2021年05月06日
【夜空に部屋を浮かべて】 05
アパートの5階は先生だけの部屋になっている。
マモルがチャイムを押すと「入ってこーい」と中から先生の声がした。
玄関の扉を開けるとそこはホンワリとした光で溢れていた。
部屋の中を照らしている光はすべて植物や動物、魚なんかの光だ。
「こんばんは」
そう言って僕は先生に提灯ガエルを渡した。
「おう、青色提灯ガエルだな」
先生は提灯ガエルを受け取ると、机の上にいる赤色提灯ガエルの横に並べて置いた。
提灯ガエルは体を膨らませると赤色と青色の光を交互に光らせ始めた。
僕たちは部屋の中をぐるりと見渡す。
本当にいろんな光がある。
3つある大きな水槽には光る魚やクラゲなんかが入っていてゆっくりと泳いでいる。
部屋中いたるところに光る植物が置かれている。
そして部屋の奥ではトサカとクチバシを光らせたアンドンチョウが電気スタンドみたいな感じでジ〜として 立っている。
「お前ら汗だくだな、ちょっと待っとれ」
そう言って先生はタオルを持ってきて僕とマモルの顔をゴシゴシと拭いた。
それから台所へ行き冷蔵庫からジュースを取り出すとコップに注ぎ僕たちの所に持ってきてくれた。
びっくりしたことにジュースまでほんのりと光っている。
「ありがとうございます」
お礼を言って僕たちはジュースを一気に飲み干した。
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