2020年03月06日
とある科学の超電磁砲T 7話感想 記憶のない状況で描かれる美琴・黒子バディの信頼
7話 Auribus oculi fideliores sunt.(見ることは聞くことより信じるに値する)
※原作未読の方はコメントオフでの視聴を強くオススメします。
あらすじ
ミサカ妹の子猫の記憶を読んだところ、佐天の知る都市伝説サイトの名前が浮上する。
佐天は電話で内容を美琴に伝えるが、美琴は通話中に初春と美琴母を人質にした警策に脅迫される。
美琴は警策の発言から食蜂とは別勢力であることを推測、駆けつけた黒子の助力で警策を撃退する。
美琴は佐天の推理を元に初春のPCデータを復元し、都市伝説サイトに食蜂の姿を確認する。
感想
前半の伏線や布石が回収へと向かう一方で、当面の敵と目される警策が本格的に登場し新たな伏線を張っていく、物語の加速を感じられるエピソード。美琴の捜索について思案する食蜂派閥メンバー。No.2である帆風さんがいないが競技中だろうか。ちなみに指示を出す生徒が原作から別の子に変わっている。「女王」呼びについては泡浮さんもちょっと引き気味で面白い。佐天さんが食蜂の存在を意識して推論材料にする布石が置かれている。
子猫の記憶から出てきたラテン語、おうりぶす・おくり・ふぃでりおれす・すんと。日本語の「百聞は一見にしかず」と同様の格言のようだ。湾内さんもだがこの猫フードの子もラテン語であることを理解しているように思える。ラテン語を読める中1とは……常盤台中学のレベルの高さが伺える。しかし一介の庶民である佐天さんも理解したものとして伝言を頼むところに天然ぶりを感じる。特に言及されないがこの情報で湾内さんにもバルーンハンターで体操服を貸したのがミサカ妹であることが推測できるのではないだろうか。
美琴は覚えていないのにその母の美鈴は覚えている初春。食蜂による記憶操作が美琴のことに限定されているのがわかる。佐天さんにおけるゲコ太の認識が「友人が好きなマスコット」なのと同様に「友人の母親」という認識になりそうだが、名前を知っていたので違和感が表面化しなかったということだろうか。
美琴と絡むことに対して気乗りしない黒子。これこそ原作通りで安心したのだが、それはそれで前回意識した感情はどこへ行ってしまったのか……。佐天さんが記憶操作を疑い出すのだが、前述したように食蜂を意識したことや電話番号が登録済みであることなど複数の布石がそつなく配置されている。それでもかなり突拍子もない思考なので常識的な黒子は全く納得してない点が面白い。そして原作通り佐天さんが黒子に対してタメ口になっているのだがそれなら2話や4話で敬語に変えていたのはなんだったのか……。別に改変しなくていいところで改変したりしなかったりとブレが激しいのが気になる。
【警策看取(こうざく みとり)】登場。この時点でわかるのは液体金属を操る能力者であることと、妹達を探していることくらい。「暗部の情報をフル回転して探しても見つからない」とのことだが、あの子ら普通に街をうろうろしているような……。ここでようやく美琴視点でも食蜂と警策・馬場が別勢力であることがわかるのだが、美琴がそれに気づいたモノローグをアニオリで入れていてわかりやすい。
「何者か知らないけど私の友達を襲ってまで何がしたいわけ?」
「私に言わせれば美琴ちゃんのほうがよっぽど異常だけど」
細かいことだが会話がイマイチつながってないように思える。あんたたち異常よ、という旨のセリフを省略したような違和感がある。ちなみに原作通りである。後の展開に必要な会話なので、不備でないなら警策が無理やりこういう会話に持っていったのかも知れない。
交渉決裂で静から動へ移行するシーンなのにBGMが静なままなのがちょっと気になる。黒子登場の瞬間が無音になるのはいいのだが。警策の能力だが、液体金属の遠隔操作となると通用しない攻撃がかなり多いので相当な難敵に思える。馬場くんの能力分析に倣うなら操作できる塊の数に上限があるはずなので超電磁砲で吹っ飛ばし続ける戦術なら通用するかもしれない。短めのバトルだが主人公美琴の能力の有用さ、頭の回転の早さ、そしてたとえ他人であっても正義を全うする黒子への強い信頼が示されるいいシーンである。
「こっちとしても美琴ちゃんに死なれちゃうと困るしね」
「脈はありそうじゃない?」
警策勢力が妹達だけでなく美琴にも用があることを匂わせている。いろいろと想像はできるが真相が分かってしまうほどではないレベルの絶妙な伏線。
美琴のこの笑顔は原作に勝るとも劣らない破壊力。漫画においてはコマの大きさで強調されている印象的なシーンだが、アニメは画面の大きさが固定で変にエフェクトを入れたりするとギャグっぽくなるので、単純な作画の良さだけで表現されていて素晴らしい。黒子を呼び捨てにするのは変わらないが接する距離感は若干よそよそしくなっており、こういう説明自体普段の二人ならしないやり取りなので、記憶がないシチュエーションを最大限に活用したシーンと言える。それはそうと説明シーンのBGMがちょっとほのぼのしすぎなような……前述した交渉決裂シーンといい、今回はBGMの使い方がちょっと気になった。
「わたくしにはそのような趣味はありませんのぉ〜」
なんとも初々しい。ここからどうやってあんな変態に……。大切な人を忘れないという安直なセンチメンタリズムではなく、記憶は失っても性格・嗜好までは変わらないために歴史を繰り返す形で記憶操作能力への超克を描いているところがいい。過去の黒子が美琴に惹かれていった過程はあまり明らかになっていないが、今後重要なエピソードで回想されることもありえるので期待したい。
「点と点をつなげた乱暴な推測ですけど…」
このエピソードで急に賢くなったように見える佐天さん。まあ前回書いたようにもともと頭の回転が早く機転が効くタイプなのは確かで、さらに都市伝説ネタを好むので飛躍した想像力が身についているのかも知れない。婚后さんがまず自身を疑う視点を持っていたように、佐天さんには都市伝説ハンターとしての視点があり、それが有効な場面だったのだろう。
ストーリーがやや複雑になってきたので整理すると、美琴視点でも警策・馬場は食蜂と別勢力であることが濃厚になったが、ミサカ妹を確保し、捜索を妨害しているのが食蜂と見られるのは変わらないので美琴が追う対象はやはり食蜂、という状況である。
さて次回は大覇星祭編において婚后さんトリオの戦いに匹敵するほど好きな、かつ重要なエピソード……なのだがなんと総集編が二週挟まれるようだ。今回のように新型コロナウイルスの影響とは言われていないが、騒動が収束したわけではないので少なからず影響はあるだろう。まあ待つ分にはいくらでも待つのだが、総エピソード数が当初の予定から減ったりしないかだけが心配である。
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