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2016年12月30日

【甘々と稲妻】マンガ 感想&あらすじ 父と娘、そして教え子、大切な人たちと食卓を囲む温かなホームドラマ

good!アフタヌーン。2013年3月号より連載中。既刊8巻
作者:雨隠ギド



あらすじ

半年前に病で妻を亡くし、幼い娘のつむぎと2人で暮らしている高校教師の犬塚公平。仕事とまだ幼稚園児であるつむぎの育児によって多忙を極め、日々の食事にまでは手が回らず、コンビニの出来合い弁当を利用して済ませる毎日を送っていた。

ある日のこと、2人で花見に出かけるた犬塚親子は、母親にドタキャランされて1人で泣きながらお弁当を食べていた飯田小鳥に出会い、彼女の実家が営んでいる料理屋を紹介してもらう。

後日、店を訪れて久々に温かい手料理を食べた公平は、久しく見ていなかったつむぎの美味しそうにご飯を食べる姿を目にしたことで、これからは自分が料理を作ることを約束した。

犬塚家と飯田家、お互いの事情を知ったことがきっかけで、公平、つむぎ、小鳥、3人での料理会を始めるのだった。

登場人津

・犬塚 公平
主人公。高校教師。担当は数学。本編開始半年前に妻を病で亡くし、5歳の娘・つむぎと2人暮らし。メガネをかけた細身の男性。性格は穏やかで優しく、つむぎのことを溺愛しています。食が細く、料理も妻に任せていたため、開始当初は料理が全くできない素人でした。小鳥に料理を教わるようになってからは、つむぎが美味しそうに食べてくれることもあり、料理の楽しさに目覚めていきます。

・犬塚 つむぎ
公平の1人娘。開始時は5歳の幼稚園児。癖っ毛のボリュームある長髪した茶髪が特徴の女の子。天真爛漫で素直な性格をしており、表情も豊か。特技は絵を描くこと。公平のことを「おとさん」と呼んでいます。母親がもういないことはなんとなく理解しており、大変な公平を気遣い毎日がお弁当でも文句ひとつ言わずにいた優しい子。ピーマンが苦手。

・飯田 小鳥
犬塚親子と3人で料理をすることになった、公平が副担任を務めているクラスの生徒。腰辺りまで伸びている黒髪が特徴。両親は離婚しているため、現在は母親と2人暮らし。細身ながらかなりの大食い。料理の知識は豊富に持つが、幼い頃に負ったケガがトラウマになり、包丁を握れなくなっています。現在リハビリ中。公平に好意を抱いています。

・飯田 恵
小鳥の母親。料理屋「恵」を経営しながら、料理研究家としてメディアにも出演しています。仕事が多忙なため家を空けることも多いが、母子関係は良好。たまに料理会に参加することもあり、犬塚親子と小鳥が作る料理は恵提供のレシピが多めです。

・小鹿 しのぶ
小鳥の親友。高校1年生。金髪ツインテールと八重歯がチャームポイントの女子高生。実家は青果店。兄弟が多く小さい弟たちの面倒を見てきたため、子供の扱い方がうまい。兄弟の中で育ってきた影響で男の子っぽい口調で話し、性格も姉御肌。料理会にも度々参加しており、公平や小鳥とは違い料理は元々得意。

・八木 祐介
公平の高校時代からの友人。カフェバーを経営。金髪で少し強面だが実際は面倒見の良い性格。公平が忙しいときは代わりにつぐみの面倒を見てくれることもあります。飲食店を経営していることから料理の技術は高く、料理会ではしのぶと共に手際良く調理しています。やりすぎてしのぶから注意を受けることもアリ。小鳥の母のファン。



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感想

妻を亡くして父子家庭になった高校教師の父親が、まだ幼い愛娘の心とお腹を幸せで満たすため、教え子である女子高生や周囲の人達に協力してもらいながら、自分たちの手で料理を作って食卓を囲む温かな物語。
父と娘、女子高生の3人が囲む、心がポっと温かくなる食卓ホームドラマ。2016年7月にはアニメ化もされた人気漫画です。漫画として面白いのはもちろんのこと、料理本、食育本としても楽しみながら活用できる作品。

