アフィリエイト広告を利用しています

2023年07月13日

511番:ジュール叔父さん(2)


ジュール叔父さん(2)


−−−−−−−−−−【2】−−−−−−−−−−−−−−

Je fus surpris.*3 Il me dit :
−Ce misérable m' a rappelé une histoire que je vais
te dire et dont le souvenir me poursuit sana cesse. La
voici ;

−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−

私は驚きました. 彼はそんな私に言った.
−この気の毒な人が私にある話を思い出させたの
だよ.その話を私は君に語ろう.その話の回想が
絶えず私の脳裏につきまとうのだよ.それはこう
いう話だ:


−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−

fus: (単純過去1単、2単) <être
surpris: (過去分詞) surprendre (他)
         (意表をついて)驚かせる 
souvenir:(m) 記憶、記憶力、思い出、回想
sans cesse: 絶えず


−−−−−−−−−【文法】−−−−−−−−−−−−−−

*3 surpris 他動詞は過去分詞を以て、形容詞とするが、
   受動的意味をも合わせ持つ.
  surprendre (驚かせる) → surpris (驚かされた) 


関係代名詞も出てきました:
une histoire que je vais te dire:
(これから君にしようと思う話)
vais はaller の直現1単 (2単も同形)
そして、<aller + 不定詞> は近い未来を表わす.
「近い」未来なので30秒後でもいい.
この場合だとそんなすぐの未来.

これを文法用語で「近接未来」という.
尚、この近接未来はaller の直説法現在の他、
直説法半過去で、発話される場合もあるので
覚えておきましょう.
Je vais te dire un histoire. これから君にお話をするよ.
Je allais te dire un histoire. これから君にお話をするよ.

510番:アルト・ハイデルベルク(155)


𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌
       
アルト・ハイデルベルク(155)



−−−−−−−−−−−−【155】−−−−−−−−−−−−−−−

Karl Heinrich: Ein Kursbuch her. Ich will die Züge nachsehen.

............Lutz: Sehr wohl. (Ab)

.........Käthie: (immer noch ungläubig). Es ist ja nicht Dein Ernst ...

Karl Heinrich: Lutz !

............Lutz:(zurück). Eure Durchlaucht ?

Karl Heinrich: Rückert soll den Wagen schicken, den Zweispänner.
.......................Zum Selbstkutschiren. Den von heute Nacht. Aber
.......................mit frischen Gäulen. Sofort.

............Lutz: Sehr wohl. (Ab)

Karl Heinrich: Wir fahren aus, Käthie. Du neben mir auf dem Bock.

.........Käthie: Neben Dir ?

Karl Heinrich: Mitten durch Heidelberg. Ja, das gefällt Dir. Wir
.......................knallen mit der Peitsche, dass die Leute aufwachen
.......................und die Köpfe aus den Fenstern stecken. Wir zwei
.......................gehören zusammen, süße Käthie

..........Käthie: Karl Heinz.


−−−−−−−−−−−−− (訳) −−−−−−−−−−−−−−−−

.カール・ハインリヒ: 時刻表を持ってきてくれ.汽車の時間を調べたい.

.......ルッツ: かしこまりました.(退場)

....ケティー: (なおも信じられず) 何のご用なの? 本気じゃない
..............................のでしょ?

.カール・ハインリヒ: ルッツ!

.......ルッツ: (ふり向いて) はい、殿下?

.カール・ハインリヒ: リュッカートに馬車を用意するように言ってくれ.
........................二頭立てを頼むとな.御者をつけずにな.昨夜と
........................同じ馬車をだ.だが馬は新しい馬だぞ.すぐに
........................頼む.  

.......ルッツ: かしこまりました.(退場) 

.カール・ハインリヒ: さあ、ケティー、出かけるぞ.君は御者台で
........................私のとなりに座るんだ.

....ケティー: あなたのとなりに?  

........ルッツ: ハイデルベルク中を駆け回るんだ.そうとも、君
........................よろんでくれると思うよ.鞭を鳴らして、町中の
........................人が跳び起きるぞ.連中は窓から顔を出すのさ.
........................私たちは2人きりの世界さ.かわいいケティー.

....ケティー: カール・ハインツ.       


