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2015年10月07日

想い歌・6(半分の月がのぼる空二次創作)




 こんばんは。
 今回から少しづつ改変が入ります。
 まだ、間違い探し程度ですがw



想い歌.jpg


                     −14−


 ・・・君は王女
 僕は召使い
 運命分かつ哀れな双子
 君を守るそのためならば
 僕は悪にだってなってやる・・・


 吉崎多香子は、硬直していた。
 友達を装って訪れた、如月蓮華の家。
 通された客間の隣。
 小さな仏間に置かれた仏壇。
 そこに飾られた、真新しい遺影。
 それに目を向けたまま、吉崎多香子は固まっていた。
 脳内は、混乱の極み。呆けた様に立ち尽くし、ただ目の前の信じがたい事実を見つめるだけ。
 無理もないかもしれない。
 なぜなら、その遺影の人物に吉崎多香子は大いに見覚えがあったのだから。
 綺麗に磨かれたガラスの中に収められた写真。
 そこに、穏やかな笑みを浮かべて写っている人物。
 それは、誰あろう如月蓮華本人だった。


 赤黒い夕焼けの中で、長い黒髪が風に舞う。
 まるで、夜闇に羽ばたく魔物の様に。
 バサバサと、虚ろに乾いた音を立てて。
 暗がりに沈む顔。表情が分からない。
 だけど、これだけは分かる。
 彼女は今、笑っている。
 「―アンタは、いつ“死ぬ”の?―」
 耳に寄せられた唇が、もう一度その言葉を紡ぐ。
 秋庭里香は何も言わない。
 何も、言えない。
 「10年?5年?それとも、もっと―」
 バンッ
 秋庭里香の手が、如月蓮華を突き飛ばす。
 しかし、その身体はビクとも動かない。
 「ケホ・・・あー、痛い。けど、やっぱり力、弱いねぇ・・・?」
 突かれた鳩尾をさすりながら、ほくそ笑む。
 「そんなんで、戎崎先輩の将来の心配ってか?よくもまあ・・・。」
 クックックッ・・・
 笑う。嘲り笑う。
 「先輩の未来、台無しにするのはあたしとアンタ、どっちかしら?」
 「・・・・・・ッ!!」
 長い髪の間から覗く、真っ黒い瞳。
 それが、燃えている。
 ゆらゆらと、揺らめく様に、暗く、冷たく燃えている。
 「・・・アンタ“達”は、いつもそう・・・。」
 薄い唇が言葉を紡ぐ。
 綺麗に、けれど残酷に。
 「今生きてる人の・・・これから生きてく人の・・・何もかもをかっさらっていってしまう・・・。」
 その“真実”を、言葉に紡ぐ。
 「心も、夢も、希望も、未来までも奪い去って、それで自分だけ消えてしまう!!」
 冷たい、そして切り裂く様な、叫び。
 それが孕む憎悪が、暴風の様に秋庭里香の心に吹きつける。
 「・・・でもね。」
 カシャン
 フェンスを掴んでいた手が、鈍い音を立てて外れる。
 「・・・まだ、間に合う・・・。」
