えていくことになります。

・アンヌ・バルブラン
レミの育ての母親。貧しくとも家を支え、娘2人に愛情を注いで育てた逞しく優しい女性。血の繋がりのないレミを、ナナと同様に実の娘同然に愛しています。レミが村を出た後もずっと気にかけ想い続けていました。

・ミリガン
イギリス名門貴族の婦人。穏やかで心優しい女性。息子アーサーの療養の為に訪れていたトゥールーズの町でレミと出会います。アーサーの姉にあたる娘を赤ん坊の頃に攫われており、現在もその行方を捜しています。

・ガスパール
ヴィタリスの知人だった人物の甥。パリで孤児を集め、その子供たちにノルマを課して奴隷のように働かせている親方。ノルマに達しなかった子供には用者なく罰を与える悪人です。ミリガン夫人からレミを使って身代金を巻き上げようと画策。

・マチア
ガスパールのところに売り飛ばされた少年。子供たちの中では最年長者であるため、皆のリーダー的存在。盗みやすりに手を染めて稼いでいるが、本当はガスパールに強要され仕方なく行っていることであり、レミに感化されてからは真っ当に稼ぐようになります。父親の影響でヴァイオリンが得意。


感想・見所

愛する育ての母や妹と暮らしていた村を泣く泣く離れることになった少女が、老人と動物たちだけの旅芸人一座に入り、フランスの各地を巡りながら産んでくれた母を探す物語。
名作児童文学をアニメ化した『世界名作劇場』シリースの23作目。著者・エクトール・アンリ・マロの『家なき子』を原作としており、アニメ化に伴い主人公を少年から少女へ変更されています。この作品放送終了から10年後に『レ・ミゼラブル 少女コゼット』が放送されていますが、地上波では世界名作劇場ラストになった作品ですね。テレビ放送では3話分未放送だったようです。

前作同様に低視聴率だったことでこの作品以降シリーズは長期中断されていたことを事前に知っていたため、それほど期待せずに視聴したんですが、予想に反してとても良かったですね。
他のシリーズ作品よりもだいぶ少ない全26話ということから多少物足りなさは感じるものの、内容自体は悪くないどころか素直に感動しました。

物語は世界名作劇場らしい内容ですね。不幸な境遇に突き落とされてしまった主人公は辛い生活の中でも前向きに生き、その姿に周囲の人たちも次第に感化され味方も増え、最後には檻を突き破り明るい未来へ歩き出す。まさにシリーズの王道といった感じです。
全体の構成はヴィタリス旅芸人一座編の第1部、ガスパールの元で働くパリ編の第2部の前後半に分けられます。第1部では、実は自分が拾われてきた子供だったことを聞かされ、人買いに売られになったことで育ったシャバノン村を飛び出すところから始まります。そこから、救ってくれたヴィタリスと共に旅芸人として生き、ミリガン夫人とも出会い、様々なことを教えてもらいながら厳しくとも温かな日々を送るのだが、一座に不幸が襲ったことでヴィスタルと別れるまでを描いています。
2部ではパリに舞台を移し、ガスパールという悪漢の下で働きながら共に暮らすマチアたちという新たな仲間ができます。辛い仕打ちを受ける生活であっても前向きに生き、仲間たちと絆を深め心を通わせていく姿を描き、そしてクライマックスも伏せる必要もないと思うのでネタバレしますが、産んでくれた母との感動の再会を果たします。

レミの姿を通して人生の厳しさを説いており、これがなかなか劇的な展開を見せ、時には目を背けたくなる描写もありました。
母と妹と幸せに暮らしていた冒頭から、いきなり拾われ子という真実を聞かされ、早く会いたいと思っていた父だと思っていた男に売られてしまいます。さらに、とある事件の犯人扱いされ、乗っていた馬車は焼失、一緒に旅をしていた仲間が雪山で命を落とし、心の拠り所になっていたヴィスタルとの悲しい永久の別れも訪れてしまいました。まだ続き、次に身を寄せた場所では辛い生活を強いられ、悪漢により実の母への身代金目的のための取引材料として捕まってしまうこともあります。
辛い展開が次々起こったため多少同情してしまいましたが、26話の中でこれだけ厳しい現実をしっかり描き、それでも挫けない少女の姿を見せる運びは、現在の作品ではなかなか難しいと思うので悪くなかったと思います。

