お尻は痛いままだ。椅子から立ち上がる時にウッとなる。歩くときも痛く左脚に力を入れられない。まあ打撲だ、今朝は少しマシになったか。お尻の痛みとは関係ないだろうが、肩や腕の疼痛が強く感じる。弱っている時を狙って来た。どこかが痛いと神経が作用するのだろうか。
会社の入っているビルの1Fは銀行だ。東京ローカルの銀行。
ロビーに従業員出入り口がある。銀行の外回りの営業はそこから出入りしている。今年くらいか、若い女性が気になっていた。そういえばマスク顔しか見ていないからコロナ禍になってからか。
気になるといっても、オトコとしての目ではない。
マスクをしているから顔全体は判らないが、美人ではないと思う。どこか野暮ったい感じだ。
いつも出入口から駆け足で外に出ている。中に「行ってきま~す」と声をかけ。タバコロードを歩いていて、自転車を早漕ぎしている彼女を何度も見た。この日近く専門なのか。
4時半に会社を出て駅に向かう時、横断歩道の手前を渡っているが、律儀に横断歩道に向かう姿を先週は見た。
頑張っているのだ。
銀行の業務はよく解らない。半沢直樹で学んだこともあるが、ローカルな銀行の顧客は個人や商店なのだろう。それほど大きな顧客がいるとは思えない。
思っていた。もし、ロビーで話をすることがあればこういってやろうと。
「預金獲得キャンペーンがあるなら100万くらい預けるよ」
心の声だ。オヤジだ。いや、それで身請けをするとかということでない、セーフだろう。でも変態チックか。キャーと叫ばれるだろうか。
とにかく、そういう妄想を抱いていた。頑張っている子を応援してやりたいというピュアーな心で。
昨日、タバコから戻りロビーの扉を開けようとしていると、その子が後ろにいた。
扉を開けてやり、先に通す。「有難うございます」の声。
チャンスだ、今、言わないでいつ言う。
「いつも頑張っているね、道でもよく見かけるよ」「ウチの会社の営業を見習わせたいと思って見てたよ」「いつでも100万くらいだったら預けるから声かけてね」
うん、白髪の紳士が若い女性を褒めた姿になっているだろう。
彼女は驚き「有難うございます」・・・「あっ、名刺を」といって名刺をくれる。こちらもスマホに入れている名刺を渡す。
頑張っている人を褒めることが出来たという満足感が欲しかったのだろうか。思えば自分の満足感だけだったのかもしれない。
でも彼女にとっても嬉しかっただろうとは思うのだが。
それから1時間弱。名刺に記載されている携帯に電話がかかる。先ほどの彼女だ。
「先ほどは有難うございます」「来週、ご都合の良い時にお伺いします」「○○日はいかがでしょうか」
「あ~いいですよ」
「それではお口座をお願いしたいと思いますので、免許書と印鑑をご用意いただけますか」
なんだよ、ソッコーで口座依頼か。まあ、そう言ったからね・・・。
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