中国では“愛人”にまつわるニュースが日常的に報じられている。
その内容は反社会的なものばかりなのだが、ここ数日、中国内の話題をさらっているのが
河南省で発覚した愛人カップルの話だ。
このカップル、自分たちの“愛人契約”の公証を得ようと、大胆にも公証役場を訪れたのだという。
中国ニュースメディア紅網などによると、それは8月19日のこと。1組の男女が河南省新鄭市の
公証役場を訪れた。
45歳の男性は建築会社の経営者、22歳の女性はその男性の会社で働いている社員で、
20歳以上も年の差があるカップルだ。
この2人が公証役場を訪れたのは、ある“雇用契約”を正式な文書として残しておくため。
契約内容は「男性が女性の弟の大学費用を負担すること、男性が女性に家を購入すること、
その代わりに女性は5年間、男性のために働かなければならない」というものだった。
おかしなことにその契約には、それ以外の女性の具体的な労働時間や労働条件、賞罰などについては
一切触れられていなかったという。
もちろん、公証役場の役人はこの“雇用契約”にすぐに疑問を抱いた。そこで男性を外に出し、
女性と2人だけでじっくり話をすることに。
それでも女性は最初、何も語ろうとはしなかったそうだが、当の役人が根気強く問い質したところ、
ついに重い口を開いた。
女性の話によれば、彼女は農村の貧しい家庭で生まれたものの、両親の頑張りもあり、
大学を卒業することができたという。
しかし、今度は弟が大学に合格。家にはお金が残っておらず、彼女が弟の学費を工面しなければ
ならなくなった。
そこで彼女はお金を稼ごうと求職活動に奔走するが結果はすべて不採用。弟の学費はおろか、
彼女自身の生活も苦しくなっていったそうだ。
そうして途方に暮れていたとき、目の前に現れたのがこの男性だった。2人の出会いは半年前
あくまで偶然による出会いだったそうだが、男性は彼女のことをすぐに気に入り、甘い誘惑で迫ってきたという。
彼女は悩んだ挙げ句、苦しい現状を踏まえて最終的に男性を受け入れる決心をした。
この男性が既婚者で、これまでにも別の女性と浮気をしてきたことも承知の上だ。
しかし、2人は互いにどこまで信頼できるのかわからない。そこで先述の“雇用契約”を正式な文書で
証明してもらおうと考え、こうして公証役場を訪れたわけだ。
女性の告白を聞かされた公証役場としては、この“雇用契約”を受理するわけにはいかない。
社会道徳に背いているだけでなく、「婚姻法」違反でもあるからだ。
役人は女性に対して「今一度考えを改めるように」「一時的な困難のために全てを見失わないように」と
諭すことにした。また、男性に対してもこうした契約を結ぶのは間違っていると意見を述べたそうだ。
伝えられている話はここまで。2人がその後、どのようになったのかは分かっていない。
いずれにせよ、この一件は多くの中国人の関心を集め、連日関連のニュースが伝えられるほどの
盛り上がりを見せた。
そこには「急速な経済発展を背景に、今の中国では愛人を持つことがステータスとなっているため、
こうしたことは防ぎようがない」とする意見もあれば、単純にこうした現実を嘆くような論調も見られる。
また、ネットの掲示板にも多くのユーザーが書き込みをしており、「今の若者の価値観はこの程度」
「2人が良ければそれで良いのではないか」「2人まとめて逮捕しろ」など、さまざまな意見が
飛び交っているようだ。