−−−−−−−−−−−−−《語彙》−−−−−−−−−−−−−−−−

das Kursbuch:[列車・バスの] 時刻表
nach/sehen:(他)[…⁴を] 調べる、確かめる
Ich muss nachsehen, wann der letzte Zug nach München fährt.
私はミュンヘン行きの最終列車がいつ出るのかを確かめ
   ないといけない.
ungläubig:[ウングロイビヒ](形) 信じていない、疑っている、懐疑的な
der Ernst:(単) まじめ、本気、真剣
 Das ist mein Ernst. / 私は本気でそう思っている.
Rückert:リュッカート(人名)、この戯曲では馬車屋
   有名人としてはFriedrich Rückert(1788~1866)[ドイツの詩人、
   東洋学者]、ただし、ここでは無関係.
der Wagen:馬車
schicken:(他) 届ける
der Zweispänner:二頭立ての馬車
Zum Selbstkutschiren:(辞書記載なし) selbst + kutschiren (御する)
   =(推測で)自分で馬車を御する用に
   =(推測で)御者をつけずに 
heute Nacht:@今夜、 A昨夜; ここではA昨夜
frischen:格語尾en (強複3格) <frisch (形) 新しい
Gäulen:(複数3格) <der Gaul (e型)[使役]馬、駄馬、馬
aus/fahren:(自) 車で出かける、外出する、ドライブする
der Bock:(変E型) 御者台
knallen:ピシャッと音を立てる
die Peitsche:(弱n) 鞭 mit der Peitsche knallen / むちを鳴らす
auf/wachen:(自) 目覚める


2023年07月12日

509番:ジュール叔父さん(1)

モーパッサン短編集(1)より

『ジュール叔父さん』(1)
A M アシール・ベヌーヴィル

MON ONCLE JULES

A M.* Achille Bénouville:


『ジュール叔父さん』(1)


−−−−−−−−−−【1】−−−−−−−−−−

Un vieux pauvre, à*1 barbe blanche, nous demanda
l'aumône. Mon camarade, Joseph Davranche, lui
donna cent sous.*2


−−−−−−−−−−訳−−−−−−−−−−−−

白ひげの貧しい老人が私たちに施しを乞うた. 仲間
のジェセフ・ダブランシュはその老人に100スー
のお金をあたえた.


−−−−−−−−− ≪註≫−−−−−−−−−−−−

A M は À Monsieur.  旦那様へ
A M.* Schille Bénouville でアシール・ベヌー
ヴィル氏に捧ぐ
*1 à このà は「〜へ」ではありません。{〜を持った」
という意味でayant とかavec に置き換えると理解しやす
いと思います. 但し実際に置き換えるなら、バランス的に、
sur soi などを補充して、avec barbe blanche sur soi あるい
はayant sa barbe blanche sur les joues といったところでしょ
うか.
l'aumône (f) 施し、恵み
*2 sous [スー] (pl) <sou (m) スー
      (5サンチームに相当する昔の貨幣単位) .
un sou は cinq centimes なので vingt sous が un franc
 本文の100スーは、5フランのこと.この場合どちら
  に訳してもよいとのことです.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

原書を読むのは気苦労が多いので、今回は肩の凝らない対訳書で
気楽に学習しましょう.『ジュール叔父さん』の対訳書は下記の
物がアマゾンなどで入手できると思います.

@ モーパッサン短篇集U(大学書林)
A モーパッサン短篇集(1)(第三書房)
B 大学書林文庫「首飾り」(大学書林)

入手できない方、このブログでご一緒に学習をいかがでしょう?

* なお、この学習の先発組はオリンピア1号館(メイン・ブログ)で
只今学習中です.速習ご希望の方、どうぞ1号館へお越しくださいませ.

尚2度目の学習になりますので、解説をつけます.



−−−−−−−−−−≪解説≫−−−−−−−−−−−−−−

アシール・ベヌーヴィル(Achille Bénouville)(1815~1891)は
古典主義に属するフランスの風景画家.

この小説は1883年8月7日付の日刊新聞「ル・ゴロワ」
Le Gaulois に掲載されたとのこと.日本史の教科書を開
いてみると、この年、大阪紡績会社が創業したと書いて
ありました.自由民権運動もこの頃のようです.


