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2022年02月24日

【ブックレビュー】ソフトバンク、Amazon、ベネッセ・・あの会社の『本業』はイメージと全く違う?『決算書で読む ヤバい本業 伸びる副業』

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働き方改革の話題でも取り上げられることがある「副業」。言葉のイメージも何となくポジティブにどんどん変わっていますね。

では個人ではなく、会社経営で「副業」という言葉はどのような響きを持っているでしょうか

そもそもあまり会社には使わない言葉ですが、つかうとしたらやはりネガティブではないでしょうか。

「本業に目もくれず副業にかまけたあげくに破綻した」って具合ですね。

しかし現代の経営において「副業」は重要な意味を持っているようです。





それを教えてくれるのが本書『決算書で読む ヤバい本業 伸びる副業』(長谷川正人著、日本経済新聞社)

著者は『ヤバい決算書』など会計入門書で人気の証券アナリスト。有名企業が公表する決算書などから、企業の「副業」の実情に迫ります。

とくに着目するのが「セグメント情報」。

セグメント情報とは、売り上げや利益、資産や負債、キャッシュフローなどの財務情報を、事業単位などに分解した情報で、上場会社の有価証券報告書などで開示されています。

つまり、セグメント情報からは、ざっくりとその会社が手掛ける、各事業の規模、業績、投資の積極性などを知ることができるのです。

本書の分析から見えてくるのは、大企業は一般に知られる本業のほかに副業と呼べる事業が大きく発展している場合が多いこと。それどころか、本業と副業の区別がつかなくなっていることも珍しくない。




たとえば、携帯電話キャリアが「本業」と一般にはイメージされるソフトバンクが、積極的な資金調達により多様な業種の企業をM&Aで取得してバランスシートを拡大、日々ダイナミックに業態を変えている姿を資料から分析しています。

また、情報流出問題、少子化などによる需要の職掌などの局面もありながら、おなじみの「進研ゼミ」の教育産業と肩を並べるほどに介護事業を成長させ、2本柱に構えるベネッセ。

社名に示される本業が、ほぼ業務から消えている富士フイルム、日立造船などは「本業」はもはやイメージの中にしかなく、老舗としての信頼を担保するためのブランドになっています。

紹介される企業はほかに、アマゾン、楽天、フジテレビ、HIS、イオン、LINE、クックパッドなど。それぞれ、多くの人が共通してもつ本業のイメージがありますが、その実態は?。

ITをはじめとした技術発展で、企業のコア事業も激変の渦にさらされています。

「大企業病」といった言葉でも示されるように、今まで成功していた「本業」へ過度のこだわりが原因で、衰退する事例は数多く、しかもそのスパンは速くなる一方です。

本書は変化の激しい経済状況で、現代の企業経営は「副業」(と呼ぶかはともかくとして)によって、業態を日々組み変えていく必要があることを教えてくれます。

財務諸表の基本的な知識(特にキャッシュフロー計算書)は必要ですがが記述は非常にわかりやすく、PL、BSの基礎のおさらいしながら読み進めることができる良書。おすすめです。




posted by ちゃんにし at 13:00 | Comment(0) | 書評

2022年02月02日

【ブックレビュー】『元営業部長だから知っている 不動産投資騙しの手口』は、不動産業者の言葉の「裏」を読み、リスクを知る本

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不動産会社というのはなかなか因果な商売だ。ここまで顧客から「何か騙されているのではないか」という疑いの目でみられる職業もそうはない。

それも当然と言えば当然。動く金額が大きいし、売り手と買い手のいわゆる「情報の非対称」が大きい商いだからだ。

マイホームの購入時はもちろん、これが投資用不動産となるとさらにブラックボックス。リアリティがなくなるというか、相手に情報をコントロールされている感が大きくなる。疑い深くなってしかるべきなのだ。

しかし、相手は百戦錬磨の営業担当者。

疑いの目を向けていたとしても、最終的にはさほど商品知識のないまま、うまく乗せられ、ノリで決めてる人が多い気もする。

疑い出せばきりがないし、そもそも何を疑ってよいかわからないし。話を聞いている時点で投資に色気があるのだからなおさらである。



本書『元営業部長だから知っている 不動産投資 騙しの手口』(前田浩司著、秀和システム)は、元投資用不動産の営業部長が、不動産投資の営業パーソンによる典型的な売り文句を挙げて、その言葉の裏にどのようなネガティブ情報が隠れているかを解説する。

とりあげられる売り言葉は数多い

「家賃保証により空き家リスクがない」、「自己資金ゼロでできる」、最近だと、老後2000万円問題と関連させ「年金代わり」という言葉もある。「駅近・新築」など、それ自体はよいことに違いない言葉でも、確認しておくべきことは多いという。

最近ではローンをかなり無理に組んでいる例も話題となった。本書でもローンについてはかぼちゃの馬車、スルガ銀行などの事例を紹介しながら詳しく書かれている。

条件的に組めるはずのないローンを通してしまう融資詐欺まがいのケース。また与信枠がいっぱいになり、後で自分自身の家を買えなくなる、というケースなどなど。「後は野となれ山となれ」で購入を勧めるリアルな営業担当者の姿を描写している。

不動産業には、情報の非対称を埋めるべく説明義務などの規制があるが、口頭の説明は空に消えてしまうもので「言った言わない問題」になりがち。というか「言ったもん勝ち」になりがち。契約書や約款を細かく読むのも難しい。違法であるか合法であるかグレーであるかはともかく、微妙な騙しのテクニックが入り込む余地が多数あるようだ




私もたまたま聞いたことがあって面白かったのが「当社は社員もみんな不動産投資をやっています」という言葉。

これ、古典的な投資案件の断り文句「そんなに儲かるならあなたがやればいいじゃん」というツッコミを避けるためなのだと思われるのだが、本書では、「そう言ってる会社の社員、実はやっていない人多い」と暴露をしてて笑ってしまった。正面からウソやないかい。

本書の魅力は、逆説的なのだが、紹介されるだまし文句のほとんどがありふれたものであること。

表紙がものものしいブラックなので、ディープな裏話かと思ったがそうでもない。露骨な詐欺事例も紹介されてはいるが、多くは微妙な言い回しに隠れる言葉のあやのようなもの。

変な話、営業であればそうするだろうな、というものばかり。たとえば、物件はなるべく売れ残りを押し付けようとしてくると紹介されているが、言われてみれば「ですよね」だ。

だから読み終わった時「全部、何となく知ってたもん」と言いたくなる。

しかし、実際に売り込まれたとき、しっかり言葉の裏をしらみつぶしに検討できるかというと別問題。

なんとなく疑ってるだけでは決局なにもできない

著者は業界の人でもあり、不動産投資自体を否定するわけではない。投資やるならしっかりやろうよ、このくらいは一度立ち止まって調べようよ、という穏当な物の見方を、丁寧に教えてくれる本だ。

不動産投資は、やる人はやるのだろうし、ある程度のリスクは誰もが覚悟の上。あたりまえだが失敗することもあれば成功することもある。

最初から買う気がない人ならともかく、興味がある人に必要なのは毒々しい警告ではない。不動産投資に嫌悪感を持つ人より、今の時点で興味津々の人に役に立つ一冊だろう。





posted by ちゃんにし at 19:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評
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