2016年12月28日
【ハチワンダイバー】マンガ 感想&あらすじ 他に類を見ない将棋をメインに扱ったバトル漫画
ヤングジャンプ・コミックス。2006年41号から2014年33号まで連載。全35巻
作者:柴田ヨクサル
他作品:エアマスター
人生の全てを賭け将棋のプロ棋士を目指していた菅田健太郎は、高すぎる壁に幅まれ、あと一歩のところで夢を断たれた元奨励会員。プロの道を断たれたとはいえ、将棋以外の生き方を知らない菅田は、日々の糧を稼ぐために賭け将棋に明け暮れる毎日を送っていた。
ある日、勝ちすぎてしまったことから対局相手を見つけられずにいると、凄腕の将棋指し“アキバの受け師”の存在を聞かされ、自分が負けることなど一切疑いを持たずに挑むが手も足も出ずに叩きのめさてしまう。このままで終われないと奮起した菅田は久々に将棋の勉強に取り掛かろうとするが、部屋は自堕落な生活により荒れ放題だったため、片付けてもらうため業者に依頼する。しかし、清掃にはなぜか菅田を「ご主人様」と呼ぶメイドの姿をした女性が現れ、しかもそのメイドは昨日自分のプライドをへし折った“アキバの受け師”こと、中静そよその人だった。
中静そよに才能を見出された菅田は、彼女の指導の下、真剣師としての道を歩みだすことに・・・。
・菅田健太郎
主人公。将棋に人生の全てを賭けていたが、夢破れてプロ棋士への道を諦めた青年。奨励会脱退後は日銭を稼ぐために賭け将棋に明け暮れる日々を送っていました。“アキバの受け師”として名を馳せていたメイド姿の中静そよとの出会いをきっかけに、真剣師への道を本格的に歩み出すことになります。将棋盤に潜るイメージで勝利への道筋を導き出すことから、自らを“ハチワンダイバー”と名乗っています。中静そよに好意を抱き、その想いは将棋に負けないほど強くなっていきます。
・中静そよ
ヒロイン。19歳。「アキバの受け師」と称される凄腕の真剣師。グラマーな体系を持つ美人な女性。「秋葉原メイド掃除クラブ」のアルバイトをしており、みるくという源氏名を使いメイド姿で働いています。ある理由から鬼将会という団体に対して強い復讐心を持つ。将棋の戦術は相手の攻めをことごく受けきる戦法をとり、彼女も異名もそのスタイルによるものです。かなりの大食い。
・神野 神太郎
鬼将会に挑んだことが原因でホームレス暮らしをしている老人の真剣師。苗字と氏名それぞれに「神」が付くことから、通称「ニこ神」と呼ばれています。アマチュア名人戦3連覇を果たし、プロとの対局に勝利した過去を持つ実力者。勝負に敗北して弱っていた菅田を弟子入りさせ、将棋付けの毎日を送ることで成長を促しました。得意とする戦法は「雁木」。
・千鳥チコ
通商「チッチ」。約40歳。元女流名人という経歴を持ち、3連覇を成した後に突如引退。かつては愛らしい外見からアイドルのように扱われ、多くのファンを得ていました。子供の頃に谷生から将棋を習った過去を持ち、12歳で女流名人という偉業はその経験が大きな要因となっています。後に谷生の娘・卑弥呼と対局することになるが・・・。
・鈴木 大介
菅田のプロを目指していた当時の師匠。段位は八段。プロになれなかった菅田を今尚気にかけており、真剣師として腕を磨いた彼との対局を喜び、闘志を燃やします。早指しを得意とし、「早指し王」とまで呼ばれ恐れられる実力者。対局時には糖分補給のためシュークリームを持参しています。
・谷生
鬼将会の創設者。元奨励会3段。タイトル保持者を負かすほどの実力者。年齢は不詳だが、若い見た目に反して少なくとも推定40歳のチコよりは年上。幼い頃に「生まれる時代を間違えた」と生きることに悲観するが、将棋に出会い世界と繋がる感覚を憶えたことで没頭し、将棋こそが世界と捉えるようになります。プロ棋士を倒すため、真剣師の集団である鬼将会を創設しました。
【eBookJapan】 ハチワンダイバー 無料で立ち読みできます
