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2020年04月21日

【満蒙開拓の記憶】「日本に来て幸せなのか」日本と中国・二つの祖国の間で 帰国者2世の苦悩と旅立ち




 【満蒙開拓の記憶】「日本に来て幸せなのか」
 
 日本と中国・二つの祖国の間で 帰国者2世の苦悩と旅立ち


             〜SBC信越放送 4/21(火) 18:00配信〜


       042125.jpg  

                  大橋春美さん

 戦争が終われば、苦しみや悲しみが消える訳では無い。中国残留日本人の父と中国人の母をもつ中国帰国者2世に取って苦難は戦後に始まった。
 長野県豊丘村に住む大橋春美さんは、中国で生まれ、8歳の時父親の祖国・日本に永住帰国。虐めやアイデンティティに悩みながら、長野県では帰国者として初めて教師と為った。自分の原点を見詰める事は、満蒙開拓の歴史と向き合う事だった。

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                 中国での春美さん

 戦争が無ければ生まれ無かった命

 2012年の夏、長野県の豊丘村に住む大橋春美さん(当時42歳)を訪ねた。教師として母親として、慌ただしい毎日を送って居た。一人息子の遼太郎くんは中学1年生。10年前に離婚して母子2人の暮らしだった。春美さんは中国で生まれた。中国残留日本人の父と中国人の母を持つ帰国者2世。8歳迄は中国人、家族で日本に帰国してからは日本人として生きて来た。

 「中国に居た時は日本人だと言われて、日本に来たら今度は中国人だと言われて。人から受ける言葉だけでは無くて、自分自身は何者なのかと云うのを思ったり悩んだり」

 春美さんのルーツは満州に在る。1937年、祖父母は満蒙開拓団として満州国へ入植する。しかし、祖父は病に倒れ24歳の若さで亡く為った。敗戦後の満州で、祖母は父親を連れて逃避行と収容所生活を送り、生き延びる為に中国人の男性と家庭を持つ。ヤガテ父親は中国人の女性と結婚し春美さんが生まれた。

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                   父・英夫さん

 「戦争が無ければ父は中国に残る事も無かったと思うんですね。ソコで母と出会って今の私が有る。戦争が無ければ私は生まれて来なかった命。正直、苦しいです。戦争に付いて深く考えれば考える程、自分が引き裂かれそうに為る事があります」 

 自分のルーツを辿る事は、二つの祖国の戦争と向き合う事でもあった。「立派な日本人として生きて行く」 春美さんが、日本に永住帰国したのは1978年、8歳の時。両親と3人の兄が一緒だった。しかし、言葉の問題や生活習慣の違い等、ナカナカ日本に馴染めずに居た。

  「『中国人なら中国へ帰れ』と言われた事のショックが大きかった。独りで布団の中で泣いたけど、両親には言え無かったですね」

 父親の英夫さんは、工場の仕事や清掃のアルバイトで生計を立てて居た。敗戦当時5歳。戦後30年余り中国で暮らし、日本語の記憶は無く言葉の壁に苦しんで居た。母親の玉江さんに取っては、故郷・中国を離れ異国での暮らし。村のスーパーで働き家計を支えた。

 「帰りたい気持ちは何回か出たけれど、皆一生懸命頑張って居るのに、親達が帰ると言え無い。自分達が来ると言ったので、本当に我慢しか無い、頑張るしか無いって」

 日本に来て幸せなのか、家族一人一人が自問して居た。しかし、日本への帰国の理由は、望郷だけでは無かった。中国で、1960年代から始まった文化大革命で、侵略者で在った日本人は弾圧を受けた。英夫さんも嫌がらせを受け、仕事を失くし生きる術が絶たれた。

 「私が日本人だから、子供の将来に限界が有ると感じて居た。好い仕事に就こうと思っても日本人と云う理由で限界が有ったから。日本人への憎しみを込めた日本鬼子と云う言葉を聞くと心苦しい思いをした。
 日本に帰れば政治的な抑圧も無く、子供達は自分が選んだ道に進む事が出来る。だから、家族全員を連れて日本に帰る事に決めた」


 春美さんは、両親が日本で必死に頑張る姿を見て来た。自分達に期待して居る事も痛い程感じて居た。だから、その期待に応えよう、日本人として日本の社会で立派に生きて行こう、そう自分に誓って居た。

 中国人の自分を封印して

 春美さんは、高校に入学すると帰国者で在る事を隠す様に為った。中国から来た事を負い目に感じて居たからだ。帰国者で在る事を明かす様に為ったのは、大学を卒業後、英語の教師と為り中学校に赴任してから。同僚等周りに理解者を得た事が大きな理由だった。
 帰国者の教員採用は長野県では初めてで、その事も自信に繋がった。日本人として、社会に認められたい。只それだけを目標に生きて居た。2002年、初めて取材した時、当時32歳の春美さんは悩みの中に居た。

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                中学校にて(2002年)

  「教師とかそう云うものを捕ってしまったら、未だ自分に自信が持て無い」

 この頃、息子の遼太郎くんは2歳だったが夫とは別居して居た。日本人の夫は、春美さんを理解して支えようとして呉れた。しかし春美さんは、物事が上手く行かず失敗した時に、自分は帰国者だからと思ってしまう・・・そんな自分が嫌だったと振返る。
 何時の間にか気持ちがスレ違う様に為り、狂い始めた歯車が戻る事は無かった。遼太郎くんが父親と過ごす時間は大切にして居るが、自分が成長を支え見守ろうと心に決めた。

 「息子の前ではメソメソして居られないし、何時も元気でニコヤカな母親で居たいし、もうこれ以上悲しい思いはさせたく無いし」

 離婚の後、思い切って中国の北京師範大学に留学。7歳の遼太郎くんを連れて2007年から3年間、北京で暮した。

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                遼太郎くんと中国の故郷にて

 「改めてリセットして、もう一度中国へ行って、自分自身はドンな存在なんだろうと、もう一度確かめる事で、もっと前向きに色々考えられるのかと思って」
 
 大学では、異文化の理解と交流をテーマに学んだ。日本で生きる為に封印して来た中国人の自分。原点を見詰め直す時間だった。

 ルーツを辿る故郷への旅

 2012年、春美さんは、遼太郎くんを連れて中国の故郷を訪ねた。遼寧省の瀋陽から車で1時間余り、生まれ育った村の近くに在った小学校は、この時既に取り壊されマンションが建てられる事に為って居た。自分が日本人で有る事を初めて突き付けられた場所だった。

 「小学校の同級生と喧嘩した事が切っ掛けで、お前は日本鬼子だと言われて、その言い方がとても憎しみを持って言われた感じがしたから、一寸悔しかった。何でお父さんが日本人ナンだろうって思ったりしましたね」

 その頃から、父親が日本人で有る事を知る様に為った。侵略者の子孫で有る自分達。しかし、生まれ育った村の人達は、日本人の血を引く自分達に分け隔て無く接して呉れた。その村は、昔の佇まいを残して居たが、住民の気配は疎らだった。
 開発が進み、150人程居た村人は立ち退きを迫られて居た。最後迄離れたく無いと残って居たのは、馴染の顔だった。一人又一人、集まって来ては家族の消息を尋ね合い、笑い声が静かな村に響き渡る。生まれ育った家を訪ねた。建物は建て替えられて居たが、見覚えの有るナツメの木が一本だけ残って居た。

 貧しい暮らしの中、何時もお腹を空かせて居た子供時代。春美さんを夢中にしたのがナツメの実だった。ここで生まれ育った確かな証、記憶の奥底に有る懐かしさに包まれて居た。村人との話は尽き無い。笑顔にも、時折涙が浮かぶ。両親に宜しく、必ず又戻って来て呉れ・・・別れを惜しむ人々が、何時までも手を振って見送る。日本人として生きる為に、ズッと心の奥に仕舞い込んで来た、もうひとつの祖国。その温もりが、心を満たして居た。

