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2019年05月23日

β遮断薬長期投与、肝硬変の代償不全を予防

(腹水のコントロールは利尿剤、特にサムスカだけかと思っていたが、β遮断薬が効果があるとは、ただし、反応のある人と反応のない人との違いは何なのか?
静注より内服の方が、継続可能だと思われた)


β遮断薬長期投与、肝硬変の代償不全を予防/Lancet
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/08肝硬変(腹腔鏡).jpg


代償性肝硬変および臨床的に重要な門脈圧亢進症(CSPH)の患者では、
β遮断薬の長期投与により代償不全(腹水、胃腸出血、脳症)のない生存が改善されることが、
スペイン・バルセロナ自治大学のCandid Villanueva氏らが実施したPREDESCI試験で示された。
研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年3月22日号に掲載された。

肝硬変における臨床的な代償不全は予後不良とされる。
CSPH(門脈圧亢進症)は、肝静脈圧較差(HVPG)≧10mmHgで定義され、代償不全の最も強力な予測因子だという。

代償不全/死亡をプラセボと比較

本研究は、β遮断薬によるHVPG(肝静脈圧較差)低下が、
CSPH(門脈圧亢進症)を伴う代償性肝硬変における代償不全や死亡のリスクを低減するかを
検証する研究者主導の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験である(Spanish Ministries of Health and Economyの助成による)。

高リスクの静脈瘤のない代償性肝硬変およびCSPH(門脈圧亢進症)で、
HVPG(肝静脈圧較差)≧10mmHgの患者(年齢18〜80歳)を登録し、プロプラノロール静脈内投与によるHVPG(肝静脈圧較差)の急性反応を評価した。

レスポンダー(HVPGがベースラインから>10%低下)は、
プロプラノロール(40〜160mg、1日2回)またはプラセボを投与する群に、
非レスポンダーはカルベジロール(≦25mg/日)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。

主要エンドポイントは、肝硬変の代償不全
(腹水、門脈圧亢進症関連の胃腸出血、顕性肝性脳症の発現と定義)
または死亡とした。
肝硬変模式図.jpg

代償性肝硬変では、
代償不全が発症する前の死亡は、ほとんどが肝臓とは関連がないため、
肝臓非関連死を競合イベントとしたintention-to-treat解析が行われた。

主要エンドポイント16% vs.27%、腹水の発生低下が主要因
 
2010年1月〜2013年7月の期間に、スペインの8施設で201例が登録され、
β遮断薬群に100例(平均年齢60歳、男性59%、プロプラノロール67例、カルベジロール33例)、
プラセボ群には101例(59歳、63%)が割り付けられた。
フォローアップ期間中央値は37ヵ月だった。

主要エンドポイントの発生率は、
β遮断薬群が16%(16/100例)と、プラセボ群の27%(27/101例)に比べ有意に低かった
(ハザード比[HR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.26〜0.97、p=0.041)。

この両群の差は、β遮断薬群で腹水の発生が少なかったためであり(9% vs.20%、0.42、0.19〜0.92、p=0.0297)、

胃腸出血(4% vs.3%、1.52、0.34〜6.82、p=0.61)および
顕性肝性脳症(4% vs.5%、0.92、0.40〜2.21、p=0.98)には差はみられなかった。

全体の有害事象の発生は、両群でほぼ同等であった(β遮断薬群84% vs.プラセボ群87%)。
治療に関連する可能性があると判定された有害事象は、それぞれ39%、30%、
その可能性が高いと判定された有害事象は16%、15%であった。

6例に重度の有害事象が認められ、β遮断薬群が4例、プラセボ群は2例だった。

著者は、「この非選択的β遮断薬の新たな適応は、患者転帰の改善や医療費の抑制に多大な効果をもたらし、今後、臨床ガイドラインに影響を及ぼす可能性がある」としている。
(医学ライター 菅野 守)

原著論文はこちら
Villanueva C, et al. Lancet. 2019 Mar 22. [Epub ahead of print]

2019年05月22日

糖尿病の患者教育に家族参加で不安が軽減

(糖尿病患者への説明だけではなく、家族全員に説明し、理解してもらうことは糖尿病に対する偏見をなくすためにも必要!)

糖尿病の患者教育に家族参加で不安が軽減
提供元:HealthDay News 公開日:2019/04/08

糖尿病患者は、自分の将来や合併症への大きな不安を抱えているが、その家族も例外ではない。
米ニューヨーク州立アップステート医科大学の精神医学・行動科学教授のPaula Trief氏らは、
糖尿病の患者教育にパートナーが参加すると、
糖尿病に対する不安が軽減し、患者と家族の関係性も良好になるという研究結果を「Diabetic Medicine」4月号に発表した。

Trief氏らは今回、糖尿病の患者教育にパートナーが参加することで、
パートナーの精神面や身体面、生活習慣にどのような影響が出るのかを調べるため、
ランダム化比較試験を実施した。
研究には糖尿病患者のパートナー268人(平均年齢55.8歳、女性64.6%)が参加した。

その結果、糖尿病の患者教育をパートナーと一緒に受けると、
パートナーの糖尿病に対する不安が軽減し、配偶者への満足度が増加したほか、拡張期血圧が改善したことが分かった。
Trief氏は、糖尿病患者とそのパートナーには、「私たちは共にある」という姿勢や態度が、自分たちの救いになるかもしれないと述べている。
糖尿病患者にとっても、パートナーにとっても、互いに協力することで、糖尿病に対する不安が軽減する可能性がある。
さらに、同氏によれば、診療に家族が同席しても費用はかからず、この方法は費用対効果も高いという。

