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2021年11月24日
「一歩間違えば廃墟と化す」 IR計画の亡霊
「一歩間違えば廃墟と化す」
カジノ含む日本のIR計画 が暗礁に乗り上げている理由
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カジノを含む統合型リゾート(IR)の事業者に付いて記者会見する大阪府の吉村洋文知事 2021年9月28日 大阪市中央区 写真 時事通信フォト 11-17-2
統合型リゾート施設(IR)誘致計画の申請が10月1日に始まった。現在誘致を公式に表明して居るのは、大阪府・市、和歌山県、長崎県だ。経済ジャーナリストの芳賀由明さんは「横浜市が撤退した影響が3つの地域に及び始めて居る。コロナで状況は変わった。一歩間違えると、ハコモノ行政の繰り返しに為る」と云う・・・
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経済ジャーナリスト 芳賀 由明 11-17-3
■このママでは「歴史的失敗」に現実味
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致施策が岐路に立たされて居る。有力候補地と目されて居た横浜市が撤退した影響が残りの3地域にも及び始め、来年4月以降の政府の誘致先選定に暗雲が掛かり始めた。
又、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスがIR環境を一変させた。コロナ以前に作られた大規模集客施設の建設計画や経済効果の皮算用を見直しせずに突き進めば、ラストリゾートと持て囃された日本のIR誘致が歴史的失敗に終わり兼ね無い。
国交省はIR誘致計画申請の受付を10月1日に始めた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で当初予定より9カ月遅れてのスタートだが、コロナ禍がIR誘致に及ぼす影響は受付時期の遅れだけに留まりそうも無い。
現在、IR誘致を公式に表明し事業者の選定を終えたのは大阪府・市、和歌山県、長崎県の3地域。IRの旗振り役だった菅義偉前首相のお膝元で在り最有力候補と迄云われた横浜市が反対派市長の誕生で一転して撤退を決めた事で、政府方針の「最大3カ所迄」と云う枠に収まる3グループは安堵するかに観えた。
しかし事態は全く逆の様だ。横浜の方針撤回に勢い付いて反対運動も活発化、IR誘致を表明した自治体への風当たりが俄かに強まって来た。
■コロナ前後でIRを取り巻く環境が変わった
「コロナの前と後ではIRを取り巻く環境が全く変わった。〔ポストコロナ〕に適応した形に見直さ無ければ必ず失敗する」
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吉崎達彦チーフエコノミスト
双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストは、コロナ感染拡大前に作られたIR政策や事業計画を早急に見直すべきだと警鐘を鳴らす。
IRの中核施設の開発要件は2018年に施行されたIR整備法とその後の施行令に定められて居り、宿泊施設は客室床面積の合計が10万平方メートル以上(客室換算2000〜2500室) 国際会議施設は概ね1,000人以上の収容能力 展示会施設は国際会議施設の広さに合わせて2万平方メートル・6万平方メートル・12万平方メートルから選択・・・等と為って居る。
又、カジノ施設はIR施設全体の床面積の3%以下に制限する。IR誘致を目指す3地域はこれ等の開発要件に基づいて国に提出する〔区域整備計画〕を策定する為、事業者から提出された計画案を審査して発注事業者を選定する。
詰まり〔区域整備計画〕は国が求めた巨大施設の建設と、それに見合う集客見通しや収益見通し・自治体が求める経済効果を全て盛り込んだものに為る訳だ。
■3地域は優先交渉権を持つ事業者を選定済み
IR誘致に名乗りを上げた3地域は今年9月末迄に優先交渉権を持つ民間事業者を選定済みだ。2025年に開催する万博会場と為る夢洲(ゆめしま)に誘致する大阪府・市は〔米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナル〕と〔オリックス〕の共同グループを、和歌山市の人口島マリーナシティに誘致する和歌山県は〔カナダ企業の日本法人クレアベストニームベンチャーズ〕を、ハウステンボス隣接地への誘致を決めて居る長崎県は〔オーストリア国営企業の日本法人カジノ・オーストリア・インターナショナル(CAIJ)〕を夫々決めた。
〔MGMとオリックス〕が大阪に提案した事業計画案は、初期投資が1兆800億円で最大規模。2028年の開業を想定して居り、2,500人収容の宿泊施設や6,000人超が利用出来る国際会議場等巨大な施設を造る。雇用創出数は約1万5,000人、府と市は合計年1,100億円の増収が見込めると云う。
〔クレア〕が和歌山県に提案した案は、初期投資約4,700億円で県が当初想定して 2,800億円を大幅に上回る。開業4年で経済波及効果は約2,600億円を見込み、雇用創出効果は大阪並みの約1万4,000人だ。
長崎県に提案された〔CAIJ〕の事業計画も大風呂敷だ。総事業費3,500億円や九州域内への経済波及効果を年3,200億円としたのは、県が経済波及効果3,200億〜4,200億円、雇用創出効果2万8,000〜3万6,000人として 当初見込みに合わせた格好だ。
最大1万2,000人を収容出来るMICE(会議・展示場等)施設も建設する。更に雇用創出効果は大阪や和歌山を大きく引き離し3万人だ。
■「5,000人規模の会議なら、リモートで好い」
事業計画の策定や事業者選定時期は既に新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大して居た。しかし国交省は〔中核施設の開発要件〕に沿って巨大施設の建設を既定路線のママ事業計画に盛り込む事を求めて居る。
開発要件の見直しを行わ無かった理由に付いて、観光庁の特定複合観光施設区域整備推進本部は「公的財源を投入しない原則に基づいて自治体が現行制度で施設を造りたい希望もあり、国としても他国に比べて見劣りして居たMICEの国際競争力を高めたい考えもある」(前川翔企画官)と説明する。
地域経済活性化の起爆剤にしたい自治体に取っては、カジノに加えて巨大施設や大規模イベントに依る内外からの集客能力コソが頼りだからだ。しかし、コロナ禍の中、学術やビジネス分野では会議やイベントの大部分がオンラインで行われる様に為り、MICE施設の利用ニーズは世界的に縮小した感が否め無い。
IR業界に詳しい国際カジノ研究所の木曽崇所長は「国交省は新型コロナ感染前に作った開発要件をコロナ後も全く変えて居ないが、今や5,000人も集めて会議を行うニーズは無い。リモート会議をすれば好い」とMICE市場の変貌を指摘する。
大型IRの必要性や開発要件を見直すには政府方針の転換が不可欠でIR整備法の改正も必要と為る為、観光庁が及び腰に為るのも仕方が無いかも知れ無い。
■和歌山では「二階王国」が揺らぎ始めた
自治体のIR誘致計画申請の受付が始まった10月1日。横浜市では、林文子前市長が2年前に設置した都市整備局内の「IR推進室」が廃止された。「ホボ当確」(自民党関係者)とさえ言われて居た有力候補の横浜市が撤退した事で、以前から手を挙げて居た3地域の誘致政策にも少なからず影響を及ぼし始めた。
10月31日の衆院選を機に市民運動にも新たな動きが出て来た。申請受付期限の2022年4月28日迄無風とは行かなそうだ。菅前首相と同様にIRを強力に推進して来た二階俊博前自民党幹事長の地盤・和歌山3区は衆院選で最多の4人が立候補した。
元総務省職員の本間奈々氏等二階氏を除く3人がIR誘致に反対だった。中でも本間氏は二階氏を中国寄りだと厳しく批判し、二階氏が進めて来たカジノ建設で治安が悪化すると力説。反二階派や市民団体等の票を集めた。
選挙では殆ど地元回りをし無かった二階氏だが、今回は幹事長退任に依る影響力低下の危機感からか山間の過疎地区迄入り「政治の原点はふるさとだ」等と熱心に街宣して回った。蓋を開けてみれば二階氏の圧勝だったが二階王国が揺れ始めた。
衆院選前の10月8日に開かれた県のIR対策特別委員会では、県からIR運営会社クレアベストニームベンチャーズ(カナダ)の日本法人を中心とする共同事業体を優先事業者に選び〔区域整備計画〕の原案作りに入るとの説明が在った後、自民党県議から事業の不安定さや不透明さを問題視する質問が相次いだ。
山下直也議員は「非公開だからと云って姿が見え無いのでは信用出来無い」と指摘。事業者との契約関係が曖昧な事の説明を求めた。党県議団の重鎮、冨安民浩議員は「資金調達や収益等、大事業を遣るのにコレでは心許無い。県が何が何でも進め様として居るのは問題ではないか」と疑問を呈した。
県の楠見直博IR推進室長は「未だ未確定な部分は残って居るが11月には『区域整備計画』の原案を作り上げる」と苦しい説明に終始。推進派で在る筈の自民党議員からの追及に当惑気味だった。
■市民団体は住民投票を求める署名活動を開始
横浜市長選の影響を問われた仁坂吉伸知事は報道陣に「ヤッパリIRは良く無いんだと云う人が増えそうだ」と心配して居たがそれが現実に為った格好だ。
県にはカジノに反対する3つの市民団体が在るが11月6日、これ等のグループが中心と為りIR誘致の是非を問う為の住民投票を求める署名活動を開始した。
「ストップ!カジノ和歌山の会」の豊田泰史共同代表は「新型コロナでIR事業者は何処も経営不振に為り、大きな会議場も要ら無く為った。強い業者は撤退したし選定された業者の経営状況も良く無い。建設しても更に環境が悪化すれば廃墟に為り兼ね無い」と危惧する。
豊田氏は横浜市と同じ方法で市民の問題意識を高めたいと考えて居る。「住民投票の請求は6,200人の署名で可能だが、2万人以上を集めて12月に市長に提出したい」と云う。署名が所定数に達すれば市長は住民投票条例案を市議会に諮ら無ければ為ら無い。
自民県議は選定事業者の経営状況を不安視して居る上、維新の会は県議・市議共IR誘致に反対して居り大阪とは温度差が在る。二階氏の神通力が弱まり始めた和歌山でIR誘致の是非が改めてクローズアップされそうだ。
■事業者選定プロセスの不透明さが指摘される長崎県
近畿圏の2地域に比べ地元政財界や県民の歓迎ムードが強い長崎県だが、運営事業者の選定を巡り不透明な手続きが問題視されて来た。事業者選定では、1次審査で〔CAIJ〕を大幅に上回る得点を取って居た2事業者が2次審査で落選した事で、2事業者が審査結果に疑義を申し立てて居る。
しかも県から事前に「信用性」や「廉潔」の問題等を理由に辞退を迫られたと云うのである。
9月16日の県議会で、自民党の溝口芙美雄県議は「(落選した)業者から選定過程に問題が在ったと云う意見が出た様だが公平・公正に行われたのか」と説明を求めた。中村法道知事は「選定は外部の専門家に依る審査委員会を設置して公平・公正・透明性を以て行われ内容は公表されて居る。社会的信用性と廉潔性は県が独自に行い、その結果は審査委員会にも開示して居ない」と答弁。
落選事業者が問題視して居る県の「独自調査」の判断基準は飽く迄公表し無い方針だ。カジノ・オーストリアが本国で政治家の汚職事件に関係が在るとの報道も在り、県の選定過程の不透明さは今後も尾を引く可能性がある。
「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」は6月末迄に1万人超のIR誘致反対署名を中村知事に手渡したが、その後も署名運動を継続中だ。新木幸次事務局長は「横浜の撤退やIRの実態も市民には好く知られて居ない様だ」とモドカシサを感じて居るが、11月末から始まる県議会に新しい署名を提出する準備を進めて居る。反対意見の盛り上がりに期待して居る。
■盤石の感が在る大阪にもサザ波が・・・
衆院選では維新の会が議席を41に伸ばして第3党に躍進。盤石の感が在る大阪も例外では無い。吉村洋文大阪府知事は8月の横浜市長選の翌日「横浜が大阪のIRに影響を与えるものでは無い。如何云うものが出来るかを丁寧に説明しながら進めて行く」と報道陣に述べ、横浜市撤退の影響を否定して見せた。
しかし〔カジノに反対する大阪連絡会〕等が11月中に横断的な反対活動に打って出る準備を進めて居る。同連絡会は2018年以降の署名運動で約10万人もの署名を府や市に提出した。有田洋明事務局長は「大阪には今カジノ反対を掲げるグループが8団体在る。衆院選が終わったのでコレから足並みを揃えて強力に運動を展開する」と意気込む。無風に見えた大阪にもサザ波が立ち始めた。
■無視出来ない住民の「総意」
3地域は今後、選定した事業者と共同で国に提出する「区域整備計画案」を策定し、県議会やパブリックコメントに依る意見募集等を経た上で、来年4月28日迄に国交省に提出する。
和歌山県の場合は、現在〔クレアベスト〕と共同で区域整備計画の原案を策定中で11月末に完成させる。その原案を公表してパブリックコメントを募集。来年2月に和歌山市と県公安委員会の承諾を得た上で、県議会に区域整備計画案を提示し決議して貰う。国交省への申請は4月中に為る見通しだ。他の2地域も概ね同様のスケジュールと為りそうだ。
審査に当たっては、計画そのものの内容やギャンブル依存症対策に加えて「キチンとしたプロセスを経て居るか、住民のコンセンサスが出来て居るか如何かを観て行く」(特定複合観光施設区域整備推進本部の前川企画官)方針だ。
自治体としての「総意」が認められ無ければ〔落選〕の憂き目に遭う能性も在る。その意味でも、反対派の活動を無視出来無い訳だ。
■IR計画の見直しには「ポスト菅」が不可欠
反対派の最大の理由はギャンブル依存症増加や治安悪化と云えるが、双日総研の吉崎氏は
「依存症に神経を尖らせるのは、パチンコや競馬等誰でも何時でも出来る賭け事が野放し状態だったから。IR整備法に関連して全てのギャンブルが対象の依存症対策が義務付けられた上、カジノは日本人の個人管理を徹底するので心配には及ば無いだろう」
と楽観視して居る。反対派の中には「コロナ禍で状況が変わったのに(和歌山県は)何も検証しないで突き進んで居る」(豊田氏)と県に見直しを求める意見も少なく無い。吉崎氏は、ポストコロナの時代に合わせて今からIR施策を見直すには、旗振り役を続けて来た菅前首相に代わる「ポスト菅」の存在が不可欠と云う。
施設の規模を見直す場合はIR整備法や施行令等制度改正を伴う事に為る為「時間的に絶対無理」(観光庁)と云われるが見直すべき部分は他にも多い。高率の税制や納付金・10年の権利期間も有力事業者が撤退した要因と見られて居る。
「コロナ後の世界経済の中で、完成後実質5年程度で投資回収を見込むのは厳しい。横浜のIRから早々に撤退した米ラスベガス・サンズの判断は極めて合理的だった」(吉崎氏)
■一歩間違えると「ハコモノ行政」を繰り返す事に為る
一方、木曽氏は自治体グループが公表した経済効果や集客予想に対し「事業者や自治体の事情も在ったのだろうが、盛り過ぎだ」と問題視する。予想数字と現実が余りに大きく乖離するとそれだけで「失敗」の烙印を押されかね無い。自治体側は区域整備計画で、ポストコロナを見据えた冷静な経済効果算出が不可欠と為りそうだ。
観光等の「遊民産業」の経済効果に期待する吉崎氏は「ポストコロナの観光業の答えは誰も判ら無いが、最も進んだIRを日本で実現出来れば良いツールに為る」と期待を寄せる。
2002年に発足した「カジノと国際観光産業を考える議員連盟」(現国際観光産業振興議員連盟・IR議連)の初代会長だった野田聖子氏はIR整備法案が党総務会で了承された時に「観光立国としての初めの1歩だ」と興奮気味に語った。
しかし、これから始まる本当の「1歩」を踏み間違えると、バブル経済期に日本各地で乱立し、解体されたり廃墟と為った「ハコモノ行政」の愚策を繰り返す事に為り兼ね無い。
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経済ジャーナリスト 芳賀 由明 1981年早稲田大学法学部卒業 91年日本工業新聞社経済部および産経新聞社経済本部で電機・自動車・日銀・東証・経産省・総務省等の担当を経て次長 2013年経済本部編集委員 2017年NHK交響楽団総務部長 2021年6月独立 北海道出身
〜管理人のひとこと〜
昭和の時代の東映・ヤクザ映画を観て居る様だ。為政者とアラユル顔役が金儲けの為に不法な〔事業〕を法律で〔合法的な事業〕とし〔ドデカい利権〕に群がる色々な民間企業を巻き込んだ〔闘争劇〕と為る。堂々と事業の許認可を巡る札束が飛び交い、裏ではヤクザ同士の命の遣り取りが・・・主人公は、庶民に苦渋を与えるだけの〔合法的な事業〕に反対し庶民と共に立ち上がり戦う・・・この事業の為に新たな税金が作られ、更に官庁や地方自治体で新たな部署の為の増税が・・・全てのシワ寄せは庶民からの涙で在り税金で在る。
公的賭博だけか問題では無い。この「利権」に群がる企業群から〔何等かの利益〕を掠め取ろうと云うサモシイ気持ちが時代遅れのヤクザの思考なのだ。安倍長期政権がもたらした最後の置き土産、安倍晋三の亡霊の様な「IR構想」なのである。コロナの終焉と同時に自然消滅される事を祈る・・・
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2021年11月22日
「日本は貧乏が似合って居る」 立川談志
「日本は貧乏が似合って居る」
立川談志が生前にコノ言葉を繰り返して居た真意
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談志と筆者 筆者の真打昇進披露パーティーにて 撮影 ムトー清次 11-22-21
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立川流真打・落語家 立川 談慶
■談志の言葉の数々は 予言だったのではないか?
