2016年10月16日
残り3年しかないのに競技場移転? | 2020年東京五輪 海の森水上競技場 の移転について
1.はじめに
今回は、ドロドロ状態になっている2020年の東京五輪の競技場移転・見直しについて投稿します。
2.見直しの概要
私は東京都民ではないので、直接的な関係はありませんが、いつの間にか2020年東京五輪・パラリンピックの開催費用が総工費3兆円になっていることに憤りを感じます。
3兆円は高すぎます。建設資材の高騰の域を超えています。それについては、都は縮減を図るようですが、五輪まで残り3年ちょっとです。間に合うのでしょうか。それとも端から開催する気がないのではと思ってしまいます。
しかも、今更になって会場計画の変更と来ました。元々の整備費の積算が甘すぎたのかどうか判りませんが、現在3施設について、再検討を行うとのことです。
見直しを行う施設は以下のとおりです。
まずは、水泳会場「オリンピック・アクアティクスセンター」です。客席が2万席用意し、終了後に5千席に減築する予定となっていたようです。アホのような理由ですが、今更「座席数が過大」、近くに「東京辰巳国際水泳場」があるとの理由で再検討するようです。
出典:東京五輪・パラリンピック公式HP
次に、バレーボール会場「有明アリーナ」は不要な設備を省き、競技に特化すること等の検討を行うとのこと。これはそのとおりだと思います。仮設チックな施設でもよいと思います。
出典:東京五輪・パラリンピック公式HP
一番、腑に落ちないのは、ボート・カヌー会場「海の森水上競技場」です。この見直しの理由がアホ過ぎます。海風や波の対策が不十分。整備費用が69億円から491億円に膨らんだから、会場変更も視野に入れるとのこと。設計の前に計画をきちんと行ったのかが疑問です。
出典:東京五輪・パラリンピック公式HP
で、この移転先ですが、突然出てきたのか、裏の代替案があったのか知りませんが、「宮城県登米市」にある「長沼ボート場」が最有力候補とのことです。
このニュースをみて、私は「ん?東京五輪ではなかったのでは?」と思ってしまいました。サッカー場等、1競技で施設数が複数必要な競技での地方開催は理解できますが、カヌーとボートを宮城県に開催というのは納得できないです。当初の69億円の枠には収まらず、施設の改修工事、選手村の分村の整備、その他インフラ整備等で300億円以上になるという試算のようです。もっと近場に良さげな場所があると思いますが・・・。
3.長沼ボート場の場所
では、長沼ボート場とは宮城県のどこにあるのか、地図等を用いて説明したいと思います。
場所は宮城県の登米市というところです。東京から約360km離れた場所に位置しています。長沼のお隣には、ラムサール条約の登録湿地である「伊豆沼・内沼」があります。水鳥が沢山集まる場所です。
地図:GoogleMAPを二次利用
最寄りの新幹線駅は東北新幹線の「くりこま高原駅」です。東北新幹線屈指の秘境駅です。駅前は「農業振興地域」に指定されているため、一面田んぼが広がっています。最近、駅の南側にマックスバリュができました。要するにド田舎です。
会場の近くの街場は、栗原市の「築館」と登米市の「佐沼」です。一番近い都市は仙台市です。ただし、50km以上離れています。仙台から長沼までは高速を使って、車で1時間ちょっとかかります。
基本地元民は車で移動するので、鉄道以外のインフラは充実しています。近くに東北道の築館IC、東西を横断する幹線道路として、「みやぎ県北高速幹線道路」という怪しげな自動車専用道路があります。
地図:GoogleMAPを二次利用
また、「復興五輪」という位置付けも気になります。まさか五輪のために、復興庁の「復興交付金」を流用して整備する訳ではないですよね。この金を使うために、宮城県での開催を目論んでいるのであれば、本末転倒です。
4.地元民の反応
平成28年10月3日の河北新報に地元民の反応についての記事が掲載されていました。
お題は、「<五輪会場変更>ボート長沼案 棚ぼた大歓迎」です。
会場はまだ宮城県の長沼に決まったわけではありませんが、地元の登米市では、会場変更の話題で持ちきりのようです。主なご意見は以下のとおりです。何とも楽観的です。「五輪会場変更=道路が整備される」というご意見が多いようです。道路は今のネットワークでも十分かと私は思いますが・・・。
- 登米市にとって降って湧いたような知らせ。
- 経済効果の面で大歓迎。道路網の整備促進も見込まれる
- 五輪開催地というネームバリューは貴重。
- 都会から地方へ人の流れを生み、外国人呼び込みのきっかけとなるよう、『東北のおもてなし』を展開したい。
- 子どもたちの刺激になる。
- 長沼の水質浄化の必要性や、予想される交通渋滞対策などクリアすべき課題は多い。
5.五輪組織委員会がいう「長沼ボート場」の9つの問題
五輪のボート場の変更のニュースで出てから、半月が経ちました。全く進展がないですね。五輪組織委員会は、長沼ボート場への変更は以下の9つの問題点があるとのことで、東京都知事と宮城県知事が掲げる変更に難色を示しているようです。一部、屁理屈のような課題もありますが、私はそのとおりだと思います。