糖尿病患者と暮らす生活がどのようなものか、家族でも理解するのは容易なことではない。
Giuseppina Miller氏は、8歳の息子、Peter君が1型糖尿病と診断された当時を、
「真夜中に血糖値を測定するために寝不足となり、常に不安だった。
妹たちはストレスを感じ、何となく無視されていると感じるようになった」と振り返る。

当時5歳と7歳だった幼い妹たちは、
なぜ、兄に突然両親の関心が注がれるようになったのか理解できず、
兄の糖尿病をからかうこともあったという。

Miller氏は、幼い妹たちにも兄と同じような生活をさせれば、
彼が抱えている病気について理解できるのではないかと考えた。

当時、兄は使用しているインスリンの影響で非常に厳格な食事を取っていたが、
妹たちにも同じ食事を取らせて、兄を同じ暮らしを体験させた。
兄が血糖測定するときは、妹たちの指にも針を刺した。

妹たちは実際にはインスリン注射はできないが、
1日を兄と同じように生活することで彼が対処しなければならないことを理解できたようだったという。

この事例のように、多くの人は1型糖尿病や2型糖尿病と共に生きる人生がどのようなものであるかを理解するのに困難さを感じている。

米Behavioral Diabetes Institute会長のWilliam Polonsky氏は
「糖尿病には目に見えない形の非難や恥がまとわりつく」と指摘する。

糖尿病と診断されると、多くの人が、知能が低下したかのような扱いを受けることがあると語る。

ゆっくり大きな声で話しかけたり、何をすべきか説教したりする人もいる。
糖尿病になったのはその人の責任だと勝手に思う人さえいるという。

また、家族や友人が助言をしてくるのは、心配で力になろうとしているためだが、
一番助けになることは何かを尋ねるのではなく、推測でものをいうことも多い。

「血糖値を測った?」
「なぜ血糖値がこんなに高いの?」
「本当にこれを食べていいの?」
「インターネットで見たこの最新治療を試してみた?」
といった具合に干渉してくる人もいる。

Polonsky氏は、患者に声をかけるときは「どうやったら彼らの力になれるのかをシンプルに尋ねてみる方が良い」と助言する。

「糖尿病を患う愛する人が健康的な生活習慣に変えたいと思っていたら、
どうすべきかをアドバイスするのではなく、一緒に運動に誘ってみるのが良いだろう」
と同氏は付け加えている。

さらに、Miller氏は、糖尿病は兄弟姉妹、配偶者、祖父母、友人などすべての人間関係に影響を与えると指摘する。
「糖尿病にどのように対処するかは人それぞれで異なる。互いの長所と短所を尊重してほしい」と述べている。
[2019年3月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.

原著論文はこちら
Trief PM, et al. Diabet Med. 2019; 36: 473-481.

2019年05月21日

歯を抜かずに症状悪化 誤解が多い矯正治療

(下顎発育不全、硬いものを噛まなくて良くなった分、顎が小さくなった。
しかし、生えてくる歯の数は同じ。ガタガタになるのは道理!
狭いところに綺麗に並べるためには途中間引きしないといけないのは素人にも分かる!)


歯を抜かずに症状悪化
誤解が多い矯正治療
歯を抜かなければならない症例.jpg


歯並びや歯のかみ合わせに悩む人は多い。
しかし、歯の矯正に関しては誤解が付きまとう。
矯正というと、歯を抜かない治療だと思い込んでいるケースが多いからだ。

抜歯しないと症状が改善しないだけでなく、かえって悪化することもある。
歯科専門開業医でつくる日本臨床矯正歯科医会は、
永久歯を含めた抜歯が必要なケースがあることを分かってほしいと啓発活動に力を入れている。

◇知らない非抜歯デメリット

「歯を抜かないと、歯並びや歯のかみ合わせが治らないことがある」。
同医師会の稲毛滋自会長は、こう強調する。

2019年3月にインターネットを使って1500人の一般市民を対象にした調査によると、
稲毛会長の指摘した問題については56・3%の人が「知っている」と回答した。

ただ、「無理に歯を抜かずに並べることで、歯の寿命が短く場合があることを知っているか」
「歯を抜かないがために無理に顎を広げて歯を並べると、治療後の歯並びが安定しないことを知っているか」
という質問では、
「知っている」が前者で15・7%、
後者では20・7%にとどまった。
非抜歯矯正に伴うデメリットに関する周知度は低い。

◇小臼歯が壊死

歯の矯正に関するトラブルは決して少なくはない。
30歳の女性は以前受けた治療を大変後悔している。

非抜歯での治療をしていたが、
装置を外した後、歯並びがしっくりなじまず、
しゃべったり、笑ったりすると、
上の前歯が下唇に引っ掛かるような感じがしてとても不快だったという。

「気にし過ぎだ」。
通っていた医院側の反応は冷淡だった。

その後、右下第1小臼歯からうみのようなものが出ているのに気付き、レントゲン写真を撮った。
その結果、この歯と左下第2小臼歯の骨髄が壊死(えし)していたことが分かり、大きなショックを受けた。

◇一方的に治療終了

こんなケースもある。
歯並びを気にして悩んだ末に大学2年生の時に非抜歯の矯正医を受診。
「簡単な症例だ」と言われ、2年間治療を続けたが、
下顎の歯の歯根の露出が激しくなってきたことについて質問すると、
一方的に治療終了を告げられたという。結局、症状は改善されなかった。