プロ棋士になるという人生を賭けた夢を挫折した青年がメイド姿の女真剣師と出会い、様々な真剣師との戦いの中で将棋指しとして、人間として大きく成長していくと共に、彼女のために真剣師が集う組織を倒すために奮闘する姿を描いた物語。
将棋漫画、というより『将棋』を題材としたバトル漫画と言った方が正しいかもしれません。著者は独特なバトルとギャグが特徴の異種格闘漫画『エアマスター』でお馴染みの柴田ヨクサルさん。著者本人もかなりの実力者である上に、プロ棋士の鈴木大介8段が将棋監修を務め、さらに主人公の師匠役としても登場。2008年には溝端淳平さんを主演に迎え、実写ドラマ化もされています。
表で活躍しているプロ棋士ではなく、主に賭け将棋を生業としている真剣師たちの戦いを描いた作品です。将棋漫画というと、思い浮かぶのは最近では『3月のライオン』や『ひらけ駒』、少し以前だと『月下の棋士』や『しおんの王』なんかが有名ですが、本作ハチワンはストーリー展開、キャラクター、ギャグとノリ、どれをとっても他作品と比べると異質な将棋漫画。
ハイテンションな面白キャラ多数、ラブコメあり、格闘バトルあり、メイドありなど、様々な要素を将棋と絡め、時には将棋と全く関係ないバトルを繰り広げるおかしな作品です。私はここまでド派手な将棋漫画というのは他に見たことありません。
将棋というとあまり知識のない人にとっては難しく感じ、多少知識があったとしても盤面からだけではどちらが優勢かも判断に困り、人の動きも多くないことから地味で退屈にも感じられるなど、漫画としては扱い辛い題材だと思います。
しかし、この作品に関しては将棋対局の表現が非常にユニークであり、指し手ごとに過剰とも言える独特な表現方法を用い、将棋を全く知らない人でも楽しめるように作られています。
一手ごとに変化する盤面に対して、無数に広がる道筋を読み、その中にある勝利へと繋がる道を導き出す。実力が高ければ高いほど広く、深く読めるものですが、私のような常人には何が起こっているのかも理解不能な領域。そこを主人公である菅田の場合は盤面にダイブするというイメージを作り出し、深く、より深く潜る描写を見せることで読者にも分かり易く、尚且つワクワクさせる面白さも生んでいます。
将棋漫画でありながらじっくり読むような内容ではなく、バトル漫画のアクションシーンのように勢いで読めるところもあるため、あまり頭を使わないで楽しめると思います。もちろん将棋を知っていれば対局を深く読めるという楽しみ方もありますけどね。
アドレナリンが異常分泌されてるんじゃないかと心配になるほど、キャラクターのテンションが高いのも特徴。将棋や囲碁というのは厳かであり、“静”のイメージを抱きやすい競技だと思うんですが、そのイメージを見事にぶち壊しているというのは画期的。そのハイテンションは笑いを誘うこともあればドン引きを招くこともあるため、一概に良いとは言い辛いところもある意味面白い。
将棋してるときだけでなく、普段のやりとりの中でも異常にハイテンションな描写は目立ち、様々な想いを相手にぶつける時などはそれが顕著に現れていました。特に“愛”ですね。
画力に関しては低いというよりクセが強いので好みが分かれそうです。勢いや必死さは見事に描き出しており、ハイテンションなキャラと命を削る極限でのバトル描写を表現するには合ってると思うので、私は結構好きです。
『エアマスター』を読んでたときからなんとなく予想はしてましたが、著者はきっとムッチリ女性が好みなんでしょうね。ヒロインのそよを始め、多くがそのタイプの体型を持つ女性キャラでした。
将棋を知ってようが知らなかろうが関係なく、勢いだけで読ませてくる漫画でした。将棋をメインに扱っていてもやっぱりこれはバトル漫画ですね。良くも悪くも規格外、滅茶苦茶、イカれてるキャラクターと内容で最初から最後まで走り抜けてくれました。
最近似通った作品が多く出てくるなか、独特なストーリーと画風で他ではなかなか目にできない著者ならではの個性的な世界を生み出しています。人を選ぶ作品ではありますが、よければ試しに読んでみてください。個人的にはおすすめ。
