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2019年05月03日

医薬品添加物がアレルギー反応の原因である可能性

医薬品添加物がアレルギー反応の原因である可能性

米国人が服用している医薬品の90%以上に、アレルギー反応を引き起こす可能性のある「医薬品添加物」が含まれていることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のC. Giovanni Traverso氏らが行った研究で明らかになった。
この研究結果は「Science Translational Medicine」3月13日オンライン版に掲載された。
薬のイメージ.jpg

Traverso氏らによると、医薬品には、味の改良や保存期間の延長、吸収率の向上、不正開封の防止などの目的で、乳糖、ピーナッツオイル、グルテン、化学染料といった成分が添加されており、こうした添加物がアレルギー反応を誘発することがあるという。

同氏は「ほとんどの錠剤は『添加物が約75%』を占め、有効成分は25%程度である」と説明している。
また、Traverso氏らによれば、1つの錠剤やカプセルに含まれている添加物は平均8種類で、多いものでは38種類にもなるという。
このため、医薬品添加物に重度のアレルギー反応を起こした患者の報告例も少なくない。
「患者に薬剤を処方する際、医師は有効成分にしか気を留めないものだ。
しかし、医師も患者も薬剤には添加物が含まれていることを意識すべきであり、医師は、そうした添加物に対するアレルギーについても患者に確認をとる必要がある」と同氏は述べている。

今回の研究では、4万2,000種類以上の医薬品に含まれる添加物に着目し、分析した。
対象とされた錠剤やカプセルからは、約36万の添加物が認められた。
分析の結果、服用後に『アレルギー反応を引き起こす可能性のある成分が38種類』見つかった。
また、『対象とした医薬品の93%には、そのような成分が1種類以上含まれ』ていた。
さらに、約45%に乳糖、33%に食用色素、1%弱にピーナッツオイルが含まれていることが分かった。

多くの場合、このような成分を含まない薬剤を処方することは可能だが、ピーナッツオイルを含有するプロゲステロンのように代替薬がほとんどないものもある。

なお、医薬品に含まれる成分は、大抵は添付文書に記載されており、米国立医学図書館(NLM)のデータベースでも確認できるという。

Traverso氏によれば、医薬品添加物により、蕁麻疹や呼吸困難、胃腸症状などのアレルギー反応が引き起こされることがある。

しかし、現時点では、アレルギー反応を誘発する成分量などは明らかになっていない。
例えば、乳糖などは含有量がごく少量であるため、患者が重度の乳糖不耐症である場合や、ラクトースを含んだ薬剤を複数服用した場合でない限り、アレルギー反応は現れないこともあるという。

今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター教授のMarc Siegel氏は「近年、アレルギーや乳糖不耐症が増えていることからも、医師は、薬剤を処方する際にはますます慎重になる必要がある」と述べている。

また、薬剤に対するアレルギーが、実はその薬剤自体ではなく、そこに含まれている添加物に対してアレルギー反応を起こしている可能性があることにも触れ、「医師は、実際にはアレルギーを起こしていない物質に対してアレルギーがあると思い込んでいる可能性もある」と付け加えている。
(HealthDay News 2019年3月13日) https://consumer.healthday.com/…/are-inactive-ingredients-i…

2019年05月02日

認知症の周辺症状への対応 周囲が気遣い、人間関係の調整を

BPSD(周辺症状)がなければ、認知症には特に投薬の必要性はないと考えている。

認知症の周辺症状への対応
周囲が気遣い、人間関係の調整を


認知症は、物忘れや判断力の低下などの中核症状に加えて、頻度は高くないが、幻覚や妄想、徘徊(はいかい)、暴言、暴力などの行動・心理症状(BPSD)が出現することがある。
東京慈恵会医科大学(東京都港区)精神医学講座の繁田雅弘教授は、「家族や介護者の大きな負担になる徘徊、暴言、暴力といった行動の障害には、環境や人間関係が特に大きく影響します。
患者の話をよく聴き、共感することで症状が表れなくなったり、軽くなったりします」と指摘する。

認知症の行動・心理症状(BPSD)
認知症の行動・心理症状.jpg

▽改善可能なBPSD

認知症のBPSDは周辺症状とも呼ばれ、中核症状が原因となった行動や心理面の症状として表れる。
具体的には
〔1〕幻覚、錯覚
〔2〕思考の障害(妄想、疑心、嫉妬)
〔3〕感情の障害(抑うつ、不安)
〔4〕行動の障害(徘徊、暴言、暴力)
〔5〕衝動性の高進(異性に触れたり、万引きしたりする)
〔6〕意欲や自発性の低下(無関心、無気力)―などがある。

認知症の中核症状は脳の障害が直接の原因であるため改善は難しいが、BPSDは安心できる環境の中で信頼できる人がそばについているなど適切な対応を取ることで良くなることがある。

比較的軽度であれば、体を軽く動かす運動療法、音楽療法、懐かしい写真や物を眺めて昔のことを語り合う回想法などが効果を期待できる。
これらで改善しない場合、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬などをやむを得ず用いた薬物療法が行われることもある。

▽改善は周囲の理解から

BPSDの症状で、特に患者の生活の質(QOL)を低下させ、介護者のストレスを増大させるのは、徘徊、暴言、暴力といった行動障害だ。
繁田教授は、環境や人間関係が大きく影響するため、他のBPSDとは区別する必要があるとする。
「何よりも大切なのは、本人が安心できるように、周囲の環境や人間関係を調整することです」

