2013年04月12日
父の命日
今日はまゆみさんの父の命日です。
父は短気で気難しく、家族の支配者のような人でした。
自分の子供でもよく殴りました。
まゆみさんは従順な子供だったので
まゆみさんだけは殴られたことがほとんどありません。
兄も姉も妹もよく殴られました。
母は昔、看護婦をしていて、家族の便の状態を見て
健康状態を把握していました。
父の便の色がおかしいから検査に行くようにと
父に何度も言いました。
父は病院嫌いで、自分の健康に自信を持っていて
「何だ、お前は!人の糞をいちいち観察して
気持ちの悪いやつだ!」
そう言っていました。
母は父の便が真っ黒なので、消化器官のどこかで出血している。
しかも、鮮血ではなかったので、大腸あたりではない、腸からずっと前の部分で出血していると
確信していました。
母の予想通り、父は胃癌だということが後でわかりました。
癌は肝臓にまで転移していて、もう手遅れでした。
後半年の寿命と告知されました。
人は病気になると苦しさでわがままになるものです。
ただでさえ短気な父は病気の苦しさを闘っているときは、とてもわがままになりました。
まゆみさんが中学の卒業を控えた頃のことでした。
まだ子供だったまゆみさんは病気の苦しさがわかりません。
父のお見舞いに漫画本を持っていって、父のベッドの横で漫画ばかり見ていました。
父はお見舞いに来たのだったら背中をさすってもらったり、
足を揉んで欲しかったらしく、それを母に言いました。
「まゆみは見舞いに来ても、背中ひとつさすってくれない。
あんな奴は見舞いになんか来なくてもいい!!」
まゆみさんはカチーンときて、お見舞いに行くのを一切止めてしまいました。
父はどんどん衰えていき、母が言いました。
「お父さん、明日あたり危ないんだってよ。行ってあげて」
それでもまゆみさんは行きませんでした。
翌日また母が言いました。
「お父さん、今日あたり危ないんだってよ。行ってあげて」
まゆみさんは仕方なく出かけて行きました。
まゆみさんの目に入ってきた父の姿は、あのわがままな父ではありませんでした。
呼吸器の拍動によってカクン、カクン、と胸が上下しているだけのほぼ死人でした。
その変わり果てた姿を見て、まゆみさんは激しく泣きました。
「これでご家族はみんなそろいましたね。では呼吸器を外します」
担当医が言いました。
「5時5分」
なぜ今までお見舞いに行ってあげなかったんだろう。
お父さんはきっと、「まゆみは最後まで来てくれなかった」
そう思いながら死んでいったに違いない。
今までお見舞いに行ってあげなかったことを激しく後悔して
まゆみさんは号泣しました。
そして心に決めました。
どんな人にもお別れをしなければならないときが来る。
その時に二度と後悔しないように、自分と出会った人には最後の最後まで
誠心誠意のことをしようと。
父は札幌出身でした。
石原裕次郎「恋の町札幌」
最近になってスピリチュアルの勉強をして、
人は死後、ずっと意識があって自分の死体や家族を見ている、
自分の葬式の様子もみている、
そういうことがわかりました。
「まゆみは最後まで来てくれなかった」とは思っていないことがわかって安心しました。
父は短気で気難しく、家族の支配者のような人でした。
自分の子供でもよく殴りました。
まゆみさんは従順な子供だったので
まゆみさんだけは殴られたことがほとんどありません。
兄も姉も妹もよく殴られました。
母は昔、看護婦をしていて、家族の便の状態を見て
健康状態を把握していました。
父の便の色がおかしいから検査に行くようにと
父に何度も言いました。
父は病院嫌いで、自分の健康に自信を持っていて
「何だ、お前は!人の糞をいちいち観察して
気持ちの悪いやつだ!」
そう言っていました。
母は父の便が真っ黒なので、消化器官のどこかで出血している。
しかも、鮮血ではなかったので、大腸あたりではない、腸からずっと前の部分で出血していると
確信していました。
母の予想通り、父は胃癌だということが後でわかりました。
癌は肝臓にまで転移していて、もう手遅れでした。
後半年の寿命と告知されました。
人は病気になると苦しさでわがままになるものです。
ただでさえ短気な父は病気の苦しさを闘っているときは、とてもわがままになりました。
まゆみさんが中学の卒業を控えた頃のことでした。
まだ子供だったまゆみさんは病気の苦しさがわかりません。
父のお見舞いに漫画本を持っていって、父のベッドの横で漫画ばかり見ていました。
父はお見舞いに来たのだったら背中をさすってもらったり、
足を揉んで欲しかったらしく、それを母に言いました。
「まゆみは見舞いに来ても、背中ひとつさすってくれない。
あんな奴は見舞いになんか来なくてもいい!!」
まゆみさんはカチーンときて、お見舞いに行くのを一切止めてしまいました。
父はどんどん衰えていき、母が言いました。
「お父さん、明日あたり危ないんだってよ。行ってあげて」
それでもまゆみさんは行きませんでした。
翌日また母が言いました。
「お父さん、今日あたり危ないんだってよ。行ってあげて」
まゆみさんは仕方なく出かけて行きました。
まゆみさんの目に入ってきた父の姿は、あのわがままな父ではありませんでした。
呼吸器の拍動によってカクン、カクン、と胸が上下しているだけのほぼ死人でした。
その変わり果てた姿を見て、まゆみさんは激しく泣きました。
「これでご家族はみんなそろいましたね。では呼吸器を外します」
担当医が言いました。
「5時5分」
なぜ今までお見舞いに行ってあげなかったんだろう。
お父さんはきっと、「まゆみは最後まで来てくれなかった」
そう思いながら死んでいったに違いない。
今までお見舞いに行ってあげなかったことを激しく後悔して
まゆみさんは号泣しました。
そして心に決めました。
どんな人にもお別れをしなければならないときが来る。
その時に二度と後悔しないように、自分と出会った人には最後の最後まで
誠心誠意のことをしようと。
父は札幌出身でした。
石原裕次郎「恋の町札幌」
最近になってスピリチュアルの勉強をして、
人は死後、ずっと意識があって自分の死体や家族を見ている、
自分の葬式の様子もみている、
そういうことがわかりました。
「まゆみは最後まで来てくれなかった」とは思っていないことがわかって安心しました。
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