この女性の場合は、歯根が骨にくっつき吸収されてしまう症状だ。

適切な治療のためには抜歯が必要だったが、
担当医師から非抜歯治療に関するリスクの説明はなかった。

割り切れない思いとともに、自分のような患者を増やしたくないという思いから、
歯科大学に編入し、歯科医師への道を目指しているという。

◇矯正への後悔

矯正歯科医会の会員アンケートに寄ると、患者らからの相談件数が増加している。

10代の男性「前歯が出っ歯ぎみだったため小学生の時に顎を広げる装置をつけ、
高校生になりワイヤによる矯正を1年9カ月行った。
しかし、口元が前に出てしまい、「矯正したことをとても後悔している。
再矯正するとしたら、小臼歯の抜歯しかないのか」と強い不満を示した。

◇歯並びを諦める

30代の女性は非抜歯で矯正を始めて2年ほどたった頃。
医師から治療の終了を告げられた。

かなりの出っ歯だったため、仕上がりには満足できなかった。

しかし、「これ以上治すなら、歯をもっと削らないといけない」と言われ、歯並びについては諦めた。

ただ、かみ合わせが合っていないことは諦められない。
下顎を少し前に出してかまなければならないからだ。医師との間でこんなやりとりがあった。

「顎の筋肉トレーニングをして下顎を前に出してかむのを当たり前にするのです」
「私は一生、普通にかむことはできないのですか」
「下顎を出しながらかむのが普通になります」

このような治療は当たり前なのだろうか? 女性は大きな疑問を感じた。

◇専門医でなくても看板に掲げる

稲毛会長は「まず抜かない、という手段ありきが最初にきていることがおかしい。
第3大臼歯(親知らず)以外の永久歯の抜歯も必要なことがあることを知ってほしい」と力を込める。

問題は、専門的なトレーニングを受けていない歯科医師に当たるケースが少なくないことだ。
なぜか。

歯科医師であれば誰でも、医院の看板に「矯正歯科」と記載し標榜できる。

しかし、矯正歯科医会のアンケート調査によると、このことを知っている人は12・3%にすぎなかった。
同医師会も、さらに周知への努力が求められている。(鈴木豊)

2019年05月20日

脳梗塞に対する血管内治療の現状と課題は?

(脳の栄養動脈にカテーテルを進めて、出来立ての血栓を絡めて根こそぎ取ってくる治療がゴールデンタイム3.5時間を過ぎてtPA投与の適応がなくなった症例でも有効!)

脳梗塞に対する血管内治療の現状と課題は?
兵庫医大・吉村氏がSTROKE2019で報告 2019年03月28日 05:00

日本における急性期脳梗塞に対する血管内治療の現状と課題について、
兵庫医科大学脳神経外科主任教授の吉村紳一氏が
第44回日本脳卒中学会(STROKE2019、3月21〜23日、横浜市)で報告。

急速に普及しつつある血管内治療について、さらなる適応拡大が望まれている点を指摘。
発症6時間以降をはじめ、広範囲脳梗塞、末梢血管閉塞、軽症例への適応拡大に向けた
臨床研究が進んでいることなどを解説した。

治療件数は増加するも地域格差が課題

吉村氏はまず、同氏らが主任研究者を務める超急性期脳梗塞に対する
血管内治療研究会(RESCUE-Japan Study Group)が推進する、
脳梗塞に対する血管内治療の普及に向けたRESCUE-Japan Projectで行った全国調査の最新データを紹介した。

調査は日本脳神経血管内治療学会全会員が対象で、回答率は100%近かった。

脳梗塞に対する血管内治療の施行件数は、2016年の7,702件から2017年には1万360件へと34.5%増加。
2018年については集計中だが、
治療件数は既に1万2,165件に達しており、
人口10万人当たりでは2016年が6.06件、2017年が8.15件、2018年が9.57件と、
着実に増加している。

専門医当たり、また治療施設当たりの治療件数も年々増えており、
吉村氏は「全体的に右肩上がりの状況にある」と述べた(表)。

表. RESCUE-Japan Project 全国調査(2016〜18年)脳梗塞血管内治療全国調査.jpg
(吉村紳一氏提供)

ただし、人口10万人当たりの治療件数を地域ごとに比較すると、
依然として地域格差が認められた。

治療施設当たりの治療件数が多い地域は総治療件数も多いことから、
「脳梗塞に対する血管内治療が可能な施設(脳卒中センター)に患者が搬送されることが、
その地域の治療件数を増やすことにつながる」と、同氏は説明した。

病院到着前に主幹動脈閉塞症(LVO)であることが予測できれば、
脳卒中センターに血管内治療の適応例を効率的に搬送できる。

同氏はLVO予測スコアについて、陽性的中率は最も良いスコアでも32%にとどまっており、
Mimicが多く含まれ、出血性脳卒中が鑑別できない上、
脳卒中の非専門家(救急隊員)が簡便に使用できないなどの問題点を指摘し、
「完全なスコアはまだない」と話した。

同氏が率いる兵庫医大の研究グループは、救急隊員が現場で評価可能な21項目の点数を
スマートフォンやタブレット端末に入力して病型(脳梗塞、脳出血)を判別する
「JUST Score」を開発しており、
「(日本脳神経血管内治療)学会を挙げて標準的な評価スケールをつくる試みがスタートしている」とした。

広範囲脳梗塞も血管内治療で良好な転帰

さらに血管内治療の課題として、吉村氏は地域格差に加え、適応拡大を挙げた。
現在検討されている適応は主に発症6時間以降、広範囲脳梗塞、末梢血管閉塞、軽症例の4つ。
同氏はそれぞれにおける臨床研究の進捗状況を次のようにまとめた。

発症6時間以降への適応拡大に関しては、
最終健常確認時刻から6〜24時間以内の症例を対象としたDAWN Trial、
発症後6〜16時間以内の症例を対象としたDEFUSE 3 Studyが行われ、
血管内治療群で非常に良好な転帰が得られている。