ヴィタリスさんの言葉「前へ進め」、これが強く印象に残ってますね。レミの原動力にもなっていたと思います。辛く困難な状況に陥っても、その言葉を口に出して歩みを進め、逞しく成長していきます。
確かに辛すぎる事件が次々と襲ってきますが、明るくひたむきにがんばるレミの姿は人を惹きつける魅力があり、彼女が手を差し伸べた優しさはそのまま彼女自身にも帰ってくる温かさも見せてくれました。

あくまで原作を読んだことのない私個人の感想でしたが、観て良かったと思える良質な作品でした。もちろん、原作内容を少し調べてみると、知ってる人にとってはいろいろ改変されていたこもあり批判が出ても当然の内容だとは思います。それと、大人の事情で話数が少なかったのは、原作どうのとは関係なく私としても不満点です。しかし、テーマはしっかりしており、伝えたいメッセージも理解しやすく、26話の中でそれを描ききったことは素直に良かったと思っています。なので、低視聴率だったことが残念でなりませんね。
元気と励みを貰えるレミの明るく前向きな姿、優しさを強く感じるヴィスタルとミリガン夫人、頼りになるかっこいいマチアなどキャラクターの魅力は高く、物語最終話の展開はすっきり爽快、そして涙誘う感動も待ってます。さだまさしさんの「愛について」というオープニングテーマ曲も良かったです。
批判も多かった作品ではりますが、私は名作劇場の中でも好きな作品の1つに数えているので、おすすめさせていただきます。





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posted by ハネ吉 at 18:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ

2017年01月08日

【紹介した作品の新刊発売情報】7SEEDS 第33巻 他7作品

2017年1月9日〜1月15日発売予定の新刊。
このブログで紹介した作品や関連作品の新刊情報と、試し読みした作品の感想。



7SEEDS 第33巻 2017年1月10日発売

7SEEDSの過去記事はこちら


味噌汁でカンパイ! 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

味噌汁でカンパイ! 第3巻 2017年1月12日発売

味噌汁でカンパイ!の過去記事はこちら



勇者が死んだ! 第7巻 2017年1月12日発売

勇者が死んだ!の過去記事はこちら



私がモテてどうすんだ 第11巻 2017年1月13日発売

私がモテてどうすんだの過去記事はこちら


おとむらいさん(3) (BE LOVE KC)

おとむらいさん 第3巻 2017年1月13日発売

おとむらいさんの過去記事はこちら


おはよう、いばら姫(5) (KC デザート)

おはよう、いばら姫 第5巻 2017年1月13日発売

おはよう、いばら姫の過去記事はこちら


試し読みをして気になった作品もふたつ紹介します。

映像研には手を出すな! 1 (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな! 第01巻
著者:大童 澄瞳
掲載:ビッグ コミックス
2017年1月12日発売


芝浜高校に通う1年生の浅草みどりは、アニメを作りたいけど1人では怖くて行動に移せない女の子。友達の金森さやかに付き添ってもらい、アニ研見学に赴いたみどりは、そこで使用人から逃げていた財閥令嬢の水崎ツバメと出会う。話を聞くと、みどりはアニメーターになりたい夢を持っているが、親はそのことに反対しており、入部を阻止するために付けられていた使用人から逃げていたことを知る。有名人のツバメがアニメ作りをすれば話題になり、金になるかもしれないと踏んださやかから、3人で部活を作ることを提案される。みどりたちは「最強の世界」を作るため、3人で力を合わせてアニメ制作を始めるのであった。

アニメを作るために集まった3人の女子高生が、「最強の世界」を目指して制作に取り組み、爽やかに奮闘する姿を描いた物語。
アニメ制作×女子高生を合わせた青春漫画。著者はこの作品がデビュー作の新人さんのようです。