暴言を吐いたり、暴力を振るう患者に接する際には、非難したり、無視したりしてはならない。
また、徘徊を起こす人は、何らかの目的があって外出するが、時間と場所の感覚を失い、道に迷うケースが多い。
外出を禁ずるのではなく、理由を聞き、失敗を責めずに、共感を示すこと、同行し、あるいは見守ることが改善の近道となる。

繁田教授は「今までできていたことができない自分に、患者本人が一番傷つき、不安で混乱しています。
患者の声に耳を傾け、安心できる生活の場を作ってあげることでBPSDは改善します」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/30 07:00)

2019年05月01日

アルコール依存症 まずは減酒!、最終目標は断酒

アルコール依存症 まずは減酒!、最終目標は断酒

転換期迎えるアルコール依存症治療
飲酒量低減薬が登場
   2019年03月25日 06:00

自分の意思で飲酒の量や頻度をコントロールできなくなるアルコール依存症。
その治療法は、長らく飲酒を一切行わないことを目的とした「断酒」のみだった。

しかし、飲酒量を減らすという新しいコンセプトに基づく「飲酒量低減薬」が今年(2019年)3月5日に登場したことを機に、治療は大きな転換点を迎えた。
国内初の「減酒外来」を2017年4月に開設した久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)において同外来の担当医師を務める湯本洋介医師に、アルコール依存症治療の現状や課題、国内初となる飲酒量低減薬に対する期待について聞いた。(関連記事:「【飲酒量低減薬】ナルメフェン」)

依存症者は推計107万人、受療者はわずか6万人

アルコール依存症は、通常20〜30年かけて飲酒習慣を続けていく過程で次第に飲酒量が増え、顕在化していく。
かつては依存症者の大半を中年男性が占めていたが、近年は女性が増えており、特に50歳以上での増加が顕著である。

不適切な飲酒は、飲酒者本人に肝障害、膵炎、高血圧、脳出血、うつ病など心身にダメージを与えるだけでなく、家族、パートナーへの暴言や暴力、子供への虐待、飲酒運転など社会的な問題を引き起こす場合もある。

国内のアルコール依存症者数は107万人と推定されるが、治療を受けている人は年間6万人にすぎない。
その理由について、湯本氏は「医療機関の受診には、『アル中』のレッテルを貼られる、強制的に断酒をさせられる、医師に叱られるといったネガティブなイメージがつきまとい、飲酒で問題を抱えている人から敬遠されている。それが受診率の低さに表れている」と指摘する。

多量飲酒者にも減酒のサポートを

世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第10版(ICD-10)の診断基準では、渇望、飲酒行動のコントロール、離脱症状などの6項目のうち、過去1年間で3項目以上当てはまるとアルコール依存症と診断される。
離脱症状とは禁断症状ともいわれ、飲酒を我慢すると手の震えや発汗、いらいら、幻覚などの症状が現れるのが特徴だ。

依存症には至らないが、飲酒後に記憶をなくしたり、飲酒運転をしたり、傷害やDVなどで警察沙汰になる問題を起こす、予備群ともいえる多量飲酒者はもっと数が多い。
予備群も含めたアルコール依存症者は、約440万人に上ると推定されている。

多量飲酒とはどのような状態を指すのか。湯本氏は「恒常的に飲酒量が多く、1日当たりの平均アルコール摂取量が60グラムを超えている人。
ビールジョッキ3杯、日本酒3合分に該当する量である。
将来的に飲酒による健康被害や、生産性の低下などのリスクがあるとされ、飲酒量を減らすというサポートが有効と考えられる」と説明する(図1)。
アルコール依存症で有効な「減酒」.jpg

軽症の依存症などに減酒を推奨

国内のアルコール依存症治療において中核的な役割を担ってきた久里浜医療センターは、依存症者に加えて、軽症者や予備群である多量飲酒者にも間口を広げるため、2017年4月に国内初の「減酒外来」を開設した。

その狙いについて、湯本氏は「アルコールによる問題を抱えている人に、飲酒量を減らすための治療を行うのが目的である。
最終ゴールは断酒だが、治療のハードルを低くすることで受診への抵抗感を減らし、治療への参加を促したいと考えている。
依存症未満(多量飲酒)者が抱えている問題を軽くしたり、依存症に移行するリスクを減らしたりする役割もある」と話す。
減酒治療を経て、最終的に断酒に至った例もおり、健康状態の改善も期待されるという(図2)。
断酒への橋渡しとしての減酒.jpg

同センターには既にアルコール科があり、アルコール依存症者に対し断酒を目標とした治療を行ってきた。
だが、断酒を受け入れなかったり、初めから諦めてしまったり、断酒に至る前に治療を中断してしまう例が少なからず存在した。

そうした中、飲酒による害を減らすという"harm reduction"の概念が提唱され、日本アルコール・アディクション医学会と日本アルコール関連問題学会が昨年改訂した『新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン』では、軽症の依存症で明確な合併症がない場合は、「飲酒量低減が治療目標になり得る」との方針が盛り込まれた(図3)。
新アルコール・薬物使用障害の診断治療GLに盛り込まれた「飲酒量低減」.jpg

 一方、重症の依存症者や、身体的、精神的合併症、深刻な家族・社会的問題を有するケースでは断酒に導くことが望ましいが、それを達成しにくい場合は、先述のharm reductionの概念を用い、ひとまず現在生じている飲酒による害を減らすことを支援してもよいとしている。