大まかな内容は、主に「料理」に焦点を当てられている父と娘のホームドラマに、多少恋愛要素も絡めた形になってます。1エピソードごとに1レシピの料理を作るのが特徴。
料理が苦手どころか食事自体に無頓着だったシングルファーザー・公平の奮闘。教え子である小鳥に協力してもらいながら娘のために料理を学び、3人で苦労して作った手料理が並ぶ食卓を囲うことで、父と娘の絆、この親子を取り巻く周囲の人達との絆を深めていく話。読んでると温かな気持ちにさせてもらえ、ちょっと泣けてくるハートフルなエピソードが多めです。
男親の育児についても扱っていて、シングルファーザーとして仕事も育児も両立しながらがんばる公平の姿を見せられると、同じ男として尊敬せずにはいられませんね。

シングルファーザーの父と幼いひとり娘、そして教え子の女子高生、この3人のやりとりが面白い。
公平は妻を亡くしてから家事はそれなりにこなしてはいたものの、まかせきりだった料理に関してはド素人のため、食事はもっぱら出来合い弁当に頼る毎日。つむぎはママがいないことに当然寂しさを感じてはいても、1人でがんばる公平の姿を見て、まだ幼い身でありながら自分もがんばろうとしていた健気な子。
時には喧嘩もします。何も言わなくても全てを理解するなんてことは不可能ですから、お互い分からないこと、気づかなかったことによって、すれ違ったり不和も生じてしまいます。ですが、ちゃんと2人で話し合い、一緒にご飯を作って食べ、周囲の人たちの手助けも受けながら、親子として1歩1歩手を取り合って進んでいく様子が伺えました。
両親が離婚して母子家庭で育っている小鳥も寂しさを抱えている少女。母との関係は良好とはいえ、仕事が忙しくなったために1人でご飯を食べることが増えていました。ですから、小鳥にとっても犬塚親子との一緒に料理を作り、食卓を皆で囲むという時間は楽しく、大切な時間になっています。
この不思議な関係が生む出す空気は心地よく、3人で食卓を囲んでいる光景はひとつの「家族」を見てるようで微笑ましいですね。

「家庭の手料理」を主なテーマにしたグルメ漫画という面を持ちながら、メインの3人がみんな料理初心者という思い切った設定。小鳥は料理の知識は豊富でも過去のトラウマにより包丁は使えず、公平も妻にまかせきりだったため知識も技術もなく、当然幼いつむぎも経験なし。
こんな3人組なので何をやるにしても四苦八苦し、失敗することも珍しくありません。それでもつむぎに手料理を食べさせてあげたいという一心で、小鳥の母が用意してくれたレシピを頼りに皆で協力して完成させます。
危なっかしい場面もありますけど苦労して完成させたからこそ感動は大きく、プロが作った料理みたいに立派でなくても温かさを感じ、何よりもその料理を食べたつむぎや小鳥の表情が素晴らしい。楽しく皆で料理を作り、美味しくいただく、そんな光景を見ることができます。
独り身の私には少々眩し過ぎる光景ではありますが、こんな形は羨ましく思いますね。

しのぶや八木たちのように料理が得意な人たちも加わりますが、基本は初心者3人がメインになるため、作られる料理も比較的簡単なものが多く出てきます。
お味噌汁や卵焼き、ハンバーグに餃子、最初の1品目にいたってはお米を炊くだけ。料理の腕が少しずつ上達していくと共に、挑戦するレシピも増え、難易度も上がっていきますけど家庭料理の範囲から外れることはあまりないですね。さらに1話ごとに登場した料理のレシピも載せられているので実際に作ってみるのも楽しみのひとつだと思います。

読むとホッコリ癒され、心地よい気分にさせてもらえる作品でした。誰かと料理を作り、そのごはんを食べる家族の団欒の様子に温かさを感じさせてもらえました。
つむぎの可愛さ、これは反則的な威力です。笑ったり、怒ったり、泣いたり、感動したりと、せわしなくコロコロ変わる豊かな表情は必見の愛らしさ。つむぎのいろいろなことを経験し、世界を広げて成長していく姿を見守れるのもこの作品の大きな魅力だと思います。そして、そんな娘の成長を愛おしく見守る公平も、父親としてつむぎと一緒に成長していきます。小鳥の公平に抱く想いにも興味を引かれますね。恋なのか、憧れなのか、父親に対するような感情なのか、とにかく好きだという感情は強く伝わってきます。
ホームドラマとして楽しむこともできれば、料理マンガとして楽しむこともでき、育児本としても楽しめるなど、様々な楽しみ方のできる作品です。
読めばきっと多くの大切なことにも気づかせてくれると思いますので、よければ読んでみてください。自信を持っておすすめさせていただきます。



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posted by ハネ吉 at 18:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | グルメ

