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2019年05月13日
コンビニで手軽に補給 タンパク質が摂れる飲料ランキング
コンビニで手軽に補給 タンパク質が摂れる飲料ランキング
【実践型!食事指導スライド】
公開日:2019/04/03
食事指導が必要な患者に手渡しでそのまま使える指導用スライド。
医療機関や企業で、2万件近い食事改善に向けた提案やカウンセリングを行ってきた管理栄養士・浅野まみこ氏がコンパクトにまとめたスライドをお届けします。
ダウンロードしてぜひ診療にご利用ください。患者指導の際には、ワンポイント解説の内容を説明に盛り込むと、さらに効果的です。
第13回 コンビニで手軽に補給 タンパク質が摂れる飲料ランキング
医療者向けワンポイント解説
前回はタンパク質をちょい足しできる食材をご紹介しましたが、今回はタンパク質が摂れる飲料についてご紹介します。
食事摂取の中で、「飲料」は、本人が意識していないところで摂取している傾向があるため、問診や食事記録などの記載時に記入が漏れてしまい、気づかれにくいことが多々あります。
飲料は1日に5〜10杯程が摂取されていますが、飲料の嗜好が体重の増減、栄養素の摂取または吸収阻害などにも影響を与えます。
また、飲料には糖分や脂質を多く含む物も多く、体重増加や血糖コントロール不良の原因が「飲料」と、後からわかる場合もあります。
今回は、タンパク質が多く摂れる飲料をランキング形式にまとめました。
1日のタンパク質摂取量は、日本人の食事摂取基準(2015年版・最新版)によると、18歳以上のタンパク質推奨量、男性:60g、女性:50gと明記されています。
また、国際スポーツ栄養学会では、筋肥大を目的とするアスリートの場合、1日に1.4〜2.0g/kgが推奨されています。
超高齢化社会を迎え、問題になっているサルコペニア、フレイル。
この予防には、タンパク質の摂取やエネルギーの確保が必要とされています。
また、筋肉増強を意識している若者世代にとっても、タンパク質を効率的に摂取できる飲料は重要です。
対象者にあった飲料を選ぶひとつのヒントとなればと思います。
◆コンビニで買えて、タンパク質を含む飲料ランキング
1位
プロテイン飲料(200ml)
102kcal タンパク質15.0g
プロテインがドリンク化されたことで注目されました。高タンパク質にも関わらず、カロリーは今回のランキング中で一番低い飲料です。筋肉をつけたいときや、食事量が多い場合などのタンパク質補給として有効です。
2位
飲むヨーグルト[加糖](220ml)
225kcal タンパク質7.3g
ヨーグルトは高タンパク質なのでお薦めです。飲むヨーグルトもほぼ同量のタンパク質を含みますが、ドリンクタイプは「加糖タイプ」が多いのが難点です。
食事量が落ちてきた場合のエネルギー確保にはなりますが、『食事が摂れている場合』には、『高カロリーで糖質過剰摂取の原因になるので、「無糖タイプ」をお薦め』します。
3位
調製豆乳(200ml)
116kcal タンパク質7.0g
『牛乳よりも、タンパク質が多い』という点が意外なところです。
動物性脂質を含まないこともメリットです。
しかし、筋肉増強を考えた場合は、大豆タンパク質よりも動物性タンパク質のほうが効率的であるという考えもあります。
そのまま飲むことが苦手な方は、豆腐に豆乳とシロップをかけて加熱をすると、高タンパク質なデザートができ上がります。
食欲のない高齢者などにお薦めの食べ方です。
飲みやすく、手軽に購入できるのは調整豆乳ですが、『実は「無調整豆乳」のほうが「低カロリー、高タンパク」』です。無調整豆乳がある場合はそちらもオススメです。
4位
牛乳(200ml)
137kcal タンパク質6.8g
単体で飲むことも良いですが、コーヒーを飲む際にカフェオレに変更したり、料理に加えたりするなど、アレンジして使うことを意識すると、タンパク質摂取の向上に繋がります。
ただし、市販のカフェオレドリンクなどには牛乳ではなく動物性脂質を加えている物や加糖タイプの物が多いので、別物と考えることが必要です。
5位
低脂肪乳(200ml)
87kcal タンパク質6.7g
脂肪分が気になる場合は、低脂肪乳にすることでタンパク質を上手に摂取することができます。
カロリーは牛乳に比べ35%ほど低くなります。
6位
プロテイン入りゼリー飲料 ヨーグルト味(180g)
90kcal タンパク質5.0g
プロテインを摂取するための手軽なゼリー飲料として販売されています。
粘性があるため水分摂取が苦手な方でも飲みやすいことが特徴です。
7位
豆乳飲料 バナナ味(200ml)
134kcal タンパク質4.9g
豆乳飲料は様々な種類が販売されています。調製豆乳や無調整豆乳が飲みづらい場合、フレーバー付きの豆乳も選択肢としてあります。
ただし、タンパク質含有量は下がり、カロリーは上がるので、メリットとデメリットを考慮して選ぶことが必要です。
8位
甘酒(125ml)
116kcal タンパク質1.2g
万能だと思われていますが、甘酒のタンパク質量はあまり高くありません。
市販の物には加糖タイプも多く、甘酒だけを過信して飲んでいる場合には、『高カロリー、糖質過多などに気を』つける必要があります。
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8,000人以上の栄養相談を実施。
その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。
NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、メディアや雑誌に多数出演。
飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。
420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、隊長を務める。夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ:http://e-vita.jp/
公式ブログ:http://ameblo.jp/evita/
【実践型!食事指導スライド】
公開日:2019/04/03
食事指導が必要な患者に手渡しでそのまま使える指導用スライド。
医療機関や企業で、2万件近い食事改善に向けた提案やカウンセリングを行ってきた管理栄養士・浅野まみこ氏がコンパクトにまとめたスライドをお届けします。
ダウンロードしてぜひ診療にご利用ください。患者指導の際には、ワンポイント解説の内容を説明に盛り込むと、さらに効果的です。
第13回 コンビニで手軽に補給 タンパク質が摂れる飲料ランキング
医療者向けワンポイント解説
前回はタンパク質をちょい足しできる食材をご紹介しましたが、今回はタンパク質が摂れる飲料についてご紹介します。
食事摂取の中で、「飲料」は、本人が意識していないところで摂取している傾向があるため、問診や食事記録などの記載時に記入が漏れてしまい、気づかれにくいことが多々あります。
飲料は1日に5〜10杯程が摂取されていますが、飲料の嗜好が体重の増減、栄養素の摂取または吸収阻害などにも影響を与えます。
また、飲料には糖分や脂質を多く含む物も多く、体重増加や血糖コントロール不良の原因が「飲料」と、後からわかる場合もあります。
今回は、タンパク質が多く摂れる飲料をランキング形式にまとめました。
1日のタンパク質摂取量は、日本人の食事摂取基準(2015年版・最新版)によると、18歳以上のタンパク質推奨量、男性:60g、女性:50gと明記されています。
また、国際スポーツ栄養学会では、筋肥大を目的とするアスリートの場合、1日に1.4〜2.0g/kgが推奨されています。
超高齢化社会を迎え、問題になっているサルコペニア、フレイル。
この予防には、タンパク質の摂取やエネルギーの確保が必要とされています。
また、筋肉増強を意識している若者世代にとっても、タンパク質を効率的に摂取できる飲料は重要です。
対象者にあった飲料を選ぶひとつのヒントとなればと思います。
◆コンビニで買えて、タンパク質を含む飲料ランキング
1位
プロテイン飲料(200ml)
102kcal タンパク質15.0g
プロテインがドリンク化されたことで注目されました。高タンパク質にも関わらず、カロリーは今回のランキング中で一番低い飲料です。筋肉をつけたいときや、食事量が多い場合などのタンパク質補給として有効です。
2位
飲むヨーグルト[加糖](220ml)
225kcal タンパク質7.3g
ヨーグルトは高タンパク質なのでお薦めです。飲むヨーグルトもほぼ同量のタンパク質を含みますが、ドリンクタイプは「加糖タイプ」が多いのが難点です。
食事量が落ちてきた場合のエネルギー確保にはなりますが、『食事が摂れている場合』には、『高カロリーで糖質過剰摂取の原因になるので、「無糖タイプ」をお薦め』します。
3位
調製豆乳(200ml)
116kcal タンパク質7.0g
『牛乳よりも、タンパク質が多い』という点が意外なところです。
動物性脂質を含まないこともメリットです。
しかし、筋肉増強を考えた場合は、大豆タンパク質よりも動物性タンパク質のほうが効率的であるという考えもあります。
そのまま飲むことが苦手な方は、豆腐に豆乳とシロップをかけて加熱をすると、高タンパク質なデザートができ上がります。
食欲のない高齢者などにお薦めの食べ方です。
飲みやすく、手軽に購入できるのは調整豆乳ですが、『実は「無調整豆乳」のほうが「低カロリー、高タンパク」』です。無調整豆乳がある場合はそちらもオススメです。
4位
牛乳(200ml)
137kcal タンパク質6.8g
単体で飲むことも良いですが、コーヒーを飲む際にカフェオレに変更したり、料理に加えたりするなど、アレンジして使うことを意識すると、タンパク質摂取の向上に繋がります。
ただし、市販のカフェオレドリンクなどには牛乳ではなく動物性脂質を加えている物や加糖タイプの物が多いので、別物と考えることが必要です。
5位
低脂肪乳(200ml)
87kcal タンパク質6.7g
脂肪分が気になる場合は、低脂肪乳にすることでタンパク質を上手に摂取することができます。
カロリーは牛乳に比べ35%ほど低くなります。
6位
プロテイン入りゼリー飲料 ヨーグルト味(180g)
90kcal タンパク質5.0g
プロテインを摂取するための手軽なゼリー飲料として販売されています。
粘性があるため水分摂取が苦手な方でも飲みやすいことが特徴です。
7位
豆乳飲料 バナナ味(200ml)
134kcal タンパク質4.9g
豆乳飲料は様々な種類が販売されています。調製豆乳や無調整豆乳が飲みづらい場合、フレーバー付きの豆乳も選択肢としてあります。
ただし、タンパク質含有量は下がり、カロリーは上がるので、メリットとデメリットを考慮して選ぶことが必要です。
8位
甘酒(125ml)
116kcal タンパク質1.2g
万能だと思われていますが、甘酒のタンパク質量はあまり高くありません。
市販の物には加糖タイプも多く、甘酒だけを過信して飲んでいる場合には、『高カロリー、糖質過多などに気を』つける必要があります。
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8,000人以上の栄養相談を実施。
その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。
NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、メディアや雑誌に多数出演。
飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。
420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、隊長を務める。夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ:http://e-vita.jp/
公式ブログ:http://ameblo.jp/evita/
2019年05月12日
体形とうつ病発症リスクとの関連
(アメリカ、2万3,739例の検討ー鶏が先か、卵が先かの問題もあるが、女性BMI≧30、男性≧36、日本だと28、33,34か
男女差がはっきりしている、男性は鬱の結果として肥満が、女性は男性に比べて鬱になりやすいということか?
