2020年08月01日
とある科学の超電磁砲T 16話感想 早めのテンポだが原作に忠実な新章導入
第16話「天賦夢路(ドリームランカー)」
※原作未読の方はコメントオフでの視聴をオススメします。
あらすじ
学園都市では他人の夢を観られるカード「インディアンポーカー」が密かに流行する。
一方で黒子と初春は惨劇を予知するアプリの存在を知り、検証して事故を未然に防ぐ。
黒子は近くで事故を監視していたアプリの製作者、美山写影と接触する。
感想
今回から新章突入、実に9週ぶりの放送である。世相的なアクシデントの結果ではあるが、前回の情感的なエンディングから日常的エピソードに戻るまでの余韻として機能したようにも思う。また、予告映像を見る限りではかなり先の方まで作画が進んでいるようで、結果として高いクオリティが期待できそうなので、災い転じて福となってくれればありがたいものである。
「ごきげんよう、御坂さん」
帆風潤子さん5話以来の登場。このボリュームの髪をどうやって水泳キャップに収納していたのかは謎である。縦ロールの形状が保持されているのもスゴい。原作では美琴はキャップ姿でも帆風と認識できていたがアニメでは名前の紹介も兼ねてか、改めて帆風さんが自己紹介している。彼女が言及した「女手だけでは入手不可能な」ゲコ太のストラップを美琴がどう入手したかは禁書2期をご覧ください。
「そぉんなにトイレに行きたかったんだぁ?」
トイレに行きたくて上級生を威圧するシーン、アニメにおいては実に3度めのコールバックである。なんてひどい仕打ちだ。後に「お詫び」として美琴にインディアンポーカーを渡す帆風さんだが、ここで説明を忘れるあたり結構うっかりさんのようだ。後の彼女の「夢」でも食蜂にそう言われているので自覚がありそう。
新OPは安定のfripSideでもはや他のアーティストになるイメージが湧いてこない。タイトル「dual existence」は直訳すると「二重の存在」で、若干のネタバレとなるが今回もストーリーに沿ったタイトルになっている。八木沼悟志さんによる激しく疾走感のあるメロディーと南條愛乃さんの清澄で切ない高音ヴォーカルのコラボレーションが心地よい。
美琴が見た夢は帆風さん自身が書き込んだものと思われるが、「ゲコ太やピョン子らと戯れたあとにメイドとして食蜂に奉仕する」という美琴にとっては前半が天国で後半が地獄になる体験だった。カードがオレンジ色なので帆風さんはこれを「幸せ」と感じているわけであって、当人は出てこないが夢の内容を通して彼女の性格ががっつり描写されている面白いシーン。
復ッ活ッ 変態黒子復活ッッ 記憶は14話の時点で戻っていたがここにきて完全に本調子になったように思う。詳しくは次回の描写になるが美山写影くんとのやりとりでは正義の風紀委員としてカッコいい側面が強調されるので、超電磁砲Tの範囲においては貴重な変態描写である。CV新井さんの演技にもキレが見られる。
食蜂と美琴をインディアンポーカーに誘うも「女王」の一声であっさり引き下がる帆風さん。原作ではやや意味深なコマ割りがされていたので心理掌握を使用したのかと思ったが、リモコンを操作していないので単に帆風さんの忠誠心が発揮された結果と思われる。
【BLAU】登場。まあ禁書をご覧の方にはおなじみの「青髪ピアス(本名不明)」なのだが。成人向けな夢の話をしていることは誰にもわかると思うが、よくよく考えると内容が隠れているので「ピー音=いかがわしい」という文脈が共有されていることが前提な、そこそこハイコンテクストな描写と言えるかもしれない。インディアンポーカーが非正規品なので法整備などがまったくされてないことを示すシーンでもあるので、下ネタギャグではあるがテーマ的にけっこう重要なシーン……かもしれない。
どうでもいいがジャケットを着ている右の男は馬場くんの同僚で査楽というキャラらしい。禁書は詳しくないのだが、馬場くんが6話で湾内泡浮ペアに対して下劣な報復を画策していたことを考えると、エッチな夢だけで満足する査楽は馬場くんよりはかなりピュアな男であることが想像できる。いや知らんけど。
「お二人は気になる殿方の夢はご覧になるのですか?」
その二人気になる殿方一緒なんすよ。今回は冒頭の「幸せな夢」もそうだが、主君(食蜂)と同志(美琴)を仲良くさせたがったり、中3にして下ネタの知識がまったくなかったりと帆風さんの個性が濃く描写されたエピソードとも言える。かわいい。スピンオフの主役を張ることになったのも納得の魅力である。「アストラル・バディ」は今月で最終回を迎えるようだが、また超電磁砲本編のほうでも活躍を期待したいところ。
16話待ってました……!食蜂と美琴を仲良くさせたい帆風さんかわいすぎる。 #超電磁砲T #帆風潤子 pic.twitter.com/ausk77FB56
— ぺーた (@peta_) July 24, 2020
「このアプリ、まだ起きていない未来の事故まで登録されているらしいんです。」
事件・事故を予知するアプリを検証する黒子と初春。いわゆるポケモンGO系のARアプリと美琴が持つようなガラケーが共存しているところに禁書シリーズの長続きを実感する。超能力が存在・周知されている世界であれば予知能力もすんなり受け入れられそうなものだが、それでも自作自演説が出るあたり予知は希少な能力であることが推察できる。
予知時間ジャストでは不発で(「マスクをしている=不審」という記号がもはや懐かしい)結果的に10分後の事故(の深刻化)を防ぐことに。未然に知っていたおかげもあるが、アプリの内容に懐疑的でありながら「場所にズレがある」と判断できた黒子の冷静さが光る。一瞬で動けるのでギリギリまで思考する癖がついているのかもしれない。
【美山写影】登場。予知能力もさることながら10歳でスマホアプリを制作できる才能がすごい。大人びているが3つ年上のお姉さんを呼び捨てにするなど普遍的な礼儀は重視していない印象。悪用を防ぐために書庫に載っている情報が制限されているところが世界観のリアリティを感じて好きなポイントである。(食蜂の能力もこの類の危険があるはずだが、彼女の場合は広く洗脳することで危険回避しているのかもしれない。)
今回だけの演出かもしれないがEDのイントロが本編に食い込んでいる。EDを歌うのは15話の挿入歌も担当したsajou no hana。この曲「青嵐のように」は軽快なギターリフが印象的なので効果的な演出になるのでは。ノスタルジックな風景を心に描かせるメロディーと、サビの部分でぐっと伸びるヴォーカルが本格的。「とある科学の一方通行」の「Parole」もsajou no hanaによるものだが、真逆の爽やかさに満ちていて面白い。
今週はなんと原作80ページ分もの描写を消化しているのでなかなかテンポが早かった印象。(1クール目のエピソードはだいたい50ページ程度)原作3巻分を10話で終わらせなければいけないので、2クール目はこのペースが標準となりそうだ。脚本家の手腕が問われるが、今回の原作再現度はかなり高いので今後も期待できそうである。
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