2016年12月29日

漫画『BUSTER DRESS』1巻の感想とあらすじ

『BUSTER DRESS』1巻の感想。


BUSTER DRESS
著者:貞松 龍壱
掲載:講談社コミックス
1巻発売日:2016年8月9日

22世紀末、人口の過剰増加により深刻な資源不足を招き、もはや地球という1つの星だけで人類が生きていくことは困難な状況に陥っていた。
人類は未来へ希望を繋げるため、新たに発見された惑星「セカンド・アース」の開拓へ乗り出す。20年以上の長き時間をかけたテラフォーム化により、惑星開拓は順調に進行されていたのだが、正体不明のテロが勃発したことによって戦争へ突入していた。
そんな戦場へ派兵された17歳の少年・葵春斗。高度なAIを搭載された巨大有人ロボット「バスタードレス」の相棒「ガンホーク」に搭乗し、部隊の仲間と共にセカンド・アースの地へ降り立った。しかし、突如部隊の前に現れた白いバスタードレスの襲撃を受け、壊滅的な被害を受けると同時に、バスタードレスのAIにも異変が・・・。

地球と似た環境へテラフォーム化された新惑星を舞台に、高度な人工知能を搭載した有人ロボットとパイロットのバディが、争乱収拾のために謎のテロに立ち向かう物語。
本格的なリアルロボット漫画です。単純に表紙のかっこよさに引かれて購入しました。アニメでは毎クール1つや2つは必ずロボット作品が製作される現在ですが、漫画になると意外と珍しいジャンルだったりしますね。

まず有人ロボット「バスタードレス」についてですが、表紙を見た感じだとどう見ても・・・。あの超有名ロボ作品『ガンダム』と似たフォルムをしてるので、関連作品と勘違いしそうになりますけど、全く関係ありません。それに読んでみると、似てると思える機体は主人公機の「ガンホーク」ぐらいなもので、他は味方機も敵機も二足歩行という共通点以外は特にそれらしさはありませんでしたね。

高度なAIを搭載することで、知能や感情のようなものまで得た次世代の戦闘用有人ロボット兵器、それが「バスタードレス」です。4種のフレームに無数のパーツと武装をパイロット1人1人の特性に合わせてカスタマイズされるため、全く同じ機体というのは1機たりとも存在しない専用機。基本の部分は同じなので量産機でありながら、専用機にもなるという感じです。
これが単純にかっこいい。パイロットごとにカスタマイズされるため、同じ機体が存在しないという設定も面白い。やはりロボットはいくつになってもテンションが上がります。
搭載されているAIが各種サポートをしてくれるわけですが、多くのAIは機械的反応しか示さないのに対し、主人公の相棒であるガンホークはロボットとは思えないほど豊かな感情表現をしています。さながら保護者のようにも見え、春斗自身も1巻開始当初から大切な家族のように思っているようです。

血の繋がった唯一の家族である兄を亡くしたガンホークに搭乗する17歳の葵春斗。その兄の死をきっかけにパイロットになる決意をして、そこでガンホークという新たな家族を得ました。
ガンホークに対しては強気に出ていても実際の性格は気弱ですね。パイロットには不向きにも見える精神的な弱さを見せますが、勇敢さも多少伺えました。1巻ではそれほど目立った活躍はなく、そのあたりは春斗の精神的・技術的部分での成長と合わせて2巻以降に期待です。

話の設定自体は良く言えば王道、悪く言えばありきたりですね。ただ、テロの正体は予想してた通りでしたが、まだ1巻ということもあって真相は定かではなく、謎も多いことからストーリー展開まで王道路線で進むかは不明。それに、ありがちとは言っても独自性もしっかり備えており、読んでいてもマンネリ感はありませんでした。
ガンホークやアストランティアのように人間味を感じるほどの感情や自我を持つ機体と、他の機械的なバスタードレスとでなぜ違いが生じたのかは気になるところですが、その違いの部分が敵との戦いには欠かせない重要性を秘めているようです。春斗たち人間の成長だけでなく、AIたちが何を考え、人とどう繋がっていくのかを見るのも楽しみなところ。

今後への高い期待を抱かせてくれるない湯でした。現時点でもそれなりに高い画力とはいえ、まだ新人さんということからさらなる向上も期待できるかもしれません。ロボット同士の戦闘は漫画にするとごちゃごちゃして分かり辛くなりがちですが、そこはなんとか大変だろうけどがんばって欲しいですね。
本格的なロボット作品を漫画で挑戦してくれたというだけでも、それなりに評価されてもいいと思ってます。主人公の成長やAIの行き着く先、伏線となっている謎、ツンなヒロイン候補がデレるのかなど、2巻以降どういう展開になるのか楽しみです。