何れにしても太りすぎ!!)
体形とうつ病発症リスクとの関連
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/03
肥満はうつ病と関連しているといわれている。
肥満の一般的な指標としてBMIが用いられるが、BMIは身長と体重を組み合わせた指標である。
そのため、体の寸法やサイズのどの部分が最も関連しているかはよくわかっていない。
『米国』・トゥルーマン州立大学のJeffrey R. Vittengl氏は、体形とうつ病との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年3月5日号の報告。
妊娠していない20歳以上の『成人2万3,739例』を対象に、2007〜16年の国民健康栄養調査のデータより分析を行った。
年齢、性別、民族性、社会経済的地位でコントロールしたうえで、抑うつ症状と体形変数との関連を調査した。
主な結果は以下のとおり。
・身長ではなく、体重とBMIが抑うつ症状の予測因子であった。
・比較的高い体重またはBMIを有する成人(女性の上位約30〜40%、男性の上位約10%)は、性別内において実質的に抑うつ症状(d≧0.20)の有症率が高かった。
・女性(BMI≧30)および男性(BMI≧36)におけるうつ症状の増加を予測するBMIの範囲は、それぞれ標準的な過体重や肥満の定義よりも高かった。
著者らは「本研究は、横断的観察研究であり、体重とうつ病との潜在的な因果関係を明らかにするためには、今後縦断的および実験的な研究が必要である。
また、他の体形変数もうつ病を予測する可能性がある」としながらも「抑うつ症状の予測因子である体重に関して、BMIのような身長により調整されていない体重に重点を置いた評価が、うつ病の予防や治療を改善するかどうかを確認する必要がある」としている。
■関連記事
抗うつ薬誘発性体重増加のレビュー、その結果は
セロトニンの役割、摂食障害や肥満治療への期待
肥満と認知症リスク
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Vittengl JR. J Affect Disord. 2019 Mar 5. [Epub ahead of print]
男女差がはっきりしている、男性は鬱の結果として肥満が、女性は男性に比べて鬱になりやすいということか?
何れにしても太りすぎ!!)
体形とうつ病発症リスクとの関連
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/03
肥満はうつ病と関連しているといわれている。
肥満の一般的な指標としてBMIが用いられるが、BMIは身長と体重を組み合わせた指標である。
そのため、体の寸法やサイズのどの部分が最も関連しているかはよくわかっていない。
『米国』・トゥルーマン州立大学のJeffrey R. Vittengl氏は、体形とうつ病との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年3月5日号の報告。
妊娠していない20歳以上の『成人2万3,739例』を対象に、2007〜16年の国民健康栄養調査のデータより分析を行った。
年齢、性別、民族性、社会経済的地位でコントロールしたうえで、抑うつ症状と体形変数との関連を調査した。
主な結果は以下のとおり。
・身長ではなく、体重とBMIが抑うつ症状の予測因子であった。
・比較的高い体重またはBMIを有する成人(女性の上位約30〜40%、男性の上位約10%)は、性別内において実質的に抑うつ症状(d≧0.20)の有症率が高かった。
・女性(BMI≧30)および男性(BMI≧36)におけるうつ症状の増加を予測するBMIの範囲は、それぞれ標準的な過体重や肥満の定義よりも高かった。
著者らは「本研究は、横断的観察研究であり、体重とうつ病との潜在的な因果関係を明らかにするためには、今後縦断的および実験的な研究が必要である。
また、他の体形変数もうつ病を予測する可能性がある」としながらも「抑うつ症状の予測因子である体重に関して、BMIのような身長により調整されていない体重に重点を置いた評価が、うつ病の予防や治療を改善するかどうかを確認する必要がある」としている。
■関連記事
抗うつ薬誘発性体重増加のレビュー、その結果は
セロトニンの役割、摂食障害や肥満治療への期待
肥満と認知症リスク
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Vittengl JR. J Affect Disord. 2019 Mar 5. [Epub ahead of print]
2019年05月11日
日本抗加齢医学会がウェブマガジン創刊
(一度覗かれてみてくださいー私は会員ではありません)
日本抗加齢医学会がウェブマガジン創刊
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/03
一般社団法人 日本抗加齢医学会(理事長:堀江 重郎)は、「学術総会の発表内容」や「学会誌コンテンツ」、同学会の特徴である8つの専門領域分科会(日本抗加齢医学会の専門分科会:眼抗加齢医学研究会、抗加齢歯科医学研究会、見た目のアンチエイジング研究会、抗加齢ウィメンズヘルス研究会、抗加齢内分泌研究会、泌尿器抗加齢医学研究会、脳心血管抗加齢研究会、運動器抗加齢研究会)で話題となっているトピックスを広く発信することを目的に4月1日(月)にウェブマガジンを創刊した。
マガジン名は『ACTION!』
(www.anti-aging.gr.jp/action)。
このマガジンは、誰でも上記のページにアクセスすることで、閲覧することができる。
人生100年時代の活力をつくる
学会は「人がハツラツと生きることで、進化し続けられる社会を作りたい。そのために、今、動き出そう」という思いを込め創刊に至ったとその動機を語る。
医療従事者だけでなく、サイトに訪れたすべての方のお役に立てるよう、今後も情報を発信するとしている。
ウェブマガジンの特徴としては、次の内容などが公開されている。
・学術総会の発表内容や学会誌コンテンツなど、これまで主に学会員のみで共有されていた抗加齢医学に関する情報を発信
・学会認定医や指導士といった資格がもたらす、医療現場へのメリットを当該資格保持者の「声」として紹介
・自らの人生でアンチエイジングを実践する学会員のエピソードをコラム形式で紹介
■参考
人生100年時代の活力をつくる医学ウェブマガジンACTION!
日本抗加齢医学会
■関連記事
人生を支配するホルモンとは
加齢で脆くなる運動器、血管の抗加齢
(ケアネット 稲川 進)
日本抗加齢医学会がウェブマガジン創刊
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/03
一般社団法人 日本抗加齢医学会(理事長:堀江 重郎)は、「学術総会の発表内容」や「学会誌コンテンツ」、同学会の特徴である8つの専門領域分科会(日本抗加齢医学会の専門分科会:眼抗加齢医学研究会、抗加齢歯科医学研究会、見た目のアンチエイジング研究会、抗加齢ウィメンズヘルス研究会、抗加齢内分泌研究会、泌尿器抗加齢医学研究会、脳心血管抗加齢研究会、運動器抗加齢研究会)で話題となっているトピックスを広く発信することを目的に4月1日(月)にウェブマガジンを創刊した。
マガジン名は『ACTION!』
(www.anti-aging.gr.jp/action)。
このマガジンは、誰でも上記のページにアクセスすることで、閲覧することができる。
人生100年時代の活力をつくる
学会は「人がハツラツと生きることで、進化し続けられる社会を作りたい。そのために、今、動き出そう」という思いを込め創刊に至ったとその動機を語る。
医療従事者だけでなく、サイトに訪れたすべての方のお役に立てるよう、今後も情報を発信するとしている。
ウェブマガジンの特徴としては、次の内容などが公開されている。
・学術総会の発表内容や学会誌コンテンツなど、これまで主に学会員のみで共有されていた抗加齢医学に関する情報を発信
・学会認定医や指導士といった資格がもたらす、医療現場へのメリットを当該資格保持者の「声」として紹介
・自らの人生でアンチエイジングを実践する学会員のエピソードをコラム形式で紹介
■参考
人生100年時代の活力をつくる医学ウェブマガジンACTION!
日本抗加齢医学会
■関連記事
人生を支配するホルモンとは
加齢で脆くなる運動器、血管の抗加齢
(ケアネット 稲川 進)
2019年05月10日
トクホ製品ー飲んでる時には効果があるが、すでに服薬している人には効果が限られている、効能が重複して、副作用のほうが勝る場合も想定されます
トクホ製品ー飲んでる時には効果があるが、すでに服薬している人には効果が限られている、効能が重複して、副作用のほうが勝る場合も想定されます
飲んだ、食べた直後は、効果があっても、長期間でみると、効能がないー薬ではありません。
服薬している人にとっては、却って有害に働く場合があるので、服薬されている場合は、トクホ製品をむしろ避けられた方が安全だと思います。
医師をしていて、一番困るのは、漢方薬を薬ではないと勘違いされている方がおいでます。
生薬を使っているだけで、薬には違いありません。
健康保険(国民・社会)で認められている製剤の多くは、西洋薬に端を発し、ほとんどが単剤です。
効能、副作用 つまり両刃の剣の両面が明らかです。
漢方は、ブレンドしている薬なので、効能、副作用が、わかりづらい点が多いです。
漢方で薬疹も発生します。
服薬されている場合は、主治医の先生に、漢方はもちろんのことトクホ製品も重複して摂取して問題がないかを確認してください。
飲んだ、食べた直後は、効果があっても、長期間でみると、効能がないー薬ではありません。
服薬している人にとっては、却って有害に働く場合があるので、服薬されている場合は、トクホ製品をむしろ避けられた方が安全だと思います。
医師をしていて、一番困るのは、漢方薬を薬ではないと勘違いされている方がおいでます。
生薬を使っているだけで、薬には違いありません。
健康保険(国民・社会)で認められている製剤の多くは、西洋薬に端を発し、ほとんどが単剤です。
効能、副作用 つまり両刃の剣の両面が明らかです。
漢方は、ブレンドしている薬なので、効能、副作用が、わかりづらい点が多いです。
漢方で薬疹も発生します。
服薬されている場合は、主治医の先生に、漢方はもちろんのことトクホ製品も重複して摂取して問題がないかを確認してください。
2019年05月09日
こんなにある子供の便秘サイン
(5人に1人が慢性便秘症ー意外と多い?少ない?