今年の11月21日で、我が師匠談志がこの世を去って丸10年です。思えば、今から10年前の2011年は、談志・ビンラディン・カダフィ大佐・金正日と、独裁者4人が消えた年でありました(笑)
ま、冗談は兎も角、私ことコノ度不肖の弟子として、没後10年の晩秋に合わせて『不器用なママ、踊り切れ。超訳 立川談志』(サンマーク出版) 『天才論 立川談志の凄み』(PHP新書)を出版させて頂きました。前者は「過去の談志の発言集をデータベースに、もし談志が今も健在だったら、コンな事を言って居た筈だ」と云う観点から談志の言葉を思い切り「超訳」してみました。
後者は「前座修業クリアに他団体の3倍近く要しながらも、その後回復運転し、トータル14年で真打ちに昇進した自分のドキュメンタリーから浮かび上がって来た談志の天才性に付いての論考」です。
2冊に共通するのは「談志の言葉の数々は予言だったのでは無いか」と云う観点です。日本は、先進国で唯一給料の上がって居ない国に為りました。平均賃金では韓国に既に抜かれて居ます。
平成元年は世界4位だった国民1人当たりGDPは18年には26位迄転落し、アジアでも香港やシンガポールに大きく引き離されても居ます。
「日本は貧乏が似合って居る」
生前談志がサイン色紙に頻繁に記して居た言葉ですが、正に似合うと云う形に収まったと云う感じがします。
■「栄華を極めて国は滅びる」
此処で談志の少年期を想像して観ましょう。育ち盛りのアノ忌まわしい戦争体験が後の談志の人生にも多大なる影響を及ぼす事にも為りました。今年で入門が丁度30年に為る私ですが、今振り返ると未だバブルの余波と云うか、景気の良さが残って居る入門当初の時期に「日本は貧乏が似合って居る」「アノ頃は国中が貧乏だった」と頻繁に呟いて居たものです。
「日本は貧乏が似合って居る」ナンて、一見「皆で貧乏に為って廃れてしまえば好い」等と云う過激で厭世的な主張なのかと誤読され勝ちですが、決してそうではありません。これも好く言って居た「貧乏で国は滅び無い。栄華を極めて国は滅びるんだ。ローマ帝国を見よ」と云うセリフを補助線に「超訳」すると、好景気で浮足立って居る人達に対する冷ややかな目線が光って来る感じがします。
「バブルが残したものは何か?金持ちに為って何をした?海外へ女遊びに行った位だろ」
とも落語会のマクラでも揶揄(やゆ)して居ました。「俺達は戦後の焼け野原からアソコ迄立ち直ったんだ」とキラキラした眼差しで、悲惨な環境から復興して行くこの国の底力を見届けた談志からして観れば、裕福な場所からでは無く「貧乏と云うマイナスなスタート地点から出発すべきだ」と云う現代人への叱咤(しった)激励にも聞こえて来ませんでしょうか。
「俺がお前にして遣れる親切は情けを掛け無い事だ。欲しけりゃ取りに来い」
と云う言葉も前座の後半期に好く云われたものでした。
■「自作の持ち帰り容器を持ち歩く」談志ドケチ伝説
そして、戦後の貧しい時代に生まれた談志は非常にケチでした。前座の入門当初、談志が舐め掛けて居たのど飴を、もう舐め終えたものだと思って捨ててしまった事で怒鳴られた事が在りました。
「バカ野郎、何て事するんだ。未だ舐められたのに!」
と、のど飴を喉から手が出る程に惜しんで居たものです。私の真打ち昇進パーティーの会場で出されて居たピラフは「談志パック(談志の絵と「食べ物は大切に」等と書かれたオリジナル容器)」に入れて持ち返り、炒め直しては食べ続けて居ましたッけ。
滞在先のホテルに置かれて居た小さな石鹸を「ミカンを入れるオレンジ色の網」に詰めて大事に使って居たものです。正に「ネット(網)」を当時から駆使して居たのです(笑) もう此処迄来ると、ケチと云うマイナス評価を通り越して、談志のキャラに迄昇華しても居ました。
■不快感を自分の力で解決するのが「文化」
「しわい屋」と云うケチを自慢する落語があります。あるケチな男が「1本の扇子を10年持たせる方法が在る」と言って「半分だけ広げて5年仰ぎ、次の5年でそれを畳んで残りの半分を広げて使う」と主張します。言われたケチな男も負けては居ません「俺はソンな事しない。扇子はそのママ動かさ無い状態で顔を方を動かす」
談志は「此奴は見事だ。不快感を自分の力で解決して居る。文化そのものだ」と絶賛して居ました。談志は、文明と文化を次の様に定義し、生涯を通してアンチ文明の立場でした。
「不快感の解消を自分の手で遣るのが文化で、お金で他人や機械に遣って貰うのが文明だ」と。 詰まり、江戸時代とはソモソモ文明が未発達で、文化に頼らざるを得無かった時代でも在ったのです。
そんな環境だからコソ、落語の様な大衆娯楽が生まれたのだと考えて居ました。だから、貧乏に戻る事は、現代人が文化を取り戻す良い切っ掛けに為ると云える訳です。
勿論談志とて現代人です。多少の文明の恩恵は享受しつつも「何とかして文明の思い上がりを食い止めよう」と文化人としての気概を、落語を通じて訴え続けて居た様な感じでした。
芸人故の茶目っ気が溢れて居ましたから、徹底して文明批判を貫く様な活動家的なポジションでは決して在りませんでした。
■文明社会の成れの果て
処で、このママ文明がアクセル状態を続けて行けば如何為るのでしょう? 今や地球環境が悲鳴を上げて居ます。 富と成功の象徴としての億万長者が利用するプライベートジェットのCO2 排出量は、長距離バスの10倍、高速列車の150倍と迄言われて居ます。
そう考えて見詰めてみると「SDGs」が叫ばれる遥か以前から談志はこの現況を笑いと共に訴え続けて居たのかも知れません。マルクスが再評価されピケティが注目され、斉藤幸平さんの『人新世の資本論』がベストセラーに為ったりと、コウ云う時代を談志は想像して居たのかも知れません。天才にはキット見えて居た筈です。
■フェミニストだった談志
「男が勝手に作ってダメにした社会を、直して行くのは女だろう」
これも談志を代表する名言の一つでした。談志は可成りのフェミニストでした。20年以上前ですが、当時前座の分際で結婚した私でした。前座と云うのは修行期間の身分故、云わば結婚するのはご法度に近い事です。
私はコッソリ結婚して、ほとぼりが冷めたら談志にカミさんを紹介しよう等と姑息(こそく)な事を考えて居たのですが、カミさんはとても気丈でした。
「後で師匠に『ナンでアノ時に言わ無かったんだ!』と言われるのは嫌だから、ドンなに怒られても好いから挨拶に行きたい」
と云う彼女の声に押される格好で根津のマンションへ向かいました。夏場の事でした。談志はランニングと短パンで寛いで居たのですが、カミさんの姿を見掛けると直ぐ奥の部屋に戻り、ポロシャツを上に着て応対して呉れたものです。
無論、結婚に関しては「身分をわきまえろ!馬鹿野郎」と激怒されましたが、 その後も、カミさんのお礼状への返信には、直筆で「何か在ったら力に為ります」と墨痕鮮やかに印して呉れました。
二人のお子さんや御内儀さんからは「パパ」と呼ばれて居ました。家父長制の延長線上に位置すべき徒弟制度を前提とする落語家としてはとても異例の事だった筈です。
「男に出来て女に出来無い事は無い。運転は男の方が旨いナンてウソコケで、女には経験が無いだけだ。大概何処の家も亭主がだらしなくて、カミさんが確りして居るものだ」
とも言って居ました。正に「LGBT」と云う言葉の先駆けの様な思考を持って居たのです。女性蔑視発言等で窮地に追い遣られた森元首相と同世代の人の考え方とはとても思えませんよね。矢張り革新的な思考だったのです。
だからコソ「落語は人間の業の肯定だ」と云う落語への歴史的な定義を施したばかりでは無く、それ迄の落語のスタイルや存在意義迄も変える様な革命を遣って退けたのでしょう。
■地球と女性を大切に
そんなバランス感覚と先見性が在ったからコソ、談志からして観れば、男性が「勝手に作ってダメに為った社会」をキチンと立て直して行くのは女性だろうと云うのは予言では無く「未来への提言」にすら思えて来ます。
以上、まとめて「超訳」すると、もし談志が此処に居たの為らば
「地球環境を大切にしろよ。人間さえいなけりゃこんな好い星は無い。そして、モッともッと女性を大事にしろよ。それから談慶のバカの書いた本、買って遣って呉れよな」
と、優しい言葉を残して呉れて居た筈です。天才の言葉、今コソ噛みしめましょう。 「落日」の後は「朝日」です!
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立川 談慶(たてかわ・だんけい) 立川流真打・落語家 1965年 長野県生まれ 慶應義塾大学経済学部卒業 ワコール勤務を経て91年立川談志に入門 2000年二つ目昇進 05年真打昇進 著書に『大事なことはすべて立川談志に教わった』等
〜管理人のひとこと〜
世間を斜めから読み解く・・・噺家とはソンな批判的心情が無いと存在感が問われてしまう・・・と考えてしまうが、逆に噺家迄が政治に口を出す・・・との批判めいた言葉も在りましょう。しかし、公務員でも会社員でも無いフリーの立場で何事かを呟くのは個人の勝手であり自由です。
噺家程自由にものを言える職業も無いのです・・・現在は余り、テレビのニュースショーに出る噺家も少ない様ですから。社会から縛られる事も少ないのです。管理人も談志氏の落語の大ファンです。矢張りある種の天才と云って間違いありません。アノ口調がとても好きですね、優しさが話の中に溢れ出て居ます。
しかし、この時代の落語家生活は大変でしょう・・・政府から補助金は無いのでしょうか、そんな気の利く政府では無い様ですね。何れにしても世知辛い世の中な事は変わりません。
![](https://www11.a8.net/0.gif?a8mat=3H821K+1C84S2+3LX8+63H8H)
立民・共産の共闘は間違いだったか? 自社提携の歴史を遡れ
<2050年のメディア>第86回
立民・共産の共闘は間違いだったか?
