スコットランド北部・ハイランド地区、インヴァネスにあるイギリス最大の淡水湖。
それがネス湖(Loch Ness)
長さ約35km、幅約2kmの細長い湖で、湖水はネス川に導かれ、湾に注ぎ込まれていきます。
ちなみにインヴァネスという地名は「ネス川の河口」を意味しています。
さて、ネス湖の名前が世界的に知られる要因といえば、なんといっても「ネッシー」でしょう。
湖のヌシとして首長竜、ネッシー(Nessie=Loch Ness Monster)がいるという伝説は、6世紀から語り継がれてきました。
ということで、私もネッシー探そうということでインヴァネス市街からバスで、1時間程度で湖に到着。
湖のほとりに建つのは、アーカート城の廃墟。
この場所にははじめ古代スコットランドの民族「ピクト人」の有力者が拠点を築いたとされ、時代ごとに主を変えながら城が構えられました。
歴代の城主たちを紹介するパネル。
1296年にイングランドのエドワード1世が占拠し、スコットランド独立戦争の最前線として激しい戦闘の舞台に。その後、王城として、また貴族の所有になったり、度重なる戦闘で破壊され、1700年代末に持ち主を失い放置されたとのこと。
城壁とタワー部分が残っていて立派な城の様相がわかります。湖にせり出し佇む廃墟は、歴史のロマンを感じさせる眺めを作り出します。さぞ美しいお城だったのでしょう。
城跡周りは地下のゲートから入り、タワーの中に入場することもできます。
さて、ネッシーの話に戻ります。
ネッシーに関する文献として、スコットランドにキリスト教を布教した聖コルンバの伝記に記された、巨大な怪物との遭遇のエピソードが有名です。同地に古代からあった伝説が、キリスト教の伝道とも結びついていったのです。
以来、形を変えながら様々な創作物で取り扱われ、何度もブームが起き、現在に至るまで「目撃情報」が絶えません。
現代ネッシーブームの火付け役となったのは、ネッシーの写真としてもっとも有名なこれでしょう。
1934年にロンドンの医師が撮影し、タブロイド紙に掲載されたもの。
現在、この写真は捏造説が有力となっています。
そして、そのほかの怪獣伝説、目撃証言などについては、動物、魚類、植物説まで侃々諤々(?)。2018年の研究では、巨大ウナギの存在が発端であったのでは、との説が話題になりました。
とにもかくにも、古代から伝わる怪獣伝説が宗教的な挿話として、また文学や映像作品、サブカルチャー、オカルトネタとして形を変え、時代時代で受容されたというのはすごいこと。
デジタル時代にもばっちり親和して、雑コラとかネタ動画とか含め、Youtubeでもおなじみのネタとなっています。
ネス湖近くには『ネッシーランド』という資料館もあり、ネッシー伝説についての展示や、子供向けアトラクションなどもあります。
ネッシーを見つけることはできなくても、静かな湖畔で、おいしい空気を吸い、ゆったりとした一日を過ごすことができます。