ストレス過敏、食生活や排便習慣まで気が回らない親の問題?社会の問題?)
こんなにある子供の便秘サイン
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/02
2018年3月18日、EAファーマ株式会社は、
「大人が知らない『子供の慢性便秘症』の実態と世界標準へと歩み出した最新治療〜便秘難民ゼロを目指して〜」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。
セミナーでは、子供が抱える「言うに言えない便秘の悩み」に大人がどう気付き、診療へ導くのか解説された。
子供の5人に1人は便秘
セミナーでは、十河 剛氏(済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科)を講師に迎え、小児の便秘症について詳しくレクチャーを行った。
はじめに横浜市鶴見区で行われた調査報告を紹介。
『3〜8歳の子供3,595人』に食事と排便に関するアンケート調査を行ったところ、『718人(約20%』)に慢性便秘症(ROMEIII診断基準による)がみられたという(全国平均では約15%)。
とくに『便秘の子供』では、
「便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往」
「痛みを伴う便通の既往」
「少なくとも週1回の便失禁」が散見されると報告した1)。
子供の便秘に関しては保護者の関心も高い一方で、しつけや教育の問題とされたり、周囲に相談できる人がいなかったり、かかりつけの医師に相談しても対症的な治療だけだったりと不安を訴える。
また、子供たちは、友達から「臭い」と言われたり、恥ずかしくて言えなかったりと自尊心が傷つき行き場のない子供を診療で救う必要性があると同氏は問題を指摘する。
気付きたい「便秘症」の症状
「便秘」について、その定義、診療はどのようにされるべきか。
「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」(2014年)によれば、
「便秘とは、便が滞った、または便がでにくい状態」と定義され、
とくに小児では、排便時に肛門が痛く泣いたり、いきんでも排便ができない状態がみられる。
ただ注意すべきは、「便秘」の認識は、個々人で異なるため排便の回数などで判断せず、同時に家族の状況も確認した方がよいと語る。
そして、便秘の症状として「腹痛、裂肛、直腸脱、便失禁、肛門周囲の付着便や皮膚びらん、嘔吐・嘔気、胃食道逆流・げっぷ・口臭、集中力低下、夜尿・遺尿」があり、いかに医療者が気付き、診療介入できるかが重要だと指摘する。
具体的に10歳・女児の症例を紹介。
この症例では、「口臭、げっぷ、嘔吐、排便時間30分超」の症状がみられ、他科診療の折に同氏の診療科を受診、便秘症の診療にいたったという。
X線検査では、直腸に便塞栓が観察され、大腸に大量の便が貯留していた。
慢性便秘症と胃食道逆流症の診断後、プロトンポンプ阻害薬とポリエチレングリコール(PEG)製剤で治療を開始。
19日後には、排便時間が10分以内になり、当初の症状も消失したという。
小児の便秘症を疑うポイントとして、前記便秘症状の中でも触れているが、溜まった便で膀胱が圧迫されることによる夜尿やおもらしが多く、便塞栓のために液便による便漏れやこれらに伴う肛門部のびらんなどがみられ、診断の手助けになると語った。
小児にも適用できるようになったPEG製剤
小児が便秘症を発症しやすい時期として、
「食事の移行期(離乳食から普通食など)」
「トイレットトレーニング」
「通学の開始」の3期があり、
排便への恐れが子供にできないように、環境を整えることも重要と指摘する。
また、便秘症の「便塞栓」について詳説し、本症を疑うポイントとして、
「少量の硬い便」
「肛門周囲や下着への便の付着」
「便がでにくいのに下痢便」
「1週間近く排便がない」
などが見られたら治療介入し、便秘症の悪循環を断ち切る必要があると強調する。
便秘症治療の三大原則としては、
「便塞栓があればその除去の後で、薬剤、食事、生活習慣改善などの治療を行う」
「外したフタ(便塞栓)は外したままにする」
「便を我慢せず出しきる習慣を身に付ける」ことを説明。
とくに排便習慣については、直腸の排便へのセンサーを正常化させることが大事で、
また、『排便の姿勢』についても、自然に排便できるように『洋式便座では踏み台などの設置』も効果的という(ロダンの『考える人』のような前傾姿勢が腹圧がかかりやすい、力みやすい姿勢です)。
そして、これら治療を補助するために治療薬があり、「浣腸だけでなく新しい経口治療薬も小児には適用できるようになった」と説明する。
現在、わが国では、乳児・幼児に対してラクツロース、酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤、グリセリン、ビサコジルなどの刺激性下剤が便秘に多用されている。
また、2018年11月からようやくわが国でもPEG製剤(商品名:モビコール)が、2歳以上の小児に使用できるようになったこともあり、便秘薬の選択肢は増えつつあるという(参考までに、海外では便塞栓除去に浣腸だけでなく経口治療薬も選択肢に入っており、イギリスではPEG製剤が第一選択薬となっている2))。
臨床上、成人の便秘症は治療に難渋することがあるが、子供の便秘症では薬剤療法が奏功することもあり、早く介入することが重要と語る。
治療の目標は、便秘ではない状態の維持であり、そのためには3〜4年近く必要という。
最後に同氏は、子供のトイレ指導のコツについて、
「25%できたら褒める」
「小さいことから少しずつ」
「できた行動に着目する」
「具体的な指示をする」
「一度に一つだけ指示をする」
などを挙げ、
「便秘難民がゼロ」になることを期待すると講演を締めた。
■参考文献
1)Fujitani A,et al. Gastroenterol Res Pract. 2018;2018:3108021.
2)Tabbers MM,et al. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2014;58:258-274.
■参考
EAファーマ株式会社 イーベンnavi
■参考記事
第18回 国内初の慢性便秘症PEG製剤
慢性便秘症特集
(ケアネット 稲川 進)
ストレス過敏、食生活や排便習慣まで気が回らない親の問題?社会の問題?)
こんなにある子供の便秘サイン
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/02
2018年3月18日、EAファーマ株式会社は、
「大人が知らない『子供の慢性便秘症』の実態と世界標準へと歩み出した最新治療〜便秘難民ゼロを目指して〜」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。
セミナーでは、子供が抱える「言うに言えない便秘の悩み」に大人がどう気付き、診療へ導くのか解説された。
子供の5人に1人は便秘
セミナーでは、十河 剛氏(済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科)を講師に迎え、小児の便秘症について詳しくレクチャーを行った。
はじめに横浜市鶴見区で行われた調査報告を紹介。
『3〜8歳の子供3,595人』に食事と排便に関するアンケート調査を行ったところ、『718人(約20%』)に慢性便秘症(ROMEIII診断基準による)がみられたという(全国平均では約15%)。
とくに『便秘の子供』では、
「便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往」
「痛みを伴う便通の既往」
「少なくとも週1回の便失禁」が散見されると報告した1)。
子供の便秘に関しては保護者の関心も高い一方で、しつけや教育の問題とされたり、周囲に相談できる人がいなかったり、かかりつけの医師に相談しても対症的な治療だけだったりと不安を訴える。
また、子供たちは、友達から「臭い」と言われたり、恥ずかしくて言えなかったりと自尊心が傷つき行き場のない子供を診療で救う必要性があると同氏は問題を指摘する。
気付きたい「便秘症」の症状
「便秘」について、その定義、診療はどのようにされるべきか。
「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」(2014年)によれば、
「便秘とは、便が滞った、または便がでにくい状態」と定義され、
とくに小児では、排便時に肛門が痛く泣いたり、いきんでも排便ができない状態がみられる。
ただ注意すべきは、「便秘」の認識は、個々人で異なるため排便の回数などで判断せず、同時に家族の状況も確認した方がよいと語る。
そして、便秘の症状として「腹痛、裂肛、直腸脱、便失禁、肛門周囲の付着便や皮膚びらん、嘔吐・嘔気、胃食道逆流・げっぷ・口臭、集中力低下、夜尿・遺尿」があり、いかに医療者が気付き、診療介入できるかが重要だと指摘する。
具体的に10歳・女児の症例を紹介。
この症例では、「口臭、げっぷ、嘔吐、排便時間30分超」の症状がみられ、他科診療の折に同氏の診療科を受診、便秘症の診療にいたったという。
X線検査では、直腸に便塞栓が観察され、大腸に大量の便が貯留していた。
慢性便秘症と胃食道逆流症の診断後、プロトンポンプ阻害薬とポリエチレングリコール(PEG)製剤で治療を開始。
19日後には、排便時間が10分以内になり、当初の症状も消失したという。
小児の便秘症を疑うポイントとして、前記便秘症状の中でも触れているが、溜まった便で膀胱が圧迫されることによる夜尿やおもらしが多く、便塞栓のために液便による便漏れやこれらに伴う肛門部のびらんなどがみられ、診断の手助けになると語った。
小児にも適用できるようになったPEG製剤
小児が便秘症を発症しやすい時期として、
「食事の移行期(離乳食から普通食など)」
「トイレットトレーニング」
「通学の開始」の3期があり、
排便への恐れが子供にできないように、環境を整えることも重要と指摘する。
また、便秘症の「便塞栓」について詳説し、本症を疑うポイントとして、
「少量の硬い便」
「肛門周囲や下着への便の付着」
「便がでにくいのに下痢便」
「1週間近く排便がない」
などが見られたら治療介入し、便秘症の悪循環を断ち切る必要があると強調する。
便秘症治療の三大原則としては、
「便塞栓があればその除去の後で、薬剤、食事、生活習慣改善などの治療を行う」
「外したフタ(便塞栓)は外したままにする」
「便を我慢せず出しきる習慣を身に付ける」ことを説明。
とくに排便習慣については、直腸の排便へのセンサーを正常化させることが大事で、
また、『排便の姿勢』についても、自然に排便できるように『洋式便座では踏み台などの設置』も効果的という(ロダンの『考える人』のような前傾姿勢が腹圧がかかりやすい、力みやすい姿勢です)。
そして、これら治療を補助するために治療薬があり、「浣腸だけでなく新しい経口治療薬も小児には適用できるようになった」と説明する。
現在、わが国では、乳児・幼児に対してラクツロース、酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤、グリセリン、ビサコジルなどの刺激性下剤が便秘に多用されている。
また、2018年11月からようやくわが国でもPEG製剤(商品名:モビコール)が、2歳以上の小児に使用できるようになったこともあり、便秘薬の選択肢は増えつつあるという(参考までに、海外では便塞栓除去に浣腸だけでなく経口治療薬も選択肢に入っており、イギリスではPEG製剤が第一選択薬となっている2))。
臨床上、成人の便秘症は治療に難渋することがあるが、子供の便秘症では薬剤療法が奏功することもあり、早く介入することが重要と語る。
治療の目標は、便秘ではない状態の維持であり、そのためには3〜4年近く必要という。
最後に同氏は、子供のトイレ指導のコツについて、
「25%できたら褒める」
「小さいことから少しずつ」
「できた行動に着目する」
「具体的な指示をする」
「一度に一つだけ指示をする」
などを挙げ、
「便秘難民がゼロ」になることを期待すると講演を締めた。
■参考文献
1)Fujitani A,et al. Gastroenterol Res Pract. 2018;2018:3108021.