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2016年12月28日

【ハチワンダイバー】マンガ 感想&あらすじ 他に類を見ない将棋をメインに扱ったバトル漫画

ヤングジャンプ・コミックス。2006年41号から2014年33号まで連載。全35巻
作者:柴田ヨクサル
他作品:エアマスター



あらすじ

人生の全てを賭け将棋のプロ棋士を目指していた菅田健太郎は、高すぎる壁に幅まれ、あと一歩のところで夢を断たれた元奨励会員。プロの道を断たれたとはいえ、将棋以外の生き方を知らない菅田は、日々の糧を稼ぐために賭け将棋に明け暮れる毎日を送っていた。
ある日、勝ちすぎてしまったことから対局相手を見つけられずにいると、凄腕の将棋指し“アキバの受け師”の存在を聞かされ、自分が負けることなど一切疑いを持たずに挑むが手も足も出ずに叩きのめさてしまう。このままで終われないと奮起した菅田は久々に将棋の勉強に取り掛かろうとするが、部屋は自堕落な生活により荒れ放題だったため、片付けてもらうため業者に依頼する。しかし、清掃にはなぜか菅田を「ご主人様」と呼ぶメイドの姿をした女性が現れ、しかもそのメイドは昨日自分のプライドをへし折った“アキバの受け師”こと、中静そよその人だった。
中静そよに才能を見出された菅田は、彼女の指導の下、真剣師としての道を歩みだすことに・・・。

主要登場人物

・菅田健太郎
主人公。将棋に人生の全てを賭けていたが、夢破れてプロ棋士への道を諦めた青年。奨励会脱退後は日銭を稼ぐために賭け将棋に明け暮れる日々を送っていました。“アキバの受け師”として名を馳せていたメイド姿の中静そよとの出会いをきっかけに、真剣師への道を本格的に歩み出すことになります。将棋盤に潜るイメージで勝利への道筋を導き出すことから、自らを“ハチワンダイバー”と名乗っています。中静そよに好意を抱き、その想いは将棋に負けないほど強くなっていきます。

・中静そよ
ヒロイン。19歳。「アキバの受け師」と称される凄腕の真剣師。グラマーな体系を持つ美人な女性。「秋葉原メイド掃除クラブ」のアルバイトをしており、みるくという源氏名を使いメイド姿で働いています。ある理由から鬼将会という団体に対して強い復讐心を持つ。将棋の戦術は相手の攻めをことごく受けきる戦法をとり、彼女も異名もそのスタイルによるものです。かなりの大食い。

・神野 神太郎
鬼将会に挑んだことが原因でホームレス暮らしをしている老人の真剣師。苗字と氏名それぞれに「神」が付くことから、通称「ニこ神」と呼ばれています。アマチュア名人戦3連覇を果たし、プロとの対局に勝利した過去を持つ実力者。勝負に敗北して弱っていた菅田を弟子入りさせ、将棋付けの毎日を送ることで成長を促しました。得意とする戦法は「雁木」。

・千鳥チコ
通商「チッチ」。約40歳。元女流名人という経歴を持ち、3連覇を成した後に突如引退。かつては愛らしい外見からアイドルのように扱われ、多くのファンを得ていました。子供の頃に谷生から将棋を習った過去を持ち、12歳で女流名人という偉業はその経験が大きな要因となっています。後に谷生の娘・卑弥呼と対局することになるが・・・。

・鈴木 大介
菅田のプロを目指していた当時の師匠。段位は八段。プロになれなかった菅田を今尚気にかけており、真剣師として腕を磨いた彼との対局を喜び、闘志を燃やします。早指しを得意とし、「早指し王」とまで呼ばれ恐れられる実力者。対局時には糖分補給のためシュークリームを持参しています。

・谷生
鬼将会の創設者。元奨励会3段。タイトル保持者を負かすほどの実力者。年齢は不詳だが、若い見た目に反して少なくとも推定40歳のチコよりは年上。幼い頃に「生まれる時代を間違えた」と生きることに悲観するが、将棋に出会い世界と繋がる感覚を憶えたことで没頭し、将棋こそが世界と捉えるようになります。プロ棋士を倒すため、真剣師の集団である鬼将会を創設しました。