508番:ココット嬢(29)


ココット嬢(29)
Mademoselle Cocotte



−−−−−−−−−−【29】−−−−−−−−−−−−−−

Elle avait engraissé tout d' un coup et elle marchait
maintenant avec peine, les pattes écartées à la façon
des gens trop gros, la gueule ouverte pour souffler,
exténuée aussitôt qu' elle avait essayé de courir.


..−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 雌犬は忽ち肥満してしまい、もはや歩くのさえ、やっ
とのことで、その歩きぶりは四肢を広げ、大男が歩くよ
うなしぐさで、その口は息を吐くため開いていた.


.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

engraissé:(p.passé)
     < engraisser (他) 太らせる、肥育する
tout d'un coup:突然
avec peine:かろうじて、やっとのことで、苦労して
écartées:(p.passeé)
    < écarter (他) 開ける、広げる、かき分ける
gueule:[グール](f) (獣・魚の)口、
(人間の)口【普通はbouche】、顔、面(つら)
la gueule ouverte pour souffler:現在分詞はないが、étant
    が脱落した分詞節;
    la gueule étant ouverte pour souffler
    (ぜいぜい喘いで口を開けたままだった) 
souffler:息を吐く、吹く、苦しそうに息をする
exténuée:(p.passé/f) < exténuer (他) くたびれさせる
aussitôt que:〜するとすぐに
essayer de + 不定詞:〜しようと試みる、努める
aussitôt qu'elle avait essayé de courir:
    走ろうでもすると忽ち
exténuée aussitôt qu'elle avait essayé de courir:
走ろうなどするとたちどころにばて果てた
la gueule で省略されていたétant はここでも
    陰で働いている;
  étant exténuée aussitôt qu'elle ~

507番:アルト・ハイデルベルク(154)


𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌
       
アルト・ハイデルベルク(154)



−−−−−−−−−−−−【154】−−−−−−−−−−−−−−−

Karl Heinrich: Und wer wird nach uns kommen ? Immer andere,
.......................−immer andere.−−

.........Käthie: Lass doch −

Karl Heinrich: Ja, fort damit ! Jetzt sind wir die Jungen, Käthie.
.......................Wir haben die Jugend. Lange genug haben sie mir
.......................die Kehle zugeschnürt und mir alles genommen !
.......................Lach doch, Käthie ! Wir müssen was Tolles
.......................aufführen, was noch gar nicht da war. Zusammen
.......................um die Welt reisen oder wenigstens nach Paris !

.........Käthie: Nach Paris ?

Karl Heinrich: Was ist das ? Gar nichts. Abends setzen wir uns
.......................in den Zug, früh sind wir da Stell Dir das vor !

.........Käthie: Schön wäre es schon.

Karl Heinrich: Dann wird eingekauft. Seidene Kleider, seidene
.......................Strümpfe, ein Federhut. Da wirst Du Augen machen !
...................... Dann fahren wir vors Hotel, stell Dir das vor !

.........Käthie: Und dann ?

Karl Heinrich: Ja, was dann ?! Dann wird es immer lustiger. Du
.......................bist die Prinzess, und zwar die allerschönste. Wenn
.......................wir Lust haben und Geld, [dann] fahren wir noch
.......................weiter.

.........Käthie: Du redest nur so.

Karl Heinrich: Was reden ! Ich rede nicht. Das Leben muss
.......................ausgekostet werden, immer noch mehr. Viel mehr !
.......................Wer weiß, wie lange es dauert ! Lutz !

..........Käthie: Was soll er ?

.............Lutz:(herein). Durchlaucht ?


−−−−−−−−−−−−− (訳) −−−−−−−−−−−−−−−−

カール・ハインリヒ: そしてぼくたちのあとには、どんな人物がここに
......................来るのだろう? いつも違った人物、−−いつも
......................また違った者が−−

...ケティー: もうおよしなさいってば.

カール・ハインリヒ: そうだな、もうやめておこう.ケティー、私たちは
......................今、若い.私たちには青春がある.長い間、宮廷の
......................やつらは私の首をしめてきたんだ.そして私から全
......................てを奪い取った ! 笑いぐさだよ、ケティー! 私た
......................ちは、ばかげたこともやってのけなくてはだめさ.
......................今までにはなかったほどの馬鹿げたことをね.
......................一緒に世界中を旅行しようじゃないか.あるいは、
......................少なくともパリへは行こう!

....ケティー: パリですって?