2)Tabbers MM,et al. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2014;58:258-274.
■参考
EAファーマ株式会社 イーベンnavi
■参考記事
第18回 国内初の慢性便秘症PEG製剤
慢性便秘症特集
(ケアネット 稲川 進)
2019年05月08日
「膀胱炎治療にクラビット」は時代遅れ
(ニューキノロン系は結核の治療にとっておきたいし、細菌培養に出した腸内細菌の多くがニューキノロン系に耐性を持っていることが多い!)
「膀胱炎治療にクラビット」は時代遅れ
2019/3/26 岡 秀昭(埼玉医科大学総合医療センター)
前回は単純性膀胱炎の診断について紹介しました。今回は治療について考えていきます。単純性膀胱炎の治療のスタンダードは、現在は抗菌薬の投与です。
「現在は」と強調したのは、近年、膀胱炎の治療に対し、抗菌薬と消炎鎮痛薬(NSAIDs)の治療効果を比較した臨床試験が海外で立て続けに報告されているからです1、2)。
また経験的に、水分を摂取してしっかりと尿を出すだけでも膀胱炎の治療効果は上がります。
昨年、水を飲むことで膀胱炎の再発予防になるという報告がなされていますし3)、後述するように膀胱炎へ処方できる抗菌薬の選択肢が少なくなっている中、今後は抗菌薬の投与なしに治療する方向に向かうのかもしれません。
さて、膀胱炎患者に抗菌薬を処方する際に、どの薬剤を選択しますか?
「尿路感染、膀胱炎にはクラビットだろ!」という先生がおられましたら、それは残念ながら現在では大きな間違いです。
感染症治療のために抗菌薬処方を考える場合、
(1)病気を引き起こす微生物に有効、
(2)できるだけ狭域、
(3)低コストで副作用が少ない――を考えるのが鉄則です。
では単純性膀胱炎の原因菌は何でしょうか?
「それは簡単だ、大腸菌だろう!」。
正解です。
単純性膀胱炎の75〜95%が大腸菌で生じると報告されています。
つまり、「単純性膀胱炎はほぼ大腸菌の感染症」と断言してもよいのです。
大腸菌に有効な抗菌薬は、かつてはクラビット(レボフロキサシン)のようなニューキノロン系抗菌薬やST合剤といわれていました。
経口のセフェム系抗菌薬も有効ですが、効果がやや落ちるためかあまり人気がないようです。
ニューキノロン系抗菌薬は3日の服用でよいのに対して、セフェム系抗菌薬では3日より長い期間服用させる必要があるからでしょうか。
ところが、我が国の大腸菌の薬剤感受性(JANIS)を見ると、クラビットの耐性菌が非常に増えています。
最近ではニューキノロン系抗菌薬にだけ耐性があるという結果も珍しくありません。
ニューキノロン系抗菌薬は、院内で問題となる緑膿菌にも唯一処方できる内服薬です。
またレジオネラ肺炎のような重症化する特殊な肺炎にも有効です。
更には抗結核作用もあります。
このような貴重な抗菌薬を、膀胱炎のようなNSAIDsでも治療できる可能性のある感染症に使用するのはとてももったいないと思いませんか?
また、ニューキノロン系は意外と『副作用が多い』薬でもあります。
血糖の異常、
QT延長のような不整脈、
アキレス腱断裂が知られていますし、
最近では大動脈解離のリスクとなることも指摘されています。
以上から、米国食品医薬品局(FDA)は、
ニューキノロン系抗菌薬を細菌性副鼻腔炎、慢性気道感染症の急性増悪、そして合併症のない尿路感染症(膀胱炎)に極力使用しないよう警鐘を鳴らしています。
ですから、『膀胱炎はもちろん、くれぐれもかぜや咽頭炎、そしてウイルス性腸炎にも処方しない』ようにお願いします。
膀胱炎治療に必要な薬の「最新」の正解は?
それでは、単純性膀胱炎へ処方する抗菌薬は何がよいでしょうか?
米国感染症学会のガイドラインは、Nitrofurantoin(国内未承認)、ST合剤、ホスホマイシン、Pivmecillinam(国内未承認)の中から選択するように推奨しています。
これらが使用できない場合には、経口βラクタム薬(セフェム系、『ペニシリン系抗菌薬』)を、それらも使えない場合のみニューキノロン系抗菌薬の使用を推奨しています。
(アモキシシリンが推奨され、頻用しています。キレもいいです。ただし、尿量を増やして膀胱内を尿で洗い流さないと効果は限られるので、普段より500〜1000mLは余計に水ないし茶を飲むように促しています)
この推奨のうち、我が国で使用可能な薬剤はST合剤とホスホマイシンになります。
ただ、ホスホマイシンは海外ではホスホマイシントロメタロール、
日本ではホスホマイシンカルシウムと、化合物が異なります。
そのため、日本のホスホマイシン錠は海外のものよりバイオアベイラビリティーが不良で効果が落ちる懸念があり、積極的には推奨できません。
(ホスホマイシンは全く効かない薬なので薦めません)
ST合剤は、女性に使用する場合には妊娠やピルなどとの薬物相互作用に注意する必要がありますが、よい選択です。
またST合剤は我が国では単純性膀胱炎への適応はありませんが、大腸菌感染症に対する適応があり薬価も安いため、レセプトが査定されにくいと思われます。
ついでガイドラインに従うと、セフェム系かペニシリン系抗菌薬の使用を考慮することになりますが、ペニシリン系抗菌薬の経口薬であるアモキシシリンでは大腸菌の耐性化が深刻です。
そのため、感受性が保たれているセフェム系抗菌薬がよいでしょう。
(入院患者では、尿培養検査を取って治療を始めます。培養結果では多剤耐性大腸菌が検出されても、セファレキシン内服、セファゾリン点滴静注でほとんどが治癒します。輸液を負荷して尿量を十分に出させるためと、培養結果が必ずしも起炎菌を正しく反映しているわけではないからです。見込みで始めた抗菌剤選択が効かなかかった場合の備えとして採取するのと、病院内の細菌流行を把握するため、スーパー緑膿菌、スーパーMRSAなどが発生していないかを確認するためです)
セフェム系抗菌薬の中では第3世代セフェム系の薬剤はバイオアベイラビリティーが極めて不良で、
10数%から、多くても50%程度しか消化管から吸収されません(ほとんどがうんこになって出てくるのと、腸内細菌に薬剤耐性菌を増やすだけだということが知られています)。
第1世代のセファレキシン(ケフレックス)のようなセフェム系の使用をお勧めします。
また緑膿菌に無効な第1世代のセフェム系抗菌薬としてセファクロルを思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、セファクロルは第2世代で、皮疹などの血清反応の副作用が多く推奨しにくいです。
ということで、膀胱炎と診断したら、レボフロキサシンではなく、ケフレックス250mg6カプセル 分3を5〜7日間か、ST合剤4錠分2を3日間処方しましょう。
ST合剤の投薬を怖いと感じる先生も多いかもしれません。
確かに高カリウム血症、クレアチニン上昇、骨髄抑制、発疹などの副作用があり、添付文書上も「他剤が無効あるいは使用できない場合に投与を考慮する」と警告されています。
一方で、ST合剤をHIV患者などに生じるニューモシスチス肺炎の治療薬として用いる場合は、より高用量かつ長期間服用させます。
疾患の重篤度に違いがあるとはいえ、膀胱炎の投薬はわずか3日間。
処方で重篤な副作用が生じる可能性は極めて低いのです。
現在の大腸菌の耐性傾向を考慮すると、膀胱炎に対して国内で処方できる薬剤は限られます。
まずはST合剤、ST合剤は使いたくないという先生はせめてセファレキシンで治療をお願いいたします。
明日から膀胱炎の治療は楽勝ですね!
【参考文献】
1)Andreas K,et al. BMJ.2017;359:j4784.
2)Ingvild Vi,et.al.PLOS Medicine.2018;May15.
3)Thomas H,et al. JAMA Intern Med. 2018;178(11):1509-15.