 フェンスから外れた右手が、秋庭里香の頬を撫でる。
 屋上を通る風に晒されていたせいか。
 それとも、もっと別の理由か。
 それは、酷く冷たく感じた。
 「そう。今ならまだ間に合う。今、アンタの呪縛さえなくなれば、戎崎先輩の未来には、まだ充分に間に合う・・・」
 薄闇に沈む顔。
 パクパクと動く口だけが、やけにはっきりと見える。
 「心配しなくてもいい。アンタが抜けた後の穴は、あたしが埋める。あたしが先輩を支えてあげる・・・。だから・・・」
 いつの間にか、その顔から嘲りの色が消えていた。
 冷たい、ただ冷たい視線だけが、秋庭里香の心を射る。
 そして―
 「・・・“戎崎裕一”を“解放”しなさい。」
 秋庭里香の頬を撫でながら、如月蓮華は通告する。
 まるで、罪人に判決を下す裁判官の様に。
 だけど。
 だけど―
 秋庭里香は頷かない。
 竦み上がる身体のせいか。
 せめてもの抵抗なのか。
 それは分からない。
 ただ、その様を見た如月蓮華は大仰な溜息をついた。
 「・・・戎崎先輩とアンタがどんな“誓い”を交わしたのかは知らない。関係ない。興味ない。けど・・・」
 スゥと上がってきた、もう片方の手。
 それが、秋庭里香のもう片方の頬を包む。
 固定される顔。
 まるで、逃げる事は許さないと言う様に。
 「どう頑張ったって、“有限”の時間しかもたないアンタと、“無限”の未来を持ってる先輩と・・・」
 嬲る様に。
 いたぶる様に。
 言葉は続く。
 「釣り合うと、思ってるの?ホ・ン・ト・ウに。」
 それが、目の前の少女の心を確かに切り削っている事を確信しながら。
 如月蓮華は言葉を続ける。
 カタカタ・・・カタカタカタ・・・
 フェンスが、小さな音を立てて震えている。
 否、震えているのはフェンスではない。
 震えているのは、それに預けられた小さな身体。
 秋庭里香の、小さな身体。
 「・・・どうしたの?寒い?」
 わざとらしく。
 白々しく。
 瞳を歪ませながら。
 「そうだね・・・。日も沈んだし、風も出てきた・・・」
 そんな言葉とともに、秋庭里香の頬から冷感が消える。
 「そろそろ止める?風邪でもひいたら、面倒だし。」
 捕えた獲物を啜り尽くした蜘蛛がそうする様に、如月蓮華が秋庭里香から離れる。
 暗い闇に落ちていた顔が、ニコリと笑む。
 「秋庭さんも、早く帰った方がいいですよ。何せ・・・」
 そして如月蓮華は言う。
 切り開いた傷口に、鈍い刃物を捻じ込む様に。
 「一人の人間の未来より、“大事な身体”ですもんね。」
 「・・・・・・!!」
 そう言い捨てると、クルリと踵を返す。
 そのまま、スタスタと屋上の入り口に向かって歩いていく。
 もう、振り向きもしない。
 やがて、その姿は入り口の向こうの闇の中へと消えていった。
 微かな歌を、響かせながら。


