2018年03月28日
漫画『ぶっきんぐ!!』1巻の感想とあらすじ 元書店員の作者が描く、小さな本屋さんを立て直す奮闘お仕事漫画
『ぶっきんぐ!!』1巻の感想。
タイトル:ぶっきんぐ!!
著者:美代マチ子
掲載:マンガワン/裏サンデー
1巻発売日:2018年1月19日
さかのぼること12年前。書店業界を取り巻く環境は年々厳しさを増し、躍進を見せるネット通販の影響も受け、町の書店は3日に1軒閉店するほど減り続けていた。
美大を卒業してからも、絵で有名になることを夢見て路上でライブペインティングをする大國かの子(おおくに かのこ)。しかし、絵描きとしては一向に芽は出ず、当然絵で食べていけてるわけもなく、人生を迷走するプー太郎状態になっていた。
そんなある日、シャープペンの芯を買うため、とある小さな書店「光林堂」に立ち寄ったかの子は、そこで万引きの現場を目撃する。「時代遅れ」と言われた今の自分の姿を書店に重ね、無性に腹が立ったかの子は反射的に犯人を追いかけると、見事捕獲に成功。
しかし、万引き犯を突き出すも、当の店長にやる気はなく、それどころか潰れるのを待つだけの有様。その様子にいてもたってもいられなくなったかの子は、「この店を一年後には町一番の本屋さんにしてみせます!」と豪語し、光林堂の店員として働きはじめるのだった。
美大を卒業してからくすぶっていたプー太郎の女性が、ひょんなことから町の小さな本屋で書店員を始めることになり、元気と熱意で書店を盛り上げるために奮闘する物語。
元美大生が書店員として奮闘する痛快お仕事ドラマ。帯での謳い文句は「元書店員が描く笑って泣ける小さな本屋さんの現実。書店の力、信じてる。」。コミックアプリ「マンガワン/裏サンデー」の2017年8月11日から連載開始。
作者は「第69回ちばてつや賞」において、作品『旧友』で準大賞を受賞(当時のペンネームは「みよまちこ」)した漫画家・美代マチ子(みよ まちこ)先生。
最近、本屋に行きましたか?私は大学生の頃に比べるとだいぶ減りましたけど、それでも週に最低でも1回は行ってます。
ただ近頃思うのは、本屋さんが少ないということ。ここ数年でほんと減りましたね。2000年と比べて全国の書店は4割も減少してるうえに、書店がゼロの自治体も増加中とか。
特に「街の本屋さん」を全然見掛けなくなりました。私が通ってるのも大手書店チェーンですし。子供の頃は商店街に一軒くらいはあったものですけど、いまはなかなか巡り合えません。なので、見つけるとちょっと嬉しくなります。ちなみに、正月に実家へ帰ったとき、昔使ってた本屋へ行こうとしたら、整骨院になってました。ちょっと寂しい・・・。
ということで本日は、そんな街の小さな本屋さんを舞台にした『ぶっきんぐ!!』という漫画を紹介させていただきます。
ざっくりとした内容を説明します。アマゾンが台頭してきた2006年頃、美大を卒業してから人生を迷走していたプーたろうな女性が、本屋さんで万引き犯を捕らえたことをきっかけに、その店で書店員として働き始め、街一番の本屋さんにすべく、元気と熱い想いを武器に奮闘するお話。
小さな本屋さんの立て直しを目的としたお仕事漫画。出版・書店業界が抱えているリアルな問題を取り上げ、「本を売る」ためのアイデアを真剣に考えてる作品です。作者先生が書店員として働いていたことがあるようで、その経験を活かした物語となっております。
主人公は元美大生の女性・大國かの子(おおくに かのこ)。美大卒業後も就職はせず、油絵作家として成功する夢を追い続けていましたが、大成する兆しすら見ええず、かつて夢を語り合った友人からは「痛々しい」「やり方が古い」とまで言われる始末。今の自分の姿に自信が持てず、思い悩んでいました。
もう一人主人公的な存在がいまして、人生迷走真っ只中にいたかの子が立ち寄った街の本屋さん「光林堂書店」の店長さん。かの子が万引き犯を苦労して捕まえるも、「遅かれ早かれここ潰れるし・・・」と、やる気の欠片もない様子。
書店と自分の現状を重ねていたかの子は、それがなんか悔しくて、そして変わりたくて、思わず「私が変えてみせます!」と言い放ち、続けて「この店を一年後には町一番の本屋さんにしてみせます!」と豪語。こうして、かの子の書店員としての奮闘が始まりました。
本が特別好きというわけでもなく、本屋に愛着があるわけでもなかった主人公のかの子。街の本屋さんが置かれてる状況も、仕入やなんやらのしくみについても、当然何一つ分かっていません。多くの読者も似たような立場でしょうから、かの子と共に出版・書店業界事情やしくみを知ることがきます。