カール・ハインリヒ: パリへ行くぐらいが何だ?何でもありゃしない.夕
......................方、列車に乗れば、朝にはもう着いているさ.考え
......................ても見給え!
.
....ケティー: 本当に行けたら素晴らしいわ.

カール・ハインリヒ: そしたら買物をするんだ.絹の洋服に、絹の靴下、
.......................それに羽飾りのついた帽子を買うのさ.君は
.......................驚くことになるぞ!それから私たちはホテル
.......................に向かってドライブだ.−−−想像できるかい?

....ケティー: ねえ、それから? 

カール・ハインリヒ: そうだな、それから何をするか!? それから、
.......................ますます楽しくやるまでさ.君は王女様さ.それ
.......................もこの上なく美しいプリンセスなのだ.もし私
.......................たちが望むなら、そしてお金があれば、そしたら
.......................まだずっと遠くまで行きつけるんだ.

....ケティー: でも、あなた言うだけならただですものね.

カール・ハインリヒ: 口先だけだって!そんなことあるものか.
.....................人生の喜びは、もっと堪能しなくてはね.もっと
.....................たくさんのことを.人生がいつまで続くか、誰が
......................わかるんだ. おーい、ルッツ!

....ケティー: 何のご用なの?

.......ルッツ: (入場)殿下、ご用でしょうか?



−−−−−−−−−−−−−《語彙》−−−−−−−−−−−−−−−−

Lass doch:およしなさいよ!
     lassen (自/他) […⁴を] やめる、やめておく
fort damit:それを止めておく
fort:離れる、去る
die Kehle:(弱n) のど
zugeschnürt:(過去分詞) <zu/schnüren (他) […⁴を] ひもでくくる
        [靴⁴の]ひもを結ぶ
    Die Angst schnürt + 3格 + die Kehle zu
恐ろしくて…3は声が出ない.
Tolles:形容詞[toll]の名詞化.(中性名詞扱い); ばかげたこと
    事物・事柄を表わす形容詞を名詞化すると、中性名詞扱い
    となり、複数形はない.形容詞と同様の格語尾変化をする
    が、通例、定冠詞を共なう弱変化か、単独の強変化を取る.
aufführen:(他) […⁴を]上演する、[馬鹿な真似を]する
sich3 vor/stellen:(他) 想像する、思い浮かべる         
Stell Dir das vor ! / 考えても見給え!
本文中でdir のところが大文字になっています.
   なぜそうしたかについては私の浅はかな知識では
   わかりかねますが、ハインリヒの「お願いだから」
   といった気持ちが込められているからでしょうか? .
Strümpfe:(複/変E) <der Strumf (片方の) 靴下
der Federhut:羽飾りのついた帽子
Augen machen:辞書不掲載だがgroße Augen machen:驚く、
   目を丸くする、という記載が辞書の追い込みにありました.
   おそらくこの意味だと思いますので、そういう訳をつ
   けます.  
lustiger:(形、比較級) <lustig 愉快な、陽気な、たのしい 
und zwar:(副詞句) しかも、それも
die allerschönste:(形、最上級) <allerschönst この上なく美しい  
reden:「語る」だが、nur がついているので「言うだけのこと」  
   「言うのはただ」とケティーが「そんな馬鹿な話があり
    ますか」と暗に言っています. 
ausgekostet:(過去分詞)<aus/kosten (他)[高地]味わいつくす
    堪能する 

2023年07月11日

506番:ハリエット嬢(177)(最終回)


ハリエット嬢(177)
Miss Harriet
Maupassant


−−−−−−−−−−【177】−−−−−−−−−−−−−−−

Et les chevaux, qui ne sentaient plus le
fouet, avaient leur marche, tiraient mollement.
Et le break n' avançait plus qu' à peine, de-
venu lourd tout à coup comme s' il eût été
chargé de tristesse.


−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

 そして馬たちは、もう鞭を打たれなくなって、だらだ
らとした歩みでゆっくり馬車を引いていました.そして
突然大型四輪馬車は、ほとんど動かなくなってしまいま
した.まるで悲しみを積み込まれでもしたかのように、
重くなっていたのでした.


