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2017年11月08日

【プリンセスメゾン】マンガ 感想&あらすじ 沼ちゃんを主軸に描かれる、妙齢女子たちの家にまつわるエピソードを綴った群像劇

【プリンセスメゾン】マンガ 感想&あらすじ 

やわらかスピリッツ。2014年8月7日から連載中。既刊4巻
著者:池辺葵



あらすじ

オリンピックを控え、世界中から注目を集める大都市・東京。

ファミリー向けのマンションギャラリー見学会に、複数のカップルに混じって、お一人様で果敢に参加しているおさげ髪の女性がいた。
彼女の名前は――沼越 幸(ぬまごえ さち)。

居酒屋チェーン店で働きながら、都内のアパートで一人暮らしをしている沼越さん。理想の家を求めて様々な物件を巡り歩いてきた彼女は、不動産会社の受付嬢からもよく知られる見学会の常連と化していた。

女性が一人、所得も低い状況で、家を持つことは果たして堅実なこと?それとも無謀なこと?

大きい夢なんかじゃない。自分次第で手の届く目標――そう言い切る沼超さんは、たったひとつの自分だけの家と巡り会うため、今日も東京の街を歩き回るのだった。

夢見ながらも切実に、それぞれの生き方、家への想いを考えながら、様々な人たちが織り成す家探しの旅がここに。

主要登場人物

ネタバレも若干含まれているので注意

・沼越 幸(ぬまごえ さち)
主人公。年齢は20代半ば。おさげ髪がトレードマークの小柄な女性。年齢よりも大分幼く見られます。独身。大人しいけどまっすぐな頑張り屋さん。その真面目な仕事ぶりと性格から職場での信頼は厚い。
現在は都内の古いアパートで一人暮らし。高校卒業後に上京し、以来8年間居酒屋チェーン店で正社員として働いています。両親は高校生のときに他界し、それから2年間は叔父夫妻のもとで暮らしていました。
理想の家を見つけて取得する夢を持ち、持井不動産のモデルルーム見学へも頻繁に参加。そのため、マンションの知識は不動産会社の社員並みかそれ以上に豊富。普段は質素な生活を送り、高くはない給料の多くを家購入の資金にするため貯金。理想と夢を抱いてはいても、地に足がついてるので物件探しは現実的に考え、身の丈にあった素敵な家を手に入れることが目標。
念願叶って夢のマイホームを35年ローンで購入。これからの事に対しては当然不安を抱えているものの、ゼロからここまで来たことからなんとでもなるとも思っており、購入の後悔は全くないようです。

・要 理子(かなめ りこ)
持井不動産に勤務するベテランの女性派遣スタッフ。独身。クールなしっかり者。実家は和歌山。
ユニットバスの手狭なマンションで一人暮らし。当初は、見学会によく訪れて来る幸にマンション購入の意欲があるのか疑問に思っていましたが、彼女の強い意志とひたむきさに触れたことで、家探しを応援するようになりました。
一人飲みや外食を好んでいます。居酒屋「じんちゃん」に立ち寄った際、偶然そこで正社員として働いていた幸と出会います。それをきっかけに彼女の自宅へ遊びに行ったり、一緒に出かけるようになり、「沼ちゃん」と呼ぶ友人の関係になり、家探しにも協力。幸が住宅ローン審査に通ったときは泣いて喜んでくれました。
音楽鑑賞が趣味。命を燃やすほど何かに必死で取り組めるモノがないことから、そういうモノを持ってる人には強く惹かれるようです。

・伊達 政一(だて せいいち)
持井不動産に勤務する社員。メガネをかけた真面目な男性で、あまり感情を見せない冷静な人。仕事ぶりは有能で責任感も強い。かなづちのため水が大の苦手。
高層マンションで一人暮らし。家事全般完璧にこなし、潔癖気質なところがあるため、部下の恩田からは独り身に向いてると言われています。少しとっつきにくい雰囲気はあっても、同僚からの信頼は厚い。
幸が本気で物件探しに取り組んでいることを分かっているため、彼女のことをとても気にかけ親身に相談も受け、理想を実現してもらえるように積極的に協力してくれます。
理子さんからは幸に惚れてると思われてる節がアリ。実際彼女のとこをどう想っているかは不明。