 ふたつの祖国に生きる

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 2019年の秋、長野県阿智村に在る満蒙開拓平和記念館に春美さんの姿があった。開館以来続く語り部講座で初めて講師を務める。これ迄は戦争体験者が話して来たが、高齢化が進む中、直接、戦争を経験して居ない春美さんも、その舞台に立つ事に決めた。これ迄の体験を通して、満蒙開拓と自分の人生に付いて語った。

 「人って何の為に生まれて来たんだろうって、ズッと自分の生まれて来た意味とかを考えながら生きて行くと思うんですけれど、自分がこう云う運命を背負って生まれて来たからには、今度は、負の遺産をプラスの方向へ変えて行くのも、自分が生きる意義かなと思います」

 戦争が無ければ生まれ無かった命。だからコソ伝えたい。この苦しみが終わる様に。そして、二度と起き無い様に。国境を越えて手を取り合う事の尊さを伝えたい。涙が込み上げて言葉に詰まる場面もあったが、力強く語り掛ける姿は、日本人で有り中国人で有る自分の存在を受け止めて生きて行く、そんな覚悟と決意に満ちて居る様だった。


 連載 満蒙開拓の記憶 この記事は信越放送とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。1931年に満洲事変が起きると、翌年、現在の中国東北部に「満洲国」が建国。日本全国から農民を中心とした移民「満蒙開拓団」が送り出され、長野県からは最も多い3万人余りが満州に渡りました。戦後75年、戦争体験者が減って行く中、一人一人の記憶から満蒙開拓の歴史を問い直します。

                SBC信越放送    以上
















コロナ禍で露わに為った「リーダーシップの欠如」決断出来無い人材を生む日本型教育の致命的な問題




 コロナ禍で露わに為った 「リーダーシップの欠如」
 
 決断出来無い人材を生む 日本型教育の致命的な問題


             〜REAL SPORTS 4/21(火) 17:07配信〜


       042120.jpg

 何故日本のリーダーは決断出来無いのだろうか? サッカー世界最高峰の舞台、UEFAチャンピオンズリーグに携わる初のアジア人、岡部恭英氏は、日本の教育に問題があると話す(撮影 野口学)

 〜新型コロナウイルスの脅威は、未だ収束の目途が見えて来ない。この未曽有の危機に、日本社会における或る一つの問題が浮き彫りにされた。リーダーシップの欠如だ。何故日本のリーダーにはリーダーシップが足りないのか? どうすればリーダーシップを身に付ける事が出来るのか? そもそもリーダーシップはリーダーだけが身に付ければ好いものなのか?
 サッカー世界最高峰の舞台、UEFA チャンピオンズリーグに携わる初のアジア人、岡部恭英氏に、大学卒業後に海外へと飛び出しスポーツビジネスの最前線で闘い続けて来た目線から「正解の無い時代」に於ける日本人・日本社会の問題点を考察して貰った 文 岡部恭英〜


 変化を嫌う日本人 日本社会が変化する機会と為るか?

 コロナショックのお陰と言うと、多くの人々が苦しむ中不謹慎かも知れませんが、今後の課題や機会がクリアに為ったと思います。特に「諸行無常」(万物は変化し続けて留まる事は無い)と云う世の常とは真逆に、「安全・安定・安心」を好み変化を嫌う日本人や日本社会に取って、大きな変革・躍進のチャンスだと思います。

 政府が好い例かも知れませんが、残念ながら今回の騒動で浮き彫りに為った一つに「リーダーシップ不足」が有ると思います。歴史を紐解くと、伝染病が戦争や自然災害と並び、常に人類への脅威であったこと、そして人やモノの行き来が人類史上想像すら出来無かったレベルで実現されているグローバリゼーションが加速した今、コロナショックは一過性のものでは無いでしょう。
 新型コロナウイルスや新たな伝染病に適応しながら生きて行かなくてはいけ無い今後、政財界だけで無く、個々人のリーダーシップが欠かせ無い筈です。

 リーダーシップとは、3つの要素に分ける事が出来る

 では「リーダーシップ」とは何か?リーダーシップ論に関しては、沢山本も出ていますので、学術論はさて置き、リーダーシップの定義として、今回のコロナ騒動で明らかに為ったのは「決断」ではないでしょうか。首相を例に取ります。各国の惨状を見ながら、万能薬やワクチンも無い中、限られた情報を基に、国に取って最善の選択を「決断」する必要があります。
 正直「コロナがどう為るか?」ナンて、大臣や官僚は当然の事、疫学専門家ですら判りません。孤独な仕事です。そして、その正誤が定かでは無い「決断」を下した後は、国民と確りコミュニケーションを取って「伝え」実行に「導く」と、云う一連の流れか必要です。要するに 

 <Decide・決断  Communicate・伝える  Lead・導く> 

 がリーダーの仕事と云えます。では「優れたリーダーの条件」とは何でしょうか?この記事を執筆しながら思い出したのが、ケンブリッジ大学MBA・経営学修士号留学中に、著名な経営者から受けた授業です。「リーダーシップ論」的な授業で、「リーダーに欠かせ無いものは何か?」と彼に問われ「ビジョン」「戦略」「遂行能力」「コミュニケーション能力」等、級友達が一通り発言して行きました。「全て大切だと思う」との前置きの後、彼は一言だけ「フォロワー」と放ちました。リーダーには「フォロワーが欠かせ無い」と言ったのです。

 当時は只フムフムと聞いて居ましたが、コロナショック真っ只中の今、より強く心に響きます。前述の「リーダーシップとは何か?」で挙げた通り、リーダーは「決断」しなくてはいけません。しかし、どんなに良い「決断」をして、どんなに素晴らしいコミュニケーションを取って「伝え」ても、国や会社組織やチームで、皆が実行に至ら無ければ「導く」事には為って居ないのです。
 現在、首相のリーダーシップ欠如が巷を騒がせ批判されたりもして居ますが、元々、国民では無く与党が選んだ首相であり「フォロワー」が余り居ないリーダーとも云えるので、或る意味当然の結果とも云えます。

 何故日本人にはリーダーシップが不足しているのか?

 それでは「何故、日本人にリーダーシップが足り無い様に見えるのか」?ズバリ「教育」の所為かと・・・要するに「家庭教育」と「学校教育」です。
 先ず「家庭教育」を例に取ります。私は、大学卒業と同時に日本を離れ人生の半分を海外で過ごす和僑(※)なので、日本に帰る旅に、日本の親御さんと子供達の遣り取りを見てビックリします。「〇〇しなさい」「××しちゃダメ」のオンパレードです。勿論、周りの目を気にして生きる日本人からすると、親や先生の事を好く聞いて真面目でお行儀の善い子を育てるシツケなのでしょうが、そこに「Think on your own・自ら考える力」を育てる余地は有りません。

 ※和僑 インターナショナル・ジャパニーズ・・・岡部氏が提言する「海外に飛び出して国際舞台で活躍し、日本の将来に貢献出来る人材」を指す。

 学校も同様です。受験勉強が日本の学校教育の中心に位置する本末転倒な形に為って居るので「学校教育」も「正解が存在する与えられた課題」を「早く、正確に、解く」が中心と為って居ます。此処にも「自ら考える力」を育てる余地は余り有りません。「正解が存在する課題を与えられ」て、その正解に「早く、正確に、辿り着く」と云う「訓練」を受けて居るに過ぎないのですから。日本では当然のこの学校教育ですが、欧米に於いては可成り異なります。
 私の子供達が生まれ育ったスイスや、妻が育ったアメリカ等を見ても顕著ですが「自ら考える力」を伸ばす教育です。大ザッパに言うと

 <課題自体を自ら調べ考えて決定  課題のリサーチ方法(本、ウェブサイト・社会見学等)も自ら決定  課題を調べ考えて構築した議論のクラス内に於けるプレゼン方法(パワポ資料・ホワイトボード・ビデオ・道具使用等)も自ら決定>

 と云った感じで、唯一と押し付けられて教え込まれる正解等、ソコには在りません。

 Educationの日本語訳は「教育」で、文字通り「教えて育てる」と云う意味ですが、元々のラテン語語源を辿ると全く異なる意味なのです。Educeとは「潜在して居るものを、引き出す」と云う意味であり、まさに上記の欧米に於ける学校教育は、語源通り生徒一人ひとりの「潜在して居るものを、引き出す」遣り方なのです。
 前述した「リーダーの仕事の流れ」を再度見ると、欧米の学校教育の遣り方が、リーダー養成に適した遣り方である事が判ります。

