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posted by fanblog

2018年07月22日

ゲームにおけるテキストの役割

ゲームテキストについての気づきをまとめました。
きっかけになったのは、脳科学分野で言われている次の三説。

■脳は否定形を理解できない

これは「Aしない」「Aということはない」のように、文法上はA部分を打ち消しても、脳の中は処理してくれないという話。

たとえば「これは覚えなくていい」と言われても頭の中に残ったり、「考えるな」と言われたことは瞬時に想像してしまったり。
有名なフレーズでは「ピンクの象を思い浮かべないでください」というものがあります。

■脳は時間を理解できない

「来月、Aの状態になりたい」「二年前、Aの状態だった」のように未来の願望や過去の記憶であっても、
現在のこととして認識する傾向を指しています。
前向きに運用すれば、未来志向を促し、現在の行動を強化することができます。

■脳は主語を理解できない

「だからAはダメなんだ」と他者Aのことを指して吐いた言葉が、
自分に向けられてもいる可能性を指した説です。
ポジティブ/ネガティブシンキングを語る時に使われます。

◆◇◆◇◆◇◆◇

これらの真偽はさておき「短いセンテンスほどわかりやすい、伝わりやすい」という
共通点が見えますし、ゲームにも当てはめられるそうですね。

最近見たゲームでも、次のような特徴がみられました。

・台詞は二行構成(オクトパストラベラー、ゼノブレイド)
・センテンスごとにスペース(ドラゴンクエスト、ポケモン)

20180722_1.jpg
ゼノブレイド公式サイトより

20180722_2.jpg
ポケモン サン・ムーン公式サイトより

どちらも文字の形や まとまりを重視していることが わかります。
そして一行目と二行目、両方とも近いボリュームで並べています。

ゲームはテキスト、ビジュアル、音楽の組み合わせで形成されているもの。
「プレイヤーに伝える」という目的に対して、テキストはときに調整役になり、黒子へ姿を変えることもあります。
こうした考えのもと、先のTipsを当てはめてみました。

■否定形、打ち消し表現は控える

否定形、打ち消しの言い回しを多用すると、テキストに冗長的な印象が生まれます。
これは普段使いの文章でも一緒ですね。
逆に回りくどい喋り方のキャラ演出ならば、効果的です。

■主語は省略する

台詞の頭に「私は〜」と主語を述べなくても、吹き出しや顔グラフィック、ネームプレートがあれば
会話の主体はわかります。
むしろ登場人物の存在感をあらわしたり、意志を強調するシーンでのみ、
主語を出した方が映えますね(前述のオーキド博士の台詞がそうですね)。

■背景説明は台詞以外を活用する

背景説明は必ずしも台詞を使う必要はないと思います。
たとえば色調をセピア色にして、BGMのピッチを下げる、オルゴールBGMを活用することで回想場面なのだと伝えることができます。
ここで台詞に「昔は」「過去は」と都度説明するのは、先の主語に近い印象を受けます。

他にもナレーションで前提を短く伝えることで、説明台詞に聞こえない工夫はできると思います。
背景の変化でもいいかもしれませんね。
例.建物が未来風になっていたり、逆に田んぼになっていたり

◆◇◆◇◆◇◆◇

小説においては、テキストは遠慮する必要がありません。
その場合はフォント、紙質、媒体(本か電子か)があわせる側なのでしょう。

例えば鋼の錬金術師のコミック版では、同出版社では初のマット仕様を採用したとのこと。
作風に装丁があわせた結果ですね。



ビジュアルノベルは、どうなのでしょう。
個人的には、ゲーム寄りかノベル寄りかに依存すると考えます。

まとめます。
・ゲームは、テキスト+音楽+ビジュアルで構成されるものであり、テキストだけが頑張る必要はない
・テキストは、シンプルかつ形を整えることで、内容を伝わりやすくできる(伝達コストの最適化)
具体的には「否定形」「主語」「背景説明」の省略など

創作において正解はないと考えますが、なにかブラッシュアップの気づきになれば幸いです。
posted by tabirpglab at 10:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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