自社提携の歴史を遡れ 下山進
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村山富市氏 1994年に就任した自社連立政権の首相 社会党最後の委員長と為った
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Susumu Shimoyama〔MEDIA in 2050〕しもやま・すすむ ノンフィクション作家 11-22-1
英国の週刊誌『エコノミスト』のエグゼクティブ・エディター、ダニエル・フランクリンがこんな事を言った事が在る。
「歴史を知ると云う事は、未来を予測する上で重要なツールキットです。歴史がそのママ繰り返される事は在りませんが、歴史を観る事に依って、新しいものが起きた時にどの様な反応が起きるか、或る程度予測出来ると云う事です」
「私達『エコノミスト』の使命は、非常に複雑で変化の多いこの世界に於いて、何が起きて居るのかを読者に説明する事です。その際に歴史的文脈で説明する事は極めて有効だと考えて居ます」
その言葉を思い出したのは、立憲民主党と日本共産党の先の衆議院選挙に於ける共闘を殆どのメディアが「失敗」と報道して居るのに、モッと他の角度の分析は無いかと思ったからだ。
例えば読売新聞・・・先ず投票日前日の10月30日 一面で特別編集委員の橋本五郎は、両党の「限定的な閣外協力」に付いて〈共産党は「日米安保条約廃棄」の方針は変わらず、内閣提出の法案に反対する事も在ると云うのです。それなら選挙の為だけの協力では無いかとの批判が出るのは避けられません〉と書いた、此処迄は好いだろう。
しかし、結果が出た後の11月2日のストレート記事で「連携が裏目に出た」3日の社説でその原因は、日米安保条約の廃棄を掲げて居る共産と〈日米同盟を軸とする立民との基本理念の違い〉が惨敗を招いたのだとし、4日の一面の政治部記者の署名原稿でも〈日米同盟を基軸とする立民と、日米安保条約の廃棄を主張する共産が、限定的とは云え閣外協力で合意した事に、多くの有権者が納得出来無かった〉と同じ歌を繰り返して居るのを読むと、もっと他に書く事が無いのかと思ってしまう。
ジャア、94年から98年迄の自社連立は如何なんだと云う疑問が湧く。社会党が自民党と連立を組んで政権に入った時、日本社会党の綱領的位置付けの文書は「新宣言」と云う文書だった。
基本政策目標の第一番目に掲げられたのが〈平和、協調を基にした国際体制と非同盟・中立・非武装の実現〉と云う外交政策だった。コレは、日米安保条約廃棄と同じ、しかも「閣外協力」処では無い文字通り政権に入ったのだ。
自民党は今回「立憲共産党」と云う言葉を使いながら、立民と共産の共闘を「安全保障は如何するのか」と攻撃したが、四半世紀前には自分も同じ事を遣って居た。だから好く無いと云う事を言いたいのでは無い。
立民と共産の共闘を、日米安保条約を巡る不整合から自民党が攻撃して居るので在れば、では四半世紀前は如何だったのかと云う事をメディアは取材分析し無ければ為ら無い。総選挙の直前の月刊『Hanada』に慶應の教授で元民主党議員の松井孝治がすこぶる面白い原稿を書いて居た。
松井は、通産官僚時代、この自社連立政権の官邸に入った時の体験を書いて居たのだ。この原稿で、1995年8月に時の首相の村山富市が出した「戦後五十年談話」所謂「村山談話」の原案を松井が書いた事を明かして居る。
そして穏当な表現だった筈の原案が、村山の執念で「植民地支配」「侵略」「戦争責任」全てに於いて踏み込んだものに変わって行った事、それを当時の自民党は、黙って通した事が綴られて在る。
「コレだけは村山の思いを通して遣って呉れ」と云う官房長官の野坂浩賢の説得に依って、亀井静香・橋本龍太郎と云った自民党の政治家達は引き下がった。これを松井は「恩義を返す為に自分を捨てる」日本人の気質を当時の自民党は持って居たと書いて居る。
何せ、自衛隊にしても消費税にしても、社会党は自民党との連立政権で党是を全部ヒックリ返したのだ。ここだけは村山の気持ちを判って呉れと云う浪花節を了とした。
では、現在の自民党にそうした気質は在るか? そして共産党が、仮に政権に入ったとしたらば、過っての社会党の様に為って行くのか?
こうした疑問を、同じ95年に左翼民主党(旧イタリア共産党)が母体と為って生まれた「オリーブの木」の左派中道政権の辿った道や、自社政権時の中国と今の中国の国力と体質の違い等を調査しながら、今回の立民と共産の関係を見て行くと、全く違う発見の在る記事に為ると思う。
英エコノミスト誌は2016年に「基軸通貨が交替する時」と云う記事を出して居る。これは、中国の元がドルに代わる基軸通貨に為り得るかと云う事を、過つてポンドからドルに基軸通貨が移行した1920年〜45年と比較して考察したものだ。
過つてとの決定的な違いは、ポンドからドルに基軸通貨が移行した時は、英国と米国は同盟国だったが今の米中は敵対する国家同士だと云う事だ。そうした体制に在って、現在の世界経済は、危機に陥った時、国家や金融機関を破綻から救う「最後の貸し手」が居ない、その事を基軸通貨の問題を考えながら指摘する優れた記事だった。
そのひそみに倣えば、国民民主が立民・共産に共闘からの離脱を通告した今、例えば1970年代の社共共闘から、80年代の社公民路線への転換と比較しながらの考察等・・・新聞は、モッともッと脳味噌を洗う様にして知恵を絞れ。現場の記者はそうした歴史を常に勉強しながら、今の政治を絵解きして呉れ。
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◇しもやま・すすむ 11-22-2 ノンフィクション作家 著書に『アルツハイマー征服』等 上智大新聞学科で調査型の講座「2050年のメディア」を開く 5冊目の著作『2050年のジャーナリスト』が発売中
〜管理人のひとこと〜
4野党共闘・・・この中には、4党で過半数を獲得したら共同で総理を担ぎ上げ、共に内閣で大臣を出し合い政治に邁進しよう・・・との同意が在っての事だと想像するのが当たり前。だから管理人は、れいわの山本太郎氏が総理に指名されるか、又や経済政策の要の特任大臣にでも為り彼独自の経済政策を束ねるのも在りと想像して居た。しかし枝野氏の言葉には「共産は閣外協力」と云う意味不明なものだった。立民の中の非共産系の意思を汲んだのだろうと思うが、 ソンな生半可な意思で政権が手に入る筈も無い。
無論、非共産・反共産も夫々の心情も在り結構なのだが、ソンな壊れ物でも扱う様なビクビクとした中途半端な提携話に、多くの支援者は〔匙を〕投げたのだ。多くの人達は、反共産派の彼等と今後の関係を充分に熟慮し説得した上で〔4党合意〕が為されたと誤解して居た。だから「選挙目当ての提携」と枝野氏の真意を見破られただけだ。
票だけを貰い後は閣外で・・・との不公平で不正義で可笑しな話が世間に通る筈も無い・・・それを枝野氏は「説明不足」と表現したが「単に甘い考えで墓穴を掘った」だけなのだ。自民が説明した通り顔を洗って「立民共産党」として出直した方がよっぽど増しだろう。
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衆院選を今更振り返る 千葉商科大学 国際教養学部准教授 常見陽平
衆院選を今更振り返る
「若者の政治離れ」と云う傲慢(ごうまん)な声と〔維新〕の躍進
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文章 千葉商科大学 国際教養学部准教授 常見陽平 11-22-3
2021年10月31日に投開票が行われた「第49回衆議院議員選挙」 コロナ禍初の総選挙では、自民・公明の連立政権が与党としての絶対安定多数を確保した。日本維新の会が躍進し、大物政治家が相次いで落選する大きな変化も。少し時間が経ったが衆議院選を基に時代の空気を読む。徒然為るママに語る。
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写真は吉村氏の公式ツイッターより 11-20-8
果たして「若者の政治離れ」は本当か?
今回の選挙では、18〜19歳の投票率が43.01%と為り、前回の2017年の衆議院選に於ける41.51%を僅かに上回った。とは云え、必ずしも高いとは云え無い。只、この手の話で語られる「若者の政治離れ」では無く、寧ろ「政治の若者離れ」が本来の姿ではないか。
若者が新聞初め伝統的なメディアと触れる機会が減って居るのは事実だ。実際、彼等は有象無象の情報が並ぶスマホを情報源として居る。
好くSNSが若者の情報源と言うが、それも上の世代とは異なって居る。Facebookは今や「ネット老人会」と揶揄されて居て若者は使わ無い。Instagram、嫌今やTikTokが情報源だ。只、政党・政治家の発信方法や掲げる政策のドレもが10代に寄り添って居る訳でも無く、自分事として捉えられ無いので在れば離れて行くのは必然だ。
「何故選挙に行か無いのか」は議論するべき
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bizSPA!フレッシュ 11-20-9
筆者自身、大学教員として学生に政治に付いて尋ねる機会が在る。ヨクヨク話を聞いてみると学生達は関心が無い訳では無い。個別に「選択的夫婦別姓に興味は在るか?」と聞けば、夫々意思表示をするし、給付金の様に学生をサポートして呉れるものに付いて聞けば「関心在ります」と答えて呉れる。
1年生6人と会話して居て「ソレ、選挙で解決出来るかもよ」と伝えた処、6人中5人が選挙に行った。行か無かった1人は不在者投票の遣り方が好く判らず断念した。皆、選挙に行く事を楽しんで居た。調べてみると面白いと。
若者向けの政策と、それを届ける努力が必要
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bizSPA!フレッシュ 11-20-10
若者の政治離れと大上段から言って居るばかりでは本質を見誤る。彼等が「何故選挙に行か無いのか」は上の世代も含めて議論するべきだ。先ずは自分達の世代の事が気に為るのだが、夫々の世代の課題に応え無くては社会は壊れて行くし、その問題は自分達に振り返って来る。
学生達は忙しい。今の大学は講義の宿題も多いし出席管理も厳しい。学生生活を続ける為にアルバイトはマストだし通学時間が長い学生も居る。 「若者が政治離れして居るぞ」と言うのはエゴだ。そして、若者向けの政策とそれを届ける努力が必要で在る。
コロナ禍で問われた「◯◯で無いもの」
今回の選挙のトピックの一つは野党共闘だった。立憲民主党・共産党・れいわ新選組・社民党等野党が289の小選挙区の内約75%の217の選挙区で候補者を一本化。結果は如何だったか。自民党も、立憲民主党も議席を減らした。
最も、自公の連立与党は絶対安定多数を保った。議席数の減少数は自民党も立憲民主党もホボ同数だったが、減少率に於いては、言う迄も無く立憲民主党の方がダメージが大きい。
「敗北」の責任を取って枝野幸男氏が代表を辞任した。ここ迄は既に何度も報道されて居り論じられて居る処だ。如何にも野党共闘が失敗したかの様な報道が散見されるが、結果として議席は減らしたものの〔接戦の選挙区が多かった〕のも又事実では在る。
衆議院選は政権選択選挙で在る。特に今回はその色が強かった。(少なくとも、共闘した野党はそうアピールして居た)「国民が自分達の未来を委ねる為の選挙」だった。結果として自公は絶対安定多数の議席を確保した。議席自体は減らしたのではあるが。
関西の友人に「維新の強さ」を聞いてみよう
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bizSPA!フレッシュ 11-20-11
(大阪と云えば、通天閣・お好み焼き屋・心斎橋・道頓堀・なんぱ橋の風景しか無い様だ・・・)
大きく議席を増やしたのは〔日本維新の会〕だった。前回との比較で、議席数は11議席から41議席と約4倍に増え第三党への躍進を遂げた。関西発の政党で在りながら、全国的な存在感をみせた。
日本維新の会の躍進は、関西、特に大阪と他のエリアで分けて議論し無くては為ら無い。大阪では地元の政党として、大阪府・大阪市等の首長を務める他、地元に根付いた活動をして居た。
この辺りが、全国区には伝わり切って居らず「何故、維新は強いのか?」と云う声が何度も上がった。実際、大阪府等のコロナ対応は十分だと言えるのか疑問にも思った。この辺り、もしフランクに政治の話を出来る友人が関西に居たのなら「何故、維新は強いのか?」と質問してみると、温度差・肌感覚が判るだろう。
自民党・東京以外の何かを求める気持ち
私が関西在住の友人達に聞いた処「逆に、何で維新以外を選ぶの?」と言われた。前述した通り、地元に根付き確実に改革を進めて居ると支持者は評価して居る。吉村洋文大阪府知事がコロナ対策で外野から観て居ると、明らかに失策だと思える部分や、例のイソジン発言等謎の言動も在ったが「吉村さんは頑張って居る」と評価されるのだと云う。最も、関西、特に大阪では圧勝と云う状態だったが、地方への広がりはマダマダこれからだ。
東京でも比例復活で2議席を獲得したし、投票結果で2位に食い込んだ選挙区も在ったが小選挙区では勝って居ない。地方への広がりもコレからだ。とは云え第三党に躍進し、来年の参議院選等、今後の広がりを感じる結果と為った。
この躍進を支えて居たのは、人々の間に在った「自民党では無い何か」「東京では無い何か」へと期待する気持ちだったのではないか。メディアを通して吉村大阪府知事がコロナ対応に奮闘する姿等を見て、国の中心地・東京の政治家達の不祥事に嫌気がさした人々の票が集まった可能性も在る。
「唯一の改革政党」が響いた?