..−−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

chevaux (pl) <cheval (m) 馬、
fouet:[fwɛ] (m) 鞭
tiraient:(半過去3複) < tirer (他) 引く
mollement:(副) @柔らかく、そっと、静かに、
   ゆっくりと; ❷無気力に、だらだらと
break:(m)[ブレク] 四輪馬車
avançait:(半過去3単) <avancer (自) 前進する
à peine:ほとんど〜ない
lourd(e):[ルール、ルルド](形) (目方が)重い
tout à coup:突然
comme si:あたかも〜であるかのように
   * 動詞は直説法で
  主節と同時のことを言う場合は「半過去」
  主節より前に完了したことを言う場合は「大過去」
Il se comporte comme s'il avait toujours vingt ans.
(彼はいつまでも20歳の青年であるかのように
    振舞う)
Ses yeux étaient rouges comme si elle avait pleuré.
(彼女の目は泣いた後のように赤かった)
il eût été chargé de ~ :(大過去受動態)
tristesse:(f) 悲しみ





−−−《学習のおつきあいありがとうございました》−−−−−

『ハリエット嬢』の学習はこれで終了です.お疲れ様で
した.おつきあいいただいたみなさま、長い期間ありが
とうございました.何分にも素人の学習ブログでしたの
で、間違いがふんだんにあったことでしょう.お気づき
になられた方、どうぞご叱責のコメントをお寄せくださ
いませ.よりよいブログにしていきたいと心より願って
おります.ではみなさまのご多幸を願いつつ、これにて
失礼いたします.

2023年盛夏 ゴタぴょん

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

学習に使った本:
❶ Maupassant “Miss Harriet”et autres nouvelles
(folio classique)(1036)
❷「ミス・ハリエット」(パロル舎)
❸「モーパッサン全集5」(春陽堂)
❹「モーパッサン短篇集」(ちくま文庫)

505番:ハリエット嬢(176)


ハリエット嬢(176)
Miss Harriet
Maupassant


−−−−−−−−−−【176】−−−−−−−−−−−−−−−

 Léon Chenal se tut. Les femmes pleuraient.
On entendait sur le siège le comte d' Étraille
se moucher coup sur coup. Seul le cocher
sommeillait.

−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

レオン・シュナルは黙り込みました.女たちは泣いて
いました.御者台ではエトライユ伯爵が続けざまに鼻を
かんでいる音が聞こえました.この御者だけがうとうと
まどろんでいたのでした.



..−−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

se tut:(単純過去3単pr) < se taire (pr) 黙る、
           黙り込む、黙っている
taire:[テール](過去分詞はtu、直現3単はtait)
siège:(m) 御者台、座席、
le comte d'Étraille:エトライユ伯爵;
   御者台に座っていた人
se moucher:(pr) (自分の)はなをかむ
coup sur coup:続けざまに
cocher:(m) (馬車の)御者
sommeillait:(半過去3単)
   < sommeiller (自) うとうとする、まどろむ

504番:ハリエット嬢(175)


ハリエット嬢(175)
Miss Harriet
Maupassant


−−−−−−−−−−【175】−−−−−−−−−−−−−−−

C' était l' heure qu' elle aimait tant. Les oiseau
réveillés chantaient dans les arbres.
J' ouvris toute grande la fenêtre, j' écartai les
rideaux pour que le ciel entier nous vît, et me
penchant sur le cadavre glacé, je pris dans mes
mains la tête défigurée, puis, lentement, sans
terreur et sans dégoût, je mis un baiser, un long
baiser, sur ces lèvres qui n' en avaient jamais
reçu...


−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

 彼女がとても好きだった時間です.目覚めた鳥たちが
木々で歌っていました.私は窓を大きく開けました.そ
して空全体がよく見えるように、カーテンも左右に開き
ました.そうして私は冷え切った死体に前屈みになって
彼女の変形した顔を両手で持って、そうしておいて、ゆ
っくり、恐怖心もなく、嫌悪感もなく接吻をしました.
彼女がその人生で一度も受けたことのない長い接吻をそ
の唇にしていたのでした ... 



