2019年05月09日
どんぶり勘定経営の結末は(下)
その後、カード会社への返済もできず、ブラックリストに載ることになったと聞き、泣きついてこられたので、ここで見放すことも出来ず、次の策を練り直すことで、一旦は和解したが、顧問契約は再締結はせず、資金調達の支援だけしてその手数料だけもらうことにした。
しかしみんな異口同音に「5億の年商の社長」と持ち上げるが、その年商5億の社長が個人ではブラックに載っていると、知らないので笑える話である。
銀行からの借入を断られ「個人と法人は別だろうが。法人で借りるのに何で個人がブラックリストに載っているから借りられないのか、何故いつまでも保証協会は過去の過ちを引きずっているのか」と相変わらず社会の常識を理解しない自分勝手な主張をしている。
本当に反省という言葉を知らないので開いた口が塞がらない。
この会社は問題だらけではあるが、積極的な接待攻勢と大手ゼネコンの工事長などからが可愛がられていることから、何だかんだと言ってもいつも仕事はあった。但し、どんぶり勘定の採算が取れない工事も取ってきているなど大手ゼネコンの便利屋みたいな側面があったことは否めない受注の仕方をしていた。
要は他が断った工事をないよりましだと取っているのである。だから私は以前から接待費をあれだけ使っているのに、費用対効果を考えたら割に合わないから改めるべきだと注意してきたのである。
それでも「年間5億円の仕事をくれていてお世話になっているから辞められない」と首を縦に振らない。私が「5億と言ってもそれは売上であって実質な利益は分かっているのか」と問うといつも逃げるので一向に埒があかない。
そんな状態でしていた経営もいよいよ終焉を迎えることとなった。今までは、大手ゼネコンの工事長クラスのもみ消しで何とか乗り切っていた下請けへの未払い問題が上層部に知られ、この会社への工事の発注にストップがかかった。工事があっても融通手形で何とかしのいでいた資金繰りも、どこからも借りれられなくなり、ついに不渡り手形を出してしまったのである。その事実を知らない人からその後も借りまくり逃亡資金にに充当したのか忽然と姿をくらました。
今までも何度と危機を乗り越えてきた社長だが、最後はあっけなく終わってしまった。
しかしここからが問題である。4月20日の手形が落とせなかったのだが、今までであれば事前にその手形の持ち主に連絡してジャンプさせて事なき得ていたが、今回はしなかったので不思議であり計画的ではないかと瞬時に噂が広まった。
21日には事務所は閉鎖され、事務員には先月末には解雇通知を出していた。多くの個人や会社から、相当な借金をしており、下請け業者が大勢駆けつけ大騒動だ。それから3日後、事務所入り口に弁護士が代理人を受任したのでという通知の張り紙がされていた。そして1週間後、ネットニュースに破産申し立てしたとのニュースが載っていた。
負債総額は2億円とあったが、直近の決算書では負債の部は3500万だった。その2億円が真実であればいかに簿外債務が多かったのかということが分かる。その決算書を信頼し私は自分を窓口に金主的存在の資産家からも結構な額を借入て、その会社を支えてきたので、その金主にも申し訳ないことをしたし、私も手数料を含めて貸付をしていたので大変ショックである。
「恩を仇で返す」とはこのことである。私もコンサルの立場でもっと踏み込んで会社の実態を精査すれば良かったが、顧問契約を解除し、中途半端に関与するようになって社長との距離ができてしまったのが、今回見抜けなかった最大の原因であろう。本当に悔やまれる。
でも私の中には、今まで資金繰りの厳しい状態の中でもみんなが支え社長本人も何とかやってきたのに、最後はあっけなく終わってしまい、ひょっとしたら計画倒産ではと疑っている。不渡り出してからも借りまくっていたという事実もあるし、人として見損なってしまったものである。
これに関しては、近いうちに債権者集会もあるだろうし、こちらも経緯を調べて弁護士と対策を協議中である。
この後のことは要望があればまたブログに記したいと思う。
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