アフィリエイト広告を利用しています
検索
言葉を集めて世界を旅するRPG「地図の時間〜言葉集めの冒険譚〜」
timeofmapworks_logo_2020.png
ハートフルRPG「地図の時間」

地図の時間スピンオフRPG「影泥棒と魔法の手記」

リソース管理ダンジョンRPG「琥珀の道具士」

現代SFRPG「重力ルーペ/探求リバーブ」

ドラマティックRPG「バンドワゴン」

ビジュアルノベル「日向と香水」

ノベル×ADV「ストーリーテラー」 title1_2.png
カテゴリ
プロフィール/制作環境(3)
制作記(679)
ニュース(ツクールMV)(222)
技術情報(ツクールMV)(203)
JavaScript/スクリプト(ツクールMV)(9)
プラグイン情報(ツクールMV)(11)
素材情報(ツクールMV)(15)
アップデート情報(ツクールMV)(45)
トラブル&解決情報(ツクールMV)(18)
ツクール製作品(ツクールMV)(42)
関連情報(ツクールフェス)(2)
投稿イベント情報(ツクールMV)(4)
関連情報(ラノゲツクールMV)(9)
Benchmark MV(個人作品:試作)(1)
manurpg(個人作品:試作)(2)
ブックモービル(個人作品)(10)
重力ルーペ(個人作品)(11)
そして魔女に会う(個人作品)(7)
バンドワゴン(個人作品)(1)
地図の時間(個人作品)(14)
日向と香水(個人作品)(3)
ストーリーテラー(個人作品)(1)
嘘つきのノブレスオブリージュ(2)
お役立ちツール/素材サイト(創作全般)(12)
創作アイディア(創作全般)(7)
保存用コラム(創作全般)(10)
コラム(144)
オススメ作品(8)
当ブログへのお問い合わせ(contact me)(2)
琥珀の道具士(3)
最果てのギルド(1)
読書メモ(1)
Steam展開ノウハウ(21)
RPGツクールMZ(3)
地図の時間〜名前探しの物語(1)
プラグイン情報(ツクールMZ)(1)
技術情報(ツクールMZ)(13)
国内展開ノウハウ(1)
素材情報(ツクールMZ)(4)
AI(8)
RPG Maker Unite(2)
DAW(1)
翻訳(1)
リンク集

2019年12月15日

AzureArsonist:アジュールアーソニスト紹介/攻略

RPGツクールMVTrinity製作品「アジュールアーソニスト」の紹介/攻略記事です。
心底面白かった作品です。
アクションゲームが苦手な私の目線で、気付いた攻略も書いています。
プレイするきっかけになったら嬉しいです。

AzureArsonist:アジュールアーソニストについて


作品紹介(公式サイトより):
「その力は彼女の両目を潰し、彼の全てを焼いた。」
イベントコマンドを駆使して作られた、RPG戦闘なしの本格派ガンシューティング。
"蒼の放火魔" と呼ばれた盲目の超能力少女・リズを誘導し、守りながらともに強大な敵に立ち向かえ。
荒廃した町、デューン地区の闇に隠された真実とは......?
Azure_32.jpg


[作者紹介]
terunonさん

WEBサイト:
https://tri-nitroterunon37.wixsite.com/terunon
Twitterアカウント:
https://twitter.com/trinitroterunon

プレイ方法

ソフトと作品をダウンロードをすることでプレイできます。
いずれも無料です。

@RPGツクールMVプレイヤー(ソフト)をダウンロード
ARPGツクールMVプレイヤー内のツクール広場から作品をダウンロード

[ツクール広場内の検索キー]
PS4用作品ID:377
Switch用作品ID:437

[PS4版)MVプレイヤーダウンロード方法]
※画像をクリックすると拡大できます
MVT01_PS.png

[Nintendo Switch版)MVプレイヤーダウンロード方法]
MVT01_SW.png

[PS4/Switch共通)MVプレイヤーでの作品ダウンロード方法]
MVT01_MVP.png


特徴

・PS4とSwitchで遊べるガンアクションARPGゲーム
 -雑魚敵を倒すことで得られるscr.(スクラップ)でキャラクター強化可能
 -体力、弾数の上限解放、弾丸消費0発動率、回避率がアップできる
 -ボス戦で救済措置あり(後述)アクションが苦手でもクリア可能

・シナリオは映画脚本術を援用しており、展開と描写は見どころ
・舞台は東南アジアの発展途上地域で起こる、復讐物語
・宗教民俗学、オカルトのエッセンスあり、サブカルの側面から見ると面白さが更に広がる
・作者さんのブランド「AAシリーズ」をプレイしている人はより楽しめる描写あり

基本操作


操作説明はゲーム中のチュートリアルのほか、Xボタンでメニューを開いて「ARTS & ITEMS)」の説明文で確認可能
Azure_33.jpg

・Rボタン:向いている方向に銃弾発射(弾丸消費)、Rボタン長押しで敵に照準が合うとトリックショット(壁貫通、確率で弾丸消費0)
・Rボタン+決定ボタン:射撃キャンセル
・Lボタン:リズを誘導、移動し終わる前に同じ場所でLボタンを押すことでパイロキネシス(消費なしの範囲攻撃)