それも、作者先生が元書店員だけのことはあり、描かれているのはリアルの姿。例えば、小さな本屋さんの品揃えの悪さや、書店にお取り寄せを頼むと何故こんなに日数が掛かるのかなど、色々疑問を持ったことある人もいるかと思われますが、その辺りを大型書店・チェーン店と小さな本屋さんとの違いなんと併せて、詳しく語られています。
今の時代、本を売ることが厳しいのは分かってましたけど、仕入れの段階からこんな大変だったとは、ちょっと驚き。この作品にも出版業界が抱える重たい空気がのしかかってくるかのようですが、黒船に我が身ひとつで戦いを挑むかのように、果敢に時代のうねりに立ち向かっていくかの子。
当初はやる気を見せなかった店長も、そんなかの子の姿に触発され始め、書店経営に対する意識に変化が現れだしました。
正直言うと、かの子の「町一番の本屋さんにする」という目標が成功するエンドは想像し辛いですが、この本屋さんがこれからも長くその場所にあって欲しい…そう強く思ってます。
といった感じで、時代の流れと共に、消えて無くなろうとしている街の本屋さんで働き始めた元美大生の奮闘を描いた漫画、『ぶっきんぐ!!』1巻の紹介でした。
出版・書店業界について詳しく知ることが出来る漫画。とても分かり易く説明されていますので、楽しみながら知識を増やせるのが良いところ。
本作は作者先生が以前働いていた「光進堂書店」をモデルにしているとのことです。残念ながら既に閉店されていますが、光進堂店長さんのブログによると、店の感じはよく再現されているようですし、思い入れの深さと愛情が作品から伺えますね。
魅力は何と言っても、周りがあきらむムードの中でも、諦めないかの子の奮闘。本屋さんの厳しいリアルが描かれているのだけど、バイタリティ溢れるかの子があの手この手と次々アイデアを思いつき、実行していく姿を見てると、本屋もまだ終わってなんかいない、まだまだ未来は明るいとさえ思えてきますね。そして、そんな彼女から力を貰えた気分にもなりました。
これからの展開と結末が非常に気になります。本屋の行く末、そしてかの子の行く末はどうなるのか、出来ればハッピーなエンドであって欲しいです。
【eBookJapan】 ぶっきんぐ!!
↑登録不要で試し読みできます
タイトル:ぶっきんぐ!!
著者:美代マチ子
掲載:マンガワン/裏サンデー
1巻発売日:2018年1月19日
あらすじ・概要
さかのぼること12年前。書店業界を取り巻く環境は年々厳しさを増し、躍進を見せるネット通販の影響も受け、町の書店は3日に1軒閉店するほど減り続けていた。
美大を卒業してからも、絵で有名になることを夢見て路上でライブペインティングをする大國かの子(おおくに かのこ)。しかし、絵描きとしては一向に芽は出ず、当然絵で食べていけてるわけもなく、人生を迷走するプー太郎状態になっていた。
そんなある日、シャープペンの芯を買うため、とある小さな書店「光林堂」に立ち寄ったかの子は、そこで万引きの現場を目撃する。「時代遅れ」と言われた今の自分の姿を書店に重ね、無性に腹が立ったかの子は反射的に犯人を追いかけると、見事捕獲に成功。
しかし、万引き犯を突き出すも、当の店長にやる気はなく、それどころか潰れるのを待つだけの有様。その様子にいてもたってもいられなくなったかの子は、「この店を一年後には町一番の本屋さんにしてみせます!」と豪語し、光林堂の店員として働きはじめるのだった。
美大を卒業してからくすぶっていたプー太郎の女性が、ひょんなことから町の小さな本屋で書店員を始めることになり、元気と熱意で書店を盛り上げるために奮闘する物語。
元美大生が書店員として奮闘する痛快お仕事ドラマ。帯での謳い文句は「元書店員が描く笑って泣ける小さな本屋さんの現実。書店の力、信じてる。」。コミックアプリ「マンガワン/裏サンデー」の2017年8月11日から連載開始。
作者は「第69回ちばてつや賞」において、作品『旧友』で準大賞を受賞(当時のペンネームは「みよまちこ」)した漫画家・美代マチ子(みよ まちこ)先生。
紹介・感想
最近、本屋に行きましたか?私は大学生の頃に比べるとだいぶ減りましたけど、それでも週に最低でも1回は行ってます。
ただ近頃思うのは、本屋さんが少ないということ。ここ数年でほんと減りましたね。2000年と比べて全国の書店は4割も減少してるうえに、書店がゼロの自治体も増加中とか。
