猛暑でも冷んやり快適!! 冷んやりメッシュベスト 【送料無料・代引手数料...モバイルオフィス環境を実践する5カ条として、電源、ネットワーク、データ、コミュニケーション、セキュリティを挙げた。今回はその1つである「電源の確保」をテーマにモバイルオフィス環境に必要な手段とコツを紹介する。
☆業務に必要な道具であるPCは、「電源」がなければ動かない
「電源」は、業務に必要な道具であるPCの動作に必要不可欠なものだ。停電時、バックアップ電源を持たないデスクトップPCはさておき、ノートPCもバッテリーが尽きてしまうとそこで業務がストップしてしまう。
では、モバイルオフィス環境をできるだけ長時間持続させるにはどうすればよいか。1つめは大容量バッテリーやスペアのバッテリーを用意すること。これは誰でも分かると思うが、今回はそれでもバッテリーが尽きてしまった”その後”の対策も含めておさらいしよう。
ノートPCは、普段であればAC 100ボルトの家庭用電源ソケット(コンセント)より電力を得て、同時にバッテリーにも電力を蓄える。今回取り組むモバイルオフィス環境の時間延長策としても、大きく分ければこの2つの手法のどちらか、あるいは両方を応用することになる。
【手段.1】電源が使える店舗を探す
モバイル環境での電源、まずは電源を利用できる店舗を調べて確保してみてはいかがだろう。
筆者が普段“モバイルオフィス”として利用するのは、東京・秋葉原の「リナックスカフェ秋葉原店」、銀座ルノアール系列の「ルノアール」「ニューヨーカーズ・カフェ」「カフェ・ミヤマ」などだ。このほかに「マクドナルド」も比較的多くの店舗が店舗利用時に電源を利用できる。
ほかにもチェーン店、個人経営店含めて電源を利用できる店舗は調べるとかなりある。電源を利用できる店舗情報をまとめた便利なサイトも数多くあるので「電源カフェ」といった検索ワードで探してみてほしい。「電源が使えるカフェ」などの地域情報を検索できるiPhoneアプリなども存在する。
1つ、飲食店で電源を使用させてもらう場合の注意点を。筆者はいわゆる“電源カフェ”であっても、明確に「電源使用OK/ご自由にお使いください」などと案内されている場合を除いて「店舗スタッフに確認してから電源を使用する」ことを心がけている。仮に電源ソケットがあっても店舗業務用(清掃用など)の場合があり、以前は電源サービスをしていたものの、何らかの理由で中止/休止している可能性があるためだ。ちなみに、電源の無断使用により“窃盗の疑いで警察の事情聴取を受けた”という事例もある。このほか店舗が定める顧客サービス範囲外──いわゆる“これは迷惑”と思う利用・行為ももちろん厳禁だ。その店舗が末永くサービスを続けられるよう支援すべきと思いたい。
もう少し長時間利用したい場合は、時間単位でスペースを貸し出すような業種──例えば電源が利用できるインターネットカフェやまんが喫茶などを利用するもの手段の1つだ。時間単位でコストが発生するが、周囲の目を気にすることなく仕事が進められる。発生コストに対してそれに見合う業務進捗が得られるかは人それぞれだが、いざという時にこうした選択肢が思いつくか、どこに店舗があるか、どう調べるかの手段を把握しておくことが重要ということだ。
【手段.2】クルマを使う
クルマは「移動できる自家発電機搭載のオフィス」でもある(地球温暖化や環境問題の観点だと勧めにくいが、今回はモバイルオフィス環境を実現する一例ということで了承願いたい)。
一般自家用車は、シガーライターソケットを経由してDC(直流)12ボルトの電源が得られる(一部大型車はDC 24ボルト)。「DC−ACインバーター」という機器を用意すると、このDC 12ボルトを普段のAC(交流)100ボルトの電源として使用できるようになる(最近はトランク部などにAC 100ボルトの電源ソケットを標準で備える車種もあるようだ。もちろんそのようなクルマであれば不要だ)。
ここで紹介するDC−ACインバーターという機器は、カー用品店や家電量販店、ディスカウントストアなどで購入できるので入手性はそこそこ容易だ。ただ、出力容量や品質に応じてかなり多くの製品があり、数百円から千円前後より入手できる携帯電話の充電対応──あたりの仕様の製品では出力容量が足りないので注意したい。
ノートPCで使うには、ノートPCのACアダプタの出力電力:ワット(W)の仕様がいかほどかを指針にするとよい。ちなみに電力:ワット(W)は、電圧:ボルト(V)×電流:アンペア(A)でも算出できる。モバイルノートPCのACアダプタは60〜90ワットほどのものが多いので、ひとまず定格出力100〜120ワット以上の性能を最低限備える製品がよいかと思われる。
DC−ACインバーターのほかに、メーカーオプション品などのDC/DCアダプタを入手する方法でもよいだろう。例えばレノボ・ジャパンのThinkPadシリーズには「90W ウルトラスリム AC/DC コンボ・アダプター」というオプション品があり、家庭用AC電源ソケットとクルマのDCシガーライターソケットを使い分けられる(さらに、一部航空機の機内電源でも使用可能)。
