2017年01月11日
【87CLOCKERS】マンガ 感想&あらすじ ディープでマニアックな世界に飛び込んだ青年の成長を描いた物語
ジャンプ改→週刊ヤングジャンプ。2014年11月号から2016年31号まで連載。全9巻
作者:二ノ宮知子
他作品:のだめカンタービレ
音大に通っている一ノ瀬奏は、夢もなければ闘争心もない生粋の草食系男子。音楽は好きでも誰かと争ってまで何かを掴み取りたい意志はなく、もうすぐ4年になるにも関わらず就職に対しても一切行動を起さず、かといって院に進む気もなければ海外へ留学する考えも持ってはいなかった。
ある日の雪の夜、奏は古いアパートの前で裸足のまま立ち尽くしていた美しい女性と出会い、彼女に一目惚れしてしまう。ハナという名の彼女は、パソコンの動作速度を競う「オーバークロック」の世界で戦っているミケのパートナーをしていることを知り、さらにミケによって一方的に奴隷のように扱われていると勘違いしてしまった。奏はハナを助けるためにミケを超え1番になることを目標にし、オーバークロックの世界に飛び込んでいく。
・一ノ瀬 奏
主人公。英孝音楽大学3年生。専攻はヴァイオリン。向上心はなく、誰かと争うことも苦手な草食系男子。院や留学への意志はなく、就職についても何も考えていなかったが、就職問題は母のピアノ教室を手伝うことであっさり解決しました。ハナに一目惚れしたことでオーバークロックの世界を知り、1番になったらミケと別れて自分と組んで欲しいと申し出ます。
・中村 ハナ
名門大学に通う3年生。ウェーブがかった茶髪の美しい女性。世界で戦っているオーバークロッカーMIKEのアシスタントをしています。ドジっ娘なため、失敗してはミケに厳しく当たられていますが、それでも彼を1番にするために献身的にサポートを続けています。パイナップル工場で働いており、お金はないけど果物だけはたくさんある。
・ミケ
オーバークロックの世界記録保持者。オーバークロック界では世界的な有名人であり、彼に憧れるクロッカーも多くいます。オーバークロックの記録更新に固執しており、負けず嫌いでもあるため、一度スイッチが入ると周りが見えなくなります。性格には非常に難があり、ハナへの当たりも厳しく、都合良いようにこき使っています。
・鈴木 珠理亜
ミケに憧れている女性オーバークロッカー。大学4年生。専攻は薬学。オーバークロックの費用を稼ぐためにキャバクラで働いています。源氏名「ジュリア」。奏の指導役となり、ペアを組んで大会にも出場することになります。空冷にこだわりを持ち、液体窒素を使用したい奏に対し、「空冷極めずして窒素なし」と言い放ちました。
・火切 俊充
ハナの幼馴染で婚約者。あだ名は「ぼっさん」。小太りの男性。地元にある有力企業の御曹司。ハナに振られ続けた過去があり、その都度より強く大きく成長を遂げ、現在はアメリカでスマホアプリがヒットしたことで会社を立ち上げています。
【eBookJapan】 87CLOCKERS 無料で試し読みできます
ひょんなことからオーバークロックの世界に足を踏み入れた青年が、一目惚れした女性やこの世界で戦う様々な人たちとの出会いを重ね、オーバークロッカーとして、人として、男として成長していく姿を描いた物語。
世界的にもそれほど知名度は高くないマイナー競技『オーバークロック』を題材とした漫画です。著者は『のだめカンタービレ』を代表作ひ持ち、現在は『七つ屋志のぶの宝石匣』を連載している二ノ宮知子さん。完全に作者買いした作品です。
何はともあれ、まずは「『オーバークロック』って何?」と疑問を持つ人が多いと思いますので、少し調べたことを説明。私もこの作品に出会うまでは全く知らなかったジャンルなので詳しくはありません。
英語では「Overclocking」。Clock(周波数)をOver(超える)するということです。CPUの使用上定められているクロック周波数の動作を規格値以上に処理能力を向上させる行為。
わけわかんないですね。簡単に言ってしまうと、パソコンを元々の性能よりも早く動作させることです。CPUは使用上規定値の周波数で動くように設定されています。その周波数を車のエンジンに例えると、エンジンの回転数を上げることによって馬力を大きくするみたいな感じだと思います。うまく用いれば格段に性能は向上しますが、当然リスクも高く、発熱によって破損する可能性も大きくなります。もちろん壊れてもメーカー保証外です。
個人の遊びとして行っている人もいますが、本作では組み立てたオーバークロックPCを用いて処理速度の技術を競い合う人達を描いています。二ノ宮さんはなんともニッチな世界に手を出したものですね。ここに恋愛要素も大きく絡めて物語は展開されていきます。
正直、CPUを冷やすためだけにそこまでするのかと、呆気にとられてしまうこともありましたね。中には写真のみの描写でしたけど、雪山へ行ったり、冷凍倉庫でOC作業したりと、理解に苦しむ行動。「何のために?」と思うこともあり、ニケに至っては「世界平和のために戦ってるんだ」とわけわからないことを真顔で言い放つ始末です。
