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2023年04月11日

鱒なんだか鮭なんだか「マスサーモン」の正体とは

サケとマスの違いは、降海するのがサケで、淡水でずっと過ごすのがマスというざっくりした分け方があるものの、学術的というより、食をはじめとした、私たちの文化が作り出した分け方といえるもの。

日本の鮭と鱒に対応する(といっても厳密には差異があるのだけど)、英語のsalmonとtroutも同様に、種としてはっきりわけられるわけではありません。

という話を何度かしていたのですが、いくらなんでもそれはないだろう、という魚の名前を発見しました。それは「マスサーモン(masu salmon)」。

まぎらわしいです。ちょっといいかげんにしてください!
実はこのマスサーモンは、英語でサクラマスを指す言葉。

サクラマスは、カムチャッカ半島や千島、樺太、日本や台湾、韓国などにも生息するサケ目サケ科に属する魚。繁殖期になると、ピンクがかった桜色の婚姻色が現れることから、日本ではこの名で呼ばれています。ちなみに、サクラマスの降海しない陸封型のものはヤマメです。

masu salmonと、英語名に日本語であるマスが入っていることからもうかがえるように、やはり日本に多く分布している魚であることから名づけられたもの。日本語を採用してもらったばっかりに、なかなか欲張りな名前になってしまったのですね。

そのほか、cherry salmonという呼び名もあり、これは日本名のサクラマスを訳したものだと思われます。

ほかに Oncorhynchus masouという言い方もあるそうです。やはりマスが入ってますね。なお、Oncorhynchusは、タイヘイヨウサケ属を示す学名。つまり、学名でもマスという呼び名が使われているわけです。

なんだか誇らしくなりませんか。ならねえか。

以上、いかに鮭と鱒、salmonとtroutの用語が入り乱れて大変なことになっているかという話でした。
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