2017年08月25日
月が人体に影響を及ぼす…?バイオタイド理論。
「バイオタイド理論」とは、1984年7月に出版された書籍「月の魔力」の中において、その著者であるアメリカ人の精神科医アーノルド・L・リーバーによって提唱された、「月の満ち欠けが、人間の行動や感情などに何らかの影響を与えている」とする理論のことである。
その著書の中でリーバーは、月の引力によって潮の満ち引きが発生することと、人間の体内は約60%が水分によって構成されていることに何らかの関連性があるものとしており、実際にリーバー自身が調べたデータをもとにして理論を展開している。
この理論は当時のアメリカ国内ではニューエイジ運動が巻き起こっていたこともあり、多くの人々の注目を集めるようになった。
「バイオタイド理論」とは?
「バイオタイド理論」とは、1984年7月に出版された書籍「月の魔力」の中において、その著者であるアメリカ人の精神科医アーノルド・L・リーバーによって提唱された、「月の満ち欠けが、人間の行動や感情などに何らかの影響を与えている」とする理論のことである。
その理論を立てるに至った経緯としては、当時フロリダ州の都市マイアミにある大学病院の精神科に勤務していたリーバーは、多くの患者の症状が一定の周期ごとに不安定になることに気づいたのだという。またアメリカ国内では、満月の日には出産率が高く、同時に殺人事件や交通事故などの発生率も高くなるという噂が囁かれており、これらに何らかの因果関係があるのではないかと推測したことが事の発端となっている。
その著書の中でリーバーは、月の引力によって潮の満ち引きが発生することと、人間の体内は約60%が水分によって構成されていることに何らかの関連性があるものと考えている。実際、リーバー自身が調査したという、1956年から1970年にかけてフロリダ州のデイド郡で発生した殺人事件の発生件数と、1958年から1970年にかけてオハイオ州のカヤホガ郡で発生した殺人事件の発生件数のデータが引き合いに出されているが、その結果、満月の日から前後三日以内がもっとも殺人事件の発生件数が多くなるということが判明したのだという。その他、全部で96種類もの様々な統計テストが行われており、月が人体に何らかの影響を与えていることの有意性が証明されたとしている。
この「月」という神秘的なものに関連した理論は、当時のアメリカ国内ではニューエイジ運動が巻き起こっていたこともあり、多くの人々の注目を集め、その月が持つ不思議な力の存在を信じる者が多く現れるようになった。
月の満ち欠けによる影響
世界各国で月の満ち欠けによる影響として囁かれている噂は、主に下記のようなものが挙げられる。
【満月の日】
出産率と殺人事件・交通事故などの発生率が高くなる
感情が高ぶりやすくなる
株価が上がる
【新月の日】
自然死によって亡くなることが増える
株価が下がる
その真相とは?
精神科医アーノルド・L・リーバーの著書「月の魔力」に記載されている、全部で96種類もの様々な統計テストによって得られたデータについては、リーバー自身が自らの都合がいいようにデータを取捨選択している可能性が高く、その統計解析の方法についても不明な点が多いため、現在では科学的・医学的には否定されている。
現在まで、「満月の日には出産率が高くなる」というような、学術的な統計データは一切確認されておらず、あくまで噂や都市伝説の域を出ていない。また月の満ち欠けの周期を基とする、「太陰暦」を採用している国々では、祝日や祭典などが満月・新月の日と多く重なっているため、必然的に殺人事件や交通事故などのトラブルと月の満ち欠けとの間に関連性が生じているように見えてしまう。もともと、古い時代には世界中の多くの国々が太陰暦を採用していたことから推測すると、月の満ち欠けについての様々な噂や都市伝説などが、現在でも世界中に存在している理由も説明がつく。
また2005年から2008年にかけて、カナダのケベック州にあるラバル大学が、月の満ち欠けと精神状態との因果関係について調査を行っている。その調査では、心理学者からなる研究チームが、精神疾患によって病院に入院している約770人もの患者を対象として、月の満ち欠けと症状の変化を関連性を調べているが、その結果、両方の間には全く因果関係が見られなかったことを発表している。
しかし、この調査が行われる前に実施された「月の満ち欠けが、患者の精神状態に影響を与えていると思うか」というアンケートの結果では、看護師の約80%と医師の約63%が、月の満ち欠けと患者の精神状態との間に何らかの因果関係があることを確信していたことが判明していた。つまり、単純に噂や都市伝説による偏見や思い込みが、誤った認識や記憶の偏りを生み出した可能性が高いのである。
これらのことから、月の満ち欠けが人間の行動や感情などに影響を与えることはなく、あくまで噂や都市伝説の域を出ないものだと考えられる。
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