2020年09月02日
とある科学の超電磁砲T 20話感想 ピカロ対決で輝くフレンダの侠気と矜持
第20話「Ha det bra」
※原作未読の方はコメントオフでの視聴をオススメします。
あらすじ
フレンダは猟虎に追い詰められるが、佐天の協力により猟虎を特定、戦闘になり撃退する。
フレンダはメッセージで佐天と食事の約束をするが、当日、佐天の元に現れることはなかった。
感想
今回は都合によりネタバレ文量多めです。猟虎に狙撃され人混みに身を隠すフレンダと佐天さん。猟虎はこの二人と同じくレベル0だが鼻を活用する狩猟民の追跡スキルを習得している。衣服の中の組み立て銃については原作では扉絵で説明されているがアニメでは解説が入っていて、「誰一人気づくことはない」と言っているが街中でそんなポーズ取ってたら普通に目立つと思うので猟虎のぼっちスキルありきの武器のような気もする。
猟虎の過去の仕事として明白な殺人が描写されてピカロ対決の色合いが鮮明になる。とはいえ被害者が「裏切り者」と推定できるので視聴者の好感度は下がりづらい点がお見事。これが無辜のモブだったらキャラクターとしての可愛げがなくなるかもしれない。
この勘違いでボコられるぽっちゃり系男子だが、あまりに気の毒なので禁書における馬場くんポジションの憎まれキャラなのかな?と連載時は思ったのだがどうやら完全に無辜のモブらしい。かわいそう。猟虎よりフレンダのほうが可愛げがないのでは。彼が爆発までに脱出できたことを祈るばかりである。
【月詠小萌(つくよみ こもえ)】先生と【姫神秋沙(ひめがみ あいさ)】登場。どちらも禁書からのカメオ出演である。小萌先生は2話にも登場。ここは原作では小萌先生ではなく【吹寄制理(ふきよせ せいり)】というキャラなのだがやはり担当声優さんが休業中のためか2話(食蜂のリモコンを取る係)・18話(美琴の3番目の夢)と同様に変更されている。
警策の目に言及するくだりでも思ったが、原作は瞳の描き方が感情に応じて変わるのに対してアニメは一定なのがちょっと気になる。いまいち迫力不足。
「はうあっ!!?ま、まずいです……任務中なのに……」
急に声が可愛くなって笑うしかない。猟虎のお嬢様学生としての一面が描写されてシリアスに寄りきらないのが面白い。猟虎CVは鈴代紗弓さんで「ぼくたちは勉強ができない」の武元うるか役でおなじみ。ぼく勉は全話視聴してうるか推しなので思い入れがあるのだが、快活なうるかとはまた違う可愛さを感じる。フレンダ編は猟虎のモノローグが多めで、お嬢様の可憐さ、冷静な観察眼、狂気的な執着、コミュ障ぼっちの嫉みと多様な演技が聞けるのが素晴らしい。馬場くん回に匹敵するゲスト声優さんの聴きどころが豊富なエピソードである。
(なんとか口車に乗せて……)
「二手に分かれましょう」
視聴者的にはフレンダが善人でないのを知っているので、極限状況が「一食の恩」のキャパシティを超えるときがついに来たという予想できるシーンなのだが、フレンダの利己心より先に佐天さんのお人好しが発動して予想を裏切ってくる。フレンダ的にはちょうど見捨てることを考えていた瞬間だったので、自分の企みを見透かされたように感じたのではないだろうか。無力な佐天さんの自己犠牲に心打たれた、などという善性心理ではなく、強者としての矜持を刺激され侠客的心理が働いたと個人的には解釈する。原作では佐天さんは脚を震わせているのだがアニメだと震えているのが分かりにくかったのが残念。
「足手まといにしかならないレベル0も、命を投げ打つ覚悟があるなら立派な戦力って訳よ!」
美琴や黒子・初春はレベル差に関係なく佐天さんを「友人」として尊重しているが「戦力」として期待したことはない。(アニオリパートでは結構ある。)フレンダがここで佐天さんを気遣ったりする動機がないので本心からの発言ということになり、美琴たちに救われてからもほんの少しくすぶっていた佐天さんの無力感を払拭するセリフと言える。メイン4人の間では成し得なかった関係性の描写がお見事。
人形に反応する人物を見つけて襲撃者を特定するフレンダ。推理ものにおける「犯人しか知らない情報を言わせる」方法である。かしこい。佐天さんでも持ちきれない量の人形を小柄なフレンダがどうやって持ち歩いてたんだよという長年の疑念が表出してくるが、まあ細けえことはいいんだよ。
バトル自体は短めだがそのぶん作画がダイナミック。空気銃や爆弾をアクロバティックに回避するフレンダと猟虎の動きが派手で見応えがある。佐天さんが逃げ切るまで時間をかせいだのは、フレンダの善性というよりはあくまで佐天さんを守ることが課せられたミッションである、という彼女の仕事人ぶりを感じさせる。
「Ha det bra〜♪(サヨナラ)」
原作だと!マークだがアニメだと♪マークが相応しい声色。敗者に対する煽り・勝利宣言としてこれ以上ないものとなっている。気づかれずに蹴落とせばいいのにわざわざ口に爆弾を入れるあたりもフレンダのサディスティックな一面が見える。
【垣根帝督】登場。レベル5の一人で誉望らの組織【スクール】を率いる。超電磁砲のみ視聴の人でもT1話に登場するので覚えている人は彼がリーダーだと分かったのでは。目下の猟虎を威圧して黙らせているので美琴や食蜂・軍覇と比較してあまり性格がよろしくないのは推察できる。副官的ポジションと思われる女性、心理定規の能力は「他人との心の距離を操る」ものらしい。仮に佐天さんが捕まったとしてもスパッと情報を引き出されて、口外させない程度の心理操作は可能だとしたら普通に開放されたかもしれない。
「全力で私に付き合ってくれた、これってもう友情ですよね?」
……独特な世界観をお持ちだ。フレンダと佐天さんが互いの世界の違いから控えめに友情らしきものを構築しているのに対して、猟虎は一方的・一足飛びに友情を確信しているところが対比的に描かれているように思う。こわい。ここの狂気の演技は音声加工なしで聞いてみたかった気もする。
「夕飯作りすぎちゃってさ、よかったら食べてってよ。」
初春の肩の怪我は1週間の間に起きた禁書内での出来事によるもの。夜中までフレンダを待つも、会えないことを悟った佐天さん。悲しい。佐天さんの視点では「無事を知らせるまではされたけど、やはり住む世界の違いにより拒絶された」という認識になるだろう。タイトルの「Ha det bra」が刺さる。原作のここの表情は正面のアングルで大変深みがあるのでぜひ見てほしい。
さて次回からついに最終章に突入。美琴の夢に登場したこのゼブラ髪のキャラクターの演技が楽しみである。
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