著者プロフィール
岡秀昭(埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科准教授)
●おかひであき氏。
2000年日本大学卒。日本大学第一内科で研修後、横浜市立大学、神戸大学、東京高輪病院などを経て、2017年より現職。
「膀胱炎治療にクラビット」は時代遅れ
2019/3/26 岡 秀昭(埼玉医科大学総合医療センター)
前回は単純性膀胱炎の診断について紹介しました。今回は治療について考えていきます。単純性膀胱炎の治療のスタンダードは、現在は抗菌薬の投与です。
「現在は」と強調したのは、近年、膀胱炎の治療に対し、抗菌薬と消炎鎮痛薬(NSAIDs)の治療効果を比較した臨床試験が海外で立て続けに報告されているからです1、2)。
また経験的に、水分を摂取してしっかりと尿を出すだけでも膀胱炎の治療効果は上がります。
昨年、水を飲むことで膀胱炎の再発予防になるという報告がなされていますし3)、後述するように膀胱炎へ処方できる抗菌薬の選択肢が少なくなっている中、今後は抗菌薬の投与なしに治療する方向に向かうのかもしれません。
さて、膀胱炎患者に抗菌薬を処方する際に、どの薬剤を選択しますか?
「尿路感染、膀胱炎にはクラビットだろ!」という先生がおられましたら、それは残念ながら現在では大きな間違いです。
感染症治療のために抗菌薬処方を考える場合、
(1)病気を引き起こす微生物に有効、
(2)できるだけ狭域、
(3)低コストで副作用が少ない――を考えるのが鉄則です。
では単純性膀胱炎の原因菌は何でしょうか?
「それは簡単だ、大腸菌だろう!」。
正解です。
単純性膀胱炎の75〜95%が大腸菌で生じると報告されています。
つまり、「単純性膀胱炎はほぼ大腸菌の感染症」と断言してもよいのです。
大腸菌に有効な抗菌薬は、かつてはクラビット(レボフロキサシン)のようなニューキノロン系抗菌薬やST合剤といわれていました。
経口のセフェム系抗菌薬も有効ですが、効果がやや落ちるためかあまり人気がないようです。
ニューキノロン系抗菌薬は3日の服用でよいのに対して、セフェム系抗菌薬では3日より長い期間服用させる必要があるからでしょうか。
ところが、我が国の大腸菌の薬剤感受性(JANIS)を見ると、クラビットの耐性菌が非常に増えています。
最近ではニューキノロン系抗菌薬にだけ耐性があるという結果も珍しくありません。
ニューキノロン系抗菌薬は、院内で問題となる緑膿菌にも唯一処方できる内服薬です。
またレジオネラ肺炎のような重症化する特殊な肺炎にも有効です。
更には抗結核作用もあります。
このような貴重な抗菌薬を、膀胱炎のようなNSAIDsでも治療できる可能性のある感染症に使用するのはとてももったいないと思いませんか?
また、ニューキノロン系は意外と『副作用が多い』薬でもあります。
血糖の異常、
QT延長のような不整脈、
アキレス腱断裂が知られていますし、
最近では大動脈解離のリスクとなることも指摘されています。
以上から、米国食品医薬品局(FDA)は、
ニューキノロン系抗菌薬を細菌性副鼻腔炎、慢性気道感染症の急性増悪、そして合併症のない尿路感染症(膀胱炎)に極力使用しないよう警鐘を鳴らしています。
ですから、『膀胱炎はもちろん、くれぐれもかぜや咽頭炎、そしてウイルス性腸炎にも処方しない』ようにお願いします。
膀胱炎治療に必要な薬の「最新」の正解は?
それでは、単純性膀胱炎へ処方する抗菌薬は何がよいでしょうか?
米国感染症学会のガイドラインは、Nitrofurantoin(国内未承認)、ST合剤、ホスホマイシン、Pivmecillinam(国内未承認)の中から選択するように推奨しています。
これらが使用できない場合には、経口βラクタム薬(セフェム系、『ペニシリン系抗菌薬』)を、それらも使えない場合のみニューキノロン系抗菌薬の使用を推奨しています。
(アモキシシリンが推奨され、頻用しています。キレもいいです。ただし、尿量を増やして膀胱内を尿で洗い流さないと効果は限られるので、普段より500〜1000mLは余計に水ないし茶を飲むように促しています)
この推奨のうち、我が国で使用可能な薬剤はST合剤とホスホマイシンになります。
ただ、ホスホマイシンは海外ではホスホマイシントロメタロール、
日本ではホスホマイシンカルシウムと、化合物が異なります。
そのため、日本のホスホマイシン錠は海外のものよりバイオアベイラビリティーが不良で効果が落ちる懸念があり、積極的には推奨できません。
(ホスホマイシンは全く効かない薬なので薦めません)
ST合剤は、女性に使用する場合には妊娠やピルなどとの薬物相互作用に注意する必要がありますが、よい選択です。
またST合剤は我が国では単純性膀胱炎への適応はありませんが、大腸菌感染症に対する適応があり薬価も安いため、レセプトが査定されにくいと思われます。
ついでガイドラインに従うと、セフェム系かペニシリン系抗菌薬の使用を考慮することになりますが、ペニシリン系抗菌薬の経口薬であるアモキシシリンでは大腸菌の耐性化が深刻です。
そのため、感受性が保たれているセフェム系抗菌薬がよいでしょう。
(入院患者では、尿培養検査を取って治療を始めます。培養結果では多剤耐性大腸菌が検出されても、セファレキシン内服、セファゾリン点滴静注でほとんどが治癒します。輸液を負荷して尿量を十分に出させるためと、培養結果が必ずしも起炎菌を正しく反映しているわけではないからです。見込みで始めた抗菌剤選択が効かなかかった場合の備えとして採取するのと、病院内の細菌流行を把握するため、スーパー緑膿菌、スーパーMRSAなどが発生していないかを確認するためです)
セフェム系抗菌薬の中では第3世代セフェム系の薬剤はバイオアベイラビリティーが極めて不良で、
10数%から、多くても50%程度しか消化管から吸収されません(ほとんどがうんこになって出てくるのと、腸内細菌に薬剤耐性菌を増やすだけだということが知られています)。
第1世代のセファレキシン(ケフレックス)のようなセフェム系の使用をお勧めします。
また緑膿菌に無効な第1世代のセフェム系抗菌薬としてセファクロルを思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、セファクロルは第2世代で、皮疹などの血清反応の副作用が多く推奨しにくいです。
ということで、膀胱炎と診断したら、レボフロキサシンではなく、ケフレックス250mg6カプセル 分3を5〜7日間か、ST合剤4錠分2を3日間処方しましょう。
ST合剤の投薬を怖いと感じる先生も多いかもしれません。
確かに高カリウム血症、クレアチニン上昇、骨髄抑制、発疹などの副作用があり、添付文書上も「他剤が無効あるいは使用できない場合に投与を考慮する」と警告されています。
一方で、ST合剤をHIV患者などに生じるニューモシスチス肺炎の治療薬として用いる場合は、より高用量かつ長期間服用させます。
疾患の重篤度に違いがあるとはいえ、膀胱炎の投薬はわずか3日間。
処方で重篤な副作用が生じる可能性は極めて低いのです。
現在の大腸菌の耐性傾向を考慮すると、膀胱炎に対して国内で処方できる薬剤は限られます。
まずはST合剤、ST合剤は使いたくないという先生はせめてセファレキシンで治療をお願いいたします。
明日から膀胱炎の治療は楽勝ですね!
【参考文献】
1)Andreas K,et al. BMJ.2017;359:j4784.
2)Ingvild Vi,et.al.PLOS Medicine.2018;May15.
3)Thomas H,et al. JAMA Intern Med. 2018;178(11):1509-15.