減酒外来を開設後、患者が約100人増加

同センターの治療実績を見ると、減酒外来開設前の年間受診者数は約800人だったのに対し、開設後の1年間で約100人増えたという。
県外からも断酒に踏み切れなかった軽症の依存症者や多量飲酒者が治療に訪れており、湯本氏は「幅広い層の受診率向上につながっている」と手応えを感じている。

2017年5月〜18年3月の11カ月間に減酒外来を受診した92人(男性81人、女性11人)の背景を見ると、アルコール依存症者は20%で、それ以外は依存症未満だった。平均年齢は45.3歳で、働き盛り世代が中心だという。

受診者層について、同氏は「9割以上は就業しており、飲酒による影響が少なく、社会的機能が保たれている人が多い。
特に社会的地位が高い人は、仕事で成功していれば飲酒による問題があっても仕方ないと見なされ、治療にアクセスしにくい」と説明する。
受診動機で多いのは、「飲酒後に記憶がなくなるブラックアウトが起こり、不安になって来院するケース」だという。

減酒外来では、受診者に対してまず、ICD-10により依存症か依存症未満かを判定するとともに、アルコール使用障害同定テスト(AUDIT)で重症度、飲酒の程度を評価する。
減酒で対応が可能かどうかを確認するのが目的だ。
また、血液検査のデータから、飲酒による健康への影響が出ていないかを調べる。

次に、診断結果を受診者に伝え、治療方針を話し合う。受診者自身が飲酒の量や頻度(休肝日を含む)などの目標を決め、飲酒日記を毎日付けてもらう。1〜2カ月に1回受診し、3回目で治療が終了するという流れだ。

オピオイド受容体に結合して飲酒欲求を抑える新薬

治療の根幹を成すのが心理社会的治療である。
受診者は飲酒が引き起こす問題や依存症という疾患を学ぶとともに、カウンセリングなどを通じ飲酒しない習慣を身に付け、良好な人間関係を構築・維持する方法についてアドバイスを受ける。

その際、補助的に薬剤を用いるが、これまで国内で使用できるものは抗酒薬と飲酒抑制薬という断酒維持を目的とした内服薬に限られていた。
しかし、今春3月には、アルコール依存症者の新たな治療薬として、飲酒量を減らすという従来薬にない効果が期待されるナルメフェンが保険適用になった。
使用に際しては、心理社会的治療と併用する必要がある(図4)。
アルコール依存症治療薬の種類.jpg

ナルメフェンは選択的オピオイド受容体調節薬で、飲酒の1〜2時間前に服薬する。
中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体に選択的に結合して飲酒欲求を抑えることにより、抵抗感なく飲酒量を抑制する効果がある。

アルコール依存症者約660人を対象に行われた国内第V相臨床試験では、ナルメフェンまたはプラセボを心理社会的治療と併用し、24週間頓用して有効性を検討した。
その結果、プラセボ群に比べてナルメフェン群では、多量飲酒(1日の平均アルコール消費量が男性60グラム超、女性40グラム超)した日数が有意に減少し、その効果は24週間持続した。総飲酒量も有意に減少していた。
有害事象として、ナルメフェン群で悪心、浮動性めまい、傾眠などが報告されたが、多くは軽度または中等度で、長期投与により発現率や重症度が高まるものはなかった。
依存性や離脱症状は認められていない。

ナルメフェンは軽症のアルコール依存症者に有効

湯本氏はナルメフェンの効果が期待される患者像について、「アルコールのリスク評価で、高リスクのアルコール依存症者(アルコール量が男性60グラム以上/日、女性40グラム以上/日)の飲酒量を減らす効果が期待できる。
軽症の依存症者では、心理社会的治療との併用で有効性を発揮する」と期待を示す。

実際、先述の新ガイドラインでは、治療目標を飲酒量低減とした場合、「治療薬物としてナルメフェンを考慮する。
毎日の飲酒量のモニタリングなどの心理行動療法の併用が重要である」との記載がある。

また、同薬は欧州を含む 40カ国以上で承認されている(2018 年11 月現在)ことからも、同氏は「海外でのエビデンスも豊富であり、この薬に対する知識があれば抵抗感なく処方できるのではないか。
減酒をしたいという患者からのニーズがあり、心理社会的治療と併用するという条件の下で、処方が専門医から非専門医に広がる可能性もある」と締めくくった。 (小沼紀子)

2019年04月30日

おもちゃやクレジットカードで抗菌薬耐性?

おもちゃやクレジットカードで抗菌薬耐性?

かぎを握るのは『トリクロサン』

2019年03月15日 17:30

トリクロサンは、多くの消費者商品に"抗菌"を目的として高濃度で添加されている。具体的には、歯磨き粉、うがい薬、化粧品、さらには衣類、赤ちゃん用おもちゃ、クレジットカードにさえ添加されている。

スーパーマーケットの売り場は殺菌効果をうたう商品であふれ、人々は細菌から身を守るため、それらの商品を次々に買っていく。

しかし、米・Washington University in St. LouisのPetra A. Levin氏らは、それらの商品、さらにおもちゃやクレジットカードにまで添加される化学物質トリクロサンの存在下では、細菌が抗菌薬耐性を獲得することを発見した。

詳細はAntimicrob Agents Chemother(2019年2月19日オンライン版)に報告された。

さまざまな製品に添加
 
トリクロサンは、多くの消費者商品に"抗菌"を目的として高濃度で添加されている。具体的には、歯磨き粉、うがい薬、化粧品、さらには衣類、赤ちゃん用おもちゃ、クレジットカードにさえ添加されている。