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感想

プロ棋士になるという人生を賭けた夢を挫折した青年がメイド姿の女真剣師と出会い、様々な真剣師との戦いの中で将棋指しとして、人間として大きく成長していくと共に、彼女のために真剣師が集う組織を倒すために奮闘する姿を描いた物語。
将棋漫画、というより『将棋』を題材としたバトル漫画と言った方が正しいかもしれません。著者は独特なバトルとギャグが特徴の異種格闘漫画『エアマスター』でお馴染みの柴田ヨクサルさん。著者本人もかなりの実力者である上に、プロ棋士の鈴木大介8段が将棋監修を務め、さらに主人公の師匠役としても登場。2008年には溝端淳平さんを主演に迎え、実写ドラマ化もされています。

表で活躍しているプロ棋士ではなく、主に賭け将棋を生業としている真剣師たちの戦いを描いた作品です。将棋漫画というと、思い浮かぶのは最近では『3月のライオン』や『ひらけ駒』、少し以前だと『月下の棋士』や『しおんの王』なんかが有名ですが、本作ハチワンはストーリー展開、キャラクター、ギャグとノリ、どれをとっても他作品と比べると異質な将棋漫画。
ハイテンションな面白キャラ多数、ラブコメあり、格闘バトルあり、メイドありなど、様々な要素を将棋と絡め、時には将棋と全く関係ないバトルを繰り広げるおかしな作品です。私はここまでド派手な将棋漫画というのは他に見たことありません。

将棋というとあまり知識のない人にとっては難しく感じ、多少知識があったとしても盤面からだけではどちらが優勢かも判断に困り、人の動きも多くないことから地味で退屈にも感じられるなど、漫画としては扱い辛い題材だと思います。
しかし、この作品に関しては将棋対局の表現が非常にユニークであり、指し手ごとに過剰とも言える独特な表現方法を用い、将棋を全く知らない人でも楽しめるように作られています。
一手ごとに変化する盤面に対して、無数に広がる道筋を読み、その中にある勝利へと繋がる道を導き出す。実力が高ければ高いほど広く、深く読めるものですが、私のような常人には何が起こっているのかも理解不能な領域。そこを主人公である菅田の場合は盤面にダイブするというイメージを作り出し、深く、より深く潜る描写を見せることで読者にも分かり易く、尚且つワクワクさせる面白さも生んでいます。

将棋漫画でありながらじっくり読むような内容ではなく、バトル漫画のアクションシーンのように勢いで読めるところもあるため、あまり頭を使わないで楽しめると思います。もちろん将棋を知っていれば対局を深く読めるという楽しみ方もありますけどね。

アドレナリンが異常分泌されてるんじゃないかと心配になるほど、キャラクターのテンションが高いのも特徴。将棋や囲碁というのは厳かであり、“静”のイメージを抱きやすい競技だと思うんですが、そのイメージを見事にぶち壊しているというのは画期的。そのハイテンションは笑いを誘うこともあればドン引きを招くこともあるため、一概に良いとは言い辛いところもある意味面白い。
将棋してるときだけでなく、普段のやりとりの中でも異常にハイテンションな描写は目立ち、様々な想いを相手にぶつける時などはそれが顕著に現れていました。特に“愛”ですね。

画力に関しては低いというよりクセが強いので好みが分かれそうです。勢いや必死さは見事に描き出しており、ハイテンションなキャラと命を削る極限でのバトル描写を表現するには合ってると思うので、私は結構好きです。
『エアマスター』を読んでたときからなんとなく予想はしてましたが、著者はきっとムッチリ女性が好みなんでしょうね。ヒロインのそよを始め、多くがそのタイプの体型を持つ女性キャラでした。

将棋を知ってようが知らなかろうが関係なく、勢いだけで読ませてくる漫画でした。将棋をメインに扱っていてもやっぱりこれはバトル漫画ですね。良くも悪くも規格外、滅茶苦茶、イカれてるキャラクターと内容で最初から最後まで走り抜けてくれました。
最近似通った作品が多く出てくるなか、独特なストーリーと画風で他ではなかなか目にできない著者ならではの個性的な世界を生み出しています。人を選ぶ作品ではありますが、よければ試しに読んでみてください。個人的にはおすすめ。



