2016年12月07日
【宇宙兄弟】マンガ 感想&あらすじ また夢を追いたい気持ちにさせてくれる宇宙を目指す人たちの物語
モーニングKC。2008年1号より連載中。既刊30巻
作者:小山宙哉
幼い頃に2人で宇宙飛行士になろうと約束を交わした南波兄弟。
それから19年の時が流れた2025年。弟のヒビトは一足先に宇宙飛行士になる夢を叶え、もうじき始めて月面に立つ日本人として歴史にその名を刻もうとしていた。
一方で、兄のムッタは勤めていた会社の上司に頭突きをくらわせたことでクビになり、同じ業界で再就職先を探してはみたが結果はままならず、出来の良い弟のこともあって気力を失いかけていた。
そんなムッタのもとに、ある日JAXAから新規宇宙飛行士選抜試験・書類審査通過の封書が届けられる。それは、宇宙へと飛び立とうとしていた弟のヒビトから、夢を諦めようとしていた兄ムッタへのメッセージだった。
「宇宙へ行きたい」。その想いを胸に、ムッタはヒビトの後を追い、再び宇宙飛行士を目指すべく歩み始める。
・ 南波 六太
主人公。31歳(開始時)。特徴はモジャモジャ天然パーマ。性格は神経質で几帳面、見た目に反して繊細な人。高い観察力と記憶力、柔軟な思考力と発想力の持ち主。自動車デザイン会社に勤務していたが、弟を侮辱した上司に頭突きを御見舞いしクビ。その後、ヒビトからのメッセージを受け、諦めていた宇宙飛行士を目指すべく奮闘します。宇宙飛行士になる夢と共に、恩師であるシャロンの夢である月面望遠鏡建設も目指しています。せりかさんに片想い中。
・南波 日々人
ムッタの弟。JAXAの宇宙飛行士。28歳(開始時)。性格は兄ムッタとは真逆で、細かいことも周りからのプレッシャーもあまり気にしない大胆な性格。日本人初となる月面宇宙飛行士に選出。様々な技能を周囲より短期間で修得するなど、類い稀な才能の持ち主。兄想いであり、くすぶっていたムッタの背中を押し、宇宙飛行士になることを心待ちにしています。
・伊東 せりか
ムッタと共に宇宙飛行士選抜試験を受講した女性。ISS搭乗を目指している医者。体力・学力共に高い能力を示し、容姿も端麗という才色兼備。父親をALS(筋萎縮性側索硬化症)で亡くしており、その病気を解明し新薬を開発するためISSを目指しています。かなりの大食い。恋愛に関しては分かりやすいムッタの想いにも気づかないほど鈍感。
・真壁ケンジ
ムッタと共に宇宙飛行士選抜試験を受講した同い年の男性。妻と娘がいます。妻の進めから、宇宙飛行士を目指すことを決意。ムッタとは試験中に意気投合し仲良くなったことで友人になりました。爽やかな性格でリーダシップもあることから頼りになる存在だが、自身への評価はひねくれ者を通り越したねじれ者。
・カネコ・シャロン
天文学者の女性。同じ天文学者の夫・金子進一は4年の結婚生活を送った末、病没。日本にある天文台に暮らしており、子供の頃よく訪れてきた南波兄弟に様々なことを教え、大きな影響を与えています。後に、月面天測望遠鏡プロジェクトに関わるが、その最中・・・。
・ブライアン・ジェイ
故人。NASAの宇宙飛行士。弟のエディ・ジェイと兄弟で月面に立つ夢を持っていたが、月面でのミッションを終え、地球への帰還時に事故で地上へ墜落したことで死亡。宇宙飛行士や職員からの尊敬を集め、彼の言葉や功績は没後も多くの人々に影響を与えています。ヒビトを月面ミッションに推薦した人物。
【eBookJapan】 宇宙兄弟 無料で立ち読みできます
宇宙への強い憧れを胸に将来2人で宇宙飛行士になろうと約束を交わした兄弟が、同じく純粋な夢を抱いて確固たる目的を持つ人たちと宇宙を目指す物語。
2012年4月にはアニメ化、同年5月には小栗旬と岡田将生を主演とした実写映画も公開され、さらに2014年8月には本編の前日譚を描いた『宇宙兄弟#0』のタイトルでアニメ映画も公開されています。漫画は昨年の末に読み始めてハマり、現在出ている分は全て読みました。アニメも全話観賞しましたが、映画は未視聴です。