著者プロフィール
岡秀昭(埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科准教授)
●おかひであき氏。
2000年日本大学卒。日本大学第一内科で研修後、横浜市立大学、神戸大学、東京高輪病院などを経て、2017年より現職。
2019年05月07日
漢方外来、女性患者が多いのには理由がある
(固形がんの化学療法をしていて、漢方は重宝した。
末期患者に対しての緩和療法でも威力を発揮する
ただし、漢方も薬なので、副作用があるし、内服薬の確認の際には漢方の服用についても申告してほしい)
漢方外来、女性患者が多いのには理由がある
2019年03月29日 05:05
漢方外来は、特に疾患を限定しておらず、対象となる患者の疾患や愁訴は多岐にわたる。
男女とも受診するが、実際の外来患者は『圧倒的に女性』が多く、明確な性差が見られる。
埼玉医科大学東洋医学科診療部長の磯部秀之氏は「漢方外来受診者に女性が多い理由は、
女性はホルモンの変動が激しいため症状や愁訴も多彩で、漢方の特徴とその適応病態が適しているためと思われる」と第12回日本性差医学・医療学会(1月19〜20日)で述べた。
漢方は人間本来の自然治癒力を引き出す
磯部氏によると、同大学病院や同大学かわごえクリニックの漢方外来の受診者は、
70〜80%が女性であるという。
同クリニックにおける2014年と15年の患者数は、両年ともに女性が約80%、男性が約20%であった。
漢方治療は漢方医学的な診断や考え方に基づいて漢方薬を投与する。
漢方薬は生薬(植物、動物、鉱物)を丸ごと使用し、基本的には複数の生薬を組み合わせて使用する。
複数の生薬を組み合わせる理由は、作用が不十分なため高めたい、不都合な症状の発現を軽減するなどだが、最も大きな理由は多彩な症状・体質への対処であるという。
同氏は「漢方医学の基本方針は、人間本来の自然治癒力を引き出すこと。
自然治癒力が衰えているときには賦活する、過剰なときには適度に弱めるなど、漢方薬によって自然治癒力を調整する。
ヒトは生体のバランスの崩れを回復する恒常性(ホメオスタシス)を有するが、それを後押しするのが漢方治療である」と説明。
「西洋医学ではどこに異常があるのかを細分化していく(細かく見る)、漢方医学では病人を総合的に見るというのが両者の視点の違い。漢方では、疾患を持った患者全体をいかに治療するかという視点に立っている」と述べた。
女性は自律神経が乱れやすい
漢方治療が考慮される病態としては
@可逆的変化を主とする疾患
A機能性疾患
B虚弱体質(体質改善)
C心身症的傾向が強い
D検査で症状を説明できるような異常がない
E西洋医学的には治療が困難
F西洋医学的な治療が副作用のために継続できない
G西洋医学的な治療だけでは効果が不十分
−などが挙げられる。
女性の場合、生理周期に伴う急激なホルモンの変動により自律神経系のバランスを崩しやすく、
自律神経失調症につながることも少なくない。
漢方薬は、ホルモンの変動や自律神経機能を調節し、そのバランスの乱れを修正する方向に作用する。
また女性は、生理周期に伴ういらいらや落ち込み、不安など精神面での愁訴に悩まされることが多い。
漢方医学では心と体を切り離さず、常に精神と身体相互の関連を重視している。
精神面での愁訴を重要視し、心身症的傾向が強い場合には、漢方治療の有用性は高いという。
さらに女性は生理前、生理中だけでなく、さまざまな愁訴があり、更年期症状も非常に多彩である。
個体差の重視は、漢方治療の大きな特徴の1つであり、疾患よりも、その疾患を持った病人に対する治療を行うものである。
女性に多い主訴は頭痛、不眠、腰痛、肩凝りなど
磯部氏は同クリニックにおける2015年の新規受診患者74例(女性56例、男性18例)を対象として、初診時の問診票を解析した。
男女比は患者全体と同様の傾向で、
問診票でチェックされた症状の数は男性の6.8に対し、女性では10.5と明らかに多かった。
睡眠に関する症状は男性の55.6%に対し、女性では87.5%と大部分で見られた。
気分の項目(いらいらなどの症状)では、男性1.3に対し女性は2.6と2倍であった。
女性で最も多かった主訴は頭痛、次いで不眠、腰痛、肩凝り、倦怠感、冷え、めまいなどの順であった。
また、主訴に限らず問診票に記入された症状では、肩凝りと冷えが30例超と非常に多く、疲れやすい、腰痛、不安感、夜中に目が覚めるなども多かった。
同氏は「精神と身体を切り離さない漢方治療の有用性が示唆される」と述べた。
冷えは万病のもと
冷えも漢方外来を受診する女性に多く見られる症状の1つである。
磯部氏は「冷えが主訴の男性がいないわけではないが、女性の方が圧倒的に多く、主訴が冷えでなくても冷えの症状を訴える女性は大変多い。
冷えには血流や新陳代謝などが関与し、自律神経の乱れや機能低下が原因となる。
また、筋肉の緊張を高め、血流をさらに低下させるという悪循環につながる」と指摘した。
冷えは多くの症状や疾患と関連性があり、肩凝り、頭痛、腰痛、痺れ、腹痛や便通異常(便秘や下痢)、生理不順や不妊などの原因の1つとなる。
さらに、冷えがあるとかぜをひきやすくなったり不眠症になることもまれではない。
西洋医学的には冷えの治療は難しいが、漢方には体を温める効果のある生薬が多く、冷えに有効な処方は多数あるという。
全身状態の改善
漢方治療は生体のゆがみを是正し、生体をより良い方向へ導くことを主眼とするため、全身状態を改善し、種々の好ましい作用をもたらす。
かぜをひかなくなった、体が温まる、便通がよくなった、熟睡できる、疲れにくくなったなど、さまざまな改善が見られる。また、漢方治療は体力を補い、患者に活力を与える。そのため、主訴の改善が難しい場合でも、患者の闘病力を高め、QOLの向上が期待できる。
以前は、西洋医学的治療を受けても治らず最後の手段として漢方外来を受診する人が多かったが、近年は他の医療機関を受診せずにいきなり漢方外来を受診する人が増えたという。
受診理由は、西洋医学的治療に不安が大きい(西洋薬の副作用などを心配)、体質改善など漢方治療が適切と判断などであるという。
磯部氏は「ただし、安易に初めから漢方外来を受診しても、持病(糖尿病など)が重症の場合には西洋医学の治療を併用することや他科に紹介することも少なくない」と述べている。
漢方と西洋医学の併用で治療の幅が広がる
漢方は、西洋医学だけでは不十分なところをある程度補うことが可能で、西洋医学との併用により西洋薬の減量や副作用の軽減、相乗効果などが期待できる。
さらに難治性疾患患者の闘病力の向上、QOLの改善などに寄与できる。
医療費もそれほど高くないため、医療経済に対する貢献が可能と思われ、普段から漢方薬を服用することが体質改善につながり予防医学への有用性が高いと考えられる。
磯部氏は「これらのことから、漢方薬は現代医療における"有用な治療戦略の1つ"といえる」と強調。
「現在、漢方外来を受診する男性患者が増加している。西洋医学は日々大きく進歩しているが、それでも説明のつかない病態に対しては漢方が有用な可能性がある。
西洋医学と漢方医学の両方をうまく使うことで治療の幅が広がると思われる」と結んだ。(慶野 永)
末期患者に対しての緩和療法でも威力を発揮する
ただし、漢方も薬なので、副作用があるし、内服薬の確認の際には漢方の服用についても申告してほしい)
漢方外来、女性患者が多いのには理由がある
2019年03月29日 05:05
漢方外来は、特に疾患を限定しておらず、対象となる患者の疾患や愁訴は多岐にわたる。
男女とも受診するが、実際の外来患者は『圧倒的に女性』が多く、明確な性差が見られる。
埼玉医科大学東洋医学科診療部長の磯部秀之氏は「漢方外来受診者に女性が多い理由は、
女性はホルモンの変動が激しいため症状や愁訴も多彩で、漢方の特徴とその適応病態が適しているためと思われる」と第12回日本性差医学・医療学会(1月19〜20日)で述べた。
漢方は人間本来の自然治癒力を引き出す
磯部氏によると、同大学病院や同大学かわごえクリニックの漢方外来の受診者は、
70〜80%が女性であるという。
同クリニックにおける2014年と15年の患者数は、両年ともに女性が約80%、男性が約20%であった。
漢方治療は漢方医学的な診断や考え方に基づいて漢方薬を投与する。
漢方薬は生薬(植物、動物、鉱物)を丸ごと使用し、基本的には複数の生薬を組み合わせて使用する。
複数の生薬を組み合わせる理由は、作用が不十分なため高めたい、不都合な症状の発現を軽減するなどだが、最も大きな理由は多彩な症状・体質への対処であるという。
同氏は「漢方医学の基本方針は、人間本来の自然治癒力を引き出すこと。
自然治癒力が衰えているときには賦活する、過剰なときには適度に弱めるなど、漢方薬によって自然治癒力を調整する。
ヒトは生体のバランスの崩れを回復する恒常性(ホメオスタシス)を有するが、それを後押しするのが漢方治療である」と説明。
「西洋医学ではどこに異常があるのかを細分化していく(細かく見る)、漢方医学では病人を総合的に見るというのが両者の視点の違い。漢方では、疾患を持った患者全体をいかに治療するかという視点に立っている」と述べた。
女性は自律神経が乱れやすい
漢方治療が考慮される病態としては
@可逆的変化を主とする疾患
A機能性疾患
B虚弱体質(体質改善)
C心身症的傾向が強い
D検査で症状を説明できるような異常がない
E西洋医学的には治療が困難
F西洋医学的な治療が副作用のために継続できない
G西洋医学的な治療だけでは効果が不十分
−などが挙げられる。
女性の場合、生理周期に伴う急激なホルモンの変動により自律神経系のバランスを崩しやすく、
自律神経失調症につながることも少なくない。
漢方薬は、ホルモンの変動や自律神経機能を調節し、そのバランスの乱れを修正する方向に作用する。
また女性は、生理周期に伴ういらいらや落ち込み、不安など精神面での愁訴に悩まされることが多い。
漢方医学では心と体を切り離さず、常に精神と身体相互の関連を重視している。
精神面での愁訴を重要視し、心身症的傾向が強い場合には、漢方治療の有用性は高いという。
さらに女性は生理前、生理中だけでなく、さまざまな愁訴があり、更年期症状も非常に多彩である。
個体差の重視は、漢方治療の大きな特徴の1つであり、疾患よりも、その疾患を持った病人に対する治療を行うものである。
女性に多い主訴は頭痛、不眠、腰痛、肩凝りなど
磯部氏は同クリニックにおける2015年の新規受診患者74例(女性56例、男性18例)を対象として、初診時の問診票を解析した。
男女比は患者全体と同様の傾向で、
問診票でチェックされた症状の数は男性の6.8に対し、女性では10.5と明らかに多かった。
睡眠に関する症状は男性の55.6%に対し、女性では87.5%と大部分で見られた。
気分の項目(いらいらなどの症状)では、男性1.3に対し女性は2.6と2倍であった。
女性で最も多かった主訴は頭痛、次いで不眠、腰痛、肩凝り、倦怠感、冷え、めまいなどの順であった。
また、主訴に限らず問診票に記入された症状では、肩凝りと冷えが30例超と非常に多く、疲れやすい、腰痛、不安感、夜中に目が覚めるなども多かった。
同氏は「精神と身体を切り離さない漢方治療の有用性が示唆される」と述べた。
冷えは万病のもと
冷えも漢方外来を受診する女性に多く見られる症状の1つである。
磯部氏は「冷えが主訴の男性がいないわけではないが、女性の方が圧倒的に多く、主訴が冷えでなくても冷えの症状を訴える女性は大変多い。
冷えには血流や新陳代謝などが関与し、自律神経の乱れや機能低下が原因となる。
また、筋肉の緊張を高め、血流をさらに低下させるという悪循環につながる」と指摘した。
冷えは多くの症状や疾患と関連性があり、肩凝り、頭痛、腰痛、痺れ、腹痛や便通異常(便秘や下痢)、生理不順や不妊などの原因の1つとなる。
さらに、冷えがあるとかぜをひきやすくなったり不眠症になることもまれではない。
西洋医学的には冷えの治療は難しいが、漢方には体を温める効果のある生薬が多く、冷えに有効な処方は多数あるという。
全身状態の改善
漢方治療は生体のゆがみを是正し、生体をより良い方向へ導くことを主眼とするため、全身状態を改善し、種々の好ましい作用をもたらす。
かぜをひかなくなった、体が温まる、便通がよくなった、熟睡できる、疲れにくくなったなど、さまざまな改善が見られる。また、漢方治療は体力を補い、患者に活力を与える。そのため、主訴の改善が難しい場合でも、患者の闘病力を高め、QOLの向上が期待できる。
以前は、西洋医学的治療を受けても治らず最後の手段として漢方外来を受診する人が多かったが、近年は他の医療機関を受診せずにいきなり漢方外来を受診する人が増えたという。
受診理由は、西洋医学的治療に不安が大きい(西洋薬の副作用などを心配)、体質改善など漢方治療が適切と判断などであるという。
磯部氏は「ただし、安易に初めから漢方外来を受診しても、持病(糖尿病など)が重症の場合には西洋医学の治療を併用することや他科に紹介することも少なくない」と述べている。
漢方と西洋医学の併用で治療の幅が広がる
漢方は、西洋医学だけでは不十分なところをある程度補うことが可能で、西洋医学との併用により西洋薬の減量や副作用の軽減、相乗効果などが期待できる。
さらに難治性疾患患者の闘病力の向上、QOLの改善などに寄与できる。
医療費もそれほど高くないため、医療経済に対する貢献が可能と思われ、普段から漢方薬を服用することが体質改善につながり予防医学への有用性が高いと考えられる。
磯部氏は「これらのことから、漢方薬は現代医療における"有用な治療戦略の1つ"といえる」と強調。
「現在、漢方外来を受診する男性患者が増加している。西洋医学は日々大きく進歩しているが、それでも説明のつかない病態に対しては漢方が有用な可能性がある。
西洋医学と漢方医学の両方をうまく使うことで治療の幅が広がると思われる」と結んだ。(慶野 永)
2019年05月06日
心房細動は脳卒中に対しても認知症に対しても危険因子!