- 選手村が分かれるため、オリンピックで1300人以上、パラリンピックで250人以上の宿泊施設を用意する必要があり、仮設住宅を転用するにしても、パラリンピックの選手に使ってもらうためには利便性に課題がある。
- バリアフリーの面でも、車いすの選手が利用できる間口の広いトイレや、すぐ横にシャワースペースも必要になるとし、会場についても高低差10メートルほどの斜面もあり、パラリンピックの開催に適さない。
- 輸送面では仙台から85キロあり、パラリンピックの選手に負担が大きく、最寄り駅の1つにはエレベーターやエスカレーターがない。
- 会場周辺は斜面が多く、放送設備を置くためのスペースの確保などが難しく、周辺道路も狭い。
- 国際映像を配信するための電力や通信関係のインフラが整備されていない。
- 観客や大会関係者の宿泊施設についても不足している。
- アスリートに対しても空港から遠く移動に負担がかかることや、カヌーはスラロームとスプリントが別の会場で実施されることになるためコーチなどスタッフの対応が難しくなる。
- コストについても調査チームが示した変更した場合の試算ではおよそ350億円とされているが、バリアフリー化や電力・通信、宿泊関係などにかかる費用が含まれていないとしたうえで、海の森水上競技場はコスト削減の余地があり結果的に低コストになるのではないか。
- 仮設としては巨額の300億円をかけるがレガシー遺産として残らない。
6.河北新報の日本ボート協会会長へのインタビュー
この問題について、河北新報に興味深い内容の記事が掲載されていました。そのまま記載します。日本ボート協会の会長がどの程度偉いか知りませんが、ちょっと意見が強いですね。これでは決まるもんも決まらない状態になります。その後も日本ボート協会の木村新・理事長は「長沼は遠く、(選手村が分村となり)世界選手権と変わらない。五輪とは言えない」と発言しています。
私的には、五輪も世界選手権の一部なので、場所の変更については問題ないのかと思います(サッカーは日本各地のスタジアムを利用しますし)。宮城県への変更に反対する考えは変わりませんが・・・。
<五輪会場変更>選手の思い無視 長沼に難色
日本ボート協会の大久保尚武会長が13日、河北新報社のインタビューに答え、2020年東京五輪・パラリンピックのボートとカヌー・スプリント会場を巡り、東京都が都内から宮城県長沼ボート場(宮城県登米市)への変更を検討していることについて「選手たちの五輪への思いが無視されている」と批判した。長沼開催には会場を五輪用に仕上げる作業の難しさを指摘し、「工事が五輪に間に合うだろうか」と懸念を示した。(聞き手は東京支社・剣持雄治)
以下、記事の詳細な内容です。
◎日本ボート協会 大久保尚武会長に聞く
−東京都の調査チームによる五輪会場見直し作業をどう受け止めているか。
「一言の相談もなかった。(小池百合子)知事はアスリートファースト(選手第一)と言っているが、まともに選手の意見を聞いていない。経費削減が優先され、アスリートの五輪への思いを無視している」
−都内の海の森水上競技場の代替地に長沼が浮上した。
「国際ボート連盟の施設責任者が20回ほど来日して長沼を含む国内9コースを視察し、海の森を最適と判断した。風や波の影響を緻密に計算し、レースに影響が出ないように会場を設計した。プロ中のプロが3年をかけて調べた。(変更案は)長沼を直接見たことない人たちが書類上でやっているように感じる」
−村井嘉浩宮城県知事が「復興五輪」の意義を強調し長沼開催を要望した。
「復興五輪には事前合宿の誘致などで協力したい。選手村が分村となって他競技と切り離されれば世界選手権などと変わらなくなってしまう。選手村は他競技の選手から学ぶ貴重な場だ。私は射撃の選手が早朝から伏射の姿勢で練習を積んでいた姿が忘れられない。重量挙げの三宅義信さん(宮城県村田町出身)とも話し、競技に懸ける意気込みを知った」
−仮設住宅を宿泊施設に再利用する案が出ている。
「世界中の選手がどう受け止めるか心配だ。海外の選手は身長2メートルほどがほとんど。普通のベッドでは過ごせない」
−長沼開催には、観客席や伴走路など五輪専用設備が必要になる。
「コースの中央部に風の吹き抜ける部分があり、横風の影響を抑えるための対策なども必要になる。準備工事が五輪に間に合わないのではないかと懸念する」
−海の森開催の意義は。
「五輪後にも国際大会を誘致しやすくなる。国際連盟は日本で(恒久的に)五輪レベルの大会が開催できることを望んでいる。人気が高い欧州だけでなく、アジアでもボートを普及させようとしている」
7.宮城県村井知事の「何でもいちゃもんをつける」発言
どっちも「何でもいちゃもんをつけている」気がします。大会組織委員会の言い分も理解できます。傍からみていると、宮城県の「村井知事」と東京都の「小池都知事」の2人が独断で決めているように感じます。9月中旬には既に長沼への移転を考えていたという情報もあります。
大人同士なので、もう少し建設的な話し合いをしてほしいですね。「復興五輪」とか前面に出して、復興庁の復興交付金を流用することだけは止めてほしいです。
いずれ、10月18日にIOCとバッハ会長と小池都知事との会談があるようです。この日には長沼になるのか、東京になるのかが決まると思います。
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