2017年に米食品医薬品局(FDA)は、安全性と有効性の欠如を理由に、せっけんおよびハンドソープのうちトリクロサンなど19種類の殺菌薬が添加された商品の販売禁止を勧告したが、その後も企業は他の商品への殺菌薬の添加を控えていない。

しかも、Levin氏によると、トリクロサンは非常に安定しており、体内にも環境にも『長期間残留』するという。(関連記事:「抗菌ハンドソープ、販売禁止へ...FDA」)

抗菌薬には殺菌性と静菌性があるが、同氏らは特に殺菌性の抗菌薬(殺菌性抗菌薬)に着目。通常では抗菌薬の存在下で死滅する細菌が、
トリクロサンに曝露することによって死滅しないとの仮説を立て、細菌を
@殺菌性抗菌薬の投与前にトリクロサンに曝露
A殺菌性抗菌薬投与のみ(トリクロサンへの曝露なし)
−の2群に分け、生存数を比較検討した。

抗菌薬の殺菌作用を減弱
 
その結果、トリクロサン曝露群では生存細菌数が大幅に増加した。
通常、抗菌薬で処理後も生存している数は100万個に1個ほどだが、トリクロサン曝露群では、20時間後も10個に1個が生存していた。
さらに、トリクロサン曝露群は抗菌薬による滅菌は見られず、この性質は、全ての抗菌薬ファミリーでも共通していた。
実際、トリクロサン曝露により特有の作用機序を持つと考えられている複数の抗菌薬の殺菌作用が減弱した。

Levin氏らは「細菌は、トリクロサンへの曝露により、幅広い抗菌薬への抵抗性を獲得した」と述べ、
「特に、シプロフロキサシン(CPFX)の作用が減弱されたことは最も興味深いものだった。
なぜなら、これはDNA複製を妨げるフルオロキノロンで、尿路感染症(UTI)の治療で最もよく使用されているからだ」と説明している。

UTIは細菌(主に大腸菌)が尿路に侵入し炎症を引き起こす感染症で、高頻度に見られる。
一方、トリクロサンへの曝露もよく見られる。
米国成人の約75%はトリクロサンの尿中濃度が検出可能レベルで、約10%は大腸菌の増殖を抑制するのに十分なレベルであるという。

同氏らは、体内にトリクロサンが存在すると抗菌薬によるUTI治療を妨げるかどうかについて調べた。

『トリクロサン曝露で100倍以上の細菌が検出』

Levin氏らは、トリクロサンが添加された水を飲んだマウスの尿中トリクロサン濃度は、ヒトで報告されている濃度と同程度であることを見いだした。
同氏は「これは、ヒト尿中のトリクロサンが抗菌薬によるUTI治療に及ぼす影響をマウス実験で検証できることを意味している」と説明している。

全てのUTI感染マウスにCPFXを投与し、一部のマウスにのみトリクロサン添加水を与える実験を行った。

その結果、トリクロサン曝露群では、抗菌薬投与後に尿中に多数の細菌が認められ、膀胱への付着も認められた
一方、『非曝露群では細菌数が有意に少なかった』

同氏は「細菌数の群間差が10倍未満であったなら、トリクロサンが犯人であると強く主張するのは難しかっただろう。
しかし、トリクロサンを与えたマウスでは尿中から100倍以上もの細菌が検出された。これは十分な量だ」とし、「この結果は、少なくともマウスではトリクロサンの存在下で抗菌薬の効果が低下するという驚くべきメッセージだ」と述べている。

トリクロサンの武器、ppGpp

Levin氏らは、『トリクロサン』は『alarmone guanosine tetraphosphate(ppGpp)』と呼ばれる『小さな細胞増殖抑制物質と協働』することで、『抗菌薬の作用を阻害』することを発見した。

ストレス時の反応として、ppGppは細胞の材料(DNA、RNA、蛋白質、脂肪)の生合成経路を遮断する。

この反応はこれらを成長から生存へ切り替えるのを助ける。
同氏は「細胞を殺す薬より先に細胞の増殖を遅らせる薬を投与しないことが医学の原則だ」と指摘する。

殺菌性抗菌薬は、特定の生合成経路を標的にして殺菌効果を発揮する。
例えば、アンピシリン細菌が細胞壁をつくる酵素を標的にし、CPFXDNA合成を標的にしている


これらの経路が遮断されると、殺菌性抗菌薬は効果が発揮できなくなる。

トリクロサンがppGppを誘導して生合成を抑制すると、殺菌性抗菌薬の効果が減弱される

しかし、ppGppを欠く細菌では生合成が継続し、それらの細菌は殺菌性抗菌薬により死滅すると期待される。

同氏らはこの仮説を検証するため、ppGppを合成できない変異型大腸菌を遺伝子工学的に作製し、ppGppを合成できる大腸菌と比較。
トリクロサン曝露は、この変異型大腸菌を殺菌性抗菌薬から保護しなかった。

トリクロサンがヒトでも同様に抗菌薬の作用を阻害するかどうかは、臨床試験による検討が必要であるが、同氏は「今回の研究が消費者商品における抗菌薬の重要性を再考する契機となることを願っている」と述べている。(谷本真幸)

2019年04月29日

迅速診断登場で「検査を信じるか、医師を信じるか」の時代に?

