2012年08月31日
父との思い出・札幌
まゆみさんの父は札幌出身でした。
父が生きていた頃は父に連れられて一緒に札幌に行きました。
七戸から札幌までの旅は当時、一日がかりでした。
今ではそんなに時間はかからないと思います。
父が亡くなって以来札幌へは行った事がないので実際のところはわかりませんが。
青函連絡船に乗って、汽車に乗って一日がかりで行きました。
船酔いするのでいつも甲板に出て風を浴びながらずっと甲板で過ごしました。
父と一緒にトランプをするのですが、
風が吹くたびにトランプが飛ばされて、ゲームになりませんでした。
汽車に乗ると、普段は高いから食べる機会のないホタテの貝柱の干物を買って食べました。
父と旅行するとき以外は食べたことがありませんでした。
たまの旅行だから奮発するんでしょうね。
エアコンのない時代で、汽車の窓を開けて風を浴びながら色んなおしゃべりをしました。
「昔はなぁ、石炭で走っていたからトンネルに差し掛かれば、トンネルだー!窓しめろー!
って言ってみんないっせいに窓を閉めたんだ。
トンネルに入れば汽車の煙が窓から中に入ってくるからな」
「へえぇーー」
札幌の地下街はすっごい素敵なところでびっくりしました。
今から40年ほど昔のことでしたから、
七戸の田舎しか知らないまゆみさんは、地下にこんなに広々としたきれいな街があるなんて
札幌ってすっごい都会なんだぁ!!って思いました。
小樽の水族館にも連れて行ってもらいました。
そこにはゴマフアザラシがたくさんいて、手というかヒレというかわからないけど
その手でおなかをパンパンたたいて自分にエサを投げてくれってアピールするんです。
その中で一頭だけが、おなかではなく両手をパンパンたたく子がいました。
他の子たちとは違うアピールを考え出したそのアザラシのところへは
すっごくいっぱいみんなが魚を投げてやりました。
「うぅーん、あの子は賢いね」
みんなが言っていました。
北海道のどこかの海に行って、父と兄と、従兄弟が海に潜ってウニをたっくさん獲っては
陸にポンポン投げてよこしました。
まゆみさんは一人だけまだ潜れないので、陸の上にいました。
砂浜ではなく岩だったので、一歩も海には入れませんでした。
ポンポン投げてよこすウニを次から次へとまゆみさんが食べ続けました。
この辺でやめておこうかなぁ・・って思ってもウニがとってもおいしくて
「お父さ〜ん、いっぱい食べたよ〜」
「おお、食え食え」
「もっと食べてもいい〜?」
「おお、なんぼでも食え」
ウニでおなかがいっぱいになるほど食べました。
こんなすごーーーい贅沢は一生ないだろうってくらいウニを食べました。
それでもまだまだたくさんあって、家に持って帰って、
殻をはずして塩漬けにしました。
「全部塩漬けにするのぉ?」
「そうだ」
「もったいない、生のをお母さんにも食べさせたかった」
「お母さんに食べさせるんだから塩漬けにするんだ。
生のままだとすぐに腐ってしまうんだ」
家に帰ってから母に言いました。
「お母さんも行けばよかったのに!お母さんにも生のウニ食べさせたかったのに!」
父の実家は母とは相性が悪くて、昔さんざんいびられていた母は
父の実家では歓迎されない人間だったことをもう少し大人になってから知りました。
父が亡くなって以来札幌へは行った事がありません。
父方の親戚がどこで何をして暮らしているのか全然わかりません。
北海道って何か同じ日本なのになぜかしら異国的な雰囲気があります。
地名なんかを聞いただけでなんとなく別世界のような響きを感じます。
また行きたいなぁ・・
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