2020年04月18日
とある科学の超電磁砲T 11話感想 画と音、見事なクオリティで並走する3つの最終決戦
11話 参戦
※原作未読の方はコメントオフでの視聴をオススメします。
あらすじ
暴走した美琴は警策の誘導により統括理事会のビルを攻撃、レベル6へと進化を重ねる。
ショチトルと佐天の会話を聞いた当麻が駆けつけ、軍覇と共に暴走美琴と対峙する。
警策は人形を操り食蜂を確保しようとするも、佐天から情報を得た黒子に阻止される。
黒子は食蜂から状況を伝えられ、美琴の誘導役である警策の本体を捜索する。
感想
「科学の名のもとに人間の尊厳を踏みにじるこの街の本当の顔を――」
美琴の深層心理を誘導する警策。7話における彼女のセリフ「脈はありそうじゃない?」がここにつながってくる。直前の10話でドリーに対する研究者の非道ぶりを描いているだけに説得力がある。結局ビルへの攻撃は不発に終わるのだが、ここまで飄然とした態度を崩さなかった警策が初めて感情を露わにしており、統括理事会ひいてはこの街に対して強い負の感情があることが推察できる。
食蜂が警備員の偉い人すら洗脳下においていることが分かるシーン。こわっ。彼女が悪党だったら大変なことである。ますます普通に学生生活ができていることが不思議になる。自分がスネに傷持つ悪党だったら真っ先に食蜂を暗殺s(ピッ)さすが人格高潔な食蜂様である。
「自分が当事者だと王子様に見えちゃうんだから、女って勝手よねえ」
なにこの表情???という感想の方が多いと思うがこれは3話で食蜂がなぜか当麻の名を知っていた現象と同じで、超電磁砲では明かされない、とあるシリーズ全体への伏線である。超電磁砲原作での描写から6年経って禁書原作では伏線回収されているので、気になる方は禁書(新約11巻。そこだけ読んでも分かるようになっているらしい。)を読もう。超電磁砲のみ視聴の方は例によって深く考えないようにしよう。過去に色々あって食蜂は当麻に好意力が高いということだけ知っていれば大丈夫である。
その当麻だが、たまたま借り物競争中に佐天さんに遭遇し、たまたまショチトルと佐天さんが会話するところに居合わせた、という細い細いルートを通って助けにくるのだから確かに王子様的な運命力の持ち主と言える。食蜂との会話?シーンはBGMもコミカルでシリアス展開の中の癒やしである。雷神美琴は想い人が相手でも(彼の右手以外で)正気が戻るような傾向はなく、ここでも4話等で食蜂の能力が示してきたように能力が容赦なく感情を優越するシーンが見られる。
警策の人形が食蜂を確保しようとするところに駆けつける黒子。アニメでは特におなじみのセリフ「ジャッジメントですの!」が頼もしい。攻撃がヒットする直前でテレポートするアクションが連発されて非常にスリリング。カイツが抱えるミサカ妹を美琴でないと判別できた点が興味深い。妹を探していることを知った後なので当然かもしれないが、その情報なしで婚后さんのように判別できたかどうかはファンとして気になるところである。
警策の人形が切断された部分を触って回収しているので、精密動作性が高いぶん湾内さんのように塊を複数同時に動かすことはできないのかもしれない。
黒子が警策を追う動機はあるが本来は警備員に任せるべき範囲なので、内情を知らずに避難指示が出ている状況で追うのはやや不自然。つまりラスボス戦の一角に引っ張り出すには追加のモチベーションが必要になってくるのだが、それをボタン一つで解決できる食蜂の能力が便利すぎる。6話感想でキャラクターの個別視点について書いたが、限定的な視点しかない黒子に一瞬で神視点を与えたことになるので物語構成の上でも便利な能力である。「知らない単語なのになんとなく分かる」というアニオリのセリフは黒子が急に神視点を持ったことへの補足といえる。ちなみに「御坂さん」呼びもアニオリで、原作では呼称明示を避けた印象があるがまあ確かにそう呼びそうではある。
「こっちも自分の身を守らなきゃならないんで…」
黒子の追跡を警戒してのセリフと思われるが、エクステリアを共有しているのなら黒子に見つかっても洗脳すればいいだけなのでは?もしかしたらリソースが有限で、美琴を誘導している間は洗脳できないなどの制約があるのかもしれない。
当麻と軍覇のタッグ結成。OPで明示されていた展開だがOPでは彼らの戦闘相手が描かれていなかったのがお見事である。巷では「予測不能コンビ」と呼ばれているらしく空気を読まない軍覇にツッコむ当麻というやりとりが面白い。二人が同時に雷撃をかき消し、はたき落とすシーンは学園都市におけるこの二人の非常識ぶりを象徴している。
「彼女に信頼されるのは不思議と悪い気がしませんでしたので!」
美琴のことは覚えていないが美琴に関係することは覚えている、という反応はメインの友人3人にそれぞれ用意されている。佐天さんはゲコ太ストラップを見たとき、初春は美鈴に会ったとき(違和感は表出しなかった)、そして黒子の反応はここで「美琴に心酔していたことは覚えていないが、美琴の信頼を受ける喜びは覚えている」という最後を飾るに相応しいものである。ここはBGMも荘厳かつ緊迫感があって非常にエモい。空間移動バトルの動的な派手さも相まってメディアミックスの真髄を感じるシーンである。
当麻&軍覇と雷神美琴の戦いがぐりぐり動いてひたすらカッコいい。世相が大騒ぎな中クライマックスにこれほどのクオリティを保ってくれていることに感謝しかない。クリエイターの矜持を感じる。軍覇パンチの「超…」のところがドスが効いていてたまらない。当麻をぶん投げて自分でキャッチするトンデモアクションは、「ドラゴンボール」の桃白白が自分で投げた柱に乗って移動するアレのリスペクトのように思うのは自分だけだろうか。軍覇、話の通じない根性野郎かと思いきやちゃんとした判断力(他人の出来ることと出来ないことを把握している)を備えていて面白い。
幻生を発見する食蜂。当麻軍覇VS雷神美琴はダイナミックで派手なアクション、黒子VS警策は知略戦を交えたアクション、そして食蜂VS幻生は完全な知略戦である。趣の違うラスボス戦が3つ並走する怒涛の展開を、クオリティの高い作画と動画、音と演技で楽しめることが至上に嬉しい。大覇星祭編はおそらく残り3話だが、クリエイターの方々は健康面を最優先した上で制作していただきたいと思う。スケジュール変更の情報は今のところ無いようだが、ファンは前作から7年待ったのだから、ここから1年2年くらいは余裕で待てますので。
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