・阿久津 マリエ(あくつ まりえ)
持井不動産に勤務する新人の女性派遣スタッフ。年齢は22歳ぐらい。フレンドリーな明るい性格で、あまり細かいことを気にしませんが、そのせいで失敗することも。涙もろい。
恋人がいましたが、現在は別れて同棲していた部屋で一人暮らし。独りになったことで真剣にマンション購入を考えているとのこと。ただし、どれだけ本気かは定かではありません。理子さんを通して沼ちゃんとも親しくなり、一緒に出掛けることもよくあります。

・奥田 直人(おくだ なおと)
持井不動産に勤務する若手社員。関西出身。研修でモデルルーム担当になったばかりのため、案内はまだ若干おぼつかないところもあります。仕事は真面目に取り組み、性格も明るい。
会話の中にちょくちょく妙な関西弁を無自覚で挟むことがあり、そのことは伊達さんから注意を受けています。阿久津さんに気がある模様。かなりの甘党で男性ひとりでも気にせずスイーツ店にも入れます。


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感想・見どころ

みなさんはマイホームが欲しいと思ったことはありますか?
多くの方は一度や二度どころか、考えたことぐらいなら何度でもあると思います。人生においてひとつの大きな夢にも挙げられるでしょうから。もちろん、買えるかどうかは別として・・・。
私は確か高校2年の一時期、家欲しいモチベーションが異様に高まってしまい、妄想しながら見取り図なんかを描いてた記憶があります。現実は賃貸マンションで1人暮らしというのが大人になった今の姿ですが、マイホームの憧れは捨てられず、それを目標に貯金はしております。漫画読まなければもっと貯金できるのでは?なんてことは言わないでくださいね。
家を買うことの苦労は並大抵のことじゃありません。家を買うまでにも、家を買った後にも、様々な問題が付いて回るもの。それを本気で求めるのなら、単純な金銭だけではなく、相応の覚悟と意志の強さも必要とされることでしょう。

さてさて、そんなこんなで今回は、女性と家をテーマにした『プリンセスメゾン』という漫画を紹介させていただきます。特に女性読者から高い共感を得ている作品ですね。

居酒屋で働く理想のマイホームを夢見る女性と、親身になって彼女のサポートをする不動産屋スタッフたちの交流を主軸に、様々な事情と想いを抱えた女性たちによる、「女性が一人で家を持つこと」の切なさと喜びを描いた物語。
妙齢女子たちの家にまつわるエピソードを綴った群像劇。帯での謳い文句は「年収250万円ちょっとの主人公、沼ちゃんが挑む、SNSで大人気、共感度100%の家さがしストーリー。」(1巻)、「わたしだけの家。それは、いちばん幸福で、いちばん孤独な場所。」(2巻)など。「このマンガがすごい!2016」オンナ編にて第10位にランクイン。2016年には全8話でテレビドラマ化。
作者は第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門において新人賞を受賞した『どぶがわ』や、実写映画化された『繕い裁つ人』で知られる女性漫画家・池辺 葵(いけべ あおい)先生。

沼ちゃんと不動産屋の人々との温かな繋がり

基本一話完結の群像劇なので様々な女性たちが登場しますが、主軸となるストーリーは、理想の家を探している主人公の「沼ちゃん」こと沼越 幸(ぬまごえ さち)の家探し

都内の古い賃貸アパートで質素に暮らし、正社員として勤務する居酒屋で真面目に働き、多くはない給料から毎月コツコツ貯蓄。夢は「自分の家」を手に入れること。

なので沼ちゃんはマンションの内見にも余念がありません。なかでも持井不動産のスタッフとは特に顔なじみの間柄。ベテラン女性スタッフの理子と友人になってからは、他のスタッフとも一層距離が縮まり、お客と不動産屋の関係を超えた特別な繋がりを両者から感じるようになっていきます。

沼ちゃんの真剣な家への想いや考え、ひたむきに頑張る姿に触れる機会も増えたことで、理子さんや伊達さんをはじめとした不動産屋のスタッフたちは、それぞれの受け止め方で反応を示し、彼女と正面から向き合ってるように見えました。

沼ちゃんからは心に響くセリフもよく聞かせてもらえるのですけど、常日頃から物件を扱っている彼等だからこそより深く胸に刺さっていたようにも感じられます。

この関係性が心地良い空気感を生みだしてるんでしょうね。不動産屋の方々からは、沼ちゃんに理想の家と巡り会って欲しいという想いがヒシヒシ伝わってきました。
彼女の真摯な姿勢を見ていると、応援したい、自分も頑張りたいと思うようになるも理解できます。