 秋庭里香は動かなかった。
 否、動けなかったと言う方が正しいか。
 カタカタと震える身体を、自らの腕でかき抱く。
 寒い訳ではない。
 そんな、単純な生理現象ではない。
 心が、心の奥底が、戦慄いていた。
 ズル・・・ズルズルズル・・・
 フェンスに預けていた背が下がっていく。
 そのまま、力なく床に座り込む。
 ポタ・・・ポタポタ
 床に投げ出されたスカートの上に、温かい水滴が幾つも落ちる。
 両目から溢れるそれを拭う事もせず、秋庭里香は両手で顔を覆った。


 「驚かせちゃった?」
 「―――っ!?」
 唐突に後ろからかけられた声に、混乱の体にあった吉崎多香子は飛び上がらんばかりに驚いた。
 声の主―如月蓮華の母親は彼女の脇を通り、仏壇の前に座って遺影を手に取る。
 「この娘はね、“鈴華(りんか)”って言うの・・・。」
 そう言って、愛しげに遺影を撫でる。
 「りん・・・か、ですか?」
 「ええ・・・。あの娘の・・・蓮華の双子のお姉さんだったのよ・・・。」
 その言葉に、吉崎多香子は再び驚きに目を見開いた。


 ―何か嫌な予感がしていた。
 今日の放課後、いつもの場所に里香は来なかった。
 最初は、今朝の事を怒っているのかと思った。
 それなら、出てくるまで待とう。出てくるのを待って、今度こそ許してくれるまで謝ろう。
 そう思い、僕は待った。いつまでも、いつまでも待った。だけど、いつまで待っても里香は出てこなかった。
 一瞬、僕の目を盗んで帰ってしまったのかとも思ったけど、昇降口(ここ)を通らずに帰れる筈もない。
 一体、どうしたのだろう。
 ひょっとして、具合でも悪くしているのではないか。そう思って保健室にも行ってみたが、やっぱりいない。保健の先生にも聞いてみたけれど、今日は来ていないと言う。
 そうこうしている間に、だんだんと日が暮れてきた。
 だけど、里香の姿はない。
 薄闇に包まれて行く校内で、僕の内に異様な不安感が頭をもたげて来ていた。
 酷く、嫌な気持ちだった。
 何かが。
 何か良くない事が、起こっている。
 そんな気持ちだった。
 どんどん闇色に沈んでいく校内で、僕は必死に里香を探し回った。
 一つ一つの教室、職員室、図書室、体育館、果ては資料室やゴミ捨て場まで。
 でも、その何処にも里香の姿はなかった。
 残った場所は、ただ一つ。
 屋上。
 僕はそこを目指して、階段を上り始めた。
 二階を過ぎ、三階も過ぎた。
 そして、四階の踊り場に差し掛かった時―
 〜♪〜♪♪〜♪♪〜♪〜
 どこからともなく、綺麗な歌声が聞こえてきた。
 「?」
 それに促される様に上を見上げる。
 途端ー
 「あれぇ?先輩、どうしたんですかぁ?」
 聞き覚えのある声が、頭の上から降ってきた。


 ・・・期待の中僕らは生まれた
 祝福するは教会の鐘
 大人達の勝手な都合で
 僕らの未来は二つに裂けた・・・


 「如月さん、お姉さんがいたんですか・・・。」
 その頃、吉崎多香子はアルバムを見せられながら話を聞いていた。
 「ええ・・・。とても仲の良い姉妹だったわ・・・。」
 そう言って、如月蓮華の母親は手にした遺影を撫でる。
 「本当に、そっくりですね。」
 アルバムをめくりながら、吉崎多香子は言う。
 赤ん坊の頃から、鈴華と蓮華は、いつも一緒に写真に写っていた。その手は常に握り合わされ、その絆の強さを表しているかの様だった。