 <自ら考える  Decide・決断  Communicate・伝える  Lead・導く>

 コロナに突き付けられた「正解の無い」時代 リーダーシップは誰もが身に付けるべき

 それでは、「Withコロナ」で混迷する社会の中、「どの様にリーダーシップを身に付けるか」? 「教育」を変えるしか無いと思います。「寺子屋時代」から殆ど変わって居ない「学校教育」を変えるには時間が掛かりますが「学校教育」と同等に、若しくはそれ以上に人間形成に大きな役割を果たす「家庭教育」は、親御さん次第で今直ぐにでも変えられる筈です。
 具体的に、どうすれば好いのか? 上記にも挙げた「〇〇しなさい」「××しちゃダメ」を辞めて「質問する」事だと思います。親御さんの信じる正解を押し付ける事無く「どうしたら好いと思う?」「どうしたい?」と聞いて「自ら考える」習慣を子供達に着けさせる。日本の「学校教育」と「家庭教育」に於いては、世の中には、常に唯一の正解(The answer)が存在するかの様に教育します。

 しかし、今回のコロナショックでも明らかですが、唯一無二の正解(The answer)ナンてものは、世に出ると余り存在し無いのです。大事なのは「The answer」では無くて「Your answer」をケースバイケースで「自ら考える」力です。
 筆者の母校ケンブリッジ大学は、オックスフォードと並ぶ世界の名門大学ですが、オックス・ブリッジ共に「少数精鋭チュートリアル」教授法が有名です。マンツーマン、若しくは他の生徒数人と教授に囲まれ、課題に付いて「質問」されて「自ら考える」と「伝える」を繰り返し、徹底的に議論を深める学習方法です。大学時代の数年間で、

  <自ら考える  Decide・決断  Communicate・伝える  級友や教授さえもLead・導く>

 と云う訓練を徹底的に積んだ卒業生が、似たり寄ったりの唯一無二の正解(The answer)を教え込まれた日本の受験勉強マシン大学卒業生より、リーダーシップを備えて居ても何の不思議もありません。
 Withコロナで大変革期の今こそ、日本社会、そして日本のスポーツ界も、国民一人ひとりがリーダーシップを発揮するべき時です! 前述しましたが、世の中には、特に今の様な大混乱期は、単純な唯一無二の正解(The answer)ナンてものは殆ど存在しません。大変革時代に対応出来無い、日本の同調同意社会に蔓延る「かくあるべき」や「こうで無くては為ら無い」等には囚われず「Your answer」を追い求めましょう。

 米国シリコンバレーで一時期はやった、

  <Fail fast・早く失敗しろ  Learn fast・早く失敗から学べ  Fix fast・早く直せ>
では無いですが、一連の
 <自ら考える  Decide・決断  Communicate・伝える  Lead・導く>

 に何度もトライして、リーダーシップ力を向上させ、この大変な時期を一緒に乗り越えましょう!


 文 岡部恭英(おかべ・やすひで) 1972年生まれ サッカー世界最高峰のUEFAチャンピオンズリーグに携わる初のアジア人 UEFA(欧州サッカー連盟)専属マーケティング代理店「TEAMマーケティング」のテレビ放映権・スポンサーシップ営業 アジア・パシフィック地域統括責任者 慶應義塾体育会ソッカー部出身 ケンブリッジ大学MBA取得 スイス在住 夢は「日本でワールドカップを再開催して日本代表が優勝!」


 【管理人のひとこと】

 目の前に困難な壁が立ちはだかると、人はどうしても愚痴を溢し不運な己の環境を呪わずには居られない。更には「誰かが悪い」「アイツの所為だ」と他人の所為にするのが私達凡人がし勝ちな事です。ご多分に漏れず管理人も同じ。
 しかし、最早他人の所為にしても始まら無く為った時には、腹に力を込めて何とか生き残る道を必死に為って探し始める様に為り、死ぬ以外の道を探すしか無いと悟るのです。確かに子供の頃から親には「しつけ」として注意され続けて来た嫌いは有りますが、それ程の強制力は使われ無かった思いも有り、親からは「好きな様にしろ」とサジを投げられたものです。

 果たして、江戸時代以前の教育と明治以降の教育が同じ軌道の上を走って居るのか・・・との疑問は残りますが、明治以降の国家が上からの視線で「アア・コウ」全てを指図したのは考え物だった筈。ソレこそ箸の上げ下ろしから指図する教育って「何物にも替え難い邪道」な面が強かった筈。明治以降の学校教育は、少しの資本投下で最大の効果を挙げるべく「徹底した合理主義で貫かれた効率一辺の詰め込み教育」だったと感じます。50人以上の生徒を一つの枠に嵌め、個人の個性を殺し「等しく同じレベル」へ持って行く・・・究極は、兵隊として優秀な共同訓練を受け入れられる人間を育てる事に在ったのでしょう。
 戦後も官僚組織は温存され、お上が支配した教育にそれ程期待する人間を求める方が無理の様です・・・















 






東京五輪は国民の怒りと 5000億円の延期費用で破綻寸前




 東京五輪は国民の怒りと 5000億円の延期費用で破綻寸前

             〜Wedge 新田日明 4/21(火) 12:15配信〜


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 憂鬱で苦しい日々が続く。新型コロナウイルスの蔓延によって世界の生活スタイルは大きく一変してしまった。日本も緊急事態宣言が発令され、その範囲は当初の7都府県から全国へ拡大。政府や行政による自粛要請が感染拡大に歯止めを掛ける事を期待したいのは山々だが、容易ならざる現状のようだ。
 有識者達からはウイルスとの戦いは長期戦と為る事が指摘されており、世界のスポーツ界も理想論ばかり唱えるのでは無く厳しい現実を受け入れ無ければ行けない時が近づきつつある。

 ここ最近、スッカリ大半の人達の間の記憶から消されつつある東京五輪・パラリンピックは、2021年夏に延期が決まっている。1年先送りにしただけで本当に開催出来るのか。
 英BBC放送は英エディンバラ大学で国際公衆衛生の権威として知られるデヴィ・スリダール教授の話として、新型コロナウイルスのワクチンが開発され無ければ来年夏の東京五輪開催は「余りに非現実的」で有る事を報じた。

 この報道を打ち消すかのごとく、ロイターは別の公衆衛生と感染拡大防止の専門家が来年の東京五輪開催に付いて「現実的では無いと言うのは時期尚早」と示す反論を掲載。未だ準備期間として15カ月有るから「実現出来無いと云うのは早過ぎる」と云う見解だが、個人的には楽観論にしか思え無い。
 未知のウイルスによるパンデミックに苛まれる世界の苦境と冷静に照らし合わせれば、開催迄残り1年半を切って居るリミットでは逆に足り無い筈だ。BBCの報道は的を射て居る。

 東京五輪への参加を目指すアスリート達の気持ちを考えれば、大会開催に異を唱える事は心苦しい処もある。筆者だって曲がり為りにもスポーツライターを職業として居る立場の人間だ。スポーツ界を応援して居るし、その活性化の為にも東京五輪は願わくは開催して欲しい。しかしながら、そこには何処かの国の首相の言葉ではないが「完全な形で」と云う条件が付く。
 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は「有事」だ。嫌「戦争」と評した方が好いのかも知れない。再び平穏な日々を取り戻す為、誰もが今迄当たり前だった生活を犠牲にし無ければ為ら無く為った。日本でも経済や産業に急ブレーキが掛かり教育機関もストップ。

 これ迄全ての基盤であり根幹だったフェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションそのものが断たれてしまった。そう云う閉鎖的な世の中で人々は見え無いウイルスとの戦いを強いられ、今日も多くの大切な命が失われて居る。だからこそ兎に角今は感染拡大を止め、ウイルスの根絶に心血を注が無ければ行けない筈だ。アスリート達も例外では無く、この状況下において特別扱い等無い。
 もっと正直に言えば東京五輪の来夏開催は、その足枷に為って仕舞って居る。東京五輪の1年延期が決まった途端、東京を筆頭に全国の感染者数が跳ね上がった疑惑に付いて米CBSや独ZDF等海外の有力メディアから「五輪開催の為に数をコントロールして居たのではないか」とツッコミを入れられた事もあった。