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2016年12月27日

漫画『ラーメン大好き小泉さん』1巻の感想とあらすじ

『ラーメン大好き小泉さん』1巻の感想。


ラーメン大好き小泉さん
著者:鳴見 なる
掲載:バンブーコミックス
1巻発売日:2014年10月7日

ミステリアスな雰囲気を纏うクールビューティー女子高生の小泉さん。誰とも馴れ合うことをしない彼女には、こよなく愛するモノがあった。それは、日本人の国民食とも言える食べ物「ラーメン」。
彼女は、女子1人でも気にせずラーメン店の行列に並び、ガッツリ・コッテリ・サッパリ、どんなラーメンでも注文し、人目も憚らずにおもいっきり麺を啜るラーメンマニア。
小泉さんは今日も変わらずラーメン店を訪れ、席に着き、髪を束ねて戦闘態勢を整え、ラーメンと対峙する。これは、そんなラーメン大好き小泉さんの物語。

ラーメンが大好きな美少女JKと、彼女に触発され、彼女に魅了された人たちが、様々なラーメンをただひたすら一心不乱に食べまくるだけの話。
最近増えてきた「美少女×グルメ」作品で、ラーメンのみに焦点を当てたグルメ漫画。著者は『JA〜女子によるアグリカルチャー〜』の鳴見なるさん。2015年には早見あかりさんを主演としてドラマ化もされています。

日本の国民食という立場を不動のものとしている食品「ラーメン」。私はそれほど頻繁に食べてるわけではないんですが、昼も深夜も関係なく、時折無性に食べたくなる困ったヤツですね。その種類は多岐に渡り、現代では麺もスープも千差万別。ちなみに、私は代表的な醤油・味噌・豚骨・塩の中でなら、味噌ラーメンが1番好きです。

内容に関しては上記に書いた通り、美少女がラーメンを食べるだけの漫画で、一応様々なラーメンを紹介する話にもなっていますが、それ以上にラーメンを食する小泉さんをはじめとした、個性豊かな可愛い女の子たちが魅力の作品ですね。
帯に書いてあった「深夜に読んではいけません。※ふとります。」のコメント通り、読んでると猛烈にラーメンを食べたい衝動に駆られるので、時間帯には注意が必要。

小泉さんはウェーブのかかった「かん水(ラーメンの麺を製造するときに使用される食品添加物)」の黄色をイメージした髪色の、「人類より麺類派」のラーメンをこよなく愛する女子高生です。普段の彼女は無口、無表情、人とは馴れ合わない孤高のクールビューティー。しかし、ひとたびラーメンと対峙した彼女は、普段の雰囲気とは打って変わり、冷めていた眼には闘志がみなぎり、豪快に麺を一気にすすり、他には目もくれずにただひたすら食べまくります。
食べてる最中はあまり小泉さんにセリフはないにも関わらず、彼女の食べる姿、表情が言葉を必要としないほど多くを物語っていました。そして、食べ終わった後の恍惚とした表情がたまらなく素晴らしい。目と心を奪われ、胃袋に訴えかけてくる魅力があり、私はあの表情を見るために読み続けてるのかもとさえ思ってます。

そんな小泉さんとお近づきになりたいクラスメイト・大澤さんも面白い。小泉さんの可愛さ、ラーメンを食べてるときの幸せそうな表情に心を奪われてしまい、仲良くなろうと付き纏ってくる女子高生です。頻繁に話しかけてはいるものの、冷たくあしらわれ、スルーされることが多い不憫な子。ですが、多少アホっぽくも見える明るい性格と強靭なメンタルを持ち、ちょっとだけ会話できただけでも満足してしまう、ハッピーな思考の持ち主でもあります。
また、大澤さんの友人であるギャル系の美沙さんと優等生キャラの潤さんもそれぞれ違う魅力があって可愛い。なぜか積極的にアプローチをかける大澤さんより距離を縮めるため、彼女はそのことにショックを受け、仕舞には自分だけ冷たくされていることに駄々をこねるなど、一層不憫に拍車をかけてます。
性格は全然違っても3人の役割は同じです。小泉さんのラーメン講座を聞くという役割を担い、次第に興味を強めていくという読者と同じ立ち位置、同じ目線にいるキャラです。彼女たちみたいな代弁者的存在がいることで、読者も作品に感情移入しやすくなってます。

ラーメンに対しての強烈な愛を感じさせてくれる作品でした。特定の料理に絞るとどうしても狙う読者層は限られていまうところですが、そこはラーメンという国民食を扱うことで、幅広い層の人たちに楽しんでもらえるように出来てます。
ラーメンを美味しそうに食べる少女たちを見る楽しみ方もあれば、ラーメン自体を見たり小泉さんのうんちくを聞く楽しみ、キャラ同士のやりとりを見る楽しみ方もあり、読者の趣向によってそれぞれの楽しみ方ができる作品。
もし読まれるのなら、影響受けやすい方は深夜を避け、食前に読むことをおすすめします。