ただ、関わってる人達の熱い思いは強く伝わってきました。何のためにとか言う以前に、好きだから、楽しいから、挑戦したいから。そのためにどんな労力でも支払って、少しでも速く、誰よりも上を目指している姿は眩しく、同時にそこまでなれるほど熱中できるものがあることが羨ましいと思いましたね。
この作品の醍醐味は、なんといっても主人公である奏の作品を通しての成長。競争することを嫌い、欲しいものがあっても誰かと争い勝ち取ってまで手に入れたいとは思わない青年。そんな奏がハナに一目惚れしたことでOCの世界に飛び込み、彼女のパートナーでありOCの世界的実力者でもあるニケを超え、自分のパートナーになってもらうために奮闘することになります。冷めた青年の心にはじめて炎が点ったんですね。1人の女性を振り向かせるために、関わりなかった世界へ飛び込み、ひたむきに努力する、嫌いじゃない流れです。
ハナやミケだけでなく、ジュリアなどOCに携わっている多くの人達と出会い、そして様々な経験を経て、精神的に大きく成長します。そして、本気で戦うことの意味と大切さを知った奏は、さらに自らを磨くために歩き出すことになります。
ジャンルがマニアックなら登場人物も超個性派揃いで面白いですね。
植物人間奏の心に炎を点した作中モテモテなハナに関しては、美人だけど個人的に女性としての魅力は全然感じませんでしたが、キャラクターとしては面白い子でしたね。最後その選択で「良いの?」とは思いましたが、彼女の想いは結局のところずっとあの場所にあったんでしょうね。私からすると、むしろ女性としてはジュリアの方が魅力的に見え、奏とくっついてくれないかなとずっと思っていました。
ミケはクセの塊みたいなキャラでしたね。ハナはいったい彼のどこに惚れたのか、最後までその魅力には気づけませんでしたが、きっと女性には分かる何かがあるのでしょう。
他にも強い個性を放っていたキャラは多く、登場シーンは少なくても強く印象に残っている人達ばかりでしたね。
9巻で終わるには早すぎたのではないかという気もしますが、それでも綺麗にまとめられており、それぞれが出した結論も完全に納得とはいかないものの、これはこれで良い幕の閉じ方をしていたと思います。ただ、できればその後を知りたい。特に奏とジュリアはどうなったのかすごい気になってます。
オーバークロックという多くの人に「何それ?」と疑問をもたれそうなマイナーなジャンルを扱いながらも、知らない人でも楽しめる内容で物語は展開され、テンポ良く進む読みやさもあり、最後まで楽しむことができました。
タイトル「87CLOCKERS」の意味も最終巻で分かるので、よければ読んでみてください。
作者:二ノ宮知子
他作品:のだめカンタービレ
あらすじ
音大に通っている一ノ瀬奏は、夢もなければ闘争心もない生粋の草食系男子。音楽は好きでも誰かと争ってまで何かを掴み取りたい意志はなく、もうすぐ4年になるにも関わらず就職に対しても一切行動を起さず、かといって院に進む気もなければ海外へ留学する考えも持ってはいなかった。
ある日の雪の夜、奏は古いアパートの前で裸足のまま立ち尽くしていた美しい女性と出会い、彼女に一目惚れしてしまう。ハナという名の彼女は、パソコンの動作速度を競う「オーバークロック」の世界で戦っているミケのパートナーをしていることを知り、さらにミケによって一方的に奴隷のように扱われていると勘違いしてしまった。奏はハナを助けるためにミケを超え1番になることを目標にし、オーバークロックの世界に飛び込んでいく。
登場人物
・一ノ瀬 奏
主人公。英孝音楽大学3年生。専攻はヴァイオリン。向上心はなく、誰かと争うことも苦手な草食系男子。院や留学への意志はなく、就職についても何も考えていなかったが、就職問題は母のピアノ教室を手伝うことであっさり解決しました。ハナに一目惚れしたことでオーバークロックの世界を知り、1番になったらミケと別れて自分と組んで欲しいと申し出ます。
・中村 ハナ
名門大学に通う3年生。ウェーブがかった茶髪の美しい女性。世界で戦っているオーバークロッカーMIKEのアシスタントをしています。ドジっ娘なため、失敗してはミケに厳しく当たられていますが、それでも彼を1番にするために献身的にサポートを続けています。パイナップル工場で働いており、お金はないけど果物だけはたくさんある。
・ミケ
オーバークロックの世界記録保持者。オーバークロック界では世界的な有名人であり、彼に憧れるクロッカーも多くいます。オーバークロックの記録更新に固執しており、負けず嫌いでもあるため、一度スイッチが入ると周りが見えなくなります。性格には非常に難があり、ハナへの当たりも厳しく、都合良いようにこき使っています。
・鈴木 珠理亜
ミケに憧れている女性オーバークロッカー。大学4年生。専攻は薬学。オーバークロックの費用を稼ぐためにキャバクラで働いています。源氏名「ジュリア」。奏の指導役となり、ペアを組んで大会にも出場することになります。空冷にこだわりを持ち、液体窒素を使用したい奏に対し、「空冷極めずして窒素なし」と言い放ちました。
・火切 俊充