 勿論真相は分から無い。ただ少なくとも、元々今夏開催予定だった東京五輪に余りにも前ノメリに為り過ぎて居た事が、日本のウイルス対策への初動と本格的な取り組みを鈍らせて居たと疑念を抱く人達は可成りの数で居るだろう。
 そう云う背景も在って、多くの国民から開催を望まれて居ないのは先ず確かだ。今、仮に全国調査でアンケートをとったら「再延期」処か「中止」を臨む声が圧倒的多数を占める事は容易に想像がつく。東京五輪の開催は今直ぐ中止し、新型コロナウイルスの撲滅に国家を挙げて集中すべき・・・これは国民の総意に近い願いであろうと考える。

 遂先日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会に属する人物と連絡を取る機会があった。大会組織委員会の面々も現在は緊急事態宣言の発令によって幹部クラスを除いてホボ大半がリモートワークと為って居り、事実上「活動休止に近い状態」と為って居ると云う。
 この文中でも列挙しながら述べて来たコロナ禍による世の流れと空気感に付いて率直にブツけてみると「それに付いては此方も認識して居る」と打ち明け、次の様に続けた。

 「世界がコロナショックに喘ぐ現状をみれば、1年半を切った来夏の開催は極めて厳しいと言わざるを得無いだろう。それを覆せる材料を我々も残念ながら何ひとつ見付ける事が出来て居ない。これが今の偽らざる気持ちだ」
 
 更に1年先延ばしにしたものの実際の処裏側では殆ど何も纏まって居ないズサンな内情に付いて、こうも暴露している。

 重く圧し掛かる追加費用の負担

 「開催迄にクリアすべき難問が余りにも山積みに為って居る。16日に幹部がIOC・世界オリンピック委員会側と行ったテレビ会議では相変わらず玉虫色のママで目新しい結論は何も出無かった。特に追加費用負担に関する問題は重く圧し掛かる。約3,000億円と云う分析も目にしたが、シビアに見積もってみれば5,000億円以上に膨れ上がるのではないか。
 IOCは数百億円しか負担し無い様な事を仄めかして居ると聞くし、そう為るとツケは此方側に来る。都も組織委員会も想定外のケースとして予備費を計上済みではあるが、それでも300億円弱。ケタが違い過ぎるし、到底賄い切れ無い。組織委員会の収入として大きなパーセンテージを占め、大会運営の面でも欠かせ無い原動力と為る国内スポンサーの協賛金も延滞時にどう為るのか。これに関しても実は未だ不透明で未だ手を付けられない状況に為って居る。 
 要はコロナショックで話し合いが進まず、クライアントもそれ処では無く為って居ると云う事。経済が立ち行か無く為って(スポンサーから)出し渋られる形に為る事は想像に難く無い。契約条項の内容にもよるが、最悪ならスポンサー契約の破棄と云う事も有るかも知れない。そんな事にでも為ったら目も当てられ無い事態に陥ってしまう」


 べら棒な額に上りそうな追加費用を工面出来無く為るとすれば、恐らくその負担は東京都民に重く圧し掛かる事に為る。コロナ禍で多くの人が明日を生き延びる事に無我夢中と為って居る中、仮にその様な押し付けを強行すれば猛反発を食らうだろう。政府及び都や大会組織委員会側は納得させるだけの十分な弁明等出来る訳があるまい。
 これだけ機能不全に陥って居るにも関わらず、そこ迄日本がオリンピックに拘る必要性は果たして何なのだろうか。逆に今こそ大きな決断に踏み切り、全てのベクトルをコロナとの戦いに向けるべきではないか。国民の理解を得られ無ければ、東京五輪の来夏開催は難しいと思う。


          新田日明 スポーツライター   以上









 「安倍首相は指導力が無い」

 国民の過半数が嘆く コロナ対策の大迷走


             〜プレジデントオンライン 4/22(水) 18:16配信〜

 危機管理上 最も拙い手である「戦力の逐次投入」

 「迷走」「朝令暮改」「後手後手」 あらゆるメディアでは、連日、安倍政権の新型コロナウイルス対応を酷評する見出しが躍って居る。未曽有の国難に直面する中での安倍晋三首相の判断が、極めて心許無(こころもとな)い。
 一連の対応を見ると1つの「法則」に行き当たる。最初は小出しにして、足ら無いと為って追加対策を出したり判断を変えたりするのだ。だから朝令暮改と為り後手後手と為る。「戦力の逐次投入」とも云えるこの戦術は、危機管理上最も拙い手で有る事は歴史が証明して居る。

 「もっと判断を早くして置けば良かった」と云う後悔の言葉

 「1週間遅れる事に為りましたから、モッと判断を早くして置けば良かった。責任は私にあります。改めて国民の皆さまにお詫びを申し上げたいと思います」
 
 4月17日午後6時過ぎ。首相官邸で行われた記者会見で、安倍氏は謝罪の言葉を口にした。自身が任命した閣僚が不祥事を起こして辞任する様な時に「任命責任」を認めて謝罪する様な事は過去にも在ったが、自身が判断を誤ったと認めるのは極めて珍しい。
 それもその筈である。政府・与党はコロナ問題で困窮した世帯に30万円を給付する案を盛り込んだ経済対策を決め、補正予算案を閣議決定もして居る。これを一旦白紙に戻し、組み替えて「全国民に一律10万円」の配布を決めたのだ。一旦編成して閣議決定した予算案を組み替えると云うのは前代未聞の事態。政府、特に財務省に取っては大失態だ。

 この失態は、国民に皺寄せが行く。最初から「一律10万円」を決めた場合と比べて、編成の遣り直しによって国民の手に渡るのが遅れてしまうのだ。その事が、プライドの高い安倍氏をして「もっと判断を早くして置けば良かった」と云う後悔の言葉を吐かせて居るのだ。

 政府よりも東京都が正しいと云う意見が圧倒的に多い

 それにしても新型コロナウイルスの対応を巡って安倍政権の迷走は凄まじい。緊急事態宣言を巡っては、東京都や医師会側から早く宣言を出す様に要望を受けながら逡巡。宣言は4月7日に出したが、各種世論調査では国民の過半数が「遅かった」と評価して居る。
 それだけでは無い。宣言を出した際、一部の施設や店舗に対し休業要請を即時に行おうとして居た東京都に対し、政府は2週間程度、外出自粛の効果を見極めてからにすべきだとストップを掛けた。しかし東京都だけで無く全国で感染者増の勢いは止まら無かった。

 安倍氏は、16日に緊急事態宣言の対象を全国に拡大した。「たら」「れば」は禁物だが、この件に関しては政府よりも東京都の主張が正しかったと云う意見が圧倒的に多い。結果として制度自体見送りに為った「30万円」の給付基準に付いても揺れた。
 創設される臨時交付金の使い道に付いては、政府は当初、休業要請に応じた事業者への協力金に充てる事は否定的立場だった。これも19日に為って容認に転じて居る。

 「空振り三振は許されるが、見逃し三振は許され無い」

 最早旧聞に属する話だが、コロナ対応の初期には2月25日に策定した政府の基本方針では全国一律のイベント要請を求め無かったのに、翌26日には全国的イベントの中止・延期を要請。更に翌日の27日には全国の小中高校等に休校要請を行って居る。まさにブレ捲くって居る。
 これだけの事態だけに、或る程度方針が揺れる事は責められ無いだろう。但し、安倍政権の対応は、1つの傾向が見い出せる。何れの場合も、最初の対策は控え目で、それでは不十分だと分かった時に追加策を発表すると云う事だ。

 危機管理対応の鉄則として「空振り三振は許されるが、見逃し三振は許され無い」と云うものがある。目の前の危機に付いて、最初に大規模な対策を執る必要が有ると云う事だ。結果として過剰な対応・空振りだったとしても、それは許されるが、不十分な対応・見逃しは致命傷に為り兼ね無い。