ジャンルをSFと言っていいか少し困りますけど、近未来の話。最初にUFOっぽい物体も登場していることから、その要素も入ったストーリー漫画ですかね。「家族・仲間・友情」などの濃い人間ドラマも描かれている作品です。
それから、ALSなどの難病やパニック障害、他にもリアルな問題を多く取り上げているのも特徴。アニメではJAXAの協力も受けていたことから、宇宙飛行士・野口聡一さんが自身のキャラに自ら声を吹き込んで登場したことでも話題になっていましたね。
この物語は現代からほんの少し先の近未来、西暦2025年を舞台にした話です。実在するJAXAやNASAが実名で登場し、そこで働く職員達の姿や宇宙飛行士の姿が丁寧に描かれているので、リアリティを感じられる宇宙開発現場が広がっています。
近未来が舞台と言っても数年先程度であることや、登場人物たちがリアルな夢と葛藤を抱き、設定も突飛なところがほとんどないことから、まだまだ現代では一般人には遠いはずの宇宙を近くに感じることができます。
宇宙で様々な作業を行う光景だけでなく、試験や検査など宇宙飛行士になるまでの過程もしっかり描かれ、宇宙飛行士選抜試験では受講者にスポットを当てるのは当然として、審査している側の心情も伺えたのは良かったですね。
宇宙飛行士が主役になることもあれば、開発者や管制官など宇宙へ送り出す人たちが主役になることもあり、様々な個人や組織の働き、そこにある苦悩や喜びを見て感じることができます。
個性溢れる登場人物たちが多く、中でもちょっとダサいのにかっこいい主人公・ムッタが特に魅力的。
宇宙飛行士になる夢は弟・ヒビトに先を越され、ダサくて残念な行動(主にプライベートで)をとることも多々ありますが、彼の試験や作業での振舞いや言葉から能力の高さと人柄の良さを伺えますね。
物事の細かい部分までよく見て考察する高い観察力、類い稀な高い記憶力、さらに柔軟な思考から生み出される発想力・想像力の持ち主。このような高い能力を有しているにも関わらず、本人が一番そのことに疎いところが面白い。
でも1番はやはりその人柄ですね。ムッタはいつも弟に先を歩かれていることに強いコンプレックスも抱いています。それでもヒビトのことを誰よりも誇りに思い、兄として弟を思いやる兄弟愛も強く感じさせ、いつの日か兄弟で月に立つという約束を目指して奮闘するなど、その姿を見てると応援したい気持ちにさせてくれますね。彼の言葉には数々の挫折を味わってきた経験から来る深みもあり、だからこそ聞く人の心を打ち、時には救いにも繋がっているのだと思います。
心に残る名言が多いことも魅力の1つ。
グッとくる言葉もあれば、グサリと突き刺さる言葉もあり、この作品は登場人物1人1人の背景もしっかり作り上げているので、言葉がただ心に残るだけではなく説得力もありますね。例えば、
あと、ここで思い出したのがシャロンの言葉。
心のノートにメモしたくなるセリフが多く、そこだけ切り取ってもいくらでも感想記事が書けそうです。
読むとまた子供の頃のように再び夢を追いたくなる作品でしたね。一度は挫折して夢を諦め、異なる道を歩んだ主人公が、周囲からの後押しで31歳から再び夢を目指す話。主人公たち作中の登場人物から勇気や励みを受け取ることができ、どうしようもなく突っ走りたくなる衝動に駆られてしまいました。単純に宇宙を目指すというロマンも胸を熱くさせてくれますね。
主人公のみならず、様々な人物にスポットを当てた内容は読み応えがあり、専門的な話も難解過ぎることなく語られているので読み易く、読み始めると時間を忘れて没頭してしまう面白さがありました。
何度でも読み返したくなり、その度に新たな発見をすることができる作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。
作者:小山宙哉
あらすじ・概要
幼い頃に2人で宇宙飛行士になろうと約束を交わした南波兄弟。
それから19年の時が流れた2025年。弟のヒビトは一足先に宇宙飛行士になる夢を叶え、もうじき始めて月面に立つ日本人として歴史にその名を刻もうとしていた。
一方で、兄のムッタは勤めていた会社の上司に頭突きをくらわせたことでクビになり、同じ業界で再就職先を探してはみたが結果はままならず、出来の良い弟のこともあって気力を失いかけていた。
