2020年02月14日
とある科学の超電磁砲T 5話感想 婚后さんの性格ギャップと名悪役・馬場が見どころ
5話 信頼
※原作未読の方はコメントオフでの視聴を強くオススメします。
あらすじ
美琴はミサカ妹捜索を婚后に頼み、婚后は手がかりとなるミサカ妹の子猫を発見する。
馬場も何者かからミサカ妹捜索の任務を受け、関連のある婚后と湾内の会話を聞き接触する。
戦闘になり婚后が圧倒するが、馬場は子猫を狙った戦術でナノデバイスを打ち込み無力化する。
馬場は婚后に暴行し連れ去ろうとするが、そこへ佐天・湾内・泡浮の3人が駆けつける。
感想
「その解説者、なかなか見る目があるようですわねえ」
全世界の婚后さんファン待望のメイン回である。ここは原作だと褒められて照れていたのだがアニメでは自信満々。原作との微妙な性格の違いを意識したものだろうか。美琴を通り名で呼び愚痴る黒子を見て3人とも怪訝な表情をしているが、確かにそんな非現実的な状況を目にしたら面食らうというものである。このシーンがあることで婚后さんが美琴の話をすんなり受け入れる下地ができている。
「白井さんてこんなに出場する予定だったんですね」「ほんとだ、それもペア種目ばっかり」
「ペア…?」
美琴の記憶だけが抜けたことで生じる違和感をいぶかしむシーン。原作だと転入したばかりの婚后さんと初春佐天の接点が美琴の記憶なしでは齟齬が生じる、という描写なのだがアニメでは春から婚后さんと友人なので、黒子がペア相手を思いだせないという描写に変えられている。ここまで婚后さんまわりのつじつまあわせは微妙なところもあったがここはお見事である。
婚后さんを頼る美琴。原作ではかなりためらった感じだったがアニメではそうでもない。アニメでは友人になってからそれなりに経っている上に、美琴はS後半で友人を頼ることを覚えたので地味ながらいい改変だと思う。
風船サンドの競技シーンは残念ながらカットされてしまった。湾内泡浮ペアが駆けつけるところで終わるには尺がギリギリだったと思われるので仕方のないところか。美琴が「いつもの黒子」を想像しているところがつらい。変態黒子の姿もしばらくお預けであるせいか新井さんの演技にいつもより気合が入っていたような気がする。
「わたくしも既に食蜂操祈に洗脳されているかもしれないからですわ」
ミサカ妹が倒れた原因が食蜂にないこと、食蜂の目的が時間稼ぎであることを看破するなど今回の婚后さんは終始冴えているが、最も明晰なのはここだろう。まず自身の無謬を疑うという客観的な視点を持てることがすごい。超能力のないリアル社会でも大事な視点であり、自負心が高すぎる人間には備えづらいものだと思う。表面上はポンコツ高飛車お嬢様だが内面の性格は清廉で謙虚で篤実で高潔で品行方正で聡明剛毅な婚后さんの、ギャップのある個性が魅力的なシーンである。CV寿美菜子さんの落ち着いたクールな演技がカッコいい。これまで要所でコミカルな演技を披露していたことも効いている。
「ラヴリーミトンのゲコ太モデルですわね」
迫真。名前も明らかでなかった帆風さんが人気を博した要因がこのシーンだろう。ゲコラーガチ勢同士のオタク会話がシリアス展開の中の癒やしである。(ゲコ太に原作あるんだ……。)帆風さんのCVは津田美波さんでアイドルマスターシンデレラガールズの小日向美穂役でおなじみ。美穂と比較するとかなり大人っぽい演技になっていて同じ演者さんとは思えない。中3の帆風さんのほうが年下だがやはり縦ロールお嬢様といえばルーツのお方のように成熟していてしかるべきということか。
原作では犬に吠えられていたがカラスに変更されている。担当編集氏のTwitterによれば学園都市に野良犬がいるのは不自然という判断らしい。なるほど。
オペレーションルーム的な場所でロボットからの音声を聞く馬場。聞こえてくる街の声だが原作では禁書のキャラっぽいものがいくつかあったのだがモブの声になっている。さすがにたった一言のためにわざわざ井口裕香さんや甲斐田裕子さんは呼べなかったか。アニメ媒体で見ると馬場くんがこの場所から町中まで即座に出てきたように見えてちょっと面白い。ずいぶん近くに居たんだな。
この二人はまだ名前も能力も判明しないが原作でも後々登場するので食蜂派閥の中でも実力者、おそらく3年と思われる。帆風さんをはじめ天然気味の子が多いので美琴の棒読み言い訳を信じてそうである。美琴は「振り切ろうと思えば振り切れそう」と考えていたが彼女らの実力を見るに、やれるとしても相当骨が折れるのは想像がつく。
「観念するのはアナタの方だったようですわね!」
MI☆TSU☆KO!MI☆TSU☆KO!!さすがは常盤台の風神、出力だけで見れば美琴に引けを取らないのではと思わせるド派手な戦闘。巨大なパラボラアンテナを倒してぶつけるところはさすが動きがある分原作以上の迫力を感じる。あれを弁償するのにいくらかかるのか想像もつかない。原作では電波塔でも飛ばせるというイメージ映像だったが前作Sでのアニオリを受けて大型重機を飛ばす絵になっている。馬場くんもあの戦いを調べておけばこうはならなかっただろうに、やはり今年度の情報収集を怠ったようだ。使えねえ男である。
「その上与えられた役割も果たせないんじゃ三↑流以下だよねェ〜?」
馬場ァー!!許さん。悦に浸っているところ悪いが自分こそ本物の美琴を無力化できていないので完全にブーメランが刺さっている。この馬場にムカつけばムカつくほど湾内さん泡浮さんの怒りに共感できるので見事なヒールっぷりと言える。芝居がかった余裕の喋りが婚后さんに痛いところを突かれた途端に感情むき出しになるところがいい。CV林大地さんが3話で期待した以上の名演を見せてくれている。馬場の心の内や過去は少なくとも超電磁砲ではわからないが、サブタイトルの「信頼」という概念において婚后さんと馬場に激しいコントラストが生じているように見える。
馬場役林大地さんのツイートを紹介。次回も楽しみである。
こんなにアニメで喋らせて頂けるとは…
— 林 大地(声の仕事のハヤシ) (@dainodekaiyatu) February 7, 2020
有難い限りです。役に感謝っ
次回も是非ご覧下さい。
馬場くんがムカつく、ひどい、ウザい、なんなんあいつ、罰当たれや、と思う方は是非…#超電磁砲
「友人への侮辱に怒りを抑えられそうにないのはーーわたくしたちも同じですから」
超電磁砲全編通しても屈指の名シーン。ざわりと波立つ水面は湾内さんの能力によるものだろうが、緊迫感の表現としても機能している。2話の「ケンカどころか怒ったこともない」という2人の会話がここで活きてくる。丁寧な布石が物語の盛り上がりを大きく後押ししてくれている。
婚后さんはアニメ無印においては主にかませ犬的ポジションを持ち、今回も戦闘結果としては敗北で湾内泡浮ペアの名シーンを引き立てる役を負ってはいるのだが、それでもこのエピソードで婚后さんを好きになった人は多いだろう。アニメでの役割を踏襲しつつ彼女の魅力を最大限に描く見事な展開である。さて、5話まで感想を見てくださった方は察していただけると思うが僕は湾内さんと泡浮さん推しでもある。6話の活躍が楽しみで仕方がない。
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