メインの登場人物は3人。
1人で行動するのが怖い浅草みどりは、「最強の世界」を作って大冒険するという夢を持つ高校1年生。設定や背景などの世界観を構築する作業が好きなのようで、短時間で作った設定図はかなり高い完成度をしており、彼女の創造力の高さを伺えます。
財閥令嬢の水崎ツバメはアニメーター志望の同級生。人物画を得意としており、今後はキャラクターとメカデザインを担当することになると思います。
金森さやかはアニメ制作に必要なスキルはたぶん持ち合わせてはおらず、とにかくお金が大好きなみどりの友達。プロデューサーや制作進行のような立ち位置でサポートをしていくことになるのかな?
この3人でアニメ制作をしていくようです。

制作作業をしている現場の表現がユニークでしたね。お互いのイメージした設定やキャラクターを話し合うなかで、空想世界を生み出すという表現を使っており、そのおかげで彼女たちのイメージを読者が共有しやすくなっていると思います。
例えば1話にあったツバメのメカデザインへの加筆・修正では、最初は紙とペンを用いて普通に話し合う現場の姿を描いているんですが、イメージが膨らんでくると空想世界へと移り、メカの案をデザイン紙に加筆するという作業は整備士がメカをメンテしている姿で描かれています。
すみません、私の説明では解り辛いと思うので、その辺は読んでみてください。

何より、彼女たちを見てると楽しそうだなと感じることができ、私もワクワクできたのは良かったですね。自分たちで想像し、構築していくという楽しさが強く伝わってきました。考えた設定に少しづつ肉付けをし、色が付き、広がっていく世界をイメージした空想の中に3人がダイブする光景を見たことで、子供の頃には強くあった冒険心が湧き立つようなワクワク感を味わえましたね。
作中にあった設定画の図解もなかなか凝った内容だったので読んでいて面白かったです。こういったものを載せてくれるのは個人的に好感持てます。

画風や話のテンポとノリは独特な魅力があり、かなり期待を持てる内容でした。読後感も非常に良かったです。

試し読みはスピリッツさんの公式サイトで1話を配信しています。(こちら)




ピーチガールNEXT 第01巻
著者:上田美和
掲載:BE LOVE KC
2017年1月13日発売


別冊フレンドに掲載されていた大人気ラブコメディ漫画、『ピーチガールズ』が10年の時を経て『NEXT』としてまさかの復活。しかも、登場人物はそのままに、前作ラストから10年後の27歳になったももちゃん、カイリ、とーじ、さらに3人を引っ掻き回しまくったお騒がせ小悪魔のさえも再び降臨。

ももとカイリが結ばれてから10年。スキューバのインストラクターとして日々ガイドの仕事に励んでいる安達もも、突然お蕎麦屋で修行を始めてめきめきと腕を上げた末に暖簾分けもしてもらった岡安浬。いつまでたっても結婚のプロポーズをしてもらえない現状に焦るももは、偶然カイリが結婚できないのは夢のためだということを聞き、荷物をまとめて同居中の部屋から出て行こうとしてしまう。しかし、カイリは家族になってからのことを考えて必死にお金を貯めていたことを知り、仲直りした2人は晴れて結婚の約束を交わした。それから3ヶ月後、結婚も秒読み段階になり、2人は新居へ引っ越すことになったのだが、なぜか隣に同じデザインの家が建てられており、そこに現れたのは忘れもしないお騒がせ娘の柏木さえだった。しかも、彼女の同居人は・・・。

ヒロイン(もも)+イケメン(カイリ、とーじ)+悪魔(さえ)=ラブ・ハリケーン!!
個人的には良い形で幕を閉じて満足した作品でしたが、彼女たちのその後を見ることができるというのは嬉しいですね。

復活にはびっくりしましたけど、1話ラストにも驚かされました。「なぜ!?」といった感じです。
2人の結婚をどこからか聞きつけわざわざ隣に引っ越して来たさえちゃん。また盛大に引っかき回してくれそうですね。やはり『ピーチガール』は彼女がいないと始まりません。
大人になった4人はどんな嵐を巻き起こすことになるのか、これからが楽しみです。

試し読みは講談社コミックプラスさんのサイトで1話を配信しています。(こちら)

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プロフィール
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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
プロフィール
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