そんなムッタのもとに、ある日JAXAから新規宇宙飛行士選抜試験・書類審査通過の封書が届けられる。それは、宇宙へと飛び立とうとしていた弟のヒビトから、夢を諦めようとしていた兄ムッタへのメッセージだった。
「宇宙へ行きたい」。その想いを胸に、ムッタはヒビトの後を追い、再び宇宙飛行士を目指すべく歩み始める。
主要登場人物
・ 南波 六太
主人公。31歳(開始時)。特徴はモジャモジャ天然パーマ。性格は神経質で几帳面、見た目に反して繊細な人。高い観察力と記憶力、柔軟な思考力と発想力の持ち主。自動車デザイン会社に勤務していたが、弟を侮辱した上司に頭突きを御見舞いしクビ。その後、ヒビトからのメッセージを受け、諦めていた宇宙飛行士を目指すべく奮闘します。宇宙飛行士になる夢と共に、恩師であるシャロンの夢である月面望遠鏡建設も目指しています。せりかさんに片想い中。
・南波 日々人
ムッタの弟。JAXAの宇宙飛行士。28歳(開始時)。性格は兄ムッタとは真逆で、細かいことも周りからのプレッシャーもあまり気にしない大胆な性格。日本人初となる月面宇宙飛行士に選出。様々な技能を周囲より短期間で修得するなど、類い稀な才能の持ち主。兄想いであり、くすぶっていたムッタの背中を押し、宇宙飛行士になることを心待ちにしています。
・伊東 せりか
ムッタと共に宇宙飛行士選抜試験を受講した女性。ISS搭乗を目指している医者。体力・学力共に高い能力を示し、容姿も端麗という才色兼備。父親をALS(筋萎縮性側索硬化症)で亡くしており、その病気を解明し新薬を開発するためISSを目指しています。かなりの大食い。恋愛に関しては分かりやすいムッタの想いにも気づかないほど鈍感。
・真壁ケンジ
ムッタと共に宇宙飛行士選抜試験を受講した同い年の男性。妻と娘がいます。妻の進めから、宇宙飛行士を目指すことを決意。ムッタとは試験中に意気投合し仲良くなったことで友人になりました。爽やかな性格でリーダシップもあることから頼りになる存在だが、自身への評価はひねくれ者を通り越したねじれ者。
・カネコ・シャロン
天文学者の女性。同じ天文学者の夫・金子進一は4年の結婚生活を送った末、病没。日本にある天文台に暮らしており、子供の頃よく訪れてきた南波兄弟に様々なことを教え、大きな影響を与えています。後に、月面天測望遠鏡プロジェクトに関わるが、その最中・・・。
・ブライアン・ジェイ
故人。NASAの宇宙飛行士。弟のエディ・ジェイと兄弟で月面に立つ夢を持っていたが、月面でのミッションを終え、地球への帰還時に事故で地上へ墜落したことで死亡。宇宙飛行士や職員からの尊敬を集め、彼の言葉や功績は没後も多くの人々に影響を与えています。ヒビトを月面ミッションに推薦した人物。
【eBookJapan】 宇宙兄弟 無料で立ち読みできます
感想
宇宙への強い憧れを胸に将来2人で宇宙飛行士になろうと約束を交わした兄弟が、同じく純粋な夢を抱いて確固たる目的を持つ人たちと宇宙を目指す物語。
2012年4月にはアニメ化、同年5月には小栗旬と岡田将生を主演とした実写映画も公開され、さらに2014年8月には本編の前日譚を描いた『宇宙兄弟#0』のタイトルでアニメ映画も公開されています。漫画は昨年の末に読み始めてハマり、現在出ている分は全て読みました。アニメも全話観賞しましたが、映画は未視聴です。
ジャンルをSFと言っていいか少し困りますけど、近未来の話。最初にUFOっぽい物体も登場していることから、その要素も入ったストーリー漫画ですかね。「家族・仲間・友情」などの濃い人間ドラマも描かれている作品です。
それから、ALSなどの難病やパニック障害、他にもリアルな問題を多く取り上げているのも特徴。アニメではJAXAの協力も受けていたことから、宇宙飛行士・野口聡一さんが自身のキャラに自ら声を吹き込んで登場したことでも話題になっていましたね。
この物語は現代からほんの少し先の近未来、西暦2025年を舞台にした話です。実在するJAXAやNASAが実名で登場し、そこで働く職員達の姿や宇宙飛行士の姿が丁寧に描かれているので、リアリティを感じられる宇宙開発現場が広がっています。
