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2019年04月30日

おもちゃやクレジットカードで抗菌薬耐性?

おもちゃやクレジットカードで抗菌薬耐性?

かぎを握るのは『トリクロサン』

2019年03月15日 17:30

トリクロサンは、多くの消費者商品に"抗菌"を目的として高濃度で添加されている。具体的には、歯磨き粉、うがい薬、化粧品、さらには衣類、赤ちゃん用おもちゃ、クレジットカードにさえ添加されている。

スーパーマーケットの売り場は殺菌効果をうたう商品であふれ、人々は細菌から身を守るため、それらの商品を次々に買っていく。

しかし、米・Washington University in St. LouisのPetra A. Levin氏らは、それらの商品、さらにおもちゃやクレジットカードにまで添加される化学物質トリクロサンの存在下では、細菌が抗菌薬耐性を獲得することを発見した。

詳細はAntimicrob Agents Chemother(2019年2月19日オンライン版)に報告された。

さまざまな製品に添加
 
トリクロサンは、多くの消費者商品に"抗菌"を目的として高濃度で添加されている。具体的には、歯磨き粉、うがい薬、化粧品、さらには衣類、赤ちゃん用おもちゃ、クレジットカードにさえ添加されている。

2017年に米食品医薬品局(FDA)は、安全性と有効性の欠如を理由に、せっけんおよびハンドソープのうちトリクロサンなど19種類の殺菌薬が添加された商品の販売禁止を勧告したが、その後も企業は他の商品への殺菌薬の添加を控えていない。

しかも、Levin氏によると、トリクロサンは非常に安定しており、体内にも環境にも『長期間残留』するという。(関連記事:「抗菌ハンドソープ、販売禁止へ...FDA」)

抗菌薬には殺菌性と静菌性があるが、同氏らは特に殺菌性の抗菌薬(殺菌性抗菌薬)に着目。通常では抗菌薬の存在下で死滅する細菌が、
トリクロサンに曝露することによって死滅しないとの仮説を立て、細菌を
@殺菌性抗菌薬の投与前にトリクロサンに曝露
A殺菌性抗菌薬投与のみ(トリクロサンへの曝露なし)
−の2群に分け、生存数を比較検討した。

抗菌薬の殺菌作用を減弱
 
その結果、トリクロサン曝露群では生存細菌数が大幅に増加した。
通常、抗菌薬で処理後も生存している数は100万個に1個ほどだが、トリクロサン曝露群では、20時間後も10個に1個が生存していた。
さらに、トリクロサン曝露群は抗菌薬による滅菌は見られず、この性質は、全ての抗菌薬ファミリーでも共通していた。
実際、トリクロサン曝露により特有の作用機序を持つと考えられている複数の抗菌薬の殺菌作用が減弱した。

Levin氏らは「細菌は、トリクロサンへの曝露により、幅広い抗菌薬への抵抗性を獲得した」と述べ、
「特に、シプロフロキサシン(CPFX)の作用が減弱されたことは最も興味深いものだった。
なぜなら、これはDNA複製を妨げるフルオロキノロンで、尿路感染症(UTI)の治療で最もよく使用されているからだ」と説明している。

UTIは細菌(主に大腸菌)が尿路に侵入し炎症を引き起こす感染症で、高頻度に見られる。
一方、トリクロサンへの曝露もよく見られる。
米国成人の約75%はトリクロサンの尿中濃度が検出可能レベルで、約10%は大腸菌の増殖を抑制するのに十分なレベルであるという。

同氏らは、体内にトリクロサンが存在すると抗菌薬によるUTI治療を妨げるかどうかについて調べた。

『トリクロサン曝露で100倍以上の細菌が検出』

Levin氏らは、トリクロサンが添加された水を飲んだマウスの尿中トリクロサン濃度は、ヒトで報告されている濃度と同程度であることを見いだした。
同氏は「これは、ヒト尿中のトリクロサンが抗菌薬によるUTI治療に及ぼす影響をマウス実験で検証できることを意味している」と説明している。

全てのUTI感染マウスにCPFXを投与し、一部のマウスにのみトリクロサン添加水を与える実験を行った。

その結果、トリクロサン曝露群では、抗菌薬投与後に尿中に多数の細菌が認められ、膀胱への付着も認められた
一方、『非曝露群では細菌数が有意に少なかった』

同氏は「細菌数の群間差が10倍未満であったなら、トリクロサンが犯人であると強く主張するのは難しかっただろう。
しかし、トリクロサンを与えたマウスでは尿中から100倍以上もの細菌が検出された。これは十分な量だ」とし、「この結果は、少なくともマウスではトリクロサンの存在下で抗菌薬の効果が低下するという驚くべきメッセージだ」と述べている。

トリクロサンの武器、ppGpp

Levin氏らは、『トリクロサン』は『alarmone guanosine tetraphosphate(ppGpp)』と呼ばれる『小さな細胞増殖抑制物質と協働』することで、『抗菌薬の作用を阻害』することを発見した。

ストレス時の反応として、ppGppは細胞の材料(DNA、RNA、蛋白質、脂肪)の生合成経路を遮断する。

この反応はこれらを成長から生存へ切り替えるのを助ける。
同氏は「細胞を殺す薬より先に細胞の増殖を遅らせる薬を投与しないことが医学の原則だ」と指摘する。

殺菌性抗菌薬は、特定の生合成経路を標的にして殺菌効果を発揮する。
例えば、アンピシリン細菌が細胞壁をつくる酵素を標的にし、CPFXDNA合成を標的にしている


これらの経路が遮断されると、殺菌性抗菌薬は効果が発揮できなくなる。

トリクロサンがppGppを誘導して生合成を抑制すると、殺菌性抗菌薬の効果が減弱される

しかし、ppGppを欠く細菌では生合成が継続し、それらの細菌は殺菌性抗菌薬により死滅すると期待される。

同氏らはこの仮説を検証するため、ppGppを合成できない変異型大腸菌を遺伝子工学的に作製し、ppGppを合成できる大腸菌と比較。
トリクロサン曝露は、この変異型大腸菌を殺菌性抗菌薬から保護しなかった。

トリクロサンがヒトでも同様に抗菌薬の作用を阻害するかどうかは、臨床試験による検討が必要であるが、同氏は「今回の研究が消費者商品における抗菌薬の重要性を再考する契機となることを願っている」と述べている。(谷本真幸)
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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