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 危機管理の基本は「最初に厳しく、次第に緩める」

 4月13日の衆院決算行政監視委員会で、人差し指サイン江田憲司氏・無所属は、危機管理の基本は最初に厳しい対策を打ち、次第に緩めて行く事だと訴えた上で「戦力の逐次投入は一番の失敗の原因だ」と安倍政権を批判した。
 「戦力の逐次投入」と云うと第2次世界大戦でのガダルカナル島の戦いを思い出す人も居るかも知れない。日本軍が連合軍の実相を把握せず、戦力を小出しにする事で甚大な犠牲者を出した戦いだ。江田氏の批判に首肯する人も少なく無い事だろう。

 朝日新聞社が18〜19日に行った電話世論調査では内閣支持率・不支持率共同じ41%だった。この調査は「一律10万円」が給付される事が決まってから行われたもの。安倍政権は「一律10万円」で支持の回復を狙って居た。実際「一律10万円」は「大いに評価する」「或る程度評価する」を合わせると77%で歓迎されて居るのだが、政権全体を浮揚する効果は極めて限定的だった。
 15日に公開した「とうとう国民に見放され始めた『アベノリスク』の迷走」で紹介した状況は、何ら解決されて居ないのだ。

 緊急事態宣言が7日に出されてから2週間が経過した。感染状況は、オーバーシュート・爆発的患者増ギリギリの処で踏み留まって居るが、その一方で「自粛疲れ」の傾向も見える。そんな中で国民が一体と為って感染をピークアウトさせて行く為には、安倍氏の国民に対する求心力の回復が不可欠だ。
 しかし同調査では「安倍首相は感染拡大の防止に向けて指導力を発揮して居ると思いますか」との問いに対し「発揮して居る」と答えた人は僅か33%・「発揮して居ない」が57%に及んで居るのだ。信頼回復への道は遠い。


           永田町コンフィデンシャル   以上
















「官僚の言いなり」な安倍首相を見捨てる 自公実力者たちの実名




  「官僚の言いなり」な安倍首相を見捨てる 自公実力者達の実名

             〜まぐまぐニュース! 4/21(火) 5:00配信〜


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                ジャーナリストの高野孟さん

 〜新型コロナウイルスを巡る諸々の対応が批判的に受け取られ、支持率が急落した安倍政権。過つては「安倍一強」とも言われた同政権は、何故ここまで追い詰められるに至ったのでしょうか。
 その最大の要因として、とある官僚による「菅官房長官排除」の動きを挙げるのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、官僚や側近等に操られ迷走する安倍首相に対して苦言を呈すと共に、現政権が「何時迄持つのか」を占って居ます〜


 ダッチロール状態に突入した安倍政権 「6月首相退陣」と云う予測迄飛び出した!

 4月7日発表の108兆円緊急経済対策の目玉で在った筈の「大幅減収家庭への30万円給付」を、僅か9日後の16日に撤回し「1人一律10万円給付」に切り替えたのは、前代未聞の大珍事で、これはもう「動揺」とか「混乱」とか云うレベルを超えて、政権自体がキリキリ舞いのダッチロール状態に入りつつ有る事の証左である。
 世論はこの政権の体たらくに結構敏感で、4月10日過ぎに発表された一連の世論調査では、内閣支持率が急落し不支持率と逆転すると云う現象がハッキリと現れた。共同通信がそう為るのは可笑しく無いけれども、露骨に安倍首相寄りの読売や産経でもそう為って居る事に、安倍首相は神経を擦り減らして居る事だろう。

    支持  不支持

 産経 39.0  44.3
 読売 42   47
 共同 40.4  43.0

 産経の調査では、7日の緊急事態宣言について「遅すぎる」が何と82.9%・アベノマスクを「評価しない」が74.8%である。私に言わせれば、それでも尚4割前後の支持が有る事の方が寧ろ不思議だが、支持の理由の断トツトップは相変わらず「他に代わるべき人が居ない」で、この数字には自民党内の反主流派や野党のダラシナサへの批判や失望が半分蔵いは含まれて居ると見無ければ為ら無いだろう。詰り、安倍首相への積極的な支持は多分20%程度だと云う事である。

 安倍首相は何時辞めるのか?

 代わりが居るか居ないかに関わらず、安倍政権は自壊しつつ有り、問題はこの有様で一体何時迄持つのかと云う事である。

 《20年6月?》

 「サンデー毎日」4月26日号は「安倍6月退陣で『麻生首相』の悪夢」と題した記事を掲げ、二階俊博自民党幹事長が安倍首相に見切りを付け、コロナ対策が落ち着く事を前提に「6月には退陣して貰うしか無い」と周囲に話して居る様だと書いている。

 《20年9月?》

 6月とはいかにも早過ぎて、コロナ対策が落ち着いて居る可能性は大きく無い。それでも「9月か10月に為ればコロナ対策も落ち着いて退陣の道筋が就きそう」だと、同誌は指摘する。仮に安倍首相が体調不良やコロナで入院した場合、麻生太郎副首相兼財務相が首相臨時代理と鳴り、21年9月の党総裁任期迄務め総裁選を行う事に為る。臨時代理とは云え「麻生首相」と云うのは、国民に取っては勿論、自民党に取ってさえも悪夢でしか無い。
 しかし、実際に安倍首相は、体調不安説に加えて、アベノマスクや「うちで踊ろう」便乗ビデオ等、何を遣っても裏目に出て、不評処か嘲笑の対象と為ってしまう状態に可成り精神的に参って居て、近しい者には「もう辞めたい」と漏らして居る様なので、有り得ないシナリオでは無い。

 《21年4月?》

 更に、そこを何とか乗り越えて来年迄辿り着いたとしても、果たして来夏に本当に五輪を開く事が出来るのかと云う大難問が待ち構える。本誌が再三強調して来た様に、新型コロナウイルス禍は来年7月迄に収まって居れば好いというものでは無く、出来れば来年1月、幾ら遅くとも3月一杯迄に全世界的に・・・第2波・第3波のブリ返しが各国毎に起こり得無いとホボ確信出来る処迄、収まって居なければ、日本もIOCも各国の五輪委や選手団も、本格的な準備作業に入る事が出来無い。

 アビガンにせよ何にせよ、安心して使える治療薬が国際的に承認されて行き渡って居ると云う奇跡的な状況が生まれて居れば別だけれども、来春迄に皆が気を取り直し心を一つにして五輪成功に向かって走り出すと云う事には、ナカナカ為り難いのではないか。とすると「再延期」は有り得ないから「中止」で、その時点で安倍首相は引責辞任せざるを得無く為る。

 《21年9月?》

 五輪が無事に開かれれば、その終了後に安倍首相は総裁の任期を満了し後を総裁選に委ねる。岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長の対決と為れば、安倍首相に近過ぎる岸田に勝ち目は無い。

 総選挙を打つタイミングも無い

 こうした流れを解散・総選挙で断ち切る事は出来無いかと安倍首相周辺が考えるのは当然で、トランプ米大統領が11月に再選を果たせば早速12月にも来日を求め「強固な日米同盟」を演出して年末ないし年初に解散と云う話も持ち上がって居る様だが戯言に等しい。
 第1に、今秋にはコロナ禍は国内的には一段落して居るかも知れないが、米国を初め世界はどう為って居るか分かったものでは無い。
 第2に、その中で、殆ど酔っ払いのオジサンの様に為って居るトランプが再選されるかどうかは、益々疑わしく為って居る。
 第3に、大物の国賓としては今春の来日を延期した習近平中国主席を年内にも招くのが先で、その前にトランプを挟むのは筋違いである。
 第4に、それ以前に、来秋はこの数カ月の自粛による経済破綻が一気に爆発して大変な事に為って居る公算大で、到底安倍首相の「政権立て直し」と云う自己都合の為の総選挙に国民は付き合ってはいられない。

 安倍首相の下でも、増してや麻生臨時代理の下では猶更、総選挙は有り得ず、来年9月に選ばれる自民党新総裁の下で、10月の任期満了迄の間に行われると見るのが順当である。