ハナの幼馴染で婚約者。あだ名は「ぼっさん」。小太りの男性。地元にある有力企業の御曹司。ハナに振られ続けた過去があり、その都度より強く大きく成長を遂げ、現在はアメリカでスマホアプリがヒットしたことで会社を立ち上げています。
【eBookJapan】 87CLOCKERS 無料で試し読みできます
感想・見所
ひょんなことからオーバークロックの世界に足を踏み入れた青年が、一目惚れした女性やこの世界で戦う様々な人たちとの出会いを重ね、オーバークロッカーとして、人として、男として成長していく姿を描いた物語。
世界的にもそれほど知名度は高くないマイナー競技『オーバークロック』を題材とした漫画です。著者は『のだめカンタービレ』を代表作ひ持ち、現在は『七つ屋志のぶの宝石匣』を連載している二ノ宮知子さん。完全に作者買いした作品です。
何はともあれ、まずは「『オーバークロック』って何?」と疑問を持つ人が多いと思いますので、少し調べたことを説明。私もこの作品に出会うまでは全く知らなかったジャンルなので詳しくはありません。
英語では「Overclocking」。Clock(周波数)をOver(超える)するということです。CPUの使用上定められているクロック周波数の動作を規格値以上に処理能力を向上させる行為。
わけわかんないですね。簡単に言ってしまうと、パソコンを元々の性能よりも早く動作させることです。CPUは使用上規定値の周波数で動くように設定されています。その周波数を車のエンジンに例えると、エンジンの回転数を上げることによって馬力を大きくするみたいな感じだと思います。うまく用いれば格段に性能は向上しますが、当然リスクも高く、発熱によって破損する可能性も大きくなります。もちろん壊れてもメーカー保証外です。
個人の遊びとして行っている人もいますが、本作では組み立てたオーバークロックPCを用いて処理速度の技術を競い合う人達を描いています。二ノ宮さんはなんともニッチな世界に手を出したものですね。ここに恋愛要素も大きく絡めて物語は展開されていきます。
正直、CPUを冷やすためだけにそこまでするのかと、呆気にとられてしまうこともありましたね。中には写真のみの描写でしたけど、雪山へ行ったり、冷凍倉庫でOC作業したりと、理解に苦しむ行動。「何のために?」と思うこともあり、ニケに至っては「世界平和のために戦ってるんだ」とわけわからないことを真顔で言い放つ始末です。
ただ、関わってる人達の熱い思いは強く伝わってきました。何のためにとか言う以前に、好きだから、楽しいから、挑戦したいから。そのためにどんな労力でも支払って、少しでも速く、誰よりも上を目指している姿は眩しく、同時にそこまでなれるほど熱中できるものがあることが羨ましいと思いましたね。
この作品の醍醐味は、なんといっても主人公である奏の作品を通しての成長。競争することを嫌い、欲しいものがあっても誰かと争い勝ち取ってまで手に入れたいとは思わない青年。そんな奏がハナに一目惚れしたことでOCの世界に飛び込み、彼女のパートナーでありOCの世界的実力者でもあるニケを超え、自分のパートナーになってもらうために奮闘することになります。冷めた青年の心にはじめて炎が点ったんですね。1人の女性を振り向かせるために、関わりなかった世界へ飛び込み、ひたむきに努力する、嫌いじゃない流れです。
ハナやミケだけでなく、ジュリアなどOCに携わっている多くの人達と出会い、そして様々な経験を経て、精神的に大きく成長します。そして、本気で戦うことの意味と大切さを知った奏は、さらに自らを磨くために歩き出すことになります。
ジャンルがマニアックなら登場人物も超個性派揃いで面白いですね。
植物人間奏の心に炎を点した作中モテモテなハナに関しては、美人だけど個人的に女性としての魅力は全然感じませんでしたが、キャラクターとしては面白い子でしたね。最後その選択で「良いの?」とは思いましたが、彼女の想いは結局のところずっとあの場所にあったんでしょうね。私からすると、むしろ女性としてはジュリアの方が魅力的に見え、奏とくっついてくれないかなとずっと思っていました。
ミケはクセの塊みたいなキャラでしたね。ハナはいったい彼のどこに惚れたのか、最後までその魅力には気づけませんでしたが、きっと女性には分かる何かがあるのでしょう。
他にも強い個性を放っていたキャラは多く、登場シーンは少なくても強く印象に残っている人達ばかりでしたね。
9巻で終わるには早すぎたのではないかという気もしますが、それでも綺麗にまとめられており、それぞれが出した結論も完全に納得とはいかないものの、これはこれで良い幕の閉じ方をしていたと思います。ただ、できればその後を知りたい。特に奏とジュリアはどうなったのかすごい気になってます。
オーバークロックという多くの人に「何それ?」と疑問をもたれそうなマイナーなジャンルを扱いながらも、知らない人でも楽しめる内容で物語は展開され、テンポ良く進む読みやさもあり、最後まで楽しむことができました。
タイトル「87CLOCKERS」の意味も最終巻で分かるので、よければ読んでみてください。
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