その通りだな、と納得されましたー小児科に進まれた先生方は偉いなといつも感じてます!(6ヶ月小児外科をかじった一般消化器外科医談)
迅速診断登場で「検査を信じるか、医師を信じるか」の時代に?【平成の医療史30年◆小児科編】
日本外来小児科学会会長・横田俊一郎氏―Vol. 3

平成の医療史30年2019年3月26日 (火)配信 一般内科疾患小児科疾患一般外科疾患

日本外来小児科学会会長の横田俊一郎氏による、外来小児科の平成30年間の振り返り。
小児科外来ではこの30年にワクチン以外にも、大きく変わった2つの診療として「迅速診断キット」「抗菌薬処方」を挙げる。

「“検査を信じるか、医師を信じるか”みたいに、みんなが迅速診断に振り回される時代になっている気がする」と苦笑する。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・坂口恵/2019年1月取材、全4回連載)

発熱患者の診察前に検査が完了?!
――「ワクチン以外にも、外来小児科で大きく変わった診療が2つある」と横田氏。その一つが「迅速検査キット」だそうだ。

迅速検査キットの皮切りは溶連菌でした。
一番、大きな変化をもたらしたのは、やはりインフルエンザの迅速診断キットでしょうね。
最初は保険適用がなかったので、自分で買ってやっていました。初めは「これでインフルエンザ陽性が分かるのか」なんてびっくりしていました(笑)。

もちろん、疾患が早く見つかることは悪いことではないし、日本式に早く診断して薬を使っているから重症例や死亡例が少ないという意見も間違っていないのかな、とは思います。
でも、最近はあまりにも検査に偏り過ぎているというのかな……。

「患者が熱が出て、診療所に来たら、医師の診察前に看護師がもう検査を済ませていた」なんて話も聞いたりします(苦笑)

――自身は臨床診断と迅速検査をどう使い分けているのだろうか。

臨床診断はもちろん行いますが、中には、ニュースなどの影響か「検査さえすれば、すぐに分かるでしょう」みたいなことを言う方もいます。
例えば家族が既にかかっていて、患者に症状がある場合は「これはインフルエンザということにしましょう。
迅速検査では陰性と出ることもありますし、それはそれで混乱するでしょう?」というふうに、検査の限界を説明して納得してもらうこともあります。
やはり、医師の技量というか、それをきちんと使えるようになることが重要で、臨床診断があってこその迅速検査だと思います
『みんなが迅速検査に振り回され過ぎている時代に』なっているような気がします。
「検査を信じるか、医師の診断を信じるか」みたいなね(笑)。

抗菌薬の処方様式が変わりにくい理由
――外来小児科で大きく変わった診療の3つ目は「抗菌薬」だそうだ。

日本外来小児科学会でも、感染症や公衆衛生の専門家の話を聞くなど、抗菌薬適正使用の動きは随分盛んにはなっていると思います。
ただ、全国に行き届いているかというと、まだ課題はあるかもしれません。
ちなみに、私の研修医時代は「ペリアクチン、アスベリン、ビソルボン」とか、「喉が赤かったり、熱があったりしたらケフレックス」などと習っていました。
『今の若い医師は、もう教育が変わっているので抗菌薬を全然使わない』ですよね。
『逆に』言うと、私たちくらいの年の、『長くやっている医師がなかなか変わらない』というのがあると思います。

――医師の抗菌薬の処方行動が変わりにくい要因を、横田氏は次のように分析する。

医師は自分で診療を始めてしまうと、大きな間違いがあったり、困ったりしたことがない限り、自分の診療スタイルを変えにくい性質があるのだと思います。
いろいろな研究から、抗菌薬によって腸内細菌の種類や数が大きく変わっていろいろな疾患につながる可能性が指摘されています。
一方、抗菌薬を使ったから平均寿命が短くなったというわけでもなく、多くの人が長生きするようになりました。

とはいえ、抗菌薬の適正使用も考えていかないと、
『耐性菌が増えてはいざというときに抗菌薬が使えなくなります』

こうしたことも、私自身は日本外来小児科学会の活動を介して教わりました。

例えば、武内一先生(現 佛教大学教授)が香川県の小豆島中央病院に勤務していた当時、上気道炎への全てのセフェム系抗菌薬の使用を中止し、『ペニシリン系抗菌薬を厳格な適応の上でのみ使用』したところ、『5年で耐性菌がほぼゼロ』になったと報告しました(外来小児科1999; 2: 51-56)

薬局で自分の抗菌薬処方量を確認

――草刈章氏(埼玉県・くさかり小児科)ら5人の小児科医は、小児科での抗菌薬使用がまだ一般的だった2005年に「小児上気道炎および関連疾患に対する抗菌薬使用ガイドライン−私たちの提案−」と題するGood Practice Guideを発表(外来小児科 2005; 8:146-173)。当時、小児科医の間で大きな反響を呼んだ。

この研究が基になって、西村龍夫先生(大阪府・にしむら小児科)や深澤満先生(福岡県・ふかざわ小児科)らも、髄膜炎や抗菌薬の適正使用に関する研究を報告するようになりました。

とても面白い先生方で、いつも良い刺激を受けています。私自身も「抗菌薬の不適切な使用は耐性菌出現の観点から良くない」とは分かっていました。
最初は普通の風邪には出さなくなっていたのですが、
徐々に「中耳炎も出さなくてもほとんどは自然経過で治る」と自分で確認して、処方がだんだん変わってきたというのが本当のところです。

以前は「出さなかったら、患者の状態が悪くなるのではないか……」と懸念していたのですが、やっぱり自分で「抗菌薬を処方しなくてもきちんと治る、大丈夫」と分かってくると出さなくなる。

自院近くの薬局、この地域(神奈川県小田原市)だと当院の患者の大部分は決まった薬局に取りに行くのですが、そこに頼んで自分の抗菌薬の処方量を確認してもらい、随分減っていることがあらためて分かりました。

――「抗菌薬を使わないで様子を見る」ことが可能なのは、かかりつけ医ならではだろうか。

かかりつけ医だから「念のため」と不要かもしれない抗菌薬を使わずに、その後の様子までを確認しやすいのは大きいかもしれません。近くに市立病院があって常勤の小児科医が10人くらいいるので、かかりつけの患者に何かあれば、いつでも引き受けてもらえる安心感もありますね。

2019年04月28日

サンプル数が200と少ないが、貝類を多く食べ、内臓肉を避けると、精子の運動性が向上する!