 てんでんバラバラの政権運営

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 「安倍一強」と言われて来た政権が何故これ程無様な事に為ってしまったのか。致命的な要因は、昨年9月の人事で首相秘書官の肩書で満足に仕切れ無かった人差し指サイン今井尚哉が首相補佐官をも兼任して官邸を取り仕切る権限を得、菅義偉官房長官を意思決定システムから排除しようとした事である。
 安倍政権がこれ程迄に長続きして来た最大の要因は、良かれ悪しかれ、菅の如何にも旧自民党の党人派的な人脈管理術に基づく根回し能力であり、菅が居ればこそ二階幹事長や公明党の山口那津男代表とのパイプも繋がっていた。又菅とその脇を離れ無い警察出身の杉田和博官房副長官とは全省庁に目配りをし、その政策と人事の動きを情報管理して居た。

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 それに対して、今井、その副官である佐伯耕三秘書官(アベノマスクや安倍自宅リラックス動画アップの発案者)西村康稔経済再生症・コロナ対策相等、何れも東大⇒経産エリート官僚の道を歩んで来たグループは、本当の所は、その場限りを切り抜けるだけの小賢しい浅知恵しか持ち合わせて居ないのに、それで安倍首相を操ればこの国を取り仕切れると勘違いして、菅と云う「盲腸」を切って捨て様としたのである。

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 安倍首相は「今井ちゃんに聞けば、何だって直ぐ答えが出て来るんだよ」と、その圧倒的な学力の差に感服し捲くって居て、それはその通りなのだろうが、その今井らの「学力」とは上述の様な「小賢しい浅知恵」以上のものでは無いので、その結果が政権の迷走状態と為って発現するのである。
 この様にして、菅を無視した事で二階にも山口にも話が行き渡らず、結果として安倍首相が大恥をかくことに為った。サテ、これから二階や山口は、どう云うタイミングで安倍首相を見限る事に為るのだろうか。


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   高野孟 image by  首相官邸 MAG2 NEWS     以上














108兆円の見せかけ 省庁の思惑 元官僚作家が斬る「コロナ対策迷走の元凶」




 108兆円の見せ掛け 省庁の思惑 

 元官僚作家が斬る「コロナ対策迷走の元凶」


          〜現代ビジネス 西村 健 作家 4/21(火) 11:01配信〜


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                 作家 西村 健氏 

 安倍晋三首相が4月16日、東京都など7都府県に発令していた「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大すると発表した。同時に、困窮世帯に限り30万円を支給するとしていた経済対策を改め、現金10万円を全国民に一律給付するとの方針も打ち出された。

 前者は「何故7都府県に限るのか」との疑問が当初から上がって居り、愛知県や京都府等が「うちも対象地域に含めて呉れ」と要望して居た案件である。後者も「何故世帯毎に配るのか」との疑義が上がり「対象者の選別が分かり難い」「申請者にのみ配ると云うのでは、真に必要としている人に回ら無い恐れがある」と評判は散々だった。
 何れも世間からの批判に耐え切れず、方針返還を打ち出さざるを得なかった訳で「これなら最初から今のやり方にして置けば好かったではないか」との糾弾は免れ無い。こと程左様に安倍政権に於ける新型コロナウィルス対策は、後手後手と錯綜が繰り返されて居る。何故こうも対策が迷走ばかりしているのか。理解するには、国のホンネを押さえて置かなければ為ら無い。「兎に角為るだけ金を出したく無い」これである。

 「お願いベース」の理由

 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が4月12日の生討論番組『日曜THEリアル! 』(フジテレビ系列)に出演し、新型コロナにも適用される事と為った新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」)を「天下の悪法」と扱き下ろした。「要請と云うお願いベースだから『休業しても金銭的な補償はしませんよ』と云うのがこの法律の根幹」だと云うのだ。
 小池百合子東京都知事等が今回の緊急事態宣言を受け、都民の「外出自粛」や各種商業施設の「営業自粛」を要請した様に、この特措法のキーワードは確かに「要請」に在る。これが「命令」であれば強制力は強い。出されれば従うしか無い。一方、営業停止を命令されたのだから「代わりに損失は補填して呉れ」とコチラも声を上げる権利が発生する訳だ。

 事実、欧米では多く外出禁止令が発されて居るが、例えばフランスでは代償として「企業に対する休業補償を強化する」など、強制と補償とはセットに為って居る。しかし「要請」であれば「お願い」に過ぎず、従ったからと言って補償する義務は発生しない道理だ。
 この点を衝いて橋下氏は「官僚の悪知恵を詰め込んだクソ法律」と斬り捨てた訳で、まさに仰る通りである。実際にはこの国に於いては、首長による「お願い」は限り無く「指示」「や「命令」に近く、地方公共団体毎に様々な救援策が打ち出されて居る。

 それでも、なのだ。それでもこれは飽く迄「お願いを聞いて呉れたお礼」に過ぎず、法で規定された補償では決して無い。その気に為れば「金は払えんよ」との最後っ屁を温存した法律であると云う事を忘れては為ら無いのである。この点にも垣間見えるであろう「兎に角国は金を払いたく無い」と云う大前提が。

 3月13日特措法改正 緊急事態宣言は4月7日

 思い出してみて欲しい。2012年に成立した特措法を改正し、新型コロナにも適用出来る様にしたのが今年の3月13日。「別に改正しなくても適用出来るのではないか」等の反対論を押し切り、拙速とも批判されつつ「改正法」は国会を通過した。
 そこ迄緊急性・必要性を認めて居たのなら成立した直後にでも、サッサと緊急事態宣言を出せば好かったではないか。なのに実際は「未だその状況では無い」とノラリクラリ逃げるばかり。痺れを切らした東京都が独自の「外出自粛要請」を出す等、周りから押される形で言わば渋々、宣言を行ったのが4月7日だった。

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 しかもその後、小池都知事人差し指サインが商業施設への「営業自粛」を呼び掛け様とすると国は「待った」を掛ける。西村康稔経済再生担当相は対象と為った7都府県知事とのテレビ会議で「外出自粛の効果を見極めてからにしよう」「休業要請を2週間程度見送る」様呼び掛けたと云う。
 「休業要請」と為れば業者の損失も大きい。国のこの反応は「補償を為るべく避けたいが為」と見なければ説明はつくまい。ここにも又「金を払いたく無い」ホンネが窺えるのだ。

 「そんなに待て無い」と反旗を翻した小池都知事と西村大臣は9日に会談。可成りの強硬策を考えて居た都知事に一部譲歩を認めさせた形で、お互いが擦り寄った。理髪店やホームセンターには営業を認める。居酒屋を含む飲食店には営業時間の短縮や、酒類の提供を早めに終える等の対応を求める事と為ったのは、衆知の通りである。
 この居酒屋への対応策にも、補償金を削りたいホンネが隠されて居る様に思えて為ら無い。ソモソモ開店時間は8時迄、酒の提供は7時迄などとされては居酒屋としては、真面な営業など出来はすまい。「閉めろ」と言って居る様なものではないか。都は要請を聞き入れて呉れた業者には独自の「協力金」を支払う、と言っているが、我が家の近所の居酒屋店主は「本当だろうか」と疑念を払拭出来ないで居る。

 「『閉めろ』と言われて閉めたら、ソリャ一目瞭然だからお金も払って貰えるでしょう。でも8時で店を閉めてお客への酒も7時で止めました、何てどう遣って証明するの。『ちゃんと遣りました』って分から無けりゃ、都だってお金は出せ無いでしょう。私はこの規制、居酒屋に補償金を出さ無い為の誤魔化しに思えて仕方がないんですけどねぇ」
 