テクニック:
・爆発時に逆方向キーを押すと爆風で加速
 複数の敵に囲まれた状況から離れるときに有効
 最初のボス戦では、追尾型の敵をひきつける場面があり、これを意識すると楽になる

・キャラクターを強化すると、Lボタン2回押しで設置した魔法陣を移動させることができる魔法誘導
 次ランクで取得できる魔法誘導強化は速度が早くなり、巻き込まれリスクが大幅に低減
 1マス動く→Lボタン→Lボタン長押しとすると少ない移動で火炎魔法を飛ばせるので、雑魚戦、ボス戦ともに楽になる

・アクションが苦手な方は、最初の補給ポイント(弾丸、HPが回復するエリア)と直前のマップを往復して稼ぎプレイをすると良いです。10分も集中して稼げば、かなり楽になります

見どころ@ゲームシステム・表現


・判定のリアルさ
 リズのパイロキネシスはジークも巻き込まれるし
 ジークの誤射によりリズが倒れることもある

 「壁に当たると跳弾表現」
  壁や地形を貫通してダメージを受けない

 「リアルな音表現」
  硬質の敵に対しては固い音、弾丸切れの場合は空撃ちの音が発生

 「爆発時に、爆風で加速」
  オイルの上を歩くときは、操作キャラのジークは鈍足になる
  リズは影響を受けないのはメニューの「ARTS & ITEMS)」で説明

Azure_12.jpg

 他にもアイテムの有無でイベントの描写が少し変わったり(何のアイテムかを言うとネタバレになるので伏せます)凝ってます

・マップ
 高低差に忠実な影のつけかた、判定処理の細かいところに手が入ってます
 作る側の目線だと学ぶ部分が多かったです
 特に内装マップは、同じ素材でここまで表現と機能美を両立できるのだなと驚きました

・シリアスと息抜きの絶妙な緩急づけ
 メインシナリオ/ステージはシリアス、補給ポイントやステージ幕間のミニゲームは息抜き
 この緩急が脚本術とあわさって、ゲーム体験を面白いものに昇華
 ミニゲーム一つとっても別操作で楽しめるため、総じて飽きがこないようにゲームデザインされてます
 
見どころAシナリオ・設定

東南アジアの異国の雰囲気+現代ファンタジー(主人公リズの超能力)。
オカルトと超能力と史実をフィクションでうまく混ぜてます。
M1911といった実在の銃を引用した説明があったり、調べなおしてこんな世界があるんだと発見が多いです。

設定が東南アジアで震災復興後の世界、治安平定の過渡期、様々な人種が登場……とリアルな空気が漂うのですが、政治的な方向に物語は展開せず。
SFファンタジーな文明設定ありの、オカルトや超能力が主人公や脇を固めるキャラの個性として登場するので、ゲーム設定として面白い。
私はドラマのTrickが好きだったのですが、同作のように科学とオカルトの面白さの両面を出してる気がします。

・ストーリー
 ファンタジーならダークと表現するところでしょうか
 暗い落ち込む場面が中心に展開するものの、ゲーム内のキャラの掛け合いは微笑ましいものが多く、私はこのバランスが好き
 人を選ぶ描写(グロい系)はありません。痛そうな描写はあります

 バディものである意味、双方の攻撃が当たる判定を仕様とした理由、物語を通して得られる感情、色々と考えさせられる作品
 言葉では伝えられないのでぜひ、遊んで確かめていただきたいです
 作中であえて明らかにされていないところも考察が進んで面白いところ
 (シリーズどの作品も、すべて明らかにされておらず、同じ世界線の過去・未来が関連しあっているという断片的な情報が想像を引き立てます)

・フレーバー要素
 操作キャラが変わった際はメニューをくまなく見るのですが、面白いです
 Trinityサンプルゲームの全ネタ+RPGツクールMV製の有名作品と思しきネタがあったり
 RPGあるある、アトリエシリーズの定番台詞があったり
 こうしたフレーバーの遊びはインディーならでは

攻略

最近でこそスマッシュブラザーズSPをプレイしていますが、元々はアクションゲームが苦手。
マリオシリーズは序盤でとん挫、格闘ゲームは1キャラに集中しないと人並みのプレイもできません。
そんな私でもクリアできましたので、ご参考までに。

・ステージ中に拾えるアイテムを活用
 拾えるアイテムはscr.か補給アイテムです
 つまり
 -敵の危険にさらされるくらいなら、アイテムは拾わなくても良い
 -ボス戦までは補給アイテムは拾えるものでまかなえる
 という判断ができます

・所持アイテム
 ボス戦では以下をストックしておくと難易度が下がります
 ボス戦までに拾えるアイテムで上限数まで近づけておくと良いでしょう
Azure_30.jpg


 軍用医療キット2〜3
 マガジンパック2〜3
 自動救命バングル1
 アームガード1〜3
 アストラルガード1〜3

・スキル取得順序
 個人的には次の順序が安定しました

下級マギテック
 タフネスI(最大HP+1)
 バレッティアカスタムI(弾丸数+1)

中級マギテック
 タフネスU(最大HP+1)
 バレッティアカスタムU(弾丸数+1)
 魔法誘導(パイロキネシスを移動できるように)