又、今回名乗りを上げて居た政党の中で「唯一の改革政党」と唄って居たのも支持者に響いたのではないか。隠れファンが増えつつ在った印象で、筆者の周囲でもfacebookでの投稿で、維新支持を表明する人は、関西在住者と経営者やコンサルタント等を中心に散見された。
「自民党では無い為らばどの政党を信じるか?」と考えた人達の選択肢と為ったのが今回の結果に繋がったと云える。とは云え「自民党では無い何か」だけで躍進したと断じるのも雑だろう。
実際「自民党では無い何か」を主張して居たのは共闘した野党で在る。「利権か人権か」と云うキャッチフレーズや「モリカケ」「桜」の問題、更にはコロナ対応が十分か如何か等をアピールした。しかし、必ずしも「自民党では無い何か」に選ばれ無かった。
その自民党も「共産党と組む様な政党」では無い何かをアピールして居た様に見える。勿論、選挙前に総裁選が行われ新しい顔で望んだ選挙では在った。しかし、実績をアピールしつつも、寧ろ共闘バッシングに見えてしまった。
ベテラン議員の落選が相次ぐ
この様に「00では無い何か」選挙だったとも言え無いか。結果「自民党では無い何か」として議席を増やしたのは日本維新の会だった。
立憲民主党の辻元清美や小沢一郎等、ベテラン議員の落選が相次いで目立ったのも、今回の衆議院選挙では大きなトピックだった。世代交代を象徴して居たが、明らかなのは「国民はキチンと見て居た」と云う事だ。
自民党の幹事長を辞任した甘利明議員も比例での復活を遂げたものの「落選運動」が行われたと自らテレビ番組等で訴えて居た。幹事長と云う役職を得ながらも最後は地元に張り付くと云う展開だった。
先述した辻本元議員はより逼迫して居た。個人的には、国政での答弁は評価出来る印象も在った。しかし、日本維新の会が支持を獲得して居る大阪で戦って居たのも災いして、現実として当選には至ら無かった。
本音はDMでしか話せ無い
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bizSPA!フレッシュ 11-20-13
個人的に反省したのは「声無き声に敏感に為る」「Twitterを見過ぎ無い」と云う事である。最近「Twitterを見無く為った」と云う声を好く周りで聞く。
余りにも殺伐として居たり、逆に内輪受けに為って居ないか、何か発言すると叩かれるのでは無いか・・・と。私は空気読まず投稿して居る方だが、それでもこの1年は寧ろDMの遣り取りが増えた。本音は、信頼出来る友人・知人とのDMでしか話せ無いのである。
一見すると、支持を集めて居そうな発言は、皆の本音とは限ら無い。逆に本音は益々心の中に閉じ込められる。Twitterでの盛り上がりを見て居ると、人々の本音とズレてしまう。勿論、主張する事を否定して居る訳では無いのだが。
改めて、国民は何に困って居るのか。様々な人達が居るが、ネット上の盛り上がりに流されず、冷静に観る事が必要だ。
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TEXT 千葉商科大学国際教養学部准教授 常見陽平 bizSPA!フレッシュ 編集部
〜管理人のひとこと〜
経済政策が劣化して居る我が国での学生生活は何かと大変だ。政治の無策による困窮した日常しか知ら無い多くの若者は、この不自由な生活を、コレが普通だと達観してしまい不満や不平を堪えて居る。だから表面的な反対の意思表示もせず全てを胸の中に抑えて居る。
首相が友達の為に、国民の税金を垂れ流し利益を生み出す事に邁進し官僚が公文書を偽造しても「そんなものだ!」と諦める。好きな芸人や広告代理店を贔屓しても「そんなものだ!」と。昔は、実家からそれ相当な仕送りを貰って居た人が多かったのだが、今はバイトで生活を賄うのが当然と為って居る。そんな彼等・彼女等を政治が何の援助もせず、高い金利付きの奨学金で卒業後も返済に喘ぐ生活が続く。
こんな政治に誰が興味を示しバイトを休んで投票ナンかする筈も無いだろう。半分も投票したとするなら大出来だろう・・・全ては、政治で解決出来る問題なのだが真に残念である。学生達を政治から遮断・カモフラージするのが上手なのが政権の力なのだろうか・・・
![](https://www15.a8.net/0.gif?a8mat=3H821K+1C84S2+3LX8+60H7L)
2021年11月21日
「ポスト枝野」に迫られる課題
立憲民主党 衆院選敗北の研究
「ポスト枝野」に迫られる課題
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記者会見する立憲民主党の枝野代表 12日午後 国会 11-20-20
「勝ちに不思議の勝ち在り、負けに不思議の負け無し」
プロ野球楽天イーグルス元監督の故野村克也氏が愛用した言葉は、真剣勝負の選挙にも当て嵌る。10月31日投開票の第49回衆院選は立憲民主党の枝野幸男代表に取って「不思議の無い負け」だった。立民関係者に依ると、枝野氏が代表辞任を想定し始めたのは投開票日の3日程前だと云う。何故敗北したのか。過去の選挙との比較で考察する。 共同通信 杉田雄心
▽薄氷の勝利
「今回の小選挙区での戦いには、可成り大きな意義が在った。敢えて言えば、この大きな方向性に付いて、今回の選挙で違う選択肢を取り様が無かった。後悔は無い」
11月12日の退任会見。枝野氏は野党共闘の評価を問われると「敗軍の将」らしからぬ自信を見せた。小選挙区で野党が善戦した事を示す二つの数字を挙げる。
(1)立民の小選挙区当選者は公示前の48から57へ9増 自民党は小選挙区23減
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47NEWS 11-20-21
(2)2位の惜敗率が90%以上の接戦区の内、自民勝利は34選挙区(18%)17年は27選挙区(12%)14年は20選挙区(9%)
自民は多くの選挙で競り合いに持ち込まれ薄氷の勝利が増えた。共産党との選挙協力に突き進んだ枝野氏の念頭に在ったのは17年衆院選の得票数だ。野党(旧立民・共産・希望の党・社民)の得票合計約2,610万票は自公の得票2,553万票を上回った。「野党票を割らずに17年選挙を再現すれば勝算が在る」が枝野構想だった。裏付ける様に安倍政権幹部は「8年近い政権運営の中で17年の衆院選が最もヒヤットした瞬間だ」と打ち明ける。
▽967万票の行方
とは云え、枝野氏が今回惨敗したのは厳然とした事実だ。比例代表は公示前62議席から39議席へマイナス23議席。今回の比例票1,149万票は、立民(前身)の17年衆院選の比例票1,108万票から伸び無かった。この分析が立て直しの前提と為る。
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47NEWS 11-20-22
「立憲〔共産党〕」自民党から野党共闘をコウ批判されたのが効いたのは間違い無い。会見で枝野氏は共産党との関係に付いて「誤解無く伝えらえる努力は必要だ。それが十分で無かったのは、私の力不足だ」と党首の発信の問題だと位置付けた。
只、直視し無ければ為ら無い票の動きが在る。17年衆院選で東京都の小池百合子知事が設立した「希望の党」は当時の民進党を吸収して比例票967万票を得た。「排除の論理」の一言で求心力が結果として失墜したが安倍政権を間違い無く脅かした。
この希望票が何処へ流れたのか。グラフ「衆院選・野党得票率の比較」(左の黄緑が希望票)を見れば、大まかに次の式で表せる。
(1)得票率 17年の希望17% ⇒ 21年の維新増加分8%+国民5%+れいわ4%
(2)得票数 17年の希望970万 ⇒ 21年の維新増加分470万+国民260万+れいわ220万 詰まり、希望票は維新・国民民主・れいわ新選組の3党に分散し、野党票集約を目指した枝野氏の立民は取り込め無かった。
![11-20-23.jpg](/yorionet5000/file/11-20-23-thumbnail2.jpg)
衆院選の開票センターでの記者会見を終え、退席する立憲民主党の枝野代表 1日午前0時2分 東京都内のホテル 11-20-23
▽ユリノミクス
希望票は小池氏が掲げた「改革保守」に根差す。立民に向か無かったのは、枝野氏の共産党との協力を巡る発信の問題だけで無く、日米安保条約や憲法改正への立場を初めとする基本政策への違和感が大きいと観られる。
野党共通公約は最初の項目に「安保法制の違憲部分を廃止」や「コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対」を記述した。
では、改革保守の基本政策とは何か。17年の希望の党の公約で並んで居たのは「憲法9条を含め改正論議を進める」「安全保障法を憲法に則り適切に運用」「30年迄に原発ゼロ」「民間活力を引き出すユリノミクス断行」等だ。
方向性は日本維新の会と共通する。実際、17年衆院選で小池氏と維新の松井一郎代表は東京と大阪で候補の住み分けで合意して居た。
▽7割近くが「あきらめ」
立民の敗因はもう一つ在る。無党派のウネリ無き低投票率だ。今回の55・93%は戦後3番目に低い水準で、ワースト1位の14年衆院選・ワースト2位の17年衆院選を含めて4回連続で50%台と為った。
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47NEWS 11-20-24
無党派層は政権に厳しい見方が多い。此処を投票に向かわせる機運を醸成出来無かった。新型コロナウイルス感染が収まり、民意の政権への不満も沈静化した事が首相に幸運をもたらした。代わりに頭を擡(もた)げたのが政治への諦めだ。
選挙後の共同通信社の世論調査で「低い投票率の要因は何か」と質問した処「投票しても政治が好く為ら無いから」が50・0%に上った。「投票したい候補が居ない」が2番目で17・9%。合わせて7割近くの人が「政治に期待出来ない」と見て居る。与野党共胸に手を当てて考えるべき数字だ。
▽センターライト
岸田文雄首相も改革保守票を十分に取り込め無かった。首相の衆院選の訴えは菅義偉前首相との違いを意識し「改革」を封印した。その結果、野党と分配政策を競う格好と為り、違いは分かり難く為った。「与党も野党も慣れ合って居る」と批判した維新は「改革政党」をアピールして「漁夫の利」を得た。
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衆院選の結果を受け、自民党本部で記者会見する岸田首相 1日午後 東京・永田町 11-20-25
首相は選挙後の会見で勝利宣言は行わず、こう語った。
「今回の総選挙に於いて、我が党に対して多くの厳しい声も寄せられた事を厳粛に受け止め無ければ為ら無い。各選挙区の結果を分析し、これからの国政、次の選挙に生かして行く」
今回の選挙が「不思議の勝ち」と認定される事を自覚して居る様だ。選挙に通じて居る現職閣僚は「大きな票田はセンターライトに在る」と断言する。
来夏の参院選戦略では、立民だけで無く自民も、過つて小池知事が掴み掛けた「改革保守」を指向する有権者への対策を迫られる。
既に胎動は在る。立民の若手有志が11月8日に提出した代表選(30日投開票)に関する要望は「保守・リベラルを包摂する政党と為ら無ければ為ら無い」と盛り込んだ。「改革中道」を訴えて議席を伸ばした国民民主党の玉木雄一郎代表は立民との共闘の枠組みと距離を置き、維新との接点を探って改革保守票を狙う。
「ポスト枝野」は、改革保守票と野党共闘を如何接合させて行くかが問われる。岸田政権の参院選対策は、こうした野党に劣ら無い改革保守票対策が鍵を握る「戦いに勝つは易し、勝ちを守るは難し」コレも野村監督の言葉だ。
〜管理人のひとこと〜
今回の選挙の特徴として維新の躍進と云われるが、創業者の橋下氏や維新執行部の政治的主体は「反東京(反東京一極)・非自公(非東京支配)」であり、その点で考えれば、自民も公明も他の野党も全てが東京を起点に考えて居る・・・その事への反発で在る。
その意味で、関西以外の日本の何処にでも維新の政治的主張は何の意味も持た無いから、この様な全国的展開の不可能な政党からの広がりは今後も期待出来無い。橋下氏個人の極端な毒舌・大衆受けを狙うパフォーマンスのみであり、何時迄経っても寄席の単なる色物に過ぎ無い。
偶々、考えの根本が保守的だったので安倍晋三の興味に止り、お友達や加計やオリックスに電通・吉本・パソナ等の半政商的な企業以外は何ら政治的恩恵は被ら無い。大阪のマスコミは橋下氏の成功談を殊更持ち上げ大阪の地盤再興を図るが、中央政治の恩恵を今後も得られるかは判ら無い。偏ったマスコミの取り上げ方ひとつで民意は変化する。これは今の世でも変わら無い不幸な現実だろう。
![](https://www16.a8.net/0.gif?a8mat=3H821K+1C84S2+3LX8+64JTD)
2021年11月20日
円安が進む日本は タイやブラジルよりも「貧しい国」に為って居た
円安が進む日本は
タイやブラジルよりも「貧しい国」に為って居た
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この国の経済の衰退に伴って、長らく世界の基軸通貨の一つだった円は遂にその座から陥落しようとして居る。だが見方を変えると、この危機を上手く使い資金を増やす、逆転の方法がある。
日本は最早途上国?