70歳スタートでは、男性の方の動脈硬化が早いという結果だと思う
心房細動は脳卒中に対しても認知症に対しても危険因子!
『心房細動』の『男性』、脳卒中なしでも認知症に注意
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/01
心房細動は脳卒中リスクを増大させ、認知障害や認知症のリスクを増大させる
しかし最近、脳卒中でない場合でもこの関連を示唆するエビデンスが出てきている。
そこで、『スウェーデン』・ヨーテボリ大学のLina Ryden氏らは、コホートから脳卒中患者を除外しなかった場合とした場合の心房細動と認知症発症との関連を調査し、さらに性別や遺伝的因子についても検討した。Journal of Internal Medicine誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。
著者らは、ヨーテボリH70出生コホート研究の一環として、
2000〜01年、『70歳の被験者561例』について、
身体的および神経精神学的な総合検査を実施し、75歳時と79歳時にフォローアップ調査を行った。
ベースライン時の心房細動は、ECG、代理報告、National Patient Register(NPR)により確認した。
ベースライン時およびフォローアップ時の脳卒中は、自己報告、代理報告、NPRにより確認した。
また、ベースライン時およびフォローアップ時の認知症は、神経精神学的検査、代理報告、NPRに基づき、DSM-III-R基準に従って診断した。
主な結果は以下のとおり
・心房細動を有する参加者は、12年間のフォローアップ期間に認知症リスクがほぼ3倍に増加し
(HR:2.8、95%CI:1.3〜5.7、p=0.004)、
このリスクはベースライン時およびフォローアップ時に脳卒中を有する参加者を除いた後も残った。
・この関連は、性別で層別した場合に男性のみ
(HR:4.6、95%CI:1.9〜11.2、p<0.001、性別と心房細動の交互作用:p=0.047)、
またApoE※(アポリポタンパクE)対立遺伝子ε4の非保有者のみ
(HR:4.2、95%CI:1.8〜9.7、p<0.001、ApoEと心房細動の交互作用:p=0.128)で認められた。
・心房細動による認知症の人口寄与危険度は13%であった。
著者らは、「無症候性脳血管リスクの指標としての心房細動の関連をさらに調査する必要がある」とし、また「心房細動の患者は認知症状を検査されるべき」と提言している。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Ryden L, et al.J Intern Med. 2019 Mar 20. [Epub ahead of print]
(※ApoEは血中LDLの主要成分で大脳皮質の発生には欠かせない分子だが、その作用メカニズムについてはまだよくわからない点が多い。
中でも臨床医学的に重要なのはアルツハイマー病との関係だ。
人間のApoEには3種類の遺伝型、ApoE2, ApoE3,ApoE4が存在し、このうちApoE4はアルツハイマー病のリスクが高いことが知られている。
ただ、そのメカニズムについてはよくわかっていない。)
心房細動は脳卒中に対しても認知症に対しても危険因子!
『心房細動』の『男性』、脳卒中なしでも認知症に注意
提供元:ケアネット 公開日:2019/04/01
心房細動は脳卒中リスクを増大させ、認知障害や認知症のリスクを増大させる
しかし最近、脳卒中でない場合でもこの関連を示唆するエビデンスが出てきている。
そこで、『スウェーデン』・ヨーテボリ大学のLina Ryden氏らは、コホートから脳卒中患者を除外しなかった場合とした場合の心房細動と認知症発症との関連を調査し、さらに性別や遺伝的因子についても検討した。Journal of Internal Medicine誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。
著者らは、ヨーテボリH70出生コホート研究の一環として、
2000〜01年、『70歳の被験者561例』について、
身体的および神経精神学的な総合検査を実施し、75歳時と79歳時にフォローアップ調査を行った。
ベースライン時の心房細動は、ECG、代理報告、National Patient Register(NPR)により確認した。
ベースライン時およびフォローアップ時の脳卒中は、自己報告、代理報告、NPRにより確認した。
また、ベースライン時およびフォローアップ時の認知症は、神経精神学的検査、代理報告、NPRに基づき、DSM-III-R基準に従って診断した。
主な結果は以下のとおり
・心房細動を有する参加者は、12年間のフォローアップ期間に認知症リスクがほぼ3倍に増加し
(HR:2.8、95%CI:1.3〜5.7、p=0.004)、
このリスクはベースライン時およびフォローアップ時に脳卒中を有する参加者を除いた後も残った。
・この関連は、性別で層別した場合に男性のみ
(HR:4.6、95%CI:1.9〜11.2、p<0.001、性別と心房細動の交互作用:p=0.047)、
またApoE※(アポリポタンパクE)対立遺伝子ε4の非保有者のみ
(HR:4.2、95%CI:1.8〜9.7、p<0.001、ApoEと心房細動の交互作用:p=0.128)で認められた。
・心房細動による認知症の人口寄与危険度は13%であった。
著者らは、「無症候性脳血管リスクの指標としての心房細動の関連をさらに調査する必要がある」とし、また「心房細動の患者は認知症状を検査されるべき」と提言している。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Ryden L, et al.J Intern Med. 2019 Mar 20. [Epub ahead of print]
(※ApoEは血中LDLの主要成分で大脳皮質の発生には欠かせない分子だが、その作用メカニズムについてはまだよくわからない点が多い。
中でも臨床医学的に重要なのはアルツハイマー病との関係だ。
人間のApoEには3種類の遺伝型、ApoE2, ApoE3,ApoE4が存在し、このうちApoE4はアルツハイマー病のリスクが高いことが知られている。
ただ、そのメカニズムについてはよくわかっていない。)
2019年05月05日
家事や園芸でも高齢女性の心疾患リスク減
家事や園芸でも高齢女性の心疾患リスク減
健康を保つのに、ジョギングなどの高強度運動は必要ないかもしれない−
米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のAndrea LaCroix氏らが行った研究から、
日常的な家事や園芸といった軽い身体活動でも高齢女性の心疾患の予防につながる可能性があることが示された。
研究の詳細は「JAMA Network Open」3月15日オンライン版に掲載された。
米国立心肺血液研究所(NHLBI)によると、冠動脈疾患(CHD)や心血管疾患(CVD)といった心疾患は依然として、米国女性の主要な死因である。
また、60〜79歳の女性の68%近くが心疾患に罹患しているという。
LaCroix氏らは、心筋梗塞や脳卒中の既往がない63〜97歳(平均年齢78.5歳)の女性5,861人を対象に、
軽い身体活動と心疾患の発症との関連を調べた。
なお、CHDイベントには心筋梗塞やCHDによる死亡、CVDイベントにはCHDや血行再建術、頸動脈疾患、入院を要する狭心症、うっ血性心不全、脳卒中などが含まれた。
参加者には活動量計を1週間装着してもらい、24時間の身体活動量を記録し、その後、心臓の健康状態を最長で4.91年間追跡した。
参加者を園芸や散歩、衣服の折りたたみといった低強度の身体活動量で4つのグループに分けて分析した結果、身体活動量が最も低い群に比べて、最も高い群では、心筋梗塞やCHDによる死亡リスクは42%低く、CVDイベントリスクは22%低いことが分かった。
これらの結果を踏まえ、LaCroix氏は「身体活動量が多いほど、高齢女性の心疾患リスクは低減することが分かった」と結論づけている。
また、こうした結果は、女性の全般的な健康状態や機能的な能力、年齢に関係なく認められたことから、
「軽い身体活動と心疾患リスクの低減が関連することは明らかだ」と同氏は指摘している。
この研究に資金を提供したNHLBI心臓血管科学部門のディレクターを務めるDavid Goff氏は、専門家の立場から、「高齢女性にとって、どんな運動でも心血管の健康の向上につながることが分かった。
近年、こうしたことを裏付けるエビデンスは増えつつある」と述べている。
また、同じく専門家の一人で、米レノックス・ヒル病院のEugenia Gianos氏は「この調査結果は、毎日1万歩の達成を推奨する米国心臓協会(AHA)のガイドラインや、軽い身体活動を支持する2018年の身体活動ガイドラインを裏付けるものだ」と述べている。
さらに、米ノースウェル・ヘルス、サンドラ・アトラス・バス・ハート病院のGuy Mintz氏は「従来の研究は、参加者が記入した日常的な活動に関するアンケート結果に基づいていたため、不正確さは避けられなかった。
しかし、今回の研究では、参加者の運動量を活動量計で測定しているため、より信頼性が高い。
この点で従来よりも新しい研究の方が優れているといえる」と述べている。
今回の結果について、Mintz氏は「毎日の軽い身体活動が高齢女性の心臓にもたらす保護効果の大きさは、コレステロール低下薬のスタチンによる心疾患イベントの低減効果に匹敵する」と評価している。
また、同氏は「この研究は、何歳になっても女性が身体を動かすことの大切さを示している。
健康で長生きするには、高価なジムの会員になる必要などはなく、日常生活で身体を動かしていれば十分だ」と付け加えている。
(HealthDay News 2019年3月15日) https://consumer.healthday.com/…/even-housework-gardening-c… Copyright 2019 HealthDay.