作者:柴田ヨクサル
他作品:エアマスター
あらすじ
人生の全てを賭け将棋のプロ棋士を目指していた菅田健太郎は、高すぎる壁に幅まれ、あと一歩のところで夢を断たれた元奨励会員。プロの道を断たれたとはいえ、将棋以外の生き方を知らない菅田は、日々の糧を稼ぐために賭け将棋に明け暮れる毎日を送っていた。
ある日、勝ちすぎてしまったことから対局相手を見つけられずにいると、凄腕の将棋指し“アキバの受け師”の存在を聞かされ、自分が負けることなど一切疑いを持たずに挑むが手も足も出ずに叩きのめさてしまう。このままで終われないと奮起した菅田は久々に将棋の勉強に取り掛かろうとするが、部屋は自堕落な生活により荒れ放題だったため、片付けてもらうため業者に依頼する。しかし、清掃にはなぜか菅田を「ご主人様」と呼ぶメイドの姿をした女性が現れ、しかもそのメイドは昨日自分のプライドをへし折った“アキバの受け師”こと、中静そよその人だった。
中静そよに才能を見出された菅田は、彼女の指導の下、真剣師としての道を歩みだすことに・・・。
主要登場人物
・菅田健太郎
主人公。将棋に人生の全てを賭けていたが、夢破れてプロ棋士への道を諦めた青年。奨励会脱退後は日銭を稼ぐために賭け将棋に明け暮れる日々を送っていました。“アキバの受け師”として名を馳せていたメイド姿の中静そよとの出会いをきっかけに、真剣師への道を本格的に歩み出すことになります。将棋盤に潜るイメージで勝利への道筋を導き出すことから、自らを“ハチワンダイバー”と名乗っています。中静そよに好意を抱き、その想いは将棋に負けないほど強くなっていきます。
・中静そよ
ヒロイン。19歳。「アキバの受け師」と称される凄腕の真剣師。グラマーな体系を持つ美人な女性。「秋葉原メイド掃除クラブ」のアルバイトをしており、みるくという源氏名を使いメイド姿で働いています。ある理由から鬼将会という団体に対して強い復讐心を持つ。将棋の戦術は相手の攻めをことごく受けきる戦法をとり、彼女も異名もそのスタイルによるものです。かなりの大食い。
・神野 神太郎
鬼将会に挑んだことが原因でホームレス暮らしをしている老人の真剣師。苗字と氏名それぞれに「神」が付くことから、通称「ニこ神」と呼ばれています。アマチュア名人戦3連覇を果たし、プロとの対局に勝利した過去を持つ実力者。勝負に敗北して弱っていた菅田を弟子入りさせ、将棋付けの毎日を送ることで成長を促しました。得意とする戦法は「雁木」。
・千鳥チコ
通商「チッチ」。約40歳。元女流名人という経歴を持ち、3連覇を成した後に突如引退。かつては愛らしい外見からアイドルのように扱われ、多くのファンを得ていました。子供の頃に谷生から将棋を習った過去を持ち、12歳で女流名人という偉業はその経験が大きな要因となっています。後に谷生の娘・卑弥呼と対局することになるが・・・。
・鈴木 大介
菅田のプロを目指していた当時の師匠。段位は八段。プロになれなかった菅田を今尚気にかけており、真剣師として腕を磨いた彼との対局を喜び、闘志を燃やします。早指しを得意とし、「早指し王」とまで呼ばれ恐れられる実力者。対局時には糖分補給のためシュークリームを持参しています。
・谷生
鬼将会の創設者。元奨励会3段。タイトル保持者を負かすほどの実力者。年齢は不詳だが、若い見た目に反して少なくとも推定40歳のチコよりは年上。幼い頃に「生まれる時代を間違えた」と生きることに悲観するが、将棋に出会い世界と繋がる感覚を憶えたことで没頭し、将棋こそが世界と捉えるようになります。プロ棋士を倒すため、真剣師の集団である鬼将会を創設しました。
【eBookJapan】 ハチワンダイバー 無料で立ち読みできます
感想
プロ棋士になるという人生を賭けた夢を挫折した青年がメイド姿の女真剣師と出会い、様々な真剣師との戦いの中で将棋指しとして、人間として大きく成長していくと共に、彼女のために真剣師が集う組織を倒すために奮闘する姿を描いた物語。