サンプル数が200と少ないが、貝類を多く食べ、内臓肉を避けると、精子の運動性が向上する!

精子に「効く」肉類は? 2019年03月28日 16:50

精子の数が過去数十年にわたって減少していることが、複数の研究で報告されている。
米国・Harvard School of Public HealthのAna B. Maldonado-Cárceles氏らは、若年男性を対象とした横断研究で、
肉類の摂取が精液の質および性ホルモンに及ぼす影響を検討。

その結果、貝類の摂取が精子の運動性を向上させるのに対して、
レバーなどの内臓肉の摂取は逆の方向に働く可能性があることが示されたと、Br J Nutr(2019; 121: 451-460)に発表した。

『健康な若年男性206例』が対象の横断研究

精液の質は食事内容によって変化することが、過去の疫学研究から示されている。
中でも赤身肉や魚の摂取は、精巣機能に影響を及ぼしうる残留性有機汚染物質の問題などから注目されている。

これまでに、精子の質は赤身肉の摂取で低下し、逆に魚の摂取で向上することが報告されている。
しかし、これらの研究は年齢や健康状態が異なる集団で行われたものである上、健康な若年男性を対象とした研究は少ない。

そこでMaldonado-Cárceles氏らは今回、スペインの若年男性を対象に赤身肉、白身肉、加工肉、魚肉を含む肉類の摂取と精液の質および性ホルモン値との関連を検討する目的で横断研究を実施した。
解析対象は206例(平均年齢20.5歳、BMI 23.7)で、解析には多変量線形回帰を用いた。

赤身の加工肉を最も多く摂取

全例が101項目から成る食物摂取頻度調査票(FFQ)に回答し、過去1年間の普段の食事やサプリメントの摂取について報告した。また、健康診断を受け、血液と精液のサンプルを提供した。

検討の結果、最も摂取量の多かった肉類は赤身の加工肉(29%)で、以下、赤身の魚肉(22%)、鶏肉などの白身肉(18%)、加工されていない赤身肉(12%)、白身の魚肉(11%)、貝類(5%)、内臓肉(3%)が続いた。

精液の質については、収集した精液サンプルから測定した精液量、精子濃度、総精子数、並びに運動率と前進運動率から算出した精子の運動性―で評価した。
血液サンプルからは、血中の性ホルモンである卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、性ホルモン結合グロブリン、血清総テストステロン、エストラジオール、インヒビンB、遊離型テストステロンの各値を測定した。
精液の質および性ホルモン値の平均は、健康な成人男性の正常範囲内であった。

『貝類の摂取と精子の前進運動率に正相関』

交絡因子を調整した上で解析した結果、肉類全体では摂取と精液の質および性ホルモン値との間に関連は認められなかった。

また、肉の種類別でも、赤身肉、白身肉、魚肉の摂取は精子の質および性ホルモン値に影響を及ぼさなかった。

しかし、貝類の摂取と精子の前進運動率との間には正の相関が認められた(傾向のP≦0.001)
貝類の摂取と精子の総運動率との間にも、同様の関連が確認された。
また、『貝類の摂取とエストラジオール(女性ホルモン)値の間には負の相関』が見られた(傾向のP=0.02)。

『内臓肉の摂取と精子の運動性に負の相関』

一方、内臓肉の摂取と精子の運動性との間には負の相関が示された(P=0.001)
また、黄体形成ホルモン値は内臓肉を摂取しなかった男性に比べ、摂取した男性で高かった。

次に、他の肉類の代わりに貝類を摂取した場合の精液の質の違いについて検討したところ、内臓肉の代わりに貝類を摂取した場合、精子の運動率および前進運動率が上昇することが示された(傾向のP<0.001)

Maldonado-Cárceles氏らは「サンプルサイズが小さいということは否定できない」と今回の研究の限界について言及した上で、「健康な若年男性を対象としたわれわれの検討から、貝類の摂取が精子の運動性を高め、内臓肉の摂取は逆の結果を示した。
精液の質および性ホルモンの値と特定の肉類の摂取との関連を示すデータが少ないことを考えても、今回得られた知見を検証するにはさらなる研究が必要だろう」と結論している。
(比企野綾子)

2019年04月27日

国内初、家族性高コレステロール血症の患者から遺伝子修正iPS細胞を作製

母校からのニュース!やった!!