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円安が止まら無い。10月に入り、為替相場は3年振りに1ドル=114円を突破しその後も加速して居る。
日本は、新型コロナウイルス感染拡大による経済ダメージからの回復が遅かった上に、原油など資源価格の上昇が重為った。それで円が売られて居る・・・新聞等では、そうした説明が為されて居る。だが、市場のプロ達の多くは、この円高にモッと根深い日本の「病巣」を見出して居る。
「一言で言えば、日本の国力の弱体化が明確に表面化した結果が、今回の円安です。企業の稼ぐ力も衰え賃金も上がら無い。コノ30年間、日本は他の先進国に次々と追い抜かれ、今や途上国の立場に陥落しようとして居る」
こう語るのは、エコノミストの中原圭介氏だ。中原氏が言う様に、日本人の給与は長らく横ばいの状況が続いて来た。1991年の日本の平均賃金は約447万円だったのに対し、2020年は433万円。全く上がって居ない処か減少して居る。日本人に取ってはスッカリ慣れ切った状況だが、これは、他の先進国と比較してみると極めて異常な事態だ。
同じ30年で、他のOECD加盟国に於ける平均給与は大きく上昇して居るのだ。例えは、アメリカの平均賃金は過去30年で約2・5倍(約700万円)に為った。ドイツは約2倍(約560万円)、韓国も約2倍(約430万円)迄膨らんで居る。
〈米国では、年収1,400万円は「低所得?」〉
こう銘打った『安いニッポン』(中藤玲著 日経BP)と云う新書がベストセラーと為って居る。 実際、アメリカの大卒1年目の平均年俸は約629万円と、日本の平均で在る約262万円の2倍を遥かに超える金額に為って居る。給料が低ければ、モノを買う余裕は生まれず物価も上がら無い。結果、国内企業の収益は伸びず昇給は止まったママ。正に「デフレスパイラル」だ。
イギリスの経済誌『エコノミスト』が毎年公表して居る「ビッグマック指数」は、日本の物価の安さを端的に示して居る。コレは、全世界で展開して居るマクドナルドの看板商品「ビッグマック」の値段を比べる事で、各国の物価格差の目安とするものだ。
今年、日本に於いて390円で売られて居るビッグマックは、アメリカでは645円・イギリスでは522円・スウェーデンでは681円で売られて居る。先進国だけで無く、タイ(429円)やブラジル(480円)と云った新興国でも日本より高く売られて居る。
コロナ前、世界各地から外国人観光客が押し寄せて居たのも、日本の洗練された文化に憧れたと云うより「余り懐を痛めずに食事や買い物を楽しめる旅行先」として選ばれて居ただけかも知れ無い。
「悪いインフレ」の到来
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給料も物価も世界にスッカリ取り残された日本経済に、過つて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代の面影は全く無い。
「日本円は、何らかの理由でドルが売られた時の退避先として世界から重要視されて来ました。それは飽く迄、日本経済が強く値崩れし無いと思われて居たからです。しかし、今退避先として選ばれて居るのはユーロなので、円はドンドン買われ無く為って居る」(経済評論家の加谷珪一氏)
一朝一夕には解決出来無い根本的な要因が限界迄積み重なって居るが故に、円安は悪化の一途を辿ると考えられて居る。
「円安は早ければ年内にも120円〜125円と進む恐れが在ります。'22年に入ったら、130〜135円迄覚悟する必要が在るでしょう」(シグマ・キャピタルチーフエコノミストの田代秀敏氏)
円安が此処迄進むと、海外から輸入して居る小麦や肉・魚等の品物の値段が上昇し家計を直撃する。輸入物価の上昇に依って、皮肉にも長年上がら無かった日本の物価はジワジワと高まり始める。賃金は上がら無いのに、物価ばかりが上昇する「悪いインフレ」だ。国内で働いて居ても家族を養う事が出来無いと、他の国に「出稼ぎ」に行く日本人も出て来るだろう。
働く事の出来る現役世代は未だ好い。だが年金世代は、何もし無ければ財産がインフレで目減りして行くジリ貧に陥るしか無い。だからコソ、持って居るおカネを上手く運用する事は必須だ。
では実際に如何遣って運用し資産を増やせば好いのか。その方法は後編の「日本が「貧しく為る」前に・・・投資のプロが選んだ「日本株」「米国株」全12銘柄を大公開」で、図表を交えながらお伝えする。
ピンチをチャンスに変える方法
このママ円安が進めば、海外から輸入して居る小麦や魚等の値段が上がり家計を圧迫。更に輸入品の物価上昇で、経済は冷え込んで居るのに物価だけが上がる「悪いインフレ」と為る。
そんな状況下で、副業や仕事を求めて海外に出稼ぎに行ったり、自給自足を始める現役世代も居るだろう。だが、日本に留まるしか無い年金世代は、何もし無ければ財産がインフレで目減りして行くジリ貧に陥るしか無い。だからコソ、持って居るおカネを上手く運用する事は必須だ。現在60代以上の世代には、これ迄の貯蓄や退職金等の纏まったおカネと云う「武器」が在る。
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この円安を上手に味方に付けて運用で切れば、資産寿命を5年・10年と大きく延ばす事が出来る。ピンチをチャンスに変える事が出来るのだ。
「日本の個人金融資産は1,992兆円程在りますが、その半分以上の1,072兆円が低金利の預金として預けられたママに為って居る。今後、日本で物価高が進む事を考えると、預金の半分でも好いから運用に回すべきです」(びとうファイナンシャルサービス代表の尾藤峰男氏)
ファイナンシャルアドバイザーの西崎努氏は「資産の一部に外貨建ての資産を組み入れて置けば、円安に依る差益を受ける事が出来、目減りの防止に繋がる」と語る。
外貨建て資産には、大まかに(1)外貨預金(2)外国債券(3)外国株(4)投資信託の4つが在る。
この内、外貨預金と外国債券に付いては「保有資産の目減りを防ぐ事は出来ても、積極的に増やすと云う観点からすると、余り意味が無い」(西崎氏)
資金を取り崩す迄10年以上の時間的余裕が在る為らば、高い配当利回りを狙えるアメリカ企業の個別株や投資信託を購入したい。過つては、証券会社の窓口で米国株を取り引きすると最低5%の手数料が課されて居た為敬遠する向きも多かった。
しかし、現在では楽天証券やSBI証券と云ったネット証券で口座を開けば、約定時の金額の0・5%程度と云う格安の手数料で米国株を購入する事が出来る。
アノ銘柄で好い
では、ドンな銘柄を狙うべきか。それはズバリ誰もが知って居る大型株だ。アメリカの証券市場には日本の様な「ストップ安」「ストップ高」と云う値幅制限が無く、株価が急上昇・急降下する可能性が在り、値動きの激しい銘柄に資金を投じるのは危険が伴う。投資すべきは、配当利回りが高く尚且つ業績が堅調な為値動きの少ない銘柄だ。
「米国株には、大型でも増配を続けて居る銘柄が沢山在ります。例えば、マクドナルドやペプシコと云った銘柄です。マクドナルドの利回りは約2・20%ですが、増配により長く持つ程利回りは高く為って行く」(ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏)
より大きなリターンを目指したい人に前出・西崎氏が推奨するのが、コンピュータ大手のIBMと通信会社ベライゾン・コミュニケーションズ、そして薬局チェーンを持つウォルグリーン・ブーツ・アライアンスだ。
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「何れの銘柄も配当利回りは4%以上と優良です。IBMはコロナショックで瞬間的に100ドルを割ったものの、それ以外は10年以上ズッと100ドル台を維持して居て、極端な値上がりも無ければ値下がりも無い。
ベライゾンも比較的値動きが緩やかですし、ウォルグリーンは全米で8,000軒以上の薬局を運営し、今後も安定した業績が見込まれます」
こうした銘柄は投資対象として人気が高いが、時に異様な値動きを見せるGAFAMとは違って安心して持てる。とは云え、長期で保有する銘柄を自分で決めて行くのには知識と手間が掛かる。素人の浅知恵で決めるのは不安が在る、と云う人に、ファイナンシャルスタンダード代表の福田猛氏が勧めるのが外国株投信の積み立てだ。
「例えば、三菱UFJ国債投信が販売する『eMAXISSlim全世界株式(除く日本)』は、海外企業に分散して投資する人気のインデックスファンドです。毎月決まった金額で積み立てて行けば、暴落のリスクを避けながら資産を増やして行く事が出来る」
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前出の西崎氏がイチオシとして挙げる投信は「SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)」だ。
「コレは、アメリカを代表する500社の株価から為る指数『S&P500』の中から、配当利回りの高い80銘柄を厳選して投資する上場投資信託です。現在の配当利回りは5・03%ですが、年に2回、銘柄の組み替えを行って居り、高い利回りが維持され易い」
常に成長を続けて居るアメリカ企業の力に、円安の進行と云う「テコ」が利き、時間が経てば経つ程、初期に積み立てた分の為替差益も大きく為るのだ。一方、日本株に目を向けても今後の円安の進行の恩恵で値上がりが期待出来る銘柄が在る。
「過つてで在れば、トヨタやソニーと云った製造業の大企業の株を買って置けば、円安時は売上高や利益が膨らむので値上がりを期待出来ました。只、今は何処も工場を海外に移し、現地の人々を雇用して居るので為替のメリットはそこ迄大きくな居。狙い目なのは、国内に拠点を持ち、尚且つ安定した成長を見込める企業です」(「兜町カタリスト」編集長の櫻井英明氏)
その代表的なものが半導体関連銘柄だ。供給不足に依り、半導体の値段が世界的に高騰して居るのは周知の通りだ。
「個別銘柄を挙げると、半導体製造装置で在れば世界シェア4位の東京エレクトロン、半導体に組み込まれる樹脂の製造で在れば東京応化工業もトップクラスのシェアが在ります。この樹脂は、液晶ディスプレイや半導体パッケージ等、幅広く使われて居て、需要が高い」(株式アナリストの村瀬智一氏)
業界団体が発表した2021年度の日本製半導体製造装置の販売額は、3兆2,631億円と、前年度に比べて37%も伸びて居る。日本に取って数少ない「有望産業」なのだ。
コレで逃げ切れる
他にも、パソコン等のハードディスクに必要な電子部品を製造し、海外売上比率が9割を超えて居るTDK、WiFiデバイスの部品や、車等に搭載される振動感知器等、数々の分野で世界シェアナンバーワンを誇る村田製作所の株も円安の状況下での値上がりが期待される。一見、円安と無関係に思われる不動産業界も、株価の上昇が見込める。
「現状でも、日本の不動産は割安で海外勢に依る買い占めが起きて居ますが、円安が進めば益々買い漁られる。取り分け、三菱地所や三井不動産が都心部の一等地で手掛けて居る不動産は、安定した需要が見込まれ、値上がりし続けるでしょう」(前出・櫻井氏)
日本に待ち受けて居る未来は決して明るく無い。しかし、知恵を尽くせば、残りの人生を逃げ切るだけの手段は残されて居る。
『週刊現代』2021年11月13・20日号より 週刊現代(講談社)
〜管理人のひとこと〜
金儲けにはトンと縁の無い人間に取って、この様な記事は苦手そのものなのだが、政府の余りにも酷い経済政策が続くのを観て、コレでは生活出来無い・危険処か恐怖さえ覚える毎日に為ってしまった。政治家や官僚が全く世の中を知らず世の人々との乖離にも気付か無いのだ。
街に出て一回りしたら、誰でもが理解し納得出来る筈の〔庶民の困窮〕への対策が全くズレて居る。余りにも見当外れで浅はかな思い付きで下手な政策を考え・・・全て失敗してしまう。遣る事為す事が全てケチで時間が掛かり政策設計が杜撰で・・・誰にも喜ばれ無い。そして、何度選挙をしても結果は何も変わら無い。少しも改善し無いのだから・・・国民がそれを願っているのだろうか?
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2021年11月19日
野党躍進のカギ「国対政治」を見直せるか? 室橋祐貴
野党躍進のカギ「国対政治」を見直せるか?
