2011年08月26日
やなりいなり
畠中 恵著
出版:新潮社
発行日:2011.7
畠中恵さんの人気シリーズ「しゃばけ」が世に出てから10年経ったそうです。私が始めて「しゃばけ」に出会ったのははずかしくもTVドラマです。TVドラマで最初に「しゃばけ」をそしてその翌年だかに放送された「うそうそ」を見てやっと本を買ってみる気になりました。
通常、人気のある小説の場合はドラマ化しても中々小説と同等かそれ以上のものは多くありません。また、最初に見たほう(ドラマあるいは小説)の影響が強く、後から見たほうに悪い印象が残ることが多いものです。ところが、しゃばけの場合はドラマで見たイメージと小説のイメージがあまり変わりませんでした。
そこで次々としゃばけシリーズを購入して読むことになりました。
今回は十周年!第十作目と言うことです。連載も長くなるとマンネリになってしまうことが多いものです。主人公は年をとらないし、そのくせ季節の変動があったり、以前の事件などもしっかり踏まえていたりするしで型をやぶれるか?と言うのも読むテーマの一つになってしまいます。
今回の新作のタイトルは「やなりいなり」
若旦那の祖母である「おぎん(大妖)」の娘「おたえ(若旦那の母)」を守っている守り狐の作るいなりがタイトルになっています。若旦那の周りには沢山の妖(あやかし)が若旦那を守っているのですが、守り狐たちが直接若旦那と接するのは今回が初めてのような気がします。少し変化をつけたと言った感じです。
変化といえば収録されている短編一つ一つにレシピがついています。煮る時間を家鳴りに数えさせたり、注意事項が妖たちに関することであったりとレシピ自体を面白く読むことが出来ました。
話のほうはいつもどおりで面白い。けど・・・。少しマンネリ感もあります。場所の設定。出てくる人物や妖たちが変わりなくいて、そこに事件を投げ込むわけですから変化があるわけもない。まるで「水戸黄門」のごとくです。やはり10冊めともなるとそろそろ何か考えないといけないかなと言う気がします。もっともカラを破って不評を買うくらいならば、あたらしいシリーズを立ち上げたほうが良いかもしれません。今のままでも面白いのには違いないのですからね。