2012年06月01日
ペトロ
ペトロ
出版社:中央公論新社
著者:今野敏
碓氷警部補シリーズです。
私の知る限りでは“アキハバラ”、“触発”、“エチュード”に続く4弾目です。
アキハバラは主人公と言う印象ではなく、名前が出てきただけのようですが、それ以降は碓氷警部補が外部の専門家と組んで事件を解決していく物語です。
事件は考古学の専門家である大学教授の奥さんが殺された所から始まります。
現場には奇妙なマークが残されています。ペトログリフ(古代文字)です。このペテログリフがタイトルの“ペトロ”になっています。
通常の推理小説であれば「被害者が犯人のヒントを書く」、「犯人からのメッセージ」が多いと思います。
碓氷警部補はこのペテログリフの謎解明を担当します。そして第二の殺人事件が起きます。被害者は大学教授の研究室のスタッフです。
連続殺人。しかもそこには楔形文字が残されています。誰がなんの目的で残したものなのか?
第一の被害者と第二の被害者の関係は単に同じ研究室の研究員と言うだけのことなのか?
これらの謎を碓氷警部補は追っていきます。
“警部補と大学教授の異色コンビが真相に迫る”となっていますが相棒になる大学教授が出てくるのは話が半分ほどすすでからです。
その教授は被害者たちとは違う大学で教鞭をとる外国人 ジョエル・アルトマン教授です。流暢な日本語を話す外国人は異色ですが、主人公の一人としては“触発”、“エチュード”の相棒と違い屈折したものはあまり感じません。
犯人も見当がつきやすく、意外性があまりないので“触発”、“エチュード”などと違いあまり読み返したいと思うような本では残念ですがありません。
しかし、初めての人には読みやすい小説だと思います。