特に「街の本屋さん」を全然見掛けなくなりました。私が通ってるのも大手書店チェーンですし。子供の頃は商店街に一軒くらいはあったものですけど、いまはなかなか巡り合えません。なので、見つけるとちょっと嬉しくなります。ちなみに、正月に実家へ帰ったとき、昔使ってた本屋へ行こうとしたら、整骨院になってました。ちょっと寂しい・・・。
ということで本日は、そんな街の小さな本屋さんを舞台にした『ぶっきんぐ!!』という漫画を紹介させていただきます。
ざっくりとした内容を説明します。アマゾンが台頭してきた2006年頃、美大を卒業してから人生を迷走していたプーたろうな女性が、本屋さんで万引き犯を捕らえたことをきっかけに、その店で書店員として働き始め、街一番の本屋さんにすべく、元気と熱い想いを武器に奮闘するお話。
小さな本屋さんの立て直しを目的としたお仕事漫画。出版・書店業界が抱えているリアルな問題を取り上げ、「本を売る」ためのアイデアを真剣に考えてる作品です。作者先生が書店員として働いていたことがあるようで、その経験を活かした物語となっております。
主人公は元美大生の女性・大國かの子(おおくに かのこ)。美大卒業後も就職はせず、油絵作家として成功する夢を追い続けていましたが、大成する兆しすら見ええず、かつて夢を語り合った友人からは「痛々しい」「やり方が古い」とまで言われる始末。今の自分の姿に自信が持てず、思い悩んでいました。
もう一人主人公的な存在がいまして、人生迷走真っ只中にいたかの子が立ち寄った街の本屋さん「光林堂書店」の店長さん。かの子が万引き犯を苦労して捕まえるも、「遅かれ早かれここ潰れるし・・・」と、やる気の欠片もない様子。
書店と自分の現状を重ねていたかの子は、それがなんか悔しくて、そして変わりたくて、思わず「私が変えてみせます!」と言い放ち、続けて「この店を一年後には町一番の本屋さんにしてみせます!」と豪語。こうして、かの子の書店員としての奮闘が始まりました。
本が特別好きというわけでもなく、本屋に愛着があるわけでもなかった主人公のかの子。街の本屋さんが置かれてる状況も、仕入やなんやらのしくみについても、当然何一つ分かっていません。多くの読者も似たような立場でしょうから、かの子と共に出版・書店業界事情やしくみを知ることがきます。
それも、作者先生が元書店員だけのことはあり、描かれているのはリアルの姿。例えば、小さな本屋さんの品揃えの悪さや、書店にお取り寄せを頼むと何故こんなに日数が掛かるのかなど、色々疑問を持ったことある人もいるかと思われますが、その辺りを大型書店・チェーン店と小さな本屋さんとの違いなんと併せて、詳しく語られています。
今の時代、本を売ることが厳しいのは分かってましたけど、仕入れの段階からこんな大変だったとは、ちょっと驚き。この作品にも出版業界が抱える重たい空気がのしかかってくるかのようですが、黒船に我が身ひとつで戦いを挑むかのように、果敢に時代のうねりに立ち向かっていくかの子。
当初はやる気を見せなかった店長も、そんなかの子の姿に触発され始め、書店経営に対する意識に変化が現れだしました。
正直言うと、かの子の「町一番の本屋さんにする」という目標が成功するエンドは想像し辛いですが、この本屋さんがこれからも長くその場所にあって欲しい…そう強く思ってます。
締めにだらっと
といった感じで、時代の流れと共に、消えて無くなろうとしている街の本屋さんで働き始めた元美大生の奮闘を描いた漫画、『ぶっきんぐ!!』1巻の紹介でした。
出版・書店業界について詳しく知ることが出来る漫画。とても分かり易く説明されていますので、楽しみながら知識を増やせるのが良いところ。
本作は作者先生が以前働いていた「光進堂書店」をモデルにしているとのことです。残念ながら既に閉店されていますが、光進堂店長さんのブログによると、店の感じはよく再現されているようですし、思い入れの深さと愛情が作品から伺えますね。
魅力は何と言っても、周りがあきらむムードの中でも、諦めないかの子の奮闘。本屋さんの厳しいリアルが描かれているのだけど、バイタリティ溢れるかの子があの手この手と次々アイデアを思いつき、実行していく姿を見てると、本屋もまだ終わってなんかいない、まだまだ未来は明るいとさえ思えてきますね。そして、そんな彼女から力を貰えた気分にもなりました。
これからの展開と結末が非常に気になります。本屋の行く末、そしてかの子の行く末はどうなるのか、出来ればハッピーなエンドであって欲しいです。
【eBookJapan】 ぶっきんぐ!!
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