ちなみに、「クルマを使う」方法はレンタカーサービスやカーシェアリングサービスを利用してもいい。免許さえあればクルマを所有していなくても実現可能である。
【手段.3】予備バッテリーを常備する
バッテリー動作時間を延ばすには、純正の大容量バッテリーを用いたり、バッテリーをもう1つ予備として常備しておくのがおそらくもっとも容易に導入できる手段だ。なぜこれを最初に紹介しないかというと、単体効果はもちろん、前述の手段と組み合わせることでより効果的に運用できるようになるからだ。
ところで、ノートPCのバッテリーはなかなか高額(2万円ほど)であり、かつ消耗品である。筆者は複数台のPCを週に数回は充放電をする程度に使用するのだが、性能が落ちてくる1年ほどのサイクルで買い換える/買い増す感じで利用している。ただ、機種別にスペアバッテリーを用意するとなるとややコストがかさむことに悩んでいた。
そこで最近、もう1つの方法として取り入れたのが「ノートPC対応の汎用モバイルバッテリー」だ。携帯電話やスマートフォン用にUSBモバイルバッテリーを所持する人は多いと思うが、それを大型化したものと思ってくれればよい。このたぐいのPC対応モバイルバッテリーは、数種類の電源端子に対応しつつ、出力電圧も切り替えられる特徴により、さまざまな機器に対応できる汎用性の高さが導入する決め手になった。
例えば、筆者が使用するJTT「Energizer XP18000」は、重量約515グラムで、価格は2万5800円(JTT直販サイト価格)のモバイルバッテリーだ。3.7ボルト/1万8000mAhのバッテリーを内蔵し、DC 19ボルト出力時で最大3.5アンペア、同じく10.5ボルトで最大2アンペア、USB 5ボルトで1アンペアまでの出力に対応するほか、オプションパーツとして12ボルト/15ボルト/16ボルト出力用の変換ケーブルや各種ノートPCに合う電源端子(変換チップ)を別途入手できる(1点、据え置き型のA4ノートPCやハイクラス仕様など、大型のノートPCだと出力仕様が足りない可能性はある)。
このクラスの製品は性能に加え、価格も純正バッテリーと変わらないのだが、複数台のノートPCで使い回せること、そしてPC以外に携帯電話やポータブルルータ、携帯音楽プレーヤー、家庭用ゲーム機なども一緒に充電できるのが便利だ。Energizer XP18000の紹介サイトで自分のノートPC用変換チップがあるかどうかを検索できるので、この方法に興味があれば調べてみてほしい。また、今夏はUSB動作に対応する「USB扇風機」や「USBスタンドライト」などとともに使うのも悪くないだろう(これらなら、かなり長時間動作するはずだ)。
難点は、やはり携帯する機器が余計に増えることだ。リチウムイオン/リチウムポリマーバッテリーは、大きさはそこそこでも意外に重い。大容量クラスバッテリーの重量は1つ約500グラム強、筆者はそれを2つ携帯しているが、普段の装備である合計2キロほどのノートPC+ACアダプタに加えて、単純にプラス1キロ以上の重量が加算される計算になる。
なお、「全部合計で○時間動作」の装備で万全を期す手段(デメリットは重量がかさむ)と、「当日のモバイル利用時間を予想して、持って行くバッテリーの数や種類を取捨選択する」手段(デメリットはバッテリー切れになる可能性が高まる)、どちらにするかは悩ましい選択だが、こちらは前述した手段を併用することで柔軟に使い分けてみてほしい。
☆まとめ:多様な手段、多段階の方法を用意して、柔軟に組み合わせる
ここまでいくつかの「電源確保」の手段を紹介してきたが、1つの方法だけで条件を満たすのは少々難しい。東京・秋葉原のように電源の使える店舗が特に充実するエリアならスペアバッテリーすらいらずにモバイルオフィス環境を構築できたりもするのだが、店舗によって電源ソケットが空いているかは運次第な面もある。
筆者は持ち歩くバッテリー動作時間合計の目標値を「最低9時間以上」と設定しているが、例えば1店舗目は目覚めのコーヒーを飲みながら本体のバッテリーで、2店舗目は電源の使え、かつ昼食もとれる店舗で充電し、3店舗目は小腹を満たしながら本体のバッテリー+モバイルバッテリーでといったように、充電のタイミングや店舗選びをバッテリー残量と相談しながら、遊牧民のように渡り歩く日もよくある。こうすることで、長時間集中力が続いたりもする。
もちろん、2重化して万全を期すのもよい方法だ。現在、PC本体のバッテリーとモバイルバッテリー2つを携帯し、計算上約12時間動作するシステムで運用している。上で述べた9時間より余裕を持たせたのは、急に予定外の業務が入った時、あるいはモバイルバッテリーが急に寿命を迎える/あるいは紛失した場合に備えた「マージン」だ。モバイルバッテリーが2つあれば、仮に1つ失っても3分の2の電力は確保できる。
というわけで自由なモバイルオフィス環境の構築における「電源の確保」は、いくつか“電源・バッテリー”に関わる手段を検討し、把握し、そして情況に応じて使い分けられるように備えておくことより始められる。万一のための備えも用意しておくのが望ましい。
[石川ひさよし,ITmedia]