上級マギテック
 魔法誘導強化(パイロキネシスの移動速度アップ)

以降、シラットシリーズ(近接ダメージの確率回避)、エンドレスショット(トリックショット使用時に確率で弾丸消費ゼロ)と取得しました
HPや弾数が増えればアイテム回復を使ったごり押しができます
魔法誘導強化まで取得すると狩りも楽になります(身の危険を減らしながら、銃弾を使わずに敵を殲滅できる)

どうしてもボス戦が進めない場合は
ARTS & ITEMS→リズ→SPECIAL(ボス戦のみ表示)→アークスオーダーで戦闘終了が可能です
Azure_31.jpg


ボス戦攻略

共通としては、次の通りにセーブをわけておくことをお勧めします。

-scr稼ぎができるセーブ(キャラ強化ができる状態)
-事前に稼いだscr.を使う前のセーブ(キャラ強化の方針変更ができる状態)
-ボス戦前(リトライ用)

・監獄ボス戦
ジークに向かって敵が追いかけてくるので、ジークはステージの四隅を回るように動く
敵と距離が空いたところでリズのそばにジークを移動させ、パイロキネシスを扉にぶつけます
丁寧にこれを繰り返せば大丈夫です

 Point:
 最優先行動:リズを敵に近づけない(ジークを追いかけさせる)
 次点の行動:(距離に余裕があるときに)リズのそばに戻り、パイロキネシスを扉にぶつける(Lボタン2回押し)
 リズの移動距離が少なくすむように、ジークが動く

・オイル沼地のボス戦
初期位置から下に敵を誘導し、ドラム缶に敵が引っかかった状態でパイロキネシスを連続で叩き込むと楽です
敵は銃弾を撃つので、同じY軸にリズが並ばないようにする必要があります

 Point:
 最優先行動:敵とリズが同じY軸に並ばないようにする
 次点の行動:下に敵を誘い、パイロキネシスを撃つ
 (ジークが巻き込まれても、軍用医療キットでリカバーできれば良しとする)

私はここが一番の難所でした
テクニックが及ばない場合はアイテムをフルセット持ち込み、タフネスU、魔法誘導強化習得でカバーできます
逆にここをクリアできれば、大丈夫だと思います

・とある建物内のボス戦
ボスが1体、脇を固める敵が2体という状況

 Point:
 最優先行動:リズを敵と同じラインに立たせないこと
 次点の行動:脇を固める敵をボスにぶつける(ジークの弾丸ごり押しでも可能)

ここはメインシナリオもあいまってジークが活躍する場面です
軍用医療キット、マガジンパック3個持ち込めば力押しで倒せます

・地下のボス戦
ボスが1体、敵の攻撃を受けてゲージを貯めることが勝利条件という状況

 Point:
 最優先行動:リズを敵と同じラインに立たせない(そもそも近づけない)こと
 次点の行動:敵の火炎をリズが受ける

・最終戦
おそらく攻略説明不要
ただこの操作感の意味・理由を考えると……奥深さを感じます


----
この作品は文章ではなく、ゲーム画面でこそ面白さが伝わる作品です
興味を持った方は、ぜひプレイしてみてください

おまけ:考察

以下は軽度なネタバレを含みますのでご注意。



















・時間軸はAA2:オルタードアークスの後
 エンディング後、アークスオーダーを未使用の場合に確認できる

・オルタードビュ―A2のアイテム説明文からは「非常に高いところから落としたような傷」と文章
 名称からして、オルタードアークスの塔での出来事と推測される

・キャンプで拾えるメモからは、日本の某高校のオカルト研究部のことが書かれている
 オカルト研究部の存在がほのめかされているのはオルタードアークス、アブセンテッドエイジ(花嫁版)
 両者の繋がりが感じ取れる
 日本側のオカルトメモの情報源は誰か(世間の噂なのか、特定人物からのリークなのか)
 またエンディングの隠し要素からは、将来的に日本への接点が生まれている可能性がある

・エイリアスエイク、オルタードアークスで断片的に知ることができる、一人の力の暴走による大破壊の過去
 アジュールアーソニストでも人口実験の結果、似たような破壊が発生
 精神世界は文明の力で干渉できることは明らか
 魔境、オバケ世界、精霊の正体は別にあるのかもしれない
 
・能力の本質
 アジュールアーソニストではリズの操炎術は超能力という設定
 エイリアスエイクのハルカ、ノゾミは霊視+自身の才能のほか、精霊による補助効果を支えに能力を発現
 特にハルカは精霊なしでも高い能力を発揮できた(ノゾミともに優れた血筋の可能性がある)
 アビッサルアンカーではノゾミと思しきキャラが時間操作の能力を身につけており、
 能力は成長する可能性も秘めている(少なくとも10代のうちに成長したという事実がある)
 オルタードアークスではアイテム(ケセドの杖、ダートの銀時計、ネザックの刃)を介した能力発現
 Arcs and the Agony Aide:願いの塔と呪われし家内の主人公二人はアイテムを介した能力行使