「批判ばかり」の脱却策として 隔週・夜に党首討論の開催を
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室橋祐貴 日本若者協議会代表理事 11/19(金) 7:53 11-19-7
対話無き政治の終わり
イヨイヨ、日本の政治も大きく変わるかも知れ無い、そんな印象を衆院選以来抱いて居る。それは、衆院選の結果から、有権者が求める政治家像の変化が見て捕れるからである。一つは「世代交代」もう一つが「問題解決力(政策実現力)」だ。
従来は「憲法改正」阻止、テレビ中継の入った国会(予算委員会)で一方的に与党政府を糾弾する等、野党から積極的に法案修正を狙うよりも、与党政府に抵抗する姿が「野党像」の多くを占め、野党支持者からもそう期待されて居た部分が在った。
しかし、今回はそうした動きの中心に居た議員の多くが落選して居り、従来型の政治家を求めて居たオールドリベラル(主に60代以上)が今後更に後退し、代わりに新しい政治リテラシーを持った世代が増えて行く等、今後更に変化が加速する可能性が高い。
更に、今回の10万円給付への世論の反応を見ても、ポピュリズムに流れず冷静に効果や意義を見極めて居る印象を受ける。政府は新型コロナウイルスの経済対策の柱として、18歳以下の子供に現金やクーポンで10万円相当を給付する事を決めた。
年収960万円の所得制限を設けた事に付いて「妥当だ」との回答は28%に留まり「所得制限は必要無い」は20%だった。「10万円の給付自体に反対だ」が44%で最も多かった。
#引用元 毎日新聞世論調査
一方、そうした国民の変化に、国会は対応出来て居ない。民間シンクタンク「言論NPO」の「日本の政治・民主主義に関する世論調査」に依ると、日本の民主主義を機能させる為に必要な改革として「議会・国会の活性化」が41.5%と最も多く為り、国会が「言論の府」として機能して居るかと云う質問に対して「思う」と云う人は9%で1割に満た無い等、国会に対する信頼の低さも浮き彫りに為って居る。
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出典 言論NPO 11-19-2
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出典 言論NPO 11-19-3
又、日本財団が17〜19歳を対象に行なった調査では、国会が国民生活に役に立って居るかの問いに、3割が「役に立って居ない」とし、半数近くは「判ら無い」と答えて居る。
国会の議論に関しても、過半数が「知って居る」「多少は知って居る」として居るものの、54.8%は「有意義な政策議論の場に為って居ると思わ無い」と答え、その理由として「議論が噛み合って居ない」「政策以外の遣り取りが多過ぎる」「同じ質問が繰り返される」等の点が指摘されて居る。
日本のガラパゴス国会
何故日本の国会は「有意義な政策議論の場」に為って居ないのか。それは、政治家の資質以上に国会の構造の問題が大きい。日本の政策立案・決定過程では、与党内で「事前審査制」と「党議拘束」が行われて居り、国会に提出した時点(閣議決定時点)で、基本的には内容が確定して居る為、国会審議で法案修正が行われる事も無く、野党として功績を上げる余地が殆ど無い。
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出典 国際比較から見た国会審議の特色と問題点 大山礼子(駒澤大学)11-19-4
その結果、法案を廃案に追い込む為の「日程闘争」を行わざるを得ず、与党も審議拒否され無い様に、野党に配慮して居るのが現状だ。そして、如何云う日程でどの法案を通すか、と云うのも、与野党第一党の国会対策委員長が「密室」で決めて居り(「国対政治」)国会内での議論が法案に大きな影響を与える事は少ない。
⊡ 事前審査とは 内閣が提出する法案は与党内の部会で事前に審査され、総務会で決議される。
⊡ 党議拘束とは 党の決定に従い、法案決議の際に自分の意思で自由に投票する事を拘束される。結果的に議席の過半数を与党が占めて居る場合には法案の修正が起こる事は少無く為る。
⊡ 会期不継続の原則とは 国会の会期が終わると採決の終わって居ない法案は廃案と為り、又一から審議と為る。
⊡ 国対政治とは 与野党の国会対策委員長同士が本来の議論の場で在る国会の本会議や委員会(理事会を含む)を差し置いて、円滑な国会運営を図る為に話し合いを行って国会運営の実権を握って居る事。公式の場では無い為、密室で議事録も残って居ない。
「国対政治」に対して、国民民主党の菅野志桜里元衆議院議員はコウ指摘して居る。菅野氏は先ず、
「国会議論が始まる前に与党と野党の国対委員長が二人で話し合って、此処で折り合いましょうよとか・議論は一週間で終わらせましょうよとか・此処で終わらせましょうよとか・・・全部決めて、国会の議論はその二人で決めた結論に何ら影響を及ぼす事が出来無い」
点に国対政治の問題が在ると強調した。その上で、
「国会の議論と並行してメディアがそれを伝え、そして国民の意識も変化して行って、それをチャンと反映をさせながら国会の議論も変化する。そのコミュニケーションに民主主義の妙が在る訳です。そう云うものを一切排除するのが国対政治だ」
との認識を示し、今後の国対政治については以下の様に語った。
「国対政治は段階的に辞めて行ったら好いと思う。多分直ぐ辞めろと言っても辞め無いでしょうから。今メディアも入れ無い訳で、だから議事録も無い訳です。先ずメディアを入れてオープンにする処から始めたいですね」
又菅野氏は、
「特に予算委員会等テレビ中継の在る会では、国対委員長が(国会で)誰が質問するか、何を質問するか」を殆ど決めて居り、それに依って国会のテレビ中継の中で「何時も同じ人が基本的にスキャンダルを中心に質問する様な状況が生まれて居る」
事を明かした。そして、国対政治の弊害が此処にも現れて居る事を以下の様に強調した。
「何故野党はスキャンダルばかり質問するのかと好く聞かれる。私は、本当はスキャンダルばかり質問してません、チャンと政策の前向きな質問もしてますと(お伝えして居る)。
只、所謂予算委員会でテレビ中継の場面だと、国対の指導でスキャンダルの話に為ってしまう。スキャンダルの質問をしない議員は質問のチャンスが極めて少ない。此処に問題が在る」
引用元 衆院選総括「立憲民主党は国民が野党に期待する役割を果たしていなかった」元国民民主党・衆議院議員菅野志桜里氏【Japan In-depthチャンネル】
単に、野党の役割が、55年体制の様な「憲法改正」阻止・与党政府の監視だけで在れば、今の構造のママでも、大きな問題は無いかも知れないが、政治家への期待に「問題解決」が入って来て居る現状では支障は大きい。何より国益に反する上、野党に取っても、法案修正と行った政策的な成果を出す事が難しく「批判ばかり」と云う批判から逃れる事は難しい。
2019年11月20日に、日本若者協議会と国民民主党で行った「国会改革・国家公務員の長時間労働改善」に関する意見交換会にて、国民民主党の古川元久議員がこう指摘して居たが、本来は国会での論戦を通して国民の支持を得て行く姿が望ましい。
「イギリスでは、逐条審査に於ける自由討議が政治家の登竜門に為って居り、ソコで実力が足り無い議員は副大臣・大臣に上がれ無い評価の仕組みに為って居る」(古川議員)
関連記事 【国会改革】国民民主党が官僚の深夜残業是正に向けた改善策を発表、まずは各党できることから実施を(室橋祐貴)
実質的な議論が行われる国会に
では、日本の国会をどう変えるべきか。2019年に、筆者が代表理事を務める日本若者協議会では「国会改革」案(本記事末尾)をまとめ各党に申し入れしたが、将来的には国対政治の廃止を視野に入れつつ、先ずは国会審議の活性化が重要だと思って居る。その為に直ぐ出来る殊は「党議拘束の一部緩和」と「党首討論の定例化・夜間開催」で在る。
前者の「党議拘束の一部緩和」に付いて、以前筆者の取材に対し、自民党の牧原秀樹衆議院議員と細野豪志衆議院議員はこう答えて居る。牧原氏は(中略)「党議拘束の一部緩和(自由投票)を導入しても良いのではないか」と語る。同様に、細野氏も自由投票の導入を訴える。
「諸外国を見て居ると、大体1〜2割は自由投票にして居る。自由投票が全く無い日本は異常。一番良いのは1年に何本かは党議拘束を外すと決める。
そうすれば各党自由に議論が出来る。今国会だと例えば、受動喫煙防止法案。与党内でも意見が分かれて居り、安全保障や憲法と行った基本政策とは違う部分で、夫々の価値観を問うもの。そう云う時に党議拘束を外して自由に議論して採決も自由にすると云う事が出て来れば、与党も野党も柔軟に為る」
2000年以降自由投票が導入されたのは、2009年の臓器移植法案の時のみ。与野党の国会議員が口を揃えて「アノ時は議論が活発だった」と振り返る。
「アノ時は何度も勉強会を開いて、採決の前は与野党関係無くエレベーターでも議論して居た。生命倫理に関わる問題だから皆真剣に議論して緊張感が在った採決だった。アノ様な機会は議員の質を高める事にも繋がる」(細野氏)
又、細野氏は日程闘争を無くす為に、通年国会の導入も訴える。
「国会の会期をモッと長くするか、若しくは『会期不継続の原則』を廃止する。これが出来れば、日程闘争を無くす事が出来る。但し、与党も法案を通すだけでは無く、修正に柔軟に応じるべき。法案に問題が在ったら一度撤回する。『兎に角法案を通すのだ』と云う姿勢を変えて貰わ無ければ為ら無い」
引用元 「霞が関で働きたい人はいなくなる」官僚の長時間労働は“機能不全”な国会のせい(BUSINESS INSIDER JAPAN)
もう一つが「党首討論の定例化・夜間開催」だ。理想はイギリスの、〔毎週水曜日の開催〕だが〔隔週に開催〕でも良いのではないだろうか。
このアイデアも、小泉進次郎衆議院議員や、今回立憲民主党の代表選に出馬する事に為った泉健太衆議院議員等超党派の〔『平成のうちに』衆議院改革実現会議〕が提言をまとめて居るが、国民に国会の議論を知って貰う為には昼間では無く夜に行うのが重要で在る。
定例化すれば、毎回党首では無く特定分野の担当者(現大臣・シャドーキャビネットの大臣等)が登壇する事も出来、議論の深掘りや様々な議員を育てる事にも繋がる。何れにせよ、国民から「有意義な政策議論の場に為って居る」と思われる様に、国会で活発な議論が行われる様に国会改革を進めるべきだ。
それが結果として、日本政治のレベルを引き上げ、野党の信頼向上にも繋がって行くだろう。
令和元年11月20日 一般社団法人日本若者協議会
国会改革、国家公務員の長時間労働改善に対する申し入れ
厚生労働省の若手チームが本省職員にアンケートした処、20代後半の職員の約半数が「辞めたいと思う事が在る」と回答し、又「官僚の働き方改革を求める国民の会」の全省庁1,006名の官僚へのアンケート結果に依ると、平均残業時間は年963時間で在った。
これは人事院の定める超過勤務命令の上限720時間を大きく上回って居り、月80時間の過労死ラインを常に上回って居る計算で在る。この様に、国家公務員の「ブラック化」は強まる一方、キャリア官僚志望の学生まで減少傾向に在る。
その長時間労働の大きな原因の一つが「国会対応」で在り、労働環境の改善・官僚の政策立案機能の強化(回復)、延いては国民の生活の為に国会改革が求められて居る。又、日本財団が17〜19歳を対象に行なった調査では、国会が国民生活に役に立って居るかの問いに、3割が「役に立って居ない」とし、半数近くは「判らない」と答えて居る。
国会の議論に関しても、過半数が「知って居る」「多少は知って居る」として居るものの、54.8%は「有意義な政策議論の場に為って居ると思わ無い」と答え、その理由として「議論が噛み合って居ない」「政策以外の遣り取りが多過ぎる」「同じ質問が繰り返される」等の点が指摘されて居る。
これ等の背景には、与党の事前審査制・会期制(会期不継続の原則)に依る「日程闘争」を中心とした法案審議プロセス・国会審議の形骸化が在る事は明らかである。他方、国会議員からも度々「国会改革」が叫ばれて居り、その課題意識は共有されて居るものと思われる。
そこで「言論の府」に相応しい国会審議活性化・国家公務員の長時間労働改善・更には若者に取って、政治家や官僚が魅力と遣り甲斐の在る職業に為る為に、以下の点に付いて、各党の取り組みをお願いしたい。
1.質問通告に関するルールの見直し・徹底
1999年9月に、原則として「前々日の正午迄に質問の趣旨等を通告する」事が、与野党の国対委員長間で申し合わせされたが、現状は形骸化して居り、実際の通告は質問前日の夕方や夜に為る事が多く、国家公務員の長時間労働の温床に為って居り、後述の「審議日程決め」と併せて改善が求められる。
⊡質問通告は2営業日前迄に実施する事(期限を過ぎた場合は後日文書による回答とする)
⊡質問通告の内容・提出時間を事前に公開する事
⊡質問要旨をFAXでは無く、メール等オンラインで提出すること
⊡質問通告のフォーマットを変更すること(質問の「要求大臣」だけでは無く「質問内容」も含める)
⊡質問詳細の問い合わせ(質問取りレク)不可を禁止にする事
2.審議日程の決定方法の見直し
前述の「質問通告2日前ルール」が在るものの、実際には委員会の開催が2日前の午後以降に決まる事も在り、質問通告の早期化「日程闘争」からの脱却の為には、審議日程の決め方を変える必要がある。
厚労省職員へのアンケートでは「何が業務量を増やして居るか」と云う問いに対して、7 割以上の職員が「厚生労働省で作業量・スケジュールを決められ無い他律的業務が多い(国会業務、内閣官房・内閣府からの作業依頼等)」と回答して居り、国会運営の計画化は極めて重要で在る。
⊡国会開会直前若しくは開会後速やかに、(議院運営委員会若しくは各委員長に依り)本会議・委員会の審議日程、採決の日取りまで予め決めて置くこと(少なくとも審議日の1週間前には公表)
⊡通年国会の導入(会期不継続の原則の見直し)
3.質問主意書のルールの見直し
質問主意書は閣議決定を要する為、業務負担が大きいのに加え、近年は件数が大幅に増えており、手続きの見直しが求められる。
⊡議員からの質問主意書提出日から内閣への転送日の間を2日程度延長すること
⊡質問主意書への回答者を「内閣」では無く「内閣総理大臣その他の国務大臣」に変更すること
⊡同じ質問内容の質問主意書は禁止とする(政府が同質問だと判断した場合は閣議決定不要とする(上記「内閣総理大臣その他の国務大臣に変更」が実現出来無い場合)、答弁が作成されて居ない同様の質問は控える、等)
4.国会審議の活性化に向けた改善策
日本の国会では、与党の事前審査制に依って、実質的な国会審議が行われて居らず、内閣提出法案の修正率は1割にも満た無い。結果的に(法案審議では無く「日程闘争」に重きが置かれ)国民に政策議論が伝わり難く、信頼も獲得出来て居ない。その為、法案修正の活性化や逐条審査、自由討議等を導入する事で、より活発な政策議論が行われる場所へと転換すべきである。
又「参考人招致」や「特別委員会の設置」は行政監視の一環で在るにも関わらず、与党が拒否すると実施され無いと云う矛盾を抱えて居り是正すべきである。
⊡逐条審査の実施
⊡法案修正の活性化(与党の事前審査制を一部改め、法案審議を国民に開かれた国会中心とする、内閣が議案を修正できるように国会法59条の改正)
⊡予備的調査の活用・拡充(「野党合同ヒアリング」ではなく、国会の予備的調査の活用を原則とする)
⊡少数者調査権の導入(与党=多数会派が反対しても、参考人招致や特別委員会の設置を可能にする)
⊡党議拘束の一部緩和
⊡国会議員間の自由討議の活性化(法案審議がない時は自由討議とする)
⊡党首討論の定例化・夜間開催
⊡国会会議録に加え、委員会配布資料の公開や、委員会審査等に関する報告書の作成
5.その他
⊡明らかに効率の悪い、国会答弁資料の印刷・資料組み・資料持込みを不要にする為に、本会議・委員会でのパソコンやタブレット等の使用(ペーパーレス化)の義務化を求める。
⊡国会対応に要する移動等の負担軽減の為、オンライン議員レクの積極的活用を求める
⊡国家公務員も労働基準法の適用範囲とする
⊡若者向けのライブ配信サービス YouTube Facebook インスタグラム Twitter SHOWROOM ニコニコ動画等で中継する(コメントや投票等も可能に)
⊡超党派による「国会改革」を実現する為に、衆議院・参議院合同の「国会改革に関する両院協議会」を設置すること
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室橋祐貴 日本若者協議会代表理事 11-19-10
1988年 神奈川県生まれ 若者の声を政策に反映させる「日本若者協議会」代表理事 専門・関心領域は政策決定過程 社会保障・財政・労働政策・若者の政治参画等 yukimurohashi0@gmail.com
〜管理人のひとこと〜
室橋祐貴氏は、我が国の民主主義を固持し、有益な憲法に則った国民主権を象徴する国会の機能を高めよう・・・とする、実に高邁な精神を有する方だと感心した。
何度選挙を行っても、18〜20代・30代の若い世代が保守・自民党を選択し、50・60・70以上の年代が野党・革新系を選択する・・・この事態に変化は無さそうである。野党・革新系が若い人達を無視し老人の福祉や介護に注力するからなのだろうが、若い世代は、現実の経済社会に直面する具体的政策を望むからだろう。
それも、投票へ行こうとする若者は半分も居ないのだ。そんな若い世代が自民党を選択するのであれば、この国の将来はどの様に為るのだろうか・・・70代の管理人には、その姿を想像する事は不可能だ。
何の疑問も感じず改善も無く発展も無く、只現状に押し捲られて世界から取り残されて行く・・・丁度時期を同じくして〔日本沈没〕等が重なり〔国家消滅〕と為り、ユダヤ人の如く世界のあらゆる地帯にバラバラに住む〔分裂民族〕として生きて行くのだろうか?