健康を保つのに、ジョギングなどの高強度運動は必要ないかもしれない−
米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のAndrea LaCroix氏らが行った研究から、
日常的な家事や園芸といった軽い身体活動でも高齢女性の心疾患の予防につながる可能性があることが示された。
研究の詳細は「JAMA Network Open」3月15日オンライン版に掲載された。
米国立心肺血液研究所(NHLBI)によると、冠動脈疾患(CHD)や心血管疾患(CVD)といった心疾患は依然として、米国女性の主要な死因である。
また、60〜79歳の女性の68%近くが心疾患に罹患しているという。
LaCroix氏らは、心筋梗塞や脳卒中の既往がない63〜97歳(平均年齢78.5歳)の女性5,861人を対象に、
軽い身体活動と心疾患の発症との関連を調べた。
なお、CHDイベントには心筋梗塞やCHDによる死亡、CVDイベントにはCHDや血行再建術、頸動脈疾患、入院を要する狭心症、うっ血性心不全、脳卒中などが含まれた。
参加者には活動量計を1週間装着してもらい、24時間の身体活動量を記録し、その後、心臓の健康状態を最長で4.91年間追跡した。
参加者を園芸や散歩、衣服の折りたたみといった低強度の身体活動量で4つのグループに分けて分析した結果、身体活動量が最も低い群に比べて、最も高い群では、心筋梗塞やCHDによる死亡リスクは42%低く、CVDイベントリスクは22%低いことが分かった。
これらの結果を踏まえ、LaCroix氏は「身体活動量が多いほど、高齢女性の心疾患リスクは低減することが分かった」と結論づけている。
また、こうした結果は、女性の全般的な健康状態や機能的な能力、年齢に関係なく認められたことから、
「軽い身体活動と心疾患リスクの低減が関連することは明らかだ」と同氏は指摘している。
この研究に資金を提供したNHLBI心臓血管科学部門のディレクターを務めるDavid Goff氏は、専門家の立場から、「高齢女性にとって、どんな運動でも心血管の健康の向上につながることが分かった。
近年、こうしたことを裏付けるエビデンスは増えつつある」と述べている。
また、同じく専門家の一人で、米レノックス・ヒル病院のEugenia Gianos氏は「この調査結果は、毎日1万歩の達成を推奨する米国心臓協会(AHA)のガイドラインや、軽い身体活動を支持する2018年の身体活動ガイドラインを裏付けるものだ」と述べている。
さらに、米ノースウェル・ヘルス、サンドラ・アトラス・バス・ハート病院のGuy Mintz氏は「従来の研究は、参加者が記入した日常的な活動に関するアンケート結果に基づいていたため、不正確さは避けられなかった。
しかし、今回の研究では、参加者の運動量を活動量計で測定しているため、より信頼性が高い。
この点で従来よりも新しい研究の方が優れているといえる」と述べている。
今回の結果について、Mintz氏は「毎日の軽い身体活動が高齢女性の心臓にもたらす保護効果の大きさは、コレステロール低下薬のスタチンによる心疾患イベントの低減効果に匹敵する」と評価している。
また、同氏は「この研究は、何歳になっても女性が身体を動かすことの大切さを示している。
健康で長生きするには、高価なジムの会員になる必要などはなく、日常生活で身体を動かしていれば十分だ」と付け加えている。
(HealthDay News 2019年3月15日) https://consumer.healthday.com/…/even-housework-gardening-c… Copyright 2019 HealthDay.
2019年05月04日
成人の失明で一番多い原因が緑内障です(約1/4)
成人の失明で一番多い原因が緑内障です(約1/4)
そのうち眼痛の症状がでない正常圧緑内障が半分を占めます。
気づいたときには、視野異常は元に戻りません!
眼科を定期的に受診しましょう!!
40歳超えたら検診を−緑内障
=視野異常の自覚で事故防止
目の病気の中で、日本人の成人失明原因トップの緑内障。
視野に異常が出ても、初期は自覚症状がほとんどないため、病気に気付きにくい。
視野の異常を自覚しないまま車の運転を続けると、交通事故につながりかねない。
しかし、東京大学医学部付属病院(東京都文京区)眼科の朝岡亮特任講師らの研究では、
多くの患者は視野異常を自覚することで事故の発生が抑止されていることが分かった。
視野異常と交通事故との関係
▽気付かず手遅れになることも
緑内障は、40代以降の約20人に1人が発症する。
何らかの原因で視神経に障害が起こり、目で捉えた映像がうまく脳に伝わらず、徐々に視野が狭くなる。
左右の目で欠損部分が異なり、視野を補い合うため、初期には自覚しにくく、気付いた時には手遅れというケースも多いという。
緑内障で視野が狭まると、交差点を渡る人が見えない、対向車が見えにくい、左右から進入してくる車が見えないなど、運転に支障が出る可能性がある。
そこで朝岡特任講師は慶応義塾大学医学部眼科の結城賢弥専任講師と共同で、
緑内障患者約200人を3年間追跡し、交通事故との関係を調査した。
その結果、事故を起こした人が4.9%いたが、視野欠損の度合い(重症度)との直接の相関は見られず、視野異常が重症な人ほど車の運転が慎重になる傾向が強かった。
「緑内障の患者さんは、視野が欠けていることを理解しているため、多くの人が慎重に運転します。
事故は視野の問題だけでなく、さまざまな因子が絡み合って起きていると推測され、視野欠損と事故リスクの増加との関係は単純ではありません」と朝岡特任講師。
▽40歳を超えたら検診を
この数年、高齢者が加害者となる交通事故が目立ち、社会問題となる中で、高齢者の運転免許の是非は、社会全体で議論すべき重大なテーマとなっている。
だが、車がないと生活できない地域が存在し、特に高齢者にとっては重要な移動手段の一つである。
朝岡特任講師は「視野が欠ける範囲が2倍になったからといって、交通事故が2倍に増えるという決め付けは危険です。
過疎地に住む高齢者や職業運転者の運転免許を取り上げてしまったら、移動や仕事に困ることになります。
むしろ緑内障患者の多くが、未治療であることの方が問題です」と指摘する。
視野異常がある場合、患者本人が自覚しているか否かによって、日常生活への影響は大きく異なる。
そのため、朝岡特任講師は「緑内障は薬物治療や手術により進行を抑えられるので、
早期発見、早期治療が重要です。
40歳を超えたら、年に1度は検診を受けてください」と訴える。(メディカルトリビューン=時事)
(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです。2019/03/30 11:00)
そのうち眼痛の症状がでない正常圧緑内障が半分を占めます。
気づいたときには、視野異常は元に戻りません!
眼科を定期的に受診しましょう!!
40歳超えたら検診を−緑内障
=視野異常の自覚で事故防止
目の病気の中で、日本人の成人失明原因トップの緑内障。
視野に異常が出ても、初期は自覚症状がほとんどないため、病気に気付きにくい。
視野の異常を自覚しないまま車の運転を続けると、交通事故につながりかねない。
しかし、東京大学医学部付属病院(東京都文京区)眼科の朝岡亮特任講師らの研究では、
多くの患者は視野異常を自覚することで事故の発生が抑止されていることが分かった。
視野異常と交通事故との関係
▽気付かず手遅れになることも
緑内障は、40代以降の約20人に1人が発症する。
何らかの原因で視神経に障害が起こり、目で捉えた映像がうまく脳に伝わらず、徐々に視野が狭くなる。
左右の目で欠損部分が異なり、視野を補い合うため、初期には自覚しにくく、気付いた時には手遅れというケースも多いという。
緑内障で視野が狭まると、交差点を渡る人が見えない、対向車が見えにくい、左右から進入してくる車が見えないなど、運転に支障が出る可能性がある。
そこで朝岡特任講師は慶応義塾大学医学部眼科の結城賢弥専任講師と共同で、
緑内障患者約200人を3年間追跡し、交通事故との関係を調査した。
その結果、事故を起こした人が4.9%いたが、視野欠損の度合い(重症度)との直接の相関は見られず、視野異常が重症な人ほど車の運転が慎重になる傾向が強かった。
「緑内障の患者さんは、視野が欠けていることを理解しているため、多くの人が慎重に運転します。
事故は視野の問題だけでなく、さまざまな因子が絡み合って起きていると推測され、視野欠損と事故リスクの増加との関係は単純ではありません」と朝岡特任講師。
▽40歳を超えたら検診を
この数年、高齢者が加害者となる交通事故が目立ち、社会問題となる中で、高齢者の運転免許の是非は、社会全体で議論すべき重大なテーマとなっている。
だが、車がないと生活できない地域が存在し、特に高齢者にとっては重要な移動手段の一つである。
朝岡特任講師は「視野が欠ける範囲が2倍になったからといって、交通事故が2倍に増えるという決め付けは危険です。
過疎地に住む高齢者や職業運転者の運転免許を取り上げてしまったら、移動や仕事に困ることになります。
むしろ緑内障患者の多くが、未治療であることの方が問題です」と指摘する。
視野異常がある場合、患者本人が自覚しているか否かによって、日常生活への影響は大きく異なる。
そのため、朝岡特任講師は「緑内障は薬物治療や手術により進行を抑えられるので、
早期発見、早期治療が重要です。
40歳を超えたら、年に1度は検診を受けてください」と訴える。(メディカルトリビューン=時事)
(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです。2019/03/30 11:00)