 才能を使うタイプと、誰でも利用できる補助効果タイプがあると思われる。

 魔境、オバケ世界が共通モチーフの可能性であるように
 リズの超能力とされているものの正体は、霊的な能力の言いかえの可能性がある。

世界を巡るエネルギーが同じなら、ある地域の民族宗教学的な伝承=別のある地域の大事故の真相の可能性もある。今のところ、どの作品でも明らかにされていない「一人の力の暴走による大破壊」がどうつながるかが気になるところです。
posted by tabirpglab at 11:02 | オススメ作品

2018年02月07日

作品紹介一覧

◆オススメ作品一覧
他作者さんの作品について紹介した記事です。

■ひびかけ色のキセキ〜portable〜
https://fanblogs.jp/tabirpglab/archive/959/0

■RiSE 囚われ少女の魔法譚
https://fanblogs.jp/tabirpglab/archive/999/0

■バグハンター2
https://fanblogs.jp/tabirpglab/archive/1043/0

【AAシリーズ】
■AliasAche:エイリアスエイク
https://fanblogs.jp/tabirpglab/archive/1031/0

■AlteredArcs:オルタードアークス
https://fanblogs.jp/tabirpglab/archive/1032/0

■Arcs and the Agony Aide:願いの塔と呪われし家内
https://fanblogs.jp/tabirpglab/archive/1033/0

■AA:アビッサルアンカー 〜無実釈明x記憶探索ADV〜 New!
https://fanblogs.jp/tabirpglab/archive/1098/0

AA:アビッサルアンカー 〜無実釈明x記憶探索ADV〜 紹介/感想

◆AA:アビッサルアンカー 〜無実釈明x記憶探索ADV〜 紹介/感想

ラノゲツクールMVのサンプルゲームの1作「AA:アビッサルアンカー 〜無実釈明x記憶探索ADV〜」の紹介と感想を綴ります。
20180207_18.jpg

[作者紹介]
terunonさん

WEBサイト:
https://tri-nitroterunon37.wixsite.com/terunon
Twitterアカウント:
https://twitter.com/trinitroterunon

[遊び方]
本作はパソコン(ダウンロード版)でプレイすることができます。
次のサイトからダウンロード版のリンクに進んでください。

 ラノゲツクールMV サンプルゲーム
 https://tkool.jp/lngmv/sample/index.html

解凍するとWindows版の場合、Game.exeがありますので実行してください。

・F4キーでいつでもフルスクリーン/ウィンドウモードの切り替え
・セーブは自動で1番に記録(手動セーブのタイミングもあります)
・ヘッドホン推奨(理由は後述)
20180206_4.jpg

[実況動画]KyoHeyさん


■AA:アビッサルアンカー 〜無実釈明x記憶探索ADV〜とは

作者terunonさんがゲーム制作を始めて2年。AAを冠するタイトルもこれで4作目。
ゲーム制作エンジンは2017年12月発売されたラノゲツクールMV。
アビッサルアンカーはそのサンプルゲーム5作のうちの1作です。
20180206_1.jpg


ゲーム本編の説明に入る前にツールの紹介を少々。
ラノゲツクールMVはビジュアルノベル制作に特化したソフトです。
イラスト、音楽、文章の三要素の表現に長けていて、シーンやコマンドをブロック単位で扱う操作感はWindowsムービーメーカーに似ています。
プリセットで背景素材、キャラクター素材が豊富に収録されていて、Windows、Mac、Linux、ブラウザ、アプリ出力にも対応しているのも嬉しいところ。
今後オープン予定とされているツクール系のアセットストアやRPGツクールMVとの連携機能など、今後が楽しみなソフトです。
20180206_18.jpg

と、作品に話を戻します。
本作は作者さんがシナリオに向き合い、ゲーム性を追求した成果があらわれた極上のサスペンス作品です。
私から見た魅力を並べてみました。

・ヒントが散りばめられたノベルパートを読み、釈明バトルのゲームパートに挑むという連続した緊張体験(これがサスペンスたる所以で、困ったことにこれが楽しいのです)
・少年誌相当のホラー描写と勢いのあるストーリー展開
・ゲーム体験を素晴らしいものに変える「間」「音」「映像」表現
・論理的に構築されつつも、コミックリリーフ※も織り交ぜた「読み手を楽しませる文体」

 ※コミックリリーフ…深刻な物語の中に、緊張を和らげるために現れる、滑稽な登場人物、場面、掛け合いのこと(Wikipediaより)
・クライマックスで怒涛のように訪れるエンタメ的快感
・(知っている方は)他作品との繋がりを想像するファンサービス的要素


■舞台はセンター街の橋向い「二番街」、「雨降り橋」

主人公は雨降り橋高校に通う2年生のクロカワチハル。
同じ高校に通う親友のナツキは3年生。
その関係が失われるところから物語が始まります。
20180206_11.jpg

同作者さんの他作品をプレイしたことのある方は、橋の向こうが想像できるのではないでしょうか。
20180206_17.jpg

余談ですが、高校生を主人公にすると悩むのが家族の存在をどう描くか(扱うか)。
未成年者が困ったときに頼るのは親や身近な大人だったりするわけで、私の作品では学生同士で旅に出すことで物理的に隔離していました。
20180206_8.jpg