常に現状に疑問を感じ、新たな改善策を志向し一歩でも前進したい・・・とする革新リベラルが「非現実」だと敬遠され「現状維持」を全うとする保守・自民を選択する若者の国に一体何を望もうとするか・・・もう、考えるだけ無駄なので在ろう。
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2021年11月18日
お帰り長友選手 愛梨さん大変ご苦労様でした・・・
平愛梨の海外生活 心無い声もポジティブに変換
「その人の人生に私が引っ掛かって呉れたと思う」
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平愛梨さん 11-18-5
20代は女優・タレントとして精力的に活動、現在では3児の母と為った平愛梨。常に明るく美しい佇(たたず)まいで人々を引き憑(つ)け続けて居る平が、間も無く迎える11月22日(月)の「いい夫婦の日」に因み、ライフスタイルビューティ―ブランド「N organic」のCMキャラクターに起用され、11月18日(木)から配信のWEB CMに出演する。
〔暮らしを豊かに〕と云うコンセプトを掲げ「肌や髪の美しさだけで無く、心、そしてその先に在る暮らしも豊かにしたい」と云う同ブランドから指名を受けた彼女に、人々を引き衝け続ける魅力の源等を語って貰った。
■言葉を交わす事が出来無い隣人とも「楽しかった」
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イタリア・トルコ・フランス等、頼れる友人の居ない海外での生活の苦労は想像に難く無い 11-18-6
「言葉が通じ無いので、友達は作りたくても作れ無かったです。イタリアに行った時は初めての海外生活で、夫のお姉さん家族が居たので甥っ子と遊んだりする事が出来たんですが、直ぐにトルコに行く事に為って」
友人や親戚の居ないトルコでの生活が始まると、言葉を交わす事が出来無いママ隣人と仲良く出来た。
「トルコでは、隣のおうちの奥さんは年が同じ位の子供が居た事も在って、会話は通じ無いけど『お茶しよう』と言われて。通じ無いママ行っちゃいました。何か聞かれて居るんですけど、何も分から無くて(笑) でも、その空間は楽しかったですね」
と数少無い他者との交わりを笑いながら振り返る。
■海外生活を支えた母の教え
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何時でも仲睦まじく手を握り合う愛梨夫婦 11-18-7
取材中も笑顔を見せ続ける彼女は、心細い海外での生活で追い詰められる事は無かったのだろうか。笑顔の理由は、母の教えに在った。
「母が凄く厳しい人で『顔で笑って心で泣きなさい』と言って居たんです。だから、私はホボ心で泣いて居ます、ナンて(笑)」
冗談めかしては居るが「顔で笑う」は簡単な事では無い。又、夫婦が良い関係で在る為の秘訣は「思い遣りと尊敬」と語って呉れた。
「チョットした事でも『お互いに相手の為に出来た! 1ポイント!』と云う風に過ごすんです。相手に対して遣る事も楽しいですし、私の為にして呉れる事も、何でも無い事でも凄く嬉しかったり」
とハニカム 「顔で笑って心で泣いて」来た平。何時も場の空気を明るくして呉れる彼女に、現代社会で強く生き抜くコツも聞いてみる。
「例えば私の事を悪く言う人が居たとしても、色んなタイプの人が居て好い。良くも悪くも『言われる』って事は『その人の人生に私がヒットした』と思うんです。私の存在がチョットでも引っ掛かって呉れたんだと思うと、凄くポジティブに前向きに為れます」
それでも辛い時には「歌を歌います。歌って居る間に泣いちゃうとか。曲と共に涙を流したらスッキリするんです。お風呂に浸かって曲を聴いたりしたら、ソコでリセット出来て居る気がしますね」
短いインタビューの中でも、ポジティブな彼女の魅力を垣間せて呉れた。
◆取材・文 山田健史
〜管理人のひとこと〜
日本サッカー界の現役レジェンド・・・海外に遠征する選手の奥さんとして、子育てを含め多くの苦労を熟して来た平さん。何時もニコヤカな笑顔で対応する平さん・・・その笑顔の下で涙を流して号泣する平さん。
心で泣いた何倍もの幸せに為って欲しい・・・多くのファンは心から貴女方ご家族の健康と幸せを祈って居ます。
旦那さんも日本チームに帰って来られて、要約日本での幸せな生活が始まります。三人のお子さんと旦那さん・・・そして平さんの笑顔一杯の家庭が、日本中の家族を幸せにします。余り頑張らず手を抜いて豊かな精神生活が出来る事を心掛けてくださネ。
![](https://www15.a8.net/0.gif?a8mat=3H821K+1C84S2+3LX8+62U35)
立憲民主党 速やかに「女性代表誕生」とは行か無い党事情
何故立憲民主党は〔自民党〕に為れ無いのか〜
速やかに「女性代表誕生」とは行か無い党事情
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文章 安積明子 政治ジャーナリスト 11/18(木) 9:16
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ポスト枝野は誰になるのか(写真 つのだよしお アフロ)11-18-1
女性候補を擁立出来るのか?
10月31日に投開票された衆議院選は、直前の予想で「215議席に陥(おちい)るかも」と言われた自民党が絶対安定多数の261議席を確保し(2021年11月17日現在で262議席)「好調」とされた立憲民主党が獲得したのは96議席で、13議席も減らす結果と為った。
その責任を取って枝野幸男氏は11月12日に代表を辞任し、30日の臨時党大会で新代表が選出される予定だ。しかしながら今回の立憲民主党の代表選は極めて悩ましい問題だ。
一つは来年の参議院選に向けて、党を立て直さ無ければ為ら無い責務を背負うからだ。更に女性候補の擁立だ。自民党は9月の総裁選で高市早苗政調会長と野田聖子少子化担当大臣が立候補し、女性の政界進出のシンボルと為った。予てからジェンダー問題に取り組んで来た立憲民主党としては負けては居られ無い。
そうした中で一早く名前が上がったのは、野田政権で厚労副大臣を務めた西村智奈美衆議院議員だ。その一方で「西村氏では全国的な知名度に欠ける」と懸念する意見も在った。又「西村氏の夫の本多平直元衆議院議員の問題が足を引っ張るのではないか」との危惧も聞かれた。
本多氏は同党の〔性犯罪刑法改正に関するワーキングチーム〕で性交同意年齢を引き上げる事に付いての発言が問題と為り、7月に離党した上で議員辞職した。最もコノ問題は本多氏の発言自体が原因と云うよりも、リモート参加した学者と予てからトラブルが在った為、発言が曲解されて大きく為ったと云うのが事実と見られる。
辻元不在と云う痛手
それでも代表選の候補として西村氏の名前が消え無かったのは、本来なら真っ先に候補とされるべき辻元清美氏が衆議院選で落選して代表に為る資格が無い為だ。又知名度で云えば民進党代表を務めた蓮舫氏が抜群だが、その代表の座を1年で放棄した〔前科〕は消えて居ない。この様に〔本命〕を欠いた立憲民主党で、西村氏の出馬の話はドンドン膨らんで行った。
だが出馬に必要な20名の推薦人はナカナカ集まら無かった。西村氏が所属する〔国のかたち研究会〕は16名でコレには足り無い。ソモソモ立憲民主党内の各グループは、自民党の派閥の様に人事や資金面でのサポートは殆ど無く拘束力が非常に弱い。一人で複数のグループに所属する事もママ在り、派閥の様な票読みの材料とする事は不可能だ。
尚立憲民主党には西村氏を含めて28名の女性議員が居るが、彼女達が結束して西村氏を擁立する様子は無い。又総裁選で躍進した高市氏の様に、安倍晋三首相の様な有力な後見人が積極的に票を取り纏めて呉れたら〔次〕に繋げる事も可能だが、鳩山由紀夫元首相や菅直人元首相等が、野田元首相や枝野氏・前原誠司元外相等を抜擢した民主党時代は兎も角、立憲民主党にはそうした奇特な有力者は存在しない。
2017年に旧・立憲民主党が結成されて以来「枝野・福山」体制がズッと続いて居たのが何よりの証拠だろう。
代表選は泉VS逢坂の闘いに
「未だ推薦人が確実に確保出来て居る状況では無いが、見えて来た」
17日に開かれた西村氏の決意表明会見の冒頭での石橋通宏参議院議員の微妙な言い回しは、党内に女性候補擁立に付いての期待と困難が入り混じって居る事を示して居る。立憲民主党には女性候補擁立以上に深刻な〔左右の闘い〕が在るからだ。
国民民主党出身者で結成する〔新政権研究会〕を率いる泉健太前政調会長と党内最大勢力で在る〔サンクチュアリ〕が中心に為って擁立する逢坂誠二元政調会長は、早速推薦人を確保して記者会見を行った。
最も〔サンクチュアリ〕は一時、女性候補の擁立を模索し、西村氏の名前が上がった事が在る。しかし泉氏が出馬する以上、泉氏より強い候補を応援する必要が在る。そう云う意味では〔サンクチュアリ〕のメンバーで在る小川淳也衆議院議員も出馬の意向を示したが弾(はじ)かれてしまった。
小川氏は2020年6月に公開されたドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」がヒットした為知名度が上がって居た。又10月31日の衆議院選で香川県1区で宿敵の平井卓也前デジタル大臣を破り話題にも為って居る。
小選挙区で勝ち上がった以上は代表選出馬資格が在ると云う訳だが、小川氏には同選挙区で出馬しようとした日本維新の会の公認候補に対して「貴方が出たら僕が落ちる」と出馬断念をシツコク迫り、橋下徹氏に迄連絡したと云った行動が報じられた。こうした行為は小川氏を確かに有名にしたが、政治家としての信用を高めるものでは無い。
11月17日に党本部で開かれた説明会には、泉・逢坂・西村の各陣営の他、小川氏や大串博志元首相補佐官の5陣営が出席した。小川氏と大串氏は連携し「2人で20名の推薦人を確保し、小川氏が出馬する」との話も流れたが、この日に会見が開かれ無かったのはそれも困難と云う事だろう。告示日である19日迄後1日を残すばかりだが、この代表選に立憲民主党の命運が懸かって居る事は間違い無い。
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安積明子 政治ジャーナリスト 11-18-3
安積明子 兵庫県出身 姫路西高校・慶應義塾大学経済学部卒 国会議員政策担当秘書資格試験に合格後政策担当秘書として勤務 テレビやラジオに出演の他「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆
「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々(青林堂)に続き 『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞 021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行 姫路ふるさと大使
〜管理人のひとこと〜
色々なニュースを拝聞すると、如何も立民の新代表選挙には〔マスコミが取り上げるべく話題性と政治性・・・何と云っても多くの国民が興味を惹く魅力が不足して居る〕と判断せずには居られ無い。政党としての或る種の〔脆弱性〕を抱えて居るのかも知れ無い。言い換えれば、立民自体の持つ政治上の位置・魅力・存在感の不足に共通する何かが在るのだろう。
が、何せ人気が無いのである。名前の挙がる人々夫々の知名度・魅力・人間性・・・にパンチが無く人を動かす説得力(大衆的な)に欠けるのだ。広く国民に知られた蓮舫氏や辻本氏が、夫々の理由で土俵に上がれ無いので立憲の〔女性軍団〕として何ら機能しないのも原因だ。これでは、他党に先駆けて〔女性代表〕を生むべく野党の代表には為れ無い。折角の枝野氏の身を切る決断が、今のチャンスに恵まれ無かった様だ。
![](https://www13.a8.net/0.gif?a8mat=3H821K+1C84S2+3LX8+64JTD)
2021年11月17日
IR亡霊が未だに生きて居る 「一歩間違えば廃墟と化す」
「一歩間違えば廃墟と化す」
カジノ含む日本のIR計画が 暗礁に乗り上げて居る理由
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![11-17-2.jpg](/yorionet5000/file/11-17-2-4f316-thumbnail2.jpg)
カジノを含む統合型リゾート(IR)の事業者に付いて記者会見する大阪府の吉村洋文知事 2021年9月28日 大阪市中央区 写真 時事通信フォト 11-17-2
統合型リゾート施設(IR)誘致計画の申請が10月1日に始まった。現在誘致を公式に表明して居るのは、大阪府・市、和歌山県、長崎県だ。経済ジャーナリストの芳賀由明さんは「横浜市が撤退した影響が3つの地域に及び始めて居る。コロナで状況は変わった。一歩間違えると、ハコモノ行政の繰り返しに為る」と云う・・・
![11-17-3.jpg](/yorionet5000/file/11-17-3-b7b4c-thumbnail2.jpg)
経済ジャーナリスト 芳賀 由明 11-17-3
■このママでは「歴史的失敗」に現実味
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致施策が岐路に立たされて居る。有力候補地と目されて居た横浜市が撤退した影響が残りの3地域にも及び始め、来年4月以降の政府の誘致先選定に暗雲が掛かり始めた。又、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスがIR環境を一変させた。
コロナ以前に作られた大規模集客施設の建設計画や経済効果の皮算用を見直しせずに突き進めば、ラストリゾートと持て囃された日本のIR誘致が歴史的失敗に終わり兼ね無い。
国交省はIR誘致計画申請の受付を10月1日に始めた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で当初予定より9カ月遅れてのスタートだが、コロナ禍がIR誘致に及ぼす影響は受付時期の遅れだけに留まりそうも無い。
