2020年02月07日
とある科学の超電磁砲T 4話感想 食蜂の脅威を見せつけるホラー的演出
4話 改竄
※原作未読の方はコメントオフでの視聴を強くオススメします。
あらすじ
初春が都市伝説サイトをめぐる情報撹乱を感じて調査するが、それをカイツに検知される。
大覇星祭の一日目が終了。二日目、ミサカ妹が倒れたことを美琴が知って行方を捜索する。
救急隊員の証言の矛盾から食蜂の関与を確信するが、洗脳された綿辺教諭に監視をつけられる。
食蜂派閥の監視下に置かれた美琴は黒子に頼ろうとするが、黒子達は美琴の記憶を消されていた。
感想
アバンはアニオリシーンだが黒子と仲良く屋台をめぐりつつミサカ妹のことを思う美琴、という後半への前フリとして機能している。
「「すみませんでしたっ!」」
モブの大人と揉めるシーンが重なる回。美琴としては前作SでDNAの流出が原因で大変な思いをしたわけで、それを防ぐ仕事には敬意を払ってしかるべきなのでこれは土下座もやむなしである。佐天さんのトラブルメーカーぶりも健在。
「二人とも日頃からわたくしの言っていることを聞いていれば……」
美琴に小言を言う黒子のシーンは多数あり、心酔しているとはいっても盲信ではないところが伺える。
原作ではここの描写は「なにか不穏な伏線」程度だったがアニメではカイツが検知するシーンとこの手袋で食蜂の関与が分かりやすくなっている。アニメは書籍媒体と違ってファン以外の人も多数見るものなのでこういう分かりやすい描写のほうがいいかもしれない。
祭り初日の終わりをそれぞれ過ごすキャラクターたち。佐天さんが初春を紹介しているのは家族だろうか。婚后さんと一緒にいるのはお父さん。婚后さんと父親の「桃李成蹊」のエピソードは今のところ原作のみの描写だが、アニメと矛盾せずなおかつ彼女を描く上で重要な部分なので、今期のどこかで描写される可能性はある。やるなら6話冒頭か大覇星祭編最終話あたり?ちなみに婚后父は御坂父の友人であることも匂わされているが、その娘・美琴と友人になったことをここで話しているかもしれない。
「じゃあ、またみんなで来ようね」
アニオリ部分だが今週のラストを思うとなかなか強烈なフラグとして機能している。
「差し出がましいかもしれませんが…わたくしの体操服はいつごろ…」
憧れの先輩に催促するのが気が引ける奥ゆかしい湾内さん。かわいい。それはさておきここ以外で出てこないホテルの作画が異様に凝っていてすごい。
最初から双子の妹と言っていれば狂言扱いはされなかったかもしれないが、美琴としては自分に「妹」がいることを隠したかったので止むなしか。実際に「レベル5の電気使い」と個人特定されたので有名人はつらいところ。それにしても焦っていたとはいえ短気は損気である。前日の黒子の小言を思い出せばまた違った結果になったかもしれない。
「違ったルートにきて結果オーライですね」
佐天さんは原作では大覇星祭編の時点で黒子にタメ口になっているのだがアニメでは敬語である。2話でもそうだったのでたまたまではなく意図的な改変かもしれない。
「盗られたもの……そうですネ。御坂美琴との思い出……とカ」
食蜂の派閥メンバーたち。原作と違って常盤台の「派閥」についての説明がないのがやや不親切だが、まあだいたい言葉通りの意味である。常盤台におけるグループ活動の名称で、一般的な意味よりは多少厳密なくくりのようだ。このひときわ目立つ縦ロールの少女は派閥ナンバー2の3年生で【帆風潤子(ほかぜ じゅんこ)】さん。長らく名前が明らかにならずファンにはずっとそのまま「縦ロールさん」と呼ばれていた。
洗脳されていた綿辺先生。美琴の主張を頭ごなしに否定しなかったり、生徒思いの思慮分別に富む教師のように描かれていたし実際そうなのだろう。だからこそ衝撃的なシーンである。食蜂はこの場におらず、美琴が救急隊員と揉めることも正確に予測するのは難しいだろうし、あらかじめ「最適化」に都合のいい行動を取るよう指令がセットされていたと思われる。
この十字の光が瞳に現れると食蜂に洗脳されている証である。ほとんどの人はそう分かると思うが説明がないので若干ハイコンテクストな描写と言えるかも。アニメで若干目立つデザインに変更されているのは違和感を大きくするためか。切り込みを入れた椎茸を上から見た状態に似ているので「目がしいたけ」「しいたけ状態」などと言われる。転じて食蜂自身がしいたけと言われることもあるが別にこの作品発祥のスラングではない。
参考↓
黒子を後ろから映す構図がすでに穏当ではない。今回のTはストーリーはかなり原作準拠だが、画面の構図は原作から変えているシーンが多くて興味深い。原作の冬川基先生は非常に視線誘導が巧みな作家なので、コマ割りの概念がないアニメでは同じシーンでも有効な構図が違うという判断なのかもしれない。
「人の名前を気安く呼ばないでいただけますか?馴れ馴れしいですわね」
あの黒子に馴れ馴れしいと言われる美琴。誰も信じてくれず、教師すら洗脳されており、食蜂の能力の恐ろしさを嫌というほど見せつけられた最後に一番破壊力があるダメ押しがこれ。視聴者のストレスが心配になるほどの物語の谷である。BGMが完全にホラー。アニメの無印は当時の原作よりもこの4人組の絆を推していただけに、アニメ視聴者にとってはこの3人に忘れられる美琴という構図はより衝撃が大きいのではないだろうか。
美琴のことを忘れた黒子に変態感が微塵もないのがスゴい。ただの真面目で優秀な風紀委員である。CV新井里美さんの名演が光る。しかし結果的に助力を諦めたとはいえ、いつもの黒子だったらどう頼むつもりだったんだろうか。こっちもどう説明しても「妹達」に触れると思うのだが……。
「わたくし婚后光子におまかせくださいませ!」「え」
次回予告は基本ギャグだがこれはアニメにおける美琴との関係性を現していて面白い。原作では「お互いに初めてできた同年・対等の友達」という、より初々しい関係なので違いが見える。さて、4話まで感想を見てくださった方は察していただけると思うが僕は婚后さん推しである。5話の活躍が楽しみで仕方がない。「信頼」というサブタイトルがもうエモい。
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