これを受けて2018年には、米国心臓協会(AHA)のガイドラインに
「最終健常確認時刻から6〜16時間以内の急性期LVOで、
DAWNまたはDEFUSE 3の登録基準に合致する患者においては血栓回収療法が勧められる」
と記載された。

一方、日本では日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本脳神経血管内治療学会が
2018年3月に合同策定した『経皮経管的脳血栓回収機器適正使用指針第3版』において、
「最終健常確認時刻から6時間を超えた脳梗塞(詳細条件あり)に対して
最終健常確認時刻から16時間以内の血管内治療開始が強く勧められる(グレードA)」と記された。

こうしたことから、同氏は「発症6時間以降への適応拡大は既に認められたと理解される」との見方を示した。

広範囲脳梗塞に関しては、
RESCUE-Japan Study Groupによるレジストリ研究RESCUE-Japan Registry 2のデータを用いた検討が行われ、
発症90日後のmodified Rankin Scale(mRS)が 0-3または0-2で評価した転帰
血管内治療群で有意に良好だった(順にP<0.001、P=0.017)。

さらに、広範囲脳梗塞を対象としたランダム化比較試験(RCT)RESCUE-Japan LIMITが進行中で、
海外でも複数のRCTが進められているという。

末梢血管閉塞については、RESCUE-Japan Registry 2のデータを用いた検討で、
血管内治療により比較的良好な転帰が得られているが、
中大脳動脈M3領域(脳表面を走る末梢領域)に限ると転帰不良であった。

吉村氏は「現在使用可能なステントでは安易に手を出すのは良くないかもしれない。
ただし、今年(2019年)には従来に比べ小型のステントなど、
新たなデバイスが多く使用できるようになるようだ。
デバイスの改良により克服できる部分があるのではないか」と展望した。

軽症例では、RESCUE-Japan Registry 2のデータ解析において、
血管内治療の有無で転帰に差はなく、
「軽症例全例に血管内治療を行うのは適切ではないだろう」とした。

最後に同氏は、
「レジストリ研究によって血管内治療の限界も明らかになりつつあり、
慎重な適応拡大が望まれる」とした上で、
「脳卒中センターの施設認定により、救急体制の改善と治療の質向上が期待される」と報告を締めくくった。
(STROKE2019 取材班)

2019年05月19日

子宮頸がんは撲滅可能、不作為は罪

(まさにタイトル通り!責任はだれが取るのか?)

子宮頸がんは撲滅可能、不作為は罪

神戸大学微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岩田健太郎
2019年04月01日 05:55

研究の背景:ワクチンとがん検診で達成可能な子宮頸がんの撲滅

子宮頸がんは(当然)女性の疾患だが、世界で毎年50万人以上が罹患していると見積もられる。

女性人口10万人当たり14件の発生である。
古典的な2価、あるいは4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンで
70〜84%の子宮頸がんを予防でき、
最新の9価のワクチン(日本未承認のGardasil 9)であれば
90%の予防効果があるとされる。

ただし、HPVワクチンは一度ウイルス感染が起きてしまうと予防効果は期待できない
よって、既に感染している女性についてはがん検診(スクリーニング)が重要となる。

従来はPAPスメアを用いた細胞診でスクリーニングが行われていたが、HPVを直接検出する方法の方がベターだ。
婦人科医などの診察がなくても、自分で検体を得ることができるのもHPV検査の利点だ。

がん検診は先進国で63%、途上国で19%のカバー率と言われている。
ちなみに日本の場合は4割程度と、先進国の中では受診率が低い。
http://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_30/outline/low.html

世界保健機関(WHO)は2018年に、子宮頸がんの将来的な撲滅を目標に掲げた。
ヒト・ヒト感染をするHPVの特徴を考えると、これは理論的には達成可能であろう。

では、この目標は具体的に、いつ達成可能なのであろうか。

これが今回紹介する研究のテーマである。

さまざまなパラメータにおける数理モデルを活用し、
子宮頸がん撲滅を具体的なものとする「まれながん閾値(rare cancer threshold、女性10万人当たり年間6例と定義されている)と「さらに低い閾値」(lower threshold、女性10万人当たり年間4例)を、「いつ」達成するかを計算したのである。
ワクチン接種.jpg

Simms KT, Steinberg J, Caruana M, Smith MA, Lew J-B, Soerjomataram I, et al. Impact of scaled up human papillomavirus vaccination and cervical screening and the potential for global elimination of cervical cancer in 181 countries, 2020-99: a modelling study. The Lancet Oncology. 2019 Mar 1;20(3):394-407.

研究のポイント:6つの対策シナリオの効果をシミュレーション

感染症は、病原体が他者に伝播することで「感染可能性のある感受性者」→「感染者」→「患者」へと移行していく。
その移行プロセスをモデル化し、既存のデータをベースに微分方程式を活用した感染症数理モデルが感染症流行予測に用いられている。
今回の研究も、基本的には同様の手法を用いたものである(詳しくは論文のSupplementary filesにあり。
私は北海道大学の西浦博教授のもとで数理モデルを10日ほど合宿形式で勉強させていただいたが、
この領域の専門家ではないので、学理の理解は十分でないことを白状しておく)。

データの基となったのは、世界181カ国での、2012年の国際がん研究機関(IARC)の国別、年齢別データである。

子宮頸がんは、国ごとの貧富の差や教育レベルで発生率が異なる。

そこで本研究では、人間開発指数(human development index;HDI)という指標を採用。
平均余命、教育、1人当たりの収入を用いたコンポジットな指標であるHDIに基づき、
各国を4つの階層に分類している(very-high、high、middle、low)。

