2016年11月26日
漫画『おはよう、いばら姫』1巻の感想とあらすじ
『おはよう、いばら姫』1巻の感想。
おはよう、いばら姫
著者:森野 萌
掲載:KC デザート
1巻発売日:2015年4月13日
こだかい丘の上にある空澤家で家政婦のアルバイトをしている高校3年生の美郷哲。高校卒業後は進学せずに就職を希望している彼は、猛反対している父親からの条件として、父が営む家政婦紹介所で「卒業までの間、怠けず働くこと」を突き付けられていた。
ある日、哲は仕事の疲れから屋敷の庭にあるベンチでうたた寝をしてしまい、目を覚ますと目の前には謎の少女が立っていた。病気がちなお嬢様が1人離れで暮らしていると聞かされていたことから、慌てて取り繕う哲は、虚ろげなで微笑む彼女に胸を高鳴らせる。後日、近づいてはいけないと言われていながら、彼女のことが気になっていた哲は離れを訪れたのだが、再会した彼女の雰囲気は別人のように変わっていた。
将来のために屋敷で家政婦のアルバイトをしている少年が、たった1人で本低の離れに誰とも会わずに暮らしていた少女と出会い、流星雨の夜に閉じ篭っていた彼女を連れ出し恋に落ちたのだが、次の日少年の顔を見た彼女の口から出た言葉は「あなた、誰?」。――「俺が好きになった人は、一体誰だったのだろう?」・・・といった話。
少女マンガではりますが、主人公・哲の男子視点で物語が進む作品です。紹介サイトを覗いてみたら人気作家さんや書店員さん方の推薦コメントが多数のせられており、そのプッシュ具合に興味を引かれ、試しに読んでみたらとても面白かったので紹介させていただきます。
物語の舞台となるのは丘の上に大きな屋敷を構えている空澤家。屋敷には雇い主から近づいてはいけないと言われている離れがあり、そこには病気がちなお嬢様が1人で住んでいるようですが、哲よりもずっと長く何年も働いている家政婦ですら会ったことがないとのことでした。
その話を聞かされた後、仕事の休憩がてら庭のベンチで休んでいるときに、哲はあっさりとそのお嬢様・空澤志津に出会います。一言も声を発することなく、優しげにも虚ろげにも見える静かな微笑みを浮かべたときの表情、とても印象的でしたね。
この時は落ち着きのある物静かな女性という感じだったんですが、後日、哲は落とした預金通帳を探しに離れを訪ねると、昨日会った女性に再会することはできたものの、まるで別人のように印象が異なっていました。2度目に再会した志津はよく喋る明るく元気な少年のような感じ。
さらに、志津を流星雨の夜に連れ出し、空を見上げて涙を流す彼女に対して「俺、笑ってるアンタが好きです!」と、1巻序盤で告白。それも恋愛的な意味で。この日の出来事で2人の距離はそれなりに縮まったはずだったんですが、次に再会した彼女が哲に投げ掛けた言葉は、「あなた、だれ?」。
最初は「あれ?別人?」と首をかしげてしまうほど異なった印象を受け、この時点で双子か二重人格、あるいは記憶リセットされてしまう病かといろいろ予想しながら読み進めました。そして、その後の展開から本作は自分の中で多重人格モノというジャンルに落ち着こうとしたところ、その出しかけた結論すらハズれてしまい、彼女の抱える問題はより厄介なオカルト的なものだったと判明。冒頭から普通の少女ではないと思っていましたが、まさかの展開にかなり驚かされました。
コロコロとその表情を変えていく少女。少年のように明るくはしゃぎ、時には穏やかな慈しみのある表情を浮かべ、またあるときは消え入りそうな静かな雰囲気を纏い、様々な人格と共に本人である志津は共存しています。
彼女の浮かべた笑顔に心惹かれ恋をした哲ですが、あの笑顔は一体誰のものだったのか。そして、事情を知った哲が志津と一緒にいるのは恋心からか、それとも同情心からなのか、あるいは屋敷の奥様と交わした契約にすぎないのか・・・。
優しいタッチの絵によって描かれていながら、ストーリーはシリアスを含んだ深く重みのある内容でした。表紙から受けるイメージとはだいぶかけ離れた内容でしたが、良い意味で裏切られました。
「笑顔」の描写が強く印象的な作品。哲が恋をした少女の笑顔、自然に出る本当の笑顔、不自然な作り笑いなど、どの笑顔からも深い感情を読み取れますね。
2人の関係は今後どう変わっていくのかや、志津の特殊な体質について、あと哲の母親の事情も気になります。予想を裏切る展開と設定、とても面白かったです。
【eBookJapan】 おはよう、いばら姫