国内初、家族性高コレステロール血症の患者から遺伝子修正iPS細胞を作製

金沢大、末梢血からiPS細胞を樹立してCRISPR/Cas9システムでLDL受容体遺伝子を修正

QLifePro 医療ニュース2019年3月26日 (火)配信 一般内科疾患内分泌・代謝疾患その他

金沢大学は3月20日、ゲノム編集技術を用いて、難治性疾患である家族性高コレステロール血症(FH:
Familial Hypercholesterolemia)患者の末梢血から遺伝子修正したiPS細胞を作製することに、
国内で初めて成功したと発表した。

この研究は、同大医薬保健研究域医学系循環器内科学の川尻剛照准教授、附属病院救急部の岡田寛史特任助教、
附属病院循環器内科の中西千明助教らの研究グループによるもの。
研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。

FHは、早発性の冠動脈疾患など重篤な動脈硬化を引き起こす遺伝性の疾患で、コレステロールの細胞内取り込み
に関連するLDL受容体の欠損または機能低下が原因であると知られている。
両親からLDL受容体の遺伝子異常を受け継いだホモ接合体性家族性高コレステロール血症の重症患者は、
幼少期から重篤な動脈硬化をきたすことがあり、心臓突然死する症例も存在する。

また、薬物治療のみでは治療が不十分であり、終生に渡りLDLアフェレーシスといった侵襲的治療が必要と
なる。
これは血液を体外へ出し、血球成分と血漿成分を分離し、
血漿成分に含まれるLDLなどのアポB含有リポタンパクを取り除いた後、再び体内に戻す治療法で、
肉体的、時間的、経済的にも負担が大きい。

研究グループは、ホモ接合体性の変異を持つFH患者の末梢血からiPS細胞を樹立し、CRISPR/Cas9システム
という汎用性の高いゲノム編集法を用いて、国内では初めてLDL受容体遺伝子が修正されたiPS細胞を作製する
ことに成功。
さらに、この細胞から誘導した肝細胞は、LDLコレステロールの取り込み能が改善しているだけではなく、
患者の末梢血単核球による免疫反応が観察されなかった。

今回の研究成果は、細胞移植治療といった根治治療に繋がる基礎研究として、多大な影響を持つと考えられる
研究グループは、「さらに、疾患特異的iPS細胞による疾患モデルの構築により、新たな脂質代謝改善薬の
創薬スクリーニングに用いることのできる新しい評価ツールとなり得ることも期待される」と、述べている。

2019年04月26日

小麦アレルギー(30分)、蜂アレルギー(15分)、造影剤の注射(5分)などで非常に短時間でおきるアナフィラキシーショック!

小麦アレルギー(30分)、蜂アレルギー(15分)、造影剤の注射(5分)などで非常に短時間でおきるアナフィラキシーショック!

正しい知識を修得下さい!

「避けられない」で求められる対応力【時流◆アナフィラキシー】
海老澤元宏・相模原病院副臨床研究センター長に聞く―Vol.1
2019年3月26日 (火)配信 一般内科疾患アレルギー疾患一般外科疾患

初期対応の重要性を強調する海老澤氏

m3.com意識調査で症例の軽重を問わずにアナフィラキシーの症例経験があるかどうか医師会員2491人に
尋ねたところ約7割が「ある」と回答した(『アナフィラキシー症例の最多原因は医薬品』を参照)。

医療従事者であれば、何らかの形で遭遇する可能性が高いアナフィラキシーに対応する上でのポイントを、
相模原病院副臨床研究センター長の海老澤元宏氏に尋ねた。

同氏は「アナフィラキシーには、避けられるものと避けられないものがある」と話し、常に起こりうることを
想定して対応に備えておくべきと説いている。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・森圭吾)

一度は遭遇するものと心得よ

――医療従事者アナフィラキシーの症例に遭遇する確率は、かなり高いのではないかと感じました。

アナフィラキシーにも色々あります。
検査で使う造影剤によるものもあれば、
小児に多い食物アレルギーに端を発するもの、
ハチの刺傷によるものなど原因はさまざまなので、
ひとくくりに言うことはできません。
ですが、医師である以上は、一度は遭遇する機会のあるものだと心得ておくことは大切です。

アナフィラキシーには「避けられるもの」と「避けられないもの」が
あります


よく学校などで起きた食物アレルギーなどによるアナフィラキシーショックの問題がセンセーショナルに
報道されますが、
死亡数に関しては『医薬品』『ハチ刺傷』の順に多く、
厚生労働省の人口動態統計によるとそれぞれ『30例前後』『20例前後』が報告される『年』もあります。
『食物』は『多くても5例』ほどです。

死亡数の最も多い医薬品には、
造影剤やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの鎮痛薬、抗菌薬、抗癌剤など多岐にわたります


さらに特異的免疫グロブリンE(IgE)抗体が関与しない免疫学的機序もあるため、基本的には投与後の反応を
見るしかありません

こうしたケースが、いわゆる「避けられないアナフィラキシー」と言えます。

『アドレナリン筋注は迅速に』

――薬剤によるアナフィラキシーは、ハチ刺傷や食物によるものより重症化しやすいのでしょうか

状況にもよりますが、造影剤や鎮痛薬、麻酔薬などが『静脈注射』される場合は、アナフィラキシーを来すと急速な血圧の低下や呼吸困難などのショック症状を呈します(5分以内、管理人註)。

「避けられない」かつ「時間的猶予がない」のが、これらアナフィラキシーの特徴です。

では、医療従事者として何をすべきか。
まずは患者を注意深く観察し、バイタルサインをしっかりとチェック。
患者が少しでも異常を訴えるようであれば、アナフィラキシーも念頭に置くべきでしょう。