..−−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

tant:非常に、そんなに
réveillé:(p.passé) < réveiller (他) 目覚めさせる
écartai:(1単単純過去) <écarter (他)〜の間を離す
  開ける; écarter les rideaux / カーテンを開ける
entier(ière):(形) 全体の、全部残らず、
cadavre:[カダーヴル](m) 死体、死骸、屍
glacé:(形) 凍った、凍るような、冷え切った
terreur:(f) (大きな)恐怖
dégoût:[デグー](m) 強い嫌悪、不快感、嫌気;
   dégoût pour poisson / 魚嫌い
baiser:(他) [文] 口づけする、[古] 接吻する
  現代フランス語ではこの意味ではembrasser
を用いるか、baiser を名詞で用いる.
  donner un baiser sur la joue / les lèvres
頬に/唇に/キスする  
reçu:(p.passé) <recevoir (他) 受け取る、もらう;
  被る、受ける、迎える

503番:ハリエット嬢(174)


ハリエット嬢(174)
Miss Harriet
Maupassant



−−−−−−−−−−【174】−−−−−−−−−−−−−−−

 Les heures passaient dans ce tête- à- tête sinistre
et silencieux. Une lueur pâle annonça l' aurore;
puis un rayon rouge glissa jusqu' au lit, mit une
barre de feu sur les draps et sur les mains.

−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

不気味な、そして沈黙を守る人との対面の中、時間は過
ぎてゆきました.青白い曙光で夜明けになったことが知
らされました:それから赤い太陽光線がベッドまで射し
込みました.それは白いシーツと合掌する手の上に燃え
る火のような棒を作っていました.


..−−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

tête-à-tête:(m/単複同形) 差し向かい、対談、面談
sinistre:(形) 不吉な、不気味な、陰鬱な、
     悲し気な
lueur:[リュール](f) ほのかな光、微光、閃光、曙光
aurore:[オロール](f) 夜明けの光、明け方、
     A極光、オーロラ
lit:(m) ベッド、寝床
barre:(f) 棒、棒線
drap:[ドラ](m) シーツ;
   drap de dessous / 敷布
drap de dessus / 掛布
mains:手(複数)、合計4つの手がありますがどの手に
   光りが当っているかは不明.というのは、もしか
   したらハリエットさんの両手を胸の上で合掌させ
   ていたかもしれません.あるいは、ハリエットさ
   んの手はシーツの下で見えなかったたもしれませ
   ん.その場合は語り手、レオン・シュナルさんの
   手になります.
mit:(単純過去3単) < mettre (他) 置く、生じさせる 


−−−−−−−−−−≪意訳あり≫ −−−−−−−−−−−−−−−−−

「合掌する」というフランス語は本文中にはありません.
ただmains とあるだけです.シーツも白色という言葉は
本文中にはありません.これは仏検の和訳問題なら誤答
として処理されますのでご注意下さい.しかし私は赤い
太陽光線に対してどうしても白いシーツと書きたいので
そうしました.これは100%意訳でございます.

 それから「手」も.これも複数形だから「両手」までは
いいとして、これに「合掌」させれば、試験問題なら不合
格答案です.
でもこの手がこの絵描きさんの手だとしてもハリエット
さんの手だとしても、夜明けのしじまの中では合掌
する姿が絵になるのでそう意訳しました.
ちなみに「合掌する」は joindre les mains [pour prier]
もしくはprier les mains jointes です.


502番:アルト・ハイデルベルク(153)


𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌
       
アルト・ハイデルベルク(153)


−−−−−−−−−−−−【153】−−−−−−−−−−−−−−−

............(Pause.)

Karl Heinrich:Jetzt möchte ich schlafen. So müde wird man doch.

.........Käthie:Schlaf.

Karl Heinrich:(springt auf, reckt sich.) Dazu hat man später Zeit
...................... genug ! Diese Unmasse Studentenbilder ! Lauter
.......................Fünfbroschenrahmen. (liest). Karl Hohenlohe 1848/49,
.......................Graf Bredow 1853, die haben alle hier gewohnt, alle in
.......................iesem Zimmer.

.........Käthie:(liest). 1860.

Karl Heinrich:Ein ewiges Kommen und Gehen. (Betrachtet andere.)
......................Immer neue Gesichter, jedes Jahr andere. Die haben
......................vielleicht auch hier ein liebes Mädel im Arm gehalten.
......................Fürstenberg 68/69.

.........Käthie:(steht an ihn gelehnt).

Karl Heinrich:Die meisten vergessen und vielleicht die meisten
......................gestorben. Und jetzt sind wir da, Käthie.

.........Käthie:Ja.

Karl Heinrich:Wie lange noch ?

.........Käthie:Karl Heinz.