日本は欧米諸国やオーストラリア、シンガポール、韓国などとともに「very high」に属する。
豊かで教育レベルが高く、長寿の国ということだ。

ワクチン・タイプのウイルスに対するHPVワクチンの効果は女性では100%、
男性(米国などでは男性に対しても積極的に接種している)では90%の効果という前提で計算された。

そして、現状よりさらに対策をスケールアップさせるという前提で、6つのシナリオが想定された。

例えば、2020年以降の12歳女児へのワクチンカバー率を全世界的に80〜100%に高める、
ターゲットとなる女性の70%に検診(HPV検査)がなされるなどの、
いろいろな指標を基につくられたシナリオだ。

さて、結果である。
まず「現状維持のまま」のシナリオだと、子宮頸がんは増える。
2020年には60万人の患者発生だが、2069年には130万人に増える。

人口増加と加齢が増加の原因だ。

この間に、総計4,440万人に子宮頸がんが発生するという。
現行のHPVワクチン接種が行われなければ、この数はさらに130万人増える。

これが、今すぐに「男女」へのワクチン接種(9価)を徹底し(80〜100%)、
HPV検査でのがん検診を高率で行えば、
数千万の子宮頸がんを回避できるというのが、
今回の研究の結果である。

2045〜49年までに
very high HDI国家で、
2055〜59年までにhigh HDI国家で、
2065〜69年までにmedium HDI国家で、
2085〜89年までにlow HDI国家で、
子宮頸がん発生率が女性10万当たり6例に下がると見積もられた。

そして、日本も属するvery high HDI国家では、今世紀末までにこの数字が0.8まで下がる。

現在、日本ではHPVワクチンを全く打っていない。
が、今からアグレッシブにワクチン接種とスクリーニングをすれば、
2055〜60年までに撲滅指標となる10万人当たり4例を達成でき、
2099年までに子宮頸がん発生率は女性10万人当たり0.8となる。

ちなみに、現状維持(今のまま)だと9.8と高いままだ(Supplementary files)。 

私の考察と臨床現場での考え方:現状維持で新規患者を増やし続けるのか?

HPV感染を原因とする子宮頸がんは、感染のブロックで減らすことができ、最終的には撲滅できるはずだ。
天然痘のように。

このシナリオは、既に国際的には十分に共有されている。
よって、議論の主眼は「どのように、どの規模で、どのスピードで、どこから金を集めて」という方法論の問題になる。

要するにゴールは既に設定されていて、そこに到達するまでのロードマップのつくり方が問題となる。
本研究は、ロードマップのつくり方の複数シナリオとそのもたらす結果を示したシミュレーションというわけだ。

このようなシミュレーションは、医学の領域ではまだあまり行われていない。
が、地震や洪水といった災害領域では盛んである。

私は、神戸大学都市安全研究センターという災害対策の拠点に所属している。
だから、他領域でのシミュレーションを時々勉強させていただいている。
医学領域もタコ壺化せず(今はとてもタコ壺だが)、
他領域から学ぶこうした試みをもっともっと行うべきだと思う。

さて、本研究が教えてくれるのは「現状維持ではダメだ」である。
現状維持では子宮頸がんは増え続ける。日本もまた例外ではない。

ところが、日本はワクチン接種の仕組みすら整っておらず、
「定期接種なんだけど積極的に勧奨しない」という訳の分からない状況になっている。

さらにいえば、日本ではGardasil 9がまだ承認されていない。
国際的には「痛い」ワクチンを3回から2回に減らそうという議論も進んでいるが、
ここでも日本は取り残されている(https://www.wakuchin.net/vaccine/hpv.html)。

日本は昔からワクチン後進国だが、今なお周回遅れの後進国なのだ。

現状維持ではダメだ。
本研究のメッセージはこれに尽きる。

よって、現状維持ではない、別のシナリオを選択せねばならない。
そのために、関係諸氏のアクションが必要だ。

政治や行政、メディア、そしてわれわれ医療者が積極的に本問題にコミットし、「今のままではないシナリオ」を選び取るよう仕向ける必要がある。

しつこいようだが繰り返す。
新たな患者を増やし続けている、現状維持という不作為は罪なのである。

岩田 健太郎(いわた けんたろう)

1971年、島根県生まれ。
島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。

著書に『悪魔の味方 − 米国医療の現場から』『感染症は実在しない − 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 − 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。

2019年05月18日

妊娠中の喫煙で乳児突然死リスクが2倍に

(タバコは血管を締めるので、胎盤の機能不全を誘導し、胎児への酸素供給が不十分で、脳神経細胞の成熟化が十分できずに生まれるためか?
タバコって、ロクでもない!
発がん物質で、肺気腫(肺がタバコの煙で溶けて酸素交換できなくなる病気、桂歌丸さんが、この病気で亡くなった)、血管を締めてしまうので、心筋梗塞、狭心症、脳卒中の原因にもなる。
ヒトに不利益しか与えないのになぜ全面禁止にできないのか?不思議だ!
ータバコから税収入を得ているからだろう)


妊娠中の喫煙で乳児突然死リスクが2倍に

2019年03月30日 06:00

妊娠中の母親の喫煙は、児の予期せぬ乳幼児突然死(SUID)の確立された危険因子である。

米・Seattle Children's Research InstituteのTatiana M. Anderson氏らは、
米国の約2,000万の出生児を解析し、
妊娠中の喫煙がSUIDに及ぼす影響を調べた結果、
母親が妊娠中に喫煙していた場合、SUIDのリスクが2倍以上に増加していたとPediatrics(2019年3月11日オンライン版)に発表した。
〔読み解くためのキーワード:予期せぬ乳幼児突然死(SUID)〕