アビッサルアンカーでは、独立心を動機にした一人暮らし設定を組み合わせて、これを達成しています。
「ゲームだから何でもいいじゃん」というのはあるのですけれど、作者的にはこだわりたいポイントだったりするのです。

そんな配慮があるのかないのかはさておき、高校生の一人暮らしという、やや非日常な設定におかれた少し暗めな女子高生チハル。
プレイヤーは第三者の視点で彼女の動きを追いかけます。
20180206_6.jpg

■緊張のサスペンス体験と交互に訪れるコミックリリーフのワザ
サスペンスアドベンチャーと公式紹介文で銘打たれた本作。
サスペンスの名の通り、ゲーム中は緊張の連続です。

20180206_15.jpg
Anker Your Hopeという文言、タイトルにもかけたこの言葉選びのセンスいいです(追記:と思ったら、このAnkerは語句的にはタイトルと別の意味とのこと。ミス読みでした。。)

冒頭からの鮮烈な描写に加えて、プレイヤーの恐怖を煽るかのような画面演出にSE音。
20180126_1.jpg

かと思えば突然訪れるケバブの暴力。

何を言っているか分からないと思いますが、要は緊張と笑いが巧みに配置されていて、緊張とほぐれた瞬間が程よく入れ替わるということなのです。
ホラー映画を観終えたときのどっと疲れた感や安心感に覚えがある方はいると思います。
あの感覚を短くした感じ……というと伝わりますでしょうか。

何行もの言葉よりも、一枚のスクリーンショットを見ればわかると思います。
20180206_12.jpg
こういうことです。

これがギャグの三文字で終わらず、サイドストーリーにも伏線にもなっているものだからシナリオ道とは奥が深いものだとつくづく思います。
笑いのセンスは天然(天性)でしょうけれど、使いどころは計算されています。
うっかり騙されないようにしてください。

■プレイ開始数分の先入観に対する裏切り
先入観をもってプレイした方や先読みをしようとする方ほど、良い期待の裏切られ方をすると思います。
そしてそれは本作の遊び方の一つだと私は思います。
20180206_10.jpg

特にゲーム作者やミステリー小説/映画好きの方に多い傾向だと思うのですが、この色付き文章はどうせXXXなのだろうと予想すればするほど、ハマります。
このあたりを行数かけて説明しようとすると、開始直後のネタバレ禁止に抵触するので書けませんが……楽しみの一つに据えてとっておいてください。

■ゲーム体験を素晴らしいものに変える「間」「音」「映像」表現

8bit風音源の使い方、コミックリリーフを強調するオノマトペ(擬声語)表現、緩急つけたSE音、これらがゲーム体験を底上げしています。
環境が許す限り、(音量は上げ過ぎなくてもいいので)ヘッドホン推奨です。
音表現に対するこだわりはゲーム制作者としてのキャリアだけではなく、音楽が好きな方特有の基礎だったりボカロPとしての作者さんのキャリアだったりするのだと思います。
そうでなければ説明がつかないくらい、本作の音表現は素晴らしいです。

さらにここからはチラシの裏です。
音楽は趣味好みが基準の世界であることを承知で言いますが…本作の選曲チョイスのどれもがいいです。最高です。
日常シーン、穏やかなシーン、マップ移動、釈明バトル、使われているBGMどれも私は初耳で聞き惚れました。
8bitの持つワビサビ、レトロ感がもたらすモノはあるのですが、良いのはそこではなく、メロディーライン。
本作の音に、ぜひ耳を澄ませてみてください。

センスが合うと思った方は、ボカロPとしての作品もオススメです。
http://www.nicovideo.jp/mylist/34292800

■オススメの楽しみ方

作品ボリュームは「全部」でおよそ4時間。
できるだけ「記憶が鮮明なうち」に一気に遊んでみてください。
お休みがカレンダー通りの方は、土曜日や日曜日を本作の楽しみに充ててみてください。
20180206_9.jpg

隠された遊び心に気付いた数だけ、本作のゲーム体験が楽しいものに変わるはずです。
文章、フォント、色彩、ゲーム内用語、名前、プレイヤーの先入観全てがギミックであり……想像の広げどころです。
20180206_19.jpg


■最後に

2018年2月現在、ラノゲツクールMVの知名度はまだまだ伸びしろがあり、多くの方に知ってほしいと思っています。それは同じラノゲツクールMVにサンプルゲームを提供させて頂いた作者としての願望でもあるし、アビッサルアンカーに大きく心を揺さぶられた一人の願いです。。

初回プレイ時のどうしようもなく引き付けられた時間、クリア後にやってきた心の充足感は量の大小や順位付けではあらわせない、本作ならではのものでした。
それはこの先どんなに素晴らしい映像表現、音楽に触れてもアビッサルアンカーと同じものはないと断言できるくらいオリジナルな体験であり、創作の理想形の一つなのでしょう。
こんな言葉を他作者に綴らせるくらい魅力に溢れた作品です。

公式によると、ラノゲツクールMVのサンプルゲームはブラウザ版の公開予定とのこと。
この記事が素晴らしい作品を知るきっかけになれたのなら、いち作者、いちファンとして幸いです。