 「そうでしょう。いくら一卵性双生児だからって、限度ってものがあるわよね。あんまり似すぎてて、親のわたし達でさえ区別がつかないくらいだったわ。だから、ほら・・・」
 クスクスと笑いながら、如月蓮華の母親はアルバムの写真を示す。
 「鈴華は髪を右で結って、蓮華は左で結う様にしてたの。そうやって見分けがつく様にしてくれてたのよ。」
 そう言えば、如月蓮華はいつも左で髪を結っていた。なるほど、そういう意味があったのか。
 と、そこで吉崎多香子はある違和感に気付く。
 家族のアルバムの筈なのに、そこにはあるべき人物の姿がない。
 「・・・あの、失礼ですが、ご主人は・・・?」
 その問いに、如月蓮華の母親は苦笑いを浮かべた。
 「わたしね・・・離婚してるの。二人が小学生の時に。」
 「え!?あ、す、すいません・・・。」
 慌ててあやまるが、当の本人はどうと言う事もないと言う態で話す。
 「気にしないで。世間じゃ、よくある事でしょ?」
 「はぁ・・・。」
 そうは言われても、気まずい感は否めない。それを誤魔化す様に、出されていたお茶を啜る。
 「ただ、二人には可哀想な事をしたと思ってる・・・。鈴華は向こうが、蓮華はわたしが引き取ったんだけど、二人には酷く反対されてね。当たり前よね。生まれてからずっと一緒だったのを、大人の勝手な都合で裂かれちゃったんだから。蓮華なんか、分かれてから一年間、ろくに口も聞いてくれなかったわ・・・。」
 何かを思い出す様な口調。それに、どこか後悔の気配が感じられたのは、気のせいだろうか。
 「それでも、二人はしょっちゅう会ってたのよ。日曜日や祝日、夏休みに冬休み・・・。休みの時には必ずって言っていいくらい、二人で出かけていたわ。」
 休みの時はいつも?分かれて住む様になってなお、そんな関係を続けていたのか。生半可な依存度ではない。
 「一度ね、学校の友達とも遊んだらって言ってみたのよ。そうしたら、『友達なんていらない。あんたなんかに言われる筋合いはない』って、言われちゃった。」
 そう言って、如月蓮華の母親は自嘲気味にフフッと笑う。
 「当たり前よね。二人を裂くきっかけを作ったのは、親(わたし達)なんだから・・・」
 そうか。と吉崎多香子は思う。如月蓮華にとって、自分達を裂いた親も敵意の対象だったのかもしれない。その事が、彼女達二人の相互依存をより高くしていったのだろう。
 「そんな二人だったから・・・、鈴華が亡くなった時の蓮華(あの娘)の悲しみ様はなかったわ・・・。それこそ、手がつけられない程だった。」
 当然だろう。
 それほどに依存度の高い二人だったのだ。
 如月蓮華にとっては、自分の半身が、いや、世界の半分が失われたに等しい程の喪失感だっただろう。
 「あの・・・差し障りがなければ、お訊きしたいんですが・・・」
 おずおずと切り出す吉崎多香子に、如月蓮華の母親は何?と聞き返した。
 「鈴華さんは・・・どうして・・・」
 「・・・・・・。」
 その言葉に、如月蓮華の母親の顔から表情が消えた。
 次の瞬間―
 ガタンッ
 身を乗り出した如月蓮華の母親が、吉崎多香子の手を掴んでいた。
 驚く吉崎多香子に、如月蓮華の母親は鬼気迫る顔で言った。
 「吉崎さん・・・。本当に、本当にあの娘の、蓮華の友達に“なって”くれる!?」
 その言葉に、吉崎多香子は息を呑んだ。


