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2016年09月30日

【ニコイチ】マンガ 感想&あらすじ 会社では男、家庭では母として生きる二重生活ラブコメディ

ヤングガンガン。2004年12月から2012年1月まで連載中。全10巻
著者:金田一蓮十郎
他作品:ライアー×ライアー



あらすじ・概要

モデルのようなスラッとした体系をしている美人ママの須田真琴、そんなお母さんが大好きな11歳の息子の須田崇、父親はいないけど幸せな普通の家族のように見えるこの家庭にはある秘密があった。息子に愛されてる美人ママの正体は、なんと29歳の冴えないサラリーマンだった。真琴は事故で亡くなった恋人の息子を引き取り、以後8年間「母」として、さらに実の親子ではないことも隠しながら崇を育ててきた。会社では男として、家庭では女として、慣れたとはいえ苦労が絶えない二重生活。いつかは崇に本当のことを伝えなければと思いながらも女装し続けていた日々だったが、気になっていた女性を痴漢から助けたことをきっかけとして、この生活にさらなる波乱が訪れることに・・・。

主要登場人物

・須田真琴
主人公。29歳の丸井紡績株式会社に勤めるサラリーマン。交通事故で亡くなってしまった恋人の息子・崇(当時2歳)を引き取り、女装しながら母親として育てます。性同一性障害でも、同性愛者でもありません。普段は冴えない容貌をしていますが、女装した姿はモデルのように美しくなります。女装時の名前は戸田須真子。

・須田崇
真琴が引き取った恋人・成美の11歳の息子。真琴と血がつながっていないこと、女装していることは本人知りません。成美のことをお父さんだと勘違いしています。お母さんのことが大好きでかなりのマザコン。思いやりのある優しい子です。

・藤本菜摘
真琴の同僚女性社員。想いを寄せている女性でもあります。痴漢されていたところを真琴が助けたことをきっかけに、2人の距離が急接近します。過去の経験から男性不信。男の真琴には辛辣気味だけど、助けてくれた須真子には好意を寄せています。


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感想

会社では冴えないサラリーマン(男)として、家庭では美人なママ(女)として二重生活をおくる主人公と、お母さん大好きな最愛の息子がねじれた家庭環境の中で織り成す家族物語。親子愛と主人公・真琴の恋愛を描いたラブコメディです。笑いあり、シリアスありで、テーマと扱うネタから重く暗くなりそうな話に進展しそうなところを、ギャグや軽いノリで笑いに変えてしまうところがありますね。同作者さんが現在手掛けている「ライアー×ライアー」という漫画を読んだことをきっかけに、この作品と巡り合うことができました。この作者さんは二重生活が好きなんでしょうか?「ライアー×ライアー」でも主人公の女子大生が恋人と姉を使い分けた生活を送っていましたからね。

設定がおもしろいですね。会社では普通のサラリーマンとして過ごしていて、家庭では女に変装しながら母親として暮らしているなんて、他にはないという点からしてインパクトは強烈、ありえなさすぎるところが面白くもあります。しかも息子にはその事実を8年もの間隠し通せていることからして、最初はこの主人公どれだけ苦労してきたんだろうと哀れんでしまったのと同時に、どれだけアホなんだろうなんて思ってしまいました。まあ、祟を想うあまりに起こした行動だったので、しかたなかった?という面はあったんですけどね。それに苦労以上に、血は繋がっていなくても自分の子の成長を見守ることへの幸福は強く感じてましたね。もちろん母として。

この主人公の女装したときの姿が、作中で登場したどの女性よりも美しかったというのがまた面白いところです。呆れてもいましたけどね。女装した姿で人前にも普通に出ていながら、子供だけでなく周囲の大人にも余裕でバレずにいられるなんてこと、容姿だけでなく仕草も声も完璧でなければ無理でしょうから。実際見てても口調や人への接し方に違和感ありませんでした。女装趣味があるわけでもないのにここまでの出来に仕上げた努力、呆れたとは言いましたけど、祟のためにそこまでのことをしてきたことには感心させられましたね。

想いを寄せる菜摘さんと(女バージョンで)親しくなっていくことで生じる出来事にもクスっとしてしまいました。男のときの自分を見てほしいと思って会社ではがんばって話しかけてはいるんですけど、親しくなるのは女で母親のときの須真子ばかり。しかも、女装してることはバレまいと違う方向へ努力の指針をとった結果、さらに女子力を高めて女に磨きがかかってしまうというおかしなことにも。男だとバレるまでの2人のやりとり、男だとバレてからの2人のやりとり、どちらにしろごたごためんどくさいことになることは変わらないので面白いですよ。

読者には見所、真琴には最大の難関となるのが祟へのカミングアウトですね。お母さん大好きな子ですから、素直で優しい祟でもそんな簡単に事は済みません。祟にとって父親はもういない存在であり、自分には母親しかいなかったわけですから、いきなりその母親がいなくなって知らない父親が出てきたら戸惑うどころの話じゃないですよね。化粧とったら別人ですから。告白した真琴自身も当然傷つくんですけど、この話では2人の愛情を深く感じることが出来ました。成り行きはこの漫画らしいなと思うようなところに着地しましたね。

この作者さん毎回引きがうまいんで、次は?次は?と気になってしかたないです。1つの話を変に引き延ばさないところも好感持てます。悪い人がいなくても、次から次へと発生する問題事にドキドキハラハラさせてもらえ、飽きることなく読むことができます。優しい人たちばかりの愛が溢れている作品、1つもうやむやにさせることなく、最後も綺麗にすっきりまとまって気分よく読み終えることが出来ました。自信を持っておすすめできる素晴らしい作品です。



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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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