1日1本でも2倍近いリスク

Anderson氏らは出生および乳児死亡に関連づけられた米疾病対策センター(CDC)の出生コホートデータを用い、母親の喫煙習慣と児のSUIDリスクとの関連を調べた。
解析対象は、2007〜11年の2,068万5,463例の出生と1万9,127例のSUID。
SUIDは特定できない原因、またはベッド内での偶発的な窒息や絞扼による1歳未満の死亡と定義した。

2011年には、母親の11.5%が妊娠3カ月前に喫煙しており、8.9%は妊娠中も喫煙していた。
また、妊娠前に喫煙していた母親のうち24.3%は、第1トリメスター(1〜13週)までに禁煙していた。

検討の結果、母親が妊娠中に1本も喫煙しなかった場合と比べ、
妊娠中に喫煙していた場合、SUIDの調整後オッズ比(aOR)は2.44(95%CI 2.31〜2.57)であった。

1日当たりの喫煙本数が1本でもaORは1.98(同1.73〜2.28)で、さらに1本増えるごとにオッズは0.07増加。
20本を超えるまで直線的な増加を示した。

また、妊娠中に減煙できなかった場合と比べて、
第3トリメスター(27〜40週)までに減煙した場合のaORは0.88(95%CI 0.79〜0.98)、
禁煙した場合のaORは0.77(同0.67〜0.87)に低下した。

なお、妊娠3カ月前に喫煙していて第1トリメスターまでに禁煙した場合でも、
非喫煙者と比べるとリスクは高かった。

妊娠前の禁煙の重要性を強調

Anderson氏らは「米国におけるSUIDの22%は、妊娠中の母親の喫煙が直接的な原因となっている」と指摘。
「妊婦の喫煙がなくなれば、米国で1年間にSUIDで亡くなる乳児約3,700例のうち800例が予防できる」と述べている。

乳児の適切な就寝姿勢について啓発する米国小児科学会(AAP)のキャンペーンによって乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が半減したことから、喫煙のリスクについて女性に警告することで、SUIDの減少が期待される。
同氏らは「最も重要なことは、妊娠前の禁煙がSUIDリスク低減に最大の効果をもたらす点である」とし、
妊娠前の禁煙の重要性を強調している。(木下愛美)

2019年05月17日

脳卒中抑制の視点から捉えた脂質管理

(2次予防に関しては、LDL-Cをコントロールすることは非常に有効で、実績が証明されている治療法です!
1次予防に関しては、生活習慣病から疾患が発生する場合が多く、LDL-C値単独では予防できないことがわかっています。
家族性高脂血症は単独でもLDL-C>190(正常値<140)なので下げないと心臓・脳血管系の病気が高い頻度で起きるのは当然なので、最初から治療しなければいけません。
この手の発表で気になるのは、LDL-Cいくつ以上の人に服用させるのかという基準を求める研究ではないのに、1次予防を語れるわけがないだろう!
発表で何も裏打ちされていないことを話していいのかということです)


脳卒中抑制の視点から捉えた脂質管理

2019年04月03日 06:00

日本動脈硬化学会理事長でりんくう総合医療センター(大阪府)病院長の山下静也氏は、
第44回日本脳卒中学会(STROKE2019、3月21〜23日)で「脳卒中発症・再発予防のための脂質管理」をテーマに講演。
さまざまなエビデンスを基に脂質異常症治療薬について解説するとともに、日本動脈硬化学会が発表し話題となった「PCSK9阻害薬の適正使用のための薬物治療フローチャート」にも言及した。

非心原性脳梗塞患者はCADの初発予防でも高リスク

山下氏はまず、日本動脈硬化学会編『動脈硬化性疾患予防ガイドライン(GL)2017年版』について概説した。
GLでは総コレステロールと脳卒中の関係について、
「総コレステロールは脳卒中の発症や死亡を予想する」とされている。

その一方で、従来の多くの疫学研究は総コレステロールを測定していたことから、
「LDL-コレステロール(LDL-C)と脳卒中との関係については、日本人において十分なエビデンスがあるとは言えない」と記載されている。

同様にnon-HDL-Cの上昇については「脳卒中には関連がないという報告もある」と記載されている。
その一方で、HDL-Cの低下とトリグリセライド(TG)の上昇は、いずれも「将来の脳梗塞の発症や死亡を予測する」と記載されている。

他にもGLでは、冠動脈疾患(CAD)予防の観点から見た脂質管理目標を設定。
非心原性脳梗塞患者は高リスクとして一次予防の対象とされ、LDL-Cで120mg/dL未満、non-HDL-Cで150mg/dL未満といった管理目標値が定められている。

こうしたGLの内容を踏まえ、同氏は「非心原性脳梗塞の患者はCADの一次(初発)予防でも高リスクと捉えるべき」と述べた。

LDL-C低下度が大きいほど脳卒中相対危険度は低下

山下氏は続いて、脳卒中発症・再発に対する、スタチン、エゼチミブ、EPA製剤といった脂質異常治療薬の有効性について、次のようにまとめた。

スタチンに関しては、アトルバスタチンの多施設共同ランダム化比較試験SPARCLの結果が広く知られている。
主要評価項目である致死性/非致死性脳卒中が16%有意に減少(P=0.03)した他、
副次評価項目である脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)も23%有意に減少した(P<0.001)。