そしてアドレナリンはいつでも使用できるように常備しておき、初期対応の手順をしっかりと確認しておくことです。
診断基準や鑑別のポイントなどは2014年にまとめた「アナフィラキシーガイドライン」に詳しいですが、まずは重篤化させない、死亡させないことが前提となるので、アナフィラキシーが発生した場合は迷わずアドレナリンを筋注することです。

ベテランの医師には、アドレナリンと言えば心肺蘇生の最終手段として使うイメージが強いかもしれませんが、アナフィラキシーが強く疑われる場面では躊躇せずに筋注してほしい。

必要な場面で適切に処方されているか
――アナフィラキシーの第一選択薬であるアドレナリンを使うことは、難しいものなのでしょうか。

通常量の投与では蒼白や振戦、動悸などの有害作用が想定されます。
これが過度の急速静脈内投与や静脈内ボーラス投与などの過量投与となると、心室性不整脈や高血圧、肺水腫
などを来す恐れがあります。
しかし、アドレナリン自己注射製剤(販売名:エピペン)の用法、用量を守って適切に使えば命を救う武器に
なる訳ですから、同薬による救命を最優先に判断すべきです。

ガイドラインなどで初期対応やアドレナリン使用のポイントなどを解説していますが、実際にアレルギーの
専門医がいる施設でも30-40%程度しか使われていないとの調査結果もあり、
まだまだ適切なタイミングで適切に用いられているとは言い難い状況です。

病院で準備すべき薬剤以外の医療備品なども、ガイドラインでは明示してあります。
検査や投薬の責任者はもちろん、院内の救急体制を整備し、日頃から手順の確認を徹底しておかなければ、
いざという時に動けません。
ガイドラインは日本アレルギー学会のアナフィラキシー啓発サイトで手に入れることもできるので、ぜひ院内対応力の向上に役立ててほしいですね。

2019年04月25日

肥満や脂肪肝の発症に、プロリン異性化酵素「Pin1」が関与

創薬につなげることができるか?

肥満や脂肪肝の発症に、プロリン異性化酵素「Pin1」が関与

広島大、肥満者に起こる基礎代謝低下の分子メカニズムについて研究

QLifePro 医療ニュース2019年3月26日 (火)配信 消化器疾患内分泌・代謝疾患

広島大学は3月15日、肥満や脂肪肝の発症に「Pin1」と名づけられているプロリン異性化酵素の増加が不可欠な役割を果たしていることを明らかにしたと発表した。

この研究は、同大大学院医歯薬保健学研究科の中津祐介講師、浅野知一郎教授らの研究グループによるもの。研究成果は、米国学術誌「Cell Reports」のオンライン版に掲載されている。

肥満の成因は、食事で摂取したカロリー量だけではなく、個人個人の基礎代謝の高低も大きく影響している。
基礎代謝には体内からの熱産生が大きく関与しており、その熱産生を担うUCP-1を有するのは、
脂肪細胞のうち、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞である。

ヒトの場合、成人以降には、褐色あるいはベージュ脂肪細胞が減少するため、基礎代謝が落ちて太りやすくなるとされている。
さらに肥満者や糖尿病患者では、一層、熱産生や基礎代謝が低下しているため、減量が困難になる。

しかし、肥満者に起こる基礎代謝低下の分子メカニズムはこれまで明らかにされていなかった

その一方、近年では、熱産生能力を上昇させ、基礎代謝量を上げることが、肥満に対する新しい治療手段として注目されていた。

研究グループは、肥満や過栄養の状態で基礎代謝(脂肪細胞からの熱産生)が低下する点に着目。
肥満や過栄養の状態では、脂肪細胞内Pin1が増加し、細胞内の転写共役因子PRDM16に結合して分解を誘導することで、熱産生に関与するUCP-1の発現が抑えられることが示された

この結果から、基礎代謝低下により、肥満や脂肪肝の憎悪が助長されることが判明。

さらに、Pin1遺伝子を欠損するマウスでは、脂肪細胞からの発熱量が高く、高脂肪食を与えても肥満や脂肪肝を発症しないことが明らかになったという。

今回の研究の成果から、過剰になっているPin1の機能を抑制することで、肥満や脂肪肝の治療方法に繋げられる可能性が示唆された。
研究グループは「今後は、過剰なPin1を化合物によって阻害する方法で、
脂肪肝NASH(脂肪性肝炎:悪性度の高い脂肪肝)、肥満の治療に役立てたいと考えている。

そこで、Pin1に特異的な阻害化合物の開発を、東京大学創薬機構及び東京薬科大学と共同で開発を進めており、
現在は開発した新規化合物3件について海外特許として出願している。
これらの新規化合物を用いて、NASHや肥満の治療方法の確立が期待できる」と、述べている。

2019年04月24日

国の食生活指針10カ条ーその通りだと思います!

国の食生活指針10カ条ーその通りだと思います!
まずは食事を楽しみましょう!!
食生活指針10か条.jpg

よく噛んで、命をいただく、”いただきます”。

”御『馳走』様”でした。
奥さん、お母さんが作ってくれた馳走に”御”と”様”をつけて感謝の気持ちを忘れずに

3食、夕食が遅くなる場合は、夕に軽く、お結びでも。帰ってからおかずを食べましょう。

割烹の食べ方、おかず、最後に炭水化物で〆
おかずから遅れて10−15分、炭水化物を取ると、血糖の上がりが緩やかになるのと、分泌されるインスリン量が少なくなることが、わかっていますー糖尿病を避けることができます。

塩分の少ない食事、カリウムの多い食事ー野菜、果物、海藻などをこまめに取りましょう!
posted by 田中松平 at 05:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 食事
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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