リアルに描かれる現代の「おひとり女性」と「家」と「生活」

上記にも書いた通り群像劇ということで、メインとなる沼ちゃんのストーリー進行に併せて、オムニバス形式で様々な事情を抱えたプリンセスたちが登場します。

生活を確立し、広いマンションに一人で住む老齢のベテラン漫画家。
充実してるようでいて、時たま淋しさを覗かせるバリキャリ女性。
自分で選んだ道は本当に合っているのかとフト考えてしまう出版社の編集長。
渡り鳥のように住む家も土地も転々として思うままに生きているデザイナー。
・・・etc。

そのなかにはもちろん、沼ちゃんの家探しを仕事でもプライベートでも支えている理子さんや阿久津さんのエピソードもあります。

正直言いますと、なかには何度か読み返しても心情がぼんやりとしか分からなかった人物がちらほらいました。ただ、読み手によってエピソードごとの共感度合いはかなり違ってくると思います。
それだけこの作品の中では、十人十色のライフスタイルが描かれ、抱えている事情もリアルで様々。人によってはよく分からないシーンであっても、別の人には強く胸に刺さるモノがあるでしょうね。

完璧な幸福を実現できてる人物もいなければ、完全に不幸である人物もいません。なのでストーリーはゆるやかに進みつつも、言いようのない焦燥感も受け取れます。それでいて、最後にはいつも穏やかに締め括ってくれるので、とても心地よい読後感を味わえるのは良いところ。

共感できなかったとしても、全く同じスタイルで生きてる人なんて当然一人もいないので、色々な生き方を見ることが出来る面白さもありますね。
彼女たちの人生にふれることで、こういった生き方もあるんだなと、良い刺激を貰えるかもしれません。

理想のマイホームと巡り会うたにチェックすべき大切なポイント

マイホームが欲しいなと、ただの希望であろうとなんだとしても、少しでも思ってる方にはとても良い参考になる漫画でもあります。

毎回ではないですけどエピソードごとの合間に、「運命の物件」をみつけるためのチェックポイントや、「暮らし」に関する様々なアンケート結果をプリンセスメゾンのキャラクターたちが教えてくれます

もちろん、沼ちゃんが家探しをしているストーリー上でも、伊達さん辺りがとてもタメになるアドバイスをしてくれるので、これから物件を探す際にはとても役に立ちそうです。

そして、沼ちゃんからは覚悟や心がけを学ばせてもらえました。彼女は理想を強く持っているんだけど、決して夢見る乙女みたいなフワフワしてるキャラではなく、まず先に現実があることをちゃんと分かってます。悩みがないわけではなくとも、芯がしっかり通ってる彼女の姿勢と言葉には重みがありますね。

1巻のエピソードにもあった通り、現実から理想を算出することが大切なのだと思います。家を買うことに夢を見るのは別に悪いことではありませんが、マイナス面もしっかり考慮しておかないと、後々後悔したとき簡単に手放せる買い物ではないですから。

「何もかもぴったりくるものなんてどこにもない。だから私が見つけたこの家を大事にしようって・・・思うんです。」
この沼ちゃんの言葉、好きです。

最後に

こんな感じでいかがだったでしょうか?

理想の家を探す沼ちゃんと不動産屋の交流を主軸に、様々な女性たちの「住」をオムニバスで描いた漫画『プリンセスメゾン』の紹介でした。

静かで穏やかに、でも色んな感情が流れ込んでくるストーリーとキャラウターは面白い。様々なライフスタイルがあれば、その数だけドラマも生まれることになり、そのひとつひとつがゆるやかにどこかで繋がっていたのも良かったです。

多くを語らない作風なのも、作品を味わい深くさせている要因だと思います。セリフが少なく、表情や仕草、そのキャラの心を写しているかのような景色で感情を表現しているため、「絵と雰囲気から読む」とでも言えましょうか、読者はそれぞれの受け止め方で楽しむことができる魅力がありましたね。

家を買う予定がなくても、少しでも憧れを持っているなら楽しめますし、参考にもなると思いますのでよければ読んでみてください。自身を持っておすすめさせていただきます。

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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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