他方、Post hoc解析では虚血性脳卒中は減少したが、出血性脳卒中の増加が認められた。


虚血性脳卒中患者に対するプラバスタチンの再発予防効果を検討したJ-STARS試験では、
主要評価項目である脳卒中/TIAは有意差を認めなかったが(P=0.82)、
副次評価項目であるアテローム血栓性脳梗塞は有意に減少した(P=0.0047)。

また、脳出血はコントロール群と差がなかった。

2009年に報告されたメタ解析では、
スタチンにより脳卒中が初発予防で19%、二次(再発)予防で12%と、いずれも有意に減少した(順にP<0.0001、P=0.003)。
『脳出血』については、初発予防ではスタチンの影響はほとんどなかったが、再発予防では73%有意に増加した(P=0.004)。

スタチンによるLDL-C低下と脳卒中リスクの関係を見た他のデータでも、
LDL-C低下度が大きいほど脳卒中の相対危険度は低下し、
1mmoL(38.6mg/dL)の低下ごとに21.1%の有意なリスク低下が認められている(P<0.001)。

エゼチミブに関しては、IMPROVE-IT試験でシンバスタチン+エゼチミブ併用とシンバスタチン単独が比較されている。
その結果、特にTIMIリスクスコア3点以上の症例において虚血性脳卒中の抑制効果がより顕著に認められた。

またω-3多価不飽和脂肪酸のEPA製剤については、REDUCE-IT試験で致死性/非致死性脳卒中の発生が28%有意に減少(P=0.01)する成績が得られた。

これらのデータから、同氏は「スタチン、エゼチミブ、EPA製剤は脳卒中、特に虚血性脳卒中の発症予防に有効と考えられる」と説明した。

LDL-Cが59%低下しても脳出血には影響しない

以上の薬剤に加え、近年、新たな脂質異常症治療薬として、エボロクマブやアリロクマブといったPCSK9阻害薬が注目されている。
エボロクマブを被験薬としたFOURIER試験では、LDL-Cが48週後までに30mg/dLまで59%有意に低下し(P<0.00001)、
これに伴い主要評価項目の脳卒中を含む複合エンドポイントが15%有意に減少(P<0.0001)する成績が認められた。

脳卒中既往例を対象としたサブ解析でも、複合エンドポイントは有意に減少した(P=0.047、図)。
注目された脳出血はほとんど変化しなかった。

図. 脳卒中既往例に対するエボロクマブの効果図 脳卒中既往例に対するエボロクマブの効果.jpg
(STROKE2019発表資料)

さらに、アリロクマブを被験薬としたODYSSEY OUTCOMES試験では、
主要評価項目である虚血性脳卒中を含む複合エンドポイントが15%有意に減少(P<0.001)した他、
副次評価項目の全死亡も15%減少した。
致死性/非致死性脳卒中は27%減少し、出血性脳卒中は増加しなかった。

最後に山下氏は、GLに記載されたPCSK9阻害薬の適正使用指針を紹介。
同指針では、家族性高コレステロール血症(FH)ヘテロ複合体において、
LDL-C管理目標値に達せず、スタチン最大耐用量かつ/またはエゼチミブ併用で効果が得られない場合、
PCSK9阻害薬が考慮されるとしている。

また、非FHのCAD患者の二次予防では、スタチンを中心とするLDL-C低下療法、
あるいはエゼチミブ併用かつスタチン最大耐用量まで増量しても効果不十分の場合、
PCSK9阻害薬の追加を考慮するとともに、
LDL-Cが低下しにくい場合はFHを疑う必要があるとした
(関連記事:「動脈硬化学会がPCSK9阻害薬の使用に声明」)。

以上の内容から同氏は、PCSK9阻害薬について「LDL-Cを著明に下げても脳出血は増加せず、むしろ虚血性脳卒中の発症は有意に抑制される」とまとめた。
(LDL-C<70で有意に脳出血が増加する。その原因は血管の脆弱性を誘発するからではないか、という論文が出ている)
(STROKE2019 取材班)

2019年05月16日

慢性的な睡眠不足が思春期の肥満リスクに

慢性的な睡眠不足が肥満の原因になることを証明した報告です。
ただし、寝だめでは改善しないことは、別の研究でわかっています。


慢性的な睡眠不足が思春期の肥満リスクに
2019年04月03日 17:43

米・University of MichiganのErica C. Jansen氏らは、
メキシコの青少年500人超を対象に睡眠習慣と肥満の関係を検討。

その結果、慢性的に睡眠時間が短い青少年では肥満のリスクが上昇することが示されたとJ Pediatr(2018; 203: 309-316)に発表した。
また、肥満防止の観点では「寝だめ」にもなんらかの効果がある可能性が示された。

客観的な睡眠測定で4割が睡眠不足

対象は、メキシコシティーに在住する9〜17歳の青少年528例。
肥満の尺度としてBMI、上腕三頭筋皮下脂肪厚、ウエスト周囲長、体脂肪率の4種類を測定した。

睡眠時間は、手首に装着するアクチグラフで客観的に測定した。
7日間の平均睡眠時間が米国睡眠医学会(AASM)による年齢別の推奨睡眠時間(13歳未満:9〜12時間、13〜18歳:8〜10時間)に達しているかどうかで「充足」と「不足」に分類。
さらに、睡眠時間標準偏差の中央値で「安定」と「変動」に分類した。

検討の結果、被験者の13%が肥満、25%が過体重で、40%が睡眠不足であった。

睡眠時間の安定・不足群は安定・充足群に比べ、BMIをはじめとする肥満の尺度が全て大きく(BMIの調整後群間差0.68、95%CI 0.35〜1.00)、肥満の有病率が高かった(有病率比2.54、95%CI 1.36〜4.75)。