−−−−−−−−−−−−− (訳) −−−−−−−−−−−−−−−−

.................(間)

カール・ハインリヒ: さあ、ちょっと眠っておきたい.こんなにも疲れる
.................... ものなんだな.

...ケティー: おやすみなさいな.

カール・ハインリヒ: (とび上がって、伸びをする)寝るのはあとで
.......................時間がたっぷりあるさ!このずらり並んだ写真は!
.......................安物の三文額縁ばかりだな.(読み上げる)
.......................カール・ホーエンローレ、1848年から49年、
.......................ブレドー伯爵、1853年、この人たちはみんな
.......................ここに泊まっていたんだな.みんなこの部屋に.

...ケティー: (読む)1860年.

カール・ハインリヒ: 絶え間のない入れ替わり立ち替わりだ.(他のを
......................見ている) いつも新しい顔だ、毎年毎年違った
......................顔だ.この人たちも、さぞやこの部屋で可愛い
......................若い女性を腕に抱いたことだろう. 
......................フュルステンベルク、68年から69年.

...ケティー: (カール・ハインリヒにもたれて立っている)

カール・ハインリヒ: その女性たちは忘れ去られ、そしてたいていは
......................おそらく、もうこの世にはいないだろう.
......................そして今、ぼくたちがここにいるんだ、ケティ.

...ケティー: そうね.

カール・ハインリヒ: まだどのぐらい(ぼくたちは)こうしていられる
......................んだろう.

...ケティー: カール・ハインツ.




−−−−−−−−−−−−−《語彙》−−−−−−−−−−−−−−−−

So müde wird* man doch:wird <werden を未来形と考えるため
    には従える不定詞が後ろに来ていません.したがって
    ここのwerden は自動詞.時制は現在形で「〜になって
    くる」So müde wird man doch. こんなにも疲れるものな
    んだ.
    というわけでwerden はこのあとの長旅で疲れるだろう、
    と訳すのはやや無理筋になります.
    日本人がこういうドイツ語作文をすればSo müde bin ich
    doch, か、So müde ist man doch. だと思います.werden
を使えたらプロ級かも.
auf/springen:(自) 飛び上がる
recken:(他) (手足、首などを) 伸ばす
sich⁴ recken:手足を伸ばす、伸びをする;背伸びをする
   ❷[比喩] (上に向かって) 伸びる、そびえる
die Unmasse:[ウンマセ] (弱n) 多数、大量
Studentenbilder:= Studenten (学生の) + das Bild (er 型) 写真 
lauter:(副) [名詞句と] ただ〜ばかり;〜だけ
   Da waren lauter junge Leute.
   そこには若い人たちだけがいた.
der Groschen (同尾型) グロッシェン❶(オーストリアの旧貨幣)
   1/100 シリング;❷(ドイツの旧硬貨=10ペニヒ硬貨)
der Groschenroman:(E型) 三文小説
der Rahmen:(同尾型) 額縁
der Groschenrahmen:三文額縁、安物の額縁
Karl Hohenlohe:(人名)カール・ホーエンローレ
Graf Bredow:(人名)ブレドー伯爵
der Graf:(弱en型)伯爵
   侯爵(Fürst)と男爵(Baron)の間の爵位
ewig:(形) ❶永遠の;❷絶え間ない 
Kommen und Gehen:(2つセットで単数扱い) 人物往来
. ein ewiges Kommen und Gehen:
  ひっきりなしの入れ替わり立ち替わり
(ewig の格語尾es は混合中性1格)
betrachten:(他) […⁴を]じっと見る、眺める、観察する
an ihn gelehnt:彼に寄り掛かって <sich⁴ lehnen an + 4格  
ここでは [sich⁴ lehnen an + 4格] の代わりに
   過去分詞形にして受け身的表現を取っている.
die meisten vergessen :die meisten Mätchen waren vergessen.
       ほとんどその女性たちはみんな忘れ去られ 
und vielleicht die meisten gestorben:そしてもうおそらくこの世に
                いないだろう.


ファン
検索
<< 2024年10月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
語学学習さんの画像
語学学習
はじめまして.ゴタぴょんと申します.通訳ガイド(英語)をしております.というかしていました.コロナの影響で現在仕事はありません.毎日ヒマなので、語学学習をしております.学習したノートを公開しますので、どうぞ、ご一緒に!
プロフィール