将棋漫画、というより『将棋』を題材としたバトル漫画と言った方が正しいかもしれません。著者は独特なバトルとギャグが特徴の異種格闘漫画『エアマスター』でお馴染みの柴田ヨクサルさん。著者本人もかなりの実力者である上に、プロ棋士の鈴木大介8段が将棋監修を務め、さらに主人公の師匠役としても登場。2008年には溝端淳平さんを主演に迎え、実写ドラマ化もされています。
表で活躍しているプロ棋士ではなく、主に賭け将棋を生業としている真剣師たちの戦いを描いた作品です。将棋漫画というと、思い浮かぶのは最近では『3月のライオン』や『ひらけ駒』、少し以前だと『月下の棋士』や『しおんの王』なんかが有名ですが、本作ハチワンはストーリー展開、キャラクター、ギャグとノリ、どれをとっても他作品と比べると異質な将棋漫画。
ハイテンションな面白キャラ多数、ラブコメあり、格闘バトルあり、メイドありなど、様々な要素を将棋と絡め、時には将棋と全く関係ないバトルを繰り広げるおかしな作品です。私はここまでド派手な将棋漫画というのは他に見たことありません。
将棋というとあまり知識のない人にとっては難しく感じ、多少知識があったとしても盤面からだけではどちらが優勢かも判断に困り、人の動きも多くないことから地味で退屈にも感じられるなど、漫画としては扱い辛い題材だと思います。
しかし、この作品に関しては将棋対局の表現が非常にユニークであり、指し手ごとに過剰とも言える独特な表現方法を用い、将棋を全く知らない人でも楽しめるように作られています。
一手ごとに変化する盤面に対して、無数に広がる道筋を読み、その中にある勝利へと繋がる道を導き出す。実力が高ければ高いほど広く、深く読めるものですが、私のような常人には何が起こっているのかも理解不能な領域。そこを主人公である菅田の場合は盤面にダイブするというイメージを作り出し、深く、より深く潜る描写を見せることで読者にも分かり易く、尚且つワクワクさせる面白さも生んでいます。
将棋漫画でありながらじっくり読むような内容ではなく、バトル漫画のアクションシーンのように勢いで読めるところもあるため、あまり頭を使わないで楽しめると思います。もちろん将棋を知っていれば対局を深く読めるという楽しみ方もありますけどね。
アドレナリンが異常分泌されてるんじゃないかと心配になるほど、キャラクターのテンションが高いのも特徴。将棋や囲碁というのは厳かであり、“静”のイメージを抱きやすい競技だと思うんですが、そのイメージを見事にぶち壊しているというのは画期的。そのハイテンションは笑いを誘うこともあればドン引きを招くこともあるため、一概に良いとは言い辛いところもある意味面白い。
将棋してるときだけでなく、普段のやりとりの中でも異常にハイテンションな描写は目立ち、様々な想いを相手にぶつける時などはそれが顕著に現れていました。特に“愛”ですね。
画力に関しては低いというよりクセが強いので好みが分かれそうです。勢いや必死さは見事に描き出しており、ハイテンションなキャラと命を削る極限でのバトル描写を表現するには合ってると思うので、私は結構好きです。
『エアマスター』を読んでたときからなんとなく予想はしてましたが、著者はきっとムッチリ女性が好みなんでしょうね。ヒロインのそよを始め、多くがそのタイプの体型を持つ女性キャラでした。
将棋を知ってようが知らなかろうが関係なく、勢いだけで読ませてくる漫画でした。将棋をメインに扱っていてもやっぱりこれはバトル漫画ですね。良くも悪くも規格外、滅茶苦茶、イカれてるキャラクターと内容で最初から最後まで走り抜けてくれました。
最近似通った作品が多く出てくるなか、独特なストーリーと画風で他ではなかなか目にできない著者ならではの個性的な世界を生み出しています。人を選ぶ作品ではありますが、よければ試しに読んでみてください。個人的にはおすすめ。
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