 ・・・たとえ世界の全てが
 君の敵になろうとも
 僕が君を守るから
 君はそこで笑ってて・・・


 最初、僕にはそいつが誰だか分からなかった。
 周囲が薄暗かった上に、目印のサイドポニーを下ろしていたから、すぐに分からなかったのだ。
 「どぉしました?先輩?あたしですよ。」
 声を聞いて、初めてそいつが如月蓮華だと分かった。
 「何だよ!?どうしてお前、こんな所に・・・」
 「別にぃ。ただ屋上で風にあたってただけですよぉ?」
 言いながら、トントンとステップを踏む様に階段を下りてくる。
 「風にあたってたって、お前・・・」
 その時、僕は蓮華の異常に気づいた。
 顔が、妙に紅潮している。
 声が、妙に上ずっている。
 その様はまるで、何かに興奮している様に見えた。
 「・・・何だよ?お前。何をそんなに興奮して・・・」
 そこまで言って、僕はハッとした。
 僕はここに、里香を探してきたのだ。
 なのに、そこに蓮華(こいつ)がいた。
 どういう事だ。
 「・・・おい、お前、里香と一緒じゃなかったか?」
 「えー?秋庭さんですかぁ?知りませんよぉ?」
 いつもの様に、ヘラヘラと笑いながら蓮華は人を食った様にそう答える。
 けれど、その白々しさが、逆に僕に確信を与える。
 「・・・一緒だったんだな?里香と・・・」
 「・・・・・・。」
 蓮華は答えず、ヘラヘラと笑っている。
 まるで何かに酔っている様だ。
 その異様に、感じていた不安感がはっきりと形をとり始める。
 間違いなく、蓮華(こいつ)は屋上で里香といっしょだったのだ。
 なのに、蓮華(こいつ)は出てきて、里香は出てこない。
 今や形をとった不安が、胸の中でグルグルと蛇の様に渦を巻き始める。
 「お前・・・里香に何したんだよ・・・?」
 答えはない。ただヘラヘラと笑うだけ。
 「何したんだって訊いてんだよ!!」
 僕は蓮華の肩を掴み、怒鳴りながら揺さぶった。
 「やだー、先輩ー。そんなに激しくしたら痛いですー。」
 らちがあかない。
 僕は、蓮華を放して屋上に向かおうとした。
 だけど―
 「せ〜んぱい♪」
 僕の腕に、蓮華が絡みついて来た。
 「何だよ!!放せよ!!」
 「いやです〜。」
 振り払おうとする僕に、蓮華はますます身体を密着させてくる。
 腕に柔らかい膨らみが押し付けられ、僕の心臓を飛び跳ねさせた。
 「ねえ、先輩・・・」
 僕の腕に胸を押し付けながら、蓮華が見上げてくる。
 下ろされた髪がサララと流れ、甘い香りが散る。
 「あたしと、“いい事”しません?」
 「え・・・?」
 その言葉の意味が頭に染みるのに、数秒がかかった。
 「ば・・・何言ってんだ!?お前!!」
 「いいじゃないですか。ほら、周りはこんなだし、誰も見ていませんって。」
 言いながら、制服のスカーフを外す蓮華。
 「そういう問題じゃ・・・」
 もつれ合ううちに、僕の背中が壁に当たった。
 蓮華はそのまま、僕を壁に押し付ける様にしなだれかかってくる。
 「どうせ、秋庭さんとも“まだ”なんでしょう?いいですよ。あたしなら、何でもさせてあげるし、してあげます。」
 柔らかい身体と、甘い息。
 火照った体温が制服越しに伝わり、蠱惑的な言葉が耳をくすぐる。
 一瞬、意識が呑まれそうになる。
 僕はブンブンと頭を振って意識を立て直すと、蓮華を押し返そうと視線を戻す。
 と、その視線が僕を見上げる蓮華のそれとかち合った。
 ・・・酷く、暗い瞳だった。
 火照っている身体とは裏腹に、その目は冷たく冷えていた。
 暗く、冷たく燃える、黒い瞳。
 それに、僕はいつか感じた既視感を再び感じる。
 ああ、やっぱり僕はこの瞳を見た事がある。
 何処で見たのだろう。
 誰の瞳だったのだろう。
 「ねえ、先輩・・・」
 蓮華が囁きかけてくる。
 「“楽しい”でしょ?」
 熱く、だけど冷たく。
 「やめちゃいましょうよ・・・あんな女(ひと)は・・・」
 声が、囁く。
 「綺麗ですよね・・・可愛いですよね・・・。秋庭さん・・・。でも・・・」
 蛇の様に絡みつく、蓮華の身体。
 「儚いですよ・・・あんなの・・・直ぐに消えちゃいますよ・・・?」
 冷たい吐息が、耳朶にかかる。
 「やめましょうよ。楽観も、目をそらすのも。泣いても喚いても、病気は治りません・・・。希望なんか・・・」
 そして、最後の一言が―
 「“ゴミみたいなものです。”」
 「―――っ!!」
 その言葉を聞いた途端、僕の脳裏で一つの記憶がフラッシュバックした。
 暗い屋上。
 漂う、酒の臭い。
 顔を殴ってくる、拳の硬さ。
 腹を蹴ってくる、鈍い衝撃。 
 転がったコンクリートの、冷たい感触。
 そう、これは、この目は―
 我に帰った瞬間、口を塞がれた。
 ・・・蓮華の唇が、僕の唇を塞いでいた。
 固まる身体。
 止まる時間。
 頭がクラリとしたその瞬間―
 ガタンッ
 上の方で音がした。
 ハッとして蓮華の身体を押し戻す。
 見上げた視線の先、屋上への入り口に―
 目を見開いて僕らを見つめる、里香の姿があった。


 ・・・君は王女 僕は召使
 運命分かつ 哀れな双子
 君を守る その為ならば
 僕は悪にだってなってやる・・・

 ―僕は 悪にだってなってやる―



                                   続く
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