 ラノゲツクールMV サンプルゲーム
 https://tkool.jp/lngmv/sample/index.html

作者さんは実況を歓迎する方なので、ご興味のある方はぜひ。
御本人、とても喜ぶと思います。
20180206_2.jpg

■おまけ1

ゲーム開始直後、名前を入力することができますが、ここに遊び心が仕込まれています。

・過去作品のキャラクター名
・ツクールwebフォーラムのとある企画のキャラクター名
・作者の名前

この辺りを入力すると……。
20180206_3.jpg

■おまけ2

同作者さんの他作品との繋がりだったり、某Nintendoタイトルだったり、時事ネタだったりとネタが豊富に取り揃えられています。また更にごく限定的ですが、親交のある他作品がボカした表現で作中に登場します。
そんな遊び心の欠片を探してみるのも、また一興です。

2017年10月15日

Arcs and the Agony Aide:願いの塔と呪われし家内 紹介/感想

◆Arcs and the Agony Aide:願いの塔と呪われし家内 紹介/感想
マルチクリエイターのterunonさんがRPGツクールMVで制作されたAAシリーズのスピンオフ作品です。
AA2_5_1.jpg

[作品紹介]


[作者紹介]
terunonさん

WEBサイト:
https://tri-nitroterunon37.wixsite.com/terunon
Twitterアカウント:
https://twitter.com/trinitroterunon

[遊び方]
本作はパソコン(ダウンロード版/ブラウザ版)またはスマートフォン環境(ブラウザ版)でプレイすることができます。
次のサイトからダウンロード版、ブラウザ版の公開ページへのリンクに進んでください。

ふりーむ
https://www.freem.ne.jp/brand/6219
PLiCy
https://plicy.net/User/13982

■Arcs and the Agony Aide:願いの塔と呪われし家内とは

エイリアスエイク、オルタードアークスに次ぐ三作目。
位置づけとしてはAA2.5と表記されている通り、短編スピンオフ作品です。
作品の基盤は次回作「AbsentAge:アブセントエイジ」のものをアレンジとのこと。
(新作の試作も兼ねているご様子)。

本作は短編作品のボリュームにあわせ、機能を取捨選択していることが伺えます。

・マップアクションのみで完結するARPG仕上げ(バトル画面の省略)
・階層ごとに異なるローグライクのシステムはエイリアスエイクから継承
・補給ポイント、成長要素を装備品に限定(キャラクター側のステータス成長の省略)

一年間、作り込んだエイリアスエイクと対照的に、本作の制作期間はおよそ一週間+@。
作業量を正確に見積もり、実現させた本作。
制作者としての安定した実力を感じます。

■センター街の見える船上から願いの塔へ

冒頭はとある客船。
夜の海、センター街を遠望している状況から始まり、物語の舞台は願いの塔に移ります。
AA2_5_3.jpg

エイリアスエイクのセンター街、オルタードアークスの願いの塔。
周囲の会話から状況説明が補完されていく話運び。
本作がはじめての方も違和感なく入り込め、AAシリーズをご存じの方はより楽しめます。

■みどころ

●マップアクションで完結するバトル
機能をコンパクトにしつつも、ゲーム性を両立する仕組みが随所に取り入れられています。

AA2_5_14.jpg
カナタのアクションは投げナイフ「ケテルの銀刀」
ボタン長押しで向き固定したまま移動も可能

AA2_5_15.jpg
シホのアクションは広範囲射程の「マルクトの宝珠(ほうじゅ)」
視界が狭くなるため、間合いの確保が課題

どちらも得意分野があるため、キャラ切替による攻守交替を使いこなすことで攻略が容易になります。

AA2_5_16.jpg
近い時間で連続討伐すると経験値が増えるChain要素

●AAシリーズの繋がりを感じさせる要素
過去のAAシリーズを知っていると、ストーリー展開を先読みしたり、関連性を想像する楽しみが味わえます。

AA2_5_8.jpg
「心の羽」はエイリアスエイクでも登場した「心の欠片」の形

AA2_5_9.jpg
「頂上へ登る」という動機はオルタードアークスのそれと同じ

●オートおまかせ装備

ユーザビリティが格段に向上したと思ったのがこの機能。
身につけているものよりも良い性能の場合、自動的に装備変更してくれます。
AA2_5_17.jpg

●プラットフォームまたぎのセーブコンバーター機能

PLiCyやふりーむのブラウザ版からダウンロード版あるいはその逆のように、異なるプラットフォーム間のセーブ移行をゲーム側で実現しています。
AA2_5_11.jpg
制作者にもプレイヤーさんにもメリットのある素晴らしい機能です(すごい)

注意:PLiCyでは2017/10/6にシステムの仕様が変更され、セーブ移行が必要になりました
セーブデータが見えなくても慌てずに次のページから移行処理を進めてください
https://plicy.net/NewsRelease/2017.10.13
※移行に必要なAA2.5のIDは「43004」です