 国が都に金をケチる入れ知恵をしたのではないか、と云う訳だ。

 「108兆円規模」のからくり
 
 此処で今更ながらだが、では何故国は金を払いたがら無いのか。そもそも論に付いて考察してみたい。既に広く知られている通り、我が国の財政は先進国の中でも突出して借金塗れである。2月10日に財務省の発表した、国債や借入金等の残高を合計した「国の借金」は2019年12月末時点で実に1,110兆7,807億円・・・単純計算で国民1人当たりの借金額は約896万円に上る異常事態である。
 この為財務省としては財政健全化が言わば至上命令。借金を減らす為には収入を増やすか歳出を減らすしか無い。消費税は昨年10月に8%から10%に引き上げられて居り、続けての増税はナカナカに難しい。為らば歳出を減らす、為るべく金は払わ無い・・・と云う対応に為るのも自然な流れではあろう。

 少し話はズレるが今般の緊急事態宣言に伴って「108兆円規模」と云う緊急経済対策が打ち出された。3月27日に成立した2020年度国家予算は一般会計で102兆6,580億円だから、予算1年分をも上回る大盤振る舞いと映る。だがこれも数字の誤魔化しに過ぎ無い。
 飽く迄事業規模が「108兆円」レベルだと云うだけで、実際の政府による財政支出は39兆円。この内「新型コロナウィルス 感染症緊急経済対策関係経費」として計上された額は16兆円に過ぎ無い。今般の10万円給付への方針転換に伴いこの額は変更される。「108兆」と云う数字にばかり注目を集めさせ「チャンと遣って居るよ」と見せ掛けたい財務省の思惑が此処にも透けて見える。

 必要なのは「真のリーダーシップ」
 
 立場が違うから反対意見が出るのは自然なことだ。そうして議論を尽くし、最適な政策に導いて行く。民主主義とは本来そう有るべきものだろう。だが現状は非常事態である。悠長に最適解を探っている余裕など無い。多少、乱暴ではあっても強力なリーダーシップで「エイヤッ」と政策を打ち出し、実行に移すべきだろう。途中で間違って居たと分かればその場で方向転換すれば好いのである。処がこの国では今でも、平時通りの遣り方を続けようとして居る。

 「10万円一律配布」へと組み替えが必要と為った補正予算も然り、だ。経済対策を実行するには裏付けとなる補正予算案が国会で成立し無ければ為ら無い。その審議に必要な予算書を作成するだけで大変なのだ。金額は1,000円単位で記載され、間違いが無いか財務省職員が数字を一つ一つ確認し無ければ為ら無い。それだけで通常2〜3週間は掛かる。
 更にこれを衆議院規則で「印刷して各議員に配布」することが求められて居る。衆参の国会議員は総勢、約700人。印刷するだけで2、3日は要す。こうして我々の手元にお金が届く迄、貴重な時間が費やされて行くのだ。「こんな事態なんだから今回はペーパーレスで好いじゃないか」と云う話にはナカナカ為って呉れ無い。

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 4月17日、麻生太郎財務相人差し指サインは「一律給付」の筈の10万円を「手を挙げた方」に払うと言い出した。迷走は止まら無い。緊急事態宣言を適用する対象とすべきは、先ず政府そのものなのかも知れない。

 各省庁の「思惑」

 只此処でつけ加えて置くと、一口に財務省と言っても一枚岩では決して無い。省内には有名な主計局だけで無く主税局・理財局等複数の局が存在し、夫々思惑が微妙に異なる。主計局は予算を編成する所で、今回の補正予算に付いても中心を担う。主税局は税制の企画立案をする所で、消費税増税でも辣腕を振るった。
 問題は理財局である。国有財産の管理や国債の発行等を主管する所で、森友問題の国有地払い下げに於いては疑惑の焦点と為った局だ。国債の発行も自らの責務だから、余りに乱発して収集がつか無く為る事は避けたい。只一方、税収が十分で国債が必要無く為ったらそれはそれで困る立場なのだ。財務省の友人が私に語って呉れた事がある。

 「省を挙げて財政健全化なんて言ってるけど、理財局の内心は一寸違います。国債が要ら無く為ったら自分の存在意義にも関わりますからね。或る程度、予算が国債に頼って貰わ無ければ困る、と云うのがアソコの偽らざるホンネですよ」
 
 自らの存在価値が危うく為る事態は避けたい、と云うのは役人の本性である。或る程度、借金が残って居た方が好いと云う立場も有るのか、と納得したのを好く覚えている。
 この様に局毎の思惑は有るものの基本的には、財務省は出来るだけ金は出したく無い。ソコに「経済の停滞は何としてでも避けたい」経済産業省と「アラユル手段を講じてウィルスを封じ込めたい」厚生労働省の思惑とが鬩ぎ合う。更に国民の人気取りに汲々とし、批判は避けたい政治家の思いが交錯し、パワーゲームの中で政策が決まって行く。

 何を遣りたいのか好く分から無い対策が次々と打ち出され、紆余曲折して居る現状の根源は、この政策決定過程に有るのだ。後手後手に回るのも、迷走ばかりして居るのも当たり前である。


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 作家 西村健 東京大学工学部土木工学科卒 旧労働省(現厚生労働省)勤務を4年で辞め講談社Views誌の記者に フリーライターを経て『ビンゴ』(講談社ノベルス1996年刊)でデビュー 代表作 デビュー作『ビンゴ』で第15回日本冒険小説協会優秀賞 『劫火』(講談社ノベルス)で第24回日本冒険小説協会大賞受賞 2012年『地の底のヤマ』にて第33回吉川英治文学新人賞を受賞 2014年『ヤマの疾風』にて第16回大藪春彦賞を受賞 他に小説に『脱出』(講談社文庫)『あぶく銭』(角川書店)等 ノンフィクションに『霞が関残酷物語』(中公新書ラクレ)など
 趣味・特技等 趣味は飲酒、読書、映画鑑賞、鈍行列車乗り歩き 特技は何時でも何処でも一人でも呑んで居られる事、位でしょうか・・・


                     以上












安倍政権のコロナ経済対策は「大失敗」に終わる 米最新論文で判明!




  安倍政権のコロナ経済対策は

 「大失敗」に終わる 米最新論文で判明!



              〜現代ビジネス 4/21(火) 7:31配信〜


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               法政大学の小黒一正教授

 コロナ衝撃試算 1020万世帯分の「年収」が消える・・・

 ここに来てコロナショックの経済危機の深刻度が、具体的な数字で示される様に為って来た。この程法政大学の小黒一正教授が試算した処、現在の状態が半年も続けば、日本の産業全体で何と43.2兆円の売り上げが「蒸発」してしまうと云う。
 3ヵ月で21.6兆円・一月に7.2兆円の売り上げが失われる計算で、イヨイヨ深刻な経済危機が目前に迫って来た。小黒氏が言う。

 「これは飽く迄簡易的な試算ですが、半年に消滅する売り上げ43.2兆円は、1020万世帯分の年収が丸毎消える事に匹敵します。日本経済は、空前のダメージを受ける事に為り兼ねません」

 政府ヒアリングで出た「悲鳴の数々」

 日本政府は4月7日に「緊急経済対策」を発表したが、それに先立ち、安倍晋三首相をはじめとした重要閣僚が出席し、コロナ禍における「実体経済への影響に関する集中ヒアリング」が実施された。そこに招かれた各業界の代表者たちからは数々の悲鳴が飛び出した。
 日本旅行業協会の坂巻伸昭副会長は「3月は前年比3274億円の減収、4月は2931億円の減収が見込まれる」とそのリアルな窮状を訴えたのだから衝撃的だ。航空・エアライン業界からも悲惨な実態が明らかにされた。

 定期航空協会の平子裕志会長・全日本空輸社長によれば「当面、4ヵ月で約4000億円以上、年間では1兆円規模の減収」国際線・国内線共に、旅行客数が大幅に減少し、旅客数が1ケタの便も散見されるなど「危機的な状況」(平子氏)であると云う。
 百貨店は、リーマンショックの起きた翌年の2009年でも前年比10%減・東日本大震災で消費自粛が広がった11年3月でも14.7%減だったが、3月は「史上最大規模の売り上げ減少」を予測、マイナス幅は40%に及んだ可能性があると云う。
 大阪・なんばの食いだおれで有名な「黒門市場」では、外国人観光客の姿が消え失せてどの店も閑古鳥。1日3万人も居た来訪者は、今では何と1〜2割程度だと云う。4月7日には緊急事態宣言が出され「人との接触8割減」が求められた。事態は益々深刻さを増している。