寝だめで肥満防止の可能性

一方、同じ睡眠不足の被験者でも変動・不足群のBMIは安定・充足群に比べわずかに高いだけだった(調整後群間差0.30、95%CI 0.00〜0.59)。

これらの結果について、Jansen氏らは「睡眠不足を寝だめで完全に補うことはできない、というのが睡眠の専門家の見解」とした上で、
「週末の寝だめは最善策ではないものの、平日に十分な睡眠が確保できない人では肥満防止になるかもしれない」と結論している。

同氏らによると、睡眠不足の翌日に長めの睡眠を取ると、深睡眠(徐波睡眠)の時間が延長する可能性があり、この徐波睡眠中に肥満を防止する可能性のある成長ホルモンが分泌されるという。

学校の始業時間の影響も

共著者で同大学のGalit L. Dunietz氏は「われわれが以前行った研究では、
睡眠の専門家の多くが『青少年は勉学に励む前に、毎朝の起床時間を遅らせて睡眠時間を少し長くする』ことを推奨していたのに対し、
米国の保護者らの半数は始業時間を遅らせることに反対していた」と述べ、
「保護者らは今回のデータを『青少年では良好な睡眠衛生を維持せよ』という注意喚起として受け取るべきだ」と主張している。

また、同氏は「今回、メキシコの青少年における睡眠不足の割合は40%という結果であったが、
米国の同世代の推定60〜70%に比べると少ない。

この差は、両国の学校制度の違いが一因になっている可能性がある」と付言している。
メキシコシティーでは人口密度が高いため、午前と午後の2部制で授業が行われている。
今回、被験者の登校時間に関するデータは得られていない。
(太田敦子)
posted by 田中松平 at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 睡眠

2019年05月15日

冠攣縮の原因は心臓リンパ管にあり

冠動脈(心臓を栄養する動脈)疾患(狭心症・心筋梗塞)には
1)動脈硬化による狭窄から起きるもの
2)冠攣縮(血管の痙攣)によって起きるもの
の2種類があります。
冠攣縮の原因がわかっていませんでした。世界初!原因が究明されました。
治療法に早くつながるといいですね!


冠攣縮の原因は心臓リンパ管にあり
2019年04月03日 06:05

冠攣縮性狭心症の原因となっている冠攣縮の発生に
心臓リンパ管の機能不全が関係していることを
東北大学大学院循環器内科教授下川宏明氏らの研究グループが証明した。

ブタを使った実験で明らかにしたもので、
両者の関係が示されたのは世界初だという。

原因が分かったことで冠攣縮性狭心症の治療法の開発が大きく進むことが期待される。
詳細はArterioscler Thromb Vasc Biol(2019; 39: 741-753)に掲載された。

新たな治療標的となる可能性

冠攣縮は冠攣縮性狭心症に加え、
労作性狭心症に対する薬剤溶出ステント植え込み後の胸痛の原因ともなるが、
冠攣縮の発生機序はこれまではっきりしていなかった。

心臓リンパ管は冠動脈の近くを走行しており、
冠動脈に栄養を与えているが、あまり注目されてこなかった。

下川氏らは冠攣縮の原因として心臓リンパ管に着目、
モデル動物を使った実験を行った。

ブタの心臓リンパ管を結紮して
その機能を抑制した上で
薬剤溶出ステントを植え込んだ後、
薬剤により冠攣縮を誘発した。

その結果、冠動脈外膜のリンパ管の数が減少、
炎症反応が増強するなど冠攣縮の悪化が見られた。

同氏らは、
心臓リンパ管の機能不全が冠攣縮の原因
であることは世界初の証明だとし、
難治性冠攣縮性狭心症で新規の治療標的となる可能性があるという。
(牧野勇紀)

2019年05月14日

急性アルコール摂取による負傷リスク、男女で差

(単純にアルコールに対する耐性が男女比2:1によるだけじゃない?)

急性アルコール摂取による負傷リスク、男女で差
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/04

飲酒による負傷リスクについて、性別、飲酒頻度、負傷の原因(交通事故、暴力、転倒など)によって違いがあるかを、米国・Alcohol Research GroupのCheryl J. Cherpitel氏らが、分析を行った。Alcohol and Alcoholism誌オンライン版2019年3月11日号の報告。

イベント後6時間以内に救急部(ED)に搬送された負傷患者1万8,627例についてケース・クロスオーバー分析を行った。

主な結果は以下のとおり。

・男女間での飲酒による負傷リスクは、3杯以下では同等であった(男性OR:2.74、女性OR:2.76)。
・大量飲酒における負傷リスクは、女性において男性よりも高く、3.1〜6杯(OR:0.60、CI:0.39〜0.93)および6.1〜10杯(OR:0.50、CI:0.27〜0.93)で、飲酒量の相互作用による性差(gender by volume interaction:GVI)が有意に大きかった。
・5回/月以上飲酒をしていた女性は、飲酒量に関係なく男性よりも負傷リスクが高く、5回/月未満で3杯以下の女性(OR:0.51、CI:0.28〜0.92)および6.1〜10杯の女性(OR:0.39、CI:0.18〜0.82)よりもGVIの強い関連が認められた。
・女性では、6杯未満での交通事故に関連するものを除き、男性よりも負傷リスクが高く、GVIは、3.1〜6杯でほかの原因による負傷についてのみ有意であった(OR:0.23、CI:0.09〜0.87)。

著者らは「大量飲酒の頻度に関係なく、『女性』は男性よりも『飲酒による負傷リスク』(交通事故関連を除く)が『高い』ことが示唆された」としている。(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら
Cherpitel CJ, et al. Alcohol Alcohol. 2019 Mar 11. [Epub ahead of print]
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元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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