■従来のAAシリーズとの比較

●メッセージウィンドウ+フェイス→フキダシ+バストアップ表現
台詞を表示する際の演出に大きな変化が感じ取れます。

AA2_5_4.jpg
前作までと異なるフキダシ調の台詞表現
メッセージは波のように揺れています

AA1_3.jpg
エイリアスエイク

AA2_54.jpg
オルタードアークス※ハードの違いもあるので比較対象にはできませんけれど

●言葉を使わない誘導

プレイヤーを誘導する工夫も増していて、それが分かるのがこちらの画面。
AA2_5_2.jpg

ゲーム開始直後、ナレーションもなく、この画面から始まります。
実際の画面だと中央の鍵がぴょこぴょこ跳ねていて、調べる対象であることを示しています。
ウィンドウメッセージを表示させない、シームレスな作りにこだわりを感じます。

●BGMの使い方

本作で使用されている「拠点のBGM」と「ステージのBGM」は同じ曲の演奏パートをアレンジしたもの。
そして拠点からステージに切り替わる際、シームレスに曲の演奏を切り替えています。
(クロスフェード)


落丁と絵空事

■最後に

慣れると1時間、アクション下手な私でも2時間でクリアできる優しめバランス。
シナリオは他作品同様に登場人物のブレなさは健在。
情報の出し方を制御することで、短編でも心に残るストーリーに仕上がっています。

比較が面白いのは同じ願いの塔を舞台としているオルタードアークス。
物語の構造は似ていながらも、話の散らせ方がより均一になっていて、読み進めやすい印象。
登場人物が子供/大人の違いであることから、大人の目線で台詞、思考が物語の展開にもあらわれているのかなと感じ取れました。
そういえば装備品もシックなものが多いですね(サンストーン、ムーンストーン、バルスな飛行石は例外として)。

シリーズも三作目になると、作品同士を繋げたり、比較させたりと、作用を起こすことができます。
一作目、エイリアスエイクの時点で設定を深く掘り下げられていた作者さんなので、作品が増える度にその強みは増すことでしょう。
今後の展開が益々楽しみなAAシリーズのスピンオフ作品でした。

■おまけ

●願いの塔比べ
AA2_5_6.jpg
AA2.5版

AA2_6.jpg
オルタードアークス版(花に注目…!)

●オカルトメモ
AA2_5_18.jpg
他AAシリーズのキャラクターが見え隠れ
AA2_22.jpg
もっとわかりやすいメモもありますので探してみてください

本作のパワーワード「ふくらはぎ」
AA2_5_7.jpg
AA2_5_10.jpg
フリーゲーム界の流行語を狙っている感

AlteredArcs:オルタードアークス 紹介/感想

◆AlteredArcs:オルタードアークス 紹介/感想
マルチクリエイターのterunonさんがRPGツクールフェスで制作された作品です。
本作はRPGツクールフェスのサンプルゲームかつ、ダウンロードサイトで殿堂入りを果たしています。
AA2_19.jpg

[作品紹介]
RPGツクールフェス 公式サイト-レジェンド・ツクラー制作公式配信ゲームのご紹介
https://tkool.jp/fes/freegame.html

[作者紹介]
terunonさん

WEBサイト:
https://tri-nitroterunon37.wixsite.com/terunon
Twitterアカウント:
https://twitter.com/trinitroterunon
『AlteredArcs:オルタードアークス』のギミック組み方講座
http://ch.nicovideo.jp/terunon/blomaga/ar1124711


[遊び方]
Nitendo 3DS/2DSをお持ちの方は、無料ソフトRPGツクールフェスプレイヤーからダウンロードすることでプレイ可能です。


[ツクールフェスプレイヤーのダウンロード方法]
1.3DSホームから「ニンテンドーイーショップ」を起動
2.ソフトを「RPGツクール」で検索し「RPGツクールフェスプレイヤー」をダウンロード
Tkoolfes0.jpg

[作品のダウンロードまで]
3.RPGツクール フェス プレイヤーを起動
4.「ゲームのダウンロード」⇒「みんなの作品」⇒「殿堂入り」を選択
AA2_3.jpg
AA2_4.jpg

■AlteredArcs:オルタードアークスとは

「AlteredArcs:オルタードアークス(以下、オルタードアークス)」はサンプルゲームの中でもツクールフェスのアクション性、ギミックの可能性を提示した、言葉通りサンプルに相応しい作品です。

・転ぶ/落ちる/吹き飛ばされるといった動きのある表現
・細部まで考え込まれた言葉の妙
・絶妙な難易度のギミック
・全年齢の笑いのツボを狙いすましたユーモア

……と見どころたくさん、遊び心が盛り込まれたゲームなのです。

■舞台はオバケ世界、願いの塔

作品の舞台はファンタジーの雰囲気を漂わせた『オバケ世界』の『願いの塔』。
現代世界からやってきた高校生ダイゴが謎の閉鎖空間に閉じ込められた場面から始まります。
AA2_7.jpg

プレイヤーとキャラクターが予備知識がない状態で始まる流れは、物語に入り込みやすいですね。

■プレイヤーを牽引するストーリー、楽しませるギミック

物語は『ストーリーパート』→『ギミックを活用して進むアクションパート』の繰り返しで進行します。
会話の中に登場する何気ない一言が、アクションパートのヒントになっていたり、物語に結びついています。
言葉を拾えば拾うほど、世界観を様々な切り口で楽しむことができます。

