興味深い本ですね。
費用対効果やコストパフォーマンスといっても実際のところは、主観的なものに過ぎないですね。
私にしても20代、30代の頃は、本は買って読むものだという考えの人の影響を安易に受け、たくさん本を買いましたが、買って蔵書にしてしまうといつでも読めるとの安心感からそのまま読まずじまいということが多かったように思います。
結局はブックオフ行きとなった本が多いですね。
40代になってからはほとんど本を買わなくなりました。
その代り、図書館の利用は尋常でない状態です。
借りては返しのフル稼働ですね。
図書館利用の場合、返却期限があるのがいいですね。
とにかく読み始めるという効果があります。
それと購入するとなるとお金がかかることから購入すべきかどうかの検討が入り、購入しないという場合もあります。
結局読むチャンスがなくなるという欠点があります。
しかし、図書館で蔵書があれば、ちょっと気になっただけの本であっても、さっさと借り入れ申し込みをすればいいだけですから、簡単なものです。
大した本でなかったとしても、何ともありません。
すぐに返せばよいのですから。
また、図書館利用の場合、返却するわけですから、家に蔵書が増えないという利点があります。
これは非常に大事な点であると思います。
20代、30代の頃は蔵書が多い方がさも知的であり、博識であり、立派であり、いいことだと思っておりましたが、数百冊の蔵書になると、実の所、邪魔なだけであることに気付きました。
それと数百冊の蔵書があったにしても常に読む本は極めて少数であり、蔵書とする必要性も感じられなくなりました。
ほとんどの本は図書館にあるものです。
それはそうでしょう。図書館の蔵書は数十万冊ですから。
このような発想の転換のきっかけとなったのは、市民・県民税ですかね。
この税金は当然のことながら図書館にも使用されているわけで、図書館の蔵書は私の蔵書といえますね。
自分の蔵書ですから、どんどん利用すればいいわけです。
現在ではインターネットで蔵書検索もできますから、家で蔵書を抱えるより便利です。
いずれにしても山田氏が言いたかったことは、以下の文章に要約されているようです。
「会計・非会計の話にかぎらず、ビジネスにおいても、生活においても、大事なのは複数の視点を常に持つことです」(山田真哉『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉』光文社新書 233頁)
しかし、これは、難しい課題ですね。
一つの視点だけで物事を考えてしまう人が多いように思います。
私自身も常に複数の視点を得られているかといえば、そうでもないですね。
上記にあげたように、本は買って読むものという出版業界の思惑どおりの考え方しかなかったのが20代、30代の私であったわけで、一つの視点だけで物事を考えていたといえるでしょう。
しかし、図書館を利用すればよいという別の視点があることにより、人生が豊かになると同時に読書量が格段に増えたという事実がおもしろく感じられます。
今までは、本を読むというと構えてしまい、全部読まなければなどと思っていたふしがありますが、現在は気楽に読んでいます。
ほとんどの本は全部読むこともないですね。
必要な個所がなんとなくわかりますので、そこだけ読んでいます。
本で大切なのは内容であって物体ではないわけですから、蔵書として所有することに、さほど意味はありません。
書籍という物体としての蔵書ではなく、自分の頭の中、生命の中にたくさんの蔵書があるという状態が理想ですね。
「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書) 新品価格 |