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2016年12月26日

【ふしぎの海のナディア】アニメ 感想&あらすじ 壮大な世界と戦いに身を置く少年少女の成長を描いた物語。



ふしぎの海のナディア
1990年4月放送
全39話
監督:庵野秀明
原作:ジュール・ヴェルヌ
脚本:大川久男、梅野かおる
ナディアの声:鷹森淑乃
ジャンの声:日高のり子

あらすじ

西暦1889年、万国博覧会の開催により賑わいを見せるフランスの都パリ。
叔父と共に飛行コンテストに参加するためパリを訪れていた発明好きの少年・ジャン。機体の整備中に褐色の肌を持つ謎の少女ナディアと出会い、ジャンは彼女に一目惚れしてしまった。仲良くなろうと後を追って話し掛けたジャンだったが、そこでナディアの持つ宝石「ブルーウォーター」を狙うグランディス一味が現れる。度重なる襲撃から逃れるため、ジャンはナディアを開発した飛行機に乗せ飛立ち、そのまま故郷のアフリカの地を目指し冒険の旅に出るのだが・・・。

主要登場人物

・ナディア・ラ・アルウォール
主人公。謎の宝石「ブルーウォーター」を持つ少女。褐色の肌、碧の瞳、ショートボブが特徴の14歳です。サーカス団で育ったことから身体能力は高い。勝気で非常にわがままな性格をしていますが、優しい心の持ち主でもあります。動物の言葉を理解できる不思議な力を持ち、それが原因であるトラウマを抱えてしまい、肉を食べられないベジタリアンになりました。あと、とても嫉妬深い。

・ジャン・ロック・ラルティーグ
もう1人の主人公。発明好きの少年。14歳のフランス人。茶色の髪と青い瞳、常に身に着けているメガネと蝶ネクタイが特徴。明るく前向き、温厚な性格をしており、正義感が強く、行動力もあります。世界中を飛びまわれる飛行機を発明し、行方不明の父を捜しに行きたいという目標を持っています。一目惚れしたナディアに積極的にアプローチをするが、女心には疎く、彼女を怒らせることは日常茶飯事。

・マリー・エン・カールスバーグ
4歳の少女。ネオアトランティスに侵略された島に住んでいたが、反抗した両親は殺されてしまい、1人になっていたところでナディアたちと出会いました。天真爛漫な明るい子供らしいところもある一方、大人っぽく振舞うおませなところもあります。キングとは大の仲良し。

・グランディス一味
ナディアの「ブルーウォーター」を狙っていた3人組の一味。序盤では執拗にナディアたちを付け狙う適役という位置づけだったが、中盤以降は仲間として良好な関係を築き、共にガーゴイルへ立ち向かいます。
ナディアにとって姉的な存在となる赤い髪が印象的な姉御肌のグランディス。グランディスの子分で怪力と高い射撃能力を持つ戦闘を担当する優男、サンソン。同じく子分の機械工学の天才であるメカ開発・整備を担当するハンソン。
グランディス一味はタイムボカンシリーズに登場する3人組悪党のオマージュ。

・ネモ
ノーチラス号の船長。本名はエルシス・ラ・アルウォール。寡黙であり常に冷静沈着に振る舞い、感情をあまり表に出さない男性。ガーゴイルに対して強い復讐心を持ち、ネオアトランティス共々打ち倒すことに心血を注いでいます。ラテン語で「ネモ=誰でもない」という意味。

・ガーゴイル
世界征服を目論むネオアトランティスの総帥。本名はネメシス・ラ・アルゴール。冷徹非常、傲岸不遜、目的のためなら手段を厭わない卑劣さを持ちます。かつて滅亡した王国「タルテソス」の宰相だった男。ナディアが持つ「ブルーウォーター」を狙っています。

感想

謎の宝石を持つ褐色肌の少女と発明好きの少年が出会い、旅立った先で様々な人たちと交流し成長していく中で、世界征服を企む組織とそれを阻もうとする反抗組織との戦いに巻き込まれていく物語。
少年少女たちのロマンと冒険あふれるSF海洋冒険活劇。著者・ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』と『神秘の島』をアレンジして製作された作品です。総監督は『エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』など、数多くの有名作品を手がけている庵野秀明さん。