↑無料で立ち読みできます
おはよう、いばら姫
著者:森野 萌
掲載:KC デザート
1巻発売日:2015年4月13日
こだかい丘の上にある空澤家で家政婦のアルバイトをしている高校3年生の美郷哲。高校卒業後は進学せずに就職を希望している彼は、猛反対している父親からの条件として、父が営む家政婦紹介所で「卒業までの間、怠けず働くこと」を突き付けられていた。
ある日、哲は仕事の疲れから屋敷の庭にあるベンチでうたた寝をしてしまい、目を覚ますと目の前には謎の少女が立っていた。病気がちなお嬢様が1人離れで暮らしていると聞かされていたことから、慌てて取り繕う哲は、虚ろげなで微笑む彼女に胸を高鳴らせる。後日、近づいてはいけないと言われていながら、彼女のことが気になっていた哲は離れを訪れたのだが、再会した彼女の雰囲気は別人のように変わっていた。
将来のために屋敷で家政婦のアルバイトをしている少年が、たった1人で本低の離れに誰とも会わずに暮らしていた少女と出会い、流星雨の夜に閉じ篭っていた彼女を連れ出し恋に落ちたのだが、次の日少年の顔を見た彼女の口から出た言葉は「あなた、誰?」。――「俺が好きになった人は、一体誰だったのだろう?」・・・といった話。
少女マンガではりますが、主人公・哲の男子視点で物語が進む作品です。紹介サイトを覗いてみたら人気作家さんや書店員さん方の推薦コメントが多数のせられており、そのプッシュ具合に興味を引かれ、試しに読んでみたらとても面白かったので紹介させていただきます。
物語の舞台となるのは丘の上に大きな屋敷を構えている空澤家。屋敷には雇い主から近づいてはいけないと言われている離れがあり、そこには病気がちなお嬢様が1人で住んでいるようですが、哲よりもずっと長く何年も働いている家政婦ですら会ったことがないとのことでした。
その話を聞かされた後、仕事の休憩がてら庭のベンチで休んでいるときに、哲はあっさりとそのお嬢様・空澤志津に出会います。一言も声を発することなく、優しげにも虚ろげにも見える静かな微笑みを浮かべたときの表情、とても印象的でしたね。
この時は落ち着きのある物静かな女性という感じだったんですが、後日、哲は落とした預金通帳を探しに離れを訪ねると、昨日会った女性に再会することはできたものの、まるで別人のように印象が異なっていました。2度目に再会した志津はよく喋る明るく元気な少年のような感じ。
さらに、志津を流星雨の夜に連れ出し、空を見上げて涙を流す彼女に対して「俺、笑ってるアンタが好きです!」と、1巻序盤で告白。それも恋愛的な意味で。この日の出来事で2人の距離はそれなりに縮まったはずだったんですが、次に再会した彼女が哲に投げ掛けた言葉は、「あなた、だれ?」。
最初は「あれ?別人?」と首をかしげてしまうほど異なった印象を受け、この時点で双子か二重人格、あるいは記憶リセットされてしまう病かといろいろ予想しながら読み進めました。そして、その後の展開から本作は自分の中で多重人格モノというジャンルに落ち着こうとしたところ、その出しかけた結論すらハズれてしまい、彼女の抱える問題はより厄介なオカルト的なものだったと判明。冒頭から普通の少女ではないと思っていましたが、まさかの展開にかなり驚かされました。
コロコロとその表情を変えていく少女。少年のように明るくはしゃぎ、時には穏やかな慈しみのある表情を浮かべ、またあるときは消え入りそうな静かな雰囲気を纏い、様々な人格と共に本人である志津は共存しています。
彼女の浮かべた笑顔に心惹かれ恋をした哲ですが、あの笑顔は一体誰のものだったのか。そして、事情を知った哲が志津と一緒にいるのは恋心からか、それとも同情心からなのか、あるいは屋敷の奥様と交わした契約にすぎないのか・・・。
優しいタッチの絵によって描かれていながら、ストーリーはシリアスを含んだ深く重みのある内容でした。表紙から受けるイメージとはだいぶかけ離れた内容でしたが、良い意味で裏切られました。
「笑顔」の描写が強く印象的な作品。哲が恋をした少女の笑顔、自然に出る本当の笑顔、不自然な作り笑いなど、どの笑顔からも深い感情を読み取れますね。
2人の関係は今後どう変わっていくのかや、志津の特殊な体質について、あと哲の母親の事情も気になります。予想を裏切る展開と設定、とても面白かったです。
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