近未来が舞台と言っても数年先程度であることや、登場人物たちがリアルな夢と葛藤を抱き、設定も突飛なところがほとんどないことから、まだまだ現代では一般人には遠いはずの宇宙を近くに感じることができます。
宇宙で様々な作業を行う光景だけでなく、試験や検査など宇宙飛行士になるまでの過程もしっかり描かれ、宇宙飛行士選抜試験では受講者にスポットを当てるのは当然として、審査している側の心情も伺えたのは良かったですね。
宇宙飛行士が主役になることもあれば、開発者や管制官など宇宙へ送り出す人たちが主役になることもあり、様々な個人や組織の働き、そこにある苦悩や喜びを見て感じることができます。
個性溢れる登場人物たちが多く、中でもちょっとダサいのにかっこいい主人公・ムッタが特に魅力的。
宇宙飛行士になる夢は弟・ヒビトに先を越され、ダサくて残念な行動(主にプライベートで)をとることも多々ありますが、彼の試験や作業での振舞いや言葉から能力の高さと人柄の良さを伺えますね。
物事の細かい部分までよく見て考察する高い観察力、類い稀な高い記憶力、さらに柔軟な思考から生み出される発想力・想像力の持ち主。このような高い能力を有しているにも関わらず、本人が一番そのことに疎いところが面白い。
でも1番はやはりその人柄ですね。ムッタはいつも弟に先を歩かれていることに強いコンプレックスも抱いています。それでもヒビトのことを誰よりも誇りに思い、兄として弟を思いやる兄弟愛も強く感じさせ、いつの日か兄弟で月に立つという約束を目指して奮闘するなど、その姿を見てると応援したい気持ちにさせてくれますね。彼の言葉には数々の挫折を味わってきた経験から来る深みもあり、だからこそ聞く人の心を打ち、時には救いにも繋がっているのだと思います。
心に残る名言が多いことも魅力の1つ。
グッとくる言葉もあれば、グサリと突き刺さる言葉もあり、この作品は登場人物1人1人の背景もしっかり作り上げているので、言葉がただ心に残るだけではなく説得力もありますね。例えば、
モノ作りには、失敗することにかける金と労力が必要なんだよ。いい素材使ってるモノがいいモノとは限らねえんだ。だけど、失敗を知って乗り越えたモノならそれはいいモノだ。
本気の失敗には価値がある失敗を避けるために手を抜かず努力することは当然。でも、失敗から逃れるためにハードルを下げることがいいとは限りませんね。ただ、どうしても勇気が出ない。失敗したときのことを想像し、それが次に繋げるような想像ならまだしも、失うモノのことばかり考えてしまう自分がいました。こういう言葉を誰かに言ってもらえたら励みになるでしょうね。
あと、ここで思い出したのがシャロンの言葉。
昔のあなたってそんな子だったよ。なんにでも挑戦して、難しいことを選んだ私も年を重ねていくごとに失敗を恐れ、失敗から逃れるようになっていたのでよく分かります。思い出してみると、子供の頃はもっとがむしゃらに行動し、楽しいことや難しいことに積極的でした。
心のノートにメモしたくなるセリフが多く、そこだけ切り取ってもいくらでも感想記事が書けそうです。
読むとまた子供の頃のように再び夢を追いたくなる作品でしたね。一度は挫折して夢を諦め、異なる道を歩んだ主人公が、周囲からの後押しで31歳から再び夢を目指す話。主人公たち作中の登場人物から勇気や励みを受け取ることができ、どうしようもなく突っ走りたくなる衝動に駆られてしまいました。単純に宇宙を目指すというロマンも胸を熱くさせてくれますね。
主人公のみならず、様々な人物にスポットを当てた内容は読み応えがあり、専門的な話も難解過ぎることなく語られているので読み易く、読み始めると時間を忘れて没頭してしまう面白さがありました。
何度でも読み返したくなり、その度に新たな発見をすることができる作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。
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