19世紀のヨーロッパやアフリカなどを舞台とし、時代を思わせる建築・服装や生活様式を描いていながら、SFファンタジー的な要素も取り入れている世界観ですね。
日常・コメディパートでは比較的現実的な世界観を描き出し、主に戦闘描写ではSFファンタジー色が強く現れています。時代背景は現代よりも100年以上も前を設定しているにも関わらず、当時ではまず存在しえない、考えられないオーパーツのような空想科学メカ・兵器が多く登場し、現代兵器も真っ青な戦闘を繰り広げていました。

物語の開始1話、謎の光る宝石を持つ少女がそれを付け狙う悪党に追われ、その最中に出会った少年と共に逃げる、というシーンはジブリ作品『ラピュタ』に類似した展開を見せてくれました。
物語の序盤はまず、ナディアやジャン、グランディス一味、マリーやネモなどのメインとなる登場人物たちの出会いを描き、さらに作品を通しての敵となる組織「ネオアトランティス」の存在を印象付ける話ですね。「出会い編」とでも言うのかな?ここで視聴者の興味を引くための大まかな物語紹介と伏線貼りをしています。
2編目となるのが「ノーチラス号編」。いろいろあって協力関係になったナディア達とグランディス一味は「ノーチラス号」に救助され、2人旅から集団生活へとシフト。船での生活と交流によって大きな影響を受けるジャンとナディアの姿、グランディスがネモに一目惚れするなどの一味のドタバタ劇、ある船員との悲しい別れ、そしてノーチラス号とネオアトランティスの決戦などを描いています。この章はいくつもの要素がてんこ盛りなので特に楽しめましたね。
そしていろいろと話題を呼んだ無人島に漂着した一行の島での暮らしを描いた「島編」に突入。ある国へ丸投げしたせいで崩壊した作画によってかなり不評を買ってしまいましたね。作画に関しては私も不満しかありませんが、同様に不評だったストーリーについてはむしろ結構好きだったりします。長すぎた感はありましたけどジャンとナディアの成長と変化を見ることができ、キングやグランディス一味を交えたドタバタ劇も面白く、あとマリーの存在が目立つ部分もありましたね。作画崩れを起こさず話数をもう少しだけ減らしていたら最高だったと思います。
そして様々な伏線を回収して真実が明らかになる「最終章」へ進み、物語のその後を描いたエピローグをもって幕を閉じます。

壮大な物語ではありますが、あくまでこれは少年少女の成長と出発、夢やロマンを追う人たちの姿を描いた作品だと思います。まだまだ人生経験の浅い子たちが様々な経験を経て、目にしていた前面だけでなく見えずらい側面を目の当たりにし、その上で自分が何をすべきかをしっかりと見据え、決断し、行動していくという姿をしっかり描いてしました。

気まぐれでワガママ娘だけどそれでもナディアが好きになってしまいました。見た目は文句なしで可愛い少女ではあるものの、キツくてめんどくさい性格から好き嫌いがはっきり分かれたであろうヒロインですね。監督である庵野秀明さんの女性観が強く反映されているらしいです。
特にジャンに対しては辛らつすぎる当たりの強さを見せ、意地っ張りで素直になれず、ついついキツイ言動をとってしまう子。偏食キャラ、ワガママお嬢様キャラなど、めんどくさい性格をしたキャラを1つに合わせたようなキャラですね。
そんなワガママ娘もジャンの素直な心にふれ、優しさを感じたことで閉ざしていた心を開き、少しずつ惹かれていく様子は可愛いかったです。何より彼女が見せる純粋な笑顔は素晴らしい。ナディアの成長はなによりジャンという存在が大きく影響しており、彼の言動、行動、姿に強く心を揺り動かされ、それが成長や変化を促すきっかけになっていたと思います。

笑いあり、涙あり、感動あり、強烈なワガママ娘ありの海洋冒険ストーリー、とても面白かったです。大人になった今でも、むしろ今だからこそ、この作品を観ると夢やロマンに胸踊り、まだ未熟な少年少女たちからは愛、友情、命などの大切なことを教えてもらえた気もします。
また、音楽も素晴らしい。オープニングテーマ曲の『ブルーウォーター』、エンディングテーマ曲の『Yes! I will...』をはじめ、耳に強く残る楽曲が多く、アニメ内容の壮大さに引けを取らない秀逸な出来に仕上げていますね。
1990年の作品でありながら今尚色褪せることのない名作だと思っています。今更私がおすすめするまでもなく有名な作品ではありますけど、まだ観たことのない方がいましたら是非観て欲しいと思う作品です。

ふしぎの海のナディア Blu-ray BOX【完全生産限定版】
by カエレバ


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posted by ハネ吉 at 19:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
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