現在、IR誘致を公式に表明し事業者の選定を終えたのは〔大阪府・市〕〔和歌山県〕〔長崎県〕の3地域。IRの旗振り役だった菅義偉前首相のお膝元で在り最有力候補と迄云われた横浜市が反対派市長の誕生で一転して撤退を決めた事で、政府方針の「最大3カ所迄」と云う枠に収まる3グループは安堵するかに観えた。しかし事態は全く逆の様だ。
横浜の方針撤回に勢い付いて反対運動も活発化、IR誘致を表明した自治体への風当たりが俄かに強まって来た。
■コロナ前後でIRを取り巻く環境が変わった
「コロナの前と後ではIRを取り巻く環境が全く変わった。〔ポストコロナ〕に適応した形に見直さ無ければ必ず失敗する」
双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストは、コロナ感染拡大前に作られたIR政策や事業計画を早急に見直すべきだと警鐘を鳴らす。
IRの中核施設の開発要件は2018年に施行された〔IR整備法とその後の施行令〕に定められて居り、宿泊施設は客室床面積の合計が10万平方メートル以上(客室換算2,000〜2ね500室) 国際会議施設は概ね1,000人以上の収容能力 展示会施設は国際会議施設の広さに合わせて2万平方メートル・6万平方メートル・12万平方メートルから選択・・・等と為って居る。
又、カジノ施設はIR施設全体の床面積の3%以下に制限する。IR誘致を目指す3地域はこれ等の開発要件に基づいて国に提出する〔区域整備計画〕を策定する為、事業者から提出された計画案を審査して発注事業者を選定する。
詰まり〔区域整備計画〕は国が求めた巨大施設の建設と、それに見合う集客見通しや収益見通し、自治体が求める経済効果を全て盛り込んだものに為る訳だ。
■3地域は優先交渉権を持つ事業者を選定済み
IR誘致に名乗りを上げた3地域は今年9月末迄に優先交渉権を持つ民間事業者を選定済みだ。2025年に開催する万博会場と為る夢洲(ゆめしま)に誘致する大阪府・市は〔米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナル〕と〔オリックス〕の共同グループを、和歌山市の人口島マリーナシティに誘致する和歌山県は〔カナダ企業の日本法人クレアベストニームベンチャーズ〕を、ハウステンボス隣接地への誘致を決めて居る長崎県は〔オーストリア国営企業の日本法人カジノ・オーストリア・インターナショナル(CAIJ)〕を夫々決めた。
〔MGMとオリックス〕が大阪に提案した事業計画案は、初期投資が1兆800億円で最大規模。2028年の開業を想定して居り 2,500人収容の宿泊施設や6,000人超が利用出来る国際会議場等巨大な施設を造る。雇用創出数は約1万5,000人、府と市は合計年1,100億円の増収が見込めると云う。
〔クレア〕が和歌山県に提案した案は、初期投資約4,700億円で県が当初想定して 2,800億円を大幅に上回る。開業4年で経済波及効果は約2,600億円を見込み、雇用創出効果は大阪並みの約1万4,000人だ。
長崎県に提案された〔CAIJ〕の事業計画も大風呂敷だ。総事業費3,500億円や九州域内への経済波及効果を年3,200億円としたのは、県が経済波及効果3,200億〜4,200億円、雇用創出効果2万8,000〜3万6,000人として 当初見込みに合わせた格好だ。
最大1万2,000人を収容出来るMICE(会議・展示場等)施設も建設する。更に雇用創出効果は大阪や和歌山を大きく引き離し3万人だ。
■「5,000人規模の会議なら、リモートで好い」
事業計画の策定や事業者選定時期は既に新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大して居た。しかし国交省は「中核施設の開発要件」に沿って巨大施設の建設を既定路線のママ事業計画に盛り込む事を求めて居る。
開発要件の見直しを行わ無かった理由に付いて、観光庁の特定複合観光施設区域整備推進本部は「公的財源を投入しない原則に基づいて、自治体が現行制度で施設を造りたい希望も在り、国としても他国に比べて見劣りして居たMICEの国際競争力を高めたい考えも在る」(前川翔企画官)と説明する。
地域経済活性化の起爆剤にしたい自治体に取っては、カジノに加えて巨大施設や大規模イベントに依る内外からの集客能力コソが頼りだからだ。しかし、コロナ禍の中、学術やビジネス分野では会議やイベントの大部分がオンラインで行われる様に為り、MICE施設の利用ニーズは世界的に縮小した感が否め無い。
IR業界に詳しい国際カジノ研究所の木曽崇所長は「国交省は新型コロナ感染前に作った開発要件をコロナ後も全く変えて居ないが、今や5,000人も集めて会議を行うニーズは無い。リモート会議をすれば好い」とMICE市場の変貌を指摘する。
大型IRの必要性や開発要件を見直すには政府方針の転換が不可欠でIR整備法の改正も必要と為る為、観光庁が及び腰に為るのも仕方が無いかも知れ無い。
■和歌山では「二階王国」が揺らぎ始めた
自治体のIR誘致計画申請の受付が始まった10月1日。横浜市では、林文子前市長が2年前に設置した都市整備局内の「IR推進室」が廃止された。「ホボ当確」(自民党関係者)とさえ言われて居た有力候補の横浜市が撤退した事で、以前から手を挙げて居た3地域の誘致政策にも少なからず影響を及ぼし始めた。
10月31日の衆院選を機に市民運動にも新たな動きが出て来た。申請受付期限の2022年4月28日迄無風とは行かなそうだ。菅前首相と同様にIRを強力に推進して来た二階俊博前自民党幹事長の地盤・和歌山3区は衆院選で最多の4人が立候補した。
元総務省職員の本間奈々氏等二階氏を除く3人がIR誘致に反対だった。中でも本間氏は二階氏を中国寄りだと厳しく批判し、二階氏が進めて来たカジノ建設で治安が悪化すると力説。反二階派や市民団体等の票を集めた。
選挙では殆ど地元回りをし無かった二階氏だが、今回は幹事長退任に依る影響力低下の危機感からか山間の過疎地区迄入り「政治の原点はふるさとだ」等と熱心に街宣して回った。
蓋を開けてみれば二階氏の圧勝だったが二階王国が揺れ始めた。衆院選前の10月8日に開かれた県のIR対策特別委員会では、県からIR運営会社クレアベストニームベンチャーズ(カナダ)の日本法人を中心とする共同事業体を優先事業者に選び「区域整備計画」の原案作りに入るとの説明が在った後、自民党県議から事業の不安定さや不透明さを問題視する質問が相次いだ。
山下直也議員は「非公開だからと云って姿が見え無いのでは信用出来無い」と指摘。事業者との契約関係が曖昧な事の説明を求めた。党県議団の重鎮・冨安民浩議員は「資金調達や収益等、大事業を遣るのにこれでは心許無い。県が何が何でも進め様として居るのは問題ではないか」と疑問を呈した。
県の楠見直博IR推進室長は「未だ未確定な部分は残って居るが11月には『区域整備計画』の原案を作り上げる」と苦しい説明に終始。推進派で在る筈の自民党議員からの追及に当惑気味だった。
■市民団体は住民投票を求める署名活動を開始
横浜市長選の影響を問われた仁坂吉伸知事は報道陣に「ヤッパリIRは良く無いんだと云う人が増えそうだ」と心配して居たがそれが現実に為った格好だ。県にはカジノに反対する3つの市民団体が在るが11月6日、これ等のグループが中心と為りIR誘致の是非を問う為の住民投票を求める署名活動を開始した。
「ストップ!カジノ和歌山の会」の豊田泰史共同代表は「新型コロナでIR事業者は何処も経営不振に為り、大きな会議場も要ら無く為った。強い業者は撤退したし選定された業者の経営状況も良く無い。建設しても更に環境が悪化すれば廃墟に為り兼ね無い」と危惧する。
豊田氏は横浜市と同じ方法で市民の問題意識を高めたいと考えて居る。「住民投票の請求は6,200人の署名で可能だが、2万人以上を集めて12月に市長に提出したい」と云う。署名が所定数に達すれば市長は住民投票条例案を市議会に諮ら無ければ為ら無い。
自民県議は選定事業者の経営状況を不安視して居る上、維新の会は県議・市議共IR誘致に反対して居り大阪とは温度差が在る。二階氏の神通力が弱まり始めた和歌山でIR誘致の是非が改めてクローズアップされそうだ。
■事業者選定プロセスの不透明さが指摘される長崎県
近畿圏の2地域に比べ地元政財界や県民の歓迎ムードが強い長崎県だが、運営事業者の選定を巡り不透明な手続きが問題視されて来た。事業者選定では、1次審査で〔CAIJ〕を大幅に上回る得点を取って居た2事業者が2次審査で落選した事で、2事業者が審査結果に疑義を申し立てて居る。しかも県から事前に「信用性」や「廉潔」の問題等を理由に辞退を迫られたと云うので在る。
9月16日の県議会で、自民党の溝口芙美雄県議は「(落選した)業者から選定過程に問題が在ったと云う意見が出た様だが公平・公正に行われたのか」と説明を求めた。
中村法道知事は「選定は外部の専門家に依る審査委員会を設置して公平・公正・透明性を以て行われ内容は公表されて居る。社会的信用性と廉潔性は県が独自に行い、その結果は審査委員会にも開示して居ない」と答弁。
落選事業者が問題視して居る県の「独自調査」の判断基準は飽く迄公表し無い方針だ。カジノ・オーストリアが本国で政治家の汚職事件に関係が在るとの報道も在り、県の選定過程の不透明さは今後も尾を引く可能性がある。
「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」は6月末迄に1万人超のIR誘致反対署名を中村知事に手渡したが、その後も署名運動を継続中だ。新木幸次事務局長は「横浜の撤退やIRの実態も市民には好く知られて居ない様だ」とモドカシサを感じて居るが、11月末から始まる県議会に新しい署名を提出する準備を進めて居る。反対意見の盛り上がりに期待して居る。
■盤石の感が在る大阪にもサザ波が・・・
衆院選では維新の会が議席を41に伸ばして第3党に躍進。盤石の感が在る大阪も例外では無い。吉村洋文大阪府知事は8月の横浜市長選の翌日「横浜が大阪のIRに影響を与えるものでは無い。如何云うものが出来るかを丁寧に説明しながら進めて行く」と報道陣に述べ、横浜市撤退の影響を否定して見せた。
しかし「カジノに反対する大阪連絡会」等が11月中に横断的な反対活動に打って出る準備を進めて居る。同連絡会は2018年以降の署名運動で約10万人もの署名を府や市に提出した。有田洋明事務局長は「大阪には今カジノ反対を掲げるグループが8団体在る。衆院選が終わったのでコレから足並みを揃えて強力に運動を展開する」と意気込む。無風に見えた大阪にもさざ波が立ち始めた。
■無視出来ない住民の「総意」
3地域は今後、選定した事業者と共同で国に提出する「区域整備計画案」を策定し、県議会やパブリックコメントに依る意見募集等を経た上で、来年4月28日迄に国交省に提出する。
和歌山県の場合は、現在〔クレアベスト〕と共同で区域整備計画の原案を策定中で、11月末に完成させる。その原案を公表してパブリックコメントを募集。来年2月に和歌山市と県公安委員会の承諾を得た上で、県議会に区域整備計画案を提示し決議して貰う。国交省への申請は4月中に為る見通しだ。他の2地域も概ね同様のスケジュールと為りそうだ。
審査に当たっては、計画そのものの内容やギャンブル依存症対策に加えて「きちんとしたプロセスを経て居るか、住民のコンセンサスが出来て居るか如何かを観て行く」(特定複合観光施設区域整備推進本部の前川企画官)方針だ。
自治体としての「総意」が認められ無ければ〔落選〕憂き目に遭う能性も在る。その意味でも、反対派の活動を無視出来無い訳だ。
■IR計画の見直しには「ポスト菅」が不可欠
反対派の最大の理由はギャンブル依存症増加や治安悪化と云えるが、双日総研の吉崎氏は「依存症に神経を尖らせるのはパチンコや競馬等誰でも何時でも出来る賭け事が野放し状態だったから。IR整備法に関連して全てのギャンブルが対象の依存症対策が義務付けられた上、カジノは日本人の個人管理を徹底するので心配には及ば無いだろう」と楽観視して居る。
反対派の中には「コロナ禍で状況が変わったのに(和歌山県は)何も検証しないで突き進んで居る」(豊田氏)と県に見直しを求める意見も少なく無い。
吉崎氏は、ポストコロナの時代に合わせて今からIR施策を見直すには、旗振り役を続けて来た菅前首相に代わる「ポスト菅」の存在が不可欠と云う。施設の規模を見直す場合はIR整備法や施行令等制度改正を伴う事に為る為「時間的に絶対無理」(観光庁)と云われるが、見直すべき部分は他にも多い。
高率の税制や納付金・10年の権利期間も有力事業者が撤退した要因と見られて居る。「コロナ後の世界経済の中で、完成後実質5年程度で投資回収を見込むのは厳しい。横浜のIRから早々に撤退した米ラスベガス・サンズの判断は極めて合理的だった」(吉崎氏)
■一歩間違えると「ハコモノ行政」を繰り返す事に為る
一方、木曽氏は自治体グループが公表した経済効果や集客予想に対し「事業者や自治体の事情も在ったのだろうが、盛り過ぎだ」と問題視する。予想数字と現実が余りに大きく乖離するとそれだけで「失敗」の烙印を押されかね無い。自治体側は区域整備計画で、ポストコロナを見据えた冷静な経済効果算出が不可欠と為りそうだ。
観光等の「遊民産業」の経済効果に期待する吉崎氏は「ポストコロナの観光業の答えは誰も判ら無いが、最も進んだIRを日本で実現出来れば良いツールに為る」と期待を寄せる。 2002年に発足した「カジノと国際観光産業を考える議員連盟」(現国際観光産業振興議員連盟・IR議連)の初代会長だった野田聖子氏はIR整備法案が党総務会で了承された時に「観光立国としての初めの1歩だ」と興奮気味に語った。
しかし、これから始まる本当の「1歩」を踏み間違えると、バブル経済期に日本各地で乱立し、解体されたり廃墟と為った「ハコモノ行政」の愚策を繰り返す事に為り兼ね無い。
経済ジャーナリスト 芳賀 由明
芳賀 由明(はが・よしあき) 経済ジャーナリスト 1981年早稲田大学法学部卒業 91年日本工業新聞社経済部および産経新聞社経済本部で電機・自動車・日銀・東証・経産省・総務省等の担当を経て次長 2013年経済本部編集委員 2017年NHK交響楽団総務部長 2021年6月独立 北海道出身
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