AA2_26.jpg
最初は移動歩数を感知するシンプルなステージ

AA2_27.jpg
スイッチのオンオフを切り替えて進む

AA2_32.jpg
踏んだ床と連動して動くトロッコを遠隔操作

アクション操作が苦手でも、慣れるうちにクリアできる難易度なのでご安心を。
ソースは私です。

■プレイアドバイス:セーブは分けつつ、こまめに

冒頭の導入部が終わったら(塔から絶叫した後)ミスによりゲームオーバーが発生するので、まずはセーブを。
AA2_5.jpg
最初はこの台詞の後に一度セーブしておくと良いです
大きく巻戻らないためにも、「ゲーム進行用」と「全快状態で保存したやり直し用」の二種類のセーブを使い分けてみてください。
AA2_34.jpg
この場合だとセーブスロット2がゲーム進行用、3がやり直し用

■バリエーション豊かなギミックの数々

アクションギミックアドベンチャーと銘打たれている通り、目玉はギミック。
ギミックには名前が付けられているものがあり、設定ともリンクしています。
(アイテムの説明文に気付いた方は、本作を楽しんでいるに違いありません)。

●ケセドの杖
AA2_23.jpg
特定の場所でAボタンを押すことで道を拓いたり、追手を足止めするギミック
終盤のイベントでも登場します

●ダートの銀時計
AA2_10.jpg
アニメーションとタイマーを活用した、時間を止めるギミック
効果時間は8秒、その間は画面が青みがかります

●ネザックの刃
AA2_29.jpg

無敵効果+アニメーション+タイマーを活用した、バトル風ギミック
効果時間は6秒、その間は画面が白みがかります
※ダートの銀時計とネザックの刃は、同じギミックのアレンジ違いなのですね

●トロッコ
AA2_32.jpg
トロッコを踏んだ床の矢印にあわせて遠隔操作するギミック

●消える床
AA2_33.jpg
タイマー+タイルセットの変化を利用したギミック

AA2_35.jpg
難易度が上がると消える床+ダートの銀時計を組み合わるようになります

■遊び心のあるフレーバーテキスト

エイリアスエイク同様、テキストのあるところに高確率で遊び心が隠れています。

AA2_13.jpg
HPとは

AA2_14.jpg
関係ありませんが左に『赤い』リンゴがありますね

AA2_24.jpg
原作よりもアニメ映画版が好きです

AA2_31.jpg
あるいは音姫

AA2_30.jpg
建築業界に波紋を起こしかねない表現

AA2_37.jpg
あるいはプラシーボ効果

AA2_25.jpg
人と猫のふれあいVol.1

AA2_36.jpg
人と猫のふれあいVol.2

きりがないので、この辺で。
まだまだ隠された遊び心を、ぜひ探してみてください。

■ギミック×演出

本作のセールスポイントはギミックだと思うのですが、演出も見所の一つです。

●記法のこだわり
『キャラクター名:』と『台詞のインデント下げ(一文字分下げて書き出される)』が統一されています。
これにヒントを得た作者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

●世界観を崩さないことへのこだわり
たとえばツクールフェスの仕様上、変更できないものの一つに通貨単位「G」があります。
このGを浮かせずに、かつゲーム内の小道具に置き換えたテクニックはお見事。
AA2_12.jpg

この場面では、台詞前のSE音で精神体との会話を表現していました。
AA2_58.jpg

精神世界、思念体というワードが登場する本作にマッチした表現

●落下へのこだわり?
気のせいか、AAシリーズでは「落下」する演出が多いです。
AA2_55.jpg
AA1_3.jpg
セルフオマージュ説を唱えます

■最後に

たくさん言葉で紹介するつもりが、自然とスクリーンショットを多用する形となりました。
それは作品の画面が、言葉以上に面白さを表現できるからなのですよね。
まさしくゲームの鑑です(ものを書く身としては悔しいかぎりです)。

イラスト、楽曲を自分で手掛けられるterunonさんが、それらに縛られることなく作り上げた家庭向けツクール作品。
オリジナルイラストや楽曲を使わなくても、作者の想像力は表現できることを教えてくれます。
それを一番感じたのはこの画面。

AA2_57.jpg
プリセットBGMもクレジットの見せ方次第でテーマBGMに早変わり。
これは物事の中に遊び心を見つける、という考え(あるいは目の良さ)に根ざしている気がします。
ゲームデザイン論のようなモノの本では学べないことです。

シナリオの話をすると、塔の頂上で交わされるヒロイン、ラスボスの台詞には鋭く尖った言葉も幾つかあります。
生々しいくらいの言葉も、感情のほとばしりも、実直で純粋な作者さんの想像力。
笑わされてしまうテキストも、考えさせられる言葉もどちらもこの作者さんの魅力的な一面です。

多くの方にエンディングに続く鐘を鳴らして頂ければ、紹介した身として嬉しいです。
世界観が気に入った方は、他のAAシリーズも手に取ってみてください。

■おまけ

本作のエンディングは二種類(クリアタイムはおよそ1時間でした)。
このメッセージの後のどこかで分岐します。
AA2_49.jpg
直前にひとつセーブをとっておくといいです

AA2_56.jpg
ゲームオーバーさえ、とある演出に変えてしまうterunonさんマジック、とくとご堪能ください

ダウンロード方法はこちら