 コロナショックの「長期化」は必至

 この惨状はどの程度、続くのだろうか。WHOはワクチンの開発について「最短で18ヵ月」との見解を示している。また筆者の取材にWHO事務局長上級顧問の渋谷健司氏ほか感染対策の専門家は、何れもコロナ禍の抜本的な終息の見通しを数年単位のスパンで考えていた。
 もちろん現在の外出規制・自粛要請などは医療崩壊を防ぐ為の措置で、自粛要請が何年も続くと云うことでは無いだろうが、小黒教授の試算が物語る様に、例え数ヵ月単位でも経済に深刻な打撃を与えることになりかねない。

 政府の集中ヒアリングでもエコノミストから感染対策の長期化の懸念が示されていた。日本総合研究所の山田久氏副理事長は「各国で人の移動を強く制限する措置が採られており、向こう数カ月で主要国での感染者数の拡大に歯止めが掛かることを期待」する一方で「最も、既に感染封じ込めは困難なことから、明確な終息宣言が行われず、対応が長期化する事を想定する必要がある」と指摘して居る。

 ハケン切りの再発も

 この長期化に耐えられる企業はどのくらい在るのだろうか。NHK「クローズアップ現代+」に出演したマネックス証券のチーフアナリストの大槻奈那氏は、中小・零細企業の資金繰りについて厳しい見通しを示している。大槻氏の調べでは、資本金1,000万円未満の企業では、全産業でも通常時に必要な支出の2.4ヵ月分の現預金しか残されていないのが現状だ。
 製造業では2.5ヵ月・飲食・サービス業で2.1ヵ月・小売業で1.5か月・宿泊業に至っては1.1ヵ月と云うから、事態は緊急を要して居る。

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 「中小企業は全国に380万社・従業員は3000万人。雇用維持の為には早急な手当てが必要だ」と大槻氏は言う。実際にリーマンショック時には1年で95万人も就業者数が減少し、完全失業率は5.5%に達した。有効求人倍率がリーマン前の水準まで戻るのに5〜6年掛かっている。
 特に大手も含めてコロナショックの直撃を受けている小売やサービス業では、派遣社員やアルバイトの比率が高く、あの「ハケン切り」の悪夢の再来に悩まされている人、或いは既に現実と為っている人も少なくないだろう。
 その災禍は学生たちにも容赦なく降りかかる。リーマンショック以降、大学生の仕送り額は年々減少しており、多くの学生はアルバイトして生活費を賄っている。今の外出自粛要請が深刻な影響をもたらす可能性もあるわけだ。エコノミストの田代秀敏氏が言う。

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 「中小・零細企業の倒産が相次げば、学生のアルバイト先も無くなり、大学を退学したり進学を諦める人も出始めるかもしれません。そう為れば、例えコロナの流行が沈静化しても、サービス産業やコンビニなどでは、優秀な労働力を大量に失うことになり、深刻な人手不足に陥りかねない。
 現在、政府は金融機関に積極的な貸し出しを要請していますが、こうした貸し付けが例え不良債権化したとしても、国が何らかの手立てを講じることを事前に金融機関に示唆すべきです。リーマンショックの際に起こった様な貸し渋り・貸しはがしを防止し無ければなりません」


 見せかけの経済対策

 政府は今感染爆発を抑える為に「外出自粛」の呼びかけに余念が無い。医療崩壊を防ぐために、その方針は勿論支持されなければならないが、この自粛状態はまた経済に大きなダメージを与えるもろ刃の剣だ。日本経済が壊滅しては、失業者が溢れることにもなれば、困窮した国民からも死者が出かねない。
 安倍政権はまさに難しいかじ取りに直面しているわけだが、どうも安倍首相はその深刻さをいまひとつ理解して居ない様に映る。当初、示されていた108兆円に上る緊急経済対策は日本のGDP比20%と云う大規模なものだが、多くは元々決まっていた予算から寄せ集めたもので「真水」と呼ばれる新規の財政拠出額は10兆円〜20兆円に留まると見られている。

 方々から「全く物足り無い」「見せ掛けだ」と批判が噴出するのも無理はない。この批判に慌てて4月17日になってから「国民一人当たり一律10万円の給付」を打ち出したとは云え、公明党の山口那津男代表から「連立離脱」も辞さぬ構えで迫られた結果だったと云うから、何とも心もとない。
 オマケにSNSに投稿したミュージシャンとの歌に合わせて、自宅で寛ぐ首相の姿が頗る不評で、明日をも知れ無い生活を強いられる国民の怒りに火を点けた。感染を防ごうと云う意図は分から無いでもないが、ドイツのメルケル首相が「第二次世界大戦以来」と極めて高い危機意識を示した演説で「危機の宰相」と支持を高めているのとは余りにも対照的だ。

 FRBとMITの衝撃レポート

 感染対策においても東京都をはじめ、自治体と足並みの揃わない政府の姿勢に対して、専門家からは批判の声が上がっているが、ここに来て政府の感染症対策や緊急経済対策の是非に関わるレポートがアメリカで示され注目を集めている。
 それは米連邦準備理事会・FRBとマサチューセッツ工科大学・MITの3人の研究者が、3月26日に発表した論文だ。タイトルは「Pandemics Depress the Economy, Public Health Interventions Do Not」いわば「不況を招くのは感染対策ではなく、パンデミックだ」と云う意味だが、この論文は新型コロナによる経済危機に執るべき対策を検証するために、1918年の「スペイン風邪」にその根拠を求めて居る。

 論文の結論は驚くべきもので、スペイン風邪に対応した都市を比較した処、当局が早期に、又強力に市民生活に介入した都市では、結果として経済は悪化せず、又パンデミックが終了した後にも力強く経済が拡大したと云う。
 詰まり検査の拡大や強化、又強力な外出規制やロックダウンは、新型コロナによる死亡者を減らすだけでなく、経済的にも有効な措置の可能性があると云うのだ。緊急事態宣言を出したとは云え、チグハグな安倍政権の感染対策を考えれば、この論文が主張する「正解」とは大きな隔たりがあることがわかるだろう。

 経済学者からの提言

 前出・小黒教授が言う。

 「この論文が示しているのは、早期かつ長期の厳格な感染対策を行ったほうが、その後の経済パフォーマンスも高かったと云うことです。先ず感染対策の基本は徹底した『検査』と『隔離』で、外出制限の強化のほか、飲食店なども一時的に閉鎖するような徹底的な対策が必要になる。
 その為には、経済対策として、テナントの賃料や金利支払い等を一時的に凍結して貰うなどの措置が必要に為るでしょう。その際に発生した損失の一部は、政府系金融機関などを通じて政府保証を行う議論も出てくるはず。
 又、検査で陰性だった人々が経済活動を自由に出来る枠組みをどう構築するかを早急に検討する必要がありますが、その準備が整うまでの間は、収入がストップする家計に対して、更なる生活保障が必要と為るでしょう」

 
 小黒氏は財政規律を重んじる論客として著名な人物。赤字国債には否定的な立場だが、そんな小黒氏がいま「赤字国債」の発行を主張しているのも注目だ。

 「今回、政府は国民一人当たり一律10万円の給付をすることにしました。そのための予算は約12兆円です。さらに感染対策を厳格化し、経済をフリーズさせるとしたら、さらなる予算が必要となり、概算だが今後数か月で50兆円規模の追加予算も覚悟する必要がある。
 当然ながら、財政にも限界があるため、追加予算を投じる前提として現在の問題を終息させる出口戦略も不可欠です。そして今回のコロナウイルスの問題が終息して経済活動が正常化してから、国債発行で賄った財源を10年〜20年と云う長期間、且つ追加の薄い課税で償還すれば好い。その際、所得の高低などに応じて追加課税を行えば、所得再分配の効果も期待出来ます。危機の今こそ、機動的に赤字国債を利用する意味がある」

 事態は風雲急を告げている。もっと大胆な感染対策と経済対策が、一刻も早